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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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81.  チェ 39歳 別れの手紙 《ネタバレ》 
キューバ革命での成功体験に引き摺られたゲバラが、まったく状況の違うボリビアでゲリラの組織化にも革命のための世論形成にも失敗して自滅するという、普通に撮っていればそれなりに面白くなったはずの題材なのですが、これが前作に輪をかけてつまらないというどうしようもない仕上がりとなっています。 全員がひげ面に軍服であるため登場人物の見た目の判別が付きづらい上に、各人物の紹介場面や、観客に印象付けるためのイベントが皆無であるため、名前すらよく分からない人間がタラタラ行軍しているだけという、とんでもない内容となっています。さらには、彼らがどこを目指して行軍しているのかすら定かではなく、映画として最低限の情報すら観客に伝えられていないという体たらく。むしろ、彼らを追い込むボリビア政府軍の効率的な作戦行動の方が見ていて面白いほどで、ソダーバーグは何を考えて本作を撮ったのだろうかと終始不思議で仕方ありませんでした。 前後編合わせて4時間半近い上映時間は拷問に近く、ラストの処刑場面なんて「もういいから早く殺されろよ」と思ったほど。ソダーバーグの映画は二度と見たくないという気にさせられるほどの破壊力のある二部作でした。
[インターネット(字幕)] 1点(2017-03-20 21:56:54)
82.  チェ 28歳の革命 《ネタバレ》 
予備知識がなければまず付いてこられない内容だし、仮に予備知識があったとしても、史実のつまみ食い状態でドラマ性が低く、カリスマ的な指導者の人となりに迫る内容を期待すると裏切られるという、伝記映画としては最下層に近いほどの作品だと感じました。キューバ革命と後年の国連演説を交互に見せるという、いかにもソダーバーグが好みそうなトリッキーな構成はまるで効果を上げておらず、それどころかせわしなく場面が切り替わることがウザく感じられたほど。そういう小手先の演出なんていいから、王道のドラマをきちっと見せてよとフラストレーションが溜まりまくるという、精神衛生上非常によろしくない鑑賞となりました。 とはいえソダーバーグ監督作品だけに決して手抜きではなく、戦闘シーンのビジュアルや音響には圧倒的な迫力があります。迫力はあるのですが、戦況がイマイチ不明瞭で革命軍と政府軍のどちらが優位に立っているのかが分からないし、革命成就という大目標に対して目の前の戦闘がどの程度重要なのかという点も説明されないため、そこに感情が伴っていない点は大きなマイナスですが。 ベニチオ・デル・トロは、彼が本来持つ個性も手伝ってちゃんとカリスマ的な指導者に見えているのですが、カストロを含めた世界中の要人に会いながら7年かけて役作りをしたという努力の成果はさほど作品に反映されていません。そこにドラマがないため、せいぜいモノマネレベルに終わってしまっているのです。作品が悪すぎて素材も役者も持て余しているという、何とも勿体ない作品でした。後編も130分あるのかと思うと、ひどく気が重くなります。
[インターネット(字幕)] 3点(2017-03-20 21:55:54)
83.  トラフィック(2000) 《ネタバレ》 
まず、麻薬撲滅担当の大統領補佐官に就任した判事とその家族の物語。本作中最大のビッグネームであるマイケル・ダグラスが主演している関係上か、はたまた観客にもっとも近いアメリカ人家族の物語であるためか、作品中もっとも力点の置かれたエピソードとなっているのですが、これがまったくのダメダメでした。何がダメかって、マイケル・ダグラス演じるウェークフィールドの行動が出鱈目なこと。彼の権力を総動員すれば失踪した娘なんて簡単に見つけ出せるはずなのに、麻薬撲滅活動のトップにいる自分がスキャンダルに晒されてはならないからと個人で問題解決に当たっているうちに、事態はどんどん悪化していきます。また、娘が見つかったら見つかったで、今度は最悪のタイミングで「個人的な問題を抱えている自分では任を全うできません」と言って職務から逃げ出してしまう。あんたは一体何がしたいんだと呆れてしまいました。 次にベニチオ・デル・トロが主人公を務めるメキシコパート。デルトロのオスカー受賞から察するに、世間的にもっとも評価されているパートがこのエピソードのようなのですが、テレビドラマ『ナルコス』などを見てしまうと、本作の描写は完璧にパンチ不足。