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1.  ジオストーム 《ネタバレ》 
マーケティングの都合がまる解りのロケ地選びに、親子愛・兄弟愛の類の官僚的配置。 ちょっとトレンディな宇宙空間無重力描写に、エメリッヒ風の天変地異スペクタクル。 シネコン映画の必需要素を適所適所に嵌め合わせて1丁上がり的な王道ぶり。 都市を襲う津波の図などは既視感が先に来るくらいの陳腐さだが、香港のビル群ドミノ倒しなどに新味を感じる。  黒幕確保シーンでの、赤と青の明滅などは如何にも政治絡みのカラーリングだが、鮮やかな光のドラマを為している。  シークレット・サービス役のヒロインの凛々しさ、アンディ・ガルシアの貫禄も光る。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2018-01-19 22:49:56)
2.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》 
危険な階段落ちや車両との接触、ミラールームの活用など、様々に工夫を凝らして 見せ場をつくっている。 単に発砲数やアクションの手数をインフレ化するのではなく、 静から動へ切り替わる瞬間に向けてのテンションの高まりが重視されていること(特にメトロでのモブ乗降シーン)や、 一貫して科白がごく短く切り詰めているのがいい。 中盤で標的として狙われ始めるシーンの時系列弄り等はただ混乱を招くだけで紛らわしい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-08-31 00:02:09)
3.  SING/シング 《ネタバレ》 
上手い歌唱はあくまで巧い歌唱。どうも映画として感動させてはくれない。 その「優れた歌唱力」というものを表現するのに劇中の(第三者たる)聴き手の感嘆とか盛況とかのリアクションで説明するのは常套手段だが、 これが過ぎると逆効果になる。ましてや、これはアニメーション。劇中の観客もすべて描き手が創り出したキャラクターであるから、 クライマックスで彼らがもて囃せば囃すほど、自画自賛のサクラに見えてしまうという転倒が起こる。 趣向の違う歌が順繰りに発表されるたびに、公平なテンションで熱狂し続ける観客も大変そうだ。  そして、島田裕巳的「通過儀礼」の観点からしても弱い。 特にゴリラの息子などは音楽と強盗を両立させようとしたが失敗したというだけで、和解ではあっても親離れの描写にはなっていない。  本来なら、それらのパーソナルな思いを込めたステージが展開されれば、観衆や歌の巧拙など関係なく感動させられるはずなのだが、 劇場の再建というドラマも両立させねばならないのだから難しいところだ。  後半でシアターを全壊させてしまう大胆さ。その後の失意のシーンに洗車のギャグで笑いを採り入れるセンスなどがいい。
[映画館(吹替)] 5点(2017-04-22 22:51:14)
4.  ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 《ネタバレ》 
ナタリー・ポートマンの特に横顔を中心としたクロースアップが強調されるが、一本調子の印象。表情芝居に頼り過ぎか。  エイジング処理によるホワイトハウス案内番組の再現シーン、取材インタビュー、狙撃事件後の顛末などが交錯していく構成だが、 彼女の人物像が明瞭に浮かび上がるところまではいっていない。  ナイーヴな側面と、気丈な側面と、そして煙草をふかしながらの強かな表情と。一筋縄ではいかない彼女の多面性が表現されているからでもある。  彼女はこの後、ギリシャの富豪と再婚し、浪費の限りを尽くしたそうな。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2017-03-31 23:57:21)
5.  ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 《ネタバレ》 
収監されるもあっさりザル警備の隙をついて脱出してみせるトム・クルーズ。それはいいのだが、序盤からこうもタスクの難度が低いと その後の展開に不安を抱いてしまう。アナログなりの知略をもう少し披露して欲しいところである。  ハロウィン・パレードの混雑の中、パトリック・ヒューシンガーを見つけ出し追跡するシーンも同様に今一つ盛り上がりきらない。 壁を伝って階上へと追っていくトム・クルーズのアクロバティックなスタントをもっと見せてクライマックスへ向けてのテンションを高めて欲しい というのは酷な望みか。地味なアクションを指向しているのは承知だが。 派手な銃撃戦からは、コビー・スマルダーズとの連携プレーを見せていくわけだが、アップの多すぎが逆効果になっている。  ラスト、一旦は別れた娘が踵を返してトム・クルーズに駆け寄り、抱擁を交わすのだが、このショットも想定通りすぎてあまり巧いと思えない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-11-18 23:54:21)
