41. アバウト・ア・ボーイ
原作者が『ハイ・フィデリティ』と同一というのも納得。30分を1単位としてスケジュール管理するところ、自由気ままな生活を「孤島」と表現するあたりのユーモア・センスは似ている。親の印税で暮らす身勝手な男ウィルと情緒不安定な母を持つ多感な少年マーカスの友情がメイン。これだけを聞くと、感動の押し売りか?と勘違いしそうだが、そうではない。この映画は泣かせようとはしない、例えばラストの学校での演奏会。マーカスが一人で罵声を浴びながら歌っていると、ギターを持ったウィルが途中から参加する。泣かせる場面か?と思わせるが、ウィルは自分の世界に入ってしまい、マーカスが歌い終わった後も気分良く歌い続ける。まさに感動的な場面が台無し、でもこのさばさば感が新鮮だったりする。それと最後に忘れてはならないのが、音楽全般を担当したバッドリー・ドローン・ボーイ 。個人的大好きなアーティストで劇場公開前から、サントラを聴いて酔いしれていたが、これほど見事映画にマッチしているとは思わなかった。サントラとはいうものの、全曲自身の作曲でオリジナルと何ら変わりない、必聴ですよ。 8点(2003-03-30 18:17:52) |
42. ソードフィッシュ
ジョン・トラボルタをはじめ登場人物が実にスタイリッシュに描かれている。クールでかっこいいといった陳腐な感想が口から出そうなほど。それなりに楽しめる映画なのだが、いかんせん話自体がごちゃごちゃしすぎている。さらにアメリカを守るテロリスト、システム侵入の過程などおかしな表現がなおさら混乱を誘う。そもそもメッセージ性がないのだから、シンプルにスタイリッシュにテロリストを描いた方がより楽しめたのでは。 5点(2003-03-27 16:47:12)(良:1票) |
43. インビジブル(2000)
透明人間という素材を生かし切れていない。こういう映画は面白ければどんな設定でも許されるが、面白くなければ語り継がれる駄作となる。 1点(2003-03-26 16:12:04) |
44. デッドマン(1995)
主演ジョニー・デップがそもそも失敗。ジム・ジャームッシュの場合、癖のある役者を撮らせたら、それこそ水を得た魚のように無限な広がりをみせるのだが、今作みたいに内容により人物像を浮きぼらせる展開には向いていないように思える。というのも、彼の作品は内容うんぬんではなく、デティールにこだわった人物描写が素晴らしいのである。好きな監督で10点を2作もつけているが、今作は彼特有の空間、沈黙を楽しむには至らない。最後にニール・ヤングによる即興のギタープレイは圧巻だった。 2点(2003-03-26 15:53:54) |
45. サイダーハウス・ルール
全体を優しく包む包容感、ラッセ・ハルストレムらしいほのぼのとしたヒューマン・ドラマ。劇中流れる音楽も秀逸、特に孤児院にもどるシーンでは映像との見事な融合により実に感動的だ。 8点(2003-03-26 09:37:50) |
46. 愛が微笑む時
ロバート・ダウニーJr. の演技は素晴らしい。霊が乗り移った瞬間、コロッと女性ぽくなったり、乱暴な男になったり、不自然さを感じさせない見事な演技だ。肝心の内容だが、実にありきたりで感動させることをベースに書かれた脚本といった印象。たしかに、泣き所は沢山あるが、個人的にはひとつに絞ったほうがより大きな感動を得られると思うがどうか。 4点(2003-03-25 17:25:25) |
47. ストレンジャー・ザン・パラダイス
