21. ベルファスト
《ネタバレ》 時は1960年後半。ハリウッド映画の盛んな頃である。 廃れる町、アイルランド。 市政への不満からか、暴動が起きる。 その不満分子と、前向きに町から出ようとする父親の対決でクライマックスを迎える。 家族の連係プレーと警察のおかげで難を逃れる。 そして、この事件を機に町から出ることに反対だった妻も、出ることに賛成する。 想いの詰まった町での、ラストダンス。 これが美しい思い出になるであろうことは想像できる。 シェイクスピア劇のケネスブラナーの自伝的作品であろうか・・ 場所がアイルランドといい、アランパーカーの「アンジェラの灰」を思い出した。 作家を輩出する町には、特徴があるみたいだ。 [DVD(字幕)] 8点(2023-02-19 22:19:41) |
22. 日の名残り
《ネタバレ》 昔、観たのだが、あまり記憶に残ってなかった。 カズオイシグロさんが受賞したので、再鑑賞。 年取って観ると、いい映画だった。 仕えていた主人が、歴史的に過ちを犯していたとか、そういうとこも 面白いのだが、やはり何と言っても、エマトンプソンとホプキンスのやり取りだろう。 仕事優先の、自分の人生に意味の薄かった執事に、エマ演じる使用人が意味を与えようと 積極的になるが、やはり恥じらいを知る女性には、あそこまでが精一杯。 かくして彼女は、別の男性と結婚するのだが、何十年か経って、会うと、 彼女にはもう孫がいる立場だったが、ホプキンスは、相も変わらず仕事熱心。 別れの際、彼女は、ホプキンスのいい人さに涙してしまう。 ただ、後のホプキンスには、何となく充ちてるものがあった感じもした。 [DVD(字幕)] 8点(2022-08-28 21:57:02) |
23. ラストナイト・イン・ソーホー
《ネタバレ》 旅先で、とかキャンプ先で、とかでこういう目にあうのは、 たくさん観てきたが、田舎の子がファッションの学校で ロンドンに上京して、こんな展開になるというとこが新しい。 ピルドゥンクスロマンとホラーが融合! それをエドガ―ライトの持ち前の音楽センスで観せられると、 これはもう唸るしかない。 某映画雑誌で、この映画は「ファントム~」とか「ロッキーホラー~」とかと 同じようにカルトになるのでは、と書かれてあったが、後世に残ってもおかしくない 監督の音楽センス。 [DVD(字幕)] 8点(2022-06-04 23:06:41) |
24. プロミシング・ヤング・ウーマン
《ネタバレ》 エリートの乱痴気騒ぎの被害にあった女性、その被害女性に強い思いを抱いていた女性の復讐劇。 復讐は、その事件に直面して、知らない顔をしていた女性たちや事件をあやふやにした学校側、 告発を抑え込んだ弁護士に向けられる。 そして最後は乱痴気騒ぎをしたグループと、その女性に被害を加えたリーダへと向けられていく。 彼女も結局、力の強い男性にやられてしまう・ このストーリーを観ている女性はどんなことを思うだろう・・ しかし彼女は自分がやられたときの策を考えて、敵地に乗り込む。 かくして彼女はやられてしまうが、その策が逆転劇のように、ラストのひっくり返しへとつながる。 ラストは、してやったりの感があるが、やはり女性は野獣の本性を隠し持つ男性という性には 敵わないのかという一抹の寂しさが心に残る。 そして、監督が女性であることに、結局、女性の側からは、男性は信用ならぬものと映っているのかもしれない、 (と思った・・) [DVD(字幕)] 8点(2022-04-04 14:57:48) |
25. 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
《ネタバレ》 マジか~!? この作品は、次の007(黒人女性?)へのバトンタッチなのか~!? なんや~!ジェームズボンドじゃない007なんか観たくない~!? これ、マジでフレミングの原作にあるんかいな~!? ダニエル・クレイグで女好きの絶体絶命に強い不死身のボンドシリーズは終わりか~!? これからはデジタルに強い、新しい007なんや~!? そんな気持ちで、ミサイル爆発にのみ込まれるボンドを寂し気に見送った後、 時代が変わったという気持ちでエンドロールを観終わると、 なんと!「ジェームズボンド・ウイル・リターン」との文字!!!! うっひょ~!我らがボンドシリーズ!どんな新人で復活なんや~!? 多分、幾人もの脚本家の才能が、潰れてしまうことでしょう(笑) [DVD(字幕)] 8点(2022-03-21 00:45:42) |
