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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  ブラディ・サンデー
大して有名な映画でもないし、ポール・グリーングラスという人もさして有名監督ではないのであまり期待せずに見たのですが、ほとんどの日本人が知らないうちにこんなすごい映画が作られていたことに驚きました。1972年に起きた実話をきわめてマジメに再現する作品で、映画的な脚色やドラマティックな演出はことごとく排除され、音楽すら使わないという徹底ぶりなのですが、だからと言ってこの手の映画にありがちな企画倒れや製作者の自己満足に終わることなく、映画として十分におもしろく作られているのがすごいところ。この映画はもはや「ドキュメンタリータッチ」という生易しいものではなく、1972年1月30日という日を丸ごと再現することに挑み、成功しています。あたかもその日その場にカメラが居合わせたかのような映像やセリフが続いて空気感まで再現してみせ、観客もその場にいたかのような臨場感を味わわせてみせます。ドラマ的な脚色は廃されているため前半の話は淡々と進むものの、無作為なように見えて実は巧みに話をまとめていくので退屈さは感じさせず、見る側のテンションを落とさないまま「血の日曜日事件」へと突入していきます。「血の日曜日」での監督の手腕は本当に圧倒的で、平和的に行われるはずだったデモが徐々に混乱していき、やがて丸腰の市民への発砲へ至っていくまでの様子をデモ隊、イギリス軍の双方の視点を巧みに交えながら、きわめて的確に描いていきます。また画面作りもしっかりしていて、実際のデモの中にカメラがいたとしか思えないほどリアルな映像であの事件を観客にも追体験させる一方で、同時に映画的な見せ場としての機能も十分果たしており、不謹慎ながら見ている側を興奮させるのです。このポール・グリーングラスという監督はタダモノではありません。画面作りに並ではない才能を見せると同時に、インテリジェントな題材の脚本を自ら書き、もっとも適切な手法で見せてくるのですから。ウィリアム・フリードキンが今の世代の監督なら、多分こんな風になっただろうなと思わせるようなすごい監督です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-10-24 22:32:18)(良:1票)
2.  復讐捜査線
メル・ギブソン8年ぶりの主演作にして、監督マーティン・キャンベル、脚本ウィリアム・モナハン、編集スチュアート・ベアード、音楽ハワード・ショアというご祝儀のような豪華メンバーが顔を揃えているだけに相当な映画なのだろうと期待して鑑賞したのですが、そんな期待を上回るバイオレンスの快作でした。デビュー作「マッドマックス」以来、家族を殺される男をひたすら演じてきたメル・ギブソンの真骨頂、怒りと悲しみに溢れるヒーローを演じさせると相変わらずこの人はよくハマります。彼に対する敵方の設定もよく考えられていて、巨大軍需企業、その軍需企業に飼われている上院議員、政府、政府の汚れ仕事を請け負う民間セキュリティ会社が同じ目的を持ちつつも別々の指令系統で動いており、そのために大きな混乱が生じているという設定は、妙に説得力があって「なるほどな」と感心しました。特に印象に残ったのがレイ・ウィンストン演じるセキュリティ会社の男で、「殺しを職業としている以上、指令が下れば個人的に恨みのない相手であっても俺はためらわずに殺す。俺にそうさせないよう、お前は絶対に一線を越えるなよ」とわざわざターゲットに警告しにくる職人気質にはグっときました。アクションは控え目なのですが、要所要所では腹にガツンとくる重厚な見せ場が用意されています。バイオレンス一筋のマーティン・キャンベルの手腕はこの手の渋い銃撃戦でこそ発揮されるようで、派手すぎないアクションのカッコよさには大興奮なのでした。
[DVD(吹替)] 8点(2011-12-19 01:00:10)(良:2票)
3.  フルメタル・ジャケット
