1. ミステリと言う勿れ
《ネタバレ》 いやあ、面白かったですね。謎解き物と してはよく考えられたお話で堪能することができました。 無暗に人が殺されないところも良かったです。 遺産相続のお話と思わせといて実はその裏にもっと深い 闇があったというプロットには恐れ入りました。 久能君が途中で本筋とは全く関係のない女性論について 話すところは彼らしいところではありますし、内容には 禿同でありました。 弁護士の孫の登場があまりにも唐突で不自然で、彼が何ら かの形で絡んでいるのだろうというのが容易に推測できた ので、もう少し考えてほしかったとは思いました。 最後の松嶋奈々子がそれぞれに形見を渡すシーンは確か に長くて、本筋の秀逸さに比べて月並みな感じは否めま せんでした。 物語の突っ込みどころは、狩集家は地域での大きな自作農 家であれば当然多くの小作人や役人などとも顔なじみで あり、鬼が突然成り代われば容易にバレてしまうであろう 点でしょうか。 ちなみに、久能君が若いにも関わらず各方面に超博識で あるという設定であれば、狩集幸長の遺言を皆の前で 弁護士先生が開示するところで、「公証人の検認なし に開封したら犯罪になりますよね」とか、「一人だけ に相続させるのは遺言であっても遺留分侵害で無理で すよね」とかの発言をしてもよさそうなものなのに、 彼はそうしなかった。(さらに言うなら、汐路のお母さん は遺産を全くもらえない、というのも、現在ならば、もし 生前に遺言者の世話を押し付けられていたのであれば、 夫が死亡していてもその寄与分に対する金銭請求が可能) これは設定が犬神家のように戦後の混乱期でもなく 純然たる現代ならばあり得ないことなので、当然彼は そのことに気づいていたのに全く口にしませんでした。 これは意図的なものだと思っていました。 つまり僕はその時点で、どうやら二人は怪しい、遺言 書も偽者ではないかと気づいていたんです、という 種明かしを最後にするのか思っていたのですが、完全 スルーでした。もしかしてその辺の法律事情を作者も 知らなかったのでしょうかね。 [地上波(邦画)] 7点(2025-01-06 19:42:07) |
2. 望み
《ネタバレ》 原作未読でこの映画自体全く知りません でしたが、民放BSの番組表に載っていたので取り敢えず録画して 見始めたのですが、確かに重い映画でしたが、普通なら早回しで観 るのをじっくりと最後まで見入ってしまいました。 規士君は亡くなってしまいましたが、あれ以外の結果だったらこの 家族はその後は維持できなかったでしょうし、被害者側であったが 故に悲劇的な事件を乗り越えて生きていくであろうことが予感でき ラストの余韻は言われているほどには悪くはなかったです。 久しぶりに心に残る映画でした。 満ち足りた幸せな家族に降ってわいた息子の失踪と殺人事件。 家族の中での立場の違い故に異なる心情を抱いてしまう3人が丁寧に リアルに描かれていました。 家が特定され卵を投げつけられ落書きをされSNSでの誹謗中傷はさも ありなんという風景で、それゆえ法務省がタイアップしていたのでしょ うか。法務省もさることながら、息子を心配する両親に捜査に支障がでる からと何も状況を伝えない警察にも反省を促したいですね。 ところで、息子の情報を得ようとファーストフード店で高校生たちに聞 いて回るお母さんのところは違和感がなくもありません。高校生が問題を 起こしたなら普通はまず学校の担任の先生に当たるでしょう。マスコミ もまず学校に殺到し、校長先生が慌てて記者会見を開くのが世の常ですね。 家族を中心に描いた為に余分な学校の存在は消してしまったようです。 ちなみに、衆人環視の中でお父さんを殴って、その後は土下座ってあまりの手のひら 返しですが、世間とはそんなものでしょうね ジャーナルの記者の人や男刑事さんも意外といい人でしたね。結局犯人の少年 たち以外は登場人物の中に悪い人はいませんでした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-10-16 10:01:36) |
3. 侍タイムスリッパー
