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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ウエスタン 《ネタバレ》 
ジャック・イーラムら三人組がロングコートをヒラヒラさせながら駅にヌッーと現れる最初の瞬間からもう面白さ最高潮でワクワクしてしまいます。やや尺が長い気もしますが(にもかかわらず物語は驚くほど単純だ!)、間の取り方は最高ですし、いずれのシーンも切るわけにはいかないほど素晴らしく、チャールズ・ブロンソンの顔のアップにしても刻まれたシワの一本一本が格好良く見えるほど決まっていますし、ヘンリー・フォンダの悪役ぶりは最高ですし、モートンがフォンダへの犯行を決意する場面などは感動的ですらあるとおもいます。 またこれは主人公の名前がハーモニカというだけあって音が重要であり無音状態の張り詰めた緊張感に到るまで耳をすませて見る映画です。  それにしても終盤にさしかかり男たちがそれぞれ去ってゆく様に、あんなに踊っていた胸がキュンとなってきてセンチメンタルな気分になってしまうのですから堪りません。
[DVD(字幕)] 10点(2010-10-26 18:06:50)
2.  ワイルドバンチ
主人公たちは暴力的で破滅型の無頼漢どもだが、彼らとジョークを飛ばしながらボトルを回し飲みし、「 Let’s go 」の呼びかけに「 Why not? 」と答えてみたくなってしまう。そんな本作は官能的な女が出てくるわけではないのに、マタグラの辺りを意識せずにはいられなくなる〝漢〟の映画だ。
[ビデオ(字幕)] 10点(2008-04-02 18:09:52)
3.  ケス 《ネタバレ》 
本作は私にとって初のローチ作品であり一遍にローチの虜になってしまった記念すべき作品・・・  逃げ場無し八方塞がりの閉塞感がじめじめとした画面から漂っています。ケスはそんな中で少年の唯一の生きる希望や自由、もしくは避難所として気高く描かれているように思えますが、厳しいローチはそのケスをボロ雑巾のようにしてしまうのだから泣けてくる。それでも少年が一心にケスを語るシーンに成長を思い、しっかりとケスを埋葬するシーンで締めくくったことに死の受容という強さを思いローチの温かさを感じます。舞台である60年代頃の英国ではイレブン・プラス(11歳で試験を受け進学コースと職業コースに振り分けられる)があったりと子どもの可能性など蹂躙され早々と将来を決られてしまう辛さがあります。ビリー少年のような境遇の子も何も格別に珍しいわけではないのでしょう。その悲劇的な状況を訴えるように描きながらも時にサッカーシーンのようなユーモアを交え、さらにはケスを失っても少年に前進させたところにローチの強いヒューマニズムが息衝いています。それも決してビリーに同情を誘うような作りになっていない甘さのない真のヒューマニズム。校長室に別の用件で来た子どもが、巻き添えで罰を受けるところなど震えるほどの辛辣さなのですから。  また、本作はヴィットリオ・デ・シーカ監督の「靴みがき」という作品を想起させます。あの作品でも選択肢のない過酷な状況にある少年にケスと同じような存在として〝馬〟が出てくる。またケスは同じくデ・シーカ作の「自転車泥棒」の自転車であり、あるいは「ウンベルトD」の愛犬フライクにも似ています(それぞれの対象を見失った時のあの不安さと言ったらない!)。戦後イタリアの惨状を描いたこれらの作品と同じように厳しい社会背景に生きる弱者を鋭く冷静に見つめ、支えを存在させている共通点。素人俳優の起用といいローチは一連のイタリア・ネオレアリズモに少なからず影響を受けているのでしょうね。 
[ビデオ(字幕)] 10点(2007-06-18 18:18:10)(良:1票)
4.  用心棒 《ネタバレ》 
これぞ娯楽時代劇の傑作!あまりの凄さに幾度も見返してしまいました。駆け引きしつつ困っている弱者を助け、宿場に巣食う悪人どもを一掃してしまうストーリーもさる事ながら、やはり何と言っても三船敏郎でしょう!かっこ良過ぎです。あの物腰、剣さばき、ぶっきらぼうの中にある優しさ、そして後姿!私も似合わないとわかっていながら、何度と肩をいからせてみたことか。もう彼のような俳優は出てこないでしょうね。時代だといえば仕方のない事なのですが、時代劇ファンとしては残念です。・・・ところでもう一人の用心棒、本間先生も良い味出していますね。これは私の想像の域なのですが、本間先生は別にただビビッたりインチキだったから〝昼逃げ〟をしたのではないと思うのです。ちょっと悪党から小遣いをくすねてやろうという気持ちだけで、もともとこんなヤクザの出入りに加勢する気もなけりゃ、まして命を張る気なんて毛頭なかったからなんじゃないでしょうか。だから去り際に振り向いてニンマリと笑顔を見せる。そんな本間先生に一瞬手を上げ挨拶しそのまま御髪を直す三十郎。無言ながらの二人のやりとりが心憎いです。   
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-11-11 17:41:11)(良:2票)
5.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 
「夕陽のガンマン」に続きイーストウッドは今回もおいしい所を持っていかれてしまっています。役得だったのは“The Ugly”のイーライ・ウォラックでキャラクターの面白さはもちろんのこと、彼には最大の見せ場が用意されています。ここで言う見せ場とはウォラックが不戦敗に終わるラストの三すくみのガンファイトシーンではなく(この緊張感も半端ないが)、その前にウォラックがお目当ての墓を目指して疾走するシーンです。どんなに動体視力が良くても、あのスピードでは墓標を識別できるわけないなどというヤボは言いっこなし。あの走りはお宝にたどり着くには必須のダッシュなのだ!
