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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  Sweet Rain 死神の精度 《ネタバレ》 
原作は未読。伊坂作品のいかなる作品の1ページも読んだことはない。 原作未読のためか、終始ズレを感じてしまった。 47年近い時間のズレを製作者は懸命に表現しようとしたのかもしれないが、それが上手くマッチしてないという印象。 難しいところだが、時間のズレなどは思い切って無視して演出してもよかったのではないか。 詰まらないことに監督はコダワリを持ったようであり、観客からするともっと他の事をきちんとして欲しいと言いたくなる。 また、ステレオタイプ型の表現が多く、それが違和感を与えているばかりか、全体的に表面の部分をすくったようにしか思えないために深みを感じられない。 さらに“死”を問い切れていないように思えたので、高く評価することはしにくい。 死神の立ち位置も曖昧のような気がした。 死神よりも、ある意味で藤木さんの方が達観しているのには違和感を覚える。 ラストでは成長しているようには感じられるものの、死神としての成長を描くということも重要なことではないか。 死神は全てのことは知っているが、人間の感情を理解していないということといった設定を付加するとよかったかもしれない。 そういう意図は込められていたようだったが、雨が止まないのは、死神としての途中の状態であり、人間の感情を理解して初めて一人前の死神になれるというようなことでもよかったか。 一人の女性を描くのならば、『なぜあの時に殺さなかったのか』ということをもう少し問うてもよかっただろう。 生き続けることによって、不幸で苦しい思いをしたことは間違いないが、生き続けることによって、素晴らしい経験もできたということを藤木さんに伝えてもよい。 映画内では、藤木さんの方で自己解決してしまっており、死神をただの使い走りにしているのはちょっと違うのではないかという印象。
[DVD(邦画)] 5点(2010-02-05 23:31:21)
2.  スペル 《ネタバレ》 
傑作ホラーといわれている「死霊のはらわた」が個人的に全く合わなかったので、無理を承知で鑑賞してみたが、やっぱり合わなかった。 極端につまらないとは思わないが、どうにもノリ切れない。 ホラーともコメディともいえない独特な路線がサム・ライミ監督の持ち味なのかもしれないが、自分にはどちらにも振り切れていないと感じられて、中途半端にも映った。 それほど怖くもなければ、それほど笑えるわけでもないという生煮え状態が続く。 追いつめられていくような心理的な圧迫もなく、単に“突然さ”と“音”だけで誤魔化しているのではないかと感じられるところもチラホラと見受けられる。 冒頭の車内バトルは楽しめたので、あのようなテンションが続けばもうちょっと楽しめたと思われるが、あとは基本的にはワンパターンにも感じられた。 作り物のグロさには耐性があるので、あの程度ではビクともしない。 冒頭を過ぎれば、肝心のババアとのバトルも盛り上がりはない(死体に髪を引っ張られるだけのシーンは“お約束”と笑えばいいのか)。 ラストの落としどころは誰でも分かるように製作されている。 それはそれで「そのネタをいつ明かしてくれるんだ!」というワクワクするような期待感を抱くことができるものの、ノリ切れない者にとっては「バレバレなんだよ。早くしろよ!」という“萎え”という感想も抱くことにも繋がる。 完全に見る者を選ぶ映画といえそうであり、自分はもちろん選ばれなかったようだ。 こういう作品を心から楽しむことができないのは、自分はちょっと損をしているかもしれない。
[映画館(字幕)] 4点(2009-12-01 23:39:27)(良:2票)
3.  スター・トレック(2009) 《ネタバレ》 
