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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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21.  トランジット
この映画、序盤はとにかくつまらんです。主人公一家はどいつもこいつも面倒臭い性格で好きになれないし、強盗団は安っぽくてまったく怖くありません。しかし、いよいよ強盗団が一家に接触すると突如として緊張感が高まります。それと同時に主人公一家に愛着を覚えるようになり、最後には「親父がんばれ!」と力いっぱい応援してしまうのでした。クライマックスで突如ランボー化するお母さん、異常に機転の利く長男などジョエル・シルヴァーならではのやりすぎ感も不思議とアダになっておらず、それどころかどんどんエスカレートしていく展開からはかなりのカタルシスが得られました。。。 カーチェイスや銃撃戦などの見せ場も意外と細かく作りこまれています。田舎道を2台の車が走っているだけという貧相なシチュエーションでありながら、撮影や編集の丁寧な仕事のおかげでスリリングな見せ場を作り上げているのです。この辺りの手慣れた仕事もさすがジョエル・シルヴァーといったところです。。。 この映画、ジョン・キューザックとモーガン・フリーマンが共演した「ザ・スナイパー」という映画とまんま同じ話なのですが、退屈で死ぬかと思った「ザ・スナイパー」と比較すると本作の面白さは際立っています。スタッフの仕事の手際の良さや適材適所のキャスティングなど(長男役の子供はどこで見つけてきた?)、B級アクションに必要な下準備がきちんとできているのです。決して傑作ではないが、観て損のない小品だと思います。 
[DVD(吹替)] 7点(2012-06-20 10:12:54)
22.  2 days トゥー・デイズ
90年代に数えきれないほど製作されたタランティーノフォロワーとしては極めて標準的な出来。悪くはないが、決して良くもないといったところです。本家タランティーノの強みとは、既存の映画作りの枠を無視して自由に物語を組み立てることにあるのですが、本作を含むタランティーノフォロワーは「タランティーノみたいな映画を作る」という点からスタートして自らを枠にハメており、そのことが最大の弱点となっています。。。 「パルプ・フィクション」を研究したと思われる本作の脚本は意外なほど丁寧に練られていて、当初は無関係に思われたエピソードがひとつに収束してゆく様はなかなか楽しめました。しかし良かったのはそこだけ。これまたパルプ・フィクションを意識したと思われる風変わりなキャラクター達を監督が扱いきれておらず、コメディパートではあまり笑えません(訛りのキツイ英語しか話せなかった当時のシャーリーズ・セロンがスウェーデン人役という苦心の果ての設定には笑いましたが)。これこそがタランティーノ症候群の罠であり、無理しておかしなキャラクターなど登場させず、監督の引き出しに合わせたキャラクター作りをやっていればよかったのです。
[DVD(吹替)] 4点(2012-06-07 00:30:07)(良:1票)
23.  ドライブ・アングリー3D
10年前ならロバート・ロドリゲスが撮っていたような闇鍋アクション映画。個人的に好きなジャンルなのですが、本作にはイマイチ乗り切れませんでした。主人公の能力設定がとにかく曖昧なので、アクションに感情が乗らないのです。無敵の強さを見せたかと思えば、意外な場面でピンチに陥る、2時間弱見ていて手に汗握ることが一度もありませんでした。また、復讐劇ならもっとウェットであるべきだし、勧善懲悪ものならもっと爽快であるべきなのですが、本作はどっち付かずになっていることも不完全燃焼の原因です。きちんとしたお膳立てがあれば目を釘づけにするような素晴らしい見せ場が多く、役者も全員ハマっているにも関わらず、脚本や演出の手落ちのために残念な仕上がりとなっています。
[DVD(吹替)] 5点(2012-01-21 20:16:04)(良:1票)
24.  トロン:レガシー 《ネタバレ》 