15年も後に制作された作品と比較するのは酷と言えば酷ですが、それでもメキシカンマフィアのヤバさはかなり控えめだし、サラザール将軍を売るという危険な決断に至る過程に存在したであろうデルトロ捜査官の葛藤も不足しており、「ちゃんと描いていればもっと面白くなったはずなのに」と残念になってしまう点が多々目につきました。 最後に、夫が麻薬密輸業者であることを知った有閑マダムとDEA捜査官の攻防を描いた西海岸パート。キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、デニス・クエイド、ミゲル・フェラー、ドン・チードル、ルイス・ガスマンと知名度も演技力もある俳優が多く配置されたこのパートがもっとも勢いがあり、娯楽性も高くなっています。追う者と追われる者の双方の視点で描かれることでドラマもサスペンスも絶好調に盛り上がるし、家族を守るという絶対正義の下で悪事に手を染めざるをえなくなった有閑マダムの存在によって、作品は善悪二元論に収まらない広がりを見せます。本作で評価されるべきはデルトロではなく、ゼタ・ジョーンズであったと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-20 03:18:36)
84.  ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 
老いたマイケルの物語と、ファミリーの子供たちの物語を同時に見せるという構成は第一作を踏襲したものであり、第一作でファミリーを継いだマイケルが、今度は後進を育成する側に回るという点がなかなか興味深かったのですが、残念なことに彼とヴィンセントの間のドラマはうまく流れていません。ヴィンセントは、登場場面こそ父親ソニー譲りの狂犬ぶりを見せて「こいつはちゃんとしつけねば」と観客を大いに不安にさせるものの、その後はさほどの暴れっぷりを見せることもなく、気が付けば三代目ドンの座に納まっているのだから、そこに感動も何もないのです。演じるアンディ・ガルシアの力量にも問題があって、第一作のアル・パチーノはドラマの進行とともに表情がどんどん変わっていき、普通の青年から大ファミリーを束ねるドンへの変貌ぶりをきちんと体現できていたのに対して、ガルシアには最初から最後までこれといった変化が見られませんでした。 1979年に発生したローマ法王暗殺疑惑をそのまま当てはめた本作の展開は、スケールが大きすぎて逆にピンとこなかったし、敵がまったくキャラ立ちしていないために、マイケルが一体誰と戦っているのかすら見失いそうになりました。芸術面でも娯楽面でも前2作からかなり後退したと言わざるをえません。 唯一興味深く感じたのはラストであり、一時は世界の権力中枢に迫るほどの勢いを持っていたマイケルがたった一人で亡くなる様は、孫との戯れの中で亡くなったヴィトーの最期と好対照をなしており、マイケルが最後の最後まで孤独な人間であったことを浮き彫りにしています。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2017-03-18 02:49:31)
85.  ゴッドファーザー PART Ⅱ 《ネタバレ》 
裸一貫でスタートしながらも、仲間を増やしつつトントン拍子で成功を収める若き日のヴィトーと、金も権力も持った状態でありながら、何かもがうまくいかないマイケルの対比。マイケルは優秀なビジネスマンではあるが、人間というものが見えていなかったのです。だから組む相手を間違えるし、身内のグリップにも失敗してしまう。そして、マイケルの行動原理は一貫してファミリーの合法化であったにも関わらず、事態を収拾しきれずに殺しでカタを付けざるをえなくなるという皮肉な結末。 本作はテーマの打ち出し方が素晴らしかったし、過去パートと現在パートを同時進行で見せるという製作当時としては掟破りの構成が監督の意図した通りの効果を上げているという点で、第一作並みに優れた作品だと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2017-03-18 02:48:40)
86.  ゴッドファーザー