6.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
『ブラディ・サンデー』や『ユナイテッド93』などに続き、自身の得意とする群衆パニックシーンを冒頭、中盤、クライマックスにそれぞれ 配置し、画面を賑やかす。監視カメラ映像なども駆使しつつ、入り乱れるモブの間に見え隠れしながら行動していく主人公をハンディカメラが追う。 相変わらず、編集の映画だなと思う。 ドラマには時事的ネタを採り入れるなどしてアップデートを試みるものの、さすがにシリーズものの宿命としてのマンネリ感は否めず、 一方でとりあえずの景気付けみたいなラスベガス・カーチェイスの華々しさは作品のテイストから乖離している。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-10-07 21:29:42)
7.  ジャングル・ブック(2016) 《ネタバレ》 
公開が重なっている『ターザン:REBORN』で、ターザンと動物たち(確か、ライオンだったか)が身体をこすりあわせて再会を喜び合うシーンがある。 動物たちの身体言語に準じてのコミュニケーションであり、それを説明する脇役の台詞も入るのだが、そうした補足説明がなくともシーンの意味は 双方の仕草という主に視覚情報から十二分に伝わる。 例えばこの『ジャングル・ブック』で口語をある程度省略したとしても彼らの主たる感情は視覚の優位性を以て表現可能なのではないか。  勿論、一概にどちらが正しいという事ではないし、これが動物を擬人化するディズニー流の一貫したアプローチであり、ミュージカルという形式でもある以上 これはこれで一つのスタイルであろう。  確かに驚異的なリップシンクの技巧によって人語が表現されているのだが、どうしてもキャラクターデザインのリアル志向との違和感は拭えない。  3D仕様ということで、崖上のハチミツ採りや絶壁の登攀や樹上の決斗など、高低差を活かしたアクションは良好。 土石流のシーンの迫力とサスペンスはなかなかである。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-08-22 23:56:37)
8.  シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 《ネタバレ》 
中盤の空港での大乱戦を何と形容したものかと思案していたら、他所のサイトで適切な表現を見つけた。曰く、「単なるバカ騒ぎ」。 フルメンバーに拘らずに不要な常連キャラクターは潔く削り、さらにクライマックスも舞台とキャラを限定したのはいいが、 結局は新規キャラとのプラスマイナス。 オールスターということらしいが、そもそもそれほど有難味を感じるキャストか、という話である。  いわゆるハリウッドスター映画のシステムとはいえ、ドラマパートは当然の如くアップショットの連発、アクションパートも毎度お馴染み エフェクト過多の小刻み編集。相変わらずである。  この一連のコミック映画、一昔以上前の日本アニメのような愛とか正義とか世界の平和とかの所謂「大きな物語」を語るのにうってつけらしい。 程よく紛争情勢や現在的な課題なんかを織り込んでシリアスを気取るが、やはり「単なるバカ騒ぎ」である。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-05-17 00:02:52)
9.  ジャン・ルノワールのトニ 《ネタバレ》 
『列車の到着』に始まり、列車の到着に終わる。 映画の中で語られた一つの事件も、これから幾度も繰り返されるであろう束の間の出来事の一つに過ぎない、と。 着いた駅から流れ出てくる外国人労働者たちの歩み。石切場の勾配、入り江、鉄橋、官能的な葡萄畑の風景、それら南仏の実景に 同時録音と思しき環境音が生々しく響き、そして労働者たちの歌が印象的に流れている。  中景、遠景を中心とした撮影で風土と人間の存在・動きをまるごと捉える。その引きのショットの距離感が絶妙である。 女が入水自殺を図ろうとボートを漕ぎ出す水辺のショット。逃走するトニが猟銃であっけなく射殺されるショット。  それらは対象を突き放すような、それだからこそ凄味と誠実を感じさせるカメラである。
