1. 落下の王国
端正で美しい映像と、ベートーベンの7番がまさにベストマッチ。これは、ぜひ映画館で見ないと。っていっても、宇都宮での上映はもう終わりなんだよね。 子役の女の子は、どこまで演技してるって自覚があったんだろうか、と思うほど自然なできで、リー・ペイスも初めて見る役者だけど、演技もルックスも、とても気に入った。 少女がアメリカで暮らしている背景には、東欧らしき別の国で、家が焼き討ちにあって父親が殺されてしまう、という話があるのだが、ユダヤ人排斥かな? と思ったが、そのあたりは詳しく説明されない。 お話と現実が入り交じってしまうあたりに、何度かくすりとさせられた。 初期の映画産業を支えたスタントマンたちへのオマージュもかいま見えて、これもまた、映画への愛情を感じる作品だった。 [映画館(字幕)] 8点(2008-11-02 15:17:11) |
2. 僕らのミライへ逆回転
《ネタバレ》 ジャック・ブラックにダニー・グローヴァー、ミア・ファーローと来ては、劇場に見に行くっきゃないでしょう。毎日余裕のない日々を送っているおばさんには、ジャックのオバカ養分が必要だ! というわけで、夜9時20分からの回をムリヤリ見に行った。 "Be Kind Rewind" というしゃれたタイトルだったのに、わけわからん邦題が不入りの原因になってるのは、間違いないよね。わたしも、ジャックが出ていると知らずにこのタイトルだけ見たら、まず行こうと思わないだろう。 いまどき、DVD がまったく置いてない、VHS オンリーのうらぶれたレンタルショップ。前半は、ビデオの中身がぜんぶ消えてしまったため、自分たちで「リメイク」してしまう、というドタバタ。「仮装大賞」をさらにチープにしたようなしょうもない撮影風景は、かなりおかしかった。 しかし、なぜか後半は、下町人情喜劇になってしまう。それも、みんなが親しんでいる建物が取り壊され、店がなくなっちゃうので、それを回避するために、町の人々が一致団結してがんばっちゃう、というべたべたに手垢がついたストーリーである。 感動するか、というと、別にそれほどでもないが、音楽と映画への愛情が感じられるので、そんなに悪くはない。ほのぼのします。 シガニー・ウィーバーが実にもったいない役で出てくるのも、なんだか笑える。 [映画館(字幕)] 7点(2008-11-02 11:23:45) |
3. 大いなる陰謀
映画的緊張感に満ちたすばらしい脚本。俳優たちの演技も文句なし。 とくにトム・クルーズは、頭脳明晰で野心家で弁舌さわやか、でも兵士たちなんて駒としか考えてない、超いけすかない上院議員ぶりがとてもよかった。妙にチャーミングなところが、かえって小面憎いというか。 ほんとうに痛ましい、切ないストーリーなのだが、こういう映画が商業ベースで出てくるところが、ハリウッドの底力だね。 まだ今年は3分の1しかすんでないが、今年の私的ベストワンになりそうな予感。ついでに、映画私的ベスト「しょうもない邦題」部門でも、だんとつトップでしょう。どこが「陰謀」やねん。責任者出てこい。 [映画館(字幕)] 9点(2008-05-03 16:14:50) |
4. クローバーフィールド/HAKAISHA
象が踏んでも壊れないアーム筆入れ。 映画の終盤には、このフレーズが頭の中をぐるぐるしていた。超ダイハードなビデオカメラの話である。 そうじゃなくて。 手持ちの家庭用ビデオカメラで、怪物に襲われて逃げまどうさまを、逃げてる人間の視線から見せる、というそのワンアイデアでできちゃってる映画。 生きるか死ぬかで逃げてるのに、ビデオどころじゃないでしょ、というまっとうな考えを排除するために、撮影者のキャラクターがすごくアホっぽかったり、彼が恋する女性がとても勇敢だったりと、設定もちゃんと工夫されている。 「酔う」という評判だったが、見ているとカメラの揺れにも慣れてしまってそれほどでもなかったものの、臨場感はとにかくすごかった。これを味わうために劇場まで足を運んだかいがあったね。 しかし、登場する女性たちは、みなぐちゃぐちゃと泣き言を言ったりせず、どんどん行動している。いまや怪獣映画にも、「スクリーム・ヒロイン」の出番はないらしい。 マンハッタンで大災害が起きて、人々が橋に向かって列をなして押し寄せる、というシーンを、『宇宙戦争』でも『アイ・アム・レジェンド』でも見たので、正直またか、という感じだったが、アメリカの経済の中心地が島である、というのは、こういうとき実に絵になることは確かだ。 [映画館(字幕)] 7点(2008-05-03 16:13:22)(良:1票) |
5. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
冷たい青灰色、沈んだ茶、そして、ペンキのような真っ赤な血。いつもながら、色彩の統一感がすばらしい。 デップ演じる主人公が、とにかくだれとも目を合わせないのが印象的。相手の目をちゃんと見ると、次の瞬間にはばっさり、なのである。 寒々しい海辺やピクニックの空想シーンの、いかにもしかたなくいてやってる、みたいな雰囲気が笑えた。でもだれも笑ってなかったけど。 すべて吹き替え無しで役者が歌ったと聞いて、楽しみにしていたのだが、演技と歌がきっちりかみあっていて、ミュージカルとしてちゃんと成立していた。 いちばん歌っている姿が想像できなかったのが、アラン・リックマンなのだが、歌唱的にはちょっと弱いかな、と思ったが、地位も名誉もあるヘンタイ親父という役柄にはまさにぴったりでした。 [映画館(字幕)] 7点(2008-04-05 23:41:14) |
6. ドリームガールズ(2006)
《ネタバレ》 実は、ビヨンセをコピーしてるお笑いの人をテレビで見て、そういえばこれ、見てなかったかも、と思い出したのである。 シュープリームスがモデルだといっても、別にそっくりさんにする必要はないのだが、ダイアナ・ロスの三白眼のふてぶてしい美貌を思うと、ビヨンセかわいすぎるよね、という印象になってしまう。 キャラクターとしても、あまりにディーナがいい子ちゃんすぎて、おもしろくない。すべては男がやったことで、わたしは知らなかったの、というのはねぇ。 その「悪い男」を演じたジェイミー・フォックスだが、エディ・マーフィーを向こうに回して好演していたものの、手段を選ばずのしあがってやろうという、ぎらぎらした生臭さがあまり感じられなかったのが残念。なんか、実直ないい人に見えちゃうんだよね。 エフィ役のジェニファー・ハドソンのソウルフルな歌唱は迫力たっぷりだったが、これだけがんがんやられると、お腹いっぱいという感じ。去っていく男にすがるのに、あの声量で耳元で歌われたら、そりゃ逃げられるよ。って、これはミュージカルなので、そういうことを言ってはいけないが。 大スターで美しい女性たちが、すべて身近な男とくっついてしまうというのも、ショウビズの世界では、案外こんなものかもねー、と思うが、人間関係がすべて内向きで、見ていて息苦しい。 仕事と恋愛関係がぐちゃぐちゃになっているのって、つらいよね。 というわけで、ゴージャスで見所・聞き所もたっぷりな映画なのだが、いまいち乗り切れないまま終わってしまった。 [DVD(字幕)] 5点(2008-04-05 17:03:15) |
7. ショート・カッツ
ものすごく豪華キャストなので、長いとはいっても、それなりに楽しめたが、カーヴァー的世界が目の前で繰り広げられると、映像を見てるのに、不思議なことに村上春樹の文章がちらちらして、妙な気分だった。村上春樹訳でカーヴァーを読んでいるのだから、不思議でもなんでもないんだけどね。 ごひいきのティム・ロビンスのうそつきぶり、身勝手ぶりが、やっぱりよかった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-30 16:54:35) |
8. アルフィー(2004)
《ネタバレ》 ジュード・ロウの二枚目ぶりを見て、目の保養をしようかと思ったのだが、「おれってモテモテ~、おれってカッコイ~」とあまりやられると、あんまり背も高くないし、頭も大きいし、生え際もヤバイし。。。と、欠点が目についてくる。ストーリーもだんだん湿っぽくなってくるし。なにより、スーザン・サランドンがいい女オーラぷんぷんという役どころで出てきただけで、あー、アルフィーくん、彼女に入れ込んでひどい目に遭うね、とわかってしまうのが、痛い。 [DVD(字幕)] 5点(2007-12-30 16:52:02) |
9. マリー・アントワネット(2006)
美術と衣装が楽しみだったのだが、その点では満足できた。しかし、見るところは、美術と衣装しかなかったので、途中で退屈してしまい、最後まで見るのに努力が必要だった。どうしたらこう薄っぺらく作れるのか、不思議なくらい。 気の合う友達と徹夜で遊んで、美しい景色の中、いっしょに日の出を眺める、という青春映画につきものの場面などは、いい雰囲気だったのだが、ふつうの少年少女が18世紀フランスのコスプレをしてるみたいだったのも確か。 凡庸な人間が、時代の転換期に、その表舞台に居合わせてしまった悲劇、というところか。 [DVD(字幕)] 4点(2007-12-30 16:44:08) |