チャチながら味のある映像、安いながらも独特の雰囲気を醸していた音楽、そんな「トロン」第1作を見た直後に「レガシー」を鑑賞したのですが、その素晴らしいアップグレードぶりには目を見張りました。最先端の映像は美しくてやたらかっこよく、仰々しい音楽は腹にドスンと響きます。とにかく目で驚かせる、これぞスペクタクルだと思いました。前半のハイライトである「ゲーム」の作り込みはハンパではなく、平面だけではなく垂直方向も意識したアクションの連続には大興奮させられました。21世紀に入って突如「トロン」続編の製作が発表された時には「なんで今更『トロン』なの?」と世界中が首をかしげたのですが、この映像を見せられると、「なるほど、これを見せたかったのか」と合点がいきました。ビジュアル的には百点満点の映画だと思います。。。 ただし、お話の方が弱いと感じました。どのキャラクターも薄味で感情移入できないし、タイトルロールである「トロン」の扱いもぞんざいなものです。ビジュアル的にはかっこいいのに、キャラクターとしてまったく掘り下げられていない点が非常に残念でした。心変わりの背景などをもう少し丁寧に描いていれば、見違えるほど良くなったと思うのですが。さらには、観客に世界観を伝え損ねていることも問題です。ポータルがどうのこうのとか、ケビンのディスクがどうのこうのという話はサッパリ意味不明だし、デジタル生命体アイソーの件も、やはりよくわかりませんでした。難解な世界観をうまく観客に飲み込ませていた「マトリックス」という先例があるのですから、もう少し丁寧に脚本を作り込むべきだったと思います。 
[DVD(吹替)] 6点(2011-12-04 09:54:45)(良:1票)
25.  トロン
現在の目で見ても映像はかなり斬新で、視覚的にはかなり満足できる仕上がりです。「史上初のCG大作」と謳われつつもCGが使われているのは15分程度であり、残りは職人による膨大な手作業で作られたという映像には独特の味があって(当時ディズニーの社員だったティム・バートンもアニメーションスタッフとして参加したとか)、なかなか目を飽きさせません。使えるツールが限られている中で、よくぞここまで映像を作り込んだものです。ストーリーもかなり斬新で、現実世界と並行して仮想世界が広がっていたり、プログラムが擬人化されて彼らなりの社会を形成していたりと、その概要は「マトリックス」を大きく先取りしたものとなっています。もっと幼稚な内容を想像していただけに、これだけ硬派な世界観には驚かされました。これでお話が面白ければ…。斬新な着想を一本の映画として成立させ、使えるか使えないかわからない技術で視覚面を引っ張るというプレッシャーの中にあって、監督は一定の成果を挙げているとは思います。これ以上の働きを求めるのは酷かもしれませんが、とはいえ映画が全然面白くないのでは評価できません。抑揚のない演出、ダラダラとしたクライマックス、安直なハッピーエンド、もうちょい何とかならなかったのでしょうか。
[DVD(字幕)] 4点(2011-12-04 09:53:54)
26.  トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン 《ネタバレ》 
↓ムランさんが詳しく書いておられますが、とにかく脚本が支離滅裂。「コンテナを破壊されたからもう飛べない」と言ったオプティマスが、次の場面では空を飛んで登場という展開には腰を抜かしました。本作は万事がこの調子で、筋らしい筋がない上に行き詰ると平気で方向転換、相変わらずドラマと本筋がうまく絡んでおらず、金のかかったプロジェクトでよくぞこんな手抜きの脚本が通ったものだと思いました。上映時間が長い割に時間の使い方もうまくなくて、ジョン・マルコビッチの出演場面は丸々不要な一方で、裏切り前のセンチネル・プライムの描写は少なすぎ。センチネルは本作最大のキーパーソンなのですから、彼が偉大な指導者であったこと、オートボッツ達からは父のように慕われていることを示す描写は必要でした。そして犯罪的に問題なのがシカゴ陥落場面を端折ってしまったことで、「昨夜シカゴが敵の手に落ちました」で済ませてはいかんでしょ。「インデペンデンス・デイ」も「宇宙戦争」もそうでしたが、侵略ものはファーストコンタクトが最大の見せ場。終末を感じさせる圧倒的な敵の登場、本作で言えばディセプティコンズの戦艦がシカゴ上空に飛来する場面こそが作品のアクセントとなるはずだったのに、そこを丸々落としてしまったのではもったいなさすぎます。。。とまぁ問題点の塊のような映画なのですが、それでもこの映画は面白いのです。ロボット達がドンガラガッシャンと大暴れしまくるボリューム満点の2時間半の前では、細かいケチは野暮に感じます。前作まではロボットプロレスの域を出ていなかったこのシリーズも、本作ではついにロボット大戦争に。敵の目を潰し、腕をもぎとり、内臓を引きずり出し、脳天を吹っ飛ばす、「ロボットならレーティングの心配も不要だぜ!」とばかりに悪趣味番長マイケル・ベイがやりたい放題やっています。クライマックスの戦闘ではそんなベイの手腕が光りまくりで、オプティマス登場のタイミング、センチネルの圧倒的な戦力の描写など、必要な演出はバチっバチっと決まってきます。キャメロン直伝という3D技術の扱いも上手いもので、猫も杓子も3Dでガッカリ3Dが氾濫する昨今において、「3Dで見てよかった」と思わせる素晴らしいアトラクションを提供してくれます。映画としてはイマイチな出来なのですが、大スクリーン、大音響で楽しむ3D大作としては破格の作品であったと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2011-08-03 00:20:39)(良:1票)
