241. 猿の惑星:新世紀(ライジング)
《ネタバレ》 猿人と人間の住み分けを図るが、猿人同士、人間同士でも意見の対立から内部分裂が起きる。人間に恨みを持つ武闘派コバがシーザーと離反してクーデターを起こし、人間のコロニーを襲撃して共存はぶち壊し。ここまでくれば、どちらかが滅びるまでの全面戦争は不可避。人間vs猿人の不毛な戦いだが、これは今も世界で起きている民族間の戦いにそっくり当てはまる構図。 猿人のシーザーがだんだんイケメンのヒーローに見えてくるのが不思議。コバがシーザーを引き立てるわかりやすい悪役で、「エイプはエイプを殺さない」の掟を破って受けた報いには溜飲の下がる思い。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2015-07-04 01:44:10) |
242. 猿の惑星:創世記(ジェネシス)
《ネタバレ》 最新CGを駆使しての迫力に、技術の進化を実感。ストーリーも40年程前のオリジナルに比べて、随分リアルに猿の反乱を描いていた。新開発のウイルスが猿の進化の発端になるのも、旧作のタイムトリップよりは現代風でありえる話に思える。 施設に収容されたシーザーが猿たちをまとめ上げるカリスマ性は圧巻。ゴリラのバック、オランウータンのモーリスと仲良くなり、ボス猿のロケットを倒してリーダーに君臨。猿たちを統率しての人間への反乱は、英雄が率いる精鋭部隊のクーデターのよう。シーザーがチェ・ゲバラに見えてくる。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2015-07-04 01:40:26) |
243. 最後の猿の惑星
《ネタバレ》 シリーズ全5作の最終話。人類との共存をはかるシーザーだが、権力を握ろうとする武闘派のゴリラ、放射能の影響でミュータントとなった集団も絡んで、平和が乱される。1作目につながるようになんとかまとめた感じだけど、ただの辻褄あわせの凡作に終わった印象。最後は期待感もなくコンプリートへのモチベーションと惰性だけで見たけれど、他にも同じ思いの犠牲者が少なくないような。 シリーズ5作の中、名作とされる1作目以降で鑑賞に堪えるのは、3作目だけ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-07-02 02:07:43) |
244. 猿の惑星・征服
《ネタバレ》 昔の黒人奴隷の役割を猿が担う世界。奴隷制度の解放のリーダーとなるのが、コーネリアスとジーラの遺児シーザー。猿への酷い扱いを目の当たりにし、育ててくれたサーカスの団長が尋問中に死んだことで、シーザーの人間への憎しみが燃え上がる。 シーザーは奴隷の猿たちを隠れて集めて人間への反抗を指導するが、そんなことを始めれば1日でバレそうなものだけど。シーザーに電流を流す拷問で、確認もせずに死んだと思い込むのも雑。猿が勝利を収めた反乱も、あまりに簡単で都合がよすぎる。リアリティに欠ける雑なところがたくさんあるが、そこはマンガや童話のようにスルーしないといけないようだ。後に作られた『創世記』『新世紀』も人間への反乱が描かれているが、それらに比べるとストーリーが相当浅い。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-07-02 02:06:27) |
245. 新・猿の惑星
《ネタバレ》 シリーズ2作目が酷かったが、この3作目で持ち直した。一躍人気者になったコーネリアスとジーラだが、猿が人間を支配する未来が明るみになり、人類の敵として命を狙われることに。知らない間にこの二人に肩入れし、ジーラが愛おしく思えてくる。ラストの悲劇と救いに、強い余韻が残る。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-07-02 02:05:08) |
246. 続・猿の惑星
《ネタバレ》 昔、1作目に続いて2作目3作目も観たはずだが、3作目はよく覚えていたけど、この2作目は記憶にほとんどなかった。見直してみて、記憶に残らない理由がわかった。残したくなかったというべきか。これがあの名作と同じシリーズなのかと唖然とするほどの酷い出来。すばらしかった前作と合わせるとプラマイゼロになるくらい。続編は失敗するというが、その悪しき代表例か。 猿にチンパンジー、ゴリラ、オランウータンの三部族がいて、中で対立しているまではいい。テレパシーや幻覚を使うミュータントが出てきて、もう無茶苦茶に。ケロイドの顔に人間のマスクを被ったり、コバルト爆弾を神の兵器と祭ったり、意味がわからない。突っ込みどころ満載で、とにかく最後は地球を破壊して衝撃的な終わりにしたかっただけのよう。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2015-07-02 02:04:06) |
