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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  いつか輝いていた彼女は 《ネタバレ》 
映画と音楽のコラボレーションによる映画祭「MOOSICLAB 2018」への出品を前提に制作されたもので、当時活動中だったバンド「MINT mate box」がそのままバンドとして出演して主題歌も提供している。またボーカルの人がそのまま劇中の重要人物という設定のため、本人の高校時代の悪業を暴く話になってしまっているのが変である。別に実話でもないだろうが。 監督の前田聖来という人は「女優出身の新鋭監督」と紹介されているが、個人的にはAKB48出演の学園ゾンビドラマ「セーラーゾンビ」(2014)で、演者として強い印象を残したので覚えていた。  まず苦情として登場人物とその名前が把握しにくい。また音量や発声のせいで発言が聞き取りにくいので何を言っているかわからない。35分なので甘く見ていたが、2回見てやっと内容がわかってきた気のする映画だった。 設定としては高校の芸能科とのことで、一般の共感を得ようとするには特殊な世界だが、もともと自意識の強い連中ばかりという理由にはなっている。主人公は地味に見えても実は何かと他人に羨まれる資質に恵まれていたようだったが、結局別方面に行ってしまった原因としてはその場の運のほか、「マホ」との違いは人間のスケールの差?、「詩織」との違いは上昇志向の差という感じか。確かに芸能やスポーツなど高校生の頃に決定的な差が出る世界もあるだろうが、その他普通人は高校時代が不遇だったからといって負け確定とも限らないので、主人公は腐らずに何か新しいことを発見してもらいたい。真面目すぎるのが問題なのか。 なおラストで「なつみ」と「佳那」もその後どうなっていたのか見たかった。「詩織」はクセモノ感が顔に出ていた。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-09-09 10:11:09)
2.  犬鳴村 恐怖回避ばーじょん 劇場版 《ネタバレ》 
本編を見てからなので期待感は全くない。 冒頭の説明通り、ホラー場面に手を加えて怖くないようにしたものらしく、コメントでドッキリを予告するとかキラキラの装飾とか、「イラストで表現します」と書いておいて「いらすとや」風の絵を実写に被せるといった加工をしている。怖さの緩和以外にも、観客が見落としそうな一瞬の映像を親切に指摘するといったこともしているが、しかし見所には全部コメントが付くだろうと思い込んでいると、序盤で立小便かと一瞬思わせる場面などはかえって見落としてしまいそうだ。ほか「応援タイム」というのもあったが観客の全員が沈黙していただろうと想像される。  ドラマ部分は変更がないようだが、しかしこんなふざけたホラーにしておいて、全体を真面目な顔で見ることなど初見の観客に可能なのかどうか。せっかくの物語を背景音楽やコメントが明らかにぶち壊しているところがある(主に2か所)。 逆に本編を見た者としては全編突っ込み入れまくりにして笑わせてもらった方がよかったが、ドラマ部分はほとんど加工がないのでそういう見方もできなくなっている。わずかに可笑しいのは「こんにちは、いぬです!」「失敗しちゃった笑」「ここは便所ちゃうで~」「電話かけたいねん」くらいのもので、これなら公式のギャグPVでも見た方がよほど笑える(鷹の爪コラボなど)。 一応全部見た結果として、これはやっつけ仕事ではないのかと正直思った。  なお同じ映画を繰り返して見た形なので、本体部分に関して改めて思ったことを書くと、 ○祖父宅から見えた山霧はいい感じ。祖父は全部わかっているが思いを押し込めている。 ○帽子の男は昔風だが渋味があってクールな奴だ。 ○海でなくて湖だという件は本編段階からあるとぼけた場面で、こういうのは「呪怨」以来のこの監督の持ち味である。 ○エンドロールの背景で空から現地へ迫る映像は迫力がある(行くな)。 ○主題歌がかなり心を打つ。これで鑑賞後の感情が支配されてしまう。 そのほか人物の関係で、奥菜恵の出演場面には注意喚起のコメントがついていたが、それ以外にも例えばファン向けに「三吉彩花ちゃんでたー!」と書いて盛り上げるとか、「宮野陽名ちゃんはSeventeen専属モデル。この頃まだ15歳!」とか紹介を入れるとよかったはずだ。ちなみに突撃バカ役の大谷凜香という人は、しつこいコメントのせいで小便娘ということがますます強く印象付けられてしまっていた。
[インターネット(邦画)] 1点(2020-10-17 08:22:35)(良:2票)
3.  犬鳴村 《ネタバレ》 
地元PRに使えるネタではないはずだが、現地の自治体が実名を出して特別協力していたのはかなり驚いた。県警名と車のナンバーも実在であるのに電力会社だけ架空になっているが、ちなみに現実の犬鳴ダムは県営である。 ストーリーはかなり説明不足に見えるので、欠落部分を勝手に補うと次のようになる。 ***** 村人は昔から周辺住民に忌避され恐れられてきたと想像される。ダム建設なら金と脅しで立ち退かせれば済むはずが、皆殺しにまで至ったのは会社の意向というよりも、この機会に忌まわしいものを一掃したい、という周辺住民の集団意志があったからではないか。その先頭に立った旧家に主人公の母が嫁に来たのは、憎むべき家系の廃滅または乗っ取りの意図が背後にあったと思われる。また今回の事件がきっかけで、それまで知らぬふりをしていた周辺住民も、まるで全てが旧家のせいだったかのように責任転嫁を始めたようだった。 事件のあと、旧家は家庭崩壊を免れたようでもあったが、しかし村人の子孫は確実に社会に紛れ込んでおり、その異能はやがて周辺住民の脅威になっていく恐れもある。