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Cinecdockeさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 894
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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21.  新聞記者 《ネタバレ》 
過去の遺産を食い潰す邦画業界の中で出色の出来だろう。真のジャーナリズムとは何か、本当の正義とは何か、それだけ見て見ぬふりの現状に危機感を持っていると言える。本作はフィクションであるがノンフィクションと地続きで、どこが真実かどこが嘘かを自分自身で見極めなければならない。思想に関係なく、無関心であること、思考停止になることは国家の奴隷と同じ。安直に「妄想乙」と決め付けるだけなら誰でもできる。一番重要なのは本やネットの情報を鵜呑みにせず、"自分で考えること"、"行動すること"なのだから。日米韓のアイデンティティを持つ女性記者役がシム・ウンギョン(熱演)というあたりに、下手したら権力に潰されるかもしれない、日本の排他主義的な病理が垣間見える。松坂桃李の絶望とシム・ウンギョンの焦燥で分断されるブラックアウト。バッドエンドか否かを決めるのは他でもない自分たち。「私たち、このままでいいんですか?」。好きでディストピアを選んでいる人などいない。
[映画館(邦画)] 8点(2019-07-16 20:09:11)(良:1票)
22.  紅の豚
宮崎駿最後の娯楽作品と言っても過言ではない。誰に向けて作ったわけでもなく、ほぼ自己満足に近いが、ドックファイトの躍動感と中年男のロマンがほとばしり、観客を楽しませることを忘れていなかった。一見幼稚でバカみたいなんだけども、「カッコいいとはこういうことさ」に感嘆させる説得力が本作品にはあった。品が、風情があった。『もののけ姫』以降、テーマ優先になりすぎて宮崎駿の暴走を補うかのようにジブリのメディア宣伝が過剰になり、"観客も満足させる"ことに視界が入らなくなったように思える。
[地上波(邦画)] 8点(2019-06-29 19:41:06)
23.  万引き家族 《ネタバレ》 
ケン・ロ―チ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』同様、見えない貧困を初めとする社会問題に対する無関心への静かな怒りを発した作品だと解釈した。劇中で声を張り上げたり、暴力をふるうことを一切せず、グレーゾーンでひっそり生きる"家族"が皮肉にも血が繋がった家族よりも家族らしくて、ひたひたと心に沁み入ってくる。万引きといった犯罪行為が許されるわけでもない、だが盗みによって救われた命があり、正論だけでは何も解決できない。それでも犯罪で作られた家族の幸せは末長く続かない、終わらせなければならない。多様な視点で善悪の垣根を揺り動かす。仮に超監視社会になって、劇的に犯罪が減っても、都合の悪いもの、汚いものを切り捨てるだけの"美しい日本"を炎上に加わった人たちはその未来を望んでいるのだろうか。自分を含めどこかしら誰かを見下して、他人事のように見ているのかもしれない。"息子"がバスから見たのは最後まで走り続ける"父親"なのか、エンドロール後に"娘"は助けられたのか、本作は世の中を変える力があるのか。"母親"の安藤サクラの涙が印象に残る。格差による断絶が進むだろう令和の時代において、虐待死のニュースを見ても当たり前すぎて何も感じない時代が到来する無情さを感じてしまう。面倒臭いから蓋をする。
[DVD(邦画)] 8点(2019-05-17 00:34:07)
24.  若おかみは小学生!
