1. 寝ても覚めても
《ネタバレ》 脚本がしっかりしているから、最後まで飽きさせない。そこに、映画的な構図のカットと東出、唐田のしっかりした演技が加わって、突拍子もない設定にちゃんとリアリティーを与えたことで、実感の伴った普遍的な恋愛物語となっている。 また、最後の追走シーンをロングショットで長回ししたり、登場人物の心理をセリフではなく構図や映像で表現したり、濱口監督が過去の名作映画をリスペクトしているのが画面から伝わってくる。北野武のDollsを想起させる携帯電話の投棄シーンが印象的だったのもその一例だ。猫の使い方も上手いし、岡崎の母親のエピソードも、しっかりと朝子の二股の答え合わせになっている。 良平の「水かさが増している」「きったない河やで」のセリフに対して、エゴイスティックな自分の本心を骨の髄まで舐め尽くした朝子がつぶやく「でも、きれい」の一言はみごとなラストシーンだと思う。唐田えりかは体の演技ができるし背中の演技も上手い、ぜひ復活して大成して欲しいと思う。 [インターネット(邦画)] 9点(2023-07-14 21:42:13) |
2. ごっこ
《ネタバレ》 子役の女の子の演技が神懸っていること、ハンドカメラが効果的なこと、ひとつひとつのエピソードがしっかりと描かれていること、ラストに救いがある事を評価します。 [インターネット(邦画)] 9点(2020-05-02 07:03:06) |
3. 桐島、部活やめるってよ
《ネタバレ》 脚本がすごくよく出来ていて、映画でしか表現できないギミックが巧みに使われている。良く出来た映画だと思う。いつ出るかいつ出るかと思わせて結局最後まで一度も登場しない桐島。それでも、それが映画的には正解だと思わせるだけの説得力がやや弱かったよう思う。 [インターネット(邦画)] 8点(2024-05-23 00:48:58) |
4. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 8年ぶりに見た。8年前は映画館だったけど今回ネットで見たものは1部内容が変わっていたように思う。町長が隕石の激突を信じるきっかけになったシーンがカットされている。ここは大事な場所だと思うのでカットしない方が良かった。映画館で見た時には段々慣れてきた人物描画の稚拙さが最後まで気になった。風景は素晴らしいのに残念。何にしても完璧に練りに練り上げられた脚本が素晴らしすぎた。 [インターネット(邦画)] 8点(2024-05-19 20:28:38) |
5. 予告犯
《ネタバレ》 とにかく脚本が素晴らしい。全く飽きることなく最後まで引っ張られてしまった。そしてなによりこの映画には「叫び」がある。ひとりの人間の叫びがどれだけ重いものか、頑張って生きていける人にはわからない、頑張ってもどうしようもない人たちの叫び。「人は誰かのためになるなら動くことが出来るんです」という叫びをエンターテインメントに昇華した傑作。各俳優も自分のオーラを消して役を作り込んでいる。リアルな色調の映像も素晴らしい。 [インターネット(邦画)] 8点(2023-09-26 01:15:17) |
6. クリーピー 偽りの隣人
《ネタバレ》 黒沢清監督の中では一番良いと思った。回路や散歩する侵略者では設定に無理があって、ついていけないものがあるが、この映画は、ある程度リアリティーのある世界でストーリーが展開するので私の好みにハマっていた。 映像、カメラワークが素晴らしいし、役者の演技も素晴らしい。黒沢監督はその役者の最高の演技を引き出すのが実に上手いと思う。特に竹内結子は完璧。ただ、余りにも薬?の効きが良すぎて、そんな薬あるかよ、お前は医者か?薬剤師か?と突っ込みたくなったのと、刑事が一人で行動する→殺されるというベタな展開にマイナス2点です。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-11-09 16:15:59) |
7. 見えない目撃者(2019)
《ネタバレ》 かなり面白い映画。目の見えない人がどれだけ戦えるのかという、盲人VS身体能力の高い健常者のバトルが手に汗握る。真っ暗闇の中では逆に盲人が有利という点をもっと強調させても良かったかも。吉岡の演技は良かったが、真犯人役の演技はイマイチ。それから、ベテランなのに木村刑事はなぜ1人で行動した?「2人1組で行動」は捜査の基本でしょ、殺されに行くようなものってゆうか殺されてるし、他にもいくつかつっこみどころがあるのでマイナス2点。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-07-29 16:32:35) |
8. 人生スイッチ
こういう作品で映像の美しさがどれだけ大切かが良く分かっている監督。音楽もバッチリ。隙のないキャスティングも素晴らしい。脚本が平凡なわりには演出が光っていると思う。 [インターネット(吹替)] 8点(2020-06-09 21:45:45) |
9. 3D彼女 リアルガール
どうしようもないベタな脚本だけどモロ泣けた。中条あやみがこれ程演技ができるとは。セリフ回しや顔芸はばっちり、あと体の演技ができるようになれば、日本の映画界を背負って立てると思う。映像もきれいだしハンドカメラの使い方も上手かった。映画としてのイリュージョンは成功していたと思うが、音楽の使い方がベタ過ぎてマイナス1点。上白石萌歌が上手くて泣けた。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-18 19:09:07) |
10. 沈黙 ーサイレンスー(2016)
《ネタバレ》 約20年前に原作既読です。原作はひたすら重く辛い話ですが、映画化するにあたってエンターテインメントとして上手く作ってあると思いました。脚本や撮影も役者の演技も素晴らしい。さすがマーチン・スコセッシです。但し穴釣りの苦しさと残酷さの描写は原作の方が上でした。ラストのエンドロールのBGMが大自然の音だけだったのは秀逸。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-05-12 21:16:22) |
11. 散歩する侵略者