《ネタバレ》 幕末から現代にタイムスリップした侍が 戸惑いながらも剣術の腕を生かして殺陣や切られ役と なって生きていくという単純なお話かと思っていまし たが、それだけじゃあローカル劇場で公開した本作品 が大人気となり全国拡大興行となるわけないですよね。 なるほどなかなか考えた作品でヒットした理由が分か りました。コミカルではあるけども、現代に生きる侍 をそれなりに無理なく見事に描いていました。 2時間以上の長尺も気にならず最後まで興味が尽きませ んでした。 確かに冒頭で雷に打たれた時に相手はどうなってしまった のだろうかと思うわけで、敵方も時代を前後して現代に タイムスリップしていてそれぞれに侍としての葛藤があ り、最後は宿命の対決が再開するというのが味噌ですね。 ラストの切り合いには思わず手に汗握ってしまいました。 テレビドラマから時代劇がほとんど姿を消して時代劇消 滅の危機と言われ殺陣俳優たちが生活困窮したのは少し 前のことでした。当時もしこの映画が封切られていたら 一層切実感が伝わったでしょうね。 [映画館(邦画)] 7点(2024-10-13 15:11:42) |
4. ラストマイル
《ネタバレ》 既にテレビ放送された2作品とコラボした シェアードユニバースムービーと名を打った豪華キャスト、 日本の映画・ドラマでは珍しい実在の駅名を使っているなど 実験的要素も多い話題作ということで映画館まで見に行き ました。 まあ料金に見合う程度には楽しむことはできました。 満島ひかりさんは相変わらずの自信満々の演技でしたが、 大仰さにやや食傷気味ではありました。 しかし物流業界の事情に詳しくなくしかもテンポが速い為、 ストーリーにもついて行けず、役者さんたちのセリフが十分 聞き取れないし(どうやらボケ始めたのか、日本映画にも字幕 をつけてほしい)、あれよあれよいう間にハッピーなのかアン ハッピーなのか良く分からないような形で終わってしまって 大分消化不良でした。 舟渡さんを経歴を偽ってセンター長に送り込んだ米本社の意図 はなんだったのか、そして本人は何をしようとしていたのか、 前半は少なくとも会社を守るために動いていたように思うの ですが、いつの間にか現場の人たちの側に変わってしまった ようで一体何があったのやらではあります。 来年あたりテレビ放映される時に録画でもしてじっくりとみて みたいです。 追加(もろにネタバレ) ちなみに犯人の筧まりか役の女優さん(二村紗和)の名前が どこにも出ていなくてあっちこっち検索してようやく見つけ ました。最初、満島ひかりの一人二役なのかと思いました。 エンドロールには果たして出ていたのだろうか。 [映画館(邦画)] 6点(2024-09-08 16:11:11) |
5. オッペンハイマー
《ネタバレ》 まず物理的な問題として映画館の椅子に 3時間座り続けるのはきつかった。最後の一時間は尻が 痛くて痛くて・・・やっぱり劇場公開するなら2時間以内 で頼みますよ。 そして内容ですけど、プロジェクトXのような原爆開発の 技術的、物理的な困難をいかに乗り越えたか的なお話かと 思っていたら、全く違いました。 核開発への後悔や批判よりも、オッピーとストローズの 私的な遺恨を巡る泥仕合がドキュメンタリー風に延々と 描かれていて、公聴会での長々としたやり取りも赤狩り も米国の国内問題であって日本人にとっては正直どうで も良かったような(そもそもあそこにいたおっさん達って誰?) 日本国内では広島、長崎の惨状がほとんど描かれていな いという批判があるけれど、そもそも当時も現在に至って も米国人の日本に対する認識はこの程度のものだという ことでしょう(Nagasakiを言い辛そうに発音していた) とにかく登場人物が多くて誰が誰だか良く分からず テレビドラマのように、字幕に名前と役職を表示して ほしかった。 ジーンのおっぱい丸出しのシーンが何度もあったけどあれ は必要だったのだろうか 公聴会でいきなり二人のセックスシーンが始まったりし たのは意図不明であれでR15指定になってしまったのだろう [映画館(字幕)] 6点(2024-04-09 16:22:41) |
6. ゴジラ-1.0
《ネタバレ》 映画館の大スクリーンで見る価値のある ド迫力な映画でした。 完全にゴジラは脇役に追いやられてしまって、子供がゴジラ 目当てに観たら怒り出すのではないかと思うような、中心は 戦争映画、反戦映画、人間ドラマでしたね。永遠のゼロが 直球勝負なのに対して変化球で勝負でした。 まあもともとゴジラ映画は反戦・反原発映画でしたから本来 の趣旨に沿っていると言えます。 浜辺美波が前半であっけなく死んでしまってありゃりゃと いう感じでしたが、さすが他人の子供を育てる強い女です、 ゴジラの熱線にも負けていませんでした。 最後のワダツミ作戦はちょっとまどろっこしかったですね。 神木君が口めがけて特攻するだけだとあっけなさすぎるとい うことなんでしょうけど、最新のVFXをしても安っぽさを隠す ことができなかったようで、突然本来のゴジラ映画の片りんが 現れたという感じでした。 [映画館(邦画)] 6点(2024-02-02 15:09:35) |