そうするとダム建設時の虐殺も、社会の多数派たる周辺住民にとっては一理あったことになるか。あるいは大した脅威でもなかったものを、脅威のように言い立てて差別し迫害した多数派への復讐が始まるということかも知れない。 ***** 家単位で見ると憑物筋の特徴も出ていたようだが、村単位ではネット発祥の怪談「コトリバコ」や、欧州でのポグロム(イェドヴァブネ事件など)を連想させられた。ちなみに実在した犬鳴谷村はこれとは全く違うものであり、上記はこの映画限りでの解釈である。 個別の場面としては、若年女子が股間を黄色くして歩くのが衝撃的だった。白い服に映る映像を振り払おうとする演出も悪くなかったが、終盤のトンネル内の揉め事は早く終わらせろと言いたくなった。なおラストのトンネル映像が本物だったとすれば、ここが一番怖かった。  人物関係では、三吉彩花嬢は長身で美形の医師かと思ったら臨床心理士だそうで、女性っぽさは抑えていたがすらりとした姿には終始見とれていた。ちなみに劇中の子役はこの人の子役時代とは似ていない。また村娘役の宮野陽名という人は撮影当時まだ中学3年生だったとのことで、若いのにプロ根性があるようなのは感心した。ほか突撃バカ役の大谷凜香という人は、「ミスミソウ」(2017)でも悪役だったが今回またひどい役だったので、今後もどうか頑張って演技者として大成してもらいたい。逆さになった一瞬の表情は輝いていた。 [2022/7/23変更] 突っ込みどころの多い映画だが、「牛首村」までのシリーズ3作の中では最も総合的なエンタメホラーになっていて悪くないと思ったので点数を+1にしておく。エンディングの空撮とテーマ曲が心に残る。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-10-17 08:22:32)(良:2票)
4.  いつも月夜に米の飯 《ネタバレ》 
監督の名前は「おんなのこきらい」(2014)で憶えていたが、それが理由で見たわけではなく、竹富聖花(現・春花)という人が脇役で出ているので何をしているか見ようとしただけである。デレっとした感じで食い物をうまそうに食う美女モデルで、主人公の行動に大きな影響を及ぼしてから去ったらしいがいい影響だったかは何ともいえない。 ちなみにどこがPG12なのかが気になっていたが、未成年が飲酒するからという単純な理由か、あるいはカラオケでの婦女暴行が出るからか。その辺のチャラい男とラブホに行っていたあたりはそれほど問題ではないかも知れないが、とにかく地元民でも小学生(だけで)は見てはなりませんということになる。  宣伝によれば「ごはん映画」とのことで、料理または食材を題名にした5章を立て、それらしい食物を映像化しているので料理映画といえなくはないが、それよりはこれから長く続いていく人生の一場面を描いた映画という印象が強い。人が飯を食うという行為が人生そのものを象徴し、誰かと生活をともにする、一生添い遂げるといったことの表現にもつながっていたのでまとまりはなくもない。 最後はハッピーエンド風なのでこれで万事うまくいったと取れるのかも知れないが、しかしエンドロールの後の場面が題名そのままなのは「実際はそうはいかない」(公式ページの解説より)という意味であり、19歳女子(中卒)が40男と一生添い遂げるはずがないという常識そのままのことを示唆していると思うしかない。要は母親似の娘が、母親への対抗心で男を奪い取った一場面の話だったとすればかなり皮肉な映画ということになる。 決して中身のない映画とも思わないが、しかし自分として最大の問題点は共感できる要素が全くないことである。もうどうでもいいから勝手にしてくれという気分で、時間的には104分しかないが非常に長く感じた。  以下雑談として、撮影地は新潟県五泉市とのことだったが、アーケード商店街を見る限り、もとの五泉の中心街ではなく2006年に合併した旧村松町の中心街を映していたらしい。ここは村松藩堀家3万石の城下で、相応の由緒ある町ではあるが、映像的にはそれほど行ってみたくなるように見えてはいなかった。ほかに目立つところでは日本海に面した寺泊(旧寺泊町、2006年以降は長岡市の一部)の店が出ていたようである。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-05-03 08:21:03)(良:1票)
5.  伊藤潤二恐怖コレクション/長い夢<TVM> 《ネタバレ》 
伊藤潤二の同名のホラーマンガを原作とした実写ドラマで、人間の夢の中の世界と現実世界に乖離が生じて拡大していく話である。「伊藤潤二恐怖コレクション」というシリーズの一つとして、2000年7月にテレビ朝日で放送されたらしい。 内容としてはかなり原作に忠実で、基本的に原作の出来事はちゃんと拾っている。患者の外見なども原作に倣ったようで、特殊メイクは一見失笑モノ(ピンポン玉)だが結構気色悪い。両手の指を伸ばす場面は原作にもあるがドラマの方が印象的に映像化されており(意味不明だが)、次第に言葉が変になっていく様子も表現されている。別に怖くはなく派手さもないが、背景音楽の雰囲気を含めてミステリー調のドラマを真面目に作っており、同じ監督の映画「うずまき」(2000)のようなふざけたところは基本的にない。 全体構成としては、原作が短編だったのをオリジナルの登場人物も加えて1時間程度に拡張している。自分の感覚としては、原作はどうも尻切れ状態で終わってしまう印象があったが、このドラマでは違和感なく延長してオチまで付けた形になっており、ここは未完成だった原作を補完して完全版を作ったようにも見える。ラストの展開は若干無理があるようでもあるが、全体的な印象としては悪くなかった。  人物に関して、キャスト配列順の2番目のつぐみという人は知っている人は知っているだろうが、今回は病人役のためあまり可愛く見えるところはない(ラストの一瞬のナース姿もこの人か)。また上記「うずまき」にも出ていた初音映莉子という人は友情出演ながら実質的なヒロインで、今回は少し落ち着いた感じで古風なラブストーリーの恋人役をやっている。50がらみのオヤジとのキスシーンが直前で回避されたのは幸いだった。