[ビデオ(字幕)] 8点(2015-11-08 06:07:09)
10.  自由への闘い 《ネタバレ》 
屋根伝いの危険なスタントあり、操車場の高架から列車へ飛び乗るスタントあり。 アクションの演出も頑張っているし、空爆シーンは予算の都合らしく音響だけでの表現だが、 それでも十二分に空襲の恐怖感を伝えている。  ルノワールその人を思わせる相貌のチャールズ・ロートンの演説と身振りはヒトラーとは真逆で穏やかで淡々とし、 語る彼の姿よりも、それに聞き入る人々の表情に多くのショットを割いている。 その中で、彼を万感の想いで見つめるモーリン・オハラが一際美しい。  中でもルノワールらしいのが、映画の中盤、彼女とロートンがガラス戸を挟んで見つめるシーンだ。 屋内と屋外の空間処理の巧さもさることながら、彼女への想いをうまく伝えられない彼の気弱でシャイな姿が何ともいじらしい。  その彼が、ラストで彼を引っ立てようとするドイツ兵士の手を毅然と払い、胸を張って校舎を歩み出て行く。 映画前半の臆病を吹っ切った彼がみせる、さりげないが意思的で尊厳に満ちた身振りの数々が感動させる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-11-01 23:55:06)
11.  ジョン・ウィック 《ネタバレ》 
結末部一歩手前を巻頭に持ってくるのも、キアヌ・リーヴスの顔半分に影を落として二面化する照明設計もノワールスタイルの証。 全般に照度を落とした心象情景の中、主として人工の光が彼の相貌を染める。 摩天楼の夜景空撮に稲光、白銀に輝く雨の反射にネオンサインと、光と影を意識してドラマに組み込んでいる。  雨の波止場で決着を付けた彼が画面手前に歩み来ると同時に、その顔面を次第にシルエット化させて死を仄めかす。 そこで冒頭のショットへと回帰するが、瀕死の彼を生に呼び戻すのは亡き妻の声と、彼女を映した携帯端末の光であると。  打撃系と関節系を組み合わせた連続技のアクションを出来うる限り持続的な引きのフィクスショットで撮る。 桟敷部分からの垂直落下を、多人数掛けの銃撃とそのリアクションをワンショットで収める。  そうした意欲的なアクション演出も随所に光る。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-17 22:06:38)
12.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 
言語的で非運動的で簡便性が特徴である携帯電話はやはり映画的な小道具ではない。サスペンスを基調とする映画なら尚更で、 この映画の作り手もそこを理解していて、早々に子どもたちの携帯電話を無効にしてしまうなど、気が利いている。 孤立状態も割とあっさりなのだが。  枝葉や車輌など対象物の合間から、メインの恐竜を部分的に小出しに見せていく手管。昼間の擬態や、夜の闇の中で赤いレーザーサイトの交錯の中に シルエットを浮かび上がらせるといった、立体性を意識したモンスターの見せ方の工夫が楽しい。同じくモブシーンの混乱ぶりとスケールも気合が入っている。 もっと、人間視点の仰角構図で恐竜の迫力を見せて欲しかったが。  ヒロインについては、見せ方次第でもっと魅力を出せたはずなのが勿体無い。 滝の上で身支度して一念発起するシーンは、スカートの裾をたくし上げるとかの衣替えでもっと大胆にギャップを提示して欲しい。 後半、銃を打ぶっ放しタンクトップ姿で疾走する彼女はとてもいいが、逆光のショットなどで不美人に見えてしまうのは撮影側の問題である。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-09-11 00:00:10)
13.  シンデレラ(2015) 《ネタバレ》 
皇子とシンデレラの出会いのシーンは、馬上の二人が緩やかに円を描きながら 言葉を交わし合うショットを切り返しつつ綴られる。  この旋回運動は舞踏会でダンスを踊る二人のシーンに引き継がれることでより 運命性を印象づけるだけでなく、その運動のリズムへのシンクロぶりによって 交際期間をほとんど経ておらずとも二人が相思相愛となることを 視覚的な説得力をもって描出してしまう。  それならば、ラストで皇子が聞きつけるオフ空間からのシンデレラの歌声も 前段で何らかの形で布石を打っておいて欲しいと思う。 例えば、それこそ二人の出会いのシーンで。 そして歌声の記憶が二人を再会させる。  そのくらいの演出は欲しい。 あれでは、ただ単に女性がもう一人いる事を示唆するだけの唄でしかない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-05-09 21:05:46)