本シリーズは全くの未見だったため、本作を鑑賞する前に1と2をとりあえずチェックして本作に臨んだ。その予習があまりにハマったため、多少オマケをしたいところ。 「コバヤシ丸」テストのエピソードは、2を観ていないと深く楽しむことはできまい。未来のスポックが若いカークに出会った際に語ったセリフ「これまでもそしてこれからも私は永遠にあなたの友人です」も2を観ていないと“深さ”が分からないだろう。 このシリーズを観ていない者も楽しめるように作ったらしいが、やっぱり往年のファンを喜ばせるような作りになっている。 たんなる前日譚だろうと思っていたら、見事に裏切ってくれたアイディアは評価できる。パラレルワールド化したことで、既定路線を交えながら、新たな世界観を構築できるメリットを生んだ。新シリーズは新たな解釈を加えていくことが、これによって可能となったといえる。 パラレルワールドというアイディアもそうだが、冒頭の壮絶なシーンに対して、感動的な“出産”を上手く絡めてくるなど、「1+1」が「3」にも「4」にもなることをエイブラムスはよく分かっているようだ。 ただし、違和感があったのは、肝心のスポックだろうか。 バルカン人は感情を抑制し、全てを論理で物事を考えることができるという設定の割には、あまりにもあらゆる“感情”に溢れていた。 彼からは「怒り」「悲しみ」「喜び」「愛情」「友情」といったものが伝わってくる。 もっとも、地球人とのハーフであり、母親と故郷を同時に失っているので冷静にいられるわけではないということは分かるが、序盤のカークとの確執などは感情的になりすぎているところがある。 未来のスポックが語っていたように論理的に考え過ぎることは正しいことではなく、感情的になること自体はもちろん悪いことではないが、地球人らしい感情の表し方に終始しており、バルカン人らしさが上手く活かされていなかったような気がする。 カークとスポックがいい対比関係にはなっているものの、ややステレオタイプ的なところがある点が気になるところだった。 全体的にも、単なるSFアクションに展開しすぎるところが見られるが、最後の「新世界を探索し、新しい文明、生命体を求めて、人類未踏の世界へ」といった類のセリフを聞くと興奮が高まり、やはり低い点数は付けられない。 新シリーズへの期待感はいっそう高まってくる。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-14 03:18:50)(良:2票)
4.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
最近には見られなかった直球の映画。クイズという形を借りて、彼の生き様を描き、彼の生き様を通して“夢”や“愛”を手に入れるという単純なハッピーエンドムービーを単純に楽しめことができた。スラムの負け犬でも、諦めなければなんとかなる、思い続ければなんとかなるという“甘い”ストーリーは非常に好みだ。本作は、社会派の映画でもなければ、リアルなインドの実態を描いた映画でもないだろう。ましてや、教養のない人間が、難問のクイズに答えられるはずもない。リアルティのある作品ではないが、そういうことはでうでもよくなるほどの出来栄えだ。 インドが舞台であることが、本作の勝因ともいえる。 この舞台がアメリカや日本だったら、全く面白くはないだろう。 出来すぎたストーリーに嘘っぽさを感じてしまうはずだ。 アメリカにはもはや「アメリカンドリーム」はないかもしれないが、発展を続けているインドには「アメリカンドリーム」があると感じさせるパワーやパッションの溢れる街であるというように魅力的に描かれている。 また、クイズを絡めて、一人の男の生き様を語るというのは素晴らしいアイディアだ。 普通に描けば、大して面白くないストーリーでも、この手法によりダイナミックさが加わった。ストーリーに飽きることがなく、画面に集中させる効果も非常に高いといえる。 個人的には、最後の問題をジャマールは回答できなくてもよかったのではないかと思う。ジャマールにとっては、“愛”さえ手に入れれば、“金”などどうでもいいもののはずだ。「三銃士」の三番目と命名したラティカ自身が分からない「三銃士」の問題を間違えるというのも面白い運命とも思ったが。もともとゼロからのスタートなのだから、ゼロの状態からジャマールとラティカがスタートする方がもっとイマジネーションは膨らむと思う。あの二人にはむしろ“大金”は不要ではないか。 さらにレベルの高い演出をするのならば、司会者が正解かどうか答える瞬間に画面が切り替わり、駅のシーンへ移行してもよかったかもしれない。彼が正解できたかどうかを、観客の心に委ねてもよいだろう。 ただ、最後のエンドクレジット中のダンスはややマイナスといわざるを得ない。 ダニー・ボイルはインド的なものを取り入れようとしたのかもしれないが、せっかく気持ちよくさせてもらったのに、あれで“夢”から一気に冷めてしまった。