[DVD(邦画)] 5点(2019-04-13 13:30:40)
6.  一週間フレンズ。 《ネタバレ》 
まず前半は年少男子向けライトノベルのような感じで、愛すべき善良な男によるほのぼの系の物語になっている。友人男女も善人でコメディ部分も素直に笑えるので、主演の名前だけ見てまたこれかと敬遠しなくてよかったという気にさえなった。ちなみに自分としては幼馴染の女子(演・高橋春織)が大好きだ。 しかし後半になって邪魔な転校生が現れると、なぜか少女マンガ原作映画っぽくなって気分が引いてしまう。心地よかった世界に何でこういうドS王子のようなのを出さないと気が済まないのかと呆れるが、ヒロインもあっさりそっちの方になびいてしまい、もともと好きなタイプでない(女優が)こともあって見る側の気持ちも離れてしまった。  さらにラストの展開も全く納得できるものではない。返却図書には確かに大泣きさせられたが、もともと主人公の男が友達友達と言い続けていたのはあくまで恋人関係を目指してのことだったはずで、ここであらためて友達になったとしても元彼=今彼が存在する限り、いわゆるこれからもいい友達でいようねというような意味でしかない。こんな結末では屈辱的だろうが、あるいはこれはもしかして恋愛感情などより男女間の純粋な友情が尊いと訴えている映画だったのか? それは幼馴染の女子を悲しませてまでやるようなことなのか。 個人的感覚でいえば、ヒロインなどはもうあっちの世界に行ってしまった人物でしかなく、卒業とともに記憶の底に押し込めてしまえばいい相手である。返却図書は墓標のようなものとして、いわば故人を偲ぶ感覚でヒロインを泣かせておけば済む。主人公の男には今回の件を、努力が成果につながらなかった失敗体験、または「無理」な状況でも相手を動かした成功体験として整理して今後に生かしてもらいたい。悪い奴ではないのでこれから必ずいいことがあるはずだ(数学の教員もそう思っていたはずだ)。ちなみに幼馴染の女子にもこれからいいことがあるに違いない。  そういうことで最後に残念感を残す映画だったが、ちなみにキャストに関しては、古畑星夏さんが今回はかわいい感じで出ていて、結果的に悪人でなかったのも安心したが、最後にどうなったのかわからないのは不満が残る。また伊藤沙莉という人はどこに出ているのかと思っていたら、忘れ物を取りに来た声でやっとわかった(「リア充」のところは聞き逃した)。さすが端役でも重要なところを押さえている。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-01-01 16:21:49)
7.  生きてるものはいないのか 《ネタバレ》 
舞台劇のように見えるが実際そうだとのことである。初演が2007年というわりに、マサヒコという男がマッチと呼ばれていたのはかなり古い時代のものに見える。 背景設定について真面目に考えるのは無意味かも知れないが、人々が次々死んでいく状況自体は原発事故を思わせるものがある。しかし死に方は放射線障害のイメージではなく、そもそも元になった戯曲は震災前からあり、映画の撮影も2010年だったようなので関係ないらしい。また劇中の都市伝説の真偽に関してもよくわからなかったが、それより結局、入院患者の期待が実体化した形で終わったのではないかという印象が強い(少し前に見た別映画の「だからみんなも死んでください」のような感じ)。  内容的には序盤の女子3人と三角関係の3人の会話が単純に面白いが、特に三角関係の男はこういうのが近場に本当にいるので他所事とは思えない。この男の人格や風貌が役柄に全くそぐわないのも不条理で、ここはコメディにふさわしい茶番感を出している。ただしそういう流れで見ようとすると、後半はそれほど可笑しいところもないようで退屈になる。 その後半では、死に際して人は何を思うのか、ということが描写されていたらしい。皆さんそれぞれこだわりがあったようだが、生きていること自体に執着するものがいないのはあまりにも軽薄な印象だった。人が死ぬのは当たり前だから今死んでも同じこと、というのは間違っていないにしても、それは現時点で何も背負っているものがなく、かつ今しか見ていない人々の発想である。劇中最も生きることに執着していたのは入院患者だったはずだが、この人物の存在が“生きろ”的なメッセージにつながっていたようでもないのがあくまでとぼけた感じを出していた。  なお登場人物では(女子限定でいえば)、個人的には序盤の女子大生3人(高橋真唯・田島ゆみか・池永亜美)に好意的なのと、掃き溜めに鶴という風情の病院スタッフ(青木英李)が目を引いた。どうせ最後と思えば付き合ってくださいくらいは言ってみたくなるが、断固拒否だったのも最後だからこそのこだわりがあったということか。
[DVD(邦画)] 6点(2018-12-22 18:54:25)(良:1票)
8.  祈りの幕が下りる時 《ネタバレ》 
