Menu
 > レビュワー
 > あにやん‍🌈 さんの口コミ一覧。19ページ目
あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2526
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768
>> カレンダー表示
>> 通常表示
361.  ファミリー・ツリー 《ネタバレ》 
その期間ときたら、あまりに特異な、非日常的な痛みを抱き続けなければならない訳です。世界はいつもと変わらぬ時を刻んでいるのに、自分達は何故こんな悲しさ苦しさ切なさの中に居るんだろう?って。奇跡を望んだり想いに沈んで孤立したり。そこからなんとか自分と家族が生きるための世界を再構築してゆく、あの感じが上手く表現されていると思いました。流転してゆく人の生とそれを包み込む大自然。空気が匂ってくるような映像は、まるでそこに抱かれるかのような感覚を与えます。すっかりオッサンになったジョージ・クルーニーのくたびれ加減がハワイアンのメロディと共に映画の角を削っております。欠点だらけの人々が自分以外の人々それぞれの痛みをちょっと理解してちょっと進む、そういう「ちょっと」な映画ですが風がそよそよと吹き込んでくるような、意外に心地良さすら感じる作品でした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-06-10 15:25:13)(良:2票)
362.  幸せへのキセキ 《ネタバレ》 
ステキな映画でした。特に何か尖った部分がある訳でもなく(尖っているのはせいぜい息子の描く絵くらいかな)、素材に対して極めて真っ当な描き方をしている感じがします。予告編から受けたイメージを大きく外す事は無く(幼い子供を残して逝った母、動物園付きの家を買う、動物園の再生と家族の再生・・・)、でも、そのイメージを面白く見せるという点について大変良く出来た映画だと思います。妻の思い出から抜け出せないでいる父と、母を亡くした悲しみから心を閉ざしてゆく息子。ともすれば重く暗くなりがちな話が、幼い娘のキャラクターによって明るくテンポよく運ばれ、動物達と動物園で働く人々の存在を介する事で多彩な興味深いドラマを重層的に展開して。ちょっと動物園側の二人のヒロインが能動的にドラマを動かし過ぎた感はありますが(雨の中の抱擁とチケット売り場でのキスにちょっとひっかかってしまったりして)、母を失った状態からその痛みを抱いて前へと踏み出す家族の姿には感動しました。ラストにあんなステキなエピソードを持ってくるのも良かったですしね。役者の放つ魅力いっぱいの映画でした。それにしてもこのひと月半の間に似たような設定の映画を4本(『ももへの手紙』『虹色ほたる』『ファミリー・ツリー』そしてこれ)立て続けに見る事になったのは、個人的に何か意味があるのか無いのか。私の家族って、今やもう2匹のネコだけですけどねー。
[映画館(字幕)] 8点(2012-06-10 14:51:17)(良:3票)
363.  メン・イン・ブラック3 《ネタバレ》 
前2作もリアルタイムに劇場で見たものの、特に面白いと思う部分は無いって感じだったのですが(小ネタを色々と挟みつつも、本題はただ悪いエイリアンをやっつけろ!ってだけでさっさと終わる映画でしたからね)、今回はタイムパラドックスものという事で物語に様々な興味が生まれて楽しめました。このテの物語にありがちな様々な疑問が生じてしまうのは確かなのですが(クライマックスの小ジャンプ、アレは先に定義された理論との差異が生じてたりしません?)並行する次元を見るエイリアンの存在によって未来の不確実性の揺らぎがサスペンスを生み、意外にも感動的なラストシーンを生んで。まさかこのシリーズで不意打ち状態な感動を食らうなんて思いもしませんでしたよ。過去に飛んでからはエイリアン絡みのアクションの見せ場があまり無いとか、KとOの現代での関係をもう少し見せて欲しかったとかの不満点はありますけれど、ここまでシリーズを見てきて今回初めてキャラに親しみを抱けました。肝心のトミー・リー・ジョーンズの出番は少なくて、ジョシュ・ブローリンがその愛着に貢献した感じなのはちょっと皮肉な状態ではありますが。それにしても不粋で興を削いだのは、本編終了後にくっついてる『アメージング・スパイダーマン』の予告と、クライマックス直前にゆっさゆっさと劇場を揺らした地震。地球さん、カンベンしてください。
