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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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1.  苦役列車 《ネタバレ》 
どうしようもない奴を解き明かす。そんな映画でした。この男、女性を性行為の対象としか思っていない。その言動が潔く徹底していて、呆れるを通り越して、ちょっと違う目で見てしまう。初作「エイリアン」でアンドロイドのアッシュが「純粋だからな」とエイリアンを讃えた気持ちが分かります。性犯罪者の親父を否定しながら、同じ性向が顔を覗かせる。親父への反発心で辛うじて持ち堪える状況だから、緊張感が途切れずとても見応えがありました。 キーパーソンは足を怪我したタカハシでした。主人公は彼を嫌っていました。「若者は夢を持て」「夢なんか持っても何にもならない」。その時の気分で変わる言動に芯は無く、主人公じゃなくとも敬遠したくなる男です。でも、主人公が彼を嫌っていた理由は「同族嫌悪」だと思います。他者に誇れるものなど無いのに自尊心だけは強い。タイプこそ違え、二人は本質に於いて同じです。自分と同質だから、主人公にはタカハシの虚言が透けて見えました。同時に、自分の負の姿も見ていたのだと思います。 主人公が「何か書きたい」と言った時、タカハシは「中卒の分際で」と罵りますが、彼の中で何かが動いた事が分かりました。タカハシに取っても、主人公は同族だったのだと思います。3年後、なりふり構わず「歌」に挑んでいるタカハシを見た主人公の衝撃は分かり易かったです。同族が嫌悪の対象ではなく、お手本に変貌しました。彼もなりふり構わず、パンツ一丁でペンを取りました。読書と風俗と強姦未遂以外で、初めてともいえる能動的アクション。苦役列車の終点が見えたような気がします。 私は特に前田敦子のファンではありませんが、本作の彼女はとても良かったです。主人公があんな奴なもんだから、言葉は悪いけど「掃き溜めのツル」のような清涼感で、顔が見える度にとホッとさせてもらいました。 ついでに言っておくと、文筆業へ歩み始めたからと言って、主人公が前田敦子の手を舐めなくなる保障はありません。彼は純粋ですからね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-01-26 23:08:45)
2.  黒部の太陽 《ネタバレ》 
BSで放送された「特別編」なる145分くらいのバージョンを観ました。オリジナルが観たかったです。子供の頃から、この工事のことはよく耳にしました。難工事の代名詞でした。何故、そんなダムを作る必要があったかというと、電力が必要だからです。エネルギー生産に対する電力会社の大義と、ゼネコンや現場の下請け企業の意見がぶつかります。劇中、労働者を犠牲にして工事を進める電力会社を裕次郎が責めるシーンがあります。十分な電力供給=国家の発展のため、と電力会社は言う。しかし、国の発展のために人が死ぬことを黙認する状況は戦争と同じではないのか。実際、Wikiによると171名もの方が殉職しています。まさに、戦争と同じだと思いました。仮に工事の受注見積もりに「171の人命」と書かれていたら、このダム建設は成立しただろうか? あくまで、21世紀的な疑問符です。エネルギー需要という意味において、わずか半世紀の間に状況は大きく変わりました。多くの命を犠牲にしてエネルギーを作った時代と、命を奪う危険を危惧してエネルギー生産を停める時代。この二つを並べると、とても極端です。「発展」に対するビジョンに「調和」が欠落していたことの証明だと思います。作品のレビューになっていないです。すみません。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-05-13 19:49:34)(良:1票)
3.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 《ネタバレ》 