予備知識なしで見たが、序盤で警視庁の刑事が地方に出かけて、テロップで事情を説明していたのが「砂の器」っぽいと思っていたら、その後もほとんど「砂の器」をなぞった感じの話になっていたのは呆れた。逃避行のところで感動を盛り上げる音楽が鳴り続けるのも「砂の器」に似せているようだが、この音楽も本家よりさらに薄っぺらい。 物語としては、本家の方は病気の問題が扱われていて注意がそっちに向いてしまうのと、犯人が全く共感できない男のため感動が削がれるところがあったが、この映画では父子の境遇に素直に同情でき、最後はそれでも逮捕されなければならないのか、という思いが残る結末になっている。ただ主人公の事情を同時並行的に語るストーリーのためか、2時間ではかなり込み入った話になってしまったようでもある。自分としては残念ながらそれほどの大感動もなかったが、この後に主人公は元の職場へ復帰するという話だったので、このシリーズ的にはハッピーエンドになったらしい。なお看護師との関係の進展は不明に終わった。 出演者としては、ヒロインの少女時代の悲痛な顔と、現在の凄味のある顔が印象的だったのと、老人ホームにいた母親がかなり強烈な人物だったのは笑った。また捜査本部の上司のわざとらしい口調と顔はやめてもらいたかったが、老人ホーム職員の一人漫才のようなのは嫌いでない。そういう面での娯楽性もある映画だった。  ちなみに社会的な問題提起という面で、本家「砂の器」での病気に当たるものは、この映画では原発のように見えたが残念ながら半端な感じに終わっている(原作を読むともう少し突っ込んで書いてある)。また序盤で岡の上からアパートを遠望したのはどこの風景かと思っていたら、石巻市の日和山から北上川の河口付近を見た映像だったと後でわかった場面は少し衝撃的だった。ただし2001年の時点ではすでに日和大橋ができていたはずなので、現実の石巻を想定していたのでもないらしい。 ほか映像面では、窓から海(湖)の見える居室というのが印象に残った。また原作段階からのことだが、地域行事の「橋洗い」を紹介していたのは少し見どころだった。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-10-25 20:42:03)(良:1票)
9.  EVIL IDOL SONG 《ネタバレ》 
主演の藤田恵名という人が劇中人物どおりの「シンガーソングラドル」だそうで全く洒落にならない。これが実体験に基づく映画だという話は別に出ていないが、仮にそうだと言われれば本当にそうだろうという気になる。「みんなやってるし」とか言われてしまうとそうなんですかと思うしかない。 しかしそういう世界で惨めに踏みにじられたような状態が最後まで続くわけでもなく、途中で悪魔化してぶち切れたのはいいとして、その後は社長も含めて人格が一変してしまい、さらにマスコミの群れを振り切って飛び立つという流れは唐突感がありすぎる。クライマックスに至っても、マンガのような警察が気分の高揚を邪魔しているようで、ドラマ的には自然に乗れる展開になっていなかった気がする。  一方で、その間もマネージャーだけは正常な精神状態を保っていたのかも知れないが、しかし最後にはもう悪魔でも何でも主人公に共感して応援したいという、いわばファンとしての感情で行動するに至ったらしい。自分としてはそれより先、ライブを目前にした段階ですでに期待感が高まっていたので、この男よりは早いうちにファンに近い立場に立てていたはずである。 本番が始まって、熱海市の廃校?でも東京でも大阪でもワシントンDCでも、人々がみな幸せそうな顔で死んでいったのは正直感動した。最後は、天使なら昇天して終わりのところ悪魔だったので堕ちてハッピーエンドである。いろいろあったが最終的にはみんなをしあわせにするアイドル映画だったということで評価が確定した。点数は、主演の人を応援する意味で+1にしておく。  なお注意事項として、この映画の紹介で主人公が世界または人類の滅亡を目的としていたように書いてあるものがあるが、最後にみんなを幸せにすることができたのならそれが目的だったということになるのではないか。死んだ連中は基本的に自由意思で歌を聴いたのであって無差別テロともいえず、幸せになりたい人々が自ら幸せになろうとして、結果的に人類が滅亡したなら仕方ないことである…しかしどんな場面でも幸せを掴めない人間は必ずいるわけなので、どうせ滅亡などはしないだろうが。
[インターネット(邦画)] 7点(2018-09-16 08:55:01)(良:1票)
10.  イースターナイトメア 死のイースターバニー 《ネタバレ》 
ハロウィン・ハロウィン2・バレンタインに続く「ナイトメアシリーズ第4弾」とのことで、他の3つを見てしまったのでなりゆきで見た。今回は「日本初のイースターホラー」だそうで、復活祭というもの自体はまともなキリスト教の行事だろうが(そもそも知らないが)、それよりも本体に付随するイースターバニーなるものの胡散臭さに着目した企画ということか。ちなみに原作ゲームはこの映画を見る上でそれほど参考にはならないとの噂である。  内容としては全般的に低調で、映像的な見せ場がないことからすれば物語に重点が置かれているのかも知れないが、結局何がいいたいのかはわからない。真面目に語るのも野暮だが一つ書いておくと、もしかすると最後に裁判官の役を務めたのは主人公だったのかも知れないが、よほどこの主人公が清純で清廉な印象をあらかじめ出しておくのでなければ意外性も何もなく、そもそもキャスティングに無理があったように思われる。 もう一つ低レベルの指摘として、日本語として適切なのは「あなたを呼びます」か「あなたに呼びかけます」のどちらかであって、「あなたを呼びかけます」という言い方はありえない。これを書いた人物はよほど国語が不得意だったか外国人と思われる。  登場人物に関しては、まず劇中にバニーガールの扮装をする人は出ない。やるとすれば主演の人だったかも知れないが、バストの大きさが強調される服装が多いという程度で抑えている。この人のほかに男っぽい同級生役(女子)や、いたいけなウサギ役の人は別のところで出ていたのを知っているので自分にとっては無名の人々でもない。最も普通に愛らしく見える同級生役は知らない人だったが、現在は女子プロレスの道に進んでいるとのことで、何が起こるかわからない世の中である。