[映画館(字幕)] 7点(2012-06-01 21:08:44)
364.  ダーク・シャドウ(2012) 《ネタバレ》 
スピルバーグファンな私でも、ジョン・ウイリアムズはともかく、ちょっとヤヌス・カミンスキーとマイケル・カーンからは離れてみて欲しいな、って思ったりするんですよね。これがそんなに好き!ってワケではないティム・バートンとなると、もうダニー・エルフマンもヘレナ・ボナム=カーターも、そしてジョニー・デップもいい加減にしてくんない?みたいな。予告編見ただけでも今のティムのマンネリタッチで『ビートルジュース』を再現するワケ?ってゲンナリしたんですけど、本編はそのゲンナリ予想を更に下回るシロモノで。物語が上手く転がってゆかない脚本がキツくて(様々な要素が散りばめてあるものの、それらがちっとも流れを作っていません)、そしてそれをフォローできるような新鮮な魅力のある映像なり演技なりが全くない、内輪で惰性で映画作ってるような感じがして。白塗りメイクのジョニーと退色した銀残し風の画とダニーのホラータッチの音があればそれでなんでも賄えちゃうし、みたいな安直さを一体何度繰り返すの?って状態で。『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』『スウィーニー・トッド』のうちどれか1作を見ていれば、別に今回特に新たに楽しめる部分はありません、みたいなクリエイティヴィティの欠如がキツ過ぎてしまって。エヴァ、クロエ、ジャッキーというご馳走役者達に食傷状態な味付けをして徹底的に素材の味を殺しまくったティムのマンネリっぷりは、やや重症。欠如した父性への渇望まで毎度のワンパターン、自らを記号化してみせるティムの永久機関に懲りずに付き合えるほど、みんなヒマじゃないんじゃない? ラストのアレもジェイソンかゴジラかって状態であまりに凡庸なイメージにびっくりだわよ。
[映画館(字幕)] 3点(2012-05-31 20:44:45)(笑:1票) (良:2票)
365.  ミッドナイト・イン・パリ 《ネタバレ》 
そんな事言ったって、ウディ・アレンが過去というものを深く深く愛しているのは、みーんな判っている訳で、なので今回もまた自虐的ですねって。セリフにしてまで語られる「大切な今を生きましょうね」っていうのはあくまでタテマエ。ウディ・アレン版『モーレツ!オトナ帝国の逆襲』。ひたすら芸術の都パリに酔う映画。時代による色調、タッチの変化なんていうのは無くて、全編、湿り気のある夜の光を撮らせるならばこの人、ダリウス・コンジによって切り取られた美しいパリ。ウディ・アレンをモロに映す神経質で饒舌でシニカルな主人公の前に登場する面々の描き方はどれだけウディが楽しんでいるんだろう?ってくらいに芸術への思慕に溢れ、一方で今回も知識だけで理論化し物事の価値を決め自らは何も生み出さないような知識人に対する皮肉もこってり織り込んで。結局、でも「パリってステキよね」で終わりで十分な映画。楽しい、美味しい、美しい、素晴らしい、そういうシンプルな感情でいいんだよ、っていう事を説明するために自らはややこしい創造の嵐の中に居るウディなのだなぁ、という映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2012-05-28 06:51:03)(良:4票)
366.  タイタンの逆襲(2012) 《ネタバレ》 
