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飛鳥さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1679
性別
自己紹介 今まで観た映画の記録を整理したくなり、レビュー開始。
物忘れが良いのでメモを残しておかないと、印象薄めのものは内容をすっかり忘れていたり、前に観た映画も初見かと思って後半にようやく気づくなんてことも。
備忘録を兼ねているので、ほとんどのレビューはネタバレで書いてます。

10 至高の殿堂入り
9 心に残る傑作 
8 もう一度観たい佳作
7 面白い
6 そこそこ面白い
5 普通
4 それほど面白くはない
3 面白くはないが見どころがなくはない
2 全然面白くない
1 酷い駄作
0 呆れ果ててもはやネタレベル

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41.  ウルフ・オブ・ウォールストリート 《ネタバレ》 
得意の口八丁で、クズどもとバカにしている客相手にクズ株を売ってボロ儲け、ドラッグでぶっ飛びながらの乱痴気騒ぎ。 すがすがしいくらいの拝金主義者の下衆っぷり。 既婚者なのにセクシーな美女に積極アプローチして、妻とはあっさり離婚。 自らの欲望にひたすら忠実な俗物の超成金セレブ生活。 それはもちろん、詐欺まがいの口車に乗せられて株で大損した犠牲者の上に成り立っている。 ウォール街の風雲児が社員をその気にさせる術は、新興カルト宗教の教祖、自己啓発セミナーのトレーナー、マルチ商法のカリスマ社長に通じるものが。 以前、マルチ商法で成り上がった社長のスピーチを生で聞く機会があったが、雰囲気や盛り上げ方がそっくり。 大っ嫌いなタイプの人種だが、偽善者のいやらしさはないせいか、映画の主人公としてはおもしろい。 調子に乗ってバカをやるところも含めて、ある意味純粋な印象さえある。  結局仲間を売って自分の刑期を大幅に短縮させた主人公。 自分が張本人のクセにとんでもないヤツだが、ここまで徹底できるなら人生としては楽しそう。 それに比べて、職務に忠実にロイを追い続けた捜査官が、暗い顔でうらぶれた人たちと地下鉄に揺られている姿が印象的でせつない。 ロイが恨みを買った誰かに刺されでもしたほうが、因果応報でスッキリとはするのだけれど。 それにしても、司法取引っていうのはいつもおかしな制度だと違和感を感じる。 犯罪や裁判の多い社会ならそうしないと回っていかないのか。  世間では狂気に見えることが、ウォール街の常識だったりする。 当然フィクションもあるだろうけど、同僚の金魚を食べたり、豊胸手術のために丸刈りしたり、数々の実話がエピソードとして使われているようだ。 ジョーダンとドニーが薬の過剰摂取でヘロヘロになってるいがみ合っているシーンは笑える。 深刻な事態もあくまで明るくカラッとテンポもいい。 人物的には日本のホリエモンをちょっと連想させるが、デカプリオとでは顔面偏差値が違いすぎて。 もうちょっとイケメンだったら、事件後も人気者でいられたのだろうか。  スコセッシ映画の中では一番おもしろかった。 齢70に届いたおじいちゃんが作ったとは思えないほど尖っている。
[DVD(吹替)] 8点(2015-04-14 22:57:05)(笑:1票) (良:1票)
42.  ゴーン・ベイビー・ゴーン 《ネタバレ》 
珍しくマジで腹が立った映画。 作品ではなく主人公に対してだ。 犯罪者に組するような人権弁護士が大嫌いなのだが、それに匹敵する嫌悪感。 あの少女が老人の愛情の元で育てられるのがいいか、養育能力のないジャンキー母の元で育てられるのがいいか。 間違いなく少女にとっては不幸な選択だったと確信するが、主人公はどんな責任も取れるわけがない。 中途半端な遵法精神と正義感を振りかざした頭の堅さで、何人もの人間を不幸にした。 それで正しいことをしていると信念を持っているところが、悪人よりも始末が悪い。 別れていった彼女に共感する。  モーガン・フリーマンが早々に引退して姿を消したので変だなと思い、事件の隠れキーマンだと気づいてしまう。 サスペンスでは特にネタバレを警戒して事前情報はできるだけ入れないようにはしているが、こればっかりは仕方ない。 このキャスティングがネタバレのマイナスに。 ただ、その存在感はやっぱり光っており、痛し痒しといったところか。  見終わって後味がよくないし好きにはなれないが、感情が揺さぶられたのは確か。 どんな監督かと興味を持ったら、主演ケイシー&監督ベンのアフレック兄弟の作品だったのか。
