1. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 これぞまさに理想の映画である。観る者に希望や爽快感を与え、じんわりと何年たっても感動を思い起こすことができる。地道に壁の穴を掘り続け、ついに脱出したティムが嵐の空を仰ぐシーンが忘れられない。最後まで希望を捨てず決してあきらめない彼の姿は、我々に多くの勇気を与えてくれる。 10点(2004-01-27 03:39:28)(良:3票) |
2. チェンジリング(2008)
型にはまった御都合主義とは程遠いクリントイーストウッド監督作品。しっとりとシリアスで重厚な作品を好む人ならこの作品はドンピシャで大当たりだろう。娯楽の域を飛び越えてひたすら問題提起を訴えてくる作品はそうそうあるものではない。思い出すたびに胸が苦しくなる作品が多いイーストウッド監督モノ。その中でもこの作品は本当に苦しくなる作品であり、人生とは何かを問うてきた監督の現時点で出せる200%が注ぎ込まれた一作と呼んでも過言ではない。見たあとに色々な思いがわいてきて一口に「感動した」といえないほど哲学的な重たい何かを背負わされてしまうが、それこそまさに監督が狙っていたことではないだろうか。現実に起きた事件をベースにしているという点も驚くが、そんな謳い文句など必要ないぐらい素晴らしい完成度だ。これまでイーストウッド監督の作品は淡々としている場面が多いせいか退屈だという声もあった。たが、この作品は絶妙なバランスでエンタメ要素を盛り込んでいる。もちろんそれは大衆に媚ているのではなく、作品の持つテーマ性をより濃く伝えるための手段である。そして特筆すべきはアンジェリーナ・ジョリーの熱演。彼女がこれほどまでに演じられる人だったとは思っていなかったので良い発見だった。 [映画館(字幕)] 10点(2009-04-06 07:19:17)(良:2票) |
3. ハルク
なるべく早送りしないで観ようとつとめているのだが、この作品は何度も早送りしたくなり、それをこらえるのが大変だった。 いかにもCGなハルクには目を瞑るとしても、この展開の退屈さは一体なんだろう?ラストはありがちながらも嫌いな終わり方ではない。しかしこの煮え切らなさは一体なんだろう? コミックのようにコマ割りされた画面が新鮮だったのと、音楽がそこそこ良いと思えたのが救い。(バリエーションが少なすぎるのは否めないが。何度も色々な場面でテーマソングを使いすぎている) 2点(2004-04-02 17:42:25)(良:2票) |
4. ターミナル
トムハンクスの演技力に舌を巻いた。そしてスピルバーグの演出。映像も悪くない。しかし如何せん脚本がいまいちである。そこそこ笑えるしそこそこ切なくもなるのだが、あまりに出来すぎた展開(特にラスト)、都合よく配置された脇役設定には首を傾げざるを得ない。予想通りに展開していく今作品はまとまってはいるものの、良くも悪くもさすがハリウッドと思わせられる。予定調和でありながら、ついついひきこまれてしまうのは役者と監督の力量に他ならない。下手すれば陳腐になってしまいそうな設定や内容だが、完成度が高いせいか陳腐を陳腐と思わせないパワーがある。観て損はしない映画。 9点(2005-03-09 15:51:19)(良:2票) |
5. タイタニック(1997)
泣きどころが幾つも盛り込まれているのでどこで泣くかは人それぞれだと思うが(特に男女間で泣きのツボが違うようだ)、この映像と音楽の素晴らしさには心の底から感服である。それに付け加えセットの細かさ、衣装などチープさが微塵も感じられない。ロマン派・完璧主義のキャメロン監督の真骨頂といったところか。三時間という大作のせいか中盤で少々間延びしている点が惜しい。やむなく運命に引き裂かれた悲恋物語は手垢がつくほど作られてきたが、今作は堂々と王道をいっているし終わり方も綺麗。 9点(2004-01-27 05:02:12)(良:1票) |
6. セイブ・ザ・ラストダンス
