1. フライトプラン
多くの人のレビューとと私の見解とが違うようなので、敢えて満点をつけてこの映画のうらの意味を述べさせて頂きます。( あくまで個人的見解、又は妄想 )■この作品の本当のテーマはアラブ人にひどいことをしながら謝罪もしない、自分の子供のために全乗客及び客室乗務員達を巻き添えにして不安のどん底に落とし込んでも子供のためという大義名文にかこつけて、他人の迷惑を何も感じようとしない、身勝手な母親のはた迷惑な正義です。そう、この母親こそ、身勝手な正義 ( 民主主義というかつてはあったかもしれない虚妄、今や親アラブ意見の表明不可能な自称・言論の自由な民主国家 ) のために一般人が乗る大型ジェット機 ( つまりは地球ですな ) を、下手すれば墜落させかねない、地球における最強国家アメリカを意味しているのです。もちろんこんなテーマで映画を作ることを、ユダヤ資本に牛耳られているハリウッドが許すはずがありません。だからこそ、ジョディフォスターという客を呼べる賢い大女優を使って、娯楽作を仮装しながらしっかりと言いたい事(つまりアメリカの地球へのはた迷惑な行為、アラブへの非道)を告発したのです。ジョディフォスターがアラブ人に謝罪しないのは当然なのです。非常に静かなる細き声ですが。その映画人の良心と勇気を讃えて満点にしておきます。 [DVD(字幕)] 10点(2007-11-11 22:09:34)(笑:1票) (良:7票) |
2. RETURNER リターナー
パクリだらけと酷評されてますが、ハリウッドとは比べ物にならない予算の中でなかなかうまく作っていると思う。あれもこれも表現したいという監督の情熱が溢れる感じで、しょぼい感動をむりやり二時間に引き伸ばしたような他の日本映画よりはよほどいい。パクリをつなげても二時間の作品を面白く見せるなら、パクリなしでつまらないよりよほどいい。敢えて書くならあのMI2まがいのバイクのターンは、同じキメポーズをとってぶっ放すと思いきや、キリンさんに爆破されて金城の方がびっくりするのを、MI2を視ていることを前提にして笑うところなのです。プレデターの中身がETだったのを笑うところなのです。映画大好きの監督が映画好きに楽しんでもらおうとサービスしているのです。日本語に文句を言う前に金城武でしか表現できない日本人にはないかっこよさを堪能または研究するところなのです。リターナーの時間を越えた伏線もうまいし、ラストもさわやか。岸谷五郎の悪役も決まった。DVDでは監督の撮影メイキング談話が全編に渡っていて、ここはどこで撮影されたとか日本映画ならではの楽しさもありプラス一点。 [DVD(邦画)] 7点(2007-02-23 20:31:54)(良:4票) |
3. イノセンス
《ネタバレ》 人身売買された少女のゴーストを注入したリアル系セクサロイドで大儲けしようとしたロボット会社だったが、少女に同情した出荷検査師が問題を起こすようよプログラムを書き換え、サンプル出荷されたセクサロイドは相手を殺して自壊する。検査師はヤクザに処刑され、事件を追うバトー達は黒幕をあぶりだすためにヤクザを殲滅する。しかしその帰りにバトーは電脳ハッキングされ間一髪で同僚に救出される。これだけのハッキング技術を持つのは少佐以外にキムしか考えられず、バトー達は本社のある北端択捉へ飛びキムを探す。キムはさらなる電脳ハッキングトラップをしかけてきたが、バトーは少佐のメッセージでそれを見破り、キムの電脳を使って海上のロボット工場に侵入する。ロボット達が襲い掛かるが、その中の一体に少佐がDLされてバトーと共に戦い、工場は制圧されて少女が救出される・・・というようなストーリー(たぶん)を、HDで検索しながら会話するという設定のバトー達が、焦点の定まらない引用句で会話しあい、さらに登場人物が独自のロボット論をやたら展開するため、一度ではすっきりストーリーが理解できない作りになっている。理解するためには二度三度劇場で観て、DVDを買い上げ、さらに前作のDVDも、という難解マーケティングにあなたはついて行くか?でもついていっても大した感動が得られない、つまらない、徒労感がせきのやま。絵だけみるならいいけど眠いぜ。ろくな脚本かけないなら脚本には手をだすな、とこの監督にいいたい。 [DVD(邦画)] 1点(2006-12-23 19:12:13)(良:3票) |