26. 永遠の門 ゴッホの見た未来
《ネタバレ》 2度目の鑑賞で、ラストまでこの映画と付き合えた。 恥ずかしながら、1度目の鑑賞では途中で挫折。観るのを止めた。 しかし、自分の住む街にもゴッホ展が来て、美術館に足を運んだ。 その際、ウィキ情報を参考に、簡単に彼の人生を整理して、絵を観た。 そして、今回、映画の本作と向き合った。 ウィキ情報でも触れられてるが、拳銃暴発説に基づいたラストだった。 地方新聞紙の記事で知ったのだが、欧米では10年ほど前から自殺を否定する著作が 複数発表されてたらしい。 なるほど、本作の意義もそこにあったのか・・ ウィレムデフォーの名演技に、ため息が出た。 ジヌー夫人は、もうそっくり!よく見つけたね~、この女優さん! 勉強してから、鑑賞することをおススメしたい。 名作です。 [DVD(字幕)] 8点(2022-02-13 00:00:33) |
27. バンデットQ
《ネタバレ》 スピルバーグと同じころに現れた鬼才テリーギリアム。 この作品は、「インディジョーンズ魔宮~」に影響を与えたのでは? 二人の天才は、お互いをバシバシ意識しながら、名作を発表するんですね~ 後の作品を見ると、世界観はギリアムの方が勝ってたようですが・・ 本作と後の「バロン」、似てます。女の子と男の子の違い、小人と老人の違いなど見られますが・・ さて小人と子どもの組み合わせ。 小人を起用しても、ホドロフスキーとは違い、嫌らしさがない。 実に楽しい作品に仕上がってますね。 ラスト、魔王はあの子だったてことでしょうか? [DVD(字幕)] 8点(2021-12-30 00:04:02) |
28. バロン
《ネタバレ》 良かった! テリーギリアムは、キャラが良い。 友人に薦められて観たが、良かった。 今までノーマークだったのが、恥ずかしい。 これよりすぐ後にスピルバーグが「フック」を創っている。 負けず嫌いの彼のこと、ギリアムのこの作品に負けてたまるかと思ったんじゃないかな。 [DVD(字幕)] 8点(2021-11-18 12:38:05) |
29. 父の祈りを
《ネタバレ》 良かった。 ただ、あのホームレスからの供述が行われていたことの 説明描写不足な気もするが・・ ラストの裁判がひっくり返る大事のポイントなのに、 最初はどういうことなのか、分からなかった。 ビデオを巻き戻しての再見で、あの写真がホームレスだと分かった。 ダニエルデイルイスの父親(ピートポスルスウェイト)は素敵だった。 獄中でも、あのお父さんは尊敬を受けてたのだろう。 亡くなった日の囚人たちの鎮魂の炎が美しかった。 絶望のピークで、エマトンプソンが女神のように現れるのは、正直、泣けた。 傑作です!この映画。 [ビデオ(字幕)] 8点(2021-01-09 19:08:20) |
30. 女王陛下のお気に入り
《ネタバレ》 おお、これは! キューブリックを彷彿させるような感性。(そういえばコレ、イギリス映画だ) 絵画のような映像の中で、狂気っぽい繊細さ。 女性だけのラブストーリー。 ジェーンカンピオンの映画のように壊れるかのような細さ。 でもどっこい、さすが国を治める女王陛下、最後に上手を取るのが、 このアン女王なんですね~。 いい役者ですね~。 オリヴィアコールマン。 アメリカのキャシーベイツっぽい。 [DVD(字幕)] 8点(2020-02-22 22:11:51) |
31. ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス
《ネタバレ》 前作を友人から勧められて観て、すぐCDを借りた。※買ったといえないとこが哀しい・・ もう一時期、そればっかり聴いてた。 最高です。 本作で、あの名プレイヤーたち全員のプロフィールに没年齢が記載されているのが寂しかった。 映画のほとんどが彼らの茶目っ気たっぷりの魅力の回顧録だ。 そしてラスト、アディオスコンサートで往年の名曲を現代のアーティストが歌う。 敬意を表して。 良かったです。 P.S.オバマさんのスピーチも茶目っ気があって良かった。 [DVD(字幕)] 8点(2019-04-12 02:12:02) |