27.  トリプルX
公開時には「面白いアクション映画」と評価されていた作品ですなのが、これがまったく面白くありません。最大の問題は主人公ザンダーを「気の良い悪党」にしてしまったことで、このために「毒を以て毒を征す」という作品の基本的なコンセプトが死んでしまっています。スパイ版「特攻大作戦」をやるつもりの企画だったのに、ごく普通のアクション大作に終始しているのです。さらには、監督の平凡な手腕も作品の足を引っ張っています。スタントマンによる生身のアクションを見せることが本作の売りのひとつであり、実際、撮影中には死亡者を出しているほどの無茶をして撮られた作品なのですが、完成した作品からはそのような迫力がまったく伝わってきません。これは明らかに監督の見せ方に問題があって、もう少しわかっている監督が撮っていれば、まったく違う迫力の作品になったことと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2011-02-27 21:25:06)(良:1票)
28.  特攻野郎Aチーム THE MOVIE
テレビ版は小学生の頃に日曜洋画劇場でよく見ていましたが、こちらは小市民をいじめる悪党をAチームが懲らしめる一話完結の水戸黄門のような物語。一方、今回の映画版はテレビシリーズでも描かれなかったAチーム結成からはじまり、彼らが地に潜るまでを描くエピソードゼロ的内容となっています。90年代から何度もリメイクが検討されてきた企画だけあってキャラクターはよく作り込まれていて、コング(映画版ではオリジナルに合わせてBAと呼ばれていますが、こちらの呼び名の方がしっくりきます)の飛行機嫌いの原因にまで触れた細かさには感心しました。 しかし、監督による演出がAチームの空気とズレており、なんだか中途半端な仕上がりとなっています。「スモーキンエース」に続いて本作を引き受けたカーナハンはアクションコメディが好きなのでしょうが、この人は根本的にこのジャンルには向いていないように思います。荒唐無稽な場面は多くあるもののどうにも弾けきれず、途中から生真面目な面が出て来てしまうのです。本作における冒頭のアクションはまさに痛快さで、このまま行けば最高のリメイクになるものと期待しました。しかし以後の物語はどんどん真面目になっていき、トム・クルーズやマット・デイモンが出ていても不思議ではない普通のアクション映画に。その一方で荒唐無稽な見せ場が要所要所で挿入されるため映画全体の温度感が掴みづらく、感情がうまく作品に乗っからないまま映画は終わってしまいました。これは、コメディとしての側面をうまくコントロールできなかった監督のセンスに問題があったと思います。 同時に、脚本上もいくつかの欠点が指摘できます。何年も寝かされてきた企画は、多くの監督・脚本家によって練り上げられていくうちに物語が複雑になりすぎる傾向があるのですが、「ミッション・インポッシブル」のような陰謀や裏切り渦巻く本作の物語も、単純明快だった「特攻野郎Aチーム」のリメイクとしては作り込み過ぎです。また、キャラクターものとしての欠点もあります。ハンニバルが作戦を企画・立案し、メンバー達が各自の特技を活かしてそれを実現するのがAチームなのですが、この映画版においては何故かフェイスが作戦を考えています。集団アクションはメンバーの役割分担を明確にすればするほど面白いのに、なぜハンニバルとフェイスのポジションを被らせてしまったのか。これは理解に苦しみました。 
[映画館(吹替)] 6点(2010-08-23 00:49:17)(良:3票)
29.  トゥルーライズ
ここまで中身のない話に空前の予算と最高の技術を投入できるハリウッドの懐の深さには感心します(誉めてます)。何か意味のあることをしようとして、結果的におかしなことになった底抜け超大作は日本にも多々ありますが、企画の段階で「これは頭からっぽにして見る娯楽作です」と決めた上でシャレにならない製作費をポンと与え、手抜きなしにきっちり作り上げることは、他では決してマネ出来ないことでしょう。そういう意味で本作はハリウッド娯楽作の象徴であり、ひとつの頂点と見ることもできます。コメディで笑って、見せ場で目を楽しませて、最後はスッキリと終わる。本当に良い気分で楽しめる娯楽作です。。。他方、アクション映画史においては、アクションスター時代の終焉を決定づけた作品だと見ることができます。本作の主役は怒涛のSFXであり、シュワ氏が担っていたのはその活躍の場を提供する役割でした。筋肉隆々のヒーローが暴れ回ることが第一の見せ場ではなくなり、SFXがついに主役となった分岐点にあたるのが本作です。SFXが見せ場を担うのであれば、ドラマパートは演技のできる役者を使えばいい。本作以降はジーナ・デイビスやニコラス刑事といったオスカー経験者がアクション大作の主演をつとめるようになり、演技は二の次だったアクションスター達の存在感は急速に衰えていきます。マーシャルアーツという代替の難しい特技を持っていたヴァンダムやセガールはその後しばらく全米1位を出せていたものの、筋肉だけが取り柄だったシュワ氏、スタさんの凋落はかなりのものでした。