14.  シン・シティ 復讐の女神 《ネタバレ》 
終始、悶々としているばかりのジェシカ・アルバ。  その煩悶をタメてタメて、クライマックスに遂に決起するという 感情の高まり、復讐の劇としての任侠映画的カタルシスが欠けている。  延々とメリハリなく愁嘆にくれ続けた挙句、 単にドラマが終盤にきたから行動した、というだけにすぎない。  ワイヤー感まる出しのアクションも非大胆、非アクロバティックだ。   
[映画館(字幕なし「原語」)] 3点(2015-03-24 14:03:03)
15.  ジャージー・ボーイズ 《ネタバレ》 
トランクに無理矢理金庫を押し込んで前輪の浮き上がった車が夜の街を 迷走する。 金の重みに後輪をとられてうまく舵をとれない車は、その後のドラマの暗示でも あろうか。それでも必死にハンドルを駆るジョン・ロイド・ヤングは 上方の光に向かう姿勢で前へと進んでいく。  それはそのままラストの街路で光を見上げる彼らの擬似ストップモーションと 釣り合う形ともなる。  60年代へのオマージュか、厳格なロケーション主義かと思われた監督がさらりと スクリーンプロセスを使う趣向があったり、長身のエリック・バーゲンが カウンター席で斜め後方を振り返るといった特権的な仕草を見せたりと あちらこちらがさりげなく面白い。  「SHERRY」をはじめとする楽曲とそれに合わせた4人の振り付けにももちろん心踊るが、 やはり既成曲の力に寄りかかりすぎの気がしないでもない。 クライマックスも少々くどくはないだろうか。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-10-02 23:04:09)
16.  周遊する蒸気船
アン・シャーリーを連れ戻しに来た男たちを、「甥の嫁は渡さん。」と撃退し、 粗末な身なりの彼女に妹の形見のドレスをプレゼントするウィル・ロジャース。  口の悪い彼に反発していた彼女も、その一件を境にいっぺんに彼を大好きに なってしまう。  彼の右頬にキスし、もらったドレスを大事そうに抱きかかえる彼女の仕草の 何と可憐なことか。  その心変わりを大いに納得させる彼女の素直な瞳が美しい。  絞首刑判決となり護送されるジョン・マクガイアとの別れの際、 駅の丸柱に寄り掛かって悲しむ 彼女の左手の薬指にはめられた指輪をさりげなく映し出すカメラは、 その表情以上に彼女の心情を語る。  偉人の蝋人形を窯にくべていく、といったアナーキーな賑やかさの一方で ヒロインの心情を繊細に演出する細部の気遣いが尚のこと光る。  文句のない傑作だが、ダン・フォードの『ジョン・フォード伝』によると、 就任間もないダリル・ザナックが、すでに完成していた本作の「編集にハサミ を入れてテンポを速め、野放図な所作が見受けられるギャグシーンのあれこれ を切り捨てた」らしい。  確かに映画は展開が早く、グリフィス的救出と大団円後の 後日談などはわずかに2ショットだ。 現在の主流シネコン映画とは真逆の潔く鮮やかな〆具合の現行版も悪くないが、 本来のいわゆる「ディレクターズ・カット版」はどんなものだったのか。 興味はつきない。  「脇道にそれたり、道草を食って筋に関係ない何かに焦点を合せたり、そんな 類のことを軽くやるのが好きだった」(ナナリー・ジョンソン) それがJ・フォード作品の魅力なのだから。   
[DVD(字幕)] 10点(2014-09-06 15:33:49)
17.  条理ある疑いの彼方に 《ネタバレ》 
法廷内に据えられたテレビカメラが、審理の模様を中継している。 米国ならではの光景だ。 被告席に座るダナ・アンドリュースは彼に向けられたカメラを正面からじっと見据える。 彼を追い詰めていくのは、自らが捏造した状況証拠だけでなく、 マスメディアのレンズでもある。 『暗黒街の弾痕』のラストで、ヘンリー・フォンダを捉えるライフルの照準器のように。  映画のラスト、奥のドアへと退出する彼に、カメラのフラッシュが追い討ちをかける。 彼に浴びせられる、その唐突な白光が容赦無い。  予断を煽る新聞のセンセーショナルな大見出しや 儚く灰となる、証拠写真のネガ。  そこにメディアの危うさもまた浮かび上がってくる。 