7. JFK/新証言 知られざる陰謀
《ネタバレ》 1991年に公開された映画「JFK」と違いドラマではなく 事実および推論を淡々と提示しており、やや盛り上がりにかける内容で 娯楽作品ではないので、JFKに興味のない人には退屈な内容かもしれない。 一方でこれだけ明白な矛盾点があるにも関わらずウォーレン報告書の権威 を盾にオズワルドの単独犯行論を主張し続ける人たちとは一体どういう人 たちなのか、果たしてアメリカ人の民度というものは高いのか、アメリカ に正義というものが存在するのかなど考えさせられてしまう。 [映画館(字幕)] 6点(2023-12-03 19:53:48) |
8. こんにちは、母さん
《ネタバレ》 とにかくめちゃくちゃ重い「福田村事件」を 観た後だったので、口直しというかチェイサーというか、とにかく ほのぼの、ほっとさせられ癒されました。 下町の風情が感じられる場面が多かったのですが、実際にまだこれ ほどの雰囲気が残っているのでしょうか。 役者さんそれぞれに味のある演技だったのですが、この映画の最大の 問題は昭夫さんが家庭でも会社でも問題抱えて悩んで憔悴している男 の暗さが感じられなかったことです。大泉洋さんの演技が下手という わけでは決してなく、彼には元々が明るいオーラが染みついていてし まっているからなのでしょう。 別の俳優さんなら暗い男をもっと的確に演じられたのかもしれませんが、 監督が彼を起用したというからには、そもそも監督にはこの映画をシリ アスな物にする意図はなかったのかもしれません。 [映画館(邦画)] 6点(2023-09-07 17:59:50) |
9. 福田村事件
《ネタバレ》 事件に至るまでの描写がかなり長いので すが、丁寧に描かれていてダラダラ感もなく飽きることなく どんどん引き込まれて行きました。 しかし行商団が襲われるシーンは史実でありリアリティを出す為 とはいえ随分と露骨で残酷なシーンが続き、何か夢に出てきそう で怖かったです。避けては通れないシーンとはいえもう少し暗喩 などを使ってトーンダウンしてほしかったようにも感じます。 米国ならば少なくともPG13以上には指定されるでしょうね。 それにしても訛りや方言、今は使わない言葉などが盛りだくさん で半分ぐらいしか正確に聞き取れませんでした。 日本映画にも字幕をつけてもらいたいですね。 人間関係も不明なところがあり、柄本明に胸をはだけて覆いかぶ さる女性は誰なんでしょうか? 瑛太の頭を斧でかち割り虐殺の引き金を引いた女性は誰だったの でしょうか?なぜやったのでしょうか?などなど 個性的な俳優さんがそれぞれの役柄を熱演されていました。中で も水道橋博士は憎々しい役柄の好演が光っていました。撮影は うつ病を患う前だったのでしょうか。 ※【大鉄人28号】さん 解説ありがとうございます。そういう背景があったのですか。 せりふがなまりが強くて聞き取るのに苦労して役柄もよく分からず (日本映画にも字幕がほしいです😅)、キャストの情報をスマホで調 べようとしていたら、隣に座ったオッサンにスマホやるなら外に出て いけと怒られて😭、やむなくそのまま観ていたのですけど、とにかく 一回みただけでは各登場人物を完全に理解するのは困難でした😭😭 [映画館(邦画)] 7点(2023-09-05 17:48:31) |
10. キャッシュトラック
《ネタバレ》 ここの評価が低いのですが、なかなか見ごた えがありました。 確かに痛快バイオレンスアクションを期待して観ると何とも重った るい感じではありますが、ドンパチ映画の中では秀作の部類に入る のではないでしょうか。 時間が行きつ戻りつしてなかなか凝った構成になっていますし、最後 までハラハラドキドキして飽きることなく一気にラストまで引き込ま れました。 ステイサムの無双(&不死身)は相変わらずですが、彼に対抗する為 の仇役もそれなりの強力布陣を用意してくれていて対決が盛り上がり ました。 最後はリーダーの軍曹との対峙があるのかと思ったら、こちらはあっさ りと仲間にやられてしまってちょっと意外ではありました。まあ最後に 見せ場とばかりにステイサムが皆殺しにするよりもリアル感があった のではと思います。 女性陣に見どころがなかったのですが、不自然に男女の絡みを挿入する よりは良かったかもです。 Hとは一体どういう人物だったのか、なぜFBIのボスから擁護されるのか、 手下たちはどういうグループなのか結局はっきりとは分からずに終わっ てしまいました。ステイサムの一味も結局同業者ということなのでしょ うね。 襲った輸送車から自分たちのボスが現れて、ビビッて退散するシーンは 面白かったのですが、子分たちが勝手に輸送車を襲ったりしたらボスの 統制が取れていないことになってしまいます。 [地上波(吹替)] 6点(2023-02-09 21:13:41) |
