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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
ハリウッドが本格的に製作した麻薬戦争映画は『トラフィック』以来となりますが、見掛け倒しで何だかボヤっとしていたソダーバーグとは違い、本作では”凶暴なメキシコ麻薬カルテルvs戦争慣れした米国防総省”という燃えるカードが準備されています。最高でした。 この戦いの激しさは想像を絶するものであり、例えばFBIの中ではかなりの敏腕だった主人公ケイトが国防総省の特殊部隊では完全にできない奴扱いで、「まぁ邪魔しない程度にやってよ」なんて言われているわけです。いろいろ見聞きする中でケイトなりに怒りを感じたりもするものの、ジョシュ・ブローリン隊長からは「はいはい」と軽くあしらわれる始末。FBIが国内で相手している犯罪者達とメキシコの麻薬カルテルではまったくレベルが違うのです。 そんな麻薬カルテルに対する米側のカウンター兵器として登場するのがベニチオ・デルトロ演じるアレハンドロ。元はコロンビアの検事だったものの、家族を惨殺された恨みから殺し屋に転向したという情け無用の殺人マシーンです。暗殺者を意味する原題は彼を指したものだと考えられますが、検事という畑違いの経歴を持つアレハンドロが、米国防総省からも一目置かれるほどの暗殺者に変貌を遂げた過程ではとんでもない訓練に耐えたのだろうということが想像され、こちらでも燃えました。 本作は多くを語る映画ではないのですが、登場人物達の過去には一体何があって今に至っているのかという含みが多く持たされているためにドラマ性が高いレベルで維持されています。ロジャー・ディーキンスによる美しい撮影とも相まって、あらすじ以上に格式の高い作品に見えています。こちらもお見事でした。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2016-10-25 15:25:07)(良:1票)
2.  ホビット/決戦のゆくえ 《ネタバレ》 
IMAX-3Dにて鑑賞。HFR上映は人生初なのですが、映画館とは思えないほどのくっきり画像、カメラが動いても全然ブレない動画対応力の恩恵は凄かったです。通常上映とは比較にならないほど3D効果を高く感じるし、画面の動きがスムーズで目が疲れないので非常に快適。その反面、画がくっきりしすぎで大スクリーン特有のざらつきがなく、テレビを見ているようなノッペリ感があったことはちょっと残念でした。。。 内容は、冒頭からフルスロットル。前作では城の中を這い回っていたスマウグ様がついに空を飛び、街を焼き付くすというテンションの高い見せ場からスタートします。通常の映画であればクライマックス級の見せ場でお腹いっぱいになったところで、” The Battle of the Five Armies”のタイトル表示。このレベルの見せ場が、本作では本編開始前の肩慣らしだったのかと呆気にとられました。その後は見せ場に次ぐ見せ場。ず~っと戦ってます。シリーズを通じて、偉そうな事を言うだけで大した活躍を見せてこなかったガラドリエル、エルロンド、サルマンの3人がついに参戦し、尋常ではない実力を見せ付ける場面など、ファンサービスもきっちり心得ています。。。 そして、ついに始まるオーク軍との全面戦争のテンションの高さも相変わらずで、ドワーフ軍が陣形を整える場面のかっこよさ、エルフ軍が戦闘に参加するタイミングの絶妙さなど、ピージャク演出も絶好調。対するオーク軍も、『砂の惑星』みたいな巨大ワームを投入したり、ガンキャノンのような格好で投石器を撃つトロルが登場したりと、止むことのない創意工夫には頭の下がる思いがしました。。。 しかし、途中からピージャク演出も息切れを起こし、終盤の戦闘は単調になってしまいます。さらには、困った時の大鷲投入という本シリーズの悪癖は今回も健在。オークの第1軍と第2軍の挟み撃ちに遭って絶体絶命というところで、大鷲の群れが飛んできて敵の第2軍をあっという間に蹴散らしてしまうという世にもあんまりな展開にはコケそうになりました。キャラクターの戦力描写も不自然で、前作まではオークの小集団からコソコソ逃げ回っていたドワーフ達が、今回だけは完全武装の上に数でも圧倒するオーク軍を無双状態でなぎ倒すという光景には目を疑いました。なぜ、旅のはじまりからその実力を出さなかったんだと。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-14 00:49:27)(良:1票)
3.  ホビット/竜に奪われた王国 《ネタバレ》 