クレしん映画でベストの評価を得ているこの作品。私自身の観賞は2作目になりますが、ビックリでした。初めて観たクレしん映画「雲黒斎」は子供向きじゃないなぁと思うところもあったけれど、今作は子供も大人も一緒に観賞できる。そんな良作だと思います。ざっと他の方々のレビューを見ました。しんちゃん必要ないじゃん論に対して私見を述べますね。あのタイムスリップには何らかの契機があったはずで、さらっと廉姫がそのことを口にしました。「この場所で、又兵衛が戦で死なぬように祈っていた」。その願いが、あの水辺の未来で暮らす野原家に届き、しんのすけが使者として召喚されたということでしょう。まず、タイムスリップ直後に彼はその使命を果たしましたね。お尻を出して。続いて、又兵衛や廉姫、そして殿様に21世紀のこの国の状況を伝えます。それは幼稚園児なりの形容だったが、難しい理屈が省かれているだけに身分差のない平和な時代というエッセンスが強調されたようです。しんのすけの話を聞く人達の姿勢が礼を尽くしていて大変心地良い。そして、その話を聞いた殿様が廉姫を他国へ嫁がせない決心をします。これは再び廉姫の秘めた願いに応えた、ということじゃないだろうか。同時に高虎との合戦の引き金になったという意味で、それはそれは重大な転機にしんのすけは関わっています。彼がいなかったら、このストーリーは無いですよ。確かに、重みという意味では又兵衛と廉姫の悲恋に負けていたけどね…。「おい、青空侍」には私の涙腺も少し緩みました。クレヨンしんちゃんで、そんなことになろうとは! 鑑賞中、自分は宮部みゆきの「蒲生邸事件」を思い出しました。過去へタイムスリップした人物が、歴史を変えるのではなく、歴史に関わって成長する類似性。たぶん生まれて初めて近しい人を亡くす経験をしたしんのすけが、何を感じたのかにもう少しフォーカスできると良かったかな。でも、それは大人目線の話であって、あの又兵衛の生き様を観た子供たちは充分に何かを感じたことでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-05 02:47:33)(良:2票)
4.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 
主人公が終始戦い続ける映画でした。ものを創る人として、ジャーナリストとして、サラリーマンとして、そして父親として…。単に航空機事故を記事にするやり取りを越えて、戦いは多岐にわたり、複雑に絡んで物語を加速して行きます。結果的には、巨大な惨事と組織にもてあそばれたように映った主人公ですが、自らの矜持と心中するくらいの迫力で仕事に挑む姿に清々しさを感じました。青臭いことを言いますが、悩むだけ悩んで、やれることをやって、自分や周囲に残った傷跡を背負いながらその後を生きて行くことも、ひとつの人生だと思います。珍しい例ですが、この映画は、原作を読んでから観ることを勧めます。理解できない単語(オオクボレンセキ、など)や聞き取りづらい台詞を補完してくれます。そして、やや変更されているストーリーも自分は気にはならなかった。原作から感じた熱気がそのまま映画になっていた点を評価します。ちなみにクライマーズ・ハイとは、登山者の興奮が恐怖感を麻痺させた状態。日航機の墜落という未曾有の惨事が、あの新聞社全体をクライマーズ・ハイにしていました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-05-23 10:47:36)
5.  クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡 《ネタバレ》 
とても楽しかった。10年以上前の作品だけど、台詞まわしのコメディという意味では最近観た邦画の中で最も洗練されていたような。ボケと突込みが敵・味方・夫婦・親子で縦横するけど、決して嫌味に落さない上手さがあると思います。個人的には70年万博のテーマソングだった「世界の国からこんにちは」と、「七人の(ジジイ)侍」がウケました。久蔵とか菊千代とか、ビビッと反応してしまいました。劇場へ同行する親達へのサービスですね。家族を大切にする姿勢が通低していてことに、揺るぎない安心感があるのがクレしん映画の特長だけど、本作はひまわり争奪戦というストーリーの中でそれが際立っていました。大詰めのラストアクションまで、それを忘れずに貫くから立派なものです。だから家族愛がテーマの作品という印象にも揺るぎがない。ハチャメチャをやりながらも芯がある映画は強いです。昨年、不慮の事故で亡くなられた原作者の臼井儀人氏がゲスト出演されていました。趣味:便座鑑賞(笑)。ご本人もこの映画を楽しまれていた、ということだと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-10-31 03:32:57)(良:1票)
6.  クワイエットルームにようこそ 《ネタバレ》 