[映画館(字幕)] 9点(2009-05-10 21:44:04)(良:2票)
5.  300 <スリーハンドレッド> 《ネタバレ》 
歴史や背景に関する知識はゼロで鑑賞したが、知識があまり必要な作品ではなさそうだ。史実と異なるかもしれないが、そういうことはあまり気にならない。 史実をきちんと描く必要のある映画もあるが、作品を通して“何を描くか”“何を伝えたいか”ということが大事だ。『職業:戦士』という言葉が心に残るほど“スパルタ”の精神が上手く描かれている。無駄に死ぬよりも、何かのために戦って死ぬために彼らは自らを鍛え上げている。国のため、愛するもののため、仲間のため、自由のために、戦場で死ぬことこそ、名誉であり誇りであるという精神は見事であり、どことなく“侍魂”にも通じるところがある。 また、ザック・スナイダーの恐ろしいほどのセンスの良さも光る作品に仕上がっている。素人でもプロでも、この仕事を真似できるものはいないといえる。彼だからこそ出来る映像表現ともいえそうだ。 素晴らしいグラフィックだけではなく、見応えのあるバトルも見事である。 しかし、バトルにはやや飽きてしまったところもあった。 サイやゾウ、爆弾魔術師軍団、停戦交渉ありと、手を替え品を替えたバトルが展開されているものの、基本的にはワンパターンというところがある。 レオニダスを苦しめた中ボス級の強敵が一人いたものの、こういった特異なキャラクターをもっと出すとさらに面白くなったかもしれない。 また、隊長の息子をドラマもなく単に無駄死にさせたことはもったいないところだ。 父親や王を護って死ぬというようなドラマや、楽勝のための慢心さが生んだ心の隙というような展開でもよく、何か物足りない展開だった。 圧倒的なグラフィックで、ただただぶった切るシーンで圧倒するというのも分かるが、バトルの中にもう少し“ドラマ”が必要だったのではないか。 男の映画ではあるが、王妃を通して女の戦いもきちんと描かれている。 スパルタは男だけではなく、女も強いということを描きたかったのだろう。 しかし、こちらも完全にはオチておらず、裏切り者の政治家を刺し殺すくらいならば、交渉する必要があったのかとは思うが、彼らスパルタ人の愚直さを表しているのかもしれない。 自分のためというよりも、自分を犠牲にして何かを守るために戦うスパルタ人の気質を表しているようにも感じる。 素晴らしいビジュアルや才能であるが、バトル等においてドラマが不在だったことがマイナスと感じられた作品だ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-19 22:30:48)(良:1票)
6.  スカイ・クロラ The Sky Crawlers 《ネタバレ》 
ビジュアルは文句なく、ストーリーも良く、しかも何かを考えさせるようになっており、非常に満足できる作品に仕上がっている。 世界や海外を意識したためか、自分の追求するスタイルを少々捨ててはいるが、自分のコアな部分はきちんと投影されている点は素晴らしい。 自分の世界観を分かりやすく伝えるのもプロの監督の仕事だ。 あまり彼の作品は観たことはないが、やはり押井監督はプロフェッショナルな監督だと感じさせる。 チカラを相当に注いだと思われるビジュアル面では他の追随を許さない圧倒的な美しさには驚かされる。 単に美しいだけではなく、空や雲の空気感・飛んでいるような感覚までをも描きこもうとしている。 ある意味では“芸術”ともいえる領域だ。 キルドレについては、現代の若者をイメージしているのだろうか。 空の多彩な表情とは変わって、能面のような表情が実にいいコントラストになっている。 感情的にならないドライな若者たちを非難しているようには感じない。 現代の若者を上手く捉えており、彼らに非常に分かりやすくメッセージを伝えたと思う。 本作ではキルドレの代わりがいくらでもいるという設定になっているが、現代の若者たちに対して「それでいいのか?」と問うているのではないか。 