とにかく凄いのがレゴラスのアクション。LOTRよりレゴラスはアクション番長として名を馳せていましたが、本作に登場する若いレゴラスは、LOTRを余裕で上回る凄まじいアクションを披露します。さらには、レゴラスの部下・タウリエルも凄い。動ける戦闘型エルフが二人もいることで、見せ場は「速い!美しい!かっこいい!」の三拍子揃ったとんでもないものになっています。。。 ただし、原作には登場しないレゴラスの存在がマイナスに働いている局面もあります。レゴラスの登場により、われわれ観客は否応なくギムリを想起させられるのですが、LOTRにおけるギムリがレゴラスと並ぶオークハンターだったことに対して、本作のドワーフ達がホビット並の戦闘力しかないという設定上の不整合が気になってしまうのです。ドワーフって、エルフの活躍を指をくわえて眺めてるような奴らでしたっけ?  戦力描写の不自然さは、タイトルロールであるスマウグにもあります。二つの王国を瞬時に滅ぼした最強の火竜という設定ながら、本作のクライマックスでは10人のドワーフとホビットを相手に『エイリアン3』みたいな追っかけっこを延々とやっており、意外とちゃっちい奴なんだなとガッカリさせられました。要らんことをダラダラと喋りすぎだし、かと言って、すべてを見透かされてしまいそうな超越的な知性も感じさせられないし、『王の帰還』のアングマールの魔王のような腰砕け感がありました。西洋のドラゴンと東洋の竜を合わせたようなデザインや、彼が吐く炎の迫力、キングギドラを思わせる飛翔場面など、画としての見所は多かっただけに、本作における中途半端な活躍は残念でした。。。 そして本作最大の問題点は、ドワーフ達のやる気のなさです。宮殿へつながる扉が開かないとなれば、大して粘りもせずに帰ろうとするし、スマウグが眠る階層への侵入もビルボ任せでまったく主体性がありません。前作では、祖国を取り戻そうとする亡国の民という悲哀があったのに、本作ではただ状況に流されているだけの弱者です。ビルボやバルドなど、種族を超えて力を貸してくれる人たちにも悪態をついてばかりだし、彼らの旅への共感の度合はかなり下がってしまいました。。。 本作は、完結編への橋渡しのような場面が多く、その立ち位置の関係から不完全燃焼の多い回となってしまいました。そうは言ってもポテンシャルの高いシリーズなので、次回作には期待しています。
[映画館(吹替)] 6点(2014-03-12 00:48:16)(良:2票)
4.  ホワイトハウス・ダウン
『ダイ・ハード』『エアフォース・ワン』『ザ・ロック』『沈黙の戦艦』等の90年代アクションを豪快になぞった、良くも悪くも時代遅れなアクション大作。90年代アクションの落ち穂拾い的な映画に仕上がっているので、各場面の元ネタは何かを考えながら見れば、より楽しめるのではないでしょうか。。。 監督を務めるローランド・エメリッヒは92年に『ユニバーサル・ソルジャー』を撮って90年代筋肉アクションの一翼を担った人物であり、それと同時に、数々のディザスター大作で世界中の名所を破壊してきた人物。本作の企画にはうってつけの人材だったわけですが、確かにエメリッヒの演出はノリにノっています。スリルとユーモアのバランスは絶妙だし、どんどんエスカレートしていくアクションもカタルシスに溢れています。見せ場を詰め込むだけで他の要素がまったくなかった『ダイ・ハード』の最新作などと比較すると、本作には適度な遊びがあってより映画らしく仕上がっています。また、ホワイトハウスやエアフォース・ワンの再現度も素晴らしいレベルに達しており、どうやっても本物にしか見えないほどに作り込まれています。空想の産物でしかないロボットやエイリアンとは違い、現実に存在し、誰もが知っているホワイトハウスをCGやミニチュアで再現することは大変に難しい作業なのですが、エメリッヒはこれを完璧にやり遂げているのです。。。 以上、アクション映画としては水準を超える仕上がりではあるのですが、90年代のような熱気で鑑賞できないという観客側の問題をクリアするだけのレベルには達していませんでした。「あんなバカ集団がホワイトハウスを占領できるわけがない」「黒幕の陰謀、複雑すぎて絶対に実現ムリ」「なんで主人公には弾が当たらないんだ」、鑑賞中にとめどなく湧き上がってくる疑問の数々。思えば『ザ・ロック』だって『エアフォース・ワン』だって基本設定は無茶苦茶で、あの時代にはその程度の作り込みでも許されていただけのこと。設定なんてオマケみたいなもので、いろんなものが景気よく爆発して、最後に主人公が笑顔で帰還すれば、それでみんな満足だったのです。しかし、現在にその映画作りを持ち込むと、観客は映画について来られなくなるようです。私が観た劇場では観客の大半が中高年だったという事実とも相まって、爆破アクションは死にゆくジャンルであることを痛感させられました。
[映画館(字幕)] 6点(2013-09-01 04:12:02)
5.  ボーン・コレクター 《ネタバレ》 
90年代はシリアルキラーものが量産された時期でしたが、一部の成功作を除くと大半が駄作でした。その理由は簡単で、どうすればラストで観客を驚かせるか、オチの意外性のみにこだわった結果、論理を積み重ねて真相にたどり着くという推理もの本来の面白さが置き去りにされた本末転倒な企画ばかりになってしまったからです。本作は、そんな90年代最後の年に製作されたシリアルキラーものですが、老舗スタジオであるユニバーサルが直接製作し、オスカー俳優を2人も投入。さらには、この手の映画としては史上最大規模の予算が投入され(『セブン』の2倍、『羊たちの沈黙』の4倍)、ジャンルの決定版を作ってやろうという只事ではない期待が込められていました。流行に便乗して作られたそこいらのB級サスペンスとはまるで次元の違う企画だったというわけです。。。 