4. 時計じかけのオレンジ
私はこのようなむき出しの暴力描写、はだか描写は映画表現の堕落と思うし認めることはできない。卑怯にもキューブリックはこの作品の上映をふるさとの英国では許可しなかったそうだ。自分の故郷で上映するには恥ずかしいと思ったのだろうか。デザイン的には優れている、暴力描写は美しく秀逸だ、しかし根本的に映画としてインモラルだ。テーマそのものはモラル的だが、ここまで暴力をスタイリッシュに高らかに歌い上げるほど大したテーマでもない。この映画描写により、この映画をまねたウルトラ暴力が一般に蔓延し、性暴力がまるでおすみつきを得たかのように世界にのさばりだした。キューブリックにはそのことに対する責任があるはずだ。それは、映画の出来不出来以前の問題であり、人間としての生きる姿勢の問題であり、功なり名を遂げた表現者としての一般に対する責任の問題だ。ふるさとで上映を許可できないような映画を作るな、といいたい。 [DVD(吹替)] 0点(2007-11-20 18:13:48)(良:3票) |
5. ボーン・スプレマシー
スパイ映画の中に官僚機構としてのスパイ組織をしっかり説得力を持って描いた点や、何も特別なものを使わずに相手の居室を調べ上げたり、手じかにある普通のものを創意工夫で武器にして難局を切り抜けるリアリティのあるキャラクター像が新機軸だと思います。組織に命令されて何でもやらざるを得ない一兵卒のボーンが、その気になって反撃すれば組織の総力を遥かに上回っている点がスカッとするし、それだけで終わらずあくまで個人の良心にもとずいて行動しようとする点が単なる娯楽作品に終わらない感動を与える。構成員による個人悪で暴走する組織と、個人の良心の対決という現代社会が抱える今日的テーマを扱っていると思います。娘に告白したからといって何が変わるのか? といくらでも危険を冒さないで済ませる言い訳が可能ですが、とにかく実質何も変わらなくてもできることを精一杯やる、というのがこの映画の答えなのだと思います。 [DVD(字幕)] 10点(2007-08-08 13:50:30)(良:2票) |
6. 愛のむきだし
社会こそ個人が洗脳されていることさえ意識させない超強力な洗脳マシンであり、カルト教団との違いはその信者の多寡にすぎないのでは。 個人が洗脳に対抗する拠り所は、その好き嫌いにある。そして好き嫌いは十字架だ。個人が勝手に選ぶことができない生まれつきのものだ。 せっかく生まれた人生、好きなものを隠したまま、本気で求めないまま死んでしまうよりは、社会からヘンタイ呼ばわりされても、開き直るほうが人生としては成功だ。 社会から排斥されても自らのヘンタイを抑圧せず、自らの性癖と社会との共存の道を探求していく戦いこそ文化を作る。 愛とは社会からヘンタイ呼ばわりされる性癖も含めて、その個人を受容し、その個性をその個性のまま伸ばそうとするもののはず。存在さえ意識されない強固に染み付いた社会の洗脳を解く鍵は愛にある。 ■この映画で一番悲惨な愛を貫いたのは、ユウがヘンタイであること、ヨーコが好きであることも含めてユウを愛し抜き、男女の愛が叶わぬが故に、代用として信仰を共にする家族愛のような関係を築こうとし、結局それさえ叶わずに果てていく邪悪な悪役コイケである。 とにかく4時間を退屈せずに魅せるだけでもすごい。満島ひかりのツンデレが魅力的、入魂の演技。 [DVD(邦画)] 9点(2009-09-04 01:15:42)(良:2票) |
7. 幻の湖