10. スターダスト(2007)
デ・ニーロの怪演を見に行ったのだが、相変わらず楽しそうに演じていて、満足できた。ピーター・オトゥールも、さすがの貫禄だし、元気そうで何より。それよりも、ミシェル・フェイファーの根性入った悪役ぶりが圧巻だった。魔法を使うたびに、若さが失われて、手の甲にさーっとしみが浮き出てくるのが、おばさんにとっては、あまりにもいやんな CG だったよ。 映像も実に美しく、雄大な風景や、魔女の館の美術もよかった。海賊の空飛ぶ船などに、宮崎アニメの影響が言われているが、わたしはそんなに気にならなかっし、船のさび加減などの細かい部分には感心した。 ストーリーは少年の成長物語、という感じで、子供にも安心して見せられる内容でした。それだけ、おとなにはちょっと物足りない部分もあるが、きちんとした映画らしい映画にできあがっている以上、あまり贅沢をいってもしょうがあるまい。 全体におもしろかったけど、いちばんだれたのが、主人公のふたりのかわいらしい恋模様というのが、一緒に見に行った小学生の息子と、意見の一致したところである。 [映画館(字幕)] 6点(2007-11-25 18:25:36) |
11. Mr.インクレディブル
この映画では、悪者につかまった家族を救い、子供たちの成長を促すのは、父親じゃなくて母親のほうなのである。原題は "The Incredibles"で、「家族」に脚光が当たっているのを見れば、まあ当然だが。ありがちなパターンだと、妻がさらわれて、それまで日常生活に埋もれていた男が敢然と救出に向かい、過去の栄光を取り戻す!みたいな感じなんだろうけどね。その過程で、ダメサラリーマンだった父親を小バカにしていた子供たちも、彼のほんとうの男らしさや能力に気づいて、再び父親を尊敬する、みたいなのがあって。それにしても、保険会社の仕事をしているときの、インクレディブル父のとろーんとした目つきには思わず笑ってしまった。 『スパイダーマン』では、ふつーの人間と、スーパーヒーローとしての使命のギャップに悩む、というのがひとつのテーマになっているが、この映画では、スーパーヒーローが民衆を救うのは、要するに「気持ちいいから」なのだ、ということが、ミもフタもなくはっきり描かれている。「だれか他の人のため」じゃなくて「自分のため」。「ほっとけない」って気持ちは、たいていそんなところだけども。 夫婦とも元スーパーヒーローという設定でも、夫は過去の栄光に恋々とし、妻は現在のふつーの生活にちゃんと適応していて、人々に賞賛され、脚光を浴びることにさほど未練はない。これって、男勝りに活躍していても、しょせん女は家庭がお似合いで、女には夫の給料や出世、子供のしつけくらいしか悩みがない、という風に見えるな。"Mr. Incredible & Elastigirl"じゃなくて、"Incredibles" だしね。 音楽も、レトロ風味たっぷりで楽しかった。 三浦友和や、黒木瞳、宮迫などの本職じゃない声優キャストも、まったく違和感なかった。 シンドロームが、どうもくりぃむしちゅーの有田みたいに見えちゃったんだけど、似てるのは髪形だけか。 [映画館(吹替)] 7点(2007-08-23 07:31:29)(良:1票) |
12. ニードフル・シングス
キング作品の映画化は、あまりいただけないものが多いのだが、これは思ったより楽しめた。というのは、渋い役者がそろっていて、とくに悪魔役のマックス・フォン・シドーの堂々たる紳士振りがよかったから。音楽が安っぽくなかったのも、B級ホラーにならずにすんだ理由だろう。しかし、なにせ長い話を2時間にしてしまったので、人間心理を掘り下げるヒマもなく、やたらとばたばたしている。悪魔の策略がすぐれているというより、この町の人間って単細胞ぞろい、としか見えない。まあ、凡作ですな。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-20 00:02:54) |
13. シャークボーイ&マグマガール 3-D