飽きたわぁ。だって前作と基本は同じなんだもん。冒険の旅に出ました、怪物にどんどん仲間が殺されて人が減ってゆきました、最後はデカいラスボスと対決です、って。前作で批判された部分に対して特に配慮する事もなく、義務的に続編作ってみました、って感じ。どうせ物語は大して面白くないのだから、せめて怪物関係を充実させて欲しかったところなのですが、これは明らかに前作に及びません。だって映像が揺れ過ぎでディティールよく判らないんだもの。何やら獰猛そうなのが無闇に暴れてます、って映像ばかりで、具体的にどんな恐ろしさなのよ?っていう描写が欠けてしまっていてガッカリ。怪獣映画的な溜めは必要だと思うのですが。その点、ラスボスはデカい分、ゆったりとした動きでその姿をしっかと見る事ができます、けれど、このラスボス、単にぼーっと立ってて腕を振り回すだけってゆー。攻撃が溶岩飛ばしのみ。前作ボスのクラーケンのアトラクション的映像に比べるとかなり地味になっちゃった印象です。3Dは前作に比べると良くなりましたし(前作は距離感が破綻しちゃってる箇所があるようなレベルでしたからねぇ)、「3Dのキモは主観での移動ショット」っていうのは判っているようですけれど、延々とソレで通す訳にもいきませんからねぇ。せめてせめて、父から子へ、更に孫へと世代が移ってゆくドラマ、そこだけでもキチンと一本筋を通してくれていれば良かったんですけど、それが描かれるのってほぼ冒頭とラストだけですし。なんか娯楽映画シナリオ作成ソフトに要素ぶち込んで組みあがったような、色々な「魂」が足らない感じの映画でした。
[映画館(字幕)] 4点(2012-05-16 07:07:11)
367.  幸せの教室 《ネタバレ》 
トム・ハンクスの監督作品な訳ですが、どうも俺様っぷりを発揮してしまったといったところでしょうか。トム・ハンクスばかりが目立つ、彼以外の扱いがやたらぞんざいな感じで、それはヒロインのジュリア・ロバーツにすら及びます。ジュリアは大事な役どころな筈なのですが、映画が中盤に至っても冒頭から何ら変化のない状態で延々と更年期障害的イライラを見せるばかり。その上で「酔った、色々あった」という理由で唐突に教え子であるトムに積極的に抱き付きキスをするという超展開でその違和感にポカーン。トムの生活ばかりを追っている状態なので周囲の描写がひたすら唐突だったり雑だったりする印象なんですよね。明らかな伏線だと思った事がちっとも実を結んでゆかず、なので集団のドラマとして盛り上がるべきところがまるで盛り上がってゆきません。同じ大学、講座の生徒達に与えられたハンパな伏線の出来損ないみたいなモノは一体なんなのやら。辛うじて伏線が回収されるのは「醤油」くらいのモノです。コメディとしてクスリと笑える程度のものはありますが、ロマンティックとかハートウォーミングとか、そういうのを期待すると意外なまでのユルさ、ペラペラさにガッカリって感じです。予告編から浮かぶ「どうせこういう映画なんだろうな」って安直なイメージ、そこにすら到達できない感じの残念な作品でした。でも、この映画の最大の問題はトム・ハンクスのメイクでしょうねぇ。ドーランべったりみたいなフラットなメイクでまるで被りモノみたいな不自然さ。正直なところキモいです。決して衰えを見せたくないという監督にして主役の俺様っぷりがそうさせてしまったんでしょうかねぇ・・・。
[映画館(字幕)] 4点(2012-05-13 20:44:07)(良:2票)
368.  BLACK & WHITE/ブラック&ホワイト(2012) 《ネタバレ》 
マックG監督、『T4』の舞台挨拶で本人を見たのですが、深夜の通販番組で健康機器でも売ってそうなハイテンション筋肉バカ(失礼)って感じなんですよね。その人柄が毎度よく作品に反映されていて、でもそれが毎回嫌いじゃないです。今回もステキにハイテンション筋肉バカ映画として仕上がっています。冒頭のアクションシーンで何が映っているのかハッキリしないブツ切れカット大量繋ぎで不安にさせたものの、中身は軽快なコメディで。一人の女を二人の男が取り合う他愛もない、すぐに忘れちゃうような映画。でも、それでいいんですよね。シリアスな部分はほんの少し、お笑いシーンをたっぷり盛り込んで、見ている間だけ楽しめればそれでOKって映画で。ダサい選曲も他の映画の脳天気な引用も狙ってやってるでしょ?みたいな感じ。個人的にはバケツ被ってくるくる回ってる少年が好き。最初はクリス・パインがエージェントにしては若過ぎ甘過ぎって思いましたけど、それも気にならなくなる程度のどーでもいい感がむしろ心地良いです。最後まで気になっちゃったのはリース・ウィザースプーンが名倉潤みたいになっちゃった事ですか・・・