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2014-01-25 23:56:24)
18.  終戦のエンペラー
本来ならフィクション映画に史実との整合性云々などどうでもいいところだが、 いわゆる映画のリアリティの観点から云うなら、「映画芸術」連載の寺脇・荒井対談 でも指摘されているとおり、事実的に「あり得ない」のオンパレードだろう。 外国人に石を投げる子供にしても、米語を流暢に操る威厳ある軍人にしても、 あるいは皇居での戦闘にしても。  米内光政のエピソードなどは当然、除外するわけだ。不都合だから。 無論「教材」としては話にならない。 NHKスペシャル『日本海軍 400時間の証言』くらい踏まえたらどうか。  映画は自惚れ鏡とはよく言ったもので、本作のような美化された虚構の日本人像 ならば「よく理解している」にすり替わり、「真実である」と持て囃されるわけだ。  朝日・毎日共同広告の有識者(提灯)座談会が誉めそやすのも、 専らそのような観点からだ。リスペクトだとか、公平性だとか。  ラストの会談シーンは、扉を閉めるフェラーズ秘書官(マシュー・フォックス)の 窃視として部分的に処理したこと、それだけで深みのあるシーンとなった。 窃視の視線。それが事実ならぬ真実性を強調するということか。      
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2013-10-29 01:31:03)
19.  ジャンゴ 繋がれざる者 《ネタバレ》 
ロバート・リチャードソンによる、ライトの強弱を極端につけた メリハリのある画面が西部劇によくはまっている。  会食シーンの張りつめた緊張感も、このライティングあってのものと云っていい。  松明の並ぶ夜襲場面の斜面のスケール感や、 バウンティ・ハンター:ジェイミー・フォックスの初仕事となる場面の 崖上からの俯瞰ショット。 または玄関口を見下ろすレオナルド・ディカプリオ邸の広間など、 高低を活かした空間処理が随所でドラマティックな効果をあげている。  ポイントを押さえた高速度撮影ショットのケレン味も、アップとロングの配分も、 作品トータルのドラマツルギーも、ジャンルのルールに忠実すぎるほど忠実であり、 その安定感こそ逆に不満要素かも知れない。  イーストウッド後では、本来タメとなるべきヒーロー&ヒロインの身体的被虐シーンも まるで物足りなく映ってしまう。  逆に、フォックスとクリストフ・ヴァルツが作中で二重の芝居を貫くために ポーカーフェイスを己に課す、その冷静を装う表情と内なる怒りのせめぎ合いが呼び込む 映画のエモーションこそ強烈だ。  上に並べた映画テクニックの巧さより何より、そこが本作の要だ。  あくまでクールな素振りと表情のまま、臨界点を超え 復讐のアクションに突入していく二人の姿に揺さぶられる。 
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2013-03-23 23:19:00)
20.  人生の特等席 《ネタバレ》 
ベネット・ミラー『マネーボール』では裏方に徹する功労者を表わすように、 ブラッド・ピットの像は濃い陰影が強調されていた。  イーストウッド&トム・スターンなら更にロー・キーかと思いきや、 ストーリーの明朗さとロケーションの解放感にあわせて、 ポジティヴな画調が爽やかだ。  暗闇が活かされるのは、 エイミー・アダムスからの電話をそれと知らずに悪態をついてしまう イーストウッドを照らすランプの灯や、夜の漆黒の湖、 忌わしい過去を仄めかす短いフラッシュバック映像くらいである。 その回想の中に一瞬現れる彼の禍々しい形相はやはり 『タイトロープ』からのものだろうか。  スコープサイズを活かした横並びの対話劇。 それを捉える奇を衒わない構図と編集。その堅実な語り口に品がある。  視力の衰退した静のイーストウッドに対し、 ビリヤードにダンスに投打にと、颯爽とした動が 魅力的なエイミー・アダムスが彼の球を打ち返す。  楽しげにグラウンドを駆ける娘と、彼女を眩しそうに見る父親。 そこで緩やかに旋回するカメラと、 静かに流れる音楽によって豊かな情感が流れてくる。  そして、彼女は何の躊躇もなく携帯電話を軽やかに投げ棄てる。  その決断のアクションのシンプルさ・軽快さこそが素晴らしい。 
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2012-12-03 23:52:44)
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