少年H の Tolbie さんのクチコミ・感想

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少年H の Tolbie さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 少年H
製作国
上映時間122分
劇場公開日 2013-08-10
ジャンルドラマ,戦争もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》  お父さんが、クリスチャンで外国人と付き合いがあるためか、随分と進歩的な人だが巧く立ち回る事もできる人。だが、そういう人でも或いはそういう人だからなのか、次第に軍国主義的な世間に飲み込まれていく様や、敬虔な信者だったお母さんもいつの間にか「銃後の守り!」などと叫ぶようになる様が、世間の趨勢の恐ろしさを感じさせる。

 一方、鬼の教官で中学生を本気で殴りつけた男が、終戦後にそんな事忘れてしまったように「質屋をやる」などとヘラヘラしているのを見ると、人というのは、いや、大人というのはいい加減に生きてるものだと思わされる。
 しかし考えてみると多くの他の家族は、お父さんを兵隊にも取られず誰も死ななかったこの家族より、えらく酷い目にあっているわけで、戦後の生きるための変わり身など、仕方のない事なのかもしれない。
 木製部分が焼けただけで商売道具が稼働できた仕立屋と、戦災住宅に入れた家族など幸せの部類に入るような気もしてくる。

 但し、今更「戦争は悲惨です。争いはやめましょう」的な物語を見せられても、もうお腹いっぱい(自分的にはおよそ40年分)である。この少年が、これだけの社会の転換で何にどの様に希望を見出して、自立の道を選んだのか?という部分について、ちょっと判りにくさを感じてしまうのだ。
 例えば、この話を見ると思い出すのだが「瀬戸内少年野球団」の少年少女達のような、熱中する対象・恋い慕う気持ちによる生きる希望のようなものを、感じられたら良かったのかも知れない。

 ところで、ここでもはやり「動物と子供には勝てない」法則にやられてしまった。疎開に行く前の「晩餐」の時と「戦災住宅」での白米を巡る諍いの時の妹の泣きには、妹の兄としては胸を裂く。
Tolbieさん [DVD(邦画)] 7点(2014-10-26 23:44:03)
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