戦友がバタバタと死に、その度に物語が生まれる戦争というおいしい題材を手にした時、映画監督はドラマや哲学を語ろうとします。プラトーン然り、ディアハンター然り、地獄の黙示録然り。しかしキューブリックは本作においていかなる主張もせず、戦争とは何か、ベトナム戦争とは一体何だったのかという断片を切り取ることのみを行っています。かつて「突撃」でベタベタの人間ドラマをやった以上、同じ題材で同じことはやらんという巨匠ならではのこだわりなのか、それとも天才たる先見性の為せる技なのか、ともかく前述の作品達よりも二歩も三歩も先を行った作品となっています。公開当時、あまりのショックから「これは軍隊の非人間性を描いたものだ」と勘違いされた前半の訓練についても、あれは海兵隊の訓練を忠実に再現しただけのものであって、あらためて見ると非常に客観的です。ハートマン軍曹は新兵達の前に立ち塞がる脅威ではあるものの、ヒールを演じているだけということを匂わせる描写がいくつも存在しています。人種差別はせず、クズとして全員平等に扱うと発言したり、「神を信じない」と言ってハートマンに楯ついたジョーカーを「根性がある」と言って認めたりと、決して個人的な感情から新兵達を罵倒しているのではなく、無茶苦茶に見えて実は訓練に必要な言動をとっていることがわかります。海兵隊に集まるのは徴兵された者ではなく、志願して軍隊に入ってきた者達です。そんな英雄気取りの若者を、わずか8週間の訓練で生きて祖国に帰還できるフルメタルジャケットに育て上げねばならない。いったん彼らの人格やプライドを粉々に壊し、真っ白になったところで生きて帰るための行動パターンや思考様式を流し込んでいるのです。ちなみに私が一番驚いたのはトイレの様子で、個室や仕切りはなく、便器がズラっと並んでいるのみというシンプルにも程がある作り。海兵隊はう○こも人と顔を合わせながらするのかと、そこまで徹底したプライドの破壊には心底恐れ入りました。後半は前半と比較すると平凡になりますが、それでも視覚的な見せ場は充実しています。カメラワークが秀逸で、戦場を走る兵士の背中をローアングルから捉える、戦争映画でお馴染みのショットなどは、本作が初めてではないでしょうか?かねてから素晴らしかった音楽の使い方にはさらに磨きがかかっており、こちらはタランティーノに多大な影響を与えたことが伺えます。
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-28 22:12:56)(良:3票)
4.  ブーリン家の姉妹 《ネタバレ》 
「ヘンリー8世って離婚をバチカンに咎められ、逆ギレして英国教会を作った人ね」「ブーリン姉妹・・・誰?」という高校世界史レベルの知識で予習もなしに本作を鑑賞したのですが、それが正解でした。次に何が起こるのかサッパリわからないので終始ハラハラドキドキさせられ、ブーリン家の命運尽きたかと思われた後の、アンの娘は後のエリザベス女王でしたというオチにもびっくり仰天で、続いて『エリザベス』も見たくなりました。往々にして、歴史映画は史実を知らなければ楽しめない場合が多いのですが、本作は珍しくその逆のパターンをいっています。 上昇志向の強い長子が失敗し、無欲の次子がたまたま成功を掴むという兄弟・姉妹あるあるは興味深く感じました。人生とはそういうものです。また、失敗の経験から成功に対してより貪欲になり、目標達成のためには手段を選ばなくなったアン・ブーリンの性悪加減などはかなり怖く、彼女が本作のドラマ性やサスペンス性を高めていると同時に、カトリックからの離脱という英国史上屈指の大イベントの仕掛け人になったことへの説得力も与えており、歴史的事実と目の前のドラマをうまく融合させているものだと感心させられました。 演技派として認められようと必死だった頃のナタリー・ポートマンを姉役に、天性のカリスマ性で黙っていても巨匠との仕事が次々と舞い込んでいたスカーレット・ヨハンソンを妹役にあてたキャスティングも絶妙であり、この2人が作品を大いに盛り上げています。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-12-05 15:28:22)(良:1票)
5.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 