[DVD(邦画)] 2点(2018-06-30 20:23:07)
11.  育子からの手紙 《ネタバレ》 
劇中に実名で登場する人物の手記を原作として映画化したものである。いわゆる難病ものであり、具体的には小児がんである。 この映画で失敗ではないかと思うのは、チラシなどに使われている主人公(:題名の少女、以下同じ)の写真がどうも“お涙頂戴”感というか、愛は地球を救う的な雰囲気を醸し出しているため見る気が減衰することである。ただ実際見れば意外にそういう印象はなく、わざとらしい演出はほとんどない感じで自然に見ていられる。 特に自分としては、主人公の周囲がみな心優しい人物ばかりなのがありがたかった。主人公の境遇自体が厳しいため、その上に同級生や道行く人々の心ない仕打ちに傷つけられる通俗ドラマのような場面など見たくないという思いが生じる。また実話ベースということもあるだろうが、主人公のいわれなき苦しみを見せられた観客の憤懣をどこかの方向へ誘導して無理やり社会問題化する、といった類のものでもない。あくまで主人公の生きようとする姿を見せて、見た人のこれからの人生に働きかけようとする映画になっている。清々しい、というと語弊があるかも知れないが、人間のもつ真心の部分だけを素直に映像化しているように思われた。 この映画で特に心に残るのが主人公の表情で、普通に笑顔や泣き顔も見せていたが、身体や心の痛みに耐えて目を見開き唇をきつく結んだ顔が見る者の心に刺さるところがある。ナレーションで語られる手紙の内容はほのぼのしているのに、映像では主人公がひたむきにたたかう姿を見せていたのも印象深い。 病気のためとはいえ、凡人であれば長い年月をかけてやっと得られる(あるいは死ぬまで得られない)認識や覚悟をわずか13~15歳の間に得たのは痛々しくもあるが、あるいは短くても誰よりしっかりと生きた人生だったと解すべきなのか。この年になるまで厳しさもなく、何をやってきたのかわからない人生を過ごしてきた者には眩しくも見える人間像だった。  なおどうでもいいことだが余談として、劇中で石段と郵便ポスト(と家庭ゴミ集積所と町内会掲示板と案内図)があった場所は仙台市太白区向山にある。文字通り、仙台の中心部から広瀬川を挟んで向かいにある山手の地区で、現地から逆方向に見れば中心街が見える。
[DVD(邦画)] 7点(2017-05-08 21:44:50)
12.  悼む人 《ネタバレ》 
映画を見た段階ではわけがわからず面倒臭いだけと思ったが、その後に原作を読むと、小説の内容を手短にまとめた形になっているようではある。「悼む」ことの動機が何かということよりも、主人公の姿から何を感じ取るかが大事というのは映画でもわからなくはなかったが、しかし映画では観客の心に訴える事例の積み上げが不足している感じで、「悼む」ことへの共感度が高まらないまま物語が展開していく印象があった。 また主に序盤で見る者を苛立たせる類の演出が連続するのは不快でしかなく、特に息子を殺された母親の話し方が非常に耳障りで、これに耐えて見たことをありがたく思えと言いたくなる。加えて雑誌記者が父親の店で、自分の世界からしかものが見えない視野狭窄の傲慢オヤジに嫌味を言われて反省したように見えたのが非常に腹立たしく、そういう点で映画自体に反感を覚えたため、結局最後まで皮肉含みの感情のまま終わってしまった。 ちなみに映画で感動するところはなかったが、さすが原作には問答無用の説得力があって引っかかるところも特にない。ただし分量が多いのでかなり時間を食う。ほか映画では同行者の人物(石田ゆり子)に年齢なりの色気があって大変よかったが、主人公役もそれらしい感じで悪くなかった。  なお原作者インタビューでは原作の発端になった世界的事件のことが語られていたが、どうも社会問題の見方が皮相的というか、そもそも社会全体を視野に入れようとする意識が決定的に欠落していると感じられる。息子を殺された母親に関していえば、親の心境がどうあれ警察が身内の犯罪を隠蔽することが許されていいわけではない。個人の問題と社会の問題はあくまで別次元で捉えるべきものであって、自分が「悼む」ことに共感できるのは個人レベル限定である。
[DVD(邦画)] 5点(2017-05-01 19:57:33)
13.  生きる 《ネタバレ》 
学生時代に一度見たが、その時はなるほどこれが名画というものかと思った程度だった。 今回見ると、まずハッピーバースデーまでがとにかく長く、その間主人公がジタバタするのが非常に見苦しい。自業自得だろうと突き放したくなる一方、息子のためにこうしてきたというならそれでいいだろうがとも思う。生きる意味などそれぞれ気の持ちようなのでどうにでも納得できるはずで、特にこの時代なら、とりあえずここまで生き延びて子孫が残るだけでもいいではないかと思うが、それをあえて否定して、個人の生きる意味を求めたのがこの映画ということなのか。しかし現代ではその個人の部分だけが重視される一方で少子化が進んでいくのは皮肉ともいえる。  その後の通夜の場面では、一転して他者の視点から主人公の行動を明らかにし、印象操作や誤解を排した全体像を皆が共有していくのが面白い。警官の述懐は、いわゆる最後のピースがはまったようにすっきり感じられた。 またこの部分で語られる役所の組織体質は興味深い(笑う)。何もしない決まりがあるというよりは、行動様式として目の前に来た案件を捌くのが基本だから主体的に動く発想がないのだろうし、そういうのは江戸時代のままではないかという気もするが、わずかな体面のために自分の領分への干渉を許さないとか、執拗な相対化で個人の功績を薄めようとするなどは小役人というより日本人の気質ではないのか。記者の言う「プロモーター」はいかにも新しい言葉に聞こえたが、当時などほとんど理解されていなかったのではと想像する。 そこで何かしようとした場合、主人公に関してはたまたま本当に役に立つ仕事がその辺に転がっていたからよかったが、動機が不純だと自己満足だけで愚にもつかないことをやらかす恐れもある。そもそも自分のために仕事をするなど公僕のやることかと言いたいところだが、ただし工事現場で倒れた主人公を、周辺住民が寄ってたかって助けた場面は少し泣けるものがあった。要は実のある仕事かどうかかが真の問題であって、それが同時に当人の生きた意味にもつながりうることは示されていたように思う。今さら他人に言われる筋合いはないと反発を覚えながらも、人生悔いのないようにという思いは否応なしに残る映画だった。  ちなみに劇中の小田切とよは、近場に本当にこういう人物がいるので妙に親近感を覚えた。どうでもいいことだが。