冒頭、娘をレイプされた葬儀屋の親父の話をじっくりと聞いてやるヴィトーの存在感。彼がセリフを発する前の時点ですでに、この人に相談すれば物事が解決するのだなということが充分に伝わってきます。このマーロン・ブランドの魅力と、その演技に対して余計な干渉をしないコッポラの落ち着いた演出の凄さは本当に凄いと思います。 本作はキャラクター劇として優れており、ヴィトーをはじめとしたコルレオーネファミリーの面々に、憎たらしい敵対マフィアや汚職警官と、全員がキャラ立ちしています。また、3部作中ではもっとも娯楽性が高く、忍従を重ねたコルレオーネファミリーが、最後の最後に暴力的な手段で問題解決する様には適度なカタルシスが宿っていました。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2017-03-18 02:48:02)(良:1票)
87.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 
宣伝を見る限りではSFミステリーかと思いきや、冒頭で豪快にネタばらしをするためミステリー部分にはさして重きが置かれていません。2009年の『パンドラム』と似たような設定であるため、ミステリー部分を引っ張っても観客にとってのサプライズにはなりえないとした製作者側の判断があったのでしょうが、こうした取捨選択によってラブストーリーに重きを置いた簡潔な物語となっており、その判断は吉と出ています。ラブストーリーとしては、これがなかなか良くできているのです。惹かれあって、破局して、再生してという王道の展開がきちんと盛り込まれているし、クリス・プラットとジェニファー・ローレンスという今一番勢いのある俳優達の魅力によって、主人公カップルの好感度が非常に高くなっています。最後まで飽きずに楽しめました。 他方、SFとしてはあまり真剣に見られない作品となっています。宇宙船を運営しているのは民間企業らしいのですが、たった5,000人の乗客と物資を運ぶだけで恒星間航行のような大プロジェクトにかかるコストをペイできるようには見えないし、宇宙植民地にロマンを抱く入植者達はともかく、アヴァロン号のクルー達はどんな動機で人生を棒に振るような航海に臨んでいるのかも見えてきません。修理の技術を持つ主人公と、アヴァロン号のあらゆる区画へのアクセス権限を持つ船長がシステムエラーによって偶然に目を覚ましたことはご都合主義以外の何物でもないし、肝心の宇宙船修理も簡単な部品交換であらかた済んでしまうという激安ぶりで、考えれば考えるほどおかしな点が目に付く内容となっています。設定に対してもう少し丁寧な説明があれば作品全体の印象は格段に良くなったと思うのですが、たまに雑な部分があることは残念でした。
[試写会(字幕)] 7点(2017-03-15 09:16:48)
88.  ターザン:REBORN 《ネタバレ》 
ターザンという映画の魅力って、ムキムキの俳優と本物の動物が絡むという見世物的な面白さだったという点を実感させられました。CGで作られたゴリラやライオンが、実写ではおおよそ不可能なアクションを見せてくれたところで、そこに感動はないのです。CGという技術そのものを否定するつもりは毛頭ないのですが、ターザンというコンテンツはCGで描かれるべきではなかったと思います。 お話も、ことごとく盛り上げ所を逃しています。例えばクライマックスの大決戦。ターザンとジャイモン・フンスー族長が和解し、いよいよオールアフリカでベルギーの傭兵部隊を襲うという熱い展開を迎えるのかと思いきや、こいつらが全然闘いに参加しません。役に立ったのはヌーの大群とワニぐらいで、ターザンの親友であるゴリラやライオンすら実戦での貢献が少ないので拍子抜けさせられました。本作は万事がこの調子。常に何かが足りていないために盛り上がりを逃しています。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2017-01-29 20:06:51)
89.  ドクター・ストレンジ
IMAX-3Dにて鑑賞。 ひたすらに強く大きくという方向性での進化を遂げ、そろそろお腹いっぱいになりそうなMCUですが、ここに来て従来の作品群とは異なる趣の本作を登場させたことには驚かされました。というか、MCUという枠を超えてアクション映画全般を眺めてもこれほど独創的な作品は珍しく、娯楽映画史におけるベンチマークのひとつになるのではないかとすら思いました。それほど本作のビジュアルは革新的で強烈なのです。発想力の逞しさ、そして、これほど複雑な見せ場をよくぞ作り込んだものだと感心するほどの緻密さであり、もはや芸術の域にまで達しています。今までボンクラだと思っていたスコット・デリクソン監督が、まさかここまで出来る奴だとは思ってもみませんでした。 一方、物語はヒーロー誕生編としてはかなりオーソドックスなものです。ビジュアルこそがメインの作品なのでお話は観客の目を邪魔しない程度でいいという判断があったのでしょうが、それでも、ここ10年ヒーローものを作り続けているマーベルはちゃんと成功方程式に落とし込んで手堅く仕上げています。