1. インターステラー
《ネタバレ》 数年かけて、十七、八回観た結果、やっと自分の意見がまとまってきたので、ここに記す。 最初の30分のツカミが素晴らしかった。 しかし、ある意味、とても残念無念な映画だった。 砂嵐で農業が出来なくなった。だから、新天地を目指す。 この設定部分だけで、有名な物語を下敷きにしていることは明らかだった。 バカバカしいので、いちいち言いたくないのだが、読者の理解のために(ああ、めんどくさい)明らかにすると、それは「怒りの葡萄」である。 そして、最後の30分(二回目のトリップシーンの後)で、この前提とも言える設定が台無しにされるのだ。 とてもじゃないが、ダークナイト・ライジズの監督が作ったとは思えない。 ところで、現代の映画は大体三パターンの終わり方を用意しておいて、もっともウケのよかったパターンを採用すると聞いている(つまりはマーケティングだ。そして、その結果、映画から作家性が失われた。言ってみれば企画のみがあって、意思がない)。 ここからは俺の想像なのだが、 その結果採用されたのが、このパターンだったに過ぎず、それは監督の意にそぐわないものだったのではなかったか? というのも台無し内容が、主人公クーパーが結局、「神の視座」に立てないまま終わってしまうからである。そして、親子愛のごとき話しにすり替えられてしまうからである(現代人はハッピーエンドでなければ気が済まない。俺はこの事実から、現代人は不都合な真実を直視できるだけの知力胆力を奪い去られた後だと分析している)。なんだ、この庶民ウケ狙いのバカバカしさは? 呆れ果てて物も言えねえわ。 なお、冒頭30分のツカミのうち、もっとも秀逸だったのは、保護者面談でのやりとりだろう。 クーパー:月面着陸は嘘だと? 女教師 :素晴らしい政府のプロパガンダでした。 (そりゃ、娘が保護者面談の直前、父ちゃんにお願いするはずだわ。先生とケンカしないで、と) なぜJTNewsの人はこういう基礎的な部分に誰も反応しないのかね。 ま、北朝鮮や中国の脅威とか、コロナなる疫病が実在するとか、タバコには健康被害があるとか、フツーのヒトは政府のプロパガンダを真に受けてる事実があるからね。(フェイクニュースの最大の出処は国家である。このシンプルな真実は、玉音放送を直に聞いた世代なら全員が、体で知っていた) そして映画の中では更に一歩進んで、プロパガンダだったから信じないようにしましょうねというプロパガンダが実施されている。 いやはや、さすがだわ(二重の意味で)。 [DVD(字幕)] 6点(2024-09-04 05:04:49) |
2. スタンド・バイ・ミー
嫌いな映画。吐き気がするほど。おえっ [DVD(字幕)] 2点(2024-09-04 04:15:29) |
3. トロン:レガシー
ものすごく好きな映画だが、そう何度も観れない。 何度も観れない理由は、重い映画だから。 この映画を面白くないと評した人たちは、この映画を軽い映画だと思った(重さが理解できなかった)のだろう。 ちなみに、トロン(オリジナル)は面白くないと思っている。 常々感じていることだが・・・ JTNewsのレビュワーが見ている部分は、うわっつらに見える。 [DVD(字幕)] 8点(2024-08-30 21:55:05) |
4. ゴジラ-1.0
《ネタバレ》 なんだ、これ。その1.戦争で死ぬのを嫌がる特攻兵。永遠の0以後の流れか。ばかばかしいわあ。思えば、この映画を作っているやつらは俺より若い。 その2.原爆が落ちる前からゴジラ登場。新ゴジラ以降の流れか。 1時間2分12秒。相変わらず、だな。がっかりさせ過ぎ日本映画。 主人公が叫ぶ。 こういうダサい表現ができるのが日本映画だ。格好悪すぎる。 こ~さんを押して助けた典子が、自分は吹き飛ばされたのだと知る主人公。慟哭と言うには、軽すぎる。つまりさ。軽すぎるからこそ! 慟哭場面では、叫ばせないのだ。(一番新しい記憶ではFury Road。だが、どうしようもない場面以外では、そもそも叫ばせたり、泣かせたりしない) 今回も同じ。 主人公に叫ばせる必要など、どこにもない。 出来ることは全部やるんだ! と、艦長。 うん、このセリフはいい。ところが、である。その直後が悪かった。 1時間51分。とうとう打つ手がなくなった時、仲間が続々と集まって来る。相も変わらず日本的美談。(アメリカがこれに影響されたのは滑稽であった) いい加減、そういう妄想やめろよ。疲れるやつ等だ。 このあとが更に悪い。水島上等兵(違う)特攻。