[映画館(字幕)] 7点(2012-04-22 15:10:21)(笑:1票) (良:1票)
369.  ジョン・カーター 《ネタバレ》 
原作が『スター・ウォーズ』や『アバター』『ドラえもん』なんかの元ネタな古典『火星のプリンセス』ではあるのですが、古典だから古いセンスで映像化しようって思ったのかなぁ? 映像テクノロジー自体は最新鋭だけど(もっともCGの質は少々低め)、映画そのものはなんだか今から60年くらい前の退屈な史劇みたい。古代ローマ帝国みたいなコスチュームの人々のダルい話がダラダラ続いたかと思うとアクションシーンで突如超展開ってパターンを繰り返し。色々と盛り込み過ぎなエピソードの多くが結局は横道脇道のように思えてしまい、一本の映画にまとめるのならば、もう少し整理して映画が目指す方向をきっちりまとめようよ、って感じがしてしまい。主人公が囚われ繋がれては解き放たれるというパターンを繰り返し、そこにメッセージ性が存在している、にしてもいちいち捕まるので「あーまたかー」って。それで流れが止まって面白くないんですよね。この監督ならこれまでの実績からもう少しぐいぐいと引っ張ってくれそうに思ったのですが、いかんせん脚本と美術デザインが弱かったですか。異星人にしろ建造物や飛行艇にしろチラリと見たらもうそれで十分なありふれたデザインで、ずっと視覚的に魅せてくれるシロモノではありませんでしたからねぇ。新たな解釈の元で斬新なデザインで、みたいな方向には向かわなかったのかな。クラシカルだけれども良いな、って思ったのは音楽くらい。実写だとミョーに野暮ったいっていうのはディズニーの伝統ではあるのですけども、別にそんな伝統、引っ張ってくれなくていいのにね。
[映画館(字幕)] 4点(2012-04-18 21:57:09)(良:1票)
370.  バトルシップ(2012) 《ネタバレ》 
ちっとも期待していなかった映画がメチャクチャ面白いって本当に得した気分になりますね。予告編を見た限りではジミなエイリアンVS軍隊な映画だと思ってたのですが(まーた最近よくあるあのパターン?)、実際は『ID4』以来のイケイケ(死語)エイリアン退治映画。開始早々ヘンリー・マンシーニの有名な曲(ドリフでも有名)が流れる時点で高らかにバカ映画である事が宣言され、更にナガタ艦長の作戦によってハタ!と気付く「これって、つまり戦艦ゲームの映画化って事かあ!」。ゲームって言ったってテレビゲームじゃなく、チラシの裏にマス目書くだけでもできちゃうよーな、『永遠の僕たち』でも主人公が加瀬亮と遊んでた(日本人、戦艦ゲーム強いか)アレ。戦艦ゲームをいかに燃えるシチュエーションで映像化するか、っていうところがポイントな映画なワケで、ゲームの映画化としては他に類を見ないクオリティの高さ(笑)。強いとは言っても現代兵器で壊せる程度の敵と仕切られたリングの中でひたすらどつき合う映画ですから単純に燃えますな。後半のいちいち「ここでキタ!」を繰り返す盛り上がりっぷりなんざ『SPACE BATTLESHIP ヤマト』のコスモゼロ自由落下からのヤマト突撃シーンに燃えた人ならば間違いなく楽しめます(異様に対象が狭いって?)。ちっとも作品を選ばないリーアム兄さんの肩の力抜けまくり演技も微笑ましく、他のちっとも魅力的に映らない役者の方々も与えられたシチュエーションに助けられて魅力的な見せ場を彩ってみせます。考えてみればあのオモチャのイケイケバカ映画化『G.I.ジョー』のハズブロ作品、男の子の燃えポイントを判っているよーで(まあ余計な枝葉ばっかりゴテゴテ映画の『トランスフォーマー』のハズブロでもある訳ですが)。こういうツッコミ入れながら(心でね)も燃えるシチュエーションにきっちりワクワクさせて貰えるオモチャみたいな映画ってのもまた贅沢なご馳走ですね。
[映画館(字幕)] 8点(2012-04-15 15:05:11)(良:2票)
371.  ヘルプ 心がつなぐストーリー 《ネタバレ》 