TVアニメの映画化には大きく分けて二種類ある。 一つはTVスペシャルの延長線上として、 もう一つは映画向けに再構成したものとして。 本作は明らかに後者。  タイトルに反してシビアな設定から視聴に消極的だったが、 子供も見るためか重くなりすぎずサラッと描き、 シリアスとコメディのバランスが丁度良く、テンポ良くて見やすい。 良くも悪くも王道の予想通りの展開に終始しながらも、 ギョッとする捻りを加えてくるのでズシンと心にくる。  既に指摘されている通り、90分弱で一年間を描くには駆け足気味で、 終盤のアクシデントでご都合主義が目立つ。 鳴り物入りの企画だったかもしれないが、2時間じっくり描いてくれれば、 終盤の展開が活きて納得できただろう。 描き切れなかったエピソードがあるなら、是非完全版も作って欲しい。  なお、TVアニメは見なくても十分楽しめるが、成り行きや作風が微妙に違っていて、 映画ではカットされた多数の人間関係に焦点を当てているあたり、 お互いの足りない部分を補完し合っているようで面白い。
[映画館(邦画)] 8点(2018-11-01 22:29:14)(良:1票)
25.  カメラを止めるな!
予告編或いはレビューを見たら本作の面白さは半減する。だからといって37分ワンカットとその後の展開に新鮮味があるわけでもない。なのに、もう一度見返したくなる。チープなようでいて、全てが計算された脚本の勝利と言える。ストップボタンの押せない映画館だからこその共有感で、テレビ放送なら絶対に感動できないだろう。今後、多くのオファーが舞い込む映画愛が迸る若き才能が、粗製乱造で買い叩きの邦画業界に潰されなければいいが・・・
[映画館(邦画)] 8点(2018-08-29 00:55:21)
26.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 
韓国映画『シークレット・サンシャイン』に匹敵する映画は現れないと思っていたが、すぐ目の前にあった。同じく喪失のテーマを扱いながらも、宗教を強調しないあたり見易い。監督の鬱病体験を元にしているだけあって、描かれている夫婦が身近に感じる。同時に周囲の他者に対する無知も無理解さも。法廷画家として携わる夫が見た重大事件の裁判の数々は、奪った者、奪われた者の負の感情が凝縮されている。全て人・人・人が生み出した側面に対して達観しているからこそ、長い時間をかけて妻を癒せたのかもしれない。物語は911直前で終わる。歴史も日常も先の見えない暗澹さはあれど、明けない夜はきっとない。そうやって世界はぐるりと廻っている。
[DVD(邦画)] 8点(2017-12-11 20:46:16)
27.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
"What is the Life?" 劇中に使われた歌詞である。ふと自分の人生は何なのかと考えることがある。多様な愛を求め、破れ続けた松子の人生は客観的に見れば悲惨な敗残者そのものだろう。別の視点からは太く短い命を完全燃焼した濃い人生とも言える。大きな夢を目指すわけでもなく、リスクの少ないつまらない日常を淡々と過ごしても、破滅という落とし穴はすぐそこに存在している。誰もがレールの上に沿った人生を歩めるとは限らない。だからこそ人生という存在を認識する。たとえ光とは程遠い、暗澹に満ちたものだとしても、承認されなくても、自分で自分を納得させないと気が狂ってしまう。世間の定規を拒み、そういう自己満足を受け入れた松子の終演はハッピーエンドのように見えた。
[DVD(邦画)] 8点(2017-09-11 20:03:03)(良:1票)
28.  魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's 《ネタバレ》 
テレビアニメ版視聴済。前作の敵だったフェイトが仲間になり、新たな脅威に立ち向かう。しかし、敵もまた複雑な事情を抱えているのは前作と同じ(悪く言えば焼き直し)。病魔を患う主のはやてのために、闇の書のプログラムである4人の騎士が"疑似家族"であることを押し殺して、なのは側と敵対するのがミソ。登場人物が以前より多いので、危うい場面展開が目立つが持ちこたえる。その分、派手な戦闘描写は多め。最後は共闘して派手にぶちかますのが一番の醍醐味。いくらなんでも被害や代償が小さくない?と思うのは、まどマギ以前の魔法少女ものの限界かもしれない。StrikerSに繋ぐ劇場版3作目は不安が残る。テレビ版の結末を見れば、あれはあれで綺麗に完結している印象があるので。【余談】映倫でG指定なのに小学3年生のフルヌードは、性的な意図で描いてないからセーフなのか?