果たしてその出来はと言うと、これがダメなサスペンス映画がやらかしそうな失敗を全部やってしまっていて、お世辞にも出来の良い映画とは言えませんでした。オチが唐突すぎて本編の推理がほとんどムダになっているし(主人公が犯人を追い詰めるのではなく、主人公の元に自らやってきた犯人を射殺して終わりという展開はあんまりでは?)、観客に対してダミーの容疑者が与えられる終盤の展開についても、情報を提示するタイミングのマズさから、これがミスディレクションとして機能していません。さらには、若い女性警官と全身麻痺の天才刑事がコンビを組むという設定も、中盤から置き去りにされています。弱点を持つ者同士が互いに補い合い、二人で一人の刑事として動くということがこの企画の骨子だったと思うのですが、中盤以降は「上司からの命令を忠実に実行する部下」程度の関係性になってしまい、それが後半では「二人は恋仲にある」という訳の分からんゾーンへと突入していき、そもそもの設定が完全に死んでしまっています。安楽死を望むデンゼルと、父親の自殺が大きなトラウマとなっているアンジーという、序盤で提示されるドラマを途中で切り捨ててしまったことがその大きな要因であり、この映画はプロットの取捨選択を間違えています。。。 本作の監督を務めたのはフィリップ・ノイス。正直言って才能を感じさせない監督さんであり、多くの要素が複雑に入り乱れる本作の演出には不適格だったと言わざるをえません。 
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2013-06-16 01:39:07)
6.  ホビット/思いがけない冒険
IMAX3Dにて鑑賞。本日のシネコンは『ONE PIECE』に席巻されており、公開第一週の週末であるにも関わらず本作のスクリーンは悲しい程にガラガラ。10年前の『ロード・オブ・ザ・リング』初公開時には確かにあった熱気も今や昔、大変寂しい環境下での鑑賞となりました。。。 内容や雰囲気は、良くも悪くも旧シリーズを引き継いでいます。世界観を統一するためか、本作に登場するものは10年前に見たようなものばかりで目新しい要素や新機軸なるものは皆無。おまけに、ストーリー展開はご丁寧にも『旅の仲間』をなぞったものとなっており、旧シリーズが肌に合わなかった方は、恐らく本作もつまらないと感じるはずです。一方、旧シリーズのファンにとって、これは最高の新シリーズとなっています。テンションの高いイントロにはじまり、美しい撮影に、熱いドラマに、ド派手な見せ場にと、旧シリーズの良い部分がすべて受け継がれているのです。ピーター・ジャクソンの演出は10年でより進化を遂げており、見せ場における間の取り方などは神がかっています。ファンタジー映画を撮らせると、この人は世界一の監督であるということを再認識させられました。。。 『ロード・オブ・ザ・リング』というコンテンツと3D技術との相性は抜群に良く、画面に奥行を得たことで中つ国がより魅力を増しています。ジェームズ・キャメロンが『アバター』で実践した演出法が用いられているのですが、それによって観客は世界の広さを実感することとなります。同時に、本作では飛び出すアトラクションとしての面白さも追求されており、最大の見せ場であるゴブリンの洞窟での戦闘は、現状において存在するすべての3D映画で最高の仕上がりとなっています。。。 3D映画と言えば、字幕を読むことが苦痛になるため吹替での鑑賞が考慮されますが、その点、本作は吹替版の仕上がりも完璧です。普段は吹替を避けておられる字幕派の方も、本作では吹替にチャレンジしてみても良いかもしれません。
[映画館(吹替)] 8点(2012-12-15 23:10:59)
7.  ボーン・レガシー 《ネタバレ》 
アクション映画としては程々の出来なのですが、ボーンシリーズの新作にして、『ボーン・アルティメイタム』の続編という高いハードルは超えられていません。一部に拒否反応のあった前作までの手持ちカメラ&細切れカットは本作より不採用となり、アクションはかなり見やすくなっているのですが、見やすさと引き換えに映画のルックスは平凡なものとなっています。本作を観れば、グリーングラスの演出がいかに映画全体の印象に貢献していたかがわかります。。。 新たな主人公アーロン・クロスの設定は面白いと感じました。少年院上がりで帰る家がないからと工作員に志願するも,当初は採用基準を充たしておらず,リクルート担当者のお情けで工作員となった人物であり、現在は訓練生の立場にあります。ヒロインであるマルタを助けに現れた理由は「好きだったから」という青臭いものであり、完璧な工作員だったジェイソン・ボーンとのコントラストとして未熟な面が強調されています。その設定は戦い方にも表れていて、常に逃走経路を確保した上で敵の二手先三手先を読んで行動していたボーンに対し、クロスは基本的に勢い任せで、敵に先手を取られては袋小路に追い込まれることもしばしば。ボーンがマリーの絶対的な保護者だったのに対し、クロスはマルタと協力しながら危機を乗り越えるという関係性となっています。この新機軸は良いのですが、問題なのは、これを演じるレナーとワイズが歳をとりすぎているということ。