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-21 21:00:08)(良:2票)
30.  トゥルー・ロマンス
女にモテず、服装もダサいオタクのフリーターが巨乳の金髪に勝手に惚れられるという、イケてない男子なら誰もがしたことのある妄想が繰り広げられます。エロくて、かわいくて、おまけに趣味の話を聞いてくれる彼女なんて最高ではありませんか!家の外で趣味の話をしないことが大人になることなんだなと学ぶ18の春を男はみな経験するわけですが、このクラレンスは趣味と彼女を両立させるという奇跡を成し遂げます。うらやましい!美人にモテて気が大きくなったクラレンスはバイオレンス一直線に走りますが、これまた学校のヤンキーにビクビク脅えつつ、「こいつらを全員俺の鉄拳で倒し、校内に平和を取り戻してやる」という文科系男子のバイオレントな妄想が素直に実写化されています。ド素人のクラレンスがマフィアや警察を敵に回し、ハリウッドの大物プロデューサー(モデルはジョエル・シルバー?)相手に大きな取引を成功させる展開はうまく行きすぎですが、タランティーノのバイオレントな妄想の実写化であり、オタク青年のファンタジーとして見ると、これは非常に楽しめます。。。「レザボア・ドッグス」で注目されたばかりでまだ「パルプ・フィクション」も世に出ていない時期に製作されながら、意味のない会話、B級趣味、度の過ぎたバイオレンス等、本作はタランティーノ作品の特徴を驚くほどよく押さえています。すでに売れっ子監督だったスコットが、昨日今日注目されたばかりの若手クリエイターの個性を殺すことなく、よくぞここまで「タランティーノらしい」映画を作ったものです。同時期に製作され、一方こちらはオリバー・ストーンが好き勝手にいじり倒してタランティーノを激怒させた「ナチュラル・ボーン・キラーズ」とは対照的です(「ナチュラル~」の後、親友のロバート・ロドリゲスを除いてタラは自分の脚本を他人に監督させなくなった)。トニー・スコットは見せ場だけの大味な映画を作る監督だと思われがちですが、本作を見ると企画の良さを的確に理解し、従来の自分のスタイルにこだわることなく企画本来の良さを活かす工夫のできる、器用で謙虚な監督という印象に変わります。
[DVD(吹替)] 8点(2009-08-14 17:41:57)(笑:1票) (良:1票)
31.  ドミノ(2005) 《ネタバレ》 
ここ10年のトニー・スコットは、「スパイゲーム」や「デジャヴ」など並の監督では手出しできないような困難な企画を器用に作り上げており、リドリー以上にその手腕には注目しているのですが、ここ最近で唯一のハズレ映画がこれでした。大して難しい企画ではなく、普通に撮ってれば面白い映画になっていたのに、どうしてこんなことになってしまったのかと。前作「マイ・ボディガード」(ヘタレなタイトルからは想像もつかない残酷バイオレンスの傑作)で効果を発揮したチラチラ映像を全編でやってしまい、まったく落ち付かないビジュアル。ドミノの生い立ちなどではその効果を感じたものの、全編に渡ってこれはさすがにやりすぎでしょう。また、話を複雑にしすぎていることも問題でした。この映画の核はあくまでドミノ・ハーヴェイという実在の人物であり、彼女の数奇な生き様を堪能することがもっとも大事なことのはず。にも関わらず、タランティーノも呆れるような複雑な犯罪を後半に持ってきたことから、見ている私達の集中力はドミノから犯罪へとシフトすることを余儀なくされます。これにより、せっかく面白かったドミノと仲間たちの物語が中断される形となってしまいました。ラストの銃撃戦も、相変わらずのチラチラ映像のために燃えるような大アクションとなっていません。スコットの手腕があれば余裕でかっこいい銃撃戦を撮れるのに、必要とされていない工夫をしてしまったことが完全に裏目に出ています。良い題材に、良い役者(ミッキー・ロークの最高ぶり!)を得ながら、要らない工夫のために映画をつまらなくしてしまった珍しいケースだと言えます。。。なお、DVDに収録されている眞鍋かをりによる吹き替えはよく出来ていました。ここ数年のユニバーサルはよくタレントを吹き替えに起用し、その大半は恐ろしくダメな仕上がりなのですが(DAIGOによる「ウォンテッド」には倒れそうになりました)、これだけは例外。決してうまくはないものの、その不安定さがお嬢様育ちの賞金稼ぎというキャラクターと偶然にも噛み合っており、作品の意図と一致しているのです。彼女が汚い言葉を吐く時の無理しているような感じなど、完成されたプロの声優では出せない妙な味が出ています。キーラ・ナイトレイのルックスと眞鍋かをりの声質にも不思議な統一感がありました。