いやあ、もりあがらねえ・・・ 古いんだよ。 このあと、トリックがあって、またしても[生きろ]とのメッセージ。 ああ、つくづくダルいわあ。もう、うんざりなんだよ。 (そもそも[生きろ]とのメッセージそれ自体が、現代人に死を恐れさせるように仕組んでいる罠にしか見えねえ(誰も得しないのに)。もはや、ヒトは簡単に死なない。老人がなかなか死ねなくなった結果、トシを取ることにも、生きることにも意味を失っているというのに) (俺は手塚的死生観を持っていて、死と生とは対であり、痛みも死も必要なものだと考える。だが、ヒトは痛みのない社会を求めた。その結果、痛みを消し去った。だが、本当は見えなくしただけ。だって、見たくないんだもん! ガキどもめ) その後、彼女が生きていたとか続くわけだ。 つーか、最初からとことん面白くなかった。しかし、おそらく、この映画はウケたのだろう。児戯がウケるのが国民性だとでも言われているかのようであった。 ま、アレだ。完全にローリングストーンズ化していた。偉大なるワンパターンという点で。。。 [インターネット(邦画)] 2点(2024-05-06 19:02:22)(笑:5票) |
5. オール・ユー・ニード・イズ・キル
「時間を遡って、何度もやり直す」という設定に、どうしようもない面倒くささを感じた。 娯楽性皆無と感じたが、他の人はそうでもなかったよう。 ダルすぎた。退屈だった。苦痛だった。今回は、エミリー・ブラントつながりで発見したんで、とりあえず耐えはしたが・・・ これって、面白いか? [インターネット(字幕)] 3点(2024-05-03 04:41:58) |
6. クワイエット・プレイス 破られた沈黙
(今回は音声でのセリフが多かった。いわゆる商業的に改良したのだろう) 相変わらず、格好良いこと。 JTNewsのレビュワーは、映画に怖さを求めても、痛快さは、全然求めてないってことが分かってきました。 私が「痛快」に感じて高評価しても、JTNewsでは、酷評されている。これは、JTNewsのレビュワーに「痛快」さがわからなかった所為 <- もともと求めていないものには反応できない、って構図だったんじゃ・・・ それはともかく、前提知識が違いすぎることに気付きました。 『ガンバレルーヤのよしこ』って、直前のレビューで初めて知りました。 だいぶ前に「ビッグ・ダディ」って書いている人がいて、当然キックアスの「ビッグ・ダディ」だと思ったが、意味が通じなかったところ、後日、そういう名前の子だくさんが特徴という程度のオッサンがテレビに出ていることを知ったわけです。 逆に麻生久美子を知ったきっかけだって、今村昌平映画に出て、中田秀夫映画に出たからです。つまり、テレビにしか出ない人は知らない。 そういうところが話しが通じない理由なんじゃないか、と・・・ あと、誰もかれもが劇中の話しだけして、作り手に言及しないのはいかがなものか、と。 [インターネット(吹替)] 7点(2024-04-30 23:24:15) |
7. クワイエット・プレイス
上の子(唯一の女の子)、ものすごい賢いなあ。 お母さん役は、ルーパーのヒロイン。 (おそらく、ネタ元は人類SOS。三本足の食肉植物は音に反応して襲ってくる) 最後まで観て。 うっわあ、かっちょええ映画! 他の皆さんの感想に対して。相変わらず、けなさないと気が済まないひとたち。 (念のために、明言しておきたい。設定である、音を出したら襲われる、という部分はダルかった。どうやら、この状況設定に対して賛否両論あるらしいが、俺の意見は「否」である。だが、そんなことを取るに足らない、どうだっていい話しにあっさり吹き飛ばした。 はっきり言って、苦痛に耐えた(これは観客である俺自身のことを言っている)ことがむくわれると言う、これは稀有の映画だ) [インターネット(吹替)] 7点(2024-04-30 22:34:41) |
8. MAMA(2013)
ああ、これはええハナシやったあ。 こういうハナシを求めていたんだ。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-04-26 04:25:50) |
9. 蜜蜂と遠雷