この映画を一言でいえば沈黙の美学。この作品はとにかく沈黙が多い、エヴァが出ていった後のウィリーとエディ、そしてエヴァの彼と3人で映画を見るシーン(かなり笑える)は特に沈黙が長い。もしそれを退屈に感じたのなら、残念ながら今作はあなたに向いていない。例えば、意味もなくテレビを見るウィリーとエヴァのシーン。話のかみ合わない二人はブラウン管から流れる異星人がどうのといったくだらない番組を意味もなく見る。そして生まれる沈黙の空間。なぜか無駄がない完璧なシーンに思え引き込まれる。それは人間のさり気ないしぐさ、ディテールまでこだわるジム・ジャームッシュ だからこそなし得た結果なのだ。仲がとりわけていいわけでもない、価値観も違う、すれ違いばかりの3人。人によっては、ラストに物足りなさを感じるかもしれない、それは結果ばかり求めて過程を楽しんでいない証拠だ。楽しいのではなく、楽しめるかどうかが問われている。個人的には何度も見たいと思わせる作品。 10点(2003-03-25 09:05:03)(良:3票) |
48. ベティ・サイズモア
レニー・ゼルウェガーがいなければ間違いなく駄作。モーガン・フリーマンがクリス・ロックとともにお馬鹿な殺し屋を演じているが明らかなミスキャスト、クソも面白くない。よって、レニー頼みの映画。それにしても、彼女はいい、これほどのお馬鹿役を演じてもどこか憎めない。美人ではないが愛嬌のある顔、なんとなく応援したくなるキャラクター性。今後もこういう役どころ演じてもらいたいね。 6点(2003-03-24 16:35:49) |
49. ステラ
ホームドラマ調な雰囲気が個人的に合わない。それとレビューがこれだけ「泣ける」のオンパレードなのも驚き。視聴者の涙腺を試す映画なのか。たしかに最後の場面はうるっときたけど、内容がどうのというより、シチュエーションにだから。泣けなかった者としてはこの点数が精一杯。 4点(2003-03-23 22:29:52) |
50. トレーニング デイ
単純に面白い作品。「善」と「悪」の図式だろうが、二人とも刑事だし、デンゼル・ワシントン にそれほど悪人性を感じられない、よって主のテーマとしては脆弱。見所は別にある、デンゼル・ワシントンの反面教師ぶり、イーサン・ホークが汚れていく過程が見せ場だろう。デンゼル・ワシントン が悪人に徹していないため、こちらにも感情移入できる要素がある。そこらへんの不安定さが、面白い止まりの要因なのだが、徐々に明かされる罠、そしてイーサン・ホークが正義を貫くのかなど終始ハラハラさせられる展開だけで十分楽しめる。 7点(2003-03-23 16:58:30) |
51. 17歳のカルテ
まさに女版「カッコーの巣の上で」。リサ演じるアンジェリーナ・ジョリーの魔性の魅力に溢れた作品。少女達の心の闇が精神病院を舞台に描かれいる。17歳故に繊細な心を持つ者、自分をコントロールできない者など多感な少女が、カリスマ性を持ったリサにより変化する様子は見応えある。最後に難点を一つ、ウィノナ・ライダー が17歳という設定だが、なんぼ幼顔とはいえ、笑ったときに出るしわが痛い、なんぼなんでも無理があるのでは? 8点(2003-03-21 23:24:51) |
52. タワーリング・インフェルノ
ハリウッド産パニック映画の最高峰。年々CG加工により映像技術が向上しているが、皮肉にも70年代に産み落とされた今作を越えるパニック映画に巡り会えていない。豪華キャストでも有名な作品だが、特にスティーブ・マックィーンは現代の俳優にはないスター性を感じる。「大脱走」もそうだが、彼の一挙手一投足がみる者を引きつける。俳優、演出、迫力ある映像が見事融合した秀作。 7点(2003-03-20 09:47:05) |
53. カリートの道
内容よりまず、主演アル・パチーノに拍手を送りたい。ギャングから足を洗いたいが、義理人情が堅くなかなか第一歩を踏み出せないカリートを見事演じきっている。個人的にはそれほど好きな役者ではないが、威厳と寂しさが同居した顔はとても印象的だ。冒頭いきなり、カリートの撃たれるシーンで始まり、過去に戻るパターンなのだが、当初は生きるか、死ぬかの緊張感がそがれるのでは?と心配したが、逆に誰が撃ったのか?といったサスペンス要素によりさらに高まっている。特に後半のマフィアに追われる場面は、タイムリミットが相乗効果となり、なみならぬ緊張感が漂う。誰よりも仲間を思う、カリートが最後に裏切られる結末は何とも切ない。 8点(2003-03-19 15:49:16) |
