1. 変身忍者嵐
石ノ森氏のヒーロー作品はそのすべてが、悲しみや苦悩を背負ったヒーローであり、悲哀に満ちた作品が中心なのですが、この作品はその中でも群を抜いていて、とにかく暗い・・・最後の最後まで救いがない哀しみ満ちた作品だと思います。その悲哀を表現するため、仮面ヒーローでは、表情描写がしにくいためにほとんど主人公は人間体で、『嵐』の姿は、前編通して100コマも無いことは、知る人は知る内容であり、ヒーロー物ではなく、ただ単に、精神葛藤に主軸をおいた時代劇ものとして読むのが正しいような気がします。時代劇における氏の作画能力はズバ抜けており、また、その苦悩描写も私的には物語に重厚さを感じさせ、好きな作品と言えます。唯一最終話は、あきらかに、石森氏のペン入れでないと私は感じ残念に思うところです。 昨年秋田書店より文庫本が発刊されましたので、興味ある人は読んでみてください。 8点(2008-01-21 16:07:31) |