[DVD(邦画)] 7点(2017-04-05 20:36:14)
14.  愛しのハーフ・ムーン 《ネタバレ》 
最近たまたま特殊な事情で「いとうまい子」という名前を目にする機会が多くなったので、昔に遡って若い頃の映画でも見るかと思ったのがこれである。この人にとっては女優として2つ目の出演(主演)作で、いわゆる濡れ場があるほか何かと性行為に関わる発言が多く、清純派アイドル時代からのファンにはかなり衝撃的だったはずである。また原作者が有名女優だったことにも一定の話題性があったものと思われる。 ネット上の記事を見るとこれをポルノ映画扱いしたものもあり、この監督がここまでの間に成人映画(「痴漢電車シリーズ」など)で実績を重ねてきた延長上でみればそうなるのかも知れないが、しかし実際はこの監督が一般映画に転じてからの2作目ということになるらしい。劇中では主演女優を含めて女3人男2人のからみが生じるが、少なくとも現代の目で見れば特に過激ともいえない。  内容に関しては、簡単にいえば結婚を前にした女性の迷いを扱ったもので、映画の作りとしてはかっちりできているように見えるが、しかし個人的には物語自体に面白いと思う要素が正直何もない。またコメディ調ではあるが特に笑えない。 劇中の男女関係を見ると古い時代から現代への変化の過程を示しているようでもあり、序盤で白昼堂々と刺激的な言葉を発していたあたりは、これが時代の趨勢だと殊更に宣言してみせたかのようで気恥ずかしい。一方で親世代の「結婚なんてあんまり悩んでするもんじゃないよ」という発言は、序盤の主人公の言葉と対をなしているわけではあるが、これが実は結構な世代間の断絶を示しているのではという気がした。個人の欲求は素直に肯定する一方、個人の人生を規定してしまうものには慎重になる、ということかと自分としては受け取った。  キャストに関しては、まずは主演女優が見事に可愛らしい。世間的にはこの人のラブシーンが見どころだろうが、この人と並んで、亡くなる前年の堀江しのぶ嬢が自制の利かない緩い女を演じていたのが印象的だった。またその関係で、新郎に「兄弟」と呼びかけていた津村鷹志氏(「ウルトラマンタロウ」の北島哲也隊員)が非常に格好いい。ほかに主人公の友人役の川村一代という人も、昔よく見た顔で懐かしい気がした。
[DVD(邦画)] 4点(2016-11-01 23:16:04)
15.  怒り 《ネタバレ》 
真面目に見たが釈然としない映画だった。見た後で原作を読むと、全体としては原作にかなり忠実に、うまく要約して作られているのはわかったが、それでもなお釈然としない理由は次の3つである。  ①題名と内容が一致しない 題名の意味について、どうにもならないことへの憤懣を「怒り」という言葉で表現していると考えれば、劇中の至るところに大小の「怒り」があることは理解できるが、しかし物語としては3つとも“人を信じること”を主題にしているように見える。これは原作段階でも同様の指摘があったらしく、それに対して映画では、ラストに追加した少女の場面(ギャーと叫んでいた)で「怒り」をより強く印象づけようとしたのではないかと想像する。 ②登場人物の心情に共感しにくい 千葉編と東京編に関しては、それぞれ相手を疑う理由が第三者的にも理解できるものであり、かえって当事者の悔悟と自責の念の方に共感できなかった。しかし原作を読むと、さすが小説では登場人物への共感レベルがまるで違っており、小説の情感が映画では失われてしまって無味乾燥になった感じがする。長さの関係もあるだろうから仕方ないが。 ③全体的に結論を出さず観客に投げる形になっている まず「怒り」の根源について、派遣労働や外国の駐留軍(現時点ではアメリカ軍)、あるいは母親が自堕落だとかいうことなど、大小各種どうにもならないことへのやるせなさがあったとしても、それを観客に訴えてどうしようというのかという疑問が生じる。また“人を信じること”は一応の共通テーマのようではあるが、これも闇雲に“人を信じることが大事”などと訴えていたのではないらしく、映画でも沖縄編は少し複雑だが、原作では映画で省略した4つ目の物語がこの問題の難しさを示している。 答えが出ないようで不全感は残るが、元からそういう作りなのは仕方ない。観客の内なる「怒り」を期するということかも知れないが、あまり期待されても困る。  そのほか原作段階では真犯人の犯行動機がわからないのが不満との声もあったようで、それに対して映画では、犯人の行動と心境に関する台詞での説明を入れてある。またそのことに伴い、真犯人が必ずしも真の悪人ではないということも示唆されていたようで、つまり「怒り」は専ら米軍に向けよということだったのかも知れない(ちなみに原作では白人だったのを映画では黒人にしていた)。 なお出演者に関しては当然ながら広瀬すず嬢が圧倒的な印象を残す。二度は見たくない映画である。
[映画館(邦画)] 5点(2016-09-23 19:58:15)(良:1票)
16.  犬飼さんちの犬 《ネタバレ》 
