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《ネタバレ》 この映画に対する大方の評価は、「序盤の戦闘シーンはスゴイが、それ以降は見る必要なし」、「リアルな戦闘シーンが撮りたかっただけの映画」といったところだろう。しかし本当にそうなのだろうか?私は、この作品のテーマは、スピルバーグによる、戦争で命を落とした全ての兵士への「レクイエム」だと思っている。「1人の二等兵を帰還させるために8人の兵士が命を懸けて探しに行く」という、誰がどう考えても「理不尽」としか言いようのない任務。しかし、戦争は、それ自体理不尽なものであり、戦場では程度の差こそあれ、全ての兵士は理不尽と思える任務を坦々と遂行していたはず。スピルバーグは「ライアン二等兵を救う」という行為を戦場における数多くの理不尽さの「象徴」的な出来事として描いたのではないだろうか。序盤のリアルな戦闘シーンは単に「これを撮りたいがため」ではなく、戦場が生きるか死ぬかの「修羅場」であることを見せつける手段にすぎない。その「修羅場」の中で文句も言わず忠実に任務を遂行し、「元の世界」へ戻ることを切望しながらも命を落としていった兵士の姿を描くことで、これらの人々へ敬意を示すとともに、その犠牲のもとに現在の世界が成り立っているのだ、ということを語っている作品と捉えられる。トム・ハンクス演じるミラー大尉が死に際に言った「無駄にするな、しっかり生きろ(earn it,earn this)」の言葉は、まるで戦場で死んでいった兵士が平和な世界で生きる我々へ語っているようで心に響くし、又心苦しい思いさえする。スピルバーグの真意は不明だが、この映画を「戦争で亡くなった父へ捧げる」とスピルバーグ自身が語っていることからすると、決して的はずれではないと思うのだが・・。
【STYX21】さん 10点(2003-11-14 00:05:24)(良:9票) (笑:1票)
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