差別を描いている映画ですが、基本的にそのタッチは明るく楽しいものなので、映画の内容を特にヘヴィに感じる事なく面白く見られます。ですが、恐ろしいのはそこで。この映画の中では差別をするという行為も明るく楽しい生活の中にごくごく日常の普通のものとして存在している訳です。差別する側には罪悪感とか、そもそも差別をしている意識すら微塵も無く、その状態が普通であり、そこに波風を立てる者こそが異分子であると。明るくカラフルな生活の中になんの曇りもない差別意識が存在する、そういう全く無自覚である罪というのはとても恐ろしいと思うのですね。差別する側から見ればあくまで正義なのですから。象徴的なのは人種差別とは別に、生まれによる差別が描かれていて、コミュニティが作り出す単一的な思考の危うさを通して差別意識が誰にでも生まれる可能性を示唆しています。映画は魅力的な役者達の存在によって単なる社会派映画に留まらず、愛すべき作品世界を作り出しています。特に表情豊かなエマ・ストーン(ちょっと市川実日子似)に引っ張られ、ユーモアとシリアスとの間を自在に駆け巡るオクタヴィア・スペンサーの演技にすっかりやられました。何度も高揚する瞬間が訪れ、だけど決してカタルシスのみでは終わらせず、今に続く問題を見る側の心の中に留まらせる名作でした。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 22:06:52)(良:3票)
372.  ヒューゴの不思議な発明
物語やエピソードは必ずしもちゃんとした流れが作られておらず、例えば公安官から逃げて窓の外にぶら下がるシーンではハロルド・ロイドへのオマージュ以外の、物語的に次に繋がる有機的な展開を与えるような事がなかったりして、話としての弱さを感じたりもするのですが、この映画全体こそが仕掛けられた装置なのでは、と思います。これは「ハードウェアとしての映画」についての映画。人の手によって動かされ、与えられた役割を果たすオモチャや人形のゼンマイ、時計の歯車、汽車の車輪、そしてカメラと映写機のクランク。回転する装置よって紡ぎ出されてゆく世界。あの人形に象徴されるように、物体が人の想いを得る事で心を持つ。映画がただ作品=ソフトウェアとしてのみで完結している視点からは決して生まれ得ない、ちょっとフェティッシュな作品であると思います。この映画がプロの人々が選ぶアカデミー賞で作品賞にノミネートされた理由が判る気がします。観客は与えられたソフトウェアとしての作品に触れているのですが、撮影現場ではハードウェアに生命を吹き込んで初めて映画が動き出すのですから。アタマだけ、感覚や理屈や理論だけで映画が撮れる訳じゃないですもんね。物理的作用の賜物。特殊音響装置であるセンサラウンドがきっかけで映画を好きになった私なので、3DやCGというメリエスの精神の延長線上に存在しているギミックを駆使し、見世物装置としての視点から映画を捉えたこの作品には、とても心躍り、動かされるものがありました。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:20:13)(良:1票)
373.  ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 
もうホント「話のつまらなさ」だけがこの映画の欠点で、だけどそれが自分としては酷い減点対象で。カメラとか照明とか色彩設計とか、とってもいいんですよね。ビルや街灯や車内の照明が作り出す夜の街の空気感。光と影、暖色と寒色のコントラストを作って、徹底的に光側と影側、暖色側と寒色側に被写体を分けるこだわり。寡黙な、静かな時が流れてゆく中で、じわりと染み出してくる生と死の匂い。主人公が返り血に染まったサソリのジャケットをもう脱ごうともしない時点で、主人公の意志がどこに向っているのかが判る、そこに漂う切なさ。そういう上手さを評価する事はいくらでもできる、よく撮れてる映画なんですけどもさー、話がありきたりなヤクザ映画。いや、ヤクザ絡み映画っていうか。『さらば映画の友よ インディアンサマー』とか『3-4X10月』とかみたいな。血みどろバイオレンスシーンは、そういう映画なんだからそうなんでしょうよ、って状態ですけれど、せっかくのテクニックが、その程度のハナシでいいのかねぇ?って感じがしてしまって仕方ないワケですよ。今時「せな(背中)で泣いてる唐獅子牡丹」やっちゃってるよ~、ってのが正直な感想。どうせそこまでカッコ付けるなら、もっともっと削ぎ落としたシャープな映画でも良かったんじゃないかなぁ。