[DVD(字幕)] 9点(2012-06-30 11:47:29)
6.  山猫
最も豪華な、最も優美な、あるいは最も壮大な映画は何か?と問われれば、それは「山猫」であると答えるでしょう。 画面の隅から隅まで、いやおそらく映っていない外側の部分でさえも雅であろうと思えるほどで、その一部たりとも隙のない華やかな世界で落日してゆく貴族をバート・ランカスターが見事に体現しています。本来なら全く興味が湧かない貴族社会の舞踏会の様子が永遠と描かれているのに退屈せず、特に心理描写があるわけでもないのですが、涙をながすランカスターに訳もなく泣かされてしまうのですから、これはもう凄いとしか言い様がありません。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-09-13 18:43:30)
7.  鳥(1963) 《ネタバレ》 
口笛に笑顔で振り向くブロンド美女の視線の先には、男ではなく空を舞っている無数の鳥がいた…。いかにも高慢ちきな女が、これから鳥に襲われるんですよという始まり方からしてもう巧いのですが、最初の方はコメディかと思ってしまいました。つがいの鳥がハンドルを切った方向に仲良く体を倒すのはモロですが、例えば誕生パーティー襲撃シーンなども転んでジタバタする女の子をカモメが突っつく様なんてのは滑稽に見えました。しかし、暖炉から一羽のスズメが現われるや否や間髪入れずにドバッーと大群を投入してくるあたりからは圧倒的です。襲撃後、あの神経質そうな母親が割れた食器を片付ける様子が意味ありげに撮られていますが、次にダン宅に行った際、取っ手だけのコーヒーカップが映った瞬間、もうここは襲撃済みなのだと悟らせるもので見事に緊張感をもって死体まで誘導させられます。そこからはもう畳みかけるようなのですが…クライマックスともいえるティッピー・ヘドレンが実際に襲われるシーンになると、当時の技術では仕方ないのですが、やはりチャチに見えてしまいます…。しかし本作における恐怖は鳴き声や羽音など前触れの時点が最高潮なのであり、それはCG不用の見事さなのです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2010-04-22 18:06:50)(良:2票)
8.  探偵事務所23 くたばれ悪党ども 《ネタバレ》 
鈴木清順監督の作品の中では特に宍戸錠さんが出演しているものが好きで、その中でも本作が一番のお気に入りなのですが、いつだって独特な感覚が冴え渡り唸らされてしまう清順作品としては極めてオーソドックスな色合いです。 しかしながら凡人の筆者としては本作ぐらいの調子の方が単純に楽しめますし、それぞれの場面も木目細かく、冒頭のヤクザの抗争シーンからしてもう面白くて仕方ありません。どこかの物置のCMのごとく車に過剰に溢れるヤクザたちの喧騒が良いですし、錠さんとサリーが歌い踊る場面なんてホントご機嫌で最高です。もちろんそんなダサいところも見せながら一人巧みに立ち回る錠さんがとにかく格好良いですし、どこか寂しげに凛としたヒロインの笹森さんの美しさも光っております。それに脱出方法としてマシンガンで地面に穴を開けてしまうってのは凄いじゃないですか!