適度に笑わせ、適度にハラハラさせ、適度に感動させる、娯楽作として過不足なしです。パワーの源や、世界を滅ぼしかねない脅威の説明、長ったらしい固有名詞の羅列に入ると「MCU内に世界の脅威はどれだけ大勢いるんだよ」と少々退屈になるものの、この辺りにも深入りしすぎないのでストレスは感じませんでした。 華と演技力を兼ね備えた豪華俳優陣は、それぞれ説得力のあるパフォーマンスを見せています。作品全体のスピード感を落とさないよう、主人公以外の背景はほとんど語られないのですが、それぞれに演技のできる役者を配置したことで、そのキャラクターの歴史が透けて見えてくるのです。この辺りの塩梅も見事なものだと思いました。 ある程度の割り切りの下に作られているため傑作とは言えませんが、見せ場の独創性で引っ張るかなり印象深い作品でした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-01-28 00:21:09)(良:2票)
90.  クライム・ヒート 《ネタバレ》 
【注意!壮絶にネタバレしています】   『ミスティック・リバー』のデニス・ルヘインが自身の著作を脚色し、オスカーノミネート作『闇を生きる男』のミヒャエル・R・ロスカムが監督をしたということで、案の定暗くじめじめとした映画でした。数発の銃弾がぶち込まれるクライマックスのサプライズとカタルシスのためだけに残りの107分があると言っても過言ではない特殊な構成をとっているのですが、かったるい本編部分は旬な役者、実力のある役者のパフォーマンスで何とかもたせています。 トム・ハーディは真面目に仕事をこなすバーテンにして、犬を愛する優しい男。彼女に見当違いなキレ方をされても、刑事からしつこい尋問を受けても、チンピラに変な絡まれ方をされても怒ったり取り乱したりすることなく、淡々と受け答えをする物腰が印象的なのですが、あまりの落ち着きぶりにかえって裏の顔の存在を感じさせるという演出が実にいい塩梅でした。切り落とされた強盗の腕を丁寧にラップで包む辺りから「こいつはおかしいんじゃないのか」と思わせておいて、殺人マシーンであったことが判明するクライマックスでは「やっぱりな」となりますが、この振れ幅の激しい役をトム・ハーディは見事にこなしています。本作の8割は彼の魅力で出来ています。 これが遺作となったジェームズ・ガンドルフィーニは、新興のチェチェンマフィアの台頭によって権力基盤を失った元ヤクザ者という役柄であり、現状を受け入れているトムハとは対照的に、いつか目にもの見せてやるのだという野心を捨てきれていません。本作のトラブルの元凶は彼なのですが、栄光を失った現状に安住したくないという心理が観客にも伝わる形となっているために、彼に対して悪印象は抱きませんでした。この辺りは、ハマり役だったガンドルフィーニの魅力によるところが大きかったと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2017-01-26 00:51:02)
91.  メカニック:ワールドミッション 《ネタバレ》 
殺しの世界に生きる者の虚無感や、愛憎入り混じる師弟関係を描いてなかなかムードあるアクションドラマだった前作からは一転し、本作はドンパチアクションとなっています。 もちろんドンパチは大歓迎なのですが、脚本が支離滅裂で完全なバカ映画になっている点はいただけませんでした。ターゲットに接近するため、あえてタイの刑務所に投獄されるビショップ。まともな取り調べも裁判もなしに即日収監されるわ、手回り品持ち込みOKだわ、東洋人の受刑者がほとんどいないわと、もうめちゃくちゃなのです。しかも、暗殺だと分からないよう事故に見せかけて殺せという指示だったのに、おもいっきり首絞めて殺してるし。検死ですぐにバレでしょうが。おまけに暗殺直後に派手に脱獄するから、ビショップが殺したのモロバレというね。こんなめちゃくちゃをやりながら「さすがビショップ、腕がいい」とか言われてるんだから、本作の登場人物は全員バカにしか見えません。 ターゲットであるトミー・リーと組んでクレインへの反撃を開始するという後半の展開もまったく意味をなしていません。トミー・リーの軍隊を使うわけではなく、結局はビショップ一人で戦ってますからね。そもそも、ビショップを放牧→拠点を襲撃されるということを何度も繰り返すクレインもバカにしか見えず、なぜビショップに見張りをつけておかないんだと終始不思議で仕方ありませんでした。あと、クルーザーにどんだけ部下乗せてんの。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2017-01-21 22:18:51)