『ボーン・アイデンティティ』に出演した時点のデイモン(30歳)よりも若い俳優を起用すべきだったのに、ふたりとも40歳を過ぎているのです。また、総合的にはボーンに劣るにしてもクロス特有の強みも作っておき、その一点突破で危機を乗り切っていくという構成にすべきだったのですが、これがないために、ただ主人公が弱くなっただけという結果に終わっています。。。 前作までにあった殺伐とした空気も、本作においては希薄となっています。よく喋るレナーとワーワー喚くワイズの中年コンビは、ボーンシリーズの続編というよりも『ナイト&デイ』の焼き直しといった風情です。薬剤の投与によって工作員が強化されているという設定は『キャプテン・アメリカ』か『ユニバーサル・ソルジャー』かという安っぽさだし、後半に登場する殺し屋には迫力や凄みがありません。エンディングに流れる”Extreme Ways”の歌詞が完全に浮いていました。
[映画館(字幕)] 6点(2012-10-01 11:27:52)(良:2票)
8.  ボビーZ
あらすじだけ聞くと面白そうな話なのに、完成した映画は「なんでこんなことになるの?」と思ってしまうほど残念な仕上がり。「トゥー・デイズ」「15ミニッツ」でも感じたのですが、この監督はとにかく仕事が雑すぎます。基本的な設定や登場人物の背景を描き切らない段階で本筋に突入してしまうので、観客は完全に置いてけぼりとなってしまうのです。本作で言えば、キーパーソンの一人であるエリザベスと失踪前のボビーZとの関係がよくわからないし、ワインセラーを営むブライアンの立ち位置も不明確。主人公カーニーがボビーZの息子を連れて逃げた心理的背景も説明されていないため、「ガントレット」を思わせる逃走劇にも感情移入できません。脚本には矛盾が目立ち、飛行機からの爆撃でカーニーを殺そうとしたかと思いきや、次の場面では「奴を殺すな、生かして捕えろ」と言い出す始末。せっかく良い役者を集めても、この脚本、この演出では台無しです。
[DVD(吹替)] 3点(2012-06-26 00:11:40)
9.  ホワット・ライズ・ビニース 《ネタバレ》 
1999年、ロバート・ゼメキス監督は「キャスト・アウェイ」という企画を抱えていました。同作は主人公が無人島に漂流する前のパートをまず撮影し、半年かけてトム・ハンクスをダイエットさせてから残りを撮影するというスケジュールとなっていましたが、ダイエット待ちの間ヒマになったスタッフを率いて撮影したのがこの「ホワット・ライズ・ビニース」なのでした。ゼメキスにとって本命は「キャスト・アウェイ」だったのでこちらはかなり適当な仕上がりで、誉めるべきところがほとんどありません。「ヒッチコックがCGを使える時代に生まれていたら?」というコンセプトで製作されたらしいのですが、伏線も何もかなぐり捨て、最終的に殺人鬼が追っかけて来るだけの映画なんてヒッチコックは撮らないでしょう。前半40分もかけたお隣さんのエピソードが本筋とまったく関係ないとか、しっぽを掴まれた途端に人格が豹変するハリソンさんとか、聞いてもないのに長々とネタバラシを始めるハリソンさんとか、人間とは思えない生命力で妻を追いかけるハリソンさんとか、「監督はちゃんと考えて作ったのだろうか?」と首を傾げたくなる要素が盛りだくさんです。その他にも、異常な形相で喚き散らすミランダ・オットーや、尋常ではない物忘れをしていたことが判明するミシェル・ファイファーなど丁寧な説明を要するはずの部分に限って何事もなかったようにスルーされたり、辻褄が合わなくなってくると幽霊を出して話の方向転換をしたり、安直な姿勢がかなり目に付きます。ヒッチコックならこんな杜撰な映画は撮らないでしょう。不思議なのは、この程度の映画にハリソン・フォードとミシェル・ファイファーが出演を承諾したこと、上映時間の9割が家という地味な物語でありながら製作費が1億ドルもかかっているということです。
[DVD(吹替)] 3点(2011-01-13 19:33:53)(良:3票)
10.  ポストマン(1997) 《ネタバレ》 
物語の発想は良いし長尺の割には退屈しないので最低の評価は付けませんが、映画の出来は良くありません。流れ者がタダ飯を食いたくてついた嘘がひとり歩きするという物語と、ケビン・コスナーの英雄願望とが水と油だったため、主人公のキャラクターが不安定になったことが敗因だと思います。最初は情けなかった主人公が徐々に英雄らしくなっていくのなら話にも筋が通るのですが、例えばアビー救出のために勇気を見せたと思ったら、次の場面では「ケガして動けないよ~」とグータラしはじめるため、主人公の成長物語にもなっていません。後半になるとようやく英雄らしい行動をとりはじめるものの、主人公は最初のウソを取り消さないままリーダー面し、偉そうに説教までたれるので、見ている私達にとってはまったく説得力がありません。新政府を信じた若い郵便配達たちが次々と殺されはじめてもウソだと白状しない段階に至っては、英雄どころか大人としての責任感はないのかとイライラしてきます。「すまない、新政府の話は全部ウソだったんだ」「俺達はアメリカ中を旅してるんですよ。そんなことぐらいとっくに知ってますよ」ぐらいのやりとりを入れておけば物語の方向転換にはなったし、郵便配達たちの仕事への思いを強調することも出来たのではないでしょうか。。。