北京原人やシベ超と並び称せられますが音楽も撮影も遥かに本格的です。 まず包丁を持って着物をはだけて太ももあらわに追いかけてくる美女という映像イメージが映画的にわくわくさせる。 走れる新人女優をオーディションで選び、さらに数ヶ月の走りの特訓をしたという南條玲子の走りを捉えた 東京、琵琶湖の延々と続くマラソンシーンは、それだけで十分に魅力的で、ここまでやるのは史上初の試み。 でもテレビのマラソン中継を面白いと感じない人にはつまらないかも。 常人に理解できない主人公の行動の飛躍は大昔の女の怨念が宇宙パルサーとなって影響しているためです。 お金も安定した結婚相手も体力も総て手に入れたら、後は宇宙パルサーの示す純粋にやるべきと感じたことをやりとげるしかないのです。そして ついに時代を超えた怨念は解消されたのでした。 宇宙空間に笛をおくことで、怨念パルサーを解消しようとした飛行士は間一髪間に合いませんでした。 いきなり観ると振り落とされるので、ぐぐって色々知識を蓄えてから観るほうが楽しめるかも。 ゼロ点というのもわかりますが、風景がきれいで予想外に面白かったのと、多くの偶然がなければ作れなかったであろうネット時代に蘇ったと奇跡の映画、いう所で満点にしときます。 [DVD(邦画)] 10点(2006-12-24 22:10:37)(良:2票) |
8. グエムル/漢江の怪物
《ネタバレ》 普通の人達がローテクで怪物と戦い、パニックを描きながらユーモラス、怪獣と戦う人間達の絆にポイントを置く、という等身大モンスター映画の設定は、怪獣の口の開き方といいトレマーズの影響を感じる。結局ハイテク武器を使うと簡単に退治できてしまうので、いかにハイテク武器を出さないで、ローテクで戦かわせるかという設定に説得力を持たせることが、脚本の工夫のメインになると思うが、この映画はその点を役に立たない政府と駐韓米軍という安易な設定で逃げていると思う。それを社会派監督の批判精神のせいにするのは違うのではないかという気がする。一事が万事で、意味のわからない脳手術、一家にだけ全然効かないウィルス駆除剤、怪獣に何人も殺された危険な川原で平気でデモするデモ隊など、ご都合主義ばかりなんだから、女の子も助けてもっと娯楽に徹すればトレマーズくらいに後味の爽やかな、傑作モンスター映画になったかもしれない。冒頭の襲撃シーンと少女が健気に脱出しようとするシーンにプラス1点。中盤のグタグタにマイナス1点。 [DVD(字幕)] 5点(2007-02-12 22:00:06)(良:1票) |
9. 亀は意外と速く泳ぐ
人気、実力、アイドル性をかねそなえた当代若手トップ女優二人と、実力派強力脇役陣という稀有の豪華素材を使って、しょうもないネタの、「そこそこ」味の笑いを狙って作ったぜいたく?な絶妙のバランス感覚が面白かった。しかし脱力系といいながら、ここぞというところではかなりこだわりがあり、細部までかなり努力し、お金もかけてつくられている。(飛行機がかぶる斬新なエンドロール(安いけど)とか公園の秘密基地シーンとか)。ラーメンを知り尽くした達人が、一般受けする派手でわざとらしい味を排して、大ヒットなどして逆に困ったことにならないよう絶妙の「そこそこ」の味を狙ったみたいな。監督は伝説的テレビ番組を作ってきた構成作家。テレビの面白さは台本がないライブ感にあり、しかしテレビの偶然や事件は、実は念入りに仕組まれた台本が存在していたりする。長年テレビ界で台本が存在しないように面白く見せてきた達人にかかれば、最初から嘘っぱちが許される映画で面白く語ることなど簡単、というテレビマンの自負が、能力を隠して目立たなく生きるスパイに仮託して描かれているのではないか。さらに現実にはテレビ界こそが、かの国の工作機関が最重点で国民に全くその存在を感じ取られずに世論工作に暗躍している世界だ。精密に狙い、力も入っていてハイセンスなのだけれど、その狙いや努力の跡やセンスのよさを徹底して隠して微妙な笑いにつなげ、普通の生活の裏側にある意外な底知れなさも描いて見せたのだと思う。予告編の亀の動物虐待にマイナス一点 [DVD(邦画)] 8点(2008-04-04 15:46:32)(良:1票) |