[DVD(吹替)] 8点(2015-01-31 23:57:39)
43.  アフターショック 《ネタバレ》 
地震になるまでが長い。 チリ地震のパニック映画という予備知識はあったので、もしかして違う映画かと思ったほど。 まったりしすぎているが、後半がそのギャップで引き立つのと、人物にある程度思い入れを持たせてくれる効果はある。 パニックものでは特に、思い入れがあるのとないのとではハラハラの度合いが全然違ってくる。 エキストラ同様の人物が死んだところで、ほとんど他人事になってしまうので。  地震や津波といった天災も悲惨だけれど、それに伴う醜悪なエゴや争いによる人災のほうがもっと悲惨。 日本の震災では民度の高い助け合いのほうが多く見られたようだが、国によってはこうした暴動や凶行も十分起こりえるのが怖い。 無法地帯の修羅場と化して、人間の醜い部をこれでもかとばかりに露出させてくる。 善意で助けようとする人も、報われることなく地獄絵図に。 もう踏んだり蹴ったりでとことん救いのない、悪趣味ともいえる映画。 製作・脚本・主演を担うのが『ホステル』のイーライ・ロスだとわかってなるほどなと。 ワインセラーの女性ガイドや掃除のおばさん等、最後までストーリーに絡んでもおかしくないキャラでも序盤からバンバン惜しげもなく死なせていく。 その死に方もむごたらしくて、パニック映画というよりもホラー系のグロさが前面に出ている。 後味が悪すぎてあまり好きなタイプの映画ではないものの、明確なコンセプトに沿ってよくできているし、感情を揺さぶるインパクトはある。  再鑑賞。次から次に嫌なことが起こる映画。どんな顔して作ってるんだろうと、ふと思った。
[DVD(吹替)] 8点(2015-01-20 02:53:02)
44.  リトル・ミス・サンシャイン 《ネタバレ》 
こんな車には絶対同乗したくない。 そう思わせるギスギスした空気。 登場人物が個性的で実にいい。 バツ1子連れの母。 言うことは立派だが実の伴わない短気な父。 退役軍人でヘロイン使用がバレて老人ホームを追い出された祖父。 ニーチェに影響されて夢を叶えるまで口をきかない兄。 ミスコンで優勝を夢見る無邪気な妹。 そんな一家に、自殺未遂を図ったゲイの伯父まで加われば、珍道中にならないわけがない。  マイクロバスは故障で、押しがけしないと走れない。 祖父が薬物中毒のためかポックリ逝ってしまう。 兄は色覚異常が判明してパイロットの夢が絶たれる。 父は浮沈を賭けたビジネスの契約に失敗。 次から次へとトラブルに襲われて、青息吐息の崩壊寸前。 それでも何とかミスコン会場に到着したものの、参加者のレベルの違いは歴然。 出場しても恥をかくのがオチなので、父は辞めさせようとするが、母は本人の意思を尊重すべきと主張。 どちらも娘を思ってのことだが、結局出場するオリーブにどうなることかとヒヤヒヤさせられる。 もうこの時点で、どっぷり感情移入していったよう。 祖父から教えられた下品なダンスを未熟に踊る姿に、凍りつく会場。 いつの間にか家族の身になって、観ているこちらもいたたまれなくなる思いに。 そこからが感動的。  オリーブを傷つけまいとの思いで、一緒に盛り上げるために次々とステージに出る家族にハートを揺さぶられる。 恥ずかしくて痛々しくて、それでもって熱くなる何ともいえないシーン。 戸惑う観客の中で、一家の姿に共鳴する一部の観客が救い。 一家の表情は、それまでが嘘のように晴れ晴れとしていた。 オンボロバスは家族の思いやりと協力でやっと走り出せる。 この気持ちがある限り、負け組では終わらないはず。 ファミリーの良さを振り返らせるハートウォーミングな秀作だ。
[DVD(吹替)] 8点(2015-01-04 00:03:46)(良:1票)
45.  隣人は静かに笑う 《ネタバレ》 