ディズニーランドのように専用の劇場ならともかく、ふつうの映画館で 3D は、よっぽど特別のアイデアでもないと、やめたほうがいいかもしれない。むかしときどき小学生向けの学習雑誌などに 赤青のセロハンを貼った 3D メガネと、赤青の色をずらして印刷した「飛び出して見える」ページがあったが、技術的にはまったくそれと同じ。つまり、3D の場面だと、色合いが紫がかったモノクロに近い、なんともわびしいものになってしまう。どうせ夢の世界なら、ちょこっと飛び出して見える効果より、色彩で見せる効果のほうが大きかったのではないか。 また、「よだれ惑星」のセットが、あまりにも凡庸でつまらない。一貫した趣味なり、美学なり、そういうものがなく、ただ散漫な印象。 まあ、子供は喜んでいたので、子供向けとして見れば悪くないんだろうけど。 [映画館(吹替)] 4点(2007-08-20 00:01:34) |
14. キング・コング(2005)
「髑髏島」で、もうこれでもかっっと、あーんなものやこーんなものに襲われるシーンがテンポがよくて楽しめた。ナオミ・ワッツは、スクリーミング・ヒロインにしちゃ、年がいきすぎなんじゃないかい?と最初思ったが、ただきゃーきゃーと叫ぶだけではなく、すばらしい身体能力で、走りっぷりが実によかった。 実はこの映画は、ジャック・ブラックが見たくて出かけたようなものだが、彼の濃さが役にあっていて、クローズアップが多用される演出も、プラスになっていたと思う。ほかにもなかなか曲者の多い配役だったが、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルには、見たことある顔だなぁ、と思いつつ、最後まで気づかなかった。こんなに大きくなったのね。 島の住民を「凶暴な土人」として描いていることも含めて、1930年代アメリカの雰囲気はよく出ていたと思う。ヒロインの勇気だけが現代的。 [映画館(吹替)] 7点(2007-08-19 23:59:56) |
15. ブラザーズ・グリム
テリー・ギリアムだから、もう少し小昏い世界が展開しているかと思いきや、案外単純明快だった。多少残酷というか悪趣味なシーンもあるが、そういうところも含めて、子供に受けそうな作りである。 グリム兄弟の話だから当然ドイツが舞台なのだが、アメリカ映画なので、登場人物は英語を話す。フランス人やイタリア人役の役者は、それぞれわざとらしくなまった英語を話す。この時点で、かなりマンガぽい印象を受けた。森に入るまでの導入部も、わかりきっている内容を順序どおりに見せているだけという感じで、少しだるい。 美術がこの映画の見所だろうし、決して悪くないんだが、つい『狼の血族』と比べてしまうわけで、ああいう森の薄暗さが心の奥の暗いところに通じている、みたいな凄みがないので、なんとなく物足りなく感じる。そういえば、あの映画もイギリス製作だし、原作もイギリスなんだけど、ドイツじゃないことには、そんなに違和感感じなかったんだけどなぁ。万国共通の少女の心理を題材にとっていて、「グリム」という固有名詞が出てこないせいか。 モニカ・ベルッチが美しくてこわい。64年生まれと知ってびっくり。レナ・ヘディの骨太な感じがよかった。 [映画館(字幕)] 6点(2007-08-19 23:57:50) |
16. ザスーラ
よきパパたらんと努力しているティム・ロビンスが、涙ぐましいオープニング。妻と離婚して子供たちは両方の家を行ったり来たりしている。これじゃあ、両親を比較しろと言っているようなもので、子供が王様になりそうだ。兄弟ゲンカで出てくるセリフや、思春期のお姉ちゃんが、まだ子供っぽい弟ふたりを邪魔にする様子がリアル。 冒険あり、感動ありと、よくまとまった映画で、家族そろって見るには最適だろう。怖がりのうちの小学生は、トカゲ宇宙人に襲われる場面で泣きそうになっていたが。 個人的には、家がぼっこぼこに壊されていくのが、見ていてけっこう快感だったりして。なんで宇宙空間でソファが燃えるんだとか、そういうことを言ってはいけない。DVD だと、ついそういう野暮をいいたくなるだろうから、劇場の大スクリーンと大音響に身をゆだねて頭をからっぽにするのが吉。 [映画館(吹替)] 6点(2007-08-19 23:50:21) |
17. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 重い、後味悪い、と、どこを見ても書いてある。確かにそのとおり。だが、わたしにはそれ以上に、画面を支配している静かな緊張感が印象に残った。ダレ場がなく、全編かっちりとまとまっている。 もちろん、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンと、演技者としての評価が定まった主役級の俳優を3人もすえ、ワキも芸達者ぞろいときては、だらだらした映画にはなりようがない。また、派手なカメラワークがなく、ミドルショットが多用されていること、外は明るく、家の中は薄暗いという、自然な感じの照明が、その印象を強めているのかもしれない。 種明かしは、ティム・ロビンスとケヴィン・ベーコンが解説しているボーナス映像の中にあった。彼らの解説があまりにおもしろかったので、つい同じ映画を2度も続けてみてしまったのだが、その中で繰り返し語られているのは、イーストウッド映画では、撮影はテイク1で終わり。テイク2までいけば、ぜいたくだ、ということなのだ。もちろん、俳優、スタッフの技量、また監督の彼らへの信頼感がなければ、できないことである。映画本来の力にあふれた映画が、そのような舞台演劇的とも言える手法で作られているというのは、実に興味深い話だ。 で、ストーリーのほうなのだが、主人公3人のそれぞれの夫婦関係の対比がおもしろかった。映画から教訓を読み取るのはばかばかしいが、怪しい見知らぬおじさんにはウソをついてもかまわないが、長年連れ添った妻には、やっぱりウソつくのはまずいでしょ、という話。 ティム・ロビンスの妻は、自分の夫を信じられず、自分自身の心の重荷に耐えかねて、よりによって一番しゃべってはならない相手に、その疑いをしゃべってしまう。ひどい女房だ、ではなく、それ以前の結婚生活の中で、夫が撒き散らした小さなウソが、彼女をむしばんでいたのだろう。そして、どうでもいいことでも、とりあえずウソをついてしまう習性が、子供のころ、ふたりの友達はウソをついて難を逃れたのに、自分だけ正直に話して、性的虐待という最悪の結果を招いてしまった経験によるのだから、確かに救われない話だ。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-19 23:25:45) |
18. 幸せのちから
いつおもしろくなるんだろう、と待っていたら、終わってしまいました。 ウィル・スミスは熱演だし、子供もかわいいが、どうして感情移入できなかったのかなぁ。 医療機器を売っていたときはだめだったのに、証券会社に入ったら頭角を現した理由が見えない。ルービックキューブを解ける人はたくさんいるし、寸暇を惜しんで仕事したり、ピンチのときでも機転と愛嬌で切り抜ける人も別に珍しくないだろう。細かい描写はあるのだが、「なぜ彼は人と違うのか」という点は、最後までわからずじまい。 それにしても、大都会でそう何度も自分の機械を持ち逃げした人間と出会うかね? 全力疾走するシーンを作るため、という感じ。 [DVD(字幕)] 4点(2007-08-09 20:52:00) |
19. レミーのおいしいレストラン
息子二人を連れて見に行く。 映像的には、なにもいうことはないんだが、脚本はかなりアラがあり、おとなの鑑賞にたえるかというと、びみょーなラインだよなぁ。 ネズミの世界に対して、人間の世界が薄っぺらい。レミーの相棒であるリングイニが、絵的にもキャラクター的にも魅力がない。とってつけたような恋愛話などなど。 子供達は、とりあえず喜んで見ていたし、たいくつするほど悪くはなく、夏休みの家族映画としては、及第点といったところか。 [映画館(字幕)] 6点(2007-08-02 09:50:33) |
20. オレンジカウンティ
リリー・トムリン(進路指導員)、キャサリン・オハラ(主人公の母)、ジョン・リスゴー(父)、ケヴィン・クライン(あこがれの小説家/大学教授)など、助演陣がとにかく豪華。リリー・トムリンって、60をはるかに超えているはずだが、むかしからこういう骨ばった感じだったから、年取ってもそんなに印象がかわらないよな。フットワークの軽さはさすが。 ジャック・ブラックの怪演に拍手、といいたいのだが、ロクデナシぶりがあまりに真に迫っていて、笑えなかった。とにかく、パンツ一丁でうろうろするのはやめてー、という感じ。 ストーリーは「青い鳥 青春編」といってしまえば終わりなのだが、コリン・ハンクスの希望を次々と打ち砕く家族のとっぴな行動の数々に、次はなにをするやら、と、げんなり。スタンフォードに舞台を移した後半に比べて、前半はもたもたしていた印象。 スカイラー・フィスクは、度の超えた動物好きの描写があっても、全体に誠実な印象が消えず、好演だったと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-27 18:36:53)(良:1票) |