「オマエらは人形じゃない」「代わりなんていない」「この世界はゲームじゃない」ということを監督は伝えたがっているように感じた。 また、描くことが難解な微妙な部分を上手く演出している点を評価したい。 冷めているようで、ほんの少し熱い部分もある。 感情を表に出さないが、内面には秘めたる部分もある。 諦めているようで、何かを変えようともがいている部分もある。 逃げているようで、立ち向かおうとしている部分もある。 このような微妙な感覚を上手く演出しているのはプロの仕事だ。 菊地凛子の起用の成否の判断は難しいが、恐らく押井監督はギャンブルに出たのではないか。 彼女よりも上手い声優はいくらでもいたと思うが、彼女の下手くそさ(しっくりこない違和感)が良い意味で個性的な味わいが出たような気がした。 栗山千明のように悪くなくても印象の残らないよりも、冒険を犯して印象に残すということに主眼を置いて勝負したと思われる。 菊地凛子は好きではないが、そういう意味においては彼女の起用は当たった。
[映画館(字幕)] 8点(2008-09-04 00:32:56)
7.  スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 《ネタバレ》 
「スター・ウォーズ」については、それほど詳しくはなく、素人からの目線でレビューしたい。 画像については、それほど違和感がなかったが、実写ではない分、バトルシーンにはどうしても迫力を欠いてしまうところがある。 実写では迫力などでごまかすことができるので飽きずに済むところがあるが、飽きずにもたせるには展開の面白みがなく、短い映画にも関わらず非常に長いと感じられた作品。 また、アニメ作品「クローン大戦」を見ていないと、ヴェントレスという敵キャラクターが分からないので、やや違和感があるのではないか。むしろグリーヴァス将軍の登場を期待していたので、やや拍子抜けしたところがある。 まだまだ続きがありそうだが、ⅡとⅢを繋ぐブリッジストーリーとしては、本作だけでは物足りなさすぎる。 ジャバの息子の誘拐など、子ども騙し的なネタしか描かれていないので、本作を観たとしても、大きなものはあまり得られないと思う。 最初から最後まで、クローンとドロイドがただ無益な撃ち合いをしているという印象しか残らなかった。 一番驚かされたのは、アナキンがパダワンを取っていたということだろう。 ただ、このエピソードも個人的にはあまり好ましいとは思わなかった。 パダワンを持つということは、ジェダイの騎士としてそれなりに責任が増すのであるから、ジェダイを裏切るという最終的な方向とは逆の意味に繋がってしまう。 また、パダワンを持たせるというアイディアは、オビワンとヨーダの考えのようであるので、二人はアナキンのことを一人前と認めている証拠でもある。 一本立ちを認めないオビワンのことをアナキンは憎んでいたはずではなかったか。 パダワンを持ったことでジェダイを憎むような展開になればよかったが、そんな展開にもならなかったので、やはりアナキンにパダワンを持たせる効果がよく分からない。 任務を優先することを第一に考えるジェダイと、ピンチに陥ったパダワンの生命を考えるアナキンとの間に亀裂が生じるという展開にでもなれば、本作にも意義が生じるとは思ったが、結局パダワンが自分の危機を一人で切り抜けるという面白くもない展開になってしまった。 慎重派オビワンと無鉄砲アナキンとのコンビとは違う、無鉄砲コンビの誕生もそれほどすっきりしたものを感じられないのも惜しいところであり、全体的には評価しにくい作品となっている。
[映画館(字幕)] 5点(2008-08-24 22:51:28)(良:1票)
8.  スピード・レーサー 《ネタバレ》 