結末が衝撃的との情報だけは知っていたものの、それでも予想外の結末だった。 意外な犯人でもいるのかと思っていたのだが、意外だったのは犯人ではなく犯行手口のほう。 怪しい人物が複数いたので、犯人探しにばかり意識がいって上手く騙された。 最初から主人公をテロに利用する策略だったわけだが、冷静に振り返ってみるとそんなに計画通りにいくものかとの疑問は残る。 ハメ手にものの見事に引っかかった形だけど、主人公のリアクションが少しでも違っていれば計画は頓挫したはず。 でも、脚本がしっかりしていてストーリーの流れが巧くて乗せられてしまう。 対テロ物のセオリーを覆し、テロリスト側の完全勝利というハリウッド映画らしくない後味の悪さ。 不快感は相当なものだけど、ハリウッド的予定調和ではないサスペンスの醍醐味はあった。 9.11以降では考えられない作品。 ありきたりの勧善懲悪やハッピーエンドに飽き飽きしているサスペンス好きにはオススメ。 ------- 再鑑賞。 バッドエンドの名作。
[地上波(字幕)] 8点(2014-10-30 19:38:13)
46.  初恋のきた道 《ネタバレ》 
ウッチャンが絶賛していた中国映画。 田舎娘の素朴で一途な思いに心打たれる。 愛する人のために一生懸命料理を作ったり、必死で馬車を追いかけて走ったり、失くした髪留めを探し回る姿が健気。 付き合っていたわけでもなく許婚でもないのに、待って待ってようやく結ばれて、深く愛し慈しみ合って添い遂げた二人。 夫の亡骸を思い出の道を辿って家に戻したいという老いた女の切なる思いが泣かせる。 そんな母の願いを叶えようとする息子の情愛に共感せずにはいられない。 駆けつけた教え子たちに運ばれ、愛する息子に見送られる人生は、名や金がなくとも本望だろう。  大恋愛に至る特別な出来事があったわけではなく、始まりはただの一目惚れのような形。 それがあそこまで情熱的に燃え上がるかという疑問もあるが、恋愛ズレしていない田舎の純真娘ということで消化できる。 夫の声を聞くために40年間学校に通い続けた。 何年か経てば冷める夫婦が腐るほどいる中で、奇跡のような関係、まるでおとぎ話だ。 ただ、うまくいったからおとぎ話になったけれど、そうでなかったら執着心の強烈な怖い女になった可能性もあるような…。 ストーリーはシンプルで何ということもないのだが、大自然の風景とともにその情愛が心に染みてくる。
[地上波(字幕)] 8点(2014-10-17 01:08:00)
47.  エスター 《ネタバレ》 
てっきりオカルトものかと思っていたら、バリバリのホラーサスペンスだった。 夫のあまりの鈍さとマヌケっぷりに、主人公と一緒にイライラがマックスに。この時点で制作者の術中に完全にハマっている感じ。無能な善人ほど頼りにならないものはない。いざという時に父親が子供を守れないで何をやってるのかと、もう一度観ても同じようにイライラしてしまう。  二人子供がいるのに養子をもらう設定に無理はあるものの、エスターの不気味さがそんなことも忘れさせてくれる。口のきけない天使のように可愛い妹との対比で余計に引き立つ。 言動があまりに子供らしくなかったことにもちゃんと理由があって腑に落ちる。前半のシーンにも真相に繋がる前フリが散りばめられていて感心する。「時間はいっぱいあったから」というような何気ないセリフや、永久歯を隠そうとしたことなど、うっかりすると見逃してしまう。 本編のラストも悪くなかったけどよくある展開なので、特典映像の別エンディングの方がイっちゃってる感が増して良かったかも。
[DVD(吹替)] 8点(2014-09-09 20:27:57)
48.  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 《ネタバレ》 
ファミリー向けアドベンチャーものかと思っていたら、最後でひっくり返された。 虎との同舟、ミーアキャットの大群、夜になると水が酸性に変り動物を溶かしてしまう食人島――。 だんだんとリアリティが怪しくなり、途中でこのおじさん(主人公)話を相当盛ってるなと感じてはいたが、まさかそういうオチだったとは。 最初の疑問は、シートの下には虎もいたはずなのにハイエナが生きていたのはどうしてだろうということだったが、深く考えずに物語世界に入っていた。 見終わると、引っかかっていた疑問もああそうだったのかと腑に落ちる。  虎との漂流話で映像美とその迫力に圧倒され、それが主人公の創作だったことにはある意味拍子抜け。 突然提示された二つ目の物語に混乱し、なかなか整理がつかない。 でも、終わった後に物語に隠されていた意味を考え始める。 そして、もう一度見ていろいろ確認したくなる。 隠喩の多い映画は映像と理解にタイムラグが出るので好みではないのだが。 どんでん返しも咀嚼するのに時間がかかる。 最初は夢オチと同じような肩透かし感があったけど、哲学的、宗教的な意味もあって思ったより深かった。  すごい→何じゃこりゃ?→やっぱりすごいかも、と不思議な鑑賞体験。 人間は心の中に虎を飼う――中島敦の「山月記」がふと浮かんだ。 アン・リー監督の他の作品も幾つか見たが、なんだか印象に残る作品を撮る監督だ。
