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《ネタバレ》 役者の熱演もあり、一見すると良い映画のように錯覚します。が、それは原作/ドラマ版を知らないという条件付きです。原作を知っていると良くもまあこれほど上滑りした酷い映画を作れたものだと逆に感心します。元々この話にとっての日航機事故はジャーナリストとして、新聞制作に携わる者としての姿勢を問うきっかけ、舞台装置に過ぎません。重要なのはその着地点です。原作の主人公は命の重みを問う記事を強引に掲載し、満足して第一線を追われる。着地点は日航機事故でも社内の小競り合いでもなくその先にあるものでした(そこまで踏み込まなければこの話を描く意味はありません)。それらを通じて傷を負った一人の男が再生する物語です。特に改悪がひどいのが家族関係です。主人公の家庭内暴力のせいで歪んでしまった息子、そんな息子を腫れ物のように扱ってしまう主人公。その因縁は息子が成人しても続き、主人公の悔いとなっています。衝立岩に息子が残してくれたハーケンは息子が差し伸べてくれた手(歩み寄り)ということなんですが。映画では早々に息子をニュージーランドに追っ払ってその後ほとんど触れないのでまったく意味のない描写になっていました。同様に母親の売春も友人の件に関しても描くべき核を省いてしまっているので描く意味のないエピソードの羅列になっています。映画化にあたってエピソードの改編は当然です。ですが手に余り意味のないエピソードの羅列にするくらいなら最初からスクープ記事争奪戦だけに絞った方が良かったのでは? サブエピソードを含め、本筋まで上滑りしているのはやはり監督と脚本家に問題があるからでしょう。原作を読むことをお薦めします。
【kirie】さん [地上波(邦画)] 3点(2009-08-21 18:08:51)
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