92.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
原作未読。 人を救いたくて信仰を守っているのに、その信仰を捨てなければ信徒を殺すと脅された宣教師のジレンマ。なかなか面白くなりそうなお話なのですが、「神よ!なぜ沈黙なさるのです」的な発言を何度も何度も繰り返すアンドリュー・ガーフィールドの姿を眺めるのに160分という上映時間は長すぎました。また、最後の最後で神が主人公に語り掛けてくる場面にも感動がなく、さらには神と主人公の間で出された結論が一体何だったのかもよく分かりませんでした。 他方、本作の面白かった点は、信仰を理解しない人たちの意見もちゃんと反映されていることであり、宗教映画でこのような体裁をとっているものはかつてなかったと思います。キリシタンを取り締る役人達は「まぁどうでもいいから、さっさと踏み絵を踏んでよ」という姿勢なのです。取り締りの先頭に立っている筑後守(イッセー尾形が素晴らしい演技)すらキリスト教の価値観そのものを否定しておらず、キリスト教に乗っかって入ってきた西欧諸国の悪影響こそが問題であったとの発言をします。 また、キリシタン弾圧に屈したフェレイラ神父による比較文化論にも興味深いものがありました。日本人は一神教の価値観を持っていないから、俺らがどうこう言ったって変わらないよと言うのです。さらには、隠れキリシタン達ですら我々と同じ感覚で神を捉えておらず、日本式に曲解した形での理解になっていると。そんな社会で犠牲者を出してまで信仰を守る意味はないから、さっさと折れなさい。そして日本社会が望む形で貢献してあげなさいと言うのです。こちらの主張も面白いと感じました。 宗教映画としてはまったくピンときませんでしたが、文化を描いた映画としてはなかなかよくできています。もっと上映時間が短く、かつ、もっと鋭利な描写があれば、面白い映画になっただろうと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2017-01-21 16:23:05)(良:1票)
93.  ロスト・バケーション
B級映画界の職人さんジャウマ・コレット=セラによる、平均点のB級映画でした。美女と鮫の攻防戦のみを90分未満の上映時間で一気に見せるという潔さ。ひとつひとつの見せ場の瞬発力は高く、危ないぞ危ないぞという煽りや、ギリギリで危険を回避する場面のスリルはなかなかのものです。いよいよ鮫が全体像を表すタイミングも素晴らしく、観客に対して最大限のインパクトを与えられるように見せ場が配置されています。 ただしB級監督の限界か、そもそもの設定のバカさ加減までは隠しきれていません。ストーカーの如くブレイク・ライブリーを付け狙い、数日にわたって浅瀬から離れようとしない鮫。魚がここまで明確な意図をもって行動するなんてことはさすがに不自然であり、数日ではなく数時間の攻防戦にするか、地元の人が寄り付かないビーチに入ったらそこは巨大鮫のテリトリーだった等の設定が欲しいところでした。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2017-01-16 09:32:58)
94.  死霊館 エンフィールド事件
ホラー映画としては異例の長尺ですが、名高いエンフィールド事件の史実を丁寧に拾おうとしたり、厄介な能力に悩まされる次女とロレインの交流を描いたりと、映画としての完成度を高めることに多くの時間が使われており、なかなか奥行のある作品となっています。「『死霊館』でホラー映画は引退」と言っていたものの、その引退宣言を撤回してまで挑んだこの続編において、ジェームズ・ワンはフリードキンの『エクソシスト』やキューブリックの『シャイニング』をも射程に入れようとしていますが、確かにそれらの名作と並ぶほどの重厚さを持っています。 恐怖演出は、もうキレッキレ。怖い画の作り方はお手の物だし、音響などでビビらせるタイミングも絶妙です。飛び上がりそうになるほど怖い場面の連続であり、観客にもお化け屋敷を追体験させることに成功しています。ただし、悪魔云々の話になると途端に月並みになってしまうことが欠点であり、最後までお化け屋敷もので通した方がよかったと思います。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-01-16 00:10:53)(良:1票)
95.  ウォークラフト 《ネタバレ》 