最初は精神病院の不条理ものという出だしで「カッコー…」や「17歳の…」が思い浮かんだ。周りにいる方々は正真正銘、どこかが病んでいる。その中で内田有紀だけは正常に見えていたんだけど、次第に明らかになる入院の理由。そう、彼女もしっかりと病んでいた。結果として、日常から隔離された環境で自分を見つめる時間を持つことが、彼女を助けました。でも、それでめでたし、という映画でもない。退院した彼女も万事が上手く運ぶことを約束された訳ではない。現代社会は普通に過ごすだけでもストレスが掛かる構造になっている。精神が病んでいるかどうかは別にしても、ストレスの累積には自分も周囲も気付かないことが多い。クワイエットルームに拘束される破目になる前にストレスを吐き出しなさい。そんなメッセージをシニカルな笑いの中に収めた映画です。内田有紀がかなり良かったです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-20 01:14:11)
7.  紅の豚
町工場でパートのおばさんたちが飛行機を作るシーンが好きです。昼食の食卓を用意するシーンに人間の営みの逞しさを感じます。この監督の人間を捉える視点にオーバーラップしているのだと思います。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-23 01:27:10)
8.  雲のむこう、約束の場所 《ネタバレ》 
量子論的平行宇宙を扱った設定。劇中に登場する軌道エレベーターみたいな塔が平行宇宙を現出させる兵器。でも、そもそもの舞台が平行宇宙。日本が津軽海峡を挟んで、まるで南北朝鮮のように分断されている世界観が面白い。身近に「国境」を感じることの少ないニッポン人には新鮮です。そして、人が居なくなった国境近くの環境を利用して「廃駅」をセンチメンタルに美しく表現したりする。巧妙な設定だと思います。前作、「ほしのこえ」と同様に描きたいのは少年少女の想いだけ。設定がぶっ飛んでも、戦争が起こっても、やさぐれた大人が周囲に絡んでも、主人公たちが多少は歳を取っても、そこだけは外さない。遠く澄んだ空の表現が、その純粋さの象徴なのでしょう。実はこの空の表現だけでも、観る価値があると思っています。余談ですが、ずいぶん前に「秒速5センチ」を観ました。本作や「ほしのこえ」で扱ったティーンの心情を、そこで終わらせずにR25あたりまで引っ張ったのが「秒速5センチ」なんだと分かりました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-05-15 21:53:34)
9.  クロサワ映画 《ネタバレ》 
地上波のテレビをほとんど見ない自分は、森三中の面々を始め実名出演されている芸人さんたちの芸風を知りません。その意味ではこの作品のメッセージを受け取れているのかは自信ありません。でも、とても良かったです。切なさが。誰か名のある人か、もしかしたらこのサイトでどなたかが書いていた言葉かもしれないけど(加齢記憶力不安)、「人を笑わせることと、人に笑われることは正反対に違う」。その言葉を実感したうえで、「女芸人」という仕事に付きまとう虚実と、それをすべて飲み込んで「恋愛」に向かおうとする主人公の健気に胸が詰まりました。フェイク・ドキュメンタリー的な手法をとっていますが、かなり実像に近いんじゃないだろうか。人を「笑わせる」ことが好きで始めたはずなのに、メディア側の仕込みで「笑われる」ことにも甘んじなければならない立場とか、「笑いを取る」という意味でそのあたりの感覚や境界が麻痺して行くような日常とか。笑いの裏側を描くことが物語になるのは、やはり芸人たちが平素から「笑い」に拘りを持って際どい生き方をしているからなんだと、改めて分かった気がします。作品を深刻にしないために、エンドロールでさらにフェイク色を加えてますが、そんなことする必要は無かったように思いました。たまには、盛大に感動の主人公を演じても良いんじゃないの。余談ですが、私が地上波をほとんど見ないのは本作の「どっきり」みたいな映像を見るのが嫌いだからです。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-13 01:31:14)(良:1票)
10.  クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険 《ネタバレ》 