[映画館(字幕)] 5点(2012-04-01 14:56:23)
374.  マリリン 7日間の恋 《ネタバレ》 
表面をサラリサラリとなぞるだけのもどかしい映画。ローレンス・オリビエを演じるケネス・ブラナーはなかなか人間クサい面白い存在感を見せておりますが、主人公となるコリンがいけません。終始ニヤけているばかり、ただ下半身で思考するバカって感じで、ラストに至り、成長した?どこが?みたいな(成長をわざわざセリフにしちゃうあたりが、なんつーかもう・・・)。この映画、結局は『カイロの紫のバラ』の実在版みたいなモンなのですが、決定的な弱点が、その主人公の品性と、そしてマリリン・モンローという存在の捉え方。ミシェル・ウィリアムズはマリリンを好演しております。スクリーンに映る彼女はマリリンに見えない事もないです。でも、ノーマ・ジーンではないです。ノーマ・ジーンとしての彼女を捉えなければならないであろう幾つものエピソードが、まるで生の存在感を見せようとはせずに逃げ続けているような感じ。人としての存在感は既知の表面的なエピソードばかりで回避され、カメラのフレームの外側の描写であっても、ただ持ち前の性格で男を手玉に取るだけのシンボライズされたマリリン・モンローでしかない状態。そここそをドラマとして描いて見せて欲しかったのですが。登場人物それぞれが、映画製作の背後に存在する虚と実のギャップに悩むハナシであるのに、この映画そのものが虚の部分ばかりで実に迫れていないって、どんな冗談なのよ?という感じではありました。つーか、ラストの酒宿のシーンでカタルシスを与えようってな了見であるならば、所詮マリリンを捉える視点ってその程度だったのかっていう、こりゃまた随分と安い、意識の低い映画ですなぁ。ノーマ・ジーンを描き分けられてこそ、マリリンである事の意味というのが浮き上がってくる訳ですからねぇ。
[映画館(字幕)] 4点(2012-03-29 23:26:55)(良:2票)
375.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
昔から変わらぬフィンチャー映画の、タイトル部分はカッコ良く(しかし撮ってるのは今回もフィンチャーとは別の存在だ)、本編はちょっとクドくて、テンポ良い編集なワリに展開は鈍重ってパターンを踏襲してはおります。もうちょっとシャープに切れないかね? 長いよ。冒頭からしばらくはシンドいシンドい。事件に関わる人の名前をだーっと羅列して、ミステリーなんだからここで人物関係を覚えましょう、って状態に辟易。しかも実は大してその人物関係が重要じゃないんだ、これが。別にここをちゃんと覚えておく必要はなかったりするんです。だけど映画が進むに従って、どんどん面白くなってゆくという。並行して描かれるミカエルとリスベットのエピソードが、一体どこでどういう形で交わっていくのか、まるで見当も付かない状態から、どんどんと相互が有機的に作用してゆくようになる状態にワクワク(一方でミステリーとしては別に何か新しいトリックがある訳でもなく、ちっとも面白くなかったりするのですが)。ゆえにラストでリスベットがそれまで殺していた人間的な側面を見せる切なさが迫ってきます。リスベットはしたたかに生き、レイプすらも予測して計画を練る訳ですが、じゃあ、あれに対してリスベットが痛みを抱いていなかった、作戦にまんまと引っかかった事への成功を喜べたのか、と言えば、決してそうじゃない事は、あの夜、リスベットが一人帰路につく後姿に悲しいくらいにこびりついている訳で。ただ、そういうリスベットの痛みにもう少しだけちゃんと寄れなかったかな、っていう感じはします。最後まで見て、事件の真相部分も含めて、やっぱり『男が作った映画』ってニオイが漂っている感じで。素材に対して大切に描いているつもりで無神経な扱いをしてしまっている感が無きにしもあらず。その部分をあまりにあからさまに扱ってしまっていて、さりとてセカンドレイプについて言及している映画って訳ではないですからねぇ。娯楽映画という名の様式が、その部分の問題を逆に浮き彫りにしてしまった感もあって、見終わって面白かったけれど、でもちょっと心にひっかかってしまう、って映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-26 21:15:34)(良:3票)