新兵が補充されてから経験する地獄の一日という、デビッド・エアーの代表作『トレーニング・デイ』と同様の構造をとり、主人公は『プライベート・ライアン』のアパム二等兵を彷彿とさせる文系キャラ。映画の土台部分は凡庸であり、そこに際立ったものはないのですが、本作はディティールの面で大きな成功を納めています。実物のティーガーを走らせるという映画史上初の試みを成功させただけでなく、ティーガーとシャーマンの戦力差をはっきり描写できたという点でも感心しました。分厚い装甲と圧倒的な火力、シャーマン3輌を相手にしても有利に戦いを進めるバケモノとしてティーガーが描かれており、そのインパクトは『プライベート・ライアン』をも凌駕しています。。。 戦場の描写もかつてないものでした。ベトナム戦争以降の戦争とは違い、第二次世界大戦は悪の帝国を倒した正義の戦争としてアメリカ国内では位置づけられてきましたが、実際には第二次世界大戦だって地獄でした。ただ、テレビ中継がない時代だったため、本当に酷い部分を一般国民に見せずに済んでいただけのこと。本作は、その”本当に酷い部分”を容赦なく観客に突きつけてきます。それはスピルバーグの残酷絵巻とはまた違うアプローチであり、兵士達のモラルが崩壊していたことを克明に描写します。捕虜となったドイツ兵をヘラヘラと笑いながらいたぶり、ドイツの一般国民に対して粗暴に振舞う。生きるか死ぬかの戦場に適応するためには、兵士たちは他者への共感を捨てねばならなかったことの結果がこうした所業なのですが、これら一連の描写には残酷絵巻を見るよりも辛いものがありました。。。 以上、中盤までの完成度は素晴らしく、このままいけば戦争映画史上屈指の傑作になるのではと期待したのですが、ラストの戦闘で見事にコケました。部下の命を何よりも大事にしていたウォーダディが、その部下を巻き込んでまで負け戦に挑もうとした理由がまず分からないし、いざ戦闘に入っても戦術がメチャクチャ。戦車に篭城するという作戦なのに、車外に体を出して機関銃をバリバリ撃つとかおかしいでしょ。弾薬は事前に車内に入れておくべきだし。ドイツ軍もドイツ軍で、兵士を大勢殺された後になってようやく対戦車砲を出してくるという謎のタイミング。ドイツ兵はバタバタと死ぬのに、主人公たちにはほとんど弾が当たらないというご都合主義もカックンでした。
[映画館(字幕)] 7点(2014-11-30 02:25:40)
6.  フライト・ゲーム 《ネタバレ》 
今やスタローンやセガールをも超え世界一の暴虐オヤジとなったリーアム・ニーソンが、アクション野郎・ジョエル・シルヴァーとのタッグで放つサスペンスアクション。1996年にシルヴァーが製作した『エグゼクティブ・デシジョン』とよく似たプロットなのですが、その後18年の間に同種の映画がいくつも作られたこともあって、脚本上の仕掛けはかなり高度に進化しています。次の展開はまるで予測できないし、犯人を当てることもほぼ不可能。それでいて、「そのオチはズルい!」と思わせるようなインチキもしておらず、なかなかよく練られた脚本だと思います。また、時に過剰となるシルヴァーのサービス精神も、本作では吉と出ています。ひとつのネタ、ひとつのシチュエーションに執着しすぎず目まぐるしく状況を変えていくことにより、観客に余計な推理をさせる時間を与えていないのです。ラストに思わぬスペクタクルがあったことも好印象でした。。。 さらに良かったのは、この企画にアクションもやれる演技派・ニーソンが加わったことであり、企画と俳優との間で見事な化学反応が起こっています。映画を振り返れば、主に事態を悪化させていたのは主人公の過剰な対応だったわけですが、ニーソンによる演技の説得力のおかげで、そのアラがほとんど目立っていません。また、乗客やパイロットから疑わしいと思われていた主人公が状況を反転させ、乗客を味方に付けるに至った演説場面でのニーソンの演技は非常に素晴らしく、脚本の要となる部分を演技で補強できているという点には感心させられました。。。 難を言えば、真犯人たちの動機や目的がさっぱり理解不能だったことでしょうか。また、彼らは爆破を控えた飛行機からパラシュートで脱出しようとしていましたが、戦闘機に追尾されている状況でパラシュート降下すれば、着地点で逮捕されて終わりでしょ。そもそも、旅客機にパラシュート降下可能なドアってありましたっけ?真犯人たちの言動にはまったく説得力がありませんでした。あと、爆発までの残り時間がデカデカと表示される時限爆弾はもうやめにしませんか?あんなバカみたいな見た目の爆弾を作る犯罪者やテロリストなんていないでしょ。