247. ブルース・リー/死亡遊戯
《ネタバレ》 ブルース・リー本人の撮影分がラスト十数分ほどで、後は代役と編集を使って強引に映画にしたものだから、いくら苦肉の策で変装や編集でごまかしたところで無理がある。シリーズが替わって役者が替わったり、年代の違いで二人の役者を使い分けるならわかるのだが、一つの作品で違う人物が同じ役をやったので何とも珍妙な仕上がりに。代役と丸わかりなのに、本人のカットを時折り編集で挟むものだから、ものすごい違和感。コロンボの吹替えでドラマ中に声優が時折り入れ替わる回があって、それも気持ちが悪かったが、本作はそれ以上に違和感が強い。無理に映画にせずに、本人の格闘シーンはドキュメンタリーとして使えば良かったのに。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-06-25 23:33:09) |
248. ワイルド・アパッチ
《ネタバレ》 特別居留地を抜け出して入植者を襲うアパッチと、それを捕まえようとする騎兵隊の戦い。バート・ランカスター扮する老兵は、達観した目で戦況を見つめている。ところが、新任の隊長の経験のなさが、騎兵隊から多くの犠牲者を出した。復讐と憎悪に燃える若き隊長と、老練で悟ったようなマッキントッシュが対照的。 実際にあったウルザナの襲撃を基に、西部劇にしてはリアルなグロ描写があちこちに。ウルザナらアパッチ族を略奪・強姦・虐殺の限りを尽くす極悪非道な部族に描いている。確かに強くて野蛮な好戦的部族だったようだが、白人たちに侵略されて土地を追い出されたわけだから。西部劇にありがちな、戦いの原因にほとんど触れない白人目線の描き方は気になる。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-06-25 00:44:06) |
249. ギルバート・グレイプ
《ネタバレ》 知的障碍者の弟に、父の自殺で過食症の超肥満体となった母。姉や妹とも小さないざこざを起こしながら父親代わりとして一家を支えるギルバート。その肩にかかるずっしりとした重みが、こちらにも伝わってくる。 小さな田舎町の家に縛られた閉塞感に、家を捨てた長兄を恨む気持ちもあったはず。店の常連客の奥さんと不倫でもしなければ息が詰まったのだろうか。ずっと我慢していたギルバートが思わず弟に手を上げてしまったところにはどっぷり感情移入。誰だって理性の糸が切れてもおかしくない状況だ。 母を死んでからも皆の笑いものにしたくない一心で下した苦渋の決断。古い家ごと母の遺体を焼いた四人の子供たちは、どういう思いで炎に包まれた家を見つめていたのか。そこに慟哭するような悲壮感はなく、これで良かったのだという少しの安堵と解放感のようなものも混じっていたような。自分たちを縛りつけてきた家に別れを告げ、再生の時を感じとっていたのかも。ギルバートとは対極にある旅する女性が救いとなって、ラストは自由を得た明るさが感じられる。 主演のジョニー・デップも良かったが、障碍者の少年役のデカプリオは見事な演技で感心されられた。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-25 00:38:38) |
250. 冷たい月を抱く女
《ネタバレ》 サスペンスとしては最後まで引っ張られるのだけれど、かなり無理のある設定とストーリー。レイプ事件が本筋にどう絡んでくるのかと思ったら、夫の無精子症を事件解明に使いたいためだけだったとは。いくら医療過誤の裁判で大金がもらえるとしても、美しさを誇る女が自分の綺麗な体にメスを入れるリスクまで冒すだろうか。自分が何よりかわいい女はこんなこと絶対しないと思う。超一流の外科医がリスクを冒して詐欺に手を染めるとも思えない。二人でこんな手のこんだリスクの高いことをしなくても、もっとうまい方法はありそうなものなのに。 ネタバラシされても、それって明らかに無理筋だよねと感じてしまうので、せっかく張り詰めたサスペンス感が一気に萎む。タイトルとニコール・キッドマンということだけでも悪役の予想がついてしまって、医療ミスの被害者というカモフラージュが効かなくなっている。 キッドマンは安定の美しさ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-06-25 00:35:49) |
251. エル・ドラド(1966)