「雲黒斎」「戦国大合戦」を観て、自身のクレしん映画3作目。日常生活の流れの中で事件に巻き込まれるしんのすけ。たぶん、これが普通の「クレヨンしんちゃん」の世界観なのでしょう。日常感を損なわないファンタジーの中に、不安や勇気や冒険や笑いが上手に織り込んであって、子供にも安心して見せられる作品でしょう。両親を救うために埼玉・春日部から群馬のヘンダーランドへ一人で乗り込む道程描写に好感を持ちました。「初めての救出」ってところでしょうか。ス・ノーマンはかなり丁寧に作り込まれていて、「作戦タイム!」「認める!」のテンポの良さはケッサク。悪役とはいえ味が有り過ぎると思っていたら、ちゃんとオチがありましたね。そして、最後は家族で協力するところがやっぱり良い。なんだかんだ言っても、あの一家の絆がいちばんのテーマだと思います。どなたも言及されていませんが、ラストのチェイスは「長靴をはいた猫」へのオマージュ? 未見の方は是非そちらも観て欲しい。あの追いかけっこの原型が見られます。また、ありきたりな形容で申し訳ないけど、ぶりぶりざえもんの塩沢兼人氏はいい味でした。めっきり声優事情に疎くなった自分は、塩沢氏の逝去を↓で初めて知りショックを受けました。アニメ好き中年の自分には、癖のあるキャラクターを演じた声優として刻まれている方です。今さらながら合掌。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-01-05 02:48:35)(良:1票)
11.  クローズZERO
オツムを使わない腕力系青春映画。授業風景なし(笑)。その程度の低さたるや潔し。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2008-10-19 08:31:30)
12.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
「てきとうによろしく」と「私のピアノが勿体ない」。不機嫌顔の美人に言わせると名言になります。 身近な人が亡くなったのは「事故」です。本人の苦しさは分からなくは無いけど、「自分のピアノは他者を不幸にする」と云う考え方は自意識過剰だと思います。 父に二度も捨てられる少女と障害を抱えた兄を持つ少年が主人公に対置される。自身の不幸が表情や行動に出てしまう主人公より、子供たちの方がよほど大人だと思いました。 つまり本作は、そんな立派な離島の少年少女たちから再生の契機を貰うピアニストのお話です。ストーリーとしては十分に成立していると思うのですけど、主人公のスタート地点が低すぎて共感に至らず。また、クライマックスのロービー合唱には感動と云うより居心地の悪さを覚えました。まとまり過ぎじゃないかな…。 離島の風情とそこに住む人々の純朴さは良かったです。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-09-16 04:24:18)
13.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦 《ネタバレ》 
ところどころに絶妙な味わいがあるのがこのシリーズの面白いところ。本作は家政婦さんと博士でした。 家政婦のイツハラさん、どんな人生を歩んで来られたのでしょう? その過去にとても興味があります。独身ですか?  ヘガデル博士がしんのすけに「いま、ジュースだしたるわ」と飲み物を勧めて話すシーンが好きです。関西弁がイイ感じ。鷹揚な態度でしんのすけに色々と打ち明ける博士は、かなりの人格者と見ました。 序盤からしんのすけと二人三脚でストーリーを引っ張るレモンの設定も良かったです。母親の英才教育でテレビを見させて貰えず、スパイをやりながらトム・クルーズは知らない。そんな偏りのあるヒロインと超庶民のしんのすけの落差が終始楽しかったです。 野原一家はそれほど活躍しませんが「うちのせがれに何すんだー!」と言わせるだけで充分なのでしょう。 分かる奴だけ分かればいいって感じで投げられる「シャイニング」も嫌いじゃないです。 しんちゃんムービーとしては程良くまとまっている部類だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-07-26 03:10:05)
14.  クラッシャージョウ 《ネタバレ》 
とても懐かしい作品の再見でした。当時のライトノベル的な原作も読んでいて、挿絵を担当していた安彦良和氏がディレクターで映画になったのは嬉しかったです。ガンダム好きの多くは安彦氏好きで、私もその一人。本作も彼のキャラの魅力だけで喜んでいた記憶があります。 ノンストップのストーリー展開と云えば聞こえはいいけど、メチャクチャやりますね。「クラッシャーは人殺しじゃない」などと言いながら、ほとんど皆殺し。それがあまり気にならないノリで見せる映画でした。しっかりメインキャラの命だけは大事にしてましたけど。 改めて確認したのは、安彦氏は演出の人では無いということ。ご本人も認めているようですが、映像作品を盛り上げる手腕には疑問符を付けます。でも、独特の色気を感じる線には高度なオリジナリティを感じます。ファンとしては、もう少しアニメでやって欲しかったです。