[映画館(字幕)] 7点(2014-09-22 01:17:25)(笑:1票)
7.  ブロンソン
トム・ハーディのカメレオンぶりが凄すぎます。それは役作りや肉体改造が凄いというレベルを超えてしまっており、もはや完全に別人。『BLACK&WHITE』や『裏切りのサーカス』を見ればわかる通り、本来、この人はかなりの二枚目なのですが、本作ではそんなイケメンの面影が完全に失せてしまっています。全盛期のデ・ニーロをも超える程のなりきりぶりには恐れ入りました。本作がきっかけでハーディはブレイクし、今や2代目マックス・ロカタンスキーを任されるまでに成長しましたが、本作での演技を見れば、評価されて当然の俳優であることがよく分かります。。。 ハーディと同じく、現在では売れっ子となったニコラス・ウィンディング・レフンによる演出も絶好調です。コメディにもシリアスにも寄りすぎない独特の温度感を終始維持できているし、高い映像センスによって「目で楽しませる映画」にもなっています。『時計じかけのオレンジ』とも『ナチュラル・ボーン・キラーズ』とも違ったスタイルの犯罪者映画を確立しており、今後、本作が犯罪者映画の新しいひな形になる可能性もあります。。。 以上、演出と演技のレベルの高さは大きく評価できるのですが、全体としては「傑作になり損ねた映画」という印象です。モンスター級の犯罪者の生き様が描かれるのみで第三者の視点がまったく存在していないため、映画と観客との間にあるべき共感の接点が出来上がっていないのです。監督と俳優の技見せ映画としては大いに楽しめますが、残念ながらドラマとして得られるものはそれほど多くありません。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-14 12:08:43)
8.  プラトーン 《ネタバレ》 
さすがは従軍経験者が作った作品だけあって、他の戦争映画とは説得力が違います。ジャングルの行軍で脱水症状を起こしたり、アリにたかられたり、雨の中で寝たりと、実際の現場を知ってる人間ならではの描写がこの映画を支えています。また、「強い北ベトナム軍」がきちんと描かれていることにも感心します。従来のベトナム戦争映画においては、負け戦だったはずなのになぜかアメリカ軍はベラボーに強く、一方で北ベトナム軍はヤラレ役に徹していました。そして、「アメリカは力では勝っていたが、メンタルで勝てなかった」と結論付けるのがお決まりのパターン。アメリカ人にとってのベトナム戦争の認識とは、自分の命も省みず突っ込んでくるアジア人の狂気に近い真剣さに勝てなかったというものであり、キューブリックですら、その認識に縛られた作品を作っていました。一方本作では、アメリカ兵達が強気なのは戦闘員のいない村を襲った時だけで、北ベトナム正規軍がやってくると聞けばビビりまくり、戦場ではパニックを起こしてボロ負けします。アメリカは神出鬼没のゲリラに負けたのでも、アジア人の野蛮なまでの狂気に負けたのでもなく、正規軍同士の戦いで負けたという、恐らくは史実に忠実な描写がなされています。このような切り口のベトナム戦争映画は現在に至るまで本作が唯一となっており、これも当事者として現場に立ち会っていたストーンならではの視点なのでしょう。残念だったのは、味方同士が私怨で殺し合うという展開が極端すぎて、全体から浮いてしまったことでしょうか。本作はストーンの思惑をも超えるほどリアリティの面で成功しており、そのため、戦場における殺人というショッキングな展開がいかにも作りもの臭くなっているのです。味方として与えるべき支援を与えず、嫌いなやつを見殺しにしたくらいの展開の方が調度良かったのではないでしょうか。また、比較的低予算で製作されたため銃のエフェクトがチャチなのも残念でした。こちらも、実際にアジアのジャングルで撮影した他の場面のビジュアルが良すぎたために、弱点が際立ってしまったという印象です。