[DVD(吹替)] 5点(2009-08-14 11:42:07)
32.  逃亡者(1993) 《ネタバレ》 
バリバリの娯楽アクションでありながらオスカー作品賞ノミネートという快挙を成し遂げた作品だけあって、面白さはズバ抜けています。この栄誉、公開当時はアンドリュー・デイビス監督の手柄とされていましたが、本作によりAクラス入りして後に撮った「チェーン・リアクション」「ダイヤルM」を見ると、やはりこれは実力以上の作品だったようです。真の功労者は、「ダイハード」でもジョン・マクティアナンに実力以上の仕事をさせた脚本家のジェブ・スチュワートでしょうか。「ダイハード」同様、本作も作りの精巧さが光っています。派手なアクションはあるもののご都合主義のウルトラCはなく、すべての行動が理にかなっているのです。またジェラード保安官の作り込みが素晴らしく(オリジナルのテレビシリーズでは感情移入しがたい人物だった)、「俺は無実だ」と言うキンブルに対し「知ったことか」と切り返す様は最高にかっこよく、また「ヘリを飛ばして、パトカーを2台よこせ。3キロ先まで封鎖だ」などと恐ろしく的確に指示を出す様は本物よりもプロっぽいわけです。キンブルを追う公権力の立場にいながら真実の究明についてフラットであり、キンブルの冤罪の可能性が高くなると、柔軟にその姿勢を変えるあたりも好印象でした。この役に巡り合えたトミー・リーは幸運だったと言えます。…と、すぐれた作品であることを前提としつつ難を言えば、前半のハイテンションな逃亡劇と比較して、後半の謎解きに入ると途端に作品の勢いが衰えることでしょうか。後半部分も通常の作品と比較するとそれなりのレベルを保っているものの、前半の圧倒的な面白さとの落差でどうしても見劣りしてしまいます。また、キーパーソンであるはずのニコルズ医師の存在感が驚くほど薄く(すべての黒幕なのに、特に印象に残らない素晴らしさ)、彼をより際立たせれば、ドンデンの衝撃度がより増したはずです。
[DVD(吹替)] 7点(2009-07-30 20:25:02)
33.  トランスフォーマー/リベンジ 《ネタバレ》 
自分は前作を評価していないのですが、前作とまったく同じ路線ながら特盛り状態でやりきった本作には脱帽です。相変わらずコメディがくどいし、暗号の謎や人類とロボットの歴史などは実にどうでもいいし、脚本の出来が今ひとつなのは相変わらずですが、しかし評価できるのはロボットの描写が圧倒的に良くなっていること。アニメのトランスフォーマーが愛された最大の理由はロボットに個性を持たせたこと、味方だけでなく敵方のキャラクターも充実させたことにあります。前作ではオプティマスとメガトロン以外のロボットは個性がないに等しい状態でしたが、本作ではきちんと各ロボットのキャラが立っています。特に、古参兵スカイファイヤー、途中から人間方へ寝返るウィーリーは映画を面白くしています。情報収集を行うサウンドウェーブのクールさも気に入りました。また、アニメではおなじみの場面も再現されています。アニメにおけるコンボイは、デストロン航空部隊に悩まされると「なんでうちには飛べるのがいないんだ」と元も子もないことで怒り出したり、「私にいい考えがある」と言って提案する作戦がたいていしょーもなかったりと天然の部分があったのですが、今回の映画版においてはその天然ぶりも再現。「人間の君の言うことなら聞くだろう」と、いち大学生のサムにオバマ大統領を説得しに行かせようとします。またメガトロンによるスタースクリームへの容赦のない罵倒、「覚えとけよ~」と情けなく戦場を後にする様もこの映画にはあります。そして男子の心を燃えさせたのは、「変形」と並んでロボットには欠かせない「合体」が盛り込まれたことです。7体合体の超巨大トランスフォーマー・デバステーター登場には「これが見たかったんだ!」と心底感動しました。そしてオプティマスとスカイファイヤーの合体には、感動を通り越して若干涙目になってしまいました。元は敵方にいたスカイファイヤーとの合体ですから、これは両軍のテクノロジーが合わさった究極の合体なのです。合体後のベラボーな強さ、「動きにくくないか?」というほどのゴテゴテしたデザイン、どれも私のツボでした。よくぞここまでロボット好きの期待に応えるものを見せてくれたものです。ベイのアクションは相変わらずド派手で、たまに美しさを見せるものの、長い長い戦闘シーンがひたすら同じリズムなのでもう少し流れを意識したアクションにすべきでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2009-07-14 19:22:22)
34.  トランスフォーマー
