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《ネタバレ》 もっとスケベで、過激で、ハードボイルドな原作のルパンを好きな人ほど、毒の抜け切ってしまったこの映画は好きになれないのだろう。しかし天下の大泥棒ルパンにも、物語の背景を考えれば実はこんな爽やかな一面もあった、それでもいいではないかと思う(漫画の原作ファンの人には申し訳ない‥‥)。浮いた話も多いルパンだが、この作品に登場するヒロインはかつて可憐な少女時代に、危機に陥った自分を助けてくれた命の恩人であり、他の作品に良く登場する色恋の相手とはちょっと違う。もっとストレートに言えば、ルパンにとって「肉欲」の対象ではない。物語の背景に肉欲相手のヒロインが登場しない物語である以上、原作の「毒」も抜けてしまって自然なのだ。(この物語で原作そのままのルパンなら不自然極まりない)そんな物語の背景を考えれば、個人的には他の数々の物語と同様、まったく独立した一つのエピソードとして受け入れることができる。ひとつの物語として考えれば、作品としては極めて完成度が高い名作である。銭形の名台詞の後の、「なんと、気持ちの良い連中だろう‥‥」という庭師の爺さんあの言葉が、この映画の全てを象徴していると思う。テーマソング「炎のたからもの」は特に良い。オープニングの旅のバックに流れるテーマ、エンディングの立ち去る旅立ちの背景に流れるテーマ、「旅」を象徴するこの歌が作品に抜群にマッチしている。オープニングとエンディングに同じ「旅」をテーマとした曲を使うと言う手法は「ラピュタ」にも通じているところがあるが、これが始まりには期待感、終わりには何とも言えない淋しさ、寂寥感を感じさせ、余韻を残す。ルパンのアニメシリーズの中では最高傑作であると思う。
【six-coin】さん 8点(2004-12-10 13:29:51)(良:1票)
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