10. ヤッターマン(2008)
く、くだらない、、でも楽しい!!特にドロンボーダンス、ヤッターワン出動、エンディングのミュージックシーンが最高に楽しく、エンドルフィン噴出ものでした。ドラえもんのようにアニメとはいえ、せっかくお金をかけて劇場版にするんだから勇気と友情をテーマに子供に見せたい意義のある映画にしよう、などという向上心のかけらもなく、ひたすら通俗的で下品に徹している点がひょっとしてなかなか大したことなのかもしれない。邦画にしては未曾有の制作費をかけながら、思い切りくだらない映画を作ることこそ本当の贅沢であり豊かさかも。とにかく細部に至るまで作り手の情熱を感じます。不況で無駄を徹底的に排除せよ、ときりきりさせられている今の大人たちこそ、邦画バブル最後かもしれないこの究極の贅沢作品を劇場で観て溜飲をさげるべきではないでしょうか。 [映画館(邦画)] 8点(2009-04-03 16:52:16)(良:1票) |
11. (500)日のサマー
サマーほどにはトムはモテない。仕事に誇りも持てない。かといってあきらめきれない夢に向かって日々努力しているわけでもない。だからトムは結婚でこの関係を固定し、仕事の不遇をサマーと結婚することで忘れ、サマーとの家庭を築くことで、仕事の夢をあきらめたかった。 恋愛をそれぞれの価値の自由市場取引と考えるなら、この結婚でトムは得をし、サマーは損をする。サマーならもっといい男との結婚が期待できるであろう。サマーにしたらどんなに愛されても自分を出汁にして夢をあきらめようとするトムには、生涯あきたらないものを感じるだろう。 サマーとしたらまだ自分に本当に気に入った男が見つからないので、手近にいて自分に熱を上げる暇つぶしの相手として、トムを選んだ。これは恋ではない。それをサマーは最初からトムに告げている。だからトムとしては勘違いしていいけなかった。たとえ肉体関係があろうと、最初から恋ではなく、彼女にとって暇つぶしの相手でしかない。 サマーをあきらめて、もっと魅力的でないけれども自分に恋してくれる女性を探すべきだったか?それで満足できたか?たぶんNOだろう。たとえ暇つぶしの相手であろうと、彼女と過ごす日々は彼に大きな良い影響を与えるはずだし、結婚に結びつかないとしてもその日々の価値は変わらない。トムが夢に向かってチャレンジする気になったのはサマーと過ごした500日があったからである。自分には本当にふさわしい相手が必ずいる、と信じて疑わず揺るがなかったサマーと過ごした日々があったから、トムも本当にふさわしい仕事にチャレンジする気になったのである。そしてそうなったからこそオータムと関係を結べるまで成長できた。 恋愛の目的は結婚などではない。お互いに愛することで影響しあう、目的などないただただ愛することそれだけが目的の行為が恋愛である。だからトムはそのような日々を持つことができたすごく幸運な男なのである。 [DVD(字幕)] 8点(2019-08-09 15:25:10)(良:1票) |
12. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
《ネタバレ》 【ネタバレあらすじ】プロジェクト2501で外務省は情報工作プログラムを作る。しかしそれはネットの海で独自のゴーストを発生させる。外務省プログラマーはバグとしてそれをネットから隔離するが、隔離されたプログラムは人形使いと呼ばれるハッカーになっていく。あせった外務省は人形使いを回収しようと躍起になり、真相を隠して9課を巻き込む。そんな中、外務省の依頼で、草薙は2501のプログラマーの亡命を阻止する。次に通訳にハッキングしようとしたた人形使いの行方を追跡するが、捕獲できたのは操られたダミーでしかなかった。その後人形使いはネットの中に追い込まれ、義体製造社にハッキングして義体を自ら製造、その中に入る。義体はトラックに破壊され9課へ収監される。