[DVD(吹替)] 8点(2014-08-02 14:24:33)(良:1票)
49.  テキサスの五人の仲間 《ネタバレ》 
五人の仲間とはそういう意味だったのか。 最後まで観て腑に落ちた。 事前情報なしで観ることができ、気持ちよく騙してくれた。 そういう意味では「スティング」のような面白さがあったけど、欲をいえば登場人物に惚れこむまでには至らなかった。 よくできた物語という印象。
[DVD(字幕)] 8点(2014-04-05 20:49:24)
50.  フォー・ザ・ボーイズ 《ネタバレ》 
最初はどこにでもいるオバサンに見えたベット・ミドラー。 これが主演だとちょっと厳しいかなと思っていたら、どんどん存在感を放ってくる。 ベトナム前線基地の慰問で若い兵士たちを前に歌った「In My Life」は鳥肌もの。 いわゆる反戦映画だが堅苦しいところはまったくなく、ディクシーとエディのコンビを中心に味わい深いヒューマンドラマになっている。  二人のかけあいは長年連れ添った夫婦漫才のよう。 お互い自己主張が激しいので始終ぶつかってしまうが、切っても切れない絆が感じられる。 おかしかったのは、エディが勝手に朝鮮戦争の慰問を発表し、その仕返しにディクシーがエディの10万ドル個人献金を発表したシーン。 オンエア中なのでお互い否定するわけにもいかず笑顔でステージを終えたものの、幕が下りた瞬間に幕越しに喧嘩している二人の姿が笑える。 こうしたユーモラスなシーンも物語に配置されているので、戦争がらみの重い話の緩和剤になってくれる。 ディクシーの毒舌とユーモアはどこかミヤコ蝶々に通じる味わいがあっていい。
[ビデオ(吹替)] 8点(2014-03-16 00:43:16)
51.  カリートの道 《ネタバレ》 
同監督の『スカーフェイス』よりこちらのほうがいい。 生え際の後退した弁護士がショーン・ペンだとはまったくわからなかった。 薬中のイカレた悪徳弁護士を好演し、主演のアル・パチーノを引き立てている。 身内からも裏切りが当たり前のようにある汚い世界は『仁義なき戦い』のよう。 そんな中で、借りは返さずにはいられない義理堅い男カリートの不器用な生き方は応援したくなる。 カリートの夢は足を洗ってレンタカー屋になって愛する女と平穏に暮らすこと。 その夢が裏切りによって潰える最期は哀れを誘う。 悪の道にいったん浸かってしまうと抜けられない定めか、それも所詮は自業自得ではあるのだけれど。 マフィアからの逃亡劇は見どころの一つだが、追っ手が超肥満男や年くったオヤジでは間が抜けていて少し滑稽だった。 ああいうのは普通もっと若くて動きのいい兵隊にやらせるだろうに。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-12 18:14:20)(良:1票)
52.  イヴの総て 《ネタバレ》 
1950年の作品なのに古さを感じさせないおもしろさ。 そこに人間の普遍性があるからだろう。 『十二人の怒れる男』を観たときと似たインパクトがあった。 古典的名作であることは知っていたが、タイトルからイメージしていたストーリーとはまったく違っていて良い意味で裏切られた。 物語の背景がネタバラシされた後で聞く受賞スピーチの白々しさがすごい。 冒頭から最後のオチまで非常にうまく作られており、無駄のない構成、緻密な人物描写にアカデミー作品賞にふさわしい映画だと感心させられる。 ベティ・ディヴィスが往年のスター女優マーゴを演じて、なんて嫌な女なんだと思っていたら、それがかわいく思えるほどの計算高く腹黒いヒロインに舌を巻く。 前半は健気に思えたアン・バクスターが、次第に世にも怖ろしい女に見えてくる。 このヒロインがコロンボの『偶像のレクイエム』に往年の大女優役で出ていた人だとはまったく気付かなかった。 新人女優役で出ていたマリリン・モンローが若い。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-01 15:22:56)