[DVD(邦画)] 9点(2009-10-23 18:39:54)
9.  野獣の青春 《ネタバレ》 
時折、不自然に思えるようなショットのつながりがありますが、それが必然なのだと思えてしまうくらい一つ一つの画面に力があります。またジョーと竹下が内密な話しをするのは当然のごとく雨の埠頭のような場所であって、野本が女房を殴るのは当然のごとく砂埃が激しくまう荒野のような場所になっているのが面白いところです。  さらに男と女という生き物も巧く描かれていまして、例えば野本の女房の狡猾な振る舞いもそうですが、三波の治療をするシーンで全く目をそらさずに見る竹下の奥さんが怖い。これは刑事の妻だからではなくヤクザな女だったからなわけですが、表では編物教室なんかやっていて実は怖~いという二面性が凄いです。それに対して男はとことんバカなのです。竹下もバカだったしジョーもバカだったし、極めつけは三波であって、その行動原理は短絡的で言うに及ばずですが、そこには絶対的な決まりというものもちゃんとあって、たとえ親分を撃ち殺すことになっても男なら何であろうと貸しは返さなきゃならんのです。 
[DVD(邦画)] 9点(2009-01-30 18:53:27)
10.  わんぱく旋風 《ネタバレ》 
「わんぱく戦争」と同じ子役で〝わんぱく〟という邦題なので続編かと思いきやそうではないんですね。子ども世界を描いていた前作とは異なり、子どもに振り回される大人を皮肉った作品となっています。前作のような鮮やかな子ども世界を見たかったという意味では裏切られた感じですが、これはこれでまた良いんですよ。夜道を二つのライトが走ってくる。車だ、ぶつかるっ!…と思ったらすり抜ける、並行して走るバイクだったという光のマジック。坊やのためにメロディ口ずさみながらメリーゴーランドを回してあげるシーンも傍目から見たらヤバイおっさんにしか見えない可笑しさ、散々欲しがった花火と爆発注意の貨物が再登場する見事なフィナーレ等々、良いシーンや思わず笑ってしまうシーンがけっこうあります。それに加えてべべール坊やの憎らしい可愛らしさ!彼の台詞や夢想世界は本当に大人が考えているのか疑わしくなるほどユニークです。大人の持ち得ないあの感性の素晴らしさ。大人には子どもの絵が描けないと言いますが、きっと常識に縛られ物事を額面通りに受け取るようになり想像力をどんどん失ってしまっているのでしょう。…と、「わんぱく戦争」に引き続きまたまたノスタルジーに浸りつつ寂しくなったのでした。もちろん映画は元気と楽しさいっぱい!〝口でウンチ?〟は紛れも無い名言だ!(食事中の方ごめんなさい)
[DVD(字幕)] 9点(2008-01-07 18:15:45)
11.  わんぱく戦争 《ネタバレ》 
本作は大人世界を皮肉っているところもあるのですが、政治も戦争も子どもがすれば何と清々しいのでしょう。このパワー、この瑞々しさ、この純粋さ!子どもが驚くほど生き生き描かれていて素晴らしいんですね。お涙頂戴で使われる子ども映画は嫌いですが、このように無邪気な子ども世界を捕えた作品にはいつの間にかすっかり弱くなってしまい、ついつい顔がほころんじゃいます。生徒用トイレで戦争告知を見つけ微笑む素敵な先生の気分です。元気いっぱいのやんちゃな戦争シーンの楽しさ、トラクターで秘密基地が壊されてしまうシーンなどは本当に悲しくなっちゃいますし、可笑しな名言も目白押し! いったい子どもの頃の純粋さやユーモアの切れは何時、何処に置いてきてしまったのだろう。童心に帰りノスタルジーに浸り、そして一抹の寂しさを覚えるのです。
[DVD(字幕)] 9点(2007-12-27 18:26:22)(良:1票)
12.  俺たちに明日はない 《ネタバレ》 