376.  長ぐつをはいたネコ(2011) 《ネタバレ》 
施設で兄弟のように育った二人。一人は正義の道に、一人は悪の道に・・・って最初に思い出したのは『ラッシュアワー3』ですが(そっくりなシーンまで登場して)、考えてみれば香港映画にはよくあるパターンで。『ヤングマスター/師弟出馬』もこんな話でしたっけ。元々、よくあるハナシを動物やモンスターに置き換えてみせるのがドリームワークス・アニメーションのパターンではあるのですが、こうもフツーに置き換えられてしまうと、もう少しキャラの個性でヒネってくれないかなぁ、と思ってしまいます。ちょっと『モンスターVSエイリアン』以前のドリームワークスに戻ったような感じ。『シュレック』からのスピンオフですから仕方ないですか。プスの得意技が炸裂するかと思いきや、アレは殆ど出してくれませんし、ネコである事を利用した個性ある作劇があまり見当たらないあたり、『アンツ』や『シャークテイル』あたりの悪癖再発?みたいに感じてしまって。ハンプティの個性がちょっと面白かったのですが、プスやヒロインはもっともっとネコであって良かったと思うのですよね。全編を貫くラテンノリにしても、じゃあ、ラテンがネコって個性にどれだけ有効に作用してるの?って考えると、うーん・・・。そのもふもふっぷりは見事なのですが。ちょっと前まで、CGでもふもふさせるのって、とても難しかったワケで(前世紀末の頃の映画にはキビシい毛並みの生き物が色々と登場したものです)。ビジュアルや3Dの見せ方はさすがのドリームワークス。余談ですが、何がなんでもフルプライス取るIMAXデジタルはやっぱり高いなぁ。前売り券を買った意味がないや。特典のねこじゃらしクリーナーを貰った分だけまだ良しとすべきですか。
[映画館(吹替)] 6点(2012-03-25 22:31:44)
377.  トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1 《ネタバレ》 
まず、最大の難点。あの狼族の刻印とかいうやつ、これまでのシリーズで語られてきました? この完結編前半の展開を安直に解決に導く、とても便利な存在として出てきてしまうワケですが。大体、刻印というのがどういう仕組み、どういう状況で成立するのか、映画で語られていないので、いきなりセリフで出されたところで「へ?」って感じで。それにしても完結編の前半だってのに、まーた延々と「うふふあはは」してて、そうそう、このシリーズってその「うふふあはは」が本体で、あとはオマケみたいなモンだよねぇ、って思い出したりして。で、エドワードの誤爆によるベラの生命の危機がメインという、ツッコミどころ満載な作品の後半部分、生命を削られてゆくベラのメイクやり過ぎ。あれじゃ『バタリアン』のオバンバか『スペースバンパイア』のミイラバンパイアだよ・・・。そういうのはリアルでなくていいのに。美しいままっていうウソでも許容できるモノなのに。せっかくの南国の島で「うふふあはは」な映画だったのにヒロインの存在がホラーになってどうすんの。最後の最後にやっとこさシリーズにとっての脅威が登場するものの、意味不明な会話のみで1シーンだけという、完結編に向けて全然引っ張れてないよ!っていうユルさも含めて「コレが『トワイライト・サーガ』なんだろうねぇ、せっかくここまで付き合ってきたんだから、まあ最後まで見ようかねぇ」と、ごくごく消極的ながらもなんとなく楽しめていない事もない私ではありました。一応、それぞれのキャラの行く末が気にならない事もないですし。それにしても、結婚式に出席した花婿の親戚一同全員具合が悪そうな顔色してるって誰かツッコまないのかねぇ?
