1. セロ弾きのゴーシュ(1982)
のどかな田舎の風景にクラシックが重なって、とても気持ちの良い映画でした。ただ背景の水彩画のような繊細さが素晴らしかっただけに、人物のクッキリした色遣いに違和感を感じたり、ゴーシュ役の声優さんの笑い声などがカン高くて純朴さが足りなかったのは残念。同じ宮沢憲治原作なら「注文の多い料理店」という15分位のアニメーションを観た事がありますが、これは本当に全体が一枚の絵画のように美しかったです。とはいえ動物たちの愛らしさにはクスクス笑いがこぼれて、特に子狸なんてほんとに「食べちゃいたい」くらい愛らしかったです。音楽+背景+動物達=8点ということで・・・ 8点(2003-07-16 10:26:54) |
2. 砂の器
公開当時、ハンセン氏病の知識もないほんのガキンチョだった私ですが、画面から受ける圧倒的な迫力と、胸苦しいほどの哀しさに涙しました。子供のくせに加藤嘉さんの大ファンになったのもこの映画を見て以来。生き続けることは、もしかしたら死ぬことよりも苦しいのかもしれない、でも生きているというだけで尊いということが、理屈ではなく感覚として迫ってきたんだと思います。 9点(2003-07-08 21:22:45) |
3. ニュー・シネマ・パラダイス
突然映画が好きで好きでたまらなくなった頃、ちょうどリアルタイムでこの映画に出会い、「はああ~~~~これだから映画は止められない」と芯から思った感動作です。完全版の必要性はいまだによくわかりません。なんでも説明すればいいってもんでもないし。ともかくせつなくて暖かくて愛しい。男の子が火事で大焼けどして動けないアルフレードをずるずる引きずる場面、そして有名なキスシーンのフィルム、思い出すとまた胸がしめつけられます。 9点(2003-07-04 19:09:41) |
4. 告発の行方
最近どうしようもない政治家の、「レイプする人はまだ元気がある。まだ正常じゃないか。」とかいう不愉快極まりない発言が問題になっていますね。あの政治家はこの映画を観た後でも「元気だ」などとほざくのでしょうか。「女が悪い」位のことは言いそうですね。どなたか書いてらしたかもしれませんが、例え目の前に泥酔状態で半裸の女性が踊っていたとしても「レイプ」してはいけないのです。モラルでは無く人間性の問題だと思います。ジュディ・フォスターの熱演に拍手。 7点(2003-06-30 20:02:27) |
5. タイタニック(1997)
主人公のお二人が美しくてドラマティックなのはもちろんですが、まわりの人達の描き方が上手ですね。間もなく沈んでいく三等客室で子ども達を寝かしつけているお母さんの姿とか、救命胴衣を断ってお酒を片手に座っている一等客室の紳士とか、震えている老妻を最後まで守ろうとする夫とか・・・タイタニックで実際にあったであろう数え切れないほどのドラマを彷彿とさせます。キャシー・ベイツにもう少し見せ場がまわってくるのかな~と思っていましたが、案外あっさり終わったことが残念。ちょっと長過ぎるので辛めの点数です。 6点(2003-06-28 23:31:23) |
6. チャーリーズ・エンジェル(2000)
チャーリーズ・エンジェルといえばファラ・フォーセットやケイト・ジャクソン・・そしてシェリル・ラッドという世代の私には「なんだかな~」という印象です。確かに今の方がアクションも数段かっちょいいしお色気もたっぷり。でもエンジェルに必須のはずの「知性」が全く感じられないのが致命的。知性があればこそ、垣間見える色気がより効果的でおバカな男への武器にもなるのに・・・あれだけ惜しげもなくさらされちゃうと興醒め。ファラ・フォーセットのウエットスーツ姿にとどめを刺したチラリズムは過去の遺物なんですね。 5点(2003-06-23 09:25:10) |
7. アメリカン・ビューティー
名作かどうかを語る以前に、自分(女なんだけど)の中のオヤジ度をしっかり確認してしまいました。思春期の娘の父親への過敏な反応にはイライラさせられたし、妻の常軌を逸した行動も理解できない、というか理解しようという気力も萎えてくる。もちろん自分が家族から逃げてることも十分承知なんです。そんな時にあの同級生。性格悪くても魅惑的なんだからしょ~がないやん!とつい納得してしまいました。バラが効果的♪ラストで少し微笑んでいたあの顔。彼に悔いはなかったんでしょうね。 7点(2003-06-19 22:43:44) |
8. モンスターズ・インク
こどもの表情がリアル!それに色使いが良いですね~日本のアニメのような萌黄色とか小豆色とかそういう微妙で繊細な感じはないんだけど、なんというか・・・色も登場人物(モンスターだけど^^)の感情を代弁してるというのか。お話はシンプルに楽しくてせつない。全て正攻法で来るけどちゃちに見せないところは立派。 7点(2003-06-19 22:20:17) |
9. ローマの休日
グレゴリー・ペックは長くアメリカで大根役者と言われていたけど、この映画の記者役はドンピシャはまっていたと思います。他の誰が演じてもここまでせつない映画にはならなかったでしょう。天使のオードリーに迎えられて今ごろどんな会話を交しているのかな(合掌) 10点(2003-06-14 09:14:02)(良:1票) |
10. 浮き雲(1996)