《ネタバレ》 手に入れてから、まともに観るまでに三カ月以上を要した。 断片的に観てはいたのだ。だが、そのたびに通俗的なコンセプトに吐き気を覚えて、三ヵ月を要した。 JTNewsの他の方のレビューもまだ見ていない状態なのだが、点数からして、おそらく理解できなかったのだろう。 おそらく、なにやら高尚なものをお客の側は感じ取ったはずだ。だが、 そんなものは、この映画にはない。 もともとないものを感じることができなかったことが、あたかも客の側の落ち度であるかのような演出。 この映画は、単なる英雄譚に過ぎない。 「エトワール」というドキュメンタリー映画がある。この中盤に、男のダンサーがただ単に練習しているだけの場面がある。 約1分48秒のワンカット(本当にワンカットなのだ!)は、彼らのダンスは意思が結晶したものであることを、説明なしに、理解させる。(註:「エトワール」は俺が大絶賛する映画だ) この映画(蜜蜂と遠雷のこと)がくだらなかった理由だが、どこにも情動がなかったことだ。 更に! この映画は、音楽についてもピアノについても、なんら言及しない。 それは映画の責任ではなく、おそらくは原作の責任だろう。 映画の作り手は頑張っていたと思う。だが、無い袖を振ることは出来ない。 他の方のレビュー、見てみました。他人のレビューにコメントしてはいけないというルールはなかったはずなので、一問一答式で。 【ろにまさ】さん 映画してました? いやあ、まったく。 【チョコレクター】さん 一次予選で落ちた女性で感じの悪い人が一人いた ウルバリン・サムライに出てた福島リラのことだと思います。が、ごめんなさい。私が唯一、血の通った人間を感じたキャラでした。 2024/04/06追記 とにかくアートを感じさせない映画だった。 [DVD(邦画)] 4点(2024-04-06 22:15:15) |
10. 残穢 -住んではいけない部屋-
《ネタバレ》 映画に怖さを求める人が大量にいることがだんだんと分かってきました。 みなさん、間違ってますよ。 この映画は憤るべき映画です。 私は完全に怨霊の側に肩入れして観ました。 作り手は原作者も含め、怨霊を生者に仇為す存在としてのみ描いています。いやいや、完全に間違っとるだろう! 保身のために殺された者の無念をそこまで、ないがしろに出来るとはとんでもないことである。 作り手と、観客の反応との両方に、がっかりしましたね。 [DVD(邦画)] 2点(2024-03-31 01:50:09)(笑:1票) |
11. RED/レッド(2010)
コア・ターゲットは、主役・準主役の役者が、アクション・スターだった時代に、少年時代・青年時代を過ごした人たち。 コンセプトが、あまりにも明解である。 懐かしのバンド再結成映画。 <- あらゆる面で、脳が劣化した観客にもわかるように、ちゃんとセリフでもズバリ説明されている。(そこまでされても、JTNEWSのレビュワーは、ここに反応することができない) トシを取ると、頭を使う映画を観るのがしんどくなる。字幕を読むのさえ、しんどい。複雑な話しは頭に入ってこない。登場人物が多いと、それだけで混乱する。 そういうご年齢になった方々のために、頭を使う要素を、極限までそぎ落としました。そういう映画である。 スゲーぞ! ある意味で芸術的でさえ、ある。 しかも、だ。主要な役者陣は、よく知っている人たち。だから、考える前に、既に知っている。 ここで、個人的な話しを。 昔の映画しか面白くないことに屈辱を感じていたのは、今は昔、もう40年以上も前のことになってしまった。 映画には気持ち良さを求めている。ここで言う気持ち良さとは、痛快感のみを指さない。 悲劇性もまた、場合によっては気持ち良いのである。 最高の褒め言葉は、お耽美。 (しまった、これを言い出すと、話しが散らかり過ぎる) だが、お耽美と呼べるほどに、悲劇を劇的に構成した映画は、ほとんどない。 まあ、それはいいや。 REDの話しに戻ろう。 この映画では、じいさんが活躍している。 うーむ。 わしもこのまま枯れていくのは、ちっと早すぎるんじゃないか、とさえ思えて来る。 そういう意味で、観客に力を与える映画になっている。そして、そういうことをやる映画は、今や稀有の分類である。 (だって、バカな観客どもから面白がられるためには、こっちもバカにならなきゃ! 今の映画の作り手は、そう思ってるのが顕著である。 そしてJTNEWSを見て、しばしば思うのは、話しがちょっと複雑だと、 筋違いなことを言っている人が多い。トロン・レガシーなんか、その典型である。 その正反対の例が隠し砦の三悪人だった。 国の再建というあまりに重い責任を負わされてしまった姫が、それにふさわしいウツワであることが見過ごされている。 「あっぱれ、将に将たるウツワ、大事にせえ」との田所兵衛のセリフがあるのに、それでも観客のほうは全然わかってねえ。 そのわりに、絶賛されている。これが映画としてのパワーの違いか。 と思ったのだが、たぶん違うな。) [DVD(吹替)] 7点(2023-11-08 06:10:21) |