53.  シンドラーのリスト 《ネタバレ》 
ホロコーストの悲惨さが淡々と進むモノクロの画面からひしひしと伝わってくる。 金儲け主義でユダヤ人を利用しているにすぎなかったのに私財を尽くしてもユダヤ人を救おうとした主人公。 最初から聖人君主でないところが人間臭くて良い。 ただ、クライマックスとなるユダヤ人労働者へのスピーチは、それほど胸に染みてはこなかった。 嘘ではなくても演説で訴えると、見慣れた政治家の偽善のように感じてしまうからだろうか。 それでも史実の重みを感じる大作であるのは間違いない。 人を人と見なさない時、その相手にどこまで残虐になろうと害虫を駆除するのと同じで心に痛みは感じなくなるのだろう。  個人主義が行き渡ると他人はどうなろうと知ったこっちゃないという傾向になりがち。 人との関わりの中で自分のこととして捕らえることがどの範囲までに及ぶかで、その人のスケールが知れる。 自分自身とせいぜい家族まではその範囲であることが多いだろうが、友人、会社、共同体、果ては人類にまで及ぶ人もいる。 シンドラーは自分の会社に関わった人には最終的に全財産を投げうってでも責任を持った。 救えなかった犠牲者が600万人ということを考えれば無力感に襲われそうだが、あの時代での行動は素直にすごいことだと尊敬するしかない。
[DVD(吹替)] 8点(2014-01-12 20:26:55)(良:1票)
54.  刑事コロンボ/殺しの序曲<TVM> 《ネタバレ》 
天才たちのどこかいびつなキャラがストーリーにうまく生かされている。 メンバーが殺されたのに推理ごっこを楽しむかのような天才たち。 ラストの自白も天才ゆえのプライドの高さをコロンボに利用されたから。 天才には悪妻が付きもの。 ソクラテス、モーツァルト、トルストイ――天才は悪妻が作るという言葉もあるように、犯人の妻も浪費家で、そのせいで横領に手を染め、挙句にバレそうになって殺人を犯すはめに。 それなのに、夫に横領の告白をされても「私、ビジネスのことは何もわからないわ」と平然と言ってのける、まさに悪妻の本領発揮。 金貨の論理パズルが面白く、類似のクイズを探して解いてみたくなる。
[DVD(吹替)] 8点(2013-11-25 19:53:14)
55.  刑事コロンボ/魔術師の幻想<TVM> 《ネタバレ》 
『悪の温室』以来となる久々のウィルソン刑事登場がうれしい。 新しいコートに馴染めないコロンボにもニヤニヤ。 二人がコンビを組むとお互いのキャラが引き立つので、作品がプラス1~2点増しに感じる。  ジャック・キャシディが犯人役を演じるのは『構想の死角』『第三の終章』についで三本目。 犯人の存在感が弱いとコロンボとの対決が盛り上がらないので、ジャック・キャシディのアクの強さは犯人としては打ってつけで重用されるのもわかる。 ステージ中に捜査を意図して手錠で挑戦するコロンボの厚かましさとプロ根性には頭が下がる。 飄々と追及を煙に巻くサンティーニも負けてないので見応えがある。 マジックという興味ある素材で、アリバイ作りにもヘッドアクトで利用。  決め手となった当時最新式ワープロの使い捨てリボンは、インクを使ったプリンターが普及した今では見かけることのない代物。 トリックや推理の決め手になるアイテムは、時代とともに使えなくなるものが多い。 DNAや着信記録など科学捜査でわかってしまうことも多いから、昔のほうがミステリーは作りやすかったのかも。
[DVD(吹替)] 8点(2013-11-24 01:18:09)
56.  刑事コロンボ/逆転の構図<TVM> 《ネタバレ》 
犯人の特性をつかんだコロンボの推理が冴える。 ダシュラーが暖炉で捨てたとされる被害者の写真を、実際に写真を捨てたカメラマンの犯人に見せて反応をうかがう。 写真としては失敗作だと批評するガレスコに、「ダシュラーは先生並み」に写真がわかるから捨てたのだろうと感心してみせる。 ダシュラーを犯人に仕立てたことを見抜きながら、真犯人にこうしたジャブを打っていくコロンボがいい。 最後の決定打ももちろん大事だが、それまでのジャブの質が作品の成否を占う重要なファクターになる。  犯人との攻防以外でお気に入りなのは、コロンボのキャラを生かしたユーモラスなシーン。 教会で恵まれない人だと思われて施しを受けそうになる場面が笑える。 教習所教官とのやりとりもそうだが、こうしたシーンはメインディッシュに欠かせない付け合わせになっていて、これがないとコロンボじゃないような。 ラストのネガ裏焼きのトラップも決まってニンマリ。
