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《ネタバレ》 映像的にはもう文句なしでした。ゴジラの軍艦の破壊具合など見事だし、二艘の艦がギリギリすれ違うところの迫力・緊張感もよかった。だが、クリエイターというのは何か自分のオリジナルを見せたいのか、熱線を吐くときに背びれが飛び出てくるのだが、これがまたイキモノ的じゃなく余計な感じ。
物語は戦中から始まっているけれど肝心のゴジラ上陸が戦後数年たっているため、オリジナルの時間とすごく近く、‐1というより‐0.5くらい。和光の時計台を壊したかったからなのか、職務に殉じる放送局員を描きたかったからなのか知らんが。(初代が壊して怒られた時計台は、今回かろうじて時計部分が残っていて、ちょっと笑う)・・・と書いて調べたら現時計台はすでに昭和7年に完成しているから、話は戦前でも良かったと思う。でも多分、東宝としてはゴジラは核兵器と絡めないといけない縛りがあるんだろうなあ。まあ民間人がゴジラと戦うというのはこの瞬間の時代しかないか。 人間側ドラマは、特攻の生き残りとか戦争孤児を育てるとかありがちではあるが、そのベタさ加減はやはり『三丁目の夕日』的なのだが、やはりかの作のごとく泣かされてしまう。殊に浜辺美波の最後のセリフがいいなぁ。ちなみにこの電報を青年に知らせる時の安藤サクラの芝居はすごく、こういうオバサンいるよなあ、と思わせる。 【追記】 観たばかりの興奮冷めやって、観ていたときの気持ち少し思い出しながら、追記。 大戸島のゴジラ、これも貴重だが、島民の人たちが最初に出会ったゴジラ、伝説のもとになった事件をちょっと見たかった。-1というからには、その辺が描かれるのかとちょっと期待した。 神木くんが大戸島で機関砲を撃たなかった描写は、もうちょっと納得できる理由が見たかった。もっと恐れて逃げ惑う様とか。まあ、あんな生き物を眼の前で見たら、動けないとは思うけどね。 さて、東宝(いや、海外産も含めてか)のゴジラの絶対的アイデンティティである、核兵器のメタファとしてのゴジラとしては、恐らく大戸島の時より成長している、ということなのかと思うが、そのへん判りにくい気がしていた。 さて、これは他のレビュワー様のレビューを見て、思い出したのだが、私も見ているときに民間人でありながらゴジラに立ち向かう人々の顛末を観て、「コレ、指摘されんだろうなあ」と思っていた。私自身はそれほど軍国的な感じもせずに観たが、ここの場面の盛り上がり方が危うい感じは否めない。ただし、最後に民間船の集団が大挙して応援に来るシーンは、なにか既視感があり(『ダンケルク』だったかな?)それでも感動的なシーンだったのを考えると、要は最終的な組み上がりなんだな、思わざるを得ない。例えがわからないかもしれないが、横溝正史が「トリックの斬新さはそれほど重要ではない」と外国ミステリを読んで思い至った、というのと似ているのかも知れない。 イロイロと思うところはあっても、今作は『シン』よりかは、ものすごく王道で真っ当な正統派ゴジラであり、初代と同点をつけるだけの傑作であることは間違いないと考えている。 【Tolbie】さん [映画館(邦画)] 9点(2023-11-07 05:35:42)(良:3票)
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