54. ディープ・インパクト(1998)
黒人のモーガン・フリーマンが大統領。この映画で唯一共感できた部分。 3点(2003-03-17 19:59:35) |
55. ミッドナイト・ラン
スタンリー・クレイマーの「手錠のままの脱獄」に非常に似ている作品(レヴュー数みると気付く人は少ないかなぁ)。たぶん、監督自身かなり好きな映画なんでしょう、。貨物列車に飛び乗るシーンなんてパクリの領域だが、クレイマーに対するオマージュと捉えておきましょう。まぁそこらへん目をつぶっても、この映画は非常に面白い。とにかくコミカルでテンポが良く、見ていて飽きない。ロード・ムービーの要である、旅仲間の会話もロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディンの息のあった駆け引きで魅せてくれる。個人的には目の鋭い黒人F.B.I.捜査官がお気に入り。部下が近寄るたびに「悪い知らせか?」と聞く小心ぶりが笑えた。久しぶりに肩の力を抜いて楽しませてもらった作品、もちろん最高。 8点(2003-03-17 19:34:31) |
56. テルマ&ルイーズ
テルマ&ルイーズの主従関係が次第に逆転する過程が実に面白い。個性的な女二人に比べ、男性陣の物足りなさを感じるが、それもリドリー・スコットの狙いなのか?個人的には理想とするロード・ムービーとはかけ離れているが、自由に身を任せた二人が終始爽快で見ていて気持ちよい。ただ、最後のシーンは劇的に終わらせようとする、制作側の狙いが見え見えで冷めてしまう。強要される感動はどうも好かない。 7点(2003-03-17 10:05:14) |
57. フェイス/オフ
ニコラス・ケイジの哀愁漂わせる悲しい顔、最高です。まぁそれはいいとしてアクション映画って理屈で楽しむものではないよねぇ、だからおかしいだの、無理があるだのは言いっこなし。アクション映画自体、非現実なんだから。スタイリッシュで爽快ならOKでしょう。そういう点でいうと、この映画は合格点でしょう。 7点(2003-03-16 23:23:28) |
58. マトリックス
例のCGフル活用のアクションシーン。劇場公開時はそれなりの衝撃があったが、今では多くの映画で乱用され、ありがたみもなくなってしまった。こうなると、この映画の見所は何?年々評価が下がる、右肩下がりな映画。 4点(2003-03-16 22:48:35) |
59. ファイト・クラブ
道徳性を否定した暴力描写、どうもテーマ性が見えてこない。狂気を描いたのか、それとも人間の本質を描いたのか。どちらにしても、胸に訴えてくるものはなかった。ブラッド・ピットに魅力を感じない者としては、見所なき作品に感じてしまう。 4点(2003-03-16 20:37:00) |
60. ジャッキー・ブラウン
面白いのだが、タランティーノ作品だけに物足りなさが残る。彼の作品は躊躇なく人が殺される、いわゆるバイオレンス・シーンが多いのだが、パルプではコミカルに描き嫌悪感を上手に消していた。さらに登場人物もサミュエル、トラボルタ、ユマ・サーマンとひと癖もふた癖もある人物で個性的な会話だけでも楽しめたほど。それに比べ今作の場合、癖のある登場人物がサミュエル・L・ジャクソン一人と極端に少ない。そう、コミカルさが今作においては不足している。そのため、狂気と笑いの絶妙なバランスが崩れ、テンポも悪くなり悪循環を生んでいる。こうしてみると、パルプがどれだけ完成された作品なのか理解できる。 6点(2003-03-16 19:54:05) |