1. 川の底からこんにちは
《ネタバレ》 人間を、美しく描かないところがとても良いです。「きれいごと」ではない、リアルな描写に心を打たれます。「中の下じゃない人なんているんですか?」という主人公の主張は、一見不合理なように見えます。なぜなら、人間がたくさんいれば、上の上から下の下までそろっているというほうが、合理的だからです。でも、現実はそうじゃない。自分から見た「自分」は、どうしたって中の下。それは「しょうがない」こと。だから「がんばる」しかない。みんなそうやって生きているんだ。ここで言う「がんばる」というのは、世間一般で言われるような「がんばる」とはちょっと違います。それほどポジティブな意味を持っていません。だからこそ勇気づけられるんですよね。人に誇れるような「がんばっている」人生なんか送っていない僕らも、「ここで、中の下の人間として生きている」。それだけで、いいんだ。僕だってがんばっているんだ。それしかないんだ、と思わせてくれるからです。すべての人に対する応援歌的な、すてきな映画だと思いました。 [DVD(邦画)] 8点(2015-03-12 08:22:33) |
2. クヒオ大佐
《ネタバレ》 1度目の鑑賞時には、面白いところもあるけど、まあまあかな・・という印象を得たのですが、2度目の鑑賞では、かなり面白く感じました。とにかくリアル。リアリティがハンパないです。「人ってこういうものだよね」というメッセージが、痛いほど伝わってきます。割り切れない終わり方も、やはり「そういうものだよね」と思わされてしまう。そして、満島ひかりの演技が素晴らしいです。また、クヒオの幼少期の描写も、「こういう過去があるからトラウマで詐欺師になったんだよ」という安い設定になっていなくて、むしろクヒオの人格に深みを与えていました。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-01-10 17:11:11) |
3. 舞妓Haaaan!!!
クドカンの脚本には、特に見るところ無し。それでも最初から最後まで入り込んで観れてしまう完成度の高さは、ほとんど水田監督の力量によるものでしょう。思い返してみても、どうってことない話です。でも面白いんだよなあ。とにかく水田監督のすごさをあらためて思い知らされる作品です。あと、やっぱ柴咲コウのうまさ。 [地上波(邦画)] 7点(2013-11-03 01:53:04) |
4. 幸福のスイッチ
《ネタバレ》 タイトルも設定もストーリーも地味ですが、とてもいい映画でした。時々こういう作品に出会えるから、「とりあえず何でも見てみよう作戦」はやめられない! まぎれもない「隠れた名作」のひとつですね。いわゆる「お涙頂戴」のシーンはありませんが、何度も嗚咽が出るほど号泣しました。自分でも「俺、このシーンで、こんなに泣いちゃうの?」って不思議になっちゃうくらい、普通のシーンで涙ボロボロ・・。父親役の沢田研二がすばらしかったです。また、3姉妹の性格の対比や、野村家の3人のキャラなどが、やりすぎていなくて、とてもリアルでした。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-10-07 23:20:32) |
5. ハッピーフライト(2008)
飛行機と空港の「なんてことない話」を、よくここまで面白くできたなー、という印象です。細かい部分で人間がよく描けているので、最初から最後まで入り込んで見れました。小ネタにもたっぷり笑わせてもらい、ちょっと泣けるシーンもあったりして、観終わった後の充実感がありますね。これぞ映画という感じ。無駄なシーンがなくて密度が高いところもポイントです。 [DVD(邦画)] 8点(2013-09-21 21:51:53) |
6. 着信アリ
《ネタバレ》 映像の撮り方は、なかなかいい感じです。テンポもよく、飽きさせません。ただ、前半と後半でまるで違う映画になってしまっていて、うまくまとまっていません。後半のテーマで行くのなら、前半の「ケータイの連鎖」のくだりは余計だし、前半のプロットを活かすのなら、最後まで「ケータイ」でまとめてほしかったですね。「それぞれの空がある」という妹セリフがラストのオチにかけてよく効いていて、後半は後半でよくできていました。柴咲コウはやっぱりうまい。 [地上波(邦画)] 6点(2013-09-07 17:01:09) |
7. 曲がれ!スプーン