まずウーヴェ・ボルがゲーム会社に映画化を持ち掛けたものの、「お前にだけは絶対に撮らせない」と門前払いを受けたというちょっと良い話もあるこの企画。代わって高い評価を受けているダンカン・ジョーンズが脚本と監督を引き受けたことで、本作はかなりレベルの高い作品となっています。中世風の世界におけるファンタジー作品は『ロード・オブ・ザ・リング』関連を除けばほぼ失敗作ばかりであり、ハリウッドにとっては鬼門ともいえるジャンルなのですが、ジョーンズは原作ゲームのデザイナーを多数起用するとともに、ポストプロダクションに20か月もかけてビジュアルを練り上げ、なかなか見ごたえのある世界観を構築しているのです。 話の内容もかなりの熱量を持っています。テンションの高い合戦シーンに、多くの登場人物が誰かしら身内を失うという情念の入り混じったドラマ。また、きっかけは善意とは言え、禁忌とされる力に手を出して世界を危機に陥れたことを後悔しながら死ぬメディヴと、一度は責任から逃げ出したものの、師匠の臨終の場で守護者としての自覚に目覚めたカドガーのドラマには胸を打たれるものがありました。これまでセンス良い系として通ってきたジョーンズが、これほどストレートな娯楽作を作ったことは意外でした。 ただし問題点もあります。主人公の一人であるデュロタンはいち早く闇の陰謀に気づき、不毛な戦争をさせられそうになっているオークと人類を和解させようと奔走し、最後には非業の死を遂げるものの、彼の死が大勢にまるで影響を与えていないのです。彼が命をかけて挑んだ決闘ではオーク達の心を動かしたかのように見えたものの、結局は何も変わらないまま戦争が始まってしまう。同様に、人間側の王の自己犠牲もまるで報われておらず、一部のドラマがうまく流れていません。これらは続編へ向けた伏線なのかもしれませんが、単独作品としての満足度を下げる方向に作用しているのでは元も子もありません。またポリティカルコレクトネスへの配慮からか、ヨーロッパ風の甲冑を来た軍勢の中に黒人や東洋人が混じっていたことは、せっかくの世界観をぶち壊しにしています。有色人種の姿が見えないと脊髄反射的に難癖をつけてくる一部のクレーマーのせいで、映画の完成度が損なわれていることは残念でした。 以上の問題点が祟ってか批評家からは否定的なレビューが目立ち、興行成績は損益分岐点ギリギリという期待外れの結果に終わりましたが、これだけ素晴らしい世界観や高い技術、張り巡らされた伏線を捨てるには惜しい企画です。ダンカン・ジョーンズも続投を切望していることだし、お願いだから続編を作ってね、トーマス・タル。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2017-01-14 22:59:06)(良:1票)
96.  SPY/スパイ
CIA諜報員達の顔と名前が割れてしまったから、仕方なく事務のおばさんが現場へ出ていくというコメディなのですが、笑わせるべき時にきちんと笑わせるし、誰からも期待されてなかった奴、相手から舐められていた奴が意外な強さを発揮するというカタルシスもあり、2時間はきっちり楽しませてもらいました。 ただし、男は無能、美人は性悪という描写はある意味で紋切型だったし、事務のおばさんが結局は凄腕スパイと同じ戦い方をするという点も工夫が足らないと思いました。この内容ならば、おばさんならではの戦い方で相手の意表を突いて勝ちを取る方がよかったと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2017-01-13 00:24:22)
97.  レジェンド 狂気の美学 《ネタバレ》 
良くも悪くもトム・ハーディのアイドル映画。トムハは出ずっぱりの上に、一人二役なのでボリューム2倍。しかも彼が得意とするエキセントリックなキャラクターと、珍しい二枚目キャラを同時に見せてくれるのでお得感倍増です。男前で芸達者なトムハを見るだけで2時間強の上映時間はもっており、旬な俳優の持つオーラや勢いってやっぱり凄いのだなということを再認識させられました。 ただし、ヤクザ映画としてはパンチ不足で物足りない内容でした。クラブの店内をカメラが流れるように移動しながら主要登場人物を順番に見せていく冒頭や、BGMの選曲センスにはモロに『グッドフェローズ』の影響が見られてちょっと期待させられたものの、スコセッシ映画ほどのドギツさはなし。ヤクザ映画の醍醐味って、「よくそんな怖いことを平気でできるな」というえげつない描写を垣間見ることだと思うのですが、本作はとにかく大人しいのです。しかも監督のブライアン・ヘルゲランドといえば、主人公が奥さんの死体と一晩添い寝したり、足の指を金づちで一本ずつ潰される拷問を受けたりと荒れた描写が目白押しだった『ペイバック』を撮った立派な方。