以上は完全に脚本上の不備なのですが、エリック・ロス(フォレスト・ガンプ)とブライアン・ヘルゲランド(LAコンフィデンシャル)という当時気鋭の脚本家を二人も起用しながら、なぜここまで酷い話になったのかと不思議で仕方ありません。不思議なのは製作費についてもで、こんな地味な物語において8,000万ドルもの製作費はどこに使われたのでしょうか?本作は一応SFではあるものの物語は西部劇に近く、自然の山々でロケを行っているため壮大なセットが作られた形跡はありません。また派手な戦闘シーンも大規模なモブシーンもないため、撮影にお金がかかっている様子もありません。ラストなんて、いよいよ最終決戦かと思いきやおっさん二人が殴り合うだけですからね。しかも、スローモーションや編集で誤魔化すという何とも腰砕けなラスト。莫大な製作費がかかっていることは予備知識として知っていて、映画のどこかしらにはド派手なシーンがあるものと思って観ていたので、最後まで何も起こらない肩透かしには驚きました。
[DVD(吹替)] 4点(2010-09-05 18:14:40)(良:1票)
11.  ボーン・アイデンティティー
映画館ではじめて観た時は「よく出来た佳作アクション」という印象でした。ダイ・アナザー・デイ、トリプルX、トータル・フィアーズ、そして本作を断ってブラッド・ピットが主演したスパイゲームとエージェントものが多く作られた時期でしたが、ド派手な見せ場を売りにした作品ばかりの中、見せ場を切り詰めて地味ながらも穴のない仕上がりとした本作は異色な存在だったと同時に、派手なだけのアクション映画に観客が飽きはじめている空気をうまく感じ取って作ったもんだと感心した記憶があります。とはいえ飛び抜けて面白いわけでもないので「佳作」。現在見返しても単品ではその印象は変わらないのですが、アクションの金字塔となったシリーズの第一作として振り返ると、本作の重要性、非凡さがうかがえます。ジェイソン・ボーンは基本的に知性を武器とし、衝突を避けながら行動していることは論理的に筋が通っているし、いざという時に飛び出す殺人技はこの上なくプロっぽいし、また彼を仕留めるべく放たれた刺客達はストイックなかっこよさに溢れてるし、CIAは役人の勤める官僚組織としてきちんと描写され、お役所ならではの強力なネットワーク、権限の脅威が物語で効果的に使われているしと、このシリーズの持つ優れた点は、すべて第一作の時点で完成されているのです。第二作以降の慌ただしい編集、カメラワークがないので全体的に落ち着いた雰囲気なのですが、影になって役者の顔が映っていないカットがあったり、役者がアクションを起こした後にカメラがその後を追っていたりと(アクション映画にありがちな、見せ場にカメラが先回りしているというショットが一切ありません)、視覚にリアリティを重視しているのも第一作からのようです。「派手な見せ場を入れろ」という映画会社とケンカしてでも作品を守り、結果的にそれが3部作を支える柱となったわけですからダグ・リーマンのビジョンは的確なものであったと言えるし、余計なものは加えず第一作の継承・発展に集中したポール・グリーングラスの手腕も抜群であったと言えます。そんな中、唯一残念なのがマリーの存在で、「どうしたの?」「何があったの?」といちいち聞き返してくる彼女がアクションのテンションを相当下げています。マリーと別れて挑んだ「教授」と呼ばれる刺客との戦いの異様な盛り上がりを見るにつけても、彼女はもっと早く退場させるべきだったと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-06 01:44:53)(良:1票)
12.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
観客を飽きさせないよう派手なアクションをやればやるほど「んなアホな」のスパイラルに陥る作品が多い中、本作は見せ場の連続なのにバカっぽくなく、そこにリアリティを感じさせる作りとなっています。特に素晴らしいのがロンドン駅での追っかけで、追っ手の配置や視界を先読みしながら対象を的確にナビゲートする様はあまり見たことのない珍しい見せ場。ボーンはただの強い殺し屋ではなく、状況判断やとっさの決断力にも長けた人間であることをちゃんと画で見せてきているのです。「陰謀のセオリー」「ロング・キス・グッドナイト」等、記憶を失った政府の殺し屋映画はいくつもあり、ボーンシリーズもネタ的にはありふれた作品なのですが、そんな中で新しさを発揮しているのは、世界を股にかけるエージェントに必要であろう知性を描いているためでしょう。目の前の危機を腕っぷしで乗り切るかつての主人公達とは違い、二手先三手先を読んで行動し、衝突はなるべく避けるという「当たり前」のことをきっちりやっているのです。またボーンが相手とするCIAも同様で、きちんとした官僚機構として描かれているので、悪役としての存在感を発揮しています。「CIAは巨大な官僚組織である」のは当たり前なのですが、これまでのアクション映画は見事なまでにこのおいしい部分をスルーし、その結果ボスと手下数人が勝手に暴走して主人公に倒されるという、何ともこじんまりとした組織となり下がっていました。