[DVD(邦画)] 8点(2017-02-28 23:50:27)
29.  魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 《ネタバレ》 
テレビアニメ版視聴済。魔法少女ものに硬派な少年バトル漫画要素を取り入れたのが本作で、映画版では萌えアニメにありがちな要素をカットし、なのはとフェイトの物語に専念している。家族と友人に愛されているなのはと、虐待する母の愛を求めていた孤独なフェイトの対照的な二人。敵同士としてぶつかり合うもフェイトをどう救済していくかを丁寧に描き、バトルものとしての火力もテレビとは比べ物にならないくらい熱い展開。テレビ版を見ていたファンに不満はないのではないか。何だかんだで脚本の強度が大事だと感じさせられる。でなければ、こんなに息が続くわけがない。
[DVD(邦画)] 8点(2017-02-28 23:48:59)
30.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
新海誠と言えば、影のある若者が自分の苦悩に酔っている筋書きをセンチメンタルな映像美で被せている、世界観第一で物語は二の次というイメージだった。しかし、今作は表情豊かであっけらかんとした登場人物に、非常に娯楽性が強いあたり、監督の転換点・新境地と言える。だからこそ、手垢のついた入れ替わりものとギャグシーンで占める序盤の印象が強いほど、311が頭によぎる中盤に意表を突かれ、やがて未来改変ものにシフトチェンジしていく構成は巧い、引き込まれる。と同時に欠点も少なくなく、なぜ二人はタイムラグに気付かなかったのか、どうして二人は入れ替わったのか(共に母親不在の設定が気になる)、如何に三葉の父親を説得出来たのか描かれていないために、良くも悪くも世界観第一の監督らしい。未来を改変出来ても、村が消滅して故郷を去らなければならないことには変わらない。それでも新たな出会いがあり、新たな希望も残されている。過去作のようにすれ違いを続けてきて終わる不安もよぎったが、階段での再会、またすれ違い、ふと振り返って、そして『君の名(前)は。』──この演出に鳥肌が立った。これ以上の結末も、この先の物語もいらないくらいに。
[映画館(邦画)] 8点(2016-10-17 22:04:49)
31.  六月の蛇
カラーだったら下品だし、かといってモノクロでは物足りない。 そのどちらでもない青いモノクロが、女の内なる性をエロティシズムあふれる美の世界へと解放させる。 ストーカーの顛末等、分かり辛い個所は少なくない。 それでも青い画面が閉塞感あふれる6月の東京に湿り気をもたらし、追い詰めるようにじんわり濡らしていく。 再び性に目覚めていく女が美しい、ただただ美しい。
[DVD(邦画)] 8点(2016-10-05 00:24:01)(良:1票)
32.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 
帰省するだけの話だが、長男の死が大きく影を落としている。 それが説明的にならず、自然な台詞だけで一枚の地図が出来上がっていく。  生き残った長男の友人に対する僻み、 長男の魂を象徴する蝶を追う母親、 歌謡曲「ブルーライトヨコハマ」の一節、 歩いても、歩いても──  如何なる過去や問題があろうが、距離と瞬間のズレがあろうが、 そうやって日々を積み重ねていくしかない。 お盆が来るたびにこの映画を思いだす。 エンドロールを含め、ゴンチチのスコアが本作と完璧に符合し、印象に残った。
[DVD(邦画)] 8点(2016-06-16 21:34:40)
33.  告白(2010) 《ネタバレ》 