そんな監督がマックス・ロカタンスキーと組んだヤクザ映画となれば物凄いバイオレンスを見られるものだと期待するところですが、とんだ肩透かしでした。 さらには、一貫して男性映画のみを作ってきたヘルゲランドが、女性の描写を不得意としていた点も作品の弱点となっています。本作の語り手はレジーの奥さんであるにも関わらず、とにかくこの奥さんの存在感が薄いのです。夫婦関係の破綻には唐突感があったし、このキャラの最期も「え、自殺するほど悩んでたっけ?」という印象しか受けず、どこか重要な場面を見落としたのだろうかと思ってしまったほどでした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-01-13 00:16:31)
98.  マネーモンスター 《ネタバレ》 
ジョディ・フォスター、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツというハリウッドの意識高い系が揃って参加しているだけに重厚な社会派サスペンスを予想していたのですが、実際にはフットワークの軽いコンパクトな犯罪ドラマでした。 本作で驚いたのはジョディ・フォスターの演出力や構成力の高さであり、実にうまくドラマが流れています。主要登場人物の紹介や人となりの説明を冒頭10分で簡潔に終わらせるとすぐに事件発生という手際の良さ。また、被害者と加害者から協力者へという主人公二人の関係性の変化も極めて自然であり、そこに違和感はありませんでした。リーが自身とカイルの幸福度をスコアー化し、金を持っていることが必ずしも幸福には繋がっていないという事実を突いたり、カイルが奥さんにこっぴどく叱られたりといった象徴的なイベントがうまく挿入されているため、語り口に説得力があるのです。 またサスペンスの構図もうまく作られています。小市民に過ぎないカイルではリーを撃てないことは誰の目にも明らかであるため、代わってリーの救出よりも爆弾解除を優先したい警察のスナイパーがリーの懐にある起爆装置を狙っているという設定を置いています。「リーは重傷を負うけど心臓には当たらない位置に撃つから、すぐに蘇生すれば大丈夫だと思う」などと怖い計画を立てているわけです。これにより、いつ発砲されるか分からないというサスペンスを作り出しており、うまく考えられた設定だと感心しました。 問題点は、鑑賞後に何も残らないということ。前述した幸福度のスコアー化や、大企業の資金運用の杜撰さなど、何か深いことを言おうとはしているものの、そのどれもが観客の思考や人生観に影響を与えるレベルにまでは昇華されていないのです。この辺りがもっと鋭く尖っていれば社会派サスペンスの秀作になった可能性もあっただけに、やや中途半端に終わった点は残念でした。 他方、衝動的で子供っぽいリーの後ろにはしっかり者のパティがいたり、愚かなカイルが奥さんに叱られたり、運用で大赤字を出したうえに隠蔽したアイビス社CEOの不正を女性幹部が暴いたりと、劣った男と賢い女という図式が全編に渡って繰り返し示される点は、ややしつこいかなと思いました。この点については、監督の個人的な志向が表に出すぎているように感じます。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2017-01-12 20:07:48)(良:2票)
99.  サウスポー
『ナイトクローラー』ではヒョロヒョロに減量していたジェイク・ギレンホールが、今度は筋肉モリモリマッチョマンになっていました。ギレンホールの役者魂もさることながら、最近のハリウッドの肉体改造技術は本当にすごいことになっています。監督もギレンホールの肉体こそが最大の見せ場であることをちゃんとわかっており、冒頭から出し惜しみなし。また、MTV出身の監督だけあって画作りはお手のものであり、もしテレビで放送されていたら本当のボクシング中継かと勘違いしてしまいそうな見せ場を作り上げています。こちらも見事でした。 物語はスポーツ映画の王道通り「栄光→没落→再起」のフローで推移し、ほとんど変化球なし。ロートルトレーナーとの出会いや、周囲の人々とのドラマなどテンプレートから1mmも離れることがなく、だからこそきっちり感動させられるものの、残念ながら水準作以上にはなっていません。 さらには、作りが粗い部分も目立っています。あれだけ人目が多い場での発砲事件だったにも関わらず、奥さんを誤射した犯人が逮捕されないという点はさすがに不自然。また、対戦相手となるボクサーは「ビ○チはもうお前を助けてくれないぜ」とか言って傷心の主人公を煽ってきますが、いくらヒールであってもここまで言ってくる奴はいないでしょ。