そこにきて本シリーズは、個人の通話でも自由に盗聴できるハイテク機器を操り、世界中即座にエージェントを送りこむ豊かなネットワークを持ち、警察機構に指示を出すこともできる強大な権限を持った組織として描いています。そこに従事する人々も魅力的で、その切れる頭で出世したと思われるパメラ、現場の叩きあげで汚れ仕事をしているうちに感情も麻痺してしまったアボット、組織のためなら何でもやってしまう出世の鬼ヴォーゼンら、「官僚組織にいそうな人々」の熱いやりとりも見ごたえ十分です。賛否の分かれる細切れアクションについてですが、画面も話も「リアルに見えること」を意識した本作においては、その必要性があったように思います。アクションの中にリアリティを感じさせたい場合、「仮に現場に居合わせればこのように見えるだろう」という雰囲気を作り出せる手ぶれ映像や細切れの編集は、やはり威力を発揮しているのです。
[映画館(字幕)] 9点(2008-08-26 02:26:24)(良:4票)
13.  暴走特急
観ている間中、「決して危機に陥らない主人公」というムチャクチャな前提でよく映画が成立してるなと感心し通しでした。世のすべての物語は紆余曲折があるからこそ面白いのに、絶対に勝つことがわかっている、その過程で一切の危機に陥らず、主人公が顔色ひとつ変えずに映画が始まり終わっていく、そんな代物がよくぞ100分それなりに退屈させない出来に仕上がっているものです。これはセガールという映画史上もっともミステリアスな俳優でこそ出せる珍味であり、そういう意味ではセガールはそれなりに評価すべき人物なのではないかと思います。デ・ニーロですらコピー不可能な、世界唯一の芸当を持った俳優さんですから。監督や脚本家も地味に頑張っています。「主人公が危機に陥らない映画を作れ」と言われてまぁそれなりにまとまった形に脚本を仕上げ、映画として成立するレベルの演出をしてみせるというのは高等技術ではないでしょうか。首尾よく列車を制圧したものの、ライバックが乗ってるとわかるや「ヤバイ、俺達終わった」と焦りだすテロリスト、一方で「ライバックが乗ってるってよ、やったー」と喜び出すペンタゴンの偉いさん達、こんなセガール作品ではおなじみの光景を、笑わせずそれなりに見せてしまえるというのは影ながらの演出の巧さのおかげでしょう。この映画には、そんなコメディギリギリの描写が盛りだくさん。「こんなものは俺には効かんよ」と、痴漢撃退スプレーをまるで香水かのように自分の顔に吹きかけるテロリストのボス。ボスの強さアピールの描写でしたが、明らかにヘンなシーンなのに「あぁ、そうなんだ」とそれなりに見れてしまうのはこの映画ならでは。一方セガールはもっと強烈で、敵のスナイパーに肩を撃たれるも「貫通してるから撃たれてるうちに入らない」と他人事のようにコメントし、本当に何事もなかったかのようにその後のアクションをこなすという超人ぶり。こういうおかしな描写をサラっと見せてしまえる演出は素晴らしいことですし、「セガールにとってはそんなもんなんだろうな」と無意識に納得させてしまえるセガールの存在感も見事なことです。 ちなみに本作の脚本を書いたのはマット・リーブスという人物で、本作後テレビ界で実績を重ね、「クローバーフィールド」の監督を任されるまでに出世したようです。セガール塾での経験が「クローバーフィールド」につながったんだと私は信じています。
[DVD(字幕)] 7点(2008-08-25 18:56:14)(笑:1票) (良:1票)
14.  ホステル
日本以外では空前の大ブームとなっているスプラッタホラーの代表的な1作ということでブルーレイディスクを購入して鑑賞しましたが、あらすじから想像されるよりもスプラッタは少ないように感じました(もちろん、ホラーに免疫のない人が見ると卒倒する作品ではありますが)。顔を半分焼かれた女の子の特殊メイクがやたらチープ等、映像的に群を抜くほどショッキングというものでもないでしょう。むしろこの映画からは、イーライ・ロスという人物の素晴らしい才能が感じられました。見せない部分の怖さ、これから起こる惨劇への不気味な兆候の表現が実にうまく、復讐へとなだれこむ後半の盛り上がりも絶好調で、この人の脚本・演出は完璧に計算されているなと感心しました。ピーター・ジャクソン、サム・ライミと現在ハリウッドを引っ張っている監督がふたりともホラー映画出身ということからも、優秀なホラー映画を作ることは監督としてのポテンシャルのひとつの証明だと言えます。観客を怖がらせるには、どのようなバイオリズムで鑑賞されるかを先回りして脚本・演出を仕掛けていくという能力が必要となりますが、このイーライ・ロスという人物はそれに非常に長けているように感じました。この人はただ気持ち悪いものを見せるだけの人物ではないなと。今後の成長が非常に楽しみな監督さんだと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2007-03-22 00:25:03)(良:1票)
15.  ボーン・スプレマシー
