1. この世界の(さらにいくつもの)片隅に
いやあ、これは‥。ようするに2016年版の「ディレクターズ・カット」、「特別編」、「完全版」のようなものなんでしょ、ってタカをくくってというか、少々見るのが億劫な感じで見始めたんですが、しかし。観終わった今、2016年版は長すぎる予告編だったのだなと思っています。(大げさか?)あいや、すずさんとその家族の身の上に何が起こるか知っているから、初めから切なくってしょうがないんだ。「みんな、笑ろうて、暮らせりゃあ、いいのにね。」これは、見るべし。 [DVD(邦画)] 10点(2020-10-07 22:00:44) |
2. 恋はデジャ・ブ
《ネタバレ》 これは文句なしで、面白いですね。満点です。こんなに評判の悪い邦題なら、蛮勇ふるってワタシがつけてやる!ということで、①「2月2日」、②「2月2日からの脱出」、③「フィルは、何でも知っている」、④「ずっといつまでも長い冬」。…ちっとも、ファンタジックコメディみたいじゃないですね。邦題つけるのって、難しいっす! [DVD(字幕)] 10点(2010-12-20 22:06:37)(笑:2票) |
3. コンクリート・ユートピア
《ネタバレ》 これは、胸くそ悪い。ヒューマニティあふれるミョンファにイライラし、ジワジワ独裁者になっていくヨンタクに同情する。いやいや、物語はじめのころには不器用な、まるでラブコメの主人公?のようなヨンタクが、どんどんおかしくなっていくこの展開。ファシズム的な社会って、こんな少しかけたところのある、しかし引きつける力のある人物に、有能な事務官が結びついてできるのかも知れない。こんな映画、なにもかも救いもなく終わってしまえとも思ったが、ラストのシークエンスもいいよ。どうかと思うけど、これはおすすめ。 [DVD(字幕)] 9点(2024-05-26 05:51:18) |
4. GONIN
《ネタバレ》 再見。ビートたけしと本木雅弘と佐藤浩市と鶴見辰吾と根津甚八が本作以上に魅力的だった作品をワタシは知りません(竹中直人は別にある)。白昼の観光バスの車内を最後の対決の場にしようと考えたときの監督の興奮ときたら。クセの強い5人の集まりなんだけど、妙に仁義に厚いところも好き。久しぶりに聞いたよ、「水くせえじゃねえか」。一時期の邦画に、奥山和由が与えた影響は大きい。良いことが起きる気配が全くしないメインテーマも好き。いいと言うには少し差し障りがありそうな本作だけど、やっぱいいっすよ。 [インターネット(邦画)] 9点(2017-06-13 22:07:01)(良:2票) |
5. コンプライアンス 服従の心理
《ネタバレ》 バカは罪だ。世の中の不幸のほとんどはバカのせいだ。バカはイヤだ。そんなことを陰々滅々と考えながら、己の身を焦がすような思いで観続ける。こんなことはありえん、と思えないんだ。とてもイヤな本作ですが、冒頭から救いようのないある作中人物の世間話でこの物語を閉じるあたりに監督の並々ならぬ底意地の悪さを感じる。でも、傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-10 16:28:49) |
6. 告白(2010)
原作に敬意を表しつつ、凌駕することを求め、それに成功した希有な作品。 [DVD(邦画)] 9点(2011-01-22 00:04:43) |
7. 高速道路家族
《ネタバレ》 公式サイトでは「パラサイティック・スリラー」とありますが、恐怖映画的な要素はありません。これがスリラーだったら、この間観た「八甲田山」の方がよっぽどだ。それはさておき。■ワタシは、本作は「万引き家族」や「パラサイト 半地下の家族」のアンチとして作られたものだと思っています。これらの作品同様、本作でも社会の隙間に入り込んだ風変わりな家族が、重篤な事件を起こします。しかし、「万引き〜」、「パラサイト〜」では、大変な家族だとは思いつつも、そのしたたかな力強さや、歪だからこそ生まれる情愛に感心(?)したりもしていましたが、本作の家族は、本当にただ単に大変。だから、父親のどうしょうもなさはリアルガチ。こんな父親でも慕う子供の姿は、健気と言うより浅はか。で、切ない。わかるよ。オラもどうしようもなくって、浅はかだから。ある種、振り切ったものを観たような気がしています。だから、「万引き〜」らと同じの8点にします。 [DVD(字幕)] 8点(2023-10-28 20:36:43) |
8. 国家が破産する日
《ネタバレ》 コトの重大さからすると、登場人物が少なすぎるような気がしますが、やはりこれは骨太と言わざるを得ない。本作で扱われた事実を過去のものとせず、今の状況の突破を目指すエンディング。社会派エンタメとしては昨年日本では「新聞記者」が話題になりましたが、見終わったあとの気持ちは本作の方がいい(なぜ、較べる?)。コロナウイルスに対する韓国と日本の差が何なのか、一因がわかったような気がします。制度疲労が重症なのは、彼我の差はない。どのエピソードも身に染みる。どうせこの映画見るなら、大きなパラダイムシフトの起こっている今です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-04-20 21:06:03)(良:1票) |
9. 高台家の人々
《ネタバレ》 これは、…。面白いんじゃないでしょうか。「七瀬ふたたび」ですよね。テレパスの恋愛として見て、納得感が高いです。おそらく、高台 茂正Jr.は本当はテレパスであり、そのことを由布子にも誰にも悟られないように生きてきたのではないかと思いますが、そのことをチラッとでも匂わせるとなお良かったのでは。なんちゃって。 [インターネット(邦画)] 8点(2018-08-18 20:20:29)(良:1票) |
10. 恋妻家宮本