事前知識なしで見たが「幼獣マメシバ」とリンクしているとは思わなかった。芝二郎というキャラクターを知らない人が見るとかなり当惑するのではとも思うが、まあ犬好きの人であれば一通り全部見て当然のように知っているのかも知れない。自分もたまたま見たことのある人物だったので笑わせてもらったが、さすが先行企画の主人公だけあって発言に説得力がある。「犬を擬人化するのも大概に」というあたりはケモノ全般に通じることだろうから、うちの家の者にも言って聞かせたいものだ(犬はいないがネコはいる)。  ところで、別に犬嫌いではないが犬好きでもない立場でこの映画を見ると、まるで“犬を愛する素質は全ての人にあり、それに気づくことで人は幸せになれる”といったような、いわば神の視点から教訓を垂れるような話になっている。劇中家族や犬好き関係者(一部)の理不尽な行動も、主人公を正しい方向へ導くために神が与えた試練だったのかと思うが、そもそも犬好きでない人間までを共感させるものにはなっていない。最初から犬好きの世界で閉じられた物語であって、犬好きとそれ以外の間を結ぶ話にしようとは思っていないようである。 また劇中では犬限定でない一般論として、相手の気持ちになって考えるとか同じところに安住しないで自分を変えるとか自ら動かなければ結果は得られないとか丸く収めるばかりが能でないというような断片的な人生訓が各所にちりばめられており、これはTVシリーズの方で使ったネタかも知れないが、この映画を見る限りそれほど心に染みるものにはなっていない。主人公が犬嫌いになったエピソードも経験者向けの内容ではあるが必然性が感じられず、またエンディングの歌は本編と全く別の話ができてしまっている。自分が見る限り映画全体としてのまとまりが感じられないが、最低限、犬が出ているというところで筋が一本通っていればいいということかも知れない。 それにしても何で犬嫌いのいる家でわざわざ犬を飼わなければならないのか。ネコにしておけばいいだろうが。
[DVD(邦画)] 4点(2016-08-18 22:19:13)
17.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 
東宝特撮の延長で見たわけだが、日米合作のためか違和感が大きい。なぜか悪玉側に日本人女がいて外人男に媚びまくった上に捨てられて醜態をさらすのが見苦しいが、そもそも生き物を職人技で切り貼りしてバケモノを作るというのが悪趣味で、アメリカ人の好みに合わせるとこういう下劣な映画ができるのかと呆れる。またキャスティングの意図はわからないが中高年同士の三角関係など見たくもないのであって、比較的若手の女医にしても変に露出部分が多い割に顔が可愛くないので存在意義が感じられない。  加えてラストが全く不可解で、当時はこういうものが洒落ていると思ったのかも知れないが、どう考えても合理的解釈が不可能なものを作られてしまうとさすがに困るわけである。並行世界という考え方もあるようだが、同じ顔で同年配の人物がたまたま揃ったことは説明できていない。こんなことなら単なる夢オチの方がまだましである。 そのほか特撮面では船舶関係(潜水艦含む)の出来がなかなかいいとかいうことはあるが、ライオンさんとコンドルさんの様子を見れば昭和特撮だからといって不問に付す限界を超えているので全体的には相殺される。また出演者に関しては、黒部進氏ほどの人を正体不明の外国人役で使うなと言いたい。  ここまでさんざん書いておいて少し褒めることはないかと考えたが、上に少し書いた以外にないので困る。日本側ヒロイン役である中山麻理という人のことも書くべきだったろうが書かないで終わってしまった。ちなみに劇中で世界的科学者が誘拐されたときに、米ソが互いに相手方の陰謀だと中傷していた発言の中で「中共の侵略的計画」という言葉が出ていたのは、中ソ対立以降で西側との関係がまだ改善されていなかった時期の感覚を反映したものと思えば少し興味深い。 追記:ほかの皆さんのレビューを見て思い出したが、海底火山の爆発がうまくできていたというのは同感だった。こういうのはもう円熟の技法である。
[DVD(邦画)] 3点(2016-05-14 20:08:37)
18.  いしゃ先生 《ネタバレ》 
戦前から戦後にかけて山村の医療に尽力した実在の医師の物語で、現在の山形県西村山郡西川町大井沢という場所が舞台である。景観面では一般的な山間風景が地味な色調で多少美的に見える程度のようだが、季節や天候によって はっとするような風景に出会うこともあり、劇中ではそのような現地感覚が映像化されていたようで好印象だった。別の場所での撮影も多いとのことだが、月山・姥ヶ岳・湯殿山が並んだ映像は現地付近からの眺望と思われる。また現地で見られるという「春もみじ」も映っていたようである。  医師の物語であるから人の生死も当然関わって来るわけで、撮影地の近辺でいえば「おくりびと」(2008)など、人を死なせて観客を泣かすタイプの映画は多いだろうが、この映画では劇中の様々な出来事が少しずつ見る者の心に染みて、次第にその効果が累積していく感覚があった。少なくとも初見時に大泣きする場面はなかったが、終わってしばらくの間、何となく涙腺が緩んだような状態が後を引く映画になっていた。また撮影時に、実際に診療を受けたことがある地元の老婦人が主演女優を見て、本物の先生のようだと落涙していたというエピソードは感動的だった。 劇中では住民の言動が理不尽に見えるところもあったが、昔は出生率も死亡率も高く、病気になれば仕方ないといういわば社会通念と、それでも家族を失いたくない思いの対立が医師への反発に形を変えていたと解される。医師の存在によって“金がないから見殺し”という構図がかえって明瞭になってしまうということもあっただろう。