子供の頃に大好きだったトランスフォーマーがハリウッドでまさかの実写化!しかもマイケル・ベイ&スピルバーグ!全世界ですさまじい大ヒット!公開日を指折り数えるほど期待しつつ見に行ったのですが、ここまでつまらないとはと愕然としました。正体不明のヘリがロボットに変形し、突如カタールの米軍基地を襲うイントロは最高。また冴えない主人公のために愛車(実はトランスフォーマー)がお節介を焼く前半部分もほほえましく、最初の1時間は本当に楽しめました。「宇宙戦争」や「ET」の良いところを合わせた感じで、スピルバーグの味がよく出ているなと。しかし話のテンションを上げていかねばならない中盤以降になってもくだらないギャグは止まらず、ダラダラと緊張感のない展開に辟易。マイケル・ベイ印のアクションは毎度音だけはデカイものの、細かいカット割りで訳が分からず。キャラクター物って、立ち姿やファイティングポーズをこれでもかとかっこよく見せてあげるのが大事だと思うのですが、その美学が完全に抜けていました。またトランスフォーマー達に個性がないのも重大な欠点。アニメのトランスフォーマーがヒットしたのは、それぞれのロボットに個性があったことです。トランスフォームする前の乗り物やアイテムに沿った性格付けがなされ、トランスフォーム後もアイテムの特性を引き継いだ強み・弱みがありました。また同じような強みを持つ個体が敵の集団にもいて、各キャラクターにライバルがいました。このようにキャラクターが面白いことで話も面白くなっていたのですが、今回の実写版ではどのキャラクターも同じようなデザインでオプティマス・プライム以外はほとんど判別がつかず、一応性格や特技の設定は設けられていたものの、いざバトルに突入してもその特技が活かされることがまったくないという状態。否定的な意見はもっぱらマイケル・ベイに向けられているようですが、この実写版はトランスフォーマーへのそもそもの理解の部分で失敗しているように思います。アニメではあれほど強烈だったスタースクリームの個性がなくなっていたり、メガトロンをあっけなく殺してしまったり(しかも人間の手で)と、オリジナルが好きな人が作ったとは思えない部分が多々ありましたし。
[映画館(字幕)] 3点(2007-09-08 19:11:56)(良:1票)
35.  トップガン
世評をどうしても理解できない映画のひとつ。リアルタイムで見た世代でなくともベストに挙げる者が大勢いる人気作なのですが、私は何度見てもこの映画の面白さがわかりません。私が問題に感じたのは①恋愛、ライバル、友人、コンプレックス等のドラマパートにどれも表面的で深みがないこと、②「トップガン」という設定をまったく活かしていないこと、の2点です。①についてはどれもこれもマンガ並のチンケな話で見ていて恥ずかしくなりました。薄っぺらなトラブルに薄っぺらなセリフでリアクションするということが2時間も延々と繰り返されるのみで何の面白みもありません。欲張っていろんなエピソードを入れるのもいいですが、どれかひとつでも筋の通ったものを作らないと話は空中分解します。その「筋を通ったもの」にすべきだったのが②なわけですが、これができていないのが致命的。主人公は最初から天才パイロットで、素行の悪いのが玉に傷という話なのが基本的によくないような気がします。何の努力もせずに一番でいられる主人公が、プライベートな心の問題でやる気なくしたり元気になったりなんて話は面白くないでしょ。各地のエースパイロットを集めて切磋琢磨させ、最強の中の最強を目指すのがトップガンというエリート訓練コースであるならば、主人公がパイロットとしての腕を磨くことを話の核にもってくるのが常套手段だと思います。ベタですが主人公が挫折の末に努力を重ねてトップを目指し、その周りに恋愛や友人やライバルなどのサブストーリーを据えればゴッタ煮状態の話にも統一感が出たはず。そして泥臭いパイロット修行の後、クライマックスの空中戦ではエリート部隊の圧倒的な強さを見せつけて爽快に締めるという展開にすればよかったんです。なのにトップガンのみなさんはロクに訓練もせずに遊んでばかりで、いざ実戦に出ればさほど不利な情勢でもないのに危機に陥るという体たらく。これだったらトップガンという設定はいらないじゃないですか。よく誉められる空中戦のシーンもそれほどかっこよく感じられず、ダラダラとどうでもいい追いかけっこばっかしよってというのが私の印象。こういうのが記録的な大ヒットになった80年代ってのは本当にいい加減な時代だったんだなと思います。
[DVD(字幕)] 2点(2007-02-03 19:05:02)(良:3票)
36.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