近年の邦画ではインパクト&陰惨さはトップクラス。「復讐は何も生まない? は?」と私は唾を吐く。それでもやってしまうのが人間であって、劇中の歪んだカーブミラーで爽快感を味わい面白がる自分自身を見ようとも、人間そんなものだと感じるのが健全だろう。今日に溢れる凄惨な殺人事件は掃いて捨てるほどあり、大衆は右から左に忘れていく。ただでさえ自分のことで手一杯だから、無関係の人間が巻き込まれようが知ったこっちゃないのである。少年法は100年経っても利権が絡んで、廃案になることは一切ないだろう。ならば、被害者遺族が立ち上がって、この映画のように自分の手で陰湿に執拗に裁くしかない(この復讐方法では確実性が低いが)。どう足掻いても光の差さない救われない存在ならば、しないよりは遥かにマシなのだから。復讐が残された人生の生き甲斐でも良いではないか。いっそこの国は行くところまで行けばいい。いつまでも憎み合い、殺し合うことを繰り返す。何も学習もしない。下衆でも同じ穴の狢でも良いじゃない。人間だもの。
[映画館(邦画)] 8点(2015-12-14 19:29:54)(良:2票)
34.  秒速5センチメートル 《ネタバレ》 
映像の美しさは特筆ものであくまで"プロモーションビデオ"として見れば、山崎まさよしの楽曲で逃げてもだいたい許されるのではないだろうか。主人公の心情をひたすら詩のようなナレーションで被せ、中二病みたいな青春時代から一転、夢破れた現在を一層際立たせ、「振られました、悲しいです」と自己憐憫に耽っている男の自慰行為を見ているよう。初恋の相手の幻影を求めて彷徨う未練たらたらの男性と、過去は過去として別の男と結婚する女性が相容れない平行線上にいるように、セカイ系の生臭さと気持ち悪さが先行し、評価が分かれるのは納得。最初に見た新海誠であるからか映像と雰囲気には感嘆したので、"プロモーションビデオ"として見るなら8点。連作短編だからこそ成立する演出であって、これが長編だったらシャレになっていないだろう。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-09 19:00:08)
35.  実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 《ネタバレ》 
冒頭、デジタル撮影されたTVの再現VTRのような安っぽさで「これで3時間大丈夫なのか?」と不安げに見ていた。しかし、山岳ベースに入ってからその空気は引き締まったものになっていく。物質主義と癒着にまみれた世界を変えるための崇高な理念が次第に手段になっていき、"総括"と称した反乱分子への私刑に移り変わっていくのでは本末転倒だろう。体制側から描いた『突入せよ! あさま山荘事件』を見ていたので、赤軍側の視点は興味深かったが、ラストの監督の主張がやり過ぎなのは御愛嬌と見るべきか。荒削りならではのエネルギッシュさがある反面、大人のアプローチが欲しい。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-09 18:52:52)
36.  耳をすませば(1995)
一本の映画としては素晴らしいのに心にしこりが残る。恐らく小説家志望の少女とヴァイオリン職人を目指す少年の甘くてロマンティックな恋愛模様が、それすら叶わなかった凡庸な大人達に現実を突き付けるからだと思う。ある意味で『火垂るの墓』に並ぶ鬱映画では、と勘繰ってしまうが、夢が叶っても破れても、ひたむきに走った二人にとっての貴重な経験を否定することはできない。貴重な後継者を失ったジブリの責任は非常に大きい。
[地上波(邦画)] 8点(2015-06-30 19:38:38)(良:2票)
37.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 