[映画館(邦画)] 5点(2013-07-12 23:37:43)
15.  クヒオ大佐 《ネタバレ》 
実在のモデルがいるという結婚詐欺師。その妙ちきりんな人格と行動を味わう作品でした。最近では「インフォーマント!」が近いかな。中身は全く違いますが。本作は詐欺を仕掛ける相手として3人の女性をキャストし、彼の本質へ迫ろうとします。結婚詐欺師としてはマヌケな部類だと思います。銀座の女を騙そうとしてましたから。あっさり見抜かれて笑い者扱いでした。銀座の女ほどしたたかで無くとも、博物館の学芸員のように普通の感性を持っていれば疑います。そして、なぜ(お金持ちでもない)自分だったのか?と質問されます。日常に疲れた弁当屋の女社長は、現実から逃避するように彼に入れ込みました。騙されていても構わないタイプ。そんな女性の開き直りは怖い。ちゃんとした詐欺師なら、マーケティングが勝負のはず。その点、クヒオはとてもいい加減。本作で云うなら、中村優子と満島ひかりは狙うべきではないし、弟に発覚した後の松雪泰子への対応がお粗末過ぎます。おそらく彼は、最初から結婚詐欺を仕掛ける相手として女性を選んでいない。女性として魅力を感じたから近づいたのだと思います。その相手に自分の虚言を繰り広げることが快感で、食いつなぐための余技として結婚詐欺に繋がって行ったというのが自分の見立てです。最後にタネ明かしされますが、彼の虚言は幼少期の妄想から始まっていました。辛い境遇を助けるための妄想です。その妄想が肥大し、二重人格まで行かずに一歩手前で定着したのが「クヒオ大佐」だと思います。虐げられる子供や戦争被害者に同情し、直情的に声を荒げ暴力に及ぶこともある。自分の創作話に感情移入して涙を流せる。そこに演技はないので始末が悪いです。詐欺を仕掛けられる女性側の描写もなんか気の毒で、コメディとしてはかなりブラックな部類です。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-06-20 19:34:03)
16.  クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦 《ネタバレ》 
映画でしか「クレヨンしんちゃん」を知らない私には、ぶりぶりざえもんを語る資格は無いのかもしれないが、これはぶりぶりざえもんのための映画でした。自分勝手で利己主義ですぐに日和って信用できない。そんな最低に近い奴が、改心して人助けをして消えて行く様に感動する。生みの親のしんのすけが、彼を更生させるために用意したお話がとても良かった。それだけで、観た価値があった気がする、というのは言い過ぎか…。以下余談。先日、仕事でお付き合いのある女性と食事したときに聞いた話。中学生の息子をデキちゃった婚と笑う40代の素敵な方でした。曰く「亭主とは長く見知った間柄で、全く良いところが無くてむしろ嫌な奴だったけど、何かの折に優しくされたことがあり、その時だけ魅力的に見えてデキちゃった」らしい。普段が低空飛行だと、平均的な行いが高得点になる。見知らぬご亭主のその顔が、ぶりぶりざえもんにオーバーラップしました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-01-01 17:41:50)(良:1票)
17.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 《ネタバレ》 
クレしん映画の中では「戦国大合戦」と並び高評価の今作。やっと観賞しました。着眼は面白いと思いましたが、消化不良という意見です。これは「三丁目の夕日」の世界に住みたいかという問いかけです。ほとんどの大人は昔を懐かしみます。現在と比較し、しがらみや責任に縛られておらず、誰かに守られていた時代の方が良く思えるのは人情でしょう。でも、思い出の世界に住むことを選択したらかなり短絡的で、絶対に喪失するものの方が大きいと思う。なので「現在」を取ったひろしやみさえの判断は特別なことと思わなかった。大人帝国を画策したケンとチャコの動機に興味があったんだけど、そこは描いてくれません。