おもしろくなりそうなアイデアや展開がぶちこまれているわけでもない、前代未聞の斬新な見せ場があるわけでもない、しかしこの映画にはとてつもない「何か」が宿っています。絶望的で陰惨で、それでいて皮肉に溢れとてつもなく人間的という独特な世界を完璧なまでに作り上げており、映画全体が生き物のように躍動しています。ストーリーらしきストーリーなど必要ない、というよりもこの世界を味わうためにはストーリーすら蛇足と言えます。人類になぜ子供ができなくなったのか、ヒューマン・プロジェクトとは何者なのか、確かに娯楽作としておもしろくなりそうな要素を相当切り捨てています。普通の監督であれば当然描いたであろうことを一切無視し、あくまで主人公セオの目線のみで作られています。しかしそれで正解。世界の謎を解き明かすことも、未来のために戦うこともなく、行く先々で出会う人から言われるがままに動き、ただ危険から逃げることしかできない。こうしたヒロイズムの否定は、人類全体が死へと向かっている世界で何もできはしないという絶望感をさらに煽ります。これでいいのです。そしてその絶望の対極にある希望の描き方も実に秀逸。クライマックス、軍隊による殺伐とした掃討作戦が開始され、兵士達は銃を無差別に乱射し、テロリストは狂気にとりつかれたかのようにそれに応戦、一般市民はただただそれにおびえるばかり。しかしひとりの赤ん坊が人々の心にあった共通の人間性を呼び起こし、戦闘を止めてしまうのです。アクション、スリル、ドラマ性、メッセージ性、哲学性などがすべて頂点に達したかのような素晴らしいシーンで、映画史上これほどの場面は稀有だといえます。アルフォンソ・キュアロンという監督にはあまり馴染みがないのですが、自ら脚本も手がけてこの作品を作った手腕は神業的としか言いようがありません。娯楽的な要素を相当切り詰めた上に、立派な人物や印象的なセリフが出てくるわけでもないのに、ここまでおもしろくかつ含蓄のある作品を自分のセンスのみを頼りに作ってしまえるというのは恐るべき才能だなと。キューブリックですらこのレベルは作れなかっただろうほどの超絶な傑作です。映画館はガラガラでしたが(笑)、後の世では不動の傑作との評価を受けるであろう作品だと思います。
[映画館(字幕)] 10点(2006-12-12 23:55:55)(良:8票)
37.  ドゥ・ザ・ライト・シング 《ネタバレ》 
人種問題を扱った映画は多くありますが、これほど核心を突いた映画は珍しいと思います。人種映画は白人の手によって贖罪の意味で作られたものが多く、そのためどれもが腫れ物を扱うような作りで、黒人は決まって立派だが言われなき偏見を受ける人と決まっています。そこに来て本作は黒人社会から見た人種問題という他にありそうでなかった視点で、自身が黒人であるスパイク・リーだからこそ作れた映画だと言えます。異人種がすぐ隣に住んでいることの人種的緊張は「被差別者=一方的な被害者」という単純な図式には収まらないものであり、この映画では黒人側の問題点を浮き彫りにします。言葉が満足に通じないにも関わらずわずか1年で店を成功させた韓国人、彼らは人の何倍もの苦労をして成功を手にしたのでしょうが、一方おしゃべりをして1日を終えるような黒人のじいさんは、彼らを見て「古顔の俺たちより成功するとは何事だ」と自分を棚に上げて八つ当たり。またクライマックスの暴動のきっかけを作るメガネの黒人バギン・アウト。彼はイタリア人のサルが経営するピザ屋にイタリア系の有名人の写真しか飾られていないことに腹を立て、「黒人の写真を飾れ」と怒鳴り込みます。同じく暴動のきっかけとなるラジオ・ラヒームも、あれだけのボリュームで店に入られれば迷惑に決まっているのに、それを注意されると「黒人差別だ」と問題をすり替えてしまいます。水戸黄門の印籠かのように「差別だ」という言葉を使い、自分の都合のいいように相手を黙らせようとする黒人のずるさがきちんと描かれているのです。そして、そうした人種間の行き違いは登場人物の中でもっとも人種的にフラットなイタリア人サルへと向けられます。人種の違いを意識せず、誰とでも同じように接してきたサルは、そのフラットさゆえに「差別」という無敵の言葉を振りかざすバギン・アウトやラジオ・ラヒームとの関係をこじらせ、25年間同じ街で暮らし愛着を感じていた黒人の隣人達から店の襲撃を受けることとなる皮肉。その挙句、不真面目な勤務態度も大目に見て「お前は息子みたいなものだ」と愛情をかけてきたムーキーまで、襲撃でショックを受けているサルの気持ちも考えずに「俺の給料をくれ」と平然とやってくる始末。人種が絡むと思考回路が停止する黒人に対して「正しいことをしろ」と訴える実に珍しい映画で、人種問題をよく知るのには欠かせない作品だと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2006-11-04 03:21:31)(良:2票)
38.  12モンキーズ 《ネタバレ》 