11. そして、バトンは渡された
《ネタバレ》 なんだか時間軸がはっきりしない中で(意図的でしょうが)、梨花さん は夫をとっかえひっかえする(その都度離婚届は出したのだろうか)ので、途中まで話 について行けませんでした。 噂では何度も泣くというのだけど、終盤までは泣けるシーンもなくドタバタと話が展開 していった感じでした。鍵となる秘密というのが、梨花さんがみいたんと水戸さんの手紙 を隠していたことだとすれば、大した驚きもなく、本当のお母さんのお墓の前で宮森さん が早瀬君との結婚を認めて、めでたしめでたしで終わるなら、そりゃあないだろ、と思っ たら・・・なるほどそういうことだったんですね。確かにこれは泣けるお話ですね。 ちょっと結婚式でのお涙ちょうだい的演出が過剰ではありましたが。 それにしても幼児虐待の話の多い昨今、二人の母と三人の父から溢れるよう な愛情を注がれて育った優子さん、幸せ独り占めしすぎな気もします。悲しい時辛い時も 笑顔を振りまいていたご利益なのでしょうか。 確かに言われてみれば、色々と細かな伏線を描くと同時に、観ている側に気づかせない工夫を 念入りに行っていたのを感じます。 特に気になったのが、優子さんが卒業式でピアノを弾き終わった後に場面が切り替わって、満開 の桜の林の中を誰かが歩いているシーンの意味でした(細かいことが気になってしまう性格です) 最後になって、なるほどそういう風な意味だったのかと納得しました。 二度見して、そんな伏線と迷彩を探すのも楽しいのかも。 このお話のキモは梨花さんが病気をかかえていたことと、実はみいたん=優子さんの同一人物で 違う時代に生きている二人をあたかも同時代にいて別人だと思わせた、というところなのですが、 それを観ている側に気づかせないように、みいたんと優子さんは明らかに年代が異なるのに、そ れ以外の森宮さん、水戸さん、泉ヶ原さんの年齢の違いを敢えて描かなかったようで、まんなま と騙されてしまったわけです。 [地上波(邦画)] 6点(2022-11-12 22:04:06) |
12. トップガン マーヴェリック
《ネタバレ》 話題の超大作ということで映画館で観てきましたが 物語自体は新奇さもひねりもなく単純でかなりご都合主義的な展開といえる し、最後の敵機から狙われて絶体絶命のシーンも次にどうなるか容易に想像 できてしまいました。 とにかくCGなしに実際の戦闘機に乗って撮影したという迫力ある訓練シーン や戦闘シーンを臨場感を持って堪能するための映画と言えますし、それがな ければ単なるB級映画でしかないのかもしれません。 そうはいっても懐かしいですね、80年代のあのアメリカンな雰囲気は! あれから35年あまり、世界情勢も生活環境も何もかも変わってしまった中で 忘れていたあの雰囲気にひたすら浸ることができたので+1しました。 [映画館(字幕)] 7点(2022-06-25 18:31:37) |
13. シュシュシュの娘
《ネタバレ》 映画館で鑑賞してからここに作品が登録 されるまで時間がかかったので、映画の内容や感想を大分忘れてしま いました。 確か公文書改ざんとか自警団とか最近の政治ネタを絡ませて果たして 結末はどうなるのだろうか、と興味をそそらせておいて、終盤にきて いきなり現代劇から忍者&仕置き人の本格時代劇になってヒーローは 悪人たちを成敗して夕日を浴びながら去って行ったとさ、めでたしめ でたし、っておいおいそれはないだろうと興ざめしてしまったのだけ は覚えています。 [映画館(邦画)] 5点(2021-09-19 13:16:30) |
14. 花束みたいな恋をした