さすがにイジれないネタというか。しかも、あんたの子分が誤射したことへの罪悪感はないのかと。急に娘が反発し始めたことも不自然であり、何か重要なエピソードを見落としたかと思ってしまいました。 もうひとつの問題点は、前述した通り現実のボクシング中継に極めて近いルックスを作りながらも、オーディエンスの存在が描かれていないことです。主人公は一度没落しますが、彼はアルコールやドラッグで自滅したのではなく奥さんの急死という同情すべき背景があったのだから、世論は彼に味方するはず。あれほど急激な没落は不自然に感じました。また、主人公が金づるではなくなった途端に相手ボクサーに寝返ったプロモーターやトレーナーはバッシングを受けるはずなのに、そうしたオーディエンスの反応がまるで描かれていません。こうしたディティールの面で失敗しているため、本作のドラマには乗りきれませんでした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-01-10 18:59:35)(良:2票)
100.  その女諜報員 アレックス 《ネタバレ》 
イギリスにおける公開初日の興行成績がまさかの8,600円という通常ではありえないコケ具合で話題になったアクション映画ですが、確かにこれは酷い出来でした。 まず、敵も味方も優秀なのか優秀じゃないのか、強いのか弱いのかがさっぱり分かりません。完璧な武装と下準備、洗練された行動で登場しながらも、仲間割れで自滅するマヌケな強盗団。殺し屋集団が迫ってきているという逼迫した状況で固定電話を使ってしまい、リダイヤルで電話をかけた先を特定されて先回りされるという主人公のバカさ加減。序盤ではただ逃げるだけでさほどの強さを見せなかった主人公が、中盤になると自信満々に殺し屋集団への反撃を開始するという展開の唐突さ。このご時世に空港をブツの受け渡し場所に指定し、案の定厳重なセキュリティに捕まってしまう敵の愚かさ。そして、敵味方ともに、相手にとどめを刺さなかったり、ベラベラといらんことを喋ったりしている内に形勢逆転されることが多く、どちらも優秀な工作員に見えないという脱力感。監督はジェイソン・ボーンや007を意識して本作を撮っている様子でしたが、それらの作品の登場人物とは比較にならないほどのお粗末ぶりでした。 また、尺詰めすぎで人間関係が生煮え状態となっています。主人公・アレックス、強盗仲間のケヴィン、そしてケヴィンの妻・ペニーは過去に三角関係にあったという設定が置かれており、この緊急事態において恋敵だったアレックスとペニーが共闘するという展開を迎えるものの、そもそも旦那が犯罪者ということすら知らなかったペニーがいかにしてこの緊急事態を認識し、憎悪の対象でしかなかったアレックスとの共闘関係を結んだのかという感情の推移がまるで整理されていないため、感情移入が難しくなっています。これならば三角関係という設定はないほうが話の通りがよかったと思います。 さらには、そもそもの物語にリアリティを感じません。ダイヤ強盗に入ったら偶然に米国諜報機関の機密情報が記録されたマイクロチップまで盗んでしまったことが事の発端なのですが、なぜダイヤとマイクロチップが一緒に保管されていたのか、米国諜報機関がなぜケープタウンの銀行に機密情報を隠していたのか、そもそもこのご時世に諜報機関がマイクロチップの争奪戦なんてやるのだろうかなど、おかしな点があまりに多すぎます。さらには、マイクロチップに記録されていた陰謀の正体も「何の利益があってそんな悪だくみをするのか」と首をかしげるような内容であり、総じて説得力がありません。 とまぁ、とにかく悪いところだらけの作品なのですが、唯一の救いはオルガ・キュリレンコが美しく魅力的に撮られていることです。監督は本作をシリーズ化する気マンマンだっただけに、作品の要となるキュリレンコを観客から受け入れさせることに全力を注いでおり、この点だけは成功しています。ヌードや濡れ場はないものの、バスローブ姿で戦ったり、下着姿で拷問されたり、足やお尻のショットがやたら多かったりと、何気ないところでエロさを出してきます。また、戦う女だけに終始しかめっ面なのですが、洗車中の車を盗むシーンでニコっと笑った一瞬の表情が悶絶級にかわいかったり、子供を庇いながらの格闘では優しい表情を見せたりと、キュリレンコの良いところがちゃんと押さえられています。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2017-01-09 18:24:55)
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