きっと何か理由があるはずなのに、これでは説得力に欠けます。思い出と言えるような記憶を持たない幼稚園児のしんのすけが、未来に生きたいと叫ぶのは当たり前で、家族愛と一緒くたに描いているのは少しズルイ。もう少し懐古の意味を掘り下げて欲しかった。私は宴席などで「あの頃は○○だった~」的な話をするのが好きなタイプなので、この映画はチクリと刺さります。でも、懐古趣味が批判されるとしたら、それは現実逃避と被るから。自分は、現在に生きる意思さえあれば、思い出は人生の厚みであり、懐古は悪でも醜でもないと思っております。それにしても、冒頭の大阪万博の描写はかなりツボでした。当時、あの地元に住んでいて、何度も会場に足を運んだ私は映ったパビリオンの固有名をほとんど覚えていた。子供の頃の記憶ってすごい。数十年後に私が老人という肩書きをもらっても、たぶん覚えているのだろう。その意味で、人は自然と思い出に住む部分が多くなるのかも知れないが、それはあくまで老人になってから。
[DVD(邦画)] 5点(2010-05-03 11:07:49)(良:1票)
18.  クローズZEROII 《ネタバレ》 
ははは。相変わらず授業風景なし、先生は一人も出てこないし、パトカーもやって来ない。卒業証書を貰っていたが、いつ「本学の課程を修了」したんだか(笑)。まぁ、彼らは殴ったり蹴ったりするけど、映っている範囲では他人に迷惑はかけていないし犯罪も犯していない。刃物を諌める常識も持っているし、「危ない奴」は制止する。滅茶苦茶な内容だけど一線は守っている。タバコ吸って酒を飲んでたけれど、それはご愛嬌。真剣に汗をかいて精を出しているという意味では、クラブ活動と同じだと思う。インターハイには行けないけど。腕力系青春映画として徹底しているところが潔くって、ケンカしているだけなのに気持ちよく観られました。前作に引き続き、山田孝之@芹沢くんが存在感ありました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-02-11 03:08:49)(笑:1票)
19.  クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望
「クレヨンしんちゃん」のアニメを初めて観ました。原作もろくに読んだことが無かった。なるほど。進行している事件の異常な状況に対して、5歳の幼稚園児が不相応のマセた台詞を言い放ち、それに周囲が日常会話のボキャブラリーで対応する可笑しさがエッセンスなのかな…。面白いです。動きではなく台詞を楽しむアニメですね。「雲黒斎」は一度「ウンコ臭い」と聞いてしまったら、あとは全部そう聞こえてしまいました。人の聴覚って脳に繋がっているんだな~と妙なところに感心。これ、子供向けの体裁ですがちゃんと笑えるのは高校生以上じゃないかな。笑いの質がかなりシニカルです。これから観る予定の高評価作品が楽しみになりました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-01-05 02:46:39)
20.  空気人形 《ネタバレ》 
心を持った空気人形は、その空洞を満たしたかった。愛で満たされることが最もシンプルで最も満足を得られる方法だろう。でも、本来男性の自慰のために製作される空気人形はあくまで道具であり、行為を通して愛情が注がれることはない。また、自慰行為が纏う後ろめたさは、人形の自我を否定する。持ち主の板尾が「元の人形に戻って欲しい」と言ったのは、残酷だけどよく分かる。もっと残酷だったのは、レンタル店のお兄さん。彼は空気を抜いては吹き込む、を繰り返した。男性観賞者は同意すると思うが、しおれて蘇るぺ・ドゥナの肉体に性的興奮を覚えるのである。恋心を抱いた相手からも道具として扱われる…。そんな扱いを受けても、彼女はその本能からか、献身的な姿勢を失わなかった。自慰行為の後ろめたさを全身に引き受け、アイデンティティを無視され、それでも健気に献身する彼女は性の女神だ。人の業を引き受けて十字架に磔にされた有名人にイメージが被るが、こちらは数名の下半身欲求に救いを与えただけ。人は心を満たすことを希求する。でも、満たされている人は滅多にいない。空気人形の視線を通して、心の飢餓感と、満たされることの難しさを見せられる映画でした。ペ・ドゥナの物怖じしない演技が、重たいテーマを優しく湿り気なく見せてくれます。
[映画館(邦画)] 5点(2009-10-09 02:31:23)(良:1票)
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