[映画館(字幕)] 5点(2012-03-25 16:59:15)
378.  シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム 《ネタバレ》 
前作からずっと「原作から離れた全く新しいイメージのホームズです」って状態だったのに、クライマックスで「滝の上にホームズとモリアーティを立たせるな!(笑)」と突如として原作シリーズを読んだ事のある人間を楽しませるような展開になって、むしろ映画だけじゃラストの展開が意味不明になってないかなぁ?なんて心配になったりして。この映画、ホームズファンをどうしたいんだ? まあ、それはともかく、肉弾戦型ヒーロー、とりあえずドカーン!とやらかさにゃ話は進まないってパターンは相変わらず、前作であんなに頑張って救ったヒロインを早々に退場させちゃったり、森での逃走以降がぷっつりテンション切れちゃって、そこから後が蛇足的にグダグダしちゃったりするあたりは不満ですが、二作目ともなると、このホームズとワトソン君にも愛着が湧いてきて。ホームズがボケてワトソンがツッコむってパターンを(ちょっといしいひさいち版みたいだ)存分に楽しませて貰えれば、それで十分なのかな。ロバート・ダウニーJr.にはどうか、アッチの社長との演じ分けを頑張って頂きたいところですが。ロンドンの風景も音楽もステキだし、冒険活劇ホームズもアリでしょう。あまりゲイっぽさは出さなくていいと思うケドね・・・。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-25 16:31:12)(良:1票)
379.  TIME/タイム 《ネタバレ》 
時間に支配されるという設定はとても面白いのですが、なんともユルユルな映画でして。映画の中で発揮される力のベクトルが曖昧で、色々とハンパな状態であると思うのですよね。アンチユートピアの基本設定がちゃんとSFとして昇華されていない、徹底的に細部のディティールまでを設定していないから、それおかしいだろ?って箇所だらけになっちゃう。時間を通貨として単純に置換し過ぎなんです。この『銀河鉄道999』的テーマを抱えた作品は、「限りある命の物語」のハズが資本主義経済に対する疑問のようになってしまい、反社会的分子の物語へと堕してしまっているようで。それとて、そちらに突っ走りきれてなく、SFにもファンタジーにもなれずにあちこち曖昧。限られた時間が生み出すギリギリのサスペンス、っていうのも時間の扱いが意外と雑なので、唐突に訪れる危機!の繰り返し。階層によって区切られた地域、あれが、じゃあ具体的にどのような地図を描いているのか、そこを追う者、追われる者がどのように移動する事になるのかも、もう全然把握させるように描かれてはいない訳で、追う側のベクトル→に対して、追われる側が同一方向→に銃撃してみせるというマヌケなミスショットにも象徴されるように、物語がどこを目指すのか、どこに向って突き進むのか、もうヘナヘナな状態。ロボット出しただけ、宇宙船出しただけでSFにはならないように、雰囲気だけでSFにはならないのよね。でも、アマンダはステキざんした。あの髪型はどーかと思うケド。
[映画館(字幕)] 4点(2012-03-25 15:49:49)(良:2票)
380.  戦火の馬 《ネタバレ》 
スピルバーグは一貫して喪失の映画を撮ってきていて(失われた何かを取り返そうとし、例え取り返せたとしてもその結果はせいぜいゼロに戻るくらいで大抵はマイナス)、この馬の視点で描かれた新作もまた、ひたすら喪失の物語でした。シネスコの横長画面をスピルバーグらしいクレーンショットと横移動主体で捉えたノスタルジックな映像は、延々と戦争がもたらす別れと死を綴ってゆきます。『プライベート・ライアン』のように、あるいは『宇宙戦争』のように直接的な死の匂い、血の匂いを前面に叩きつける事はありませんが、馬の瞳に映るそれは無常感に満ちた世界であると言えます。そんな中に仄かに光る人間という生物への希望、その甘いオプティミスティックさ加減に違和感が残らないとは言い切れないものの、これまで人の世の無常をこれでもかとぶちまけてきたスピルバーグの、これが精一杯の人間賛歌だと捉えたいと思います。まあ、最終的に人よりも馬の印象ばかりが残ってしまう映画ではあるのですが、それもまた一貫したスピルバーグらしさという事で。
[映画館(字幕)] 8点(2012-03-04 14:48:00)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS