1. 風が強く吹いている
私は年間映画100本くらいは見ていますが、この映画はまぎれもなく高水準の傑作だと思いましたよ。とにかくランナー達の走る肉体の小気味よさがそのまま映画的快感に直結しているのが見事だと思いました。この新人監督、大森寿美男という名前は覚えておくべきではないでしょうか。箱根駅伝のモブシーンなども、嘘っぽさがなく、そんなに予算をかけた映画とも思えないのですが、うまいなあと感心しました。邦画では個人的に今年のベストです。 [映画館(邦画)] 9点(2009-11-07 13:10:06) |
2. 傷だらけの男たち
《ネタバレ》 最初から犯人は割れているので、謎解きの面白さは犯人探しではなくて、主人公の内面探し。このアイディアは悪くないと思うのだが、いかんせん話しが意味もなく複雑すぎるし、やや無理がありすぎると思った。(チャンドラーのハードボイルド小説などが好きな人にはこういうプロットは好まれるのだろうか?)「オールドボーイ」とも通じるような、主人公の執念深さ・残酷性は、動機はともかくとしても、日本人にはちょっとついていけない部分も多いのではないだろうか?いくら親のかたきといっても、その娘は関係ないでしょう。しかも一緒に暮らした女をあんなふうに残虐に殺すことが出来るかなぁ?ということでトニー・レオンにぜんぜん感情移入はできなかったです。(トニーレオンは役作りにかなり苦しんだらしいけど当然でしょう。) 中国映画や韓国映画にはこういう理解に苦しむメンタリティが時々出てきます。そこが面白いともいえるのですが。たとえば過去の日本軍の行いをいつまでたっても許そうとせず執念深く徹底して糾弾する中韓の国民性と、米軍に原爆を落とされて何十万人も虐殺されてるのに、終戦したとたんにもう赦してしまう日本人の国民性、その断層というのは深くて大きいなあ・・・などと、映画とは関係ない感慨に改めて耽ってしまいました。 [映画館(字幕)] 5点(2007-07-26 18:11:04)(良:1票) |
3. チキン・リトル
ピクサーものに比べるとCGのレベルが低い。もう10年前、最初期の「トイ・ストーリー」などに比べても明らかに劣っている。内容もあまりにも幼児向けでつまらない。これでは駄目です。ディズニーもピクサーとの契約に失敗したことをのちのち後悔することになりそうだなあ. [映画館(吹替)] 3点(2005-12-30 11:23:17) |
4. ホワイト・ライズ
《ネタバレ》 あまり期待はしてなかったが、その分これは意外な拾い物。まあまあ楽しめました。 まずミステリー仕立てのシナリオがとても練られていてよくできていたということ。どこかヒッチコックを思い出させる秀逸なプロットだ。ただし、現実に即して考えるとかなり無理のある強引な展開ではあったが…。「きみたち、どうして携帯電話を使わないの?」とつっこまれたらこの話しは終わりではないか(笑)手紙とか留守番電話というのはとても映画的な小道具だけど、今や誰も手紙を書かないし、(部屋電の)留守電なんていうのももはや誰も使っていない。だからといって携帯やメールですぐに連絡がとれてしまっては映画が成立しない…。そういう苦しい事情がうかがえた。便利すぎる世の中というのはなかなか作家泣かせなものらしい。 この映画も昨今流行の「純愛もの」といっていいのだろうが、この映画における純愛というのは、本人たちはいいけど、周りの人間にとってはかなりハタ迷惑なもので、周囲の善意の人たちを皆ボロボロにするかなりすごいものだった。もう一人のリサさんは自業自得だとしても、ジョシュ君の婚約者、彼女はかわいそう過ぎるな。あ、それから親友のルーク君、彼もひどい被害者だ。なんだ、本人たち以外は全員不幸のどん底じゃないか。これでハッピーエンドといえるのか(笑) 8点(2004-12-30 17:21:01) |
5. コラテラル
《ネタバレ》 ハードボイルドでスタイリッシュな世界はいかにもマイケル・マンの世界で、まあまあ楽しめました。ぼくは、この人の処女作『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』っていう映画にひじょうに感心した記憶があるのですが、この映画もまさにあの世界でしたね。日本のやくざ映画にも通じるような感じでしょうか。こういうの結構好きです。 ただし、この映画、ストーリー展開にはかなり無理があったような気はしました。意味不明な部分も多かった。トム君はいざタクシーに乗ってからクライアントからもらった資料に一生懸命に目を通していたけど、プロなら今夜の仕事の相手5人くらいの顔と居場所くらいは最初からしっかり頭に入れとくべきだったんじゃなかろうか?(笑)資料カバン捨てられたくらいであんなにおろおろしてしまう殺し屋でどうすんの。というかそんな大事な証拠がぎっしり入ったカバンを持ち歩いて2度も奪われるなんて、そんなマヌケなことしてちゃ殺し屋どころかサラリーマンでも通用しないぞ~! それから、まずふつうの殺し屋は、最初に予定が狂った時点であのタクシー運転手は始末して、自分で運転するなり車を乗り換えるなりすると思います。どう考えても。なにゆえにあんなお荷物な人質といっしょにいつまでも仲良く一緒にいなければならないのか?この映画、そういう基本的な設定に無理がありすぎると思いました。そんなこと言ったらミもフタもないかな(笑)ま、一風変わった「バディもの」にしたかった…というコンセプトはわかりますが。 いずれにしてもこの映画、アイディア自体がどっかで見たことあるようないかにも新味に乏しいものだし、展開も最初から最後まで全部読めてしまうんです。この辺、先日の『オールド・ボーイ』みたいな超アナーキーな映画を見たあとじゃいかにも「ぬるすぎ」のような気がしました。 最近はメジャーなハリウッド映画でこれはすごい!と思ったのってほんとうに少ないですね。ちょっと停滞期に来てるのかもしれません。守りに入ってる気がしますね。 5点(2004-11-15 06:18:56) |
6. オールド・ボーイ(2003)
この映画、とてつもない力作であることは認めます。脚本が練りに練られていることも認めます。演出もただならぬうまさがあり、息もつかせぬ迫力と面白さであることも認めます。 しかし…。このラストは勘弁して欲しかった。こういう救いのないのたまんないっす。がっくり来てうつむきながら映画館を出てきちゃいました。この映画、まちがってもデートで見に行ったりしないほうがいいと思います。終ったあと絶対話がはずまないと思うよ。気まずいったらないと思います。 オレがもしプロデューサーだったら、こんな結末OK出さないな。これじゃあまりにも悲惨すぎて人間がいやになっちゃうよ。 いや、ドストエフスキーみたいな人間の深層をえぐる崇高な芸術作品だというんならしょうがないけど、これはそういうものじゃなくエンターテイメントなんだから。 でも、そのへんの娯楽映画のタブーをぶちこわすパワー、これが優等生のハリウッドにはなかなか真似できないアジア映画パワーの源であることもたしかなわけで。執拗なグロテスクな描写なんかも含めて。個人的にはちょっと辛かったけど。まあ好みのことを言ってもしょうがないのかな。 5点(2004-11-07 21:54:20) |
7. イン・ザ・カット
中途半端な映画です。意味深でもったいぶったようなシーンが多い割には、全体はハリウッド・プログラム映画のルーティンなんだよね。客に媚びたような部分をすべて整理して、もっとわがままでインティメートな作りにすれば、もう少し良い映画になったと思う。とくに犯人がわかってからの解決までの展開は、「またか」というようなお決まりのB級パターンでしらけた。たとえば、犯人は最後までハッキリさせなくても良かったのではないか。(「殺人の追憶」みたいに)この映画のテーマは「犯人探し」、ではなくて、主人公の「内面探し」なのだから。それでは客が納得しない?そうは思わない。なにか意欲的なことをやろうとしていても、結局はマーケッティングありきでリスクを避けた保険を掛けてしまう。そういうハリウッド流映画作りではもはや韓国映画にも負けてしまうよ。 5点(2004-10-14 07:59:15) |
8. アイデン&ティティ
ボブ・ディラン、ほんものが出てくれば、もっとよかったと思う。 「ハイ・フィデリティ」にはほんもののブルース・スプリングスティーンが出てきた。 それから、この映画もう30分短くてもいいと思う。だらだら長すぎる印象があるのは編集があまりうまくいってないためか。 5点(2004-08-27 01:18:14) |
9. スパイキッズ3-D:ゲームオーバー
3Dやるならディズニーランドみたいなのにしてくれ。いまどき赤青メガネはないっしょ。 3点(2004-07-19 17:30:33) |
10. シュレック2
ピクサーものと違う点は、登場キャラがぜんぜん可愛くないこと。とくに人間キャラの顔はひどいな。人の顔はCGの一番の泣きどころなんでしょうね。それはしかたないにしても、ロバも猫もみんなちっとも可愛くなくて、これじゃグッズも売れないでしょう。 「どうする、アイフル」のCMみたいな猫のシーンは笑えました。 6点(2004-07-17 16:40:51) |
11. スパイダーマン2
まあ、話しはかったるいけど、CGアクションがめちゃくちゃよくできているのと、これだけの超大作なのに良い意味でのB級っぽさが残ってるのは魅力かな。 今回の敵役タコ人間は、ライミ監督の傑作「ダークマン」をほうふつとさせる陰影に富むキャラクターでよかった。 パート3はいよいよ…なんですけど、相手があれじゃ弱くない? 7点(2004-07-11 19:04:01) |
12. キル・ビル Vol.2
Vol.1は正直言ってギミックだけの駄作だと思っていたけど、このVol.2は傑作ではなかろうか?なんといってもうれしいのはタラちゃんの持ち味である語り口のうまさ、これが全開になって戻ってきていること。このとぼけたC調な会話術はほんとうにタランティーノの持ち味。日本ではコトバの制約があるからそうでもないけど、アメリカの劇場では爆笑に次ぐ爆笑なんではないかな。 アクションも細かいアイディアがいっぱいあって、たとえばトレーラーハウスの死闘では、狭すぎて日本刀を抜けなかったり、便器に顔を突っ込まれたエル・ドライバーがレバーを引き、水位を下げ一息ついたり(笑)こういう小技がVol.1にはいまいちなくて、ひじょうに大味だった。Vol.2は隅々まで考え抜かれていて、洗練された映画でしたね。 全体を通じていえることは、これはタランティーノ版「地獄の黙示録」なんだね。完結してみると、やっぱりこれは映画史に残りうるポテンシャルをもった快作でしたね。 9点(2004-04-27 06:55:27)(良:1票) |
13. S.W.A.T.
この物語は1時間で済む話だと思います。事件が起きて物語が始まるのは映画の中盤になってから。最初の1時間は早送りしても差し支えなし。 それから、アクション・シーンでやたら意味もなくロックやヒップホップの既成曲がだらだら流れるのはどんなもんなんだろう?映画がひじょうに安い感じになるし、緊張感ゼロ。歌詞の入った曲を使う場合は、きちんと物語に即したかたちで使ってほしい。 4点(2004-04-06 07:11:14) |
14. ハリウッド的殺人事件
これは普通につまらない映画だというだけでなく、不可解なほどに不出来な作品です。シナリオも最低だし、編集もめちゃくちゃなので、ほんと単純なつまらないプロットなのに、話が異様にわかりづらいんです。主人公ふたりのラブシーンなど、まったく意味不明で不要なシーンも多すぎ。 後半のアクション&カーチェイスの陳腐さも、あきれます。とにかく長かった。 2点(2004-02-10 20:43:26) |
15. ブラックホーク・ダウン
パールハーバーといい、この映画といい、アメリカのクレイジーぶりはほんと恐ろしいのひとことです。 ソマリア人がまるで殺しても殺しても沸いて来るゴキブリのように描かれていたのがすごかったね。ゴキブリはいくら殺してもべつにかまわないんだよね。ラストの感傷の浸り方などもう完全なギャグ。ブラックユーモアかと思っちゃいました。 まあ呆れました。 1点(2003-11-11 11:38:39)(笑:1票) (良:1票) |
16. パール・ハーバー
太ったな、アレック・ボールドウィン。 皆さんの書いてることにとくにつけたすこともありませんが、日本軍人たちの描き方が、デレデレと脂肪太りしただらしのないアメリカ軍人よりよほどパリッとした感じで描かれているのはよかったんじゃないんでしょうか。司令官たちの顔つきも良かったし。 まあ、やってることはめちゃくちゃで、病院を襲い、民間人を襲いで、これで日本人を鬼みたいなやつらに描いたら、大事な日本マーケットで商売できなくなると思ったため、気を使っただけか。 ラブストーリーの部分はこれ以上ないくらいの陳腐なご都合主義。こんな段取りだけの脚本でよく通ったな。呆れました。 ラストは東京空襲じゃなくていっそ原爆投下にしてほしかったです。原爆落としてドカン!きのこ雲もくもくの上空からベン・アフレックが「ざま見ろジャップ」で、アメリカ右翼の皆様もすっきリ溜飲を下げると。そうしたら、なかなかブラックな感じの良い映画になってたかもしれないね。 0点(2003-11-10 14:38:03)(笑:1票) |
17. M:I-2
ジョン・ウーの世界にトム・クルーズはいらない。 5点(2003-11-03 19:17:10) |
18. キル・ビル Vol.1(日本版)
タランティーノって、語り口の上手さで見せるウェルメイドの職人だと思ってたけど、その得意手を封じ込めて、シナリオもなにもなく徹底的にハチャメチャやっているのが、すごいというか、なんかキレちゃってるというか、わけがわからなかった。 『ジャッキー・ブラウン』なんて、ほんとうに上質な哀感のあるいい映画でしたけど、『キル・ビル』はなあ~。 スプラッターが嫌いな人、悪趣味が嫌いな人、ナンセンスが嫌いな人は見ないほうがいいです。とにかくまあ徹底してますから。 ルーシー・リューのやくざの女親分はなかなかイカしてたです。決闘の時彼女のテーマソングが流れるんですけど、それが梶芽衣子の『修羅の花』なの(笑)梶芽衣子もさぞかし驚いたことでしょう。 ルーシー親分の部下の女子高生栗山千明ちゃんも、光ってましたね。とにかく女性はアジア系に限りますね。この映画はひどい日本語ばかりで満載なんですけど、彼女が喋るところだけは安心して見られました。 日本語といえば日本人同士の会話がなぜかいつもキーキーと不自然に怒鳴りあってるというのが、笑えました。この映画は亡き深作欣二監督に捧げられているのですが、たしかに深作監督の映画って、登場人物が喋るときいつも怒鳴りあってるような印象があって、それがものすごいテンションを生んでましたからね。ああいうの、言葉がわからない向こうの人が見ると、すごく異様に見えて、おもしろいのでしょうね。 それと、この映画、途中でなぜかアニメーションが入るですけど、これが良くできてた!押井守のスタッフが作ったそうですが、このジャパンアニメの部分が一番よくできてたんじゃないかな?(笑)感動しました。 7点(2003-10-26 08:36:28)(良:1票) |
19. 新・仁義なき戦い。(2000)
《ネタバレ》 『キルビル』のカッコイイテーマソング(?)は、もともとこの作品の音楽。 脚本はよく練られているので、権力抗争劇としてはおもしろい。 まったくヤル気がなくリーダーの器量もない岸部一徳が、その無能ぶりのせいで部下たちの死屍累々の山を築くのだが、最後は結局棚からぼたもちで、最高権力者の座を手に入れるという展開は皮肉でおもしろい。実際のサラリーマン社会でもありえそう。 しかし演出はだるく、へたくそ。これではとても深作さんの跡目は継げない。アクションものとしての期待はまったくしないほうがいいです。(基本的にアクションものではない)布袋寅泰の存在感はなかなかなもの。 5点(2003-10-21 08:03:29) |
20. キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
特につまらない映画でもないが、天下のスピルバーグがなにゆえにこの程度の作品を撮らなければいけないのか理解に苦しむ。以前のコッポラみたいに監督料を稼いで借金を返さなければいけないというわけでもなかろうに。・・・もしかしてそうなのかな? 5点(2003-10-18 11:01:44) |