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《ネタバレ》 新春最初の映画はずっと観たいと思いながら未見だった北野監督の「キッズ・リターン」である。地上波深夜枠、CM入りまくり、画質も悪いという悪環境での鑑賞であったけれども、静かな牽引力にひっぱられ、最後までダレることなく緊張状態のまま観た。この映画のすべての人々に救いがない。「俺たち、もう終わっちゃったのかなあ」「バカヤロー、まだ始まっちゃいねえよ」とうそぶく若い二人にも救いがない。おそらく北野監督の歩んできた人生のなかのほとんどの人々が「救いのない人々」であり、彼はそれを肌で知っているのである。世の中の多くの人たち、殆どの人たちに救いがないという事実、現実をこんなにもあたたかく、残酷に描いた映画が他にあるだろうか。今やアメリカンドリームに毒されたわれわれ日本人につきつけられた挑戦状のようにさえ思える。わたしはこの映画を観て自分もこちらの側に立ちたいと切実に思った。それも一種の幻想といわれればそれまでだけれども。
【はちかつぎひめ】さん [地上波(邦画)] 10点(2008-01-04 14:08:19)
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