実在した伝説的犯罪者カップル・ボニー&クライドを題材にしたものですが、警察側の方が悪役のように憎々しく演じていることからもかなり美化されているでしょうし、あくまで犯罪劇ではなく二人の奇妙で強い繋がりに焦点を当てた作品なので実話としての伝記的要素は薄いですが一本の虚構の映画としてはなかなか素晴らしいです。 特筆すべきは最初と最後のシーン。冒頭のフェイ・ダナウェイのあのエロティックさ!本作を観るまで私の中ではおばさんのフェイ・ダナウェイのイメージしかなく、こんなにも美しいとは驚きでした(逆に失礼?)。そして鳥篭から救い出しに来たようなクライドとボニーとの出会いが良い。窓から覗いていた裸のダナウェイが急ぎ服を着ながら階段を転げ落ちるようにビーティのもとへ向かう姿は運命を感じさせます。そしてラストの壮絶な絶命シーンの前に二人が見つめ合い一瞬だけ見せる微笑み。ダナウェイの表情は始めのアンニュイなものとは対照的に大事なものを手にしたように生き生きとして充足感に満ちています。全編に流れる当時アメリカの不況社会、ボニー視点で見ればクライドは白馬に乗った王子様であり、彼に不能という設定を加えることで二人の絆を純愛とし神聖なカップルとして描いたファンタジーでもあると思います。
[DVD(字幕)] 9点(2007-10-19 18:33:18)(良:3票)
13.  冒険者たち(1967) 《ネタバレ》 
甘美な香りが漂い近づくと棘が刺さるような夢物語であり、私にとっては失われてしまった甘酸っぱい青春を再び体験できるような珠玉の作品で、時々ふっと観返したくなってしまいます。とにかく何もかもが美しく、海ではしゃぐ三人の姿、海に沈むレティシア、海上の要塞、アラン・ドロンの撃たれた時の動き、一人残されたリノ・ヴァンチュラ…などなど記憶に残る良いシーンが目白押しであり、涙腺が詰まってなければきっと観る度に泣いています。
[ビデオ(字幕)] 9点(2007-10-05 18:26:14)
14.  ふくろうの河
【93分オムニバス版鑑賞】 台詞はほとんどなく映像だけで迫ってきますが、これが叙情的であり寓意に富んでいて見応えがあります。とりわけ三話目の「ふくろうの河」が素晴らしいです。絞首刑が実行されようとする緊張感!男の逃亡の躍動感!とにかく泳ぐ泳ぐ、走る走るで後ろを振り向くことなく止まらず前進し続ける男の姿は凄まじい生命力を感じさせてくれます。それにあのオチの見事さ。これは傑作です。各映画祭で短編賞を受賞したこの三話目が出色ですが、他の二話もなかなか捨てがたい秀作なのです。 一話目…虫の音が聞こえる静寂の森の中、月明かりに照らされ見張りをする兵士、このシチュエーションだけでもうすでに劇的です。それに回想シーンでの白い鳥篭と黒い鳥のメタファー。 二話目…英雄に憧れる子どもの視点から過酷な戦場風景を幻想的に映し出すことによって、逆に悲惨さを痛烈に訴えています。血だらけの兵士をピエロと錯覚させるところなど巧いです。 どの話も台詞が少なくラストに共通のちょっとしたオチが用意されていますが、これが非常に強烈な反戦へのメッセージとなっています。実際に南北戦争に従軍した原作者ビアスの嘆きを見事に映像化しているのではないでしょか。
[DVD(字幕)] 9点(2007-05-21 18:25:35)
15.  赤ひげ 《ネタバレ》 
とにもかくにも、力強く傲慢にならずそして何より包み込むように優しい赤ひげの人物描写が素晴らしい。冒頭で酷い所だという津川の話しを聞かされ、いかつい風貌の赤ひげから偏屈な人物を連想し懐疑的になる。だが、駄々っ子のようにする保本を頭ごなしに叱ったりするのではなく気持ちをちゃんと察する赤ひげの姿を見せられ興味が湧いてくる。この展開により観客と保本の視点は同一化され赤ひげの人柄に保本と共に触れていくことになる。人物観察を始めると様々な面が描出され徐々に好感を持てるようになってくる。お偉いさんの診療シーンで医者として折り紙つきの腕であることが判明し、法外な治療費の請求で弱きを助け強きを挫く彼の人物像が決定付けられる。その上、己の力を過信せず医術の及ばなさを嘆き、行為を下劣だと認め恥じている姿に潔さを感じマイナス面の存在に親近感が湧く。でも決して赤ひげが絶対という事ではなく、嫌気が差した津川も悪い人物として描かれている訳ではない。それが赤ひげが極めて特異な人物であるという事を証明しているようである。だがやはり、貧しい者のために小石川養生所で日夜全力を尽くす、名誉や金に無縁な赤ひげこそ医者の、いや人間の鑑だっ!
[ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-03 17:49:10)
16.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
「用心棒」に引き続き化物級の働きで事件解決してしまう〝何ちゃら三十郎もうすぐ四十郎だがな〟。やはり三船敏郎が素晴らしいというか凄過ぎて圧倒されます。今回はその三十郎と、頭は足りないが真っ直ぐな若侍とのコントラストも室戸半兵衛との一騎討ちも見所ですが、私は奥方との関係が何とも好きですね。まるで正反対の人間である二人が、お互い一目置いていると言いますか認め合っている様子が随所に表われています。奥方は三十郎のような鋭い切れ味はなく抜き身の三十郎を〝よく切れる刀〟と称し鞘に収め最高の刀にし召抱えたいと考える。そして危ないほどにギラギラしている三十郎には奥方のような品格が備わっていず、立派過ぎる奥方の前では居心地が悪く借りてきた猫のようになる。このキャラクターの造形と対比はシンプルですが、対極にあるからこそ互いに持ち得ない魅力に惹かれ合うという普遍的な事を面白おかしくも美しく描いています。奥方たちが合図は赤い椿だ白い椿だと緊張感のかけらも無い呑気な議論をしている間、三十郎がイライラを隠せず仮名をなぞるシーンなど笑えます。しかし何と言っても奥方のため三十郎が踏み台になる場面が秀逸ですね。
[ビデオ(邦画)] 9点(2006-03-13 18:45:22)(良:1票)
17.  真夜中のカーボーイ 《ネタバレ》 
悲しい作品ですね。でも私は嫌いじゃありません。ジョーは都会で成功するという夢をもってやって来ましたが、厳しい現実にぶつかりました。ラッツォも成功とはほど遠く皆から虐げられ、その日暮らしの生活をしていました。それでも二人は出会い親友となる事が出来ました。冷たい都会の中、手に入れるのが難しいのは成功よりも本物の友人かもしれません。二人はそれを手にする事が出来たのです。バスのシーンでラッツォが漏らしてしまい、ジョーが冗談を言って慰めるシーンなどは二人と一緒に泣き笑いをしてしまいそうでした。そしてラストの他人事の乗客たちの冷たい視線に囲まれ、死んでしまったラッツォの肩をしっかりと抱くジョーと、その時に流れた音楽がとても印象的でした。
[DVD(字幕)] 9点(2005-11-11 18:34:13)
18.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
かのシャワー室の惨殺シーンと、モーテルに隣接する小高い位置に古城のようにそびえる不気味な屋敷の外観を別とすれば、後半部分の恐怖は弱いと思います。例えば、探偵を殺害する場面とラストと2回、突如ナイフを片手に襲ってくるわけですが、この唐突さはブルブル震え上がるような純然たる恐怖ではなくビックリドッキリの驚きの方が強いです(とはいえ、探偵が階段を登り刺されるシーンを頭上からとらえているのは好きだ。しかも母親の存在を信じさせるためにノーマンが彼女を運ぶシーンの後は、あの部屋は危険ではなくなるので妹が調べに来る時は階段を登っているシーンは省かれ、階段は完全に恐怖の装置として機能している)。その一方で前半の逃亡部分は恐怖に満ちています。サングラスをかけた警官はこの世で最も怖い存在に見え、後を着けられた日にはもう生きた心地などしませんし、大金を持ち逃げしているかもしれないという状況があるだけで、道端で社長と出くわすという何ということもない状況が心臓バクバクのシーンへと変貌しています。両方のシーンがどこか日常的であるという点も恐怖心をあおいでおり、単純なシチュエーションで見事に恐怖を演出しています。それとこれは音楽の効果が凄いです。・・・それにしても最初の外からカメラが入ってゆくシーンはどうやって撮ったんだ?
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-28 18:27:08)(良:1票)
19.  エル・ドラド(1966) 《ネタバレ》 
格好の良い凄腕ガンマンの敵役・マクロードと対決するのに、利き腕がマヒしたジョン・ウェインとアル中のロバート・ミッチャムと銃が苦手なジェームズ・カーンと老人の頼りない面々。やっぱりヒーロー足る者はハンデを背負ってなきゃ面白くないのですが、同時に絶対にウェインが死んだりしないと思えるような安心感もあり、そのバランスが絶妙です。 教会での銃撃戦もさすがの出来栄えですし(ここで敵の居場所を教えてくれるだけの女も印象的だ)、ラストはウェインと彼女の仲睦まじい姿ではなく、ミッチャムとおそろいで松葉杖をつきながら仲良く並んで歩いているシーンで終わるとこなんぞ最高に洒落ています。  個人的には「リオ・ブラボー」よりこっちの方が好きなのですが、それはひとえにミッチャムが出ているからですね。
[DVD(字幕)] 8点(2010-09-08 18:11:46)
20.  東京流れ者 《ネタバレ》 
冒頭のモノクロームの映像の格好良さ、店がグチャグチャになる大乱闘の過剰さ、射程が10メートルの哲也(渡哲也)がわざわざ目印を作る面白さ、緑のブルゾンが似合う健(二谷英明)のニヒルさ、蝮の(川地民夫)の不気味さ、随所で歌う唄の楽しさ…と見所は尽きません。それにしたって、名残惜しそうに別れて一筆までしたためてくれた親分が〝成り行き〟で裏切ってしまう現実の切なさ。義理を重んじる昔気質の男は流れてゆくしかない世の中の住みづらさよ。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-27 18:12:53)
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