スターの出ているアクション大作でありながらキリっと締まった作風が気持ちの良いシリーズですが、私的には第1作を上回る出来と面白さだったと思います。普通のアクション大作にしようとする映画会社とケンカしてでも作品の完成度を保った前作の功労者ダグ・リーマンが製作に回り、ポール・グリーングラスという誰も知らない人物が監督に決まった時には「大丈夫か?」と不安になったのですが、結果としてこの監督はリーマン以上の手腕を見せ付けました。この人はジャーナリスト出身で作家を経て映画監督になったという変わった経歴の人物なのですが、そうした経歴のおかげか説得力ある語り口で複雑な話をまとめていくという腕前はそこいらのベテラン監督を軽く超えています。謎が明かされながらテンポよく進んでいくこの映画のストーリー展開は知的で大変心地よく、この完成度なら仮に目立ったアクションがなくても十分に楽しめるスパイ映画になっただろうと思います。また単なるインテリ監督に終わらず画面作りにもセンスを見せているのもさすがで、作品全体を通してクールにして緊張感溢れる映像と編集がなされています。ここぞという時のアクションもスパイならではのストイックさに溢れていて大変かっこよく、無闇に見せないからこそ盛り上がるという前作の良さを引き継ぎつつもそれを超えることに成功しています。それまでクールに淡々と進んでいた話とアクションが収束し、一気に爆発したかのようなクライマックスのしつこいカーチェイスには大興奮しましたとも。マトリックス・リローデッドやバッドボーイズ2がド派手カーチェイスの究極の進化形であるなら、この映画のカーチェイスはリアル路線の究極の進化形です。現実離れした銃撃や爆破などせず、いろんなものにぶつかって車をぼこぼこにへこませ、「街を猛スピードで走ること」の怖さをストレートに伝えるこの手のカーチェイスは、ブリットやフレンチ・コネクション以来久々に見ました。そんなわけでかなり大満足の作品でしたので、同監督が続投するシリーズ最終作にも期待しています。
[DVD(吹替)] 8点(2006-10-28 21:48:49)(良:2票)
16.  ポセイドン(2006) 《ネタバレ》 
ペーターゼンは「パーフェクト・ストーム」にて人間ドラマとスペクタクルのハイブリッドをやろうとして失敗したためか、本作においてはドラマ部分をコンパクトに納め、スペクタクルのみを特化させた形にしています。一方オリジナルは、ドラマとアクションが相互補完的な関係となる構造をとっていました。登場人物に感情移入するからこそアクションが盛り上がり、状況が逼迫するほどにドラマが深まっていく。リメイクにあたっては、そのオリジナルからドラマをスッパリ落としてしまったというわけです。そんな軽い作りでは面白くなるわけがありません。。。本作はドラマが薄いばかりか、理解に苦しむ展開が多々あります。例えば、カート・ラッセル演じるラムジーは、転覆直後において別フロアーにいる娘の様子を見に行きたいと船長に言いますが、船長は「各自が勝手な行動をとると混乱状態となるから、この部屋から動かないでくれ」と言います。ラムジーはこれに反対してサバイバルグループに参加することとなるのですが、物語の進行上、この場面では船長の言うことが間違っていて、ラムジーの願いに観客が賛同するという形にせねばならないはず。しかし、これをどう聞いても船長の言い分が正しく、元消防隊員にしてNY市長まで務めたラムジーはなぜこの理屈を理解できないのか、ワガママなだけじゃないかという印象しか持てません。この後、ラムジーはジョシュ・ルーカス演じるディランの提示するプランに従うことにするのですが、この場合、こいつは信用できる男なのか、船や災害についての知識を持った上で言っているのかを確認しようとするでしょ、普通。しかしラムジーは彼が何者なのかを確認することもなく、生死を分ける決断を実に安易に下してしまいます。また、ラムジーの娘は何らかの理由で父親を敬遠していて、この親子の和解が物語の横軸になるのかと思いきや、父親を敬遠する理由が最後まで説明されないという理解に苦しむ展開まで。謎の構成はまだあります。リチャード・ドレイファス演じるネルソンは、足にしがみついたバレンタインを蹴落として自分の命を守るという苦渋の選択をします。その後、彼が親しくなった女性が実はバレンタインの恋人だったという因果な展開を迎えるのですが、バレンタインの死が二人の関係にまったく影響を与えないという意味不明なことに。この脚本は一体どういうつもりで書かれたのか理解に苦しみます。
[DVD(吹替)] 3点(2006-10-22 13:02:28)(良:2票)
17.  ボーイズ・ドント・クライ 《ネタバレ》 