平日の最終回とはいえ、470人キャパの有楽町の劇場に20人ほどの観客しかいないという惨憺たる光景を目の当たりにするとは思わなかった。 観客の中には『「マッハGOGOGO」懐かしいな』と楽しそうに語っていたおじさんもいたが、自分は生まれてこのかた、元ネタを見たことは一度もなく、元ネタの情報を一切知らずに鑑賞した。 原作を知らず、ゲームもやらないのでこんなことを言っていいのか分からないが、誰も見たこともない世界・映画を構築しようという高い理想を感じられるようにはなっていると思う。 問題点はあるが、製作陣は一切妥協をせず、批判を恐れずに、真摯な姿勢で努力している跡が窺われる。 画面だけ見ていれば、それなりに楽しむことはできるだろう。 ただ、その世界観に上手くハマれず、乗り切れなかったというのが正直なところ。 やや、自分と映画の間に温度差を感じてしまった。 「この人たち、なぜ一生懸命走っているのだろうか?」「この人たち、なぜ戦っているのだろうか?」「主人公、なぜ家を出ようとしているのか?」と感じる冷めた自分が劇場にいた。 なんでもかんでも詰め込もうとして、まとまりが悪くなってしまったのが問題か。 世界観は豊かなのだから、子ども達が楽しめるようにもっと単純でも良かったのではないか。 「レースを金儲けの道具にしている悪い奴を倒す」「レースは八百長ではない」というだけでよく、株価がどうのこうのとか、ビジネスがどうしたとか、買収とか、訳の分からない、どうでもいい背景などは要らない。 余計なことを描きすぎたために、「スピードの兄が自分の身分を隠してまで本当にやりたかったこと」なども上手くは伝わってこず、「家族の繋がり」などの重要なメッセージも伝わりにくくなってしまった。 余計なストーリーだけではなく、余計なキャラクターも多いので、各キャラクターが生殺し状態に陥っている。 本作の描き方では、真田広之、RAINの扱いに合格点を出すことはできないだろう。 肝心のレーサーXですら、あの程度の出番では足りない。 「マトリックス」と同じく世界観を広げすぎたために、上手く収束させることはできなかったようであり、反省が活かされていないようだ。 優れたクリエイターではあるが、もっと単純にまとまりよく物事を伝えることができないと優れたストーリーテラーとはいえない。
[映画館(字幕)] 6点(2008-07-20 00:50:02)
9.  スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師 《ネタバレ》 
面白いとは思うが、期待感があまりにも高すぎたためか、やや不満なところもあった。強引なストーリー展開はミュージカルなので許されるが、ストーリーの膨らみがやや物足りず、さらに感情面に訴えてくる点が少ないような気がした。バートンが意識したのは、ストーリー展開ではなく、ミュージカルそのものだったからだろう。ストーリーを楽しむというよりも、ミュージカルとして視覚的・聴覚的に楽しませることを念頭において製作したものと思われる。 それにしても、バートンの世界観はさすがだ。どっぷりと彼の世界観に浸ることができた。陰湿極まりないが、どこかユーモアがある見事な世界だ。グロいけれども、これは品のあるグロさだ。グロさを極めたものだけが、到達できるグロさだろう。 デュエット構成のミュージカルは見応え・聞き応え十分だ。 メチャクチャ上手いというわけではないが、編集の上手さで盛り上がりのあるデュエットを堪能することができるのは、映画ならではのものか。 ストーリーとして面白いのは、トッドが妻の顔も娘の顔も分からなかったことだろう。 15年間の牢獄の中で、記憶から消えつつあったのは妻や娘の顔であり、克明に記憶に刻まれたのは、判事の顔や役人の顔だったのではないか。 彼は“復讐”に溺れていただけということがよく分かる。 「恋に恋する」という状況があるが、あれに近いものがあったのではないか。 なんのために復讐するのかが、トッドには分からなくなっていたのかもしれない。 復讐することでしか、自分自身をサルベージ(救う)できなかったようだ。 ラベットが「顔を覚えているのか?」と聞いたときに、トッドがつまりながら「髪は黄金色で・・・」と答えていたのが印象的だ。 欲を言えば、もっとトッドの悲哀を感じさせて欲しかったところだ。 “復讐”いう名の魔物に取り憑かれた男の哀しさを十二分には感じることはできなかった。そういった感情をミュージカルで表現せざるを得ないため、通常の映画のようには上手くはいかなかったのかもしれない。 ラストのクダリも少々物足りないのではないか。観客には妻の正体が分かっているために“復讐”に囚われた男の末路の悲劇に深みや衝撃があまりない。 ラストのオチはあれでやむを得ないだろう。贖罪を求めて、自分の死を受け入れるかのように自分の首を少々上げるトッドの姿には、さすがに悲哀は感じられるものとなっている。
