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《ネタバレ》 本格謎解ミステリー映画という触れ込みだが、結末より重厚で品格のある美術や、苦悩する人間のドラマに注目した方が楽しめるように思う。なぜならこの映画のネタバレに当たる部分は殆どの人が観る前からでも予想がつくようなモノだからだ。難解な謎を作り出してしまうと、もう幻覚で片付けるか宇宙人に頼るしかないことなど誰でも知っている。結末など答え合わせにすぎない。配給会社の宣伝文句に振り回されず、スコセッシの演出した空間で展開する豪華演技派達の熱演を堪能した方がいい。ただ総合的に映画事態の印象が薄いことも否めない。ネタバレについてのパンチが弱いだけでなく、「謎解き」についても今一つだ。失踪した女性、灯台の謎といったトリックやギミックに対するディテイルを主人公の妄想で全て片付けてしまうのは非常にもったいない。テディが人間消失の謎を推理で解き明かすというしっかりした謎解きの展開があればまだ面白くなったのではないか。またテディが島の秘密を完全に解明した上で、しかし解決したこと自体テディの妄想だったというオトシ方の方が驚きも増しそうだ。このテのどんでん返しが売りの映画は、最後に行き着く流れが秀逸でないとオチも「ふーん。」って感じで際立たないのでオチなしでも成り立つぞってくらいの力強さが欲しいものだ。また映画自体の評価にはいれないのだが、この映画に関しては宣伝が非常に悪かったと思う。「この二本の線は平行です。」という視覚的な錯覚についての説明、や「結末は話さないで。」などの鑑賞についての注意。何故やったんだろうか。このような宣伝文句を受けて僕はこの映画が、言われないと分からないようなある意味不可避の錯覚現象を画面に散りばめた作品と勘違い(これが脳の勝手な解釈?)してしまった。脳は人間の都合の良いように勝手に解釈し、今見えているモノは現実と違うかもしれないということを始めに断っているようだが、そのような現象に騙されるのは観客の脳や視覚ではない。騙されるのはディカプリオ演じるダニエルズだ。なぜそこまでハードルを上げてしまったのか。謎である。また上映1分前くらいに本作の前売り券の切れ端を何となく見ていて気づいたが、僕の買った前売り券には「67 IS EDWARD」つまり、67番目はエドワード(テディはエドワードの愛称)と暗号っぽくだがハッキリと明記されていた。なぜバラしているのだろうか。謎は深まるばかりだ。
【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-04-19 05:39:06)(良:1票)
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