《ネタバレ》 自分的には、長澤まさみの代表作と言っても過言ではないですね。長澤が演じたAD「桜井さん」がとっても魅力的でした。長澤まさみは、絶対髪長いほうがかわいいよなあ。ストーリーも面白かったんだけど、ちょっと間延びし過ぎ。もっと短くできたでしょう。伏線の張り方や回収の仕方はよかったと思います。特に犬のくだりはよかった! [DVD(邦画)] 7点(2013-09-03 01:21:35) |
8. 同窓会(2008)
《ネタバレ》 面白かったですよー。ラストの2段オチは、自分は思いっきり騙されました。号泣しちゃいましたよ。高校時代の雪を演じた尾高杏奈が、たまらなくかわいいですね。なんか、青春時代の甘酸っぱさを思い出させてくれました。好きな映画。 [DVD(邦画)] 8点(2013-05-27 01:28:46)(良:1票) |
9. しゃべれども しゃべれども
これは、いい映画だなあ。ひとりひとりの人物がとてもよく描けているので、地味なストーリーでも、引き込まれて見てしまいます。笑いどころ、泣きどころもうまく仕掛けてあって、全体的にセンスがいいです。一度目の鑑賞時より、二度目のほうが、より、感動しました。これからも、何度も見たい映画です。ところで、この映画もそうなんだけど、他の映画やドラマなんかを見ても、俳優の「落語のうまさ」にビックリしちゃうんですが・・・。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-05-22 23:46:04) |
10. ディア・ドクター
よかったです! 西川監督の映画は「蛇イチゴ」「ゆれる」と見てきましたが、本作が一番好きです。なんといっても鶴瓶が演じた伊野治のキャラクターに、心を奪われます。そしてこの映画は「人が生きる」「人が働く」ということの意味を、的確に、それでいて暖かい目線で表現しています。たまたま医者の話だけど、別に医療ドラマではありません。どんな人の、どんな生き方にも照らし合わせて見ることができるでしょう。くどくないラストシーンにもとっても好感が持てます。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-03-14 00:19:14) |
11. 千と千尋の神隠し
1回目の鑑賞時には、「前半はいいんだけど、後半が・・・」という印象でしたが、2回目は、最後まで楽しめました。最後の最後の解決が唐突なので、1回目にはこの印象が強かったんだろうなあ。もののけやポニョやハウルみたいなワケのわからない映画ではなく、しっかりとした、おとぎ話。いい作品だと思います。 [地上波(邦画)] 8点(2013-03-01 21:48:49) |
12. ザ・マジックアワー
導入部が長いのがちょっと難点ですが、デラ富樫がボスに会うあたりからは、かなり笑えていい感じです。後半は泣けるシーンもあり、なかなか見応えがあります。 [DVD(邦画)] 7点(2012-07-03 22:18:39) |
13. 28週後...
物語の展開のさせ方や、カメラワークのかっこよさもさることながら、各登場人物の立場と行動の関係がリアルで、細部に必然性があるところが一番好きです。こういう状況下におかれたら、おそらくこれと同じことが起きるだろうなあ、って真剣に思えちゃう。主人公たちに感情移入しつつも、軍のやり方にも思いっきり共感できるんですよねえ。よくできた映画。 [地上波(吹替)] 8点(2012-02-16 00:56:01) |
14. イキガミ
《ネタバレ》 これは、すごく面白かったです。深いテーマと、丁寧な人物描写、泣ける展開などなど、どの角度から見ても出来がいいです。しかも、いろいろな要素を詰め込んでいる割に、よくまとまっていました。一番感心したのは、説明的にならずに肝心なところを見事に表現していくところ。たとえば、風吹ジュン演じる女性議員がなぜそこまでして議員で居続けたいのか、その理由を、ラスト近くで、本人の言動ではなく、夫の決意表明によって感じさせるシーン。こういうセンスの良い演出が全編にわたって随所にちりばめられていて、映画を観付けていない人やハリウッド大作が好きな人にはわからないだろうなー、という、玄人向けの映画に仕上がっています。 [地上波(邦画)] 8点(2012-01-07 11:51:02) |
15. ハルフウェイ