[映画館(字幕)] 7点(2008-01-19 23:37:35)
10.  スーパーマン リターンズ
約20年ぶりに復活したシリーズ最新作は、続編でありながら、原点回帰のリメイク的な内容にもなっている面白い造りだ。今まで観た事がない人でも十分楽しめる内容にはなっているが、「Ⅰ」とリンク(マーロンブランドの重要なセリフ等)する部分もあるので、事前に「Ⅰ」だけでも観ておくとより一層楽しめるだろう。 【評価とテーマ】なかなか評価は難しい。「なぜスーパーマンが必要なのか」というテーマを相当ねちっこく、かつ丁寧に創りこんだため、完成度は高く、スーパーマンに対する深い愛情も感じられる良作というジャッジもできるが、2時間30分という長尺と派手なバトルがあるわけでもないストーリーとのバランスを踏まえると「長い・飽きる・くどい」といった評価も聞こえてきそうだ。「初代」に思い入れのある人には高評価で迎えられると思うが、最終的にはあまり高い平均点は期待できないかもしれない。 【ブランドンラウスが演じるスーパーマンについて】見た目や雰囲気はクリストファーリーブを彷彿とさせる見事なチョイスかもしれない。しかし、肝心の演技ができるかどうかは別だ。彼のスーパーマンは「表情」が語っていない。鉄火面のような無表情、CGのような無機質さを感じる。「人類に対する慈悲深い無償の愛」が根底にあるのは分かるが、「表情が豊かではない」→「感情が伝わらない」→「行動に対して共感できない」→「さっきから同じことの繰り返しじゃないか」という思考が延々とループしてしまった。もっと人間くささを出してもよかったように思える。 【ケヴィンスペイシーが演じるレックスルーサーについて】「セブン」のようなゾクゾクするような悪役を期待していたが、やや魅力を欠いている。好意的な評価をしても初代のジーンハックマンと同レベルかなという印象。もっとはじけてもいいと感じたが、本作のテーマを踏まえて、キャラクターとしての存在感を抑えたようにもみえる。本シリーズは、悪役が目玉となる「バットマン」とは根本的に異なり、あくまでも主役はスーパーマンという方針なのかもしれない。 【その他】幼年期のジャンプシーンは「スパイダーマン」や「ハルク」、着地時には「ミッションインポッシブルⅠ」を思い出した。ルーサーの出獄理由は「ダーティハリーⅠ」と似ているし、「タイタニック」のようなシーンもある。パクリではなくサービス的な意味合いでなかなかユニークと感じた。
[試写会(字幕)] 7点(2006-08-02 21:01:38)(良:2票)
11.  スタンドアップ 《ネタバレ》 
「女性」として、そして「母親」として、あるいは「娘」としてのジョージー・エイムズという人間をシャーリーズセロンが見事に演じきった。自分の力だけで子供たちを育てていきたいという芯の強さ。弁護士、父、母、同僚、友人多くの人々に支えられながら、決して泣き寝入りすることなく常に戦い続けたいという激しさ。不当に罵られた際に親友や子ども、周囲にあたってしまう弱さ。父や周囲に蔑まれても「過去」を一人で抱えてしまう「苦しみ」。セクハラや恐怖に対する怯え、苦しみ、怒り、やるせなさ。これらの複雑な感情が観客にもダイレクトに伝わる迫真の演技だったと思う。 しかし、全般的に優れた作品で穴がなく、かなり「リアル」なストーリーなのだけれども、どこか「押し」の強さや盛り上がりが足りない感じもした。最初8点くらいの作品かなと感じていたけど、そこまで高得点を与えてよいのかと悩んでしまう映画だった。 そして、個人的に残念だったのは法廷シーンが少なかったこと。本作で日本にはないクラスアクション制度(集団訴訟)について少し勉強できるかなと思っていただけに残念。不勉強ながらちょっとかじったことがあるのでクラスアクションについて知っていることを書くと、普通の一般の訴訟では、被害を受けた被告と原告が、自分の権利を巡って争うものであるが、クラスアクションは、クラス(本作ではセクハラで被害を受けた女性のすべて)を代表して、クラス全体の権利を個人が争うものである。勝手に他人の権利を処分することになるので、クラスにいる者には通知する必要があるが、クラスにいる者は積極的に「除外(オプトアウト)」の手続きを取らなければ、判決の効力はクラス全体に及ぶという制度である。