881. 馬上の二人
《ネタバレ》 前半はですね。話が進んでいるようでちっとも進まず、スチュワートとウィドマークのどうでもいいようなグダグダ会話が繰り広げられ、救出劇のはずなのにいつになったら行動するんだ?という感じが、かえって心地よかったりするのです。しかし後半は、グダグダを通り越してぐしゃぐしゃどころか、ほとんど崩壊しちゃってるのではないでしょうか。それまでもっともらしく出てきていた脇役の処理はものすごく適当で、話をどこに持って行こうとしているのかがさっぱり分からない。そもそも収拾しているのかも分からない。監督または脚本家が途中で投げ出す何かがあったのかと思うくらい、強烈に雑です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-04-21 00:48:01) |
882. グランド・イリュージョン
《ネタバレ》 この作品が良いのは、肝心のマジックのシーンを、4人を格好良く、そして台詞回しもコテコテで撮りきっていること。マジックというのは現象面を見て楽しめばよいので、タネがつまらんとか怒るものではないのですよ。中盤のジャックの格闘シーンも、マジシャンならではの技があったりして、なかなか。ところが、そこから重心が捜査側にシフトして、4人の出番が少なくなって、急に失速してしまいました。こういう作品の捜査側は、あくまでも狂言回しあるいは引き立て役でいいんで、メラニー・ロランなんか完全に余計ですよ。したがってもちろん、黒幕の正体がどうのこうのもまったくの蛇足。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-04-20 00:14:30)(良:1票) |
883. 大砂塵
《ネタバレ》 導入部で、街の面々が酒場になだれ込んでくる。ヒロインはあくまで2階の室内バルコニーから応答し、なかなか降りてこない。キッド一味が闖入してからもそれはそのまんま。この「引っ張り感」がたまらないのです。このシークエンスとその次の一幕という一夜の出来事だけで、30分以上使ってます。●中盤以降も、随所に心理戦の要素を盛り込んでいて(キッドの部下の行動分岐に顕著)、飽きさせません。難点は、エマがとにかく鬱陶しいことと、ラストの対決がいかにも中途半端なこと。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-04-18 02:04:53) |
884. ドクトル・ジバゴ(1965)
これだけの手間暇を全部「外枠の形を作ること」に投入してしまって、中身がまったく伴っていない。登場人物がことごとく動かされているだけであって、動いてないのです。だから、役者の台詞や演技の一つ一つも、そうさせられているだけ、になっています。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-04-16 01:41:55) |
885. さよならをもう一度
実は若い頃のバーグマンよりも、こっちの方が魅力的なのではないか。生活に少し疲れた感じのほどよい色気が絶妙に発散されており、年下男がころりと参ってしまうのもよく分かる。ただ、作品としては、尺が不必要に長く、中盤で少しだれてしまっている。あと20分は短くできたと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2018-04-13 00:02:28) |
886. フォレスト・ガンプ/一期一会
《ネタバレ》 「アメリカ人って歴史の短さコンプレックスがあるから、こうやって『アメリカにも歴史はありますよ!』みたいにされると、ころっとやられちゃうんだよね」ととりあえずは言いたくなってしまう。また、しつこいナレーションも、本来なら、いい加減にしろと言いたくなるはずである。しかしそれでもこの作品にそこはかとない好感を持ってしまうのはなぜなのかと考えていたのだが、やはり、主人公フォレスト・ガンプの人物造形に尽きるのだろう。彼は、自分の話を聞いていない人にも、聞いてくれる人にも、とにかく語る、語る(何でそんなにテンションが高いの?という理由も、最後に分かる仕掛け)。どの人に対しても、誠実に、公平に、愚直に語る。その語り口は、迷いがなく、確信に満ちている(話の中に出てくる主人公の行動そのものと同じく)。だから、見る側の誰に対しても、一筋の希望の光を与える結果になっているのだろう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-12 02:05:25) |
887. ミルドレッド・ピアース
《ネタバレ》 こ、これは凄い。いきなり銃声で本題発生→鏡の向こうで閉まる扉、という導入のインパクト。そこから手際よく前置きを済ませ、一気に回想へ。その後も、先を読ませないドライブ感あふれる展開を維持しつつ、その中での研ぎ澄まされた会話の切り返しの鋭さ、濃厚さ、無駄のなさ。また、ウェイトレス上司出身のアイダがいい感じに場を引き締める一方で、元夫・現夫・友人のダメ男3人衆も、ところどころで妙に格好良かったり存在意義を示していたりして、それが物語のスリルを高めるという奇妙な効果を発しています。オチ自体は、伏線がはっきりしすぎていて、今日の基準ならかえって分かりやすかったりもするのですが、それにしても70年以上前にこんな洗練された作品があったというのは驚きです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-10 01:45:20) |