これはかなり惜しい映画です。未来描写がもっと杜撰なものであれば、この2倍はすごいことになったと思います。というのも中盤、コールは自分は未来人ではなく、医者の言う通り単なる精神障害者ではないかと疑うくだりがありますね。そんな、主題をも揺るがしかねない謎を観客も共有することができれば、もっと素晴らしいミステリー映画になったはずです。しかし残念ながら、観客はそのミステリーを共有することができません。願わくば冒頭の未来描写を丸々カットし、コールが拘束されるシーンから始まってくれればよかったんです。そうすれば、後にSF的な描写が登場しても、コールの幻覚という処理が可能になるんです。しかし冒頭に未来を持ってきてしまっては、SFという設定が大前提になってしまい、ミステリーがひとつ減ってしまうんですね。とはいえ、それでもこれは紛れもなく大満足の秀作ですけど。張り巡らされる伏線やいちいち意味ありげなセリフ、そしてクライマックスに向けてきっちりと収束していくお話。挙句に「12モンキーズ」自体がミスディレクションといううまさ。見事ですよ。それに話のテンポも悪くなく、その手際のおかげで言われるほど難しさは感じませんでした。そして、やっぱりブラッド・ピットがすごい。精神病院であることないことしゃべりまくりながらも、その言葉の中には思わぬ真理が隠されており、只ならぬ存在感を見せつけます。結局は単なるバカで終わる役柄なんですけど、彼の熱演がジェフリーという人物に「何かしでかすのでは?」というスゴ味を与えており、キーパーソンとしての存在感をいかんなく発揮するわけです。ま、この映画には余裕で9点を献上することができます。できれば、今後テレビ放映する時には冒頭の未来描写をカットしてくれれば完璧なんですけど。
9点(2004-11-13 02:09:07)(良:2票)
39.  ドリームキャッチャー
恐ろしいまでに不完全で、それを楽しむか怒るかは完全に各個人に丸投げされたというセルフサービス映画です。ちなみに私は楽しみましたが、嫌いになる方の意見は十分理解できます。というより、好きになる方がおかしいと思います。この映画ではスティーブン・キング作品の悪い面がドバっと出てますね。スティーブン・キング最大の特徴は、前半のネタふりがやたらうまいわりに後半の尻すぼみ加減が尋常ではないことですけど、この映画はまさにそれ。これが嫌いと言う方でも、前半の盛り上げ方のうまさは認めると思います。うまく伏線を張っていくし、アイデアがおもしろいので先読みさせないし、印象的なビジュアルがいくつもあるし。しかし、一転して後半では「本当にそんなオチでいいの?」と思わせるのがスゴイところ。「あそこまで伏線張っといて、まさかこれはないだろう」みたいなことを堂々とやってきますからね。シャマラン映画と同じと言えば同じなんですけど、一方巧妙な脚本で想像力をかきたてないのがシャマランのうまいところ。しかしキングは容赦なく想像力をかきたて、期待を膨らませるので、後半の脱力感は高級フランス料理のデザートがガリガリ君だったみたいな感じです。4人の特殊能力や宇宙人の生態など、拾い切れてない伏線も山ほどあるし。みなさんこれに怒ってるんだと思いますけど、「イット」「ランゴリアーズ」「ザ・スタンド」などを経験してしまえば、「あ、またか」程度で許せるようになります。それどころか、その破綻ぶりが楽しみにもなります。そんなわけで、お客さんを選ぶ映画ってわけですね。これだけ豪華なメンツでそれをやってくれるってのが、好き者としてはまたうれしかったりするわけですけど。
7点(2004-09-07 11:19:39)(良:2票)
40.  トータル・フィアーズ
この映画では、作品における監督の重要性というものを実感しました。これは本当にもったいない映画で、映像化したくなって当然なほど素晴らしい発想、脚本の出来も悪くなく、俳優だって良いのです。モーガン・フリーマンはもちろんのこと、ベン・アフレックもなかなかハマっていました。にも関わらず、監督の力量不足のためにこの素材がまったく活かせていないのです。展開にメリハリがないためストーリーに緊迫感が生まれず、「恐怖の総和」をまったく表現できていません。話を追うだけで映画が終わってしまっており、米国本土が核攻撃されるという話をここまで退屈にさせる演出はなかなかのものです。「映画は一に脚本、二に脚本」と言いますが、脚本も俳優も特撮もすべては素材に過ぎず、最終的には監督がどう料理するかにかかっているようです(もちろん、素材が腐っていては話になりませんが)。ジャック・ライアンシリーズはとにかく監督に恵まれないようで、原作者が激怒するのも当然ですね。今後はジョン・シングルトンやザック・スナイダーがトム・クランシー作品を監督するようですが、今度こそ話に見合うだけの素晴らしい演出をして欲しいものです。
[DVD(吹替)] 4点(2004-08-05 12:56:11)
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