いろいろと弊害も多い制度(自己の権利が勝手に他人に処分されるおそれ、高額な賠償額による企業経営の切迫、弁護士の金儲けの手段)であるので、EU諸国でも導入されておらず、おそらくアメリカ特有の制度である。アメリカでも、今ではクラスアクションをなんとか押さえ込もうとしている始末であるため、日本で導入されることはまずないでしょう。日本にも選定当事者制度(あまり利用されていない)という類似の制度があるけど、こちらは被害を受けた複数の者が、自己の権利を被害を受けた者に委任して、一人ないし複数が代表して訴訟を争うものである。似ているけど、本質は大きく異なる。
[DVD(字幕)] 7点(2006-07-21 23:33:20)(良:1票)
12.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
EPⅡは渋谷で鑑賞。その時はコスプレ集団がいっぱいいて祭り気分に浸れた。今回は有楽町日劇1(21時30分)で鑑賞。今回もトルーパーがいっぱいいるかと思いきや、ほとんどいなかったのが残念だった。やはり有楽町は大人の町なのだろうか。しかしライトセーバー持ちこんでいる人が多々おり、それなりの独特の祭り気分には浸れる(EPⅠの頃は映画に興味がなくてどういう雰囲気か分からず)。 内容として「①いかにアナキンがダークサイドに陥ったのか」と「②アナキンとオビワンの溶岩での一戦」と「③パルパティーンの真の姿とその強さ」がどのように描かれるのかが興味があった。 ①に関しては、大きな軸としてパドメの死をいかに止めるかがダークサイドに陥る要因に描かれており納得できた。愛に固執してはならないというジェダイの教えが活きている気がする。さらにパルパティーンの策略により、ジェダイ評議会とアナキンをわざと対立させるようにし、アナキンを孤立・反発させるように仕立てており、論理的に脚本はよく出来ていると思う。演出としてもアナキンが一人たたずみ思い悩むシーンが好感的だ。あの「静」があるからこそ、心の内の「動」を感じることができる。また、通商連合を皆殺しした後に涙を流すシーンも効果的だった。パドメの最後の言葉と上手くリンクしている気がする。 ②に関しては、概ね良かったと思われるが、場所を動かすだけでなく、戦闘に何らかのもう一工夫あったら良かったのだが。ラストもちょっとあっけない気がした。「地の利」だけではオビワンにアナキンを倒すだけの戦闘力があるとは思えない。せっかくあの場所にパドメがいるのだからどっかで利用されるのかと思ったのだが。しかしアナキンが燃えあがるところはいい。ダースベイダーになるためにはあの位の激しい演出は必要だろう。 ③に関しては多少不満。動きが他よりもトロいと思う。まあヨーダに反撃食らって慌てるところは良かったが。ウィンドゥとの一戦は良かった。アナキンに引き返せない場所を創るために、わざと追い詰められる演技は最高だ。 さらに評価できる点としてはⅠ~Ⅲに掛けて民主主義の崩壊と独裁的帝国の誕生を描いている。ただのSFとは一線を画す。また、ジェダイの騎士惨殺には感じるものがあるし、ジェダイの子ども達も末路も描く必要はあったと思う。アナキンが更に越えてはならない一線を越えたと感じられる大事な場面だ。
[映画館(字幕)] 9点(2005-06-26 01:58:39)(良:4票)
13.  スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
エピソード1~3の流れの中で、本作は、アナキンの心の弱さを中心に、正規軍という名のクローン軍が創設されてしまい。また、ジェダイの力が弱まりつつあり、ダークサイドの力が元老院にまで及んでいることが描かれている。 大きな流れの中では、エピソード2の位置付けの意義は充分と考えられる。 一方、エピソード2を単体の映画と評価すると、後半の怒涛の展開には文句のつけようが無く、満点を付けても良い。ただ、どうも中盤のバランスの悪さが目に付く。 確かにアナキンがダークサイドに転落するまでの大切な過程なので、じっくり描くことは否定しない。 タスケン族惨殺事件は、自分の力の足りなさによって、母を死なせてしまったという自分への苛立ちとオビワンへの怒りを描くためにも必要不可欠だ。 