《ネタバレ》 前半が良い。似ても似つかぬストーリーの映画、「her 世界でひとつの彼女(2013、米)」を思い出しました。つまり、ワタシにとっては「男性の更年期障害」を描いた作品なんですよ。これがかゆいところに手が届く状況。年を重ねればもっと落ち着くとか、あきらめるとか。生きやすくなると思ってましたが、悩みの内容が変わるだけだったんですね。あいや、言い訳の仕方が変わっただけで、悩みは変わってないのか? [DVD(吹替)] 8点(2017-09-10 19:42:49) |
11. この世界の片隅に(2016)
《ネタバレ》 向田邦子ドラマスペシャル(久世光彦演出)のアニメ版のよう。いや、向田ドラマも嫌いじゃないんです。すず役は、田中裕子です。つつましい人々の暮らしのいじらしさやかけがえのなさ。本当に、北條家でくるくる働くすずをずっと観ていたい本作です。ただ、最後に直接的に原爆のシーンを描いたのは必要だったのか。孤児をあっさりと引き取ることが当時よくあることだったのか。晴美の場所に、すんなり納まってしまっているかのようなところに違和感が残りました。 [映画館(邦画)] 8点(2016-12-28 23:19:50) |
12. 琥珀色のキラキラ
これは、いいです。DVD「チチを撮りに」のおまけにしておくにはもったいない。いろいろ書きたいこともありますが、今回はネタバレなしでアップします。「ぁぁ~」と思って欲しいので。 【追記】「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」はものすごくいい活動だったのだと思いますね。 [DVD(邦画)] 8点(2015-07-13 20:17:47) |
13. 極道めし
《ネタバレ》 いかついタイトルで損しているような気がする本作。「刑務所の中」と「南極調理人」を足して2で割ったような作品では決してないのですが、それらが好きだった人にはおすすめ。手紙に何が書いてあっただろうと、健太のエピソードは、あのように締めくくられるのがハッピーエンド。だから、あれが”消化”されてしまうくだりがよいです。観終わった後、もしかしたらとか、でもやっぱりとか、手紙の内容を想像して楽しむ余地を残しています。 [DVD(邦画)] 8点(2013-01-26 07:24:35)(良:1票) |
14. コンテイジョン
《ネタバレ》 力強い映画。とても印象に残っているのは、自ら感染したことが分かるやいなや、すぐさまとるべき職務を行うミアーズ。人体実験の被験者として、全く躊躇がなかったヘクストール。「感染症もの」といえば、ヒステリックなもの、と思ってたところで、この静かで硬派な作品。ラストシーンでは、こう持ってきたか、とため息つかされました。 [DVD(字幕)] 8点(2012-03-04 12:43:16)(良:2票) |
15. コラテラル
《ネタバレ》 さも自分こそプロの殺し屋だと言わんばかりに、「マックス、これが仕事だ!」と最後に叫ぶヴィンセントでしたが、マックスだって、最短距離を見通せて、到着時間をキッチリ計ることのできるプロのタクシードライバーだったんですけどね。なんかこれ、「暗いロードムービー」って感じが良かったです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-12 00:06:48) |
16. コンフィデンスマンJP
《ネタバレ》 逆転劇があるんだろうって思いながら見つつも、面白かったですよ。エンドロール後のアレも納得。そういや、アレも詐欺ですよね。(ファンの人以外にとっては)。 [DVD(邦画)] 7点(2019-12-15 22:00:04)(笑:1票) |
17. コレクター(1965)
《ネタバレ》 女性を思慕の対象としてしか見ない男がしでかしたことだから、怖いんじゃなかったのか。最後の独白「(今度は)僕の仕込むことのできるふつうの女を」って、ヤツの嗜好とまるで違うんじゃないの。そこんとこ「?」でしたが、4週間ルールやそれが破綻したときの関係性のくずれなど見応えは十分。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-12 17:52:40) |
18. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
面白かった、ような気がするってヤツでしょうか。しかし、見終わった今、なにか上手な作り話に丸め込まれたようなクヤシイ気分でいます。いや、ほらでも、映画ってみんな「上手な作り話」なわけでしょう。 にもかかわらず、本作については何故かことさら。だから、スゴいことなのかもしれないとも思いつつ。…いや、半分以上はわかったつもりなんですけど。 [DVD(邦画)] 7点(2015-01-17 15:19:07) |
19. コクリコ坂から
《ネタバレ》 あの頃の文化系学生、いわゆるなんて言うんですか、つまりバンカラ学生の青春をモチーフにしてくれたことはうれしかった。楽しい。こういうの、好き。ただそこを割と大手を振って「恋愛」が走り抜けていくところに妙な居心地悪さを感じました。彼と彼女は、もう少し慎ましやかなはずだ。実は兄妹じゃなかったって話は、お母さんの証言であっさり収めたほうがよかったと思う。それで引っ張ってオチってのもなぁ。 [DVD(邦画)] 7点(2013-01-11 23:04:06) |
20. ゴールデンスランバー(2009)
《ネタバレ》 「オレに残された最後の武器は、人を信じることだ」っていうセリフが、違和感なく聞けたのだから、いい作品でしょう。堺雅人氏は、不思議な俳優さんです。あの困ってるのか、笑ってるのか、泣いているのか分からない顔を見るたび、なんか勇気づけられます。あと、伊東四朗氏もいいですね。TVタレントの方が映画に出ると、瞬間、物語から意識がずれてしまう傾向(バラエティ番組での彼らの立ち位置などに思いをはせてしまう)がワタシにはあるのですが、伊東氏にはそれがない。いつも映画の中に溶け込んでいます。取材レポーターに、「おまえ、名を名乗れ!」ってシーンは良かった。かっこいい。 [DVD(邦画)] 7点(2010-10-30 07:37:50)(良:2票) |