《ネタバレ》 途中少し中弛みもあるが、きちんとしたテーマ、叫びがある作品。この形でしか表現できないという黒沢監督の強い意志を感じた。ラストで大物俳優が説明的なセリフで映画全体を締めるところは「回路」と同じ。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-01 21:19:05) |
12. 菊とギロチン
《ネタバレ》 とにかく美しい映像で安心して見ていられる。手持ちカメラを多用することで大正時代の動乱の世相を巧みに表現している。最後まで引っ張っていく脚本の力もあると思う。役者もみんな頑張って体を使った演技をしている。なんとも残念なのが実話に基づいた作品であるためオチが付いていない。ラストがなんとも肩透かしでカタルシスが得られなかった。3時間20分の長尺で興行成績が心配になるが、令和の我々を大正時代に連れて行くにはこのぐらいの尺で描かないとちゃちなものしかできなかったと思う。見ていて思ったのが、ヒロインの木竜麻生が素晴らしいということ。口先だけのセリフ回しや小手先の顔面小芝居ではなく、役になりきったスケールの大きな演技で一言一言のセリフが心に刺さった。日本映画を背負って立つ逸材だと思う。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-09-24 18:05:22)(良:1票) |
13. パラサイト 半地下の家族
3年前に映画館で見たときは字幕で見た。今回PCで吹替版を見た。吹替版の方がコメディー色が強くなって、素直に笑える場面が多かった。残酷なシーンの意図はよくわからないが、とにかくも息子である主人公はこの惨劇を通して、父親の尊厳と、人間にとって何が大切なのかに気づきひと皮むけて成長した。息子の成長譚としてきれいにオチがついているので、それなりに評価できる映画だと思う。 [インターネット(吹替)] 7点(2022-10-17 16:45:25) |
14. 怒り
しっかりした脚本と、これでもかという豪華な俳優たち。内容的にも一番好きなタイプの映画です。ラストに救いが感じられたのも良かったです。豪華俳優陣のなかでも宮﨑あおいの背中の演技は断トツでした、途中から音楽がいやに耳につくな~これでもかという同じテーマの繰り返しにうんざりしていたら・・・・・坂本龍一でした。残念。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-04-29 18:45:42) |
15. search サーチ
きれいにオチが決まる。ミスリードも伏線もバッチリのそれなりに楽しめる映画。話のまとまりが良すぎてツクリモノ感が出てしまい、話自体ウソ臭くなってしまったのがちょっと残念。もう少しリアリティーが出せれば良かったと思う。被害者が魅力的でないのでマイナス1点。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-08-02 12:33:18) |
16. グランド・ブダペスト・ホテル
全てのカットが垂直な構図で撮られている。まるで絵画のような構図、シンメトリーの多用が独特の世界を作り上げている。話は倒叙式に語られ、飽きさせない展開は面白い。とくに感動するような話でもないが、心になんとも言えない余韻が残る。これだけ美しい映像を見せられて損はしていないという気がする。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-10-24 22:25:09) |
17. 鈴木家の嘘
ひきこもりや自殺といった重いテーマにコメディー要素の入り混じったどっちつかずの映画。要所要所で入るBGMがかなりダサい。もう少しコメディーに振り切ってくれた方が良かった気がする。なんにしても岸辺一徳、原日出子、木竜麻生といった当代きっての演技力おばけの力がすごすぎた。この3人の演技力でほとんどダレることなく最後まで見ることができてしまった。とくにごく普通の女の子を完璧に演じた木竜は日本映画の至宝だと思う。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-09-24 21:12:56) |
18. 凶悪
脚本がしっかりしていて飽きずに最後まで楽しむことが出来た。カメラも落ち着いた構図でしっかりと撮っていて、画面の色調も素晴らしい。気になったのはピエール瀧の演技、本当に人を殺しそうな怖さが感じられなかった。どこか人の好いチンピラに見えてしまい、次々と人を殺していく狂気や怖さが無かったのが残念。山田孝之とリリーフランキーの演技はツボにはまって良い感じだった。私の一番好きなタイプの映画だけに、もう少し何かカタルシスのようなものが無いといまいちに思えてしまう。オチが弱かったのもカタルシスが得られなかった原因だと思う。 ただ、ジジ・ぶぅをはじめ、村岡希美、吉村実子他、脇を固める俳優陣の演技は素晴らしかった、作品に真に迫るリアリティーを与えていたと思う。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-05-21 22:24:49) |
19. この世界の(さらにいくつもの)片隅に
以前、映画館で「この世界の片隅に」を見たときは衝撃的だったし感動した。しかし「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」になって映画としての叫びというか密度というかスケールが小さくなった。無駄に長くしてしまって平凡な話になってしまった気がする。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-09-29 13:23:10) |
20. 永遠の0
《ネタバレ》 漫画版を読破後に見ました。漫画は大変面白かったので映画の方はきっとイマイチだろうと思って見たけどそれなりに楽しめました。 ラストの終わらせ方が上手かったと思います。漫画だと宮部は爆弾が不発で犬死してしまい、なんとも後味の悪い印象で、それが生き残った者の生をより一層際立たせる効果がありましたが、この映画では宮部の死の直前でぶった切ることでカタルシスを観客に与えることに成功しているように思います。 俳優陣もよい演技だったと思います。とくに、生き残った戦友たちが豪華で演技も申し分ない。ただ私は三浦春馬の演技力がいまいちに思えました。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-09-27 12:34:42) |