そういう時代にこの映画の医師は、近代的な倫理そのままに“失われても仕方ない命など一つもない”との理念をまともに実践しようと奮闘していたように見えた。劇中では住民に知識が必要という言葉も出ていたが、それだけでなく人の命に関する意識の変化を、時代に先駆けてこの山村に持ち込んだこともこの人物の功績だったのではと想像する。  ところで脱線になるが、幸子役で出ていた上野優華という人は歌手兼女優とのことで、ほんわかして和む顔で他の映画でも見て知っている。自分がこの映画を見たのも、単にこの人が出ているから、という軽い動機だが、劇中では本当の田舎娘にしか見えずに少し呆れた(方言が下手すぎ)。舞台挨拶に来てくれなかったのは残念だが、この人が歌う主題歌のCDも入手したほか原作本も買って読んだので、動機が不純とはいえけっこう上客のはずである。また舞台挨拶では監督の人柄も見えた気がして大変よかった。 自分にとって郷土の映画というものでは全くないが、そういう狭い郷土意識に頼らずとも地味に応援したくなる映画になっていた。   [2017-06-10再視聴による追記(BD購入済)] 主演の平山あやという人はよく知らなかったが、この映画に関していえば目が強い印象を残す。20代半ばの場面ではまだ可愛らしさを残していたが、30代後半になると充足感が顔に出ていたようで、自分としては川原の場面の表情が好きだ。最後の授賞式での晴れやかな姿は見違えるようで、ここはさすが女優さんといったところである。
[映画館(邦画)] 8点(2015-11-16 00:49:03)
19.  いちばんきれいな水 《ネタバレ》 
かなり残念な映画だった。登場人物で見る限り、妹は利発そうで愛嬌もあり、また叔母は本職の役者でないながらも独特の風格があって大変いいと思ったのだが、肝心の姉がこの顔でこの声で小学生でもやらない放埓な行動をするのは非常に苛立たしい。そのため姉が目覚めてからは一気に見るのがつらくなる。 またストーリーの面でも、「この夏は…」という唐突な発言以降は素直に納得できなくなる。それまでの妹は感性豊かで頭脳明晰で判断力もあってそれ自体何の問題もないように見えていたので、今回の事件で初めて世界が広がったという説明が取ってつけたように感じられる。また外国人の件はどういう意味だったのかわからず(ラテン系は小学生と仲良しになれる?)、手の写真も伏線回収しましたという以上のものになっていない。 ほか水の場面は映像的な見せ場なのだろうが、自分としては最近見たホラー「仄暗い水の底から」(2001)を連想して不吉感を覚えた。まあそれはこの映画のせいではないわけだが。  ところで、特典映像に収録されているサイドストーリー「夏美のなつ~いちばんきれいな夕日」(監督 武正晴、脚本 足立紳)の方は普通に面白い。当然ながら姉は出ないが妹が活発で可愛らしく、バカ少年らとのやり取りも微笑ましいほのぼのドラマである。何より妹役が女優として輝いており、本編の主役にも負けていない(勝っている)のが感動的だった。ほか「小林さん」(演・青木崇高)というのも何気にいい感じを出している。 以上のようなことで、点数は本編だけだと4点だが、サイドストーリー込みで5点にしておく。
[DVD(邦画)] 5点(2015-11-11 20:08:33)
20.  生贄のジレンマ 《ネタバレ》 
よくもこれだけ似たような映画を次々に作るものだと呆れるが、加えてこの映画はとにかく長く、DVD3本の時間表示を単純に加算すると4:37:09にもなる。連続して見る前提でなければまあ退屈せずに見られる内容だが、長さに応じた内容が詰まっているかというとそれほどでもない気がする。 特に問題なのが主人公の行動に全く共感できないことで、死ぬな死ぬなと怒鳴るばかりで自分も死なずに言い訳するとか出来もしないことをやろうとして予定通り失敗するとか俺は何もできないと暴れておいて結局何もしないで終わるとかで本物の馬鹿にしか見えないが、ラストのカミングアウトまで聞けば動機だけはわかる。行動面でうまくいかなくとも、まずは心の指向性(=こころざし)をしっかり持つことが大事だと若年者に訴えるために、あえて逡巡と試行錯誤と愚行の部分を描いてみせたと取れなくもない。これはこれで新しい試みかも知れないが、しかしとにかく見ていて苛立たしい主人公であり、最後はヒロインにまで馬鹿が伝染したように見えるのはやめてもらいたかった。 また終盤で明らかになる真相が後付けで妄想話をでっち上げた印象しかないこと、最後に死人が生き返るのではこの映画自体が人生は簡単にリセット可能というゲーム感覚のように見えること、及びバグだらけのクソゲーというのがこの映画自体の言い訳のように聞こえることを苦情として挙げておく。個人的には最後に残った連中よりも、初回に青木さんの様子を見かねて自分に投票した男に最も共感した。  ところで個性的な若手女優が多数出ているのは大変結構なことで、これが長時間それほど飽きずに見続けるための大きな要因になっていると思われる。ヒロイン役の女優はこれと同時期(少し後)の似たような映画にも出ているが、こっちの方が出演時間がはるかに長いので見ごたえがある。また当初は冷たい感じと思ったミステリアスな少女が、実は弟思いのお姉さんだったというのは心和むものがあった。ほか自分としては2組の保育士志望の生徒(演・佐々木萌詠)の卒業ビデオに泣いた(が生き返った)。 なお余談として、映画部の男2人が「大林」「大森」だったのは微妙な冗談である。また「仮面ライダーW」<TV>(2009)で恋人役だった2人が揃って出ていたが、この映画ではくっつかないのだった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-21 19:20:20)
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