そこへ外務省から部長と研究者がやって来る。ところが彼らは三人の光学迷彩で透明化した兵士を伴っていた。外務省は義体の中には人形使いがいることを告げ、義体の引渡しを要求。その時義体の中の人形使いは自己起動し「生命体」として亡命を要求する。これを見た透明兵士達は義体を奪って逃走、旧市街の廃屋に逃げ込み、戦車で義体を死守しようとする。草薙は単身戦車と対決、ぼろぼろになりながら間一髪でバトーに救出される。その場で草薙は人形使いにダイブ、人形使いの狙いは、似た者同士である草薙と融合し、自らは死にながら子孫を残すことで進化、より強力にネット界に存在できる本物の生命体になることだった。融合することで自分自身がなくなることを危惧する草薙だったが、人形使いから「人は絶えず変化するし、自分自身であろうとする執着は自分自身を制約するものだ」と口説かれ融合を承諾。融合直後、情報工作の暴露を恐れる外務省の武装ヘリに二人の義体は破壊されるが、草薙の脳殻はバトーがかろうじて確保、20時間後に自宅で少女の義体に再生させる。生命意識の上部構造にシフトした草薙はバトーの「ここに残れ」という誘いを拒み、広大なネットの海へと向かっていく。 ■イノセンス以来この監督の作品は敬遠してたのですが、こちらは深い内容の哲学エンタティメントでした。脚本家がいいのか? 記憶や生命哲学をみごとにネット時代のコトバで再構築し、さらにエンタティメント化、視覚化、示唆的な壮大な進化ストーリーにまとめています。この映画は世界の映画作家たちを上部構造にシフトさせるくらいの、先端的な意欲作だったと思います。 [DVD(邦画)] 10点(2007-03-09 15:01:27)(良:1票) |
13. LOVERS
《ネタバレ》 変にひねらず予想通りの展開にしておけば、映像はきれいだし、衣装はいいし、最高の美男美女だし、で、普通にもっと愛される映画になっていたと思います。何が目的で今までそんなことやってたんじゃーというあまりにもの展開と、何でもありだ、と言わんばかりに開き直ったようなファンタジーなラストに、感動するどころかしらけるばかりでした。物陰からいきなり殴りつけるようなドンデンで観客を突き放し、秋から冬へ一気に変化させるウソっぽさで、悲劇の必然性を台無しにしている。観客の気持ちを操作してやろう、という意図を感じさせては観客はしらけるしかない。 ウソで始まった恋が本物になって、組織と情に引き裂かれる恋の悲劇、というそもそも表現すべきだったテーマに対してすべての表現が従属してこそ感動できる映画になり、美しい絵が輝くはずだったのに。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-25 13:40:02)(良:1票) |
14. X-MEN:ファイナル ディシジョン
見せ場のダイジェスト総集編映画って感じですか。ラッシュアワー2の監督が、ラッシュアワー2で評判良かった怒涛のラストの展開を全編に渡って繰り広げたような。だから微妙なデテールは全部すっ飛んじゃって、ひたすらよりすごい見せ場を次から次へ展開して、それでも破綻せずに最後にピークを持ってきたので成功ではあります。楽しめますが、デテールが豊富でそれを堪能するゆとりがあり、独特の魅力があった1と2の方が好きです。 [DVD(邦画)] 7点(2007-01-18 13:37:18)(良:1票) |
15. それでもボクはやってない