32. ゲティ家の身代金
《ネタバレ》 面白い!話もだれずに、最後まで見せる。 リドリースコットは、巧すぎて、作家性が見えにくくなるほどだ。 引っかかるとこがなく、何がリドリースコットらしさか、見えにくい。 クリストファープラマーがいい。 他の俳優が考えられないくらい、はまり役だった。 でもケビンスペイシーの方がリドリースコットらしさが出たかもしれない。 最後、あれほど大事にしてたお金が慈善事業にまわったというオチは少し笑える。 [DVD(字幕)] 8点(2018-12-15 15:53:31)(良:1票) |
33. ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
《ネタバレ》 面白い!骨太な傑作だ! 最後は自由の国アメリカ万歳で締めくくるから、気持ちがいい! スピルバーグの計算がかなりあるのだろう、これを今、世に出したのは・・ 報道の自由の危機の予感、女性の時代の到来等々。 相変わらずの演出の巧さで、地味な内容の映画を最後まで引っ張ってくる。 彼の映画で言えば「リンカーン」に近い。 自分にとってスピルバーグの楽しみは演出の巧さである。 個々の部屋での電話会談、機密登場の緊迫場面でレモンを売る娘、「ニクソン」側の役員への印象づけ、 各人各人のセリフの面白さ・・ 最初はちょっと難しいよ、スピルバーグさんと思って観ていた。 字幕のセリフを読んでるうちに、広い新聞社のオフィスの空気で眠くなってしまった。 これは前も経験したなぁ・・ あぁそうだ。「大統領の陰謀」や「ネットワーク」(これはTV局だけど)でもそうだった。 とにかくマスコミの方々の説明口調は映画と相性悪い。 でもそれを最後まで引っ張るスピルバーグ御大の演出には、職人の味がある。 [DVD(字幕)] 8点(2018-12-07 22:33:52) |
34. ベイビー・ドライバー
《ネタバレ》 シビレル~♪ 2017年最高のスタイリッシュクライムアクションムービー♪ 映像も音楽もノリも最高♪ DVD、買っちゃうよ~(笑) [DVD(字幕)] 8点(2018-04-07 18:15:01) |
35. ブレードランナー 2049
《ネタバレ》 レプリカントが子どもを産む奇跡。そしてその子がレプリカントたちの心の支えでもある「思い出」デザイナーであるという設定。もうストーリーテリングここに極まれり!という感じです。 監督はヴィルヌーブですが、製作のリドリースコットは、「エイリアン」の最新作でも強いAIであるアンドロイドがエイリアンの産みの親であるなんていう発想しますからね。 SF古典の「1984」のレプリカント版といった感じで話はとても面白いです。管理と自由というテーマは映画でもおなじみのテーマですしね。 が、しかしレプリカントには感情移入しづらいのも確か。 やはり人間らしさとは何か?愛とは何か?というテーマを掘り下げた展開にした方が、観終わって充実感あります。 でも映像もアイデアも確実にスゴイですし、見応えあります。 何年かしたらまた観たいですね。旧「ブレードランナー」と続けて観たく思います。 [DVD(字幕)] 8点(2018-03-03 18:57:49)(良:1票) |
36. わたしは、ダニエル・ブレイク
《ネタバレ》 他人事とは思えない描写が続く。辛い内容だが、やっと我々の気持ちを代弁してくれる映画が出たという気持ちで、嬉しかった。 ケンローチは社会派で有名な監督だ。レンタルビデオ屋にこの映画が並ぶ頃、ケンローチのドキュメンタリーも出てたので、観た。 ハーバート卒の、事故で家族を亡くした経験を持つ、大人しい感じの小柄な監督だった。どこから反骨の映画群が生まれたんだろう。 彼の映画はいつも時代の悲鳴みたいなものを描写する。その悲鳴を冷静にストーリーに落とし込む。 今回のは、役所のデジタル化された対応を描いてる。日本の役所は、現場との接点をNPOに委託してるから、こんな非人間的な対応はないのだが、いつかこんな体験を自分もするんじゃないかという恐怖感はある。それを表現してくれたので嬉しかったのだ。 しかしダニエルの最期は、やはりこういうラストしかないのかという切なさでいっぱいだ。でもそれでも落ち込まなかったのは、あの母子家庭の母親の全身で生きてかろうじて自分を見失わぬたくましさからだろうか。この母親の子どもたちなら大丈夫。そんな希望を感じられたからだろうか。 [DVD(字幕)] 8点(2017-12-16 22:13:10)(良:1票) |