《ネタバレ》 男女二人の出会いから別れまでの日常が2時間 の中に淡々と描かれているだけではありましたが、嫌味のない二人 の若い俳優さんたちの嫌味のない演技により、長い割にはそれほど 飽きはしませんでしたけど、それほど泣けもしませんでした。 この手のお話に感情移入するには我ながら老け込んでしまったようです。 ああ、最近の若い男女はこういう形で付き合うのかあ、随分と健全です けどどこか老成してますねっていう感じでした。 自分の若い頃は若者はもっと危なっかしく、青臭く、背伸びをしていた と思うのですが、イケイケだったバブル時代を経験したことがなく学生 の頃から就活で鍛えられると、こういう堅実で現実的な生活志向になる のでしょうか。 いずれにしても今観るとコロナ禍前の悪い人は一人も登場しない平穏な風景。 こういう時代に再び戻ることができるのだろうか。 二人が口にした文学、映画、音楽の固有名詞で既知なのは村上龍 ぐらいで、あとは全く知らず、映画館の中ではありましたが、いち いちググって調べてしまいました。年とともに若者文化の流行に疎く なってしまった自分を感じたことが一番心に残りました。 ラストで二人とも後ろ向きに手を振るシーンは、お互い見ていないわけ で、ちらっと振り向かせても良かったのではないでしょうか。 【追記】 地上波初放送で久しぶりに観ましたが、改めて時代の違いを感じて しましました。なんとなくクリスタルに代表されるバブル前世代 にとっては、バブルを知らず失われた20年を経て身に着けた最近 の若い人たちの生活様式を理解しようと思っても無理があるよう です。 最初の出会いのシーンですけど、途中で友達が店に入って来て そちらの相手をしていたら彼女が腹を立てて帰ってしまうのを 追いかけて仲直りするところ、普通は必死に探し回ったけど結 局見つけられずにそれでおしまいになりますよね。 そういう経験自分にもあったようななかったような。人生、運 と縁は微妙なものです。 それにしても終電間際の夜中にトイレットペーパー二束をぶら 下げて歩いている人がいたら普通はドン引きですよね。 テレビなのでようやく全員聞き取れた絹ちゃんのお好み作家さん たち、穂村弘、いしいしんじ、堀江敏幸、柴崎友香、長嶋有、 小山田浩子、今村夏子、小川洋子、多和田葉子、舞城王太郎、 佐藤亜紀・・・・やっぱり一人も知らん [映画館(邦画)] 6点(2021-02-23 18:17:16) |
15. スパイの妻《劇場版》
《ネタバレ》 もう少しサスペンス調の高い映画かと思って いました。夫婦間の気持ちの機微を描くのであればもう少し 各登場人物を丁寧に描いて欲しかった。まあ時間枠の制約も あるのでしょうけど、結果的に蒼井さんの熱演が上滑りして いたような気がします。 細菌部隊のテーマはこれまでもかなり扱われていて、新奇さ はなく、米国は戦後研究結果の提供と交換に関係者を赦免した とか、対ソ冷戦での細菌兵器の必要性から細菌部隊の実態追求 を行わなかったとか、色々言われているので、果たして開戦前 に情報を提供したからといって優作さんの意図した方向に動い たかどうか。 皮肉にも軍部の真珠湾攻撃により米国は参戦したわけで、優作 さんらの行動は無駄だったことになります。 [映画館(邦画)] 6点(2021-01-04 11:06:03) |
16. ラストレター(2020)
《ネタバレ》 ここの評価が高かったのでLove Letterの感動を再び期待したのですが、 Love Letterと比べるとプロットの切れが今一つでした。今の時代に手書 きの手紙をやり取りする必然性の説明は必要ですが、そこに至るお膳立て がかなりまだるっこしかったです(2匹のアフガンハウンドは必要だった のだろうか) 基本的な設定が都合の良いように進められてしまったのが物足りず今一つ 感情移入できませんでした。 乙坂と未咲はなぜ分かれることになったのか、そもそも乙坂少年は未咲 をなぜそこまで好きになったのか(マスク姿に一目惚れだけ?)、未咲に とって阿藤はおびえるような存在だったのに乙坂を捨ててなぜ駆け落ちしたのか、 阿藤が消えた後精神不安定になった未咲を救う為に裕里はなぜ乙坂を探さ なかったのかなどなど、全く説明がなく表面的な事実だけが羅列されてい るだけのようで話が薄っぺらく感じました。 すずちゃんは、これだけのキャストの中に入ると演技が見劣りしてしまう のはしょうがないところですかね。 エンドロールのバックに流れるカエルノウタはエンディングにマッチして いるようには思えず、映画の余韻を台無しにしてしまったのでは。 それにしても木内さんは映画中では元気そうだったのに、これが遺作に なってしまったのは残念です。合掌 [映画館(邦画)] 6点(2020-01-29 21:52:53) |