888. バラバ
《ネタバレ》 「イエス・キリストの処刑の日、どちらかを釈放することになって結局バラバが釈放された」ということは知っていても、それ以外のことはほとんど何も知られていないバラバの「その後」。なるほど、確かにそれは興味深い。このような、別の意味で十字架を背負ってしまった彼の苦悩や逡巡は、と思いながら見始めたら、いきなりただの酔っ払いオヤジでしかないところに笑ってしまう。その後も俗人っぷりは一貫しており、元カノが殉教しようと、軽々に悔い改めたりはしない。で、そこからさらに苦難の道が始まるのですが、全体として、重点を強調しつつもペースの良い脚本が巧妙で、最後まで一気に見せ切ってくれます。また、石打処刑とか鉱山爆発とか、ここぞというシーンを丁寧に撮っているのも見逃せません(コロシアムのくだりはやや時間割きすぎという気もするが)。そして、この主人公の存在意義がどこにあったのかということも終末近くで登場人物の1人によって語られており、最後の一瞬の説得力を増しています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-03 21:38:05) |
889. フォーカス(2015)
《ネタバレ》 前半でさんざん、人の視線のFocusがどうのこうのという話をしていて、その実戦部分を描いて、タイトルにまでしているんだから、後半もそれで勝負してくださいよ。あれだったら、さらに巨大な敵やラスボスが現れて、しかし指テクやチームワークでそれに対抗する、という展開を、誰もが期待するんじゃない?競技場のギャンブル対決はまだしも、その後は本来の設定が全然関係ありませんでした。●後半、ここぞというところで、イッツ・ア・ビューティフル・デイの"White Bird"という選曲のセンスは素晴らしい。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-04-03 02:17:17) |
890. ペギー・スーの結婚
監督がコッポラなんですよねえ・・・。本来、奇想天外ラブコメの方向になるはずなのに、あくまでもじわじわと、そしてじめじめと進んでいく。導入部の延々続く(そしてその間に、中心人物もどうでもいいサブキャラも含めてあれこれ無秩序に出入りしている)同窓会の流れは、どうみても重厚大作の作り方です。なので、いざタイムスリップが起こっても、主人公が感情のままに跳ねることができず、結局何がしたいのかがさっぱり分かりません。●ヘレン・ハントの若々しさも驚きですが、友人の1人役でまったく見せ場のないあのお方は、ジョアン・アレンじゃないですか。今からすれば、何ともったいない使い方・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-04-02 23:27:46) |
891. ターミナル
《ネタバレ》 主人公が背負った状況を考えると、すごく重いものがあるはずなのに、ベタにも軽快にもせずに普通に流しているのがいい。ラストの部分も、たかが30分前後のためにそれまでの数か月間があったという一筋のまとまりを見せていて、良い。ただ、根本的な問題として、トム・ハンクスにこういう役をやらせると、あまりにも安定感がありすぎて、何をやっていても危機感に乏しいのですね。だから、作品のドラマ性は減殺された気がします。中盤も、少しだれていたと思います。 [映画館(字幕)] 6点(2018-04-01 02:36:46) |
892. キューティ・バニー
ただの説明ナレーションで始まる陳腐な出だしと、見た目も中身もまったく魅力が感じられない主人公の安直な描写で、これはもしかしたらすごくつまらない作品なのではないかと思っていたら、まったくそのとおりだった。各登場人物の根本キャラクターができてない、というかワーワー騒いでいるだけなので、主人公の関与によって変化が、とか言われても、変化になってないのです。 [DVD(字幕)] 2点(2018-03-26 02:05:30) |
893. オール・ユー・ニード・イズ・キル
《ネタバレ》 この作品の最大の功績は、ビル・パクストン先生に最後の一花を咲かせてあげたことです。一応の前置きが終わって、いよいよ本題に入ったところで、ジャーン!とばかりにアップで登場。よっ!パク先生!その後、世界的スターのトム・クルーズを、いかにも小役人的に上から目線で馬鹿にしまくる描写。よっ!パク先生!で、何か意外に出番多いな、とか、まさかこのままチームトップとして活躍を!?とか思っていたら、トムがタイムリープに突入して以降は、加速度的に出番が減っていく。挙げ句、中盤以降は、「あいつは本当に新入りなのか?」とか、「小隊はどこへ行った!」とか、何とも情けないシーンがごく一部にあるだけ。これぞまさにパク先生。この作品の3年後に彼は天に召されますが、あなたは最後まで偉大でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-03-22 21:13:45) |