《ネタバレ》 ジョン・ウェインとロバート・ミッチャムの二大スター共演だけど、ちょっと緩い西部劇だった。アル中の保安官、年寄りの牢屋番、対立する一味のボスの身柄拘束と、どこかで観たような映画だと思ったら、同じハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』だった。リメイクではないようだけど、これだけ似ているとさすがにネタ切れ感が。ヒリヒリするような緊張感とはまったく無縁で、早撃ちの名手とのライバル対決も、肩透かしのような呆気ない決着のつけ方。ラストで松葉杖で並んで歩く両雄の姿が、のんびりとした物語を象徴している。 若造ミシシッピのジェームズ・カーンがフレッシュすぎて、『ゴッドファーザー』の長男ソニーと一致せず、後から気づいてビックリ。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2015-06-23 01:02:29) |
252. ノーカントリー
《ネタバレ》 『ファーゴ』でも感じたが、コーエン兄弟の作るキャラは独特の味がある。バビエル・バンデムのシガーがとにかく強烈で、圧縮空気ボンベを携えてのイカレた殺人鬼ぶりが凄い。ここまでくればホラーのモンスターの域で、狙われ追われたら悪夢。 コインの賭けを強いられた店主はさぞ不気味だっただろうが、賭けの意味を知らずに生きていくわけか。不条理で気まぐれな運命のようなものを感じる。それは、シガーが青信号で車を横から突っ込まれたのもそう。 モスが昼間そのまま置き去りにしたメキシコ人に、水を与えるために夜中に現場に戻ったのが何気に良かった。ちょっとしたところにも人物に生の立体感が出ていて、コーエン兄弟のキャラ造形の巧さを感じる。ただ、ストーリーはまとまりがなく、収束せずに謎めいたままの尻切れトンボ。定石をあえて外してくるようなところがあるが、それをやりすぎると破綻するしスノッブにも感じてくる。これがアカデミー賞に値するかは大いに疑問。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-06-21 00:28:23) |
253. トップガン
《ネタバレ》 トム・クルーズ主演らしい映画。教官との立場を超えたラブロマンス、トップガンをかけたライバルとの戦い、コンビを組んだ親友の死、エリートとして自らの才能への驕りと敗北、芽生えた恐怖心と挫折、それを乗り越えての復活。エンターテイメントの王道要素が詰まって、しっかりまとまっているのでそこそこ楽しめる。その反面、型通りなので予想がついてしまい、意外性も感動もない。話自体はあまり後に残らないものの、カッコいいテーマ曲と戦闘機のコラボは、無邪気な童心をくすぐってテンションを上げる。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2015-06-20 00:24:18) |
254. 脱出(1972)
《ネタバレ》 4人の楽しい川下り冒険が、2人組の悪漢に絡まれてとんだ事件に。巻き込まれ型なので、誰もがこうならないという保証はないだけにどうなることかと引き込まれるが、最後はなんだか中途半端な幕切れ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-06-18 00:07:29) |
255. ロボコップ(2014)
オリジナルはチープなB級感が漂っていたが、リメイク版は最新CGを駆使して随分スタイリッシュになった。だからといって面白くなったとは言いきれないのが映画の面白いところ。ドラマ的に整理され補強された要素もあるけど、独特の味はなくなった。どっちが忘れずに記憶に残るかといえば、シンプルで勢いのあったオリジナルの方のような。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2015-06-07 23:30:11)(良:1票) |
256. キャリー(2013)
《ネタバレ》 キャリー役にクロエ・グレース・モレッツは明らかなミスキャスト。普通にかわいくて、怖さや不気味さがまったく感じられない。シシー・スペイセクにはイジメられる雰囲気があったけど、クロエにはそれがない。たぶん普通の女の子というのを意図的に強調したかったのだと思うが、もうぶち壊し。 また、一人で念動力を試してみるシーンも余計で、演出面でもオリジナルよりつまらなくなっている。イジメ方も現代版ぽくネットに動画を上げる方法にアレンジしているが、いくらバカでも先生から怒られた後だと撮影者がすぐ特定されるくらいわかりそうなもの。キャリーの念動も、オリジナルは目だけで迫真の演技をしていたが、リメイクは手のフリを使ってマンガチックになってしまった。良くしてくれた先生を殺さなかったことも、キャリーの狂気を半減させた。変わった部分がことごとく改悪に見えて、残念ながらデ・パルマ監督との力量の違いが残酷なほど歴然と感じられる。 B級テイストもあったオリジナルより、CGなど映像技術は格段に進歩しているはずだけど、だからといって面白くなるものでもない。『ロボコップ』のリメイクでも感じたが、最新技術を駆使したリメイク版よりも、B級感の残るオリジナルのほうが印象に残る。監督ほかスタッフ次第で、制作条件が劣っていても面白いものが作れるということだろう。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-06-07 23:28:02) |