《ネタバレ》 この手のダンス映画はダンスばかりがメインになってしまいがちだが、これはそうではない。しっかりと人間ドラマが軸となって話が動いている。そして予想以上に重たい内容に私は驚いた。実にシリアスである。人種差別に対するメッセージが盛り込まれている点には感心した。白人のものであるバレエ、黒人のものであるヒップホップ、主人公は黒人の男と付き合い、そしてふたつを融合させたダンスを編み出しダンス界へのステップを登る。話の展開としてはありがちなダンス物だが、人種差別を隠喩したことが何よりこの映画の成功した点だともいえる。白人・黒人にこだわることがいかに馬鹿げているかを観た後しみじみ考えてしまう映画だ。ダンスに国境は無いのである。 8点(2004-01-23 17:25:13)(良:1票) |
7. ユー・ガット・サーブド
世界トップレベルのダンスが観られるだけでも映像価値として充分である。ストーリーはなんてことないよくある話なのだが、ダンスムービーだと割り切って観れば気にならない。とにかくダンス三昧。これまでのダンス映画はダンスシーンが少なくて物足りないと感じた人もこれなら問題なし。USの黒人音楽番組BETの司会者が出ている点もサービス精神を感じさせる。ダンサーはもちろん、これからダンスを始めたい人、もちろんB2Kファンにとっても忘れられない一作となるだろう。 6点(2005-03-09 16:17:22)(良:1票) |
8. シュリ
日本やハリウッドでは作れない映画という点をまず評価したい。アクションシーンはハリウッドには及ばないが、なかなか健闘しているほうだと思えた。女の正体は序盤で気付かされるし、オチは読めてしまうものの、最後まで惹き付けるパワーが確かに本作には存在している。魚をネタに使った点もよかったし、ラストも綺麗に締めていたので好印象。しかし俳優陣にどうも魅力が感じられない。女のほうは非常に人間臭さが出ているのだが、肝心の主人公の内面があまり見えてこないのである。主人公の友人も同様。そのあたりをもっと丁寧に描いていれば、さらに涙を誘う作品となっただろう。そう思うとやや惜しい感が残る。 7点(2004-06-13 19:47:22)(良:1票) |
9. GO(2001・行定勲監督作品)
基本的には原作に忠実なのだが、それぞれのキャラクターが非常にしっかりと個性を発揮しているところがクドカンらしい。イマドキの若者らしい軽妙さと悩み多き生い立ちの間で揺れ動く主人公を思いのほか窪塚が好演している。彼の演技方法とたまたまうまくマッチしたのかもしれないが、重たいテーマでありながら湿っぽくなっていない点が良い。しかし全体的にメリハリに欠けるように思える。しかし今まで敬遠されてきたテーマに真っ向から勝負をかけて成功した映画であることを私は評価したい。 7点(2004-01-27 00:30:04)(良:1票) |
10. SAYURI
日本が舞台という大前提があるだけに、英語で会話が進んでいくことに違和感が拭えなかった。字幕スーパーではなく吹き替えを借りればよかった、とやや後悔もした。なぜ後悔したかというと、作品世界があまりにも美しかったから。映像美が評判よかったのでそれなりに期待はしていたが、充分期待に応えてくれた。軸にあるのはラブストーリーなのかもしれないが、それよりもサユリという一芸者の人生の激動期を時代背景を絡めながら描いている印象が強い。それだけにサユリの会長に対する淡い恋心よりも女同士の激しいバトルのほうが見応えがあったというのが正直なところ。そして芸者役たちの舞が素晴らしく、映画であることを忘れてショーを見ているような錯覚に陥った。ラストはやや拍子抜けしたが、それを補うに充分な魅力がこの映画にはある。 [DVD(邦画)] 7点(2006-07-18 06:45:41)(良:1票) |
11. 少年メリケンサック
予告編にとても期待させられて見に行った。しかし見に行ってわかったのだがこの作品はクドカンワールドを理解していないと難しい。加えて、80年代パンクや当時の時代の空気を懐かしいと思える人種でないとあんまり楽しめない気がする。つまり、ものすごく見る人を選ぶ作品だということ。ぱっと見は一般大衆に迎合したポップでキャッチーな作品に見えるが、ふたをあけると違った。「パンクとはなんぞや?」というテーマなのかもしれないが、そもそもパンクになど興味のない人からすれば「で?」といいたくなる内容かもしれない。個人的には楽しめたのだが、たまたまピンポイントでハマっただけだと思う。客観的にみると好き嫌いのわかれそうな作品である。 [映画館(邦画)] 5点(2009-04-06 06:21:55)(良:1票) |