あまりに救いのなさすぎるラストに対する拒否反応は私にはないのですが、どうにも高評価を与えづらい作品です。題材の重大さに対して演出力が追いついていないのがその原因でしょうか?あまりに衝撃的な作品なので見ていて退屈することはないのですが、どうにも感動の伝え方が稚拙なような気がしました。ありのままの自分を社会は受け入れてくれない、またそんな社会にウソをつき続けねばならないというブランドンの背負う重荷、そしてようやくありのままの自分を受け入れてくれるララというパートナーができた喜び、そのどちらも結局肌で感じることはできませんでした。この映画の意義は、恐らくそういうものを観客に共感させることにあると思うのですが、そんな肝心な部分を伝え損ねたまま、話は凄惨なラストへと突入していきます。あのラストは誰が撮ったって、誰が見たって衝撃を受けるものであり、そういう意味ではある種の一発芸のような印象を受けました。そこに至るまでのドラマがあまり良くなかったこともあり、「これを見せれば誰だってショックを受けるはずだ」的な作り手のあざとさまで感じてしまったのです。悪名高きセカチューのように、感動しそうな記号を適当に配置する的ないやらしさが見えました。いや、製作したみなさんは恐らく真摯な姿勢でこれを作ったとは思うんですよ。でもまぁ性同一性障害という繊細なテーマの本質を十分に描くことなく、かわりにそれに対する実にわかりやすい偏見をクローズアップしすぎたために、どうにも感動を押し売りする即物的な映画に感じられたんです。もしこの映画がより高度な演出を持って、性同一性障害の本質を私たちにも感じさせることのできるドラマであれば、ラストの意義はより大きなものになったはずです。ただただ「悲しい」「かわいそう」で終わらないものとなったはずです。オスカーを受賞したヒラリー・スワンクの頑張り(本作は演技力というよりも頑張りを感じました)をはじめ、良い友達なんだけど同時にいやらしさも感じさせるというジョンとトムの絶妙なうまさ、美しすぎないクロエ・セビニーの田舎ヤンキーのハマり具合など、キャストは実にうまく配置されているだけに、実にもったいない気がしました。
[DVD(吹替)] 5点(2006-04-24 02:48:45)
18.  ホステージ 《ネタバレ》 
いやぁ残念、残念。ひねりのある展開はなかなかよかっただけに、もっと腕のいい監督がやってれば、それだけでサスペンスアクションの佳作になってたかもしれません。刑事の暗い過去、家族との確執、人質事件、サイコな犯人、ふたつの兄弟、親子の情愛、犯罪組織、警察同士の主導権争い・・・、描くべき要素は山ほどあったにも関わらず、そのどれも浅い部分でスルーしてしまってるのはもったいない限りです。とくに、ブルース・ウィリスの行動に迷いが感じられなかったのが致命的。事件を解決せねばならない、人質になってる子供たちを救いたい、しかしバックの組織の指示にも従わねばならない、ミスれば自分の家族が殺される。この「すべてにおいてミスが許されない」という状況では、ひとつひとつの行動をデリケートに扱うことがサスペンスにつながるにも関わらず、ブルース・ウィリスは基本的に勢いだけで行動してしまいます。これが決定的に話から緊迫感を奪い、せっかく用意された設定まで台無しにしています。犯罪組織の影も薄く(白い携帯電話も大して活用しないし・・・)、もっとブルース・ウィリスを苦しめてくれれば話のスパイスになったんですけどね。人質姉弟の命を救おうとするブルース・ウィリスに向かって、「人質の命はどうでもいいから、朝までには絶対DVDを奪って来い」くらいのことは言って欲しかったです。そして極めつけはラスト。最後はピストルで決着では、「今まで見てきたサスペンスはどうなんの?」って感じですよ。もっと頭を使いましょうよ。黒幕の正体もよくわからなかったし・・・。この監督、同じ娯楽サスペンスでも「エグゼクティブ・デシジョン」や「交渉人」を見て勉強して欲しかったですね。これだったら、ジョン・マクティアナンやアンドリュー・デイビスにでも撮らせた方が、よほどいい出来になったでしょう。
[映画館(字幕)] 5点(2005-06-11 21:41:14)(良:1票)
19.  ボルケーノ
話はご都合主義の連続で、第一、LAには火山脈が存在しないので、宇宙人に侵略されるよりも無茶な設定だとのこと。ディザスターものの定番の人間ドラマも、正直ダサかったし。でもいいんです。私は特撮魂に燃えました。CGよりもミニチュアを多様した映画って、それだけで手作り感が伝わってきて好感が持るんですよ。微妙なチャチさ加減がこれまた絶妙でして。溶岩への放水でヘリ部隊がやってきた時なんて、もううれしくて仕方なかったですもん。
7点(2004-07-02 12:52:42)
20.  ボディ・スナッチャーズ 《ネタバレ》 
初見時にはガブリエル・アンウォーの裸しか印象に残らなかったのですが(申し訳ない!)、最近になって見返すと、なかなか出来の良い作品であることに気付きました。最新の「インヴェージョン」を含む4つの映画化作品の中では最良の作品だと思います。軍施設という自由な出入りに制限がなされる環境を舞台に選んだこと、家族や環境に依存しなければ生きていけない10代という主人公の年齢設定等、本作独自の工夫により題材がより活かされています。「この土地、何かおかしい」という不気味な予兆から、疑いが確信へと変わるまでのペース配分などは抜群であり、ベテラン脚本家ラリー・コーエンの手腕が存分に発揮されています。予算に制限があったためか目を引くような見せ場には欠けるのですが、それにしても、人間であることを悟られた時の「ギャ~!!」という叫び声のインパクトは絶大。クライマックスで、ついにボディスナッチされた幼い弟による「ギャ~」には背筋が凍りました。
[DVD(字幕)] 7点(2004-06-29 19:14:18)
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