裁かれたのは痴漢行為ではなく、やっていないのだから「やっていない」とあくまでも主張してやまない西洋的近代個人主義精神なのである。そしてさらに左遷という形で裁かれたのは自分自身の判断で裁判を行う裁判官の西洋的近代個人主義による精神なのである。つまり個人の本心にもとづいて行動するアイデンティティはこの国では排斥され、場の空気を読め、と常にみんなが期待する役割を演じることが強制されるのである。だから交通事故をおこしたら被害のない方が、悪くなくてもまず謝り、不祥事を引き起こした省庁は、関係のない新任の大臣がまず国民に謝るのである。そもそもこの国の裁判制度は、もし無罪が乱発されたら、みんなが裁判で決着をつけるようになり、そうなると制度的に機能しなくなる貧弱なつくりになっているのである。そもそも西洋の正義なるものは未だに通用していないのに、形式的に西洋の正義が機能しているふりをし、学校でもそのように教えながら、実は個人を徹底的に圧殺する場の空気が支配する人権後進国なのである。年金さえ自国民の政府では管理できず、役人たちが食い散らかしてしまう公認汚職は裁けない社会制度後進国なのであり、ごまかしだらけのGDPによる偽装先進国だったのである。だから個人が個人の良心にもとずいて声を上げる精神は、制度の根幹に関わるとして統治機構により圧殺されるのである。よくできた脚本なので社会的示唆に富む映画になっていると思う。 [映画館(邦画)] 8点(2008-03-07 22:28:25)(良:1票) |
16. スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ
スケ番がヨーヨーを武器にして、刑事をやるという究極ともいえるおバカ設定をアイドル主演で映画化するのだから、おどろおどろしい所は暗くてもいいが、基調は明るくして、アイドルの持ち味を活かして、軽いの友情を描くべきだったと思う。本作のように、全体が暗くて、陰惨ないじめが横行する学園設定で、笑顔が愛らしいアイドルはニコリともしないシリアス演技では、いつたいどういう観客を想定して作ったのだろうか。これほど見事に観客の素直な期待を無視した娯楽映画作りをして、テレビで大宣伝するこの会社の劣化がすごく気になった。アイドルに求められる演技は、その時期の彼女だけが表現できるきらめきであり、女優のそれではない、と思う。あややは熱演しながら、この一作で天然明朗アイドルのイメージを崩壊させた気がするのだが、まさに捨て身で頑張っていたので彼女に2点。ラスト3/4からのやりすぎ無茶苦茶おバカアクション展開に1点。 [DVD(邦画)] 3点(2007-11-29 17:10:12)(良:1票) |
17. プライド(2008)
普通ならまず見ないジャンルの作品でしたが、愛のむきだしの満島ひかりに注目して観たらこれがかなり面白く、おっさんなのに原作少女マンガまで読んでしまった。小品映画かと思ったら結構お金をかけて原作の雰囲気が再現されていると思う。原作は史緒の教養ロマン大作の趣が強いが、映画は萌のピカレスクロマンの印象が強かった。ネガティブを武器に不幸を食べてバージョンアップするブラック萌が面白すぎる。苦しむことこそ総ての人間の運命であり、人間同士の連帯の基盤はネガティブにこそある、ということだろうか。 [DVD(邦画)] 8点(2009-10-27 19:32:55)(良:1票) |
18. 虹の女神 Rainbow Song
あおいは恋よりも、創造の女神を追求する妥協をしらない映像ストーカーだ。しかし人は、一人の人間として、片面だけで生きるのではなく、生を総体的に実現して生きたいとも想う。つまり男勝りの仕事をするキャリアウーマンも、家庭にはいり、愛する人との子供を生んで育てたいと考える女としての一面を同時にあわせ持つ。学生時代、ディレクター時代、あおいは妥協を許さないたくましい創造者と、繊細で臆病な女性の両面の間で揺れ動いている。あおいの自主映画は、表現者としてのあおいを仮託したストーカー智也が、死に行く女としてのあおいを看取る映画と解釈できる。このようにあおいの女性としての一面は、デート喫茶でミットモネー状態となったり、智也からも女を感じない、といわれたりで、創造者の一面とはちがってなかなか世間に認めてもらえず抑えられ続けてきた。そしてあおいが智也の背中を他の女へと押したように、智也はあおいを創造の女神へ向かうように押し続ける。あおいが卓也の背中を、他の女へ向かうように押すのは、幸福な恋愛が創造する魂をスポイルするのを、彼女の創造者としての一面が防ごうとしているからではないか。