12. 悪霊のはらわた
アルバトロスが見つけてきた佳作。 既に十数回は観ているが、非常によくできている。 邦題が例によって、パクリであるかのような印象を与えるが、そういう脈絡のものではない。 なお、ゴア表現とかそういうものを理解しないので、そういう観点からの評価は出来ない。映画として、非常にこなれている。 2023/10/8追記。 上の人の書いていることが、なんだかものすごくズレている。特にズレているのが、この映画を「ゾンビもの」だと言っている点だ。 この後、初めて気づいたのだが、JTNewsのカテゴリ分けで、この映画は「ゾンビ映画」に分類されている。 JTNewsが見ずにカテゴリ分けする場合は考えられる。 しかし、上の人は見た上で、これを「ゾンビ映画」だと思っている。 ふーむ。どうやったら、これが「ゾンビもの」に見えるんだろうか? [DVD(字幕)] 8点(2023-10-09 02:33:19) |
13. 思い出のマーニー
こういう話しは日常性の中で語られなければならない。 それをファンタジー要素を大量にぶち込んでくれたおかげで、怒りが300倍に増大した。 [DVD(邦画)] 2点(2023-10-08 05:13:22) |
14. 日本沈没(1973)
《ネタバレ》 「なにもせんほうがええ」 フィクサーの老人は自費で学者三人を雇って、日本民族の存続のために今後取り得る方策を策定させた。 冒頭の言葉は、3つ策定されたプランの最後に附された番外である。 老人から、じつは三人の学者が意見の一致を見たのがこの案だったと聞かされる首相。そして涙する。 ここ。 おそらく現代の日本人にはちんぷんかんぷんなのではなかろうか? じつはここは、敗戦と大きく関係がある。 そして、これは誰も語らないし、俺もまたいまだに整理できていない。 つまりさ。本当は戦時中に言われていた通り、一億総玉砕しておいたほうが、スジが通ったんじゃないか。(日本民族は存続していい民族ではないのではないか) これは言ってみれば、共感なのだ。 この感覚は表立って言われなかったが、高度経済成長という見せかけの繁栄を享受しながら、じつは本当はこんなことやっていてはいけない、という感覚をぬぐいきれずにいたのだ。それとは裏腹に、当時は企業戦士とかモーレツサラリーマンとかになることが求められた時代でもあった。(補足:俺は高度経済成長期に子供時代を過ごした) 話しを戻す。この言及があったればこそ、この物語は普遍性を獲得したと思う。 ところが、ここに気付かない現代人からしてみると、地震とか、国家滅亡の危機に際してリーダーはどうあるべきかといった表層的な部分にしか反応できないのであった。 日本沈没とは、戦争そして敗戦の比喩であった。 だが。 今や誰もそんなことは憶えちゃいねえ。 幸福な人たち。 [DVD(邦画)] 7点(2023-08-14 08:33:21)(良:2票) |
15. 天気の子
和製ではあるが、これがアメリカンニューシネマ最新作! この映画が気に入った人は、「老人喰い」を読もう!! (アマゾンで検索してね) [DVD(邦画)] 10点(2023-04-29 05:36:32) |
16. ブタがいた教室
《ネタバレ》 観る前はバカにしていたが、実際観てみると、予想外にもかなり泣かされた映画だった。 冒頭、教頭が言う。鶏じゃダメなんですか? うん。じつにまともな意見だ。 観始めてすぐから主人公の先生が、やたら罪作りなやつに見えて来る。 例えば、台風の日にPちゃんの世話をしにくる子供たち。名前を付けた上、こんなに世話してたら、もはや絶対に喰ったりなんかできないだろうなあ。 小学六年生の議論が続く。これは学園紛争の映画だ。 Pちゃんがいなくなる。見つけた時には捕獲のひと等によって連れ去られようとしていた。いちご白書が脳裏をよぎる。 足にしがみついて阻止しようとする男の子たち。その中にはPちゃんを食べようと言い、ついさっきまでPちゃんがいなくなってよかったと言っていた男の子も交じっていた。うを! ラストにもう一発衝撃的な場面が用意されていた。 食肉センターのひとたちにとっては、子供たちが愛したブタではなく、たんにこれから肉として加工される豚。 衝撃的だった。 