37. 麦の穂をゆらす風
《ネタバレ》 国難のとき、レジスタンスとして戦った仲間も、強いものの出してくる条件をめぐる妥協か、それとも守るべきもののためにもっと戦うか、その選択をめぐり、かつての仲間同士で殺しあう。アイルランドの歴史問題は、詳しくは知らないが、どこの国の歴史もこのような感じで、泥沼化していっている感じがする。ケンローチの映画は、簡単に答えの出せない社会派が多い。条約批准をめぐる議論の場面は、かつての「大地と自由」を思い起こさせる。発言ひとつひとつに手を抜かない視点を盛り込む姿勢は相変わらずである。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-30 21:02:30) |
38. タンゴ・レッスン
《ネタバレ》 考えてみれば、女性監督の白黒映画って初めてだ。非常にオシャレな映画に仕上がっている。もう全編、ハッとするようなタンゴで溢れる。サリーポッター自ら、主演をしたのは、劇中の主人公があまりにも素敵かつ幸せな役どころだから、嫉妬して、冷静にカメラを覗けなかったからかもしれない(笑)。最後、エンドクレジットで父親にささげると出てくる。彼女のお父さんがユダヤ人だったのかもしれないですね。ただの恋愛ではなく、そこに歴史の哀しさに涙する二人の男女の出会いがある。最後の抱擁が妙に官能的で、こんなラブシーンは男性監督には撮れないだろうなとしみじみと映画を観終わった。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-15 20:39:25) |
39. 世にも憂鬱なハムレットたち
《ネタバレ》 あっはっは。これは面白い。三谷幸喜の映画みたい。まぁこちらの方が先なんだろうけど・・。寄せ集めの落ちこぼれ俳優たちが、どんどん一つにまとまっていくとこがカッコいい。段々と仲間になっていったとこで、お決まりの美味い話が舞い込んできて、さぁ悩めるハムレットの選択やいかに!演劇人なら一度はこういう芝居を創ってみたいのではないかなぁ。最後は最高の仲間たちとクリスマスを送る。人生、これぞ幸せだというオチ。ケネスブラナーってまさしくこの映画の主人公みたいな人だったんだろうね。だから強気そうなエマトンプソンとカップルになったんだと思う(私見)(でも別れたけど・・。彼は「から騒ぎ」の頃が一番脂がのってたのでは・・。)これとは別の豪華キャストで贈るケネスブラナーの本格「ハムレット」も観るぞぉ♪ [ビデオ(字幕)] 8点(2017-03-21 02:10:03) |
40. ハムレット(1990)
《ネタバレ》 ゼッフィレリのシェイクスピア劇はよく出来てるなぁ。唸ってしまうラスト。この人の「ロミオとジュリエット」も好きだが、本作もよく出来てる。オフィーリアが可哀そすぎる。この映画の後、ミレーの絵画「オフィーリア」をじっくり見てみたくなった。地方では図書館で味わうのが精一杯だが・・(泣)。それにしてもオフィーリアの父上のイアンホルムも、悲劇の渦中にあって、訳知り顔でウロウロするものは殺されてしまうのだろうか。そして、あまりにもやるせないのが、オフィーリアの兄上。妹も父上も亡くし、その復讐も利用されてしまう。本当に憎らしいなぁ、アイツ。ラスト、グレンクローズが自分の体調がおかしくなり、盃に目をやり、その瞬間に全てを理解した、あの表情はさすがオスカー女優である。シェイクスピア劇の映画化は、その重厚さからムードも大事だが、やはり言葉一つ一つに味があるので、映像美で追及するより、ゼッフィレリのように演劇色豊かな演出の方が向いている気がする。映画ファンとしては、ゼッフィレリを堪能したら、次はケネスブラナーのシェイクスピア解釈にも身を任せてみたい。 [ビデオ(字幕)] 8点(2017-03-12 22:39:05)(良:1票) |