894. ザ・フライ
《ネタバレ》 装置が開いたらいきなり蠅男登場!ではなく、徐々に崩壊が訪れるところは良かったです。砂糖とか筋肉とか何気ないところで変化を積み重ね、終盤に向けて加速し、最後もうだうだ引っ張らずばっさり終わらせるというテンポ配分も絶妙。ただし、最初の主人公はもっとまともな一般社会人の設定にした方が、後半の悲劇性が増したはず。あれではもともと蠅男の一歩手前です(・・・)。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-21 23:25:13) |
895. グローリー
当時の再現ぶりにはなかなか気合が入っているが、それによって一体何が表現したかったのかというのがよく分からない。もっと絞って言えば、彼らが(白人側にしろ黒人側にしろ)何ゆえ銃剣を取って決起するに至ったのか、その部分はほとんど表現されていない。デンゼル・ワシントンも、期待して見たのだが、オスカーを取るほどの演技とは思えないが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-03-20 02:13:35) |
896. ビッグ・トラブル(2002)
《ネタバレ》 ところどころそこそこ面白くはあるのだが、やはり全体が雑。話が行き詰まったところで新たに登場人物を投入するということを繰り返しているので、結局は1人あたりの密度が薄い割に収拾がつかなくなっている。そもそも、警官も悪役も殺し屋も少年もFBIも、2人組である必要性が全然ないし、逆に、奥さんがティム・アレンに惹かれていく心理の綾など、そこに集中すればもっと笑いがとれそうな気がするのだが。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-18 23:57:12) |
897. 新婚道中記
《ネタバレ》 「夫婦が互いに浮気を疑って夫婦げんかになった」というたった1つのスタートから、スピーディーな会話の切り返し(主人公2人だけではない)によってぐんぐん話が広がっていく。戦前にこんな洒落た(オシャレとは違うよ)作品があったとはね~。脚本が巧妙なのは、結局、その疑いは合っていたのかどうかという点には立ち入っていないこと。この心理の綾があるので、登場人物が増えていくごとにさらに心理構造は重層的になり、そのギャップが笑いを生み出していく。終盤、まわりの人がいなくなってからは、急にテンションが落ちる気がするのだが、まあいいでしょ。ラストは、今日の脚本だったら、午前0時に離婚が成立した瞬間に改めてプロポーズとかをするんだろうけど、そこで寸止めをしてしまう奥床しさも、当時ならでは。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-03-18 01:19:20) |
898. ヘヴン
《ネタバレ》 内容の量に比べて尺が妙に短いし、ストーリー上は突っ込みどころ満載だし、結局は映像の美しさでカバーしちゃってるんだろ?という気はするのだが、それでもどきっとするショットがあるから見切られない。例えば、爆破寸前、エスカレーターで下るケイトと上昇するエレベーターを同時に収めた構図とか。それと、こういうのは、脱獄がばれて失敗したり、逃げたと思ってもすぐに警察がどこかで待ちかまえていたりするパターンに慣れてしまっていたので、何だかんだあっても一直線にハッピーエンドに向かう展開は、ちょっと嬉しかったりする。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-17 00:41:05) |
899. インセプション
《ネタバレ》 人の夢の中に入ってその人をコントロールしてどうこうとか、夢の中からさらにその先の夢に行くとか、発想自体は中学生のオタクレベルなのですよ。しかしそれを、これだけお金をかけて、これだけ仰々しい作りにして、豪華俳優たちを容赦なくああだこうだと走らせる。やっぱり、ノーランという人は変です。これだけやってて、すべてのことは、たかが個人の頭の中のことなのですから。そしてその変さが、たまらなく貴重です。ちなみに、一番凄いのはやはり、車の転落のところで、そこでは数秒間のことを延々としつこく各階層の並列進行を引っ張ったコテコテぶりだと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2018-03-15 01:08:55) |
900. やさしい嘘と贈り物
《ネタバレ》 タネを知らずに見ることができて、本当によかった。物語が動き出すところで、エレン・バースティンを可愛らしく魅力的に撮っているのが素晴らしい。こういう大事なところをきちんと押さえていると、全体的に荒削りなのも大目に見てしまう。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-13 23:39:09) |