あおいが智也の鈍感なところを好きなのは、その鈍感が、彼女の創造者としての一面と、恋する女としての一面を共存させてくれるからではないか。そして創造する魂のために彼女は志半ばで倒れることになり、最後の最後に彼女が抑え続けていた、少女のように純粋な女としての一面の想いが、手紙の中の指輪に結実して表現されることになる。 深夜TVでちょっと見ただけで主演二人のリアルな演技にひきこまれ、ラストの指輪でついにかなえられなかった思いの切なさが心に残る。見返すたびに発見があり、解説サイトを読むことで映像の意味が深まり、深読みの楽しみもある上野樹里の魅力が炸裂する傑作。 [DVD(邦画)] 10点(2008-01-05 11:20:59)(良:1票) |
19. 大脱走
この作品については客観的になど語れません。群像劇、男の仕事をしっかり描いた映画で、敵役のドイツ人についても、単にドイツという祖国のために職務として兵士となっている点をしっかり描いている公平な視点にも好感がもてます。しかし、なんと言ってもこの映画はスティーブマックィーンの映画でしょう。登場から最後まで魂が持っていかれました。彼が表現したのは、何事も 孤独に、誰にも頼らず、自由を求めてあらゆる手段を駆使して縛るものから逃げようとするスピリッツです。自身が孤児のように育ち、多分、多くの規律や制約のなかで、虐げられて育てられてきた俳優以前の人間としての、自由への渇望、自分の足で立ち、自分の意思で行動したいために、安全でそこそこ生きることを保証されている環境から、命を賭けて敢えて逃げ出そうとするスピリッツが、どんな小説や他の映画よりも的確に、自身の姿、どんな強敵に対峙しても、不敵そのものの表情をうかべ胸を張ってにやりとし、『いくらでもまたやってやるぜ』という相貌を媒介にして、伝えられていた、そんな気がして私にとっては満点の映画です。 [DVD(字幕)] 10点(2007-11-15 13:20:19)(良:1票) |
20. ジェネラル・ルージュの凱旋
映画としては面白くないことはないのだけれど、全体的に前作から続いて釈然としないのは、抜群の洞察力とあくの強さで事件をてきぱき解決するヒーローが、できることならみんなで石をぶつけてやりたい、と全国民的に思われている厚生官僚(事件解決の動機も省益の確保といういかにもな設定)であることではないか。本来なら普通の人なら切り捨てるものも大切にする人、目的があって結果が得られることしかやらないという現代人の病、合理主義や成功主義の病に侵されていない対極の非エリートヒーローとしての竹内結子が風貌に合わない意外な活躍をして、ロジックで固まった厚生エリートを凹ませれば胸もすくのに、バチスタを上回ってどうしょうもないただの引き立て役の無能医師にしか表現されておらず、映画としての主役の基本設定に失敗していると思う。言いたいことも病院経営と両立しない現代の救急医療制度の矛盾の告発であり、志の高い映画だとも思うのだが、救急医療が機能しなくなっているのは利益追求する病院がすべて悪いと言いたげな展開になっていて告発ポイントがずれていると思う。医療従事者が過労死寸前の献身や経済的不利益を引き受けなければ成立しないとしたら、それは大もとの制度設計そのものがおかしいからのはず。救急医療従事者に崇高な自己犠牲の職業倫理を押し付けることで問題を解決しようとして、救急医療従事者でも普通の生活できる制度に工夫しようとしない厚生省の無為無策こそ大きな問題のはず。ところがその点は全く追求されない。堺雅人みたいなスーパーヒーローが存在して初めて成り立つような救急体制は、現実にはあり得ない。これでは厚生省の無策への論点ずらしのためのプロパガンダ映画ではないか?原作どおりなら医者(原作者)の厚生省へのゴマすり作品じゃないか?とも思えたりするのだが。 [映画館(邦画)] 7点(2009-03-12 00:52:22)(良:1票) |