登場人物が見事に笑わない、挨拶しない、お礼さえ言わないの三拍子。妙なところが気になってしまいました。そういう国民性なのか、はたまた監督さんの趣味なのか興味がつきないので、同監督の他の作品もぜひ見てみたいです。女主人公に不運がしっくりなじんだ頃のあの結末。アンニュイ映画のお約束のやりきれなさが残らないのがよかったです。 6点(2003-06-13 20:24:20) |
11. 森の中の淑女たち
おおまかな設定だけはあっても脚本というものは無いんですよね。演技経験も無いご婦人達の会話や動きだけで成り立っている映画といわれても、にわかには信じられないほど完成度が高いことにまず驚かされました。歴史を語るモノクロの写真が随所にはさまれるんだけど、それがなんとも形容し難いせつない気持ちを呼ぶんです。年齢を重ねても「変わらない」ものがいかにたくさんあるか。少女にも悪女にも聖女にも変化するご婦人達の表情、素晴らしいです。 8点(2003-06-11 17:13:44) |
12. マトリックス
あれほど騒がれるのなら観ておこう、とTVで観ました。う~ん(汗)CGのすごさには脱帽です。でもアクションに興味を持てないたちなので、たぶん深い意味がありそうなストーリーを読もうとしてたらどっと疲れました。キアヌは黒づくめの時は「かっちょい~!」けど、素に戻ると「ただの良い人」。こういう無臭の人が今の主流とは知らなかったです。 6点(2003-06-08 09:04:20) |
13. 赤毛のアン/アンの結婚〈TVM〉
やっぱりイヤな予感があたってしまった。いくら招待券をもらったからといって観なければよかった。まったくこの続編の意図するところがわかりません。仕事も恋愛も戦争も中途半端に描いて何を観客に伝えたいのか(怒)・・愛しのアンをひどい目に遭わせるだけの映画です。グリーンゲイブルズは破壊するは、ダイアナをちょっと鼻持ちならない感じの有閑マダムにするは、アンに軍服やら尼僧やら奇妙な格好ばっかりさせて・・・途中で席を立たないだけで精一杯でした。最後に養子に迎えた坊やがあまりに可愛らしかったことに免じて3点。甘い。 3点(2003-06-06 16:39:32) |
14. 未知との遭遇
この世には人智を超えた何かがある、と感じるようになった原点のような映画。スピルバーグの作品では一番好きです。「レミドドソ」の交信では心底ゾクゾク。しかし光りに吸い寄せられていく人達はともかく、残された家族は哀しいぞ。 9点(2003-06-05 19:26:17) |
15. REX 恐竜物語
なぜ大竹しのぶは映画を選ばないのでしょう?それが一番の疑問。角川映画の中にもいいものはあると思う。たぶん。私が知らないだけ・・という希望的観測を込めて+2。 2点(2003-06-05 19:13:37) |
16. 小さな恋のメロディ
金髪の巻き毛、初恋の子のバレエ、ブルーのギンガムチェック、かじりっこしたリンゴ。う~んノスタルジーかもしれませんが、どれもこれも決して大人には手が届かないシャボン玉のようで、できるならば自分もあの場所にいたかったと思わずにいられません。印象的なのは黒髪の男友達。友情より恋を選ばれた時の痛々しい顔、忘れられません。 9点(2003-06-04 21:59:42) |
17. 裏窓(1954)
何回観たかは覚えていませんが、ストーリーがわかっていても危険なところでは観るたびハラハラして手に汗握ってしまいます。妖精みたいに可憐なくせに、最初から最後までジェームス・スチュワートをふりまわすグレース・ケリー。彼女の暴走に胸をかきむしられながら、追いかけて抱きとめることもできないジェームスの苦悩の表情がまたセクシー。もちろん上質のユーモアもたっぷりで、少しも退屈させません。名作です。 10点(2003-06-04 21:45:11) |
18. そして人生はつづく
1990ねんのイラン大地震の後、「友だちのうちはどこ?」を撮った監督が主演の子供たちの安否を確認する旅に出る。その経験を再現したのがホン作なので、映画としてどう評価するべきものなのか迷います。けれどあれだけの大惨事の後も淡々と花に水をやり、サッカーを観るためにテレビのアンテナをたて、冗談を交す。そういった人間模様が新鮮で力強く胸に迫ってきます。 7点(2003-06-04 18:37:23) |
19. スーパーの女
食に関するウンチクは膨大にお持ちで、ご家族は自然食をながらも自分の食べるものには無頓着だったらしい伊丹監督。人生を大切にしてほしかったな・・って脱線しかけましたが、この映画素晴らしいと思います。「マルサ」のようなスケール感や「お葬式」のようなカルトなおもしろが少ないから評価は低いかもしれませが、毎日毎日スーパーに行く主婦にとっては目からうろこの部分や「そうそうそうそう」とうなずく場面たっぷりありました。目線の下げぐあいが伊丹監督ならでは。最初にホームランバッターのイメージを定着させてしまうと、シングルヒットやセーフティバントでは許されないのが人情というところでしょうか。個人的にはたとえ「ふり逃げ」でも最大限面白く凝った逃げ方でセーフにしてしまう伊丹映画は邦画界の財産だったと思うのです。 8点(2003-06-03 09:31:11) |
20. 東京物語
笠智衆の老け役・・どうしても若かったとは思えない・・素晴らしいですね。原節子は今こういうタイプの孤高の美女っていないから、すごく貴重な感じがします。小津映画は時々小劇場で特集組まれるけど、もっと頻繁に観たい!ひとりで観て、ひとりで余韻に浸りたい。感想を誰かと語り合いたくないのが私の中の小津映画です。 9点(2003-06-01 22:53:58) |