《ネタバレ》 ストーリーは「なんだそりゃ」ってな感じ。高校生カップルのアホなやりとりを描写しただけのもので、とうとう最後まで何も起こらずに終わります。それでも引き込まれて観てしまうのは、北乃きいの魅力と圧倒的な演技力によるもの。ちょっとドキュメンタリーっぽいリアルを狙った映画って結構たくさんあるけど、ほんとうに成功しているといえるのは、僕の知る限り「誰も知らない」と、この映画ぐらいですね。でも「誰も知らない」は子どもたちを描いたから成功したと言える部分が大きいと思います(実際、是枝監督の「DISTANCE」「ワンダフルライフ」「歩いても歩いても」は、リアルに撮ろうとしたのが裏目に出ている)。そう考えると、北乃きいのすごさがよくわかりますね。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-12-11 14:05:45) |
16. 秋深き
《ネタバレ》 いい映画でした。「愛」の映画。言いたいことは、だいたい目隠シストさんが書いてくださっていました。競馬場で松に壷の事を「そんなパチモンで病気が治るわけ(ない)」と言われた寺ちゃんが、「治るかもしれないじゃないですか!」とは言わずに、「治ったらどうしますのん!」と言ったところでハッとしました。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-12-09 18:10:54) |
17. ハンサム★スーツ
《ネタバレ》 一見、寛子(北川景子)の「中身を見て」発言は、思い上がった女のわがままに見えるんだけど、よくよく考えてみると実はこれは「顔がどうこう」とか、そういう話ではなくて、「人を好きになること」あるいは「人と人とのコミュニケーション」における「不全感」の問題だから、普遍的な欲求であり悩みなんですね。 金を持っている人が「こいつ、金が目当てなんじゃね?」、親切な人が「こいつ、優しくされたいだけなんじゃね?」という疑いを持ってしまうのと同じこと。 「もとえ(大島美幸)の顔をしていても自分に惚れた」というのは、琢郎が自分の中身を見てくれたことの証拠には、実はなっていません。 この映画の一連の出来事は、寛子の不全感を(あくまで個人的に)解消するスイッチになったわけです。そのスイッチを入れることに成功したから、寛子は琢郎の胸に手放しで飛び込んでいけたのです。そう考えると、どんなカップルにも、似たようなことが思い当たるのではないでしょうか? [地上波(邦画)] 8点(2011-12-07 15:02:37) |
18. ニライカナイからの手紙
《ネタバレ》 映像がきれい。そしてちゃんと泣ける。蒼井優もうまい。でもテンポが悪いのと、演出がくどいのと、オチがかなり最初のほうで読めてしまうのが、残念。あと、本当の島民を使ったのか、「ど素人」みたいな人がたくさん出てたのだけど、そこが逆に芝居くさく感じた。芝居が出来ない人に「芝居」させちゃだめでしょ! [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-12-04 00:11:51) |
19. 歓喜の歌
予想外に、すごく面白かったです。細かいギャグのセンスが抜群なのですが「落語的」なものではないので、ここらへんは原作とはまったく違うんだろうなと思いました。何気ない台詞や行動がいちいちおかしくて、笑いっぱなし。そして泣ける。惜しむらくは、「いい人」ばかりの登場人物の中で唯一カウンター役として登場した田中哲司のキャラが薄っぺらかったこと。むしろ彼を丁寧に描けば、さらに厚みのある映画になっていたでしょう。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-12-04 00:01:27) |
20. 空気人形
日本版「ブレードランナー」といったコンセプトですが、テイストはこっちのほうが好みです。テーマにも、より深く突っ込んだ感じ。いかにも日本的な純文学クサさはあるものの、単なる「お芸術映画」になっていないのは、主演のペ・ドゥナが時折見せる本当にうれしそうな笑顔が、心をくすぐるからでしょう。美しい映像、音楽、そして映画全編に流れるゆったりとしたテンポが非常に心地よく、それでいて緊張感もある、不思議な2時間。「涙が流れる一歩手前」の感覚がずっと持続して、胸がしめつけられました。 [DVD(邦画)] 8点(2011-11-23 23:58:08) |