せめて肉屋(クラスの中に肉屋の息子がいる)の親爺くらいの人物であってほしかった。 ブタは生き残るもんだと勝手に思い込んでいた。この場面に出くわすまで、どこで反転するんだろうと思っていたくらいだから、この場面には俺自身がうちのめされた。 そして荷台にブタの載ったトラックを追って走る子供たち。うーむ。さよなら、僕の友達。 なるほど、これはいい映画だった。 いい映画に対して評論的なことを言うのは差し控えたいが、撮り方のうまさなのか、26人もいる子供の区別がついたことは、驚嘆。 けっきょく学園紛争の闘士たちは、(ファッションだったやつ9割を除けば)この映画に登場する子供たちと同じで純粋だったのだ。 劇中で「正解はありません」などと小ぎれいなことを先生が言っているが、それはめくらましに過ぎず、正解はあらかじめ決まっていた。 「食べるってことは命を受け継ぐってことなんだ」などといった舐めたセリフ等によって、「命あるものを頂くという意味」を問う「重いテーマ」を持った映画だと誤解した人が多いみたい。 作り手はそんなこと考えてない。元からニュースになったりドキュメンタリーになっていたらしく、おそらく便乗しただけだ。 俺は単純に、悲劇として、かなりの感情移入をもって観た(おそらく甘利花を通して)。 それは、だいたいこんな感じだ。 自分は畜産農家に生まれた。初めて自分がメインで育てた家畜。名前も付けて一所懸命育てた。喜びも悲しみも共にした。でも。 売られちゃった……。 けっきょく、そういう衝撃(純粋で小利口じゃなく初体験だったから、衝撃になった)を登場人物や舞台設定を変えて、現代風に描いた映画だった。 その意味で希望(子供にだけ許される無邪気かつ理想的な希望)を打ち砕かれる映画だったし、歴然と悲劇だった。そして悲劇であるがゆえに! 俺はこの映画をとてもいい映画だと思ったのだ。 うん。じつにいい映画だった。 (売っただけで、自分たちで食べるという当初のゴールは達成しなかったはずだ。クラスの半分が食べたくないと言っているから。つまり食肉に加工してもらって(この場合は加工賃を支払う)戻ってきたわけではない。単に売っただけ。その点において、まさに農家と同じだった。そして売り上げ金はブタの法的所有者だったはずの先生の懐に入ったはずなのだ。これは先生を批判している人の批判の内容が的外れであることを意味する) [DVD(邦画)] 8点(2023-04-23 06:12:24) |
17. 劇場霊
映画とはかくあるべしというお手本のような映画。レジスタンスの映画である。(わかった人がいないようだが) [DVD(邦画)] 10点(2023-04-11 05:45:07) |
18. 書を捨てよ町へ出よう
まともにレビューすると削除されることが分かっているので、婉曲的に表現する。 JTNewsの悪いところのひとつは、舞台で芝居を観たことがない人たちが、映画のレビューをしていることだ。 [映画館(邦画)] 10点(2023-03-28 06:35:04) |
19. 若者のすべて
《ネタバレ》 高校生の時に観たのが最初。 そして、 これほど好きな、というよりはむしろ愛着を感じる映画はない。 邦題はさすが、と言うべきである。 暗さを消し去ることに努力し、更に成功までしてしまった現代人には縁のない映画。 [映画館(字幕)] 10点(2023-03-28 05:33:34) |
20. 細雪(1983)
ひさびさに観ました。まさか、ここまで見どころ満載映画だったとは(絶句)。 ここまで話しに起伏がないにもかかわらず、緊張を持続したまま見させたのは、甘い生活に似ています。 能って独特の緊張をまわりにいる者(たいていは観客)に強いるものなんですが、この映画にもそれがありました。和というものは、本来けっしてみやびなものではなく、一種の殺伐さ、研ぎ澄まされた感覚を言うのだと思いだしました。 見どころのひとつは着物。市川崑きものを語るというメイキングみたいなのがついていたんだけど… なんと制作費の七割が着物代だったと聞いたことがある(メイキングにはなかった。だったら、どこで聞いたんだろ?)。いったいいくら掛かったのか? そりゃ、すさまじいはずだわ。 あと、岸恵子と言えば、私の中では別格中の別格、マレーネ・デートリッヒよりも岸恵子のほうが更に格上なのである。 <- 絶賛するにもほどがあるってレベル。 コーフンし過ぎて乱文になっちゃった。 [DVD(邦画)] 8点(2023-01-22 02:00:33)(良:1票) |