12. ドラえもん のび太の海底鬼岩城
小学生時代、映画といえばドラえもんだった。毎年新作を楽しみにしていたものだ。その中で私が最も印象深いのは本作である。魔界大冒険も素晴らしいのだが、神秘的な雰囲気とバミューダ海域がネタに出てくるところが当時は怖くて面白かった。ドラえもんシリーズが一番脂の乗って調子が良かった頃に生み出された傑作である。子供向けアニメといえど侮ってはいけない。ハリウッドの粗末なB級冒険映画よりもずっと面白いのだから。 9点(2004-01-27 19:25:18)(良:1票) |
13. ドラムライン
観る者がどういった音楽を好きであるかによって大きく評価がわかれてしまいそうな映画。ブラスバンドや黒人音楽が好きな者にとっては興味深く面白く観られるであろうが、そうでない者にとっては単なる薄っぺらい青春映画でしかなく退屈に感じることだろう。私個人はどうであったかというと、これが期待以上に面白かった。主役のニック・キャノンはアメリカでコメディアン兼ラッパーとして活躍しており、またブラスバンド対決で演奏する曲目は往年のソウルミュージックだったり、ヒップホップのヒット曲だったりする。選曲が上手いと思ったら、音楽監修を手がけたのはTLCやボーイズⅡメンをプロデュースしたダラス・オーステイン。彼は知る人ぞ知る影の名プロデューサーなのだ。観客を選んでしまうのは否めないが、黒人の躍動感溢れるファンキーなリズム感を目と耳で堪能できる作品であることは間違いない。 7点(2004-09-15 18:46:58)(良:1票) |
14. タイヨウのうた
YUIという歌手の存在は映画を観て初めて知った。難病と純愛を絡めた作品は食傷気味だったのだが、期待していなかった分うっかり感動してしまった。この手の作品にありがちな死を悲しみの象徴として無理やり涙を誘うあざとい展開ではなかったことにも好感が持てた。どうにもならない状況の中、前向きに生きていくことの大切さをおそらくテーマにしているのだろう。そしてそのポジティブな気持ちの象徴=音楽への情熱という形で表現されている。作中でYUIの歌う姿は頻繁に使われているが、余計だとは思わなかった。なぜなら歌うことが生への執着であり、それこそが本作の伝えたいメッセージでもあるからだ。ヘンにじめじめせずに爽やかな雰囲気。一言で言えば「甘酸っぱい」。私のように歳を重ねた者がみると気恥ずかしさを覚えてしまうが、それはきっとピュアな物に対する一種の照れなのだろうと思う。若い人におすすめしたい一作。 [映画館(邦画)] 7点(2006-07-18 07:00:18)(良:1票) |
15. 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993)<TVM>
これほどまでに小学生の視点で世界観が描かれていることに素直に驚く。そして時代の空気を切り取るのが非常に上手い。「スタンド・バイミー」に近い秀逸なノスタルジームービーと言えるだろう。誰もが自分の小学生時代を思い起こすに違いない。時間的にも一時間未満と手ごろなので、もう一本借りたいけど長いのはちょっと・・・という時にもお薦めである。岩井氏の感性が合う人にはたまらない作品。 8点(2004-02-17 23:27:55)(良:1票) |
16. g@me.(2003)
二人の恨み辛みが合わさり、するすると狂言誘拐にハマっていく様、そして成功してからのどんでん返しの連続は文句なしに面白い。ただ同時に進行していくラブストーリーが陳腐すぎる。展開が急すぎるために綺麗な台詞がどうしても歯がゆく感じられてならなかった。確かに二人とも美男美女なので絵にはなるが、とってつけたような感が拭えないのだ。ラブシーンを長くすればいいというものではない。むしろそのシーンを削っても、恋におちるまでの過程を丁寧に描くべきだった。しかしそれを除けば石橋の演技にはぞくぞくさせられるし、後半の展開もうまく観客を騙すことに成功しているので、サスペンスとしては非常に秀作である(素晴らしい原作のおかげではあるが)。主人公たちの抱える感情により全体が重く暗くなってしまいがちな内容だが、軽快な音楽を随所に使用することによってうまくカバーしていた。ガッツ石松と椎名の登場シーンは堤幸彦作品に通ずる柔軟さを感じた。 7点(2004-05-10 07:05:40)(良:1票) |