◆水彩画の如く色彩豊かな四季のように、時には生き生きと、時には激しく、感情を揺さぶられた。建前と見栄で成り立った都の高官のエゴに笑いを誘われつつも、生の歓びと逞しさに満ち溢れた山間との落差を際立たせる。女を所有物とみなす都の男とかぐや姫を幸せにさせたいが余りその価値観に従った翁とは対照的に、金や権力に執着せず田畑に勤しむ媼とかつての素朴な生活に目を輝かせるかぐや姫との対比が、理想主義vs現実主義という、現代の男女の価値観の違いにも通じるものがある。◆都の苦悩も悲しみもない月で地球に憧れることは果てして罪なのか? ちょっとしたエゴで周りを傷付き狂わせたかぐや姫は存在するだけで罪なのか? 生きている以上、周囲との摩擦は避けられず、息苦しさと生き辛さを感じるのは、人の業であり罪そのものだろう。誰もが自分勝手だから悶え苦しむ。◆避けられない結末、空気を読まない極楽な曲調で連れて帰っていく月の一行。天の羽衣を着せられ、記憶(=地上での人生)をかき消されたかぐや姫は死んだように見えた。それでも残酷で醜悪な世界だとしても、己が無力だとしても、生きているだけでも結構悪くないもんさ、と諦めにも似た希望が感じられるのは80近い高畑勲の集大成そのものかもしれない。
[映画館(邦画)] 8点(2015-05-05 21:31:18)
38.  ルパン三世 カリオストロの城 《ネタバレ》 
過去に何度も見たけど、レビューのために見る。何度も見たことがあるのにも関わらず、記憶がおぼろげになっても見ている間は最後まで飽きなかった。難攻不落の城を型に囚われない伸縮自在のアクションと奇策で潜り抜ける知的好奇心と、助かるとは分かりつつも普通なら転落死するだろう高所での活劇はいつ見ても手に汗握る。ルパンが恋心を抱いたクラリスを抱き締めようにも躊躇う演出の絶妙さから銭形警部のあの名セリフまで結末に は文句も付けようがない。最後まで娯楽に徹し続けた意味では、初期の宮崎アニメの真骨頂と言えよう。思い出補正もあるかもしれませんが。
[地上波(邦画)] 8点(2015-01-17 11:00:39)
39.  キル・ビル Vol.1(日本版)
高校生の時、「暴力描写が吐き気がするほど強烈」と聞いていたので覚悟はしていましたが、表現が漫画的である分、そこまで嫌悪感はありませんでした。ハイテンションでそうさせる暇すらない。むしろ時間軸シャッフルやアニメパート、表現としてモノクロ・シルエットの多用とありとあらゆる技巧を詰め込み、更にはプッシーワゴンから青葉屋までの美術の素晴らしさが行き渡り、相変わらずの選曲センスもあって、最後まで飽きさせないサービス精神で楽しめました。ただし、一見さん及びモラリストお断りの闇鍋パーティー。容赦ない人体破壊で笑いを取るのが許せない、意図的に日本を茶化す表現(エスニックジョーク)も許せない人にはまず無理ですし、劇画の世界なんだと許容できる人向けです。 今鑑賞したら評価が変わるかもしれません。
[映画館(字幕)] 8点(2014-12-20 23:19:59)
40.  蛇の道(2024) 《ネタバレ》 
1998年のオリジナル版と筋書きはほぼ同じ。 オリジナル版を難解にさせていた数学教師の設定から精神科医に変更されたことで、 分かり易く洗練された演出で生まれ変わったリメイクのお手本。  主人公を男性から女性に変更した理由。 凄惨な過去で心が壊れた女とその過去から逃げ続けようとする男たちの対比を、 循環性の象徴である"ウロボロスの輪"に例えたのだろう。 何度も読み上げられる娘の死、繰り返される復讐行為が廻りに廻って日常になっていく。 だが、男たちは馴れ馴れしく、常に都合の悪い話をはぐらかそうとする。 女は延々に廻り続ける生き地獄から絶対に逃がさない。 結末における芯の冷え切った台詞の数々がそれを象徴している。 オリジナル版と比べてダミアン・ボナールの影が薄く、 むしろ柴咲演じる主人公の掘り下げが増えたことを考えると合点がいく。  蛇のように低体温でじわじわ嬲っていく主人公の果てしない闇と虚無が視線から発せられるラスト。 全てが終わっても心穏やかに過ごせるわけでもなく、西島演じる患者のような末路を迎えてしまうのか。 復讐という名のウロボロスの輪に囚われ続けなければ生きていく理由を失ってしまうのかもしれない。  見ていて答え合わせしている感じは否めないが、 黒沢清の作風がフランス映画と親和性があり、ヨーロッパで評価されている理由に納得した。
[映画館(字幕)] 7点(2024-06-14 22:44:02)
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