エピソード1でヨーダが、恐れは怒りを産み、怒りは憎しみを産み、憎しみは苦痛を産むというセリフからもここは大事な部分だろう。 問題は、アナキンとパドメの恋愛だ。確かにこの二人が恋に落ちないと、ルークとレイアが産まれないので既定路線であり仕方がない部分はある。しかし、必要以上にこの二人の関係が描かれすぎている。エピソード3で強引に二人の関係を引き離そうという動きでもない限りやり過ぎではないか。この二人の恋愛をファンが見たいかどうかは想像がつくとは思うが。 そして、ルーカスの演出方法として、様々なストーリーを同時並行的に描く手法がよく用いられる。ストーリーがよりスピーディーになり、より引き締まるという効果があるとは思う。しかし、今回のようにジャンゴを追うオビワンとパドメ護衛のアナキンのストーリーを並行的に描くことによって得られる相乗的な効果は、それほどない。 緊迫感のあるジャンゴとオビワンとのやり取りに対して、野原で二人でゴロゴロしているシーンを並列的に並べるのは、互いを殺してしまっている気がする。 もしどうしても描くとすれば、今回ばかりは、それぞれのストーリーをややじっくりと描く必要があったと思う。 個人的に好きなパルパティーンがイマイチ出番がないのが残念だが、要所要所でしっかりと影を感じられたので良しとしたい。
[DVD(字幕)] 8点(2005-06-12 19:40:33)(良:1票)
14.  スーパーサイズ・ミー 《ネタバレ》 
マイケルムーア監督によってドキュメンタリーの性質が変わったことと「30日間マクドナルドを食べ続けたらどうなるか」というバカさがかなりクローズアップされていたので、本作が一体どういう映像になっているか楽しみにしていたら、意外とまともな作品に仕上がっているのでちょっと残念と思った。 観る前はただ食べ続けるだけでは映画としてはもたないだろうと思っていたが、結局、本作は教育番組のようにファーストフードの危険性をただ訴えるだけだった。 アメリカ人には興味深く切実な問題であり良い映画なのかもしれないが、日本人には対岸の火事であり、面白くも何ともないだろう。 ドキュメンタリーとしての出来は確かに良いのかもしれないが、自分はエンターテイメント性を求めていた部分もありその点はモノ足りなく感じる。 罰ゲーム的に無理やりスーパーサイズを口の中に叩きこむような監督が苦闘や苦悩する姿を想像していたが、そんなシーンも1回だけで終わり。 中毒を起こして食べるのが楽しみになっている以上そんな姿を描けないのかもしれないが、あまり大変そうに見えないのが、なによりも問題だろう。 医者のセリフだけでは死の恐怖や肝臓等のダメージは多少分かりづらいところはある。 冒頭の医者の楽観的なセリフと後半のギャップは確かに面白いと感じたのだが。 やはり真面目に作りすぎていて遊びが意外と少ないというか、子どもへの刷り込み問題や給食問題など色々な問題を詰め込みすぎたため締まりのない感じにも映った。 もっと上手な編集が出来れば良かったんだが。 出来れば、カラダや精神面の変化をもっとはっきりと描いて欲しかったし、19000個オトコのような強烈なキャラももっと欲しかった。 そしてこれだけ真面目な創りなら、本社のトップクラスとの対決は実現してもらいたかったのが正直なところだろう。 結局、自分はこの映画を見ても、映画館の帰りにあったマックは美味しそうに見えたし、今後もファーストフードを食べ続けると思う、あまり影響は受けなかったな。
5点(2004-12-27 00:15:36)(良:2票)
15.  スパイ・ゲーム(2001)
「スパイゲーム」というタイトルの割にはゲーム性もなく、007のような映画とは違い、真面目で落ち着いた出来に仕上がっている。 出来自体は決して悪くはないのだが、盛りあがりに欠ける為、期待ハズレと感じる人も多いだろう。 部下であったトム救出のために動き回るネイサンの退職の日の「現実」を縦軸に、75年ベトナムでの出会いから、76年西ドイツでの二人の考えの対立、そして85年のベイルートでの二人の別れを「過去」の回想を横軸に二重構造にして描かれている。 ネイサンの信念には「情報提供者に命をかけるな」というスパイの役目や負けられない危険なゲームと割り切ることが大切という考え方があり、一方、トムは理想肌で「人を殺すことは苦しいこと」と語っていたように