17. 恋愛寫眞 Collage of our Life
《ネタバレ》 多くの方が書かれている通り、小池登場の後半。彼女が犯人でも別にいいのだが、もっと違った演出にしてほしかった。非常に残念である。前半とラストはとても綺麗にまとまっていて涙を誘うし、怪しげな外人カシアスもよい味を出していた。問題のサスペンス風味なシーンがああじゃなければ個人的には10点か9点の内容だったのだが・・・。松田の英語はたどたどしくてむしろリアルさを感じた。留学していても発音のうまいヘタには個人差があるものである。そのヘタ具合が主人公の中途半端な立場を表しているように思えたので気にはならなかった。とはいえ、ナレーションをしつこく英語で言わなくても良いだろうとは感じなくもない。残念な点は多々あるが、映像は綺麗だしNYの景色もすばらしい。広末も嫌味なく自然に演じている。それだけに惜しい感が残る作品。 7点(2004-03-17 01:56:38)(良:1票) |
18. 下弦の月 ラスト・クォーター
原作と比べることは愚かだとはわかっているが、あえて言わせてもらうとこの映画は原作を読んでから観ないとわかりづらい部分があるのではないだろうか。ただでさえ入り組んでいる設定なのに話をだいぶ端折っているし、イブなんだかサヤカなんだか幽霊なんだか生き返りなんだか、なにがなんだか混乱しそうになる。原作を何度も読んだ私ですらそう思うのだから、まったく予備知識をもたない人が観たらどう思うのかが気になった。イメージが違う云々は仕方が無いが、hydeにはあまり喋らせないほうがよかったと思う。しかし映画には映画の楽しみ方がある。小道具やセットは凝っていたほうだと思う。時おり安っぽいCGが使われているのが少々残念だったが・・・。物語の中で最も重要な道具のひとつである「ラスト・クォーター」の曲も世界観にマッチしていた。ストーリーはわりと原作に忠実だったが、ラストは原作と少し違っていて映画オリジナルの味付けが施されているのが良かった。また映画版ではサエやテツは登場せず、ホタルよりもトモキが活躍していることから友情面よりも恋愛色を強く演出したのだろうことが覗える。俳優陣ではさりげなく大物が出ている点が興味深い。主人公の栗山千明はなかなか好演していた。またサヤカ役は「スワロウテイル」等で新鮮な存在感を放っていた伊藤歩。正直、実写版ということでそれほど期待していなかったのだが、思っていたほど悪くはなかった。原作の熱烈なファンはがっかりするかもしれないが、「読んだことがある」程度の人ならそこそこ楽しめるだろう。 6点(2004-11-09 15:41:59)(良:1票) |
19. フェイク シティ ある男のルール
原作・脚本ともにジェームズエルロイと聞いて期待していた。エルロイの書く原作小説と比べる気はなかったが、男臭い雰囲気と腹をさぐりあう展開はまさに彼の真骨頂だ。ハードボイルドやノワールが好きだったら楽しめる作品だろう。加えてキアヌがこういった役をやっているのは新鮮だった。かっこいいキアヌを見たいなら間違いなくおすすめ。ただ、作品性もあるので仕方ないが、ド派手なアクションよりも人間のいやらしさを表現しようとしているところがあるので、アクション大好きという人には物足りなく映るかもしれない。 [映画館(字幕)] 7点(2009-04-06 06:53:44)(良:1票) |
20. 凶気の桜
退廃的な雰囲気がよく出ている。いくらあがいても大きな権力の下ではどうにもできないのだということをひしひしと感じた。RIKIYA等、脇役陣の存在感が光っている。また悪役の江口洋介も新鮮である。後味が悪い。しかしそれはイコール駄作という事には繋がらない。ただ多くの方が書いているようにヒロインとの絡みは必要ないように思う。ひたすらピカレスク映画に徹していれば、中途半端な違和感はもう少し減っていたかもしれない。やくざ映画の入門編といった印象。 4点(2004-01-26 23:35:44)(笑:1票) |