[DVD(吹替)] 7点(2010-02-06 17:57:01)(良:2票)
9.  ファーナス/訣別の朝
ウディ・ハレルソンのキ〇ガイ演技が素晴らしすぎて、彼が出ている場面には目が釘付けになりました。次の瞬間に何をしでかすか分からない怖さは『グッドフェローズ』のジョー・ペシに匹敵するレベルであり、製作陣もこの男の底知れぬ魅力に気付いていたのか、その登場場面を作品の冒頭に持ってくるという大盤振る舞い。これまたすごいのが、この登場場面が本筋にまったく影響を与えていないという点であり、作品の冒頭が一人の脇役を紹介するためだけに存在していたことには二度驚かされました。脇役をここまでフィーチャーした映画が他にあるでしょうか。 その割を食ったのが主人公であり、強面俳優がひしめく本作において、主人公は空気同然の存在感となっています。クリスチャン・ベールはいつも通りの深刻な顔で、演技に変化がありません。このままいくと、ハリソン・フォード並みのワンパターン演技の俳優となってしまう恐れがあります。 作品全体の空気はなかなか良くて、こういうガサガサした映画は私好みなのですが、前述した通り脇役が強烈すぎて、相対的に主人公の出ている場面がつまらないという点と、作品の要となるような強烈な場面を一つも作れておらず、結局は雰囲気もので終わってしまっているという点が残念でした。
[DVD(吹替)] 6点(2015-05-08 00:55:25)(良:1票)
10.  ファーゴ
監督が何を言いたかったのかよくわからない映画でした。もしかしたら、ド壷にハマる人間を眺めるブラックコメディをやりたかっただけなのかもしれませんが、コーエン兄弟の映画にはコメディとは思えない度の過ぎた毒があり、最後に明確なオチやネタバラシもないため、「これは一体どういう映画だったのか」と自分の中で消化しきれない部分が残ります。脚本や演出の技術は非常に高いため、「よくわからなかったが、何か良いものを見たのだろう」という錯覚すら抱かせます。。。以上、全体の総括ができなかったため高い得点は付けませんでしたが、本作を構成するパーツは魅力的です。失態を重ねる無能な犯罪者と、さほど苦労もなく彼らを追い詰める田舎の妊婦所長(体を張って犯罪に立ち向かう一般的な警察像へのアンチテーゼ?)という構図からしてよく出来ています。一般の映画に出てくる犯罪者は頭のキレるプロフェッショナル揃いですが、現実的に考えると、頭の良い人間は犯罪に手を染めません。マトモな頭があれば、犯罪はリスクが高すぎることがわかるのです。よって、場当たり的に行動し、ちょっと考えればわかるようなミスを山ほど残していく本作の犯罪者は、ある意味で真を突いています。他方これに対する妊婦所長は、この手の映画にありがちなウルトラC級の推理などは披露しません。現場の状況から常識的に推測できることをつなぎ合わせ、それを辿ることで難なく犯人へと行きついてしまいます。殺人の現場に立っていてもランチやおやつの心配をしたり、捜査の過程でよその街に寄ることがあれば昔の友達に会ったりと、決して執念の捜査というわけではなく、また平気で人を殺す犯罪者への怒りを口にすることもなく、田舎のお役所仕事という側面が強いことにも独特のリアリティがあります。他にも、ガラスの外に現れた覆面の男を見ても状況が掴めず、誘拐犯が家に侵入する様子をボーっと眺める被害者のリアクションなど、映画としては掟破りだが確かにリアルだという描写が多く、監督達の鋭さには舌を巻きます。
[DVD(吹替)] 6点(2009-07-21 19:05:49)
11.  PUSH 光と闇の能力者 《ネタバレ》 