257. リトルファイター 少女たちの光と影
《ネタバレ》 年端のいかない少女が、賭博の対象となるムエタイのリングに上がって戦う。まるで闘犬を見せられる思いだけど、これが土佐犬ではなく、マルチーズのようなので始末が悪い。よくこんなことを見世物や賭け事にする気が起こるものだと、その悪趣味にちょっと引いてしまう。少女たちはあくまでも健気であどけなく、それが逆に異常さを浮き彫りにする。 親の生活を少しでも助けたいと、一家を背負って懸命に殴りあう。22キロ級という信じられないような軽い階級で、骨折や怪我もザラにあるという。娘の稼ぎで生活し、家も建てる親に対して嫌悪感。日本でも娘をジュニアアイドルとして際どい水着を着せる親がいるが、その姿とも重なる。 インタビューに対し、「結局は娘のしたいようにさせる」と語る親にまた腹が立つ。けっして強要しているわけではないことをアピールしているが、こんな小さな子供が自分の意思で殴り合いを好んでするはずがない。子供は強要されているとは思っていない。親の思いを知っているから、なんとかそれに応えよう、生活を助けようとしているだけ。そうせざるをえないように親が仕向けているとも言えるわけで、巧妙に強要しているのと変わりはない。 クラムとペットの二人の少女に焦点が当てられるが、ペットのほうは心臓病を抱えて二年前には手術もしている。格闘技のような激しい運動はご法度のはずだが、ムエタイで強く健康になって心臓病を克服するという都合のいい論理を語る親にも呆れる。 クラムとペットのチャンピオン戦は、明暗くっきりで残酷なほど。チャンピオンになったクラムは、そのお金で家が完成。一方、負けたペットは、ドサ回りのような酒場のショームエタイのリングにも上がるように。体調不良で臨んだその試合後に、泣きじゃくるペットが印象的。殴られて泣いたのでも負けて泣いたのでもない。親に「置いて帰るよ」と言われて堰を切ったように泣きじゃくったのだ。親は冗談なのにと笑ってごまかしていたが、見捨てられまいと必死の子供に対して、大人のあまりの無神経さに怒りが込み上げる。 ただ、決して豊かではないタイの実情を考えた場合、日本と同列で語るのもどうなのか。児童買春が横行し、多くの日本人がタイの少女を買い行った、そんなニュースが頭をよぎる。まだ売春をさせないだけ、親としてマシなのかもしれない。 タイを舞台に描かれた『闇の子供たち』をたまたまその数日後に観たが、貧困層の親に売られた子供の末路を見てもそう思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-06 00:26:40) |
258. オール・ユー・ニード・イズ・キル
《ネタバレ》 トム・クルーズ主演らしい作品で、それなりに楽しめるんだけど特にハッとするようなこともなく。タイムループして、死ぬたびにやり直し。敵側のギタイ、アルファ(中ボス)、オメガ(ラスボス)の役割やループの設定にちょっと馴染めず混乱。ラストのループも腑に落ちない。 ------------ 再鑑賞。 ゲームのようなストーリー。殺されたらリセットされ、何度でも挑戦できる。そのループの中で経験値を上げることで、ステージをクリアしていく感覚。 前回よりは面白く感じた。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2015-06-06 00:14:01) |
259. ワールド・トレード・センター
《ネタバレ》 圧倒的な重さを持つ真実の物語が、映画にしたために少し安っぽく軽くなった感がある。主人公が救助で活躍するのではなく、ガレキから助け出されるのを待つだけというのもちょっと拍子抜け。9.11のような生々しく重大な事件は、作り物の映画やドラマではどうやってもドキュメンタリーに勝てないように思える。 [CS・衛星(吹替)] 3点(2015-06-06 00:12:32) |
260. ヴィレッジ(2004)
《ネタバレ》 シックスセンスのシャラマン監督なので期待したが、ガッカリ拍子抜け。森の中に化け物が棲むという村の伝説。その真相が、あまりにも強引すぎる無理筋。思わせぶりな雰囲気だけは持っているけど、ストーリーは穴が目立つ。突っ込みどころ満載のリアリティのなさで、それならいっそのこともっとハッキリとオカルトかファンタジーにしたほうが良かったくらい。 [CS・衛星(吹替)] 3点(2015-06-04 22:57:48) |