[DVD(吹替)] 8点(2013-11-13 21:01:39)
57.  刑事コロンボ/自縛の紐<TVM> 《ネタバレ》 
スポーツジム経営者が悪どい経営を暴かれそうになっての犯行。 コロンボが犯人に怒りを露にぶつけるのは珍しく『溶ける糸』以来か。 それほど嫌味で憎らしい奴として描かれているので、対決もそれだけ盛り上がる。 スタンフォードの電話は録音テープを利用して作ったものだったが、ジェシカに対して事務的なリアクションだったことから疑問を抱いたコロンボに見破られる。 その他にも革靴の跡、中華料理の出前、バーベルの重さ、スタッフォードの電話の内容など、細かい疑問や推理も見どころ。 このまとわりつくようなしつこさは、犯人が嫌な奴ほどおもしろい。 ユーモラスなシーンも散りばめられ、ビキニ美女にドギマギしたり、ランニングに付き合わされてヘロヘロになるコロンボが笑える。 ラストの決め手も論理的で、シリーズの特長がバランスよく味わえる佳作。
[DVD(吹替)] 8点(2013-11-11 21:28:49)(良:1票)
58.  刑事コロンボ/権力の墓穴<TVM> 《ネタバレ》 
コロンボと警察の上司との対決が見どころ。 交換殺人はサスペンスとして珍しい手口でもないが、コロンボのキャラがあるので楽しめる。 衣装戸棚に夫人の指紋がなく枕の下にガウンを入れる普段の習慣も見られない、電話に夫人の指紋がなく通話したという証言と食い違うなど疑問を次々とぶつけるコロンボ。 それに対して上司の権限を振りかざしてミスリードしようとする犯人。その攻防が魅せてくれる。 窃盗犯の協力を得て高圧的な上司をワナにはめるラストは実に痛快。
[DVD(吹替)] 8点(2013-11-08 19:56:52)
59.  刑事コロンボ/別れのワイン<TVM> 《ネタバレ》 
シリーズの中でも名作と誉れの高いだけのことはある。 コロンボが共感を覚える犯人の登場はこの作品からで、それまでの犯人像は冷血で利己的な憎むべき対象として描かれることが多かった。 殺された異母弟よりも純粋にワインを愛した兄のエイドリアンに同情してしまう。  ワインの専門知識がストーリーにうまく生かされている。 ワインはボトルからデカンターへ移しかえることで息づかせる。 ここでミスがあるとワインが台無しになるので、高価なワインは誰にも任せず自分でやる。 ところが、一度だけ(義弟の殺害直後)他人にこの過程を任せている。 エイドリアンは吉報へのお礼だと説明するが、「手は震えませんからね」とチクリと核心を突くコロンボの言葉に、水面下での攻防を見るようでおもしろい。  逮捕の決め手になったのもワインの性質に関わることだった。 犯行時、ワイン庫の空調を止めたために40度を越えた猛暑でワインが酸化してしまった。 このワインがダメになったことを識別できる舌を持つのはエイドリアンを含めてもごくわずか。 皮肉な話だが、いさぎよく自供を承諾する犯人に好感が持てる。 その伏線として、何よりも大切なワインがダメになったことと、秘書に秘密を握られ迫られていたことが効いている。 もともと善人なので、重荷を下ろして楽になりたい気持ちもあったのだろう。 ラストで乾杯する二人には互いへのリスペクトを感じる名シーン。
[DVD(吹替)] 8点(2013-11-01 21:45:06)(良:1票)
60.  刑事コロンボ/溶ける糸<TVM> 《ネタバレ》 
トリックや推理が頭抜けているいるわけではないが、ドラマとしてとても面白い。 野心家の医師、患者の博士、野心家の医師を疑い博士を心配する看護婦の人間模様がわかりやすくしっかり描けているので、物語に入っていきやすい。 コロンボが犯人にこれほど怒りを露にするのは珍しく、冷徹な犯人との対決色が強くて見応えがある。 ただ、手術スタッフにも監視されているのに証拠の糸をどうやって手にしたのか? さらに気づかれないようにコロンボの白衣に隠すのはマジシャンでもあるまいし少し無理がある。
[DVD(吹替)] 8点(2013-10-28 21:02:58)
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