理詰めのX-MENといった趣で、超能力者の設定はよく考えられています。「我々が知らないだけで、こういう能力を持った人達は実在しているのかも」と錯覚させる絶妙なレベルに能力が設定されているし、超能力者にはそれぞれに人生があり家族もいるのだという当然の描写がなされていて、本当によく練られた話だと思います。劇中には9つのタイプの超能力が登場するのですが、それぞれの能力には特有の強みがあって、チェスや将棋のコマのように複数の能力を組み合わせることで敵勢力を出し抜くというゲーム感覚の戦いが繰り広げられます。「ウルヴァリンさえいれば済むじゃないか」というX-MENとは違い、集団戦の面白さを追求した絶妙な設定になっていると思います。問題は、脚本家と監督の力不足によりこの内容を2時間弱に納めきれていないこと。物語は唐突にはじまり、各々のキャラが何を考えているのかを把握する間もないまま話が終了するという残念な仕上がりとなっています。情報整理がヘタクソなので各能力の特徴すら説明しきれておらず(よくわからない能力の人が何人かいます)、Wikipediaの解説を読んで事前に知識を整理してから鑑賞する方が無難です。ラストの作戦などは複雑すぎて頭が痛くなったし、よくよく考えてみれば、あんなにもややこしくて偶然性に頼りまくった作戦なんてうまくいくわけがありません。その上、ドンデン系の映画に必要な「引き」の演出が出来ていないので、余計に映画がつまらなく感じます。見ているこっちは、途中でどうでもよくなってしまうのです。監督のポール・マクギガンはクライムサスペンスを得意とする人で、アメコミ風の世界を舞台にした大規模なミステリーをやろうとしていたようなのですが、SFの前提で鑑賞している観客がどれだけの情報量を吸収できるのかという計算が完全に狂っていました。あまりに詰め込み過ぎなのです。前作「ラッキーナンバー7」同様、企画倒れの映画だと思います。
[DVD(吹替)] 4点(2012-01-19 01:05:46)(良:1票)
12.  ブリッツ
ジェイソン・ステイサムが刑事を演じるということで、またいつものB級アクションかと思っていたのですが、内容は事前の予想とかなり異なっていました。彼の母国イギリスが舞台ということで刑事も犯罪者も銃を常備しておらず、刃物や棒っきれが主な武器となるという何とも地味なアクション映画となっています。と言うか、アクション映画と呼ぶことすら不適切ではないかと思うほどに見せ場がなく、『トランスポーター』や『メカニック』のような内容を期待するとかなり失望させられます。。。 本作には原作があって、それは映画版でステイサムが演じたブラント刑事と、ホモでインテリのロバーツ警部がコンビを組むというシリーズだったとか。その原作は読んだことがないのですが、恐らくは、男性的すぎる暴力刑事と、中性的なエリート警部が、お互いにないものを補い合いながら難事件に立ち向かうという内容なのであろうと推測されます。一方でこの映画版ですが、そうしたバディものとしての面白さはまったく追求されていません。狂犬・ブラント刑事が抜群の存在感を示す一方で、ロバーツ警部が空気同然の存在感。演じている役者さんは悪くないのですが、ステイサムというカリスマ的な俳優と並べられると、完全に見劣りしてしまっています。彼の存在を際立たせるためのサブプロットでも挿入しておけば良かったのですが、脚本にそうした工夫が一切なされていないために、ステイサム一人で事件を解決したかのような印象を観客に抱かせるに至っています。。。 敵も敵で、かなり小粒。警官を狙うシリアルキラーということでどんな知能犯かと思いきや、過去に自分を逮捕した警官に復讐しているだけという、何ともスケールの小さな男というのがその実体でした。犯人の正体は早々に暴かれ、マスコミを巻き込んだ劇場型犯罪へと発展するという展開は『ダーティハリー』を想起させるのですが、スコルピオと比較しようもないほどチンケな犯人では完全に役不足でした。ステイサムに勝てないことは一目瞭然であり、こんな弱々しい敵が相手では何も盛り上がらないのです。。。 主要登場人物が無闇に殺されていないという点や、本筋と関係ないのにやたら顔を出すキャラクターが何人かいたという点から察するに、本作はシリーズ化の構想があったものと考えられるのですが、第1作がこの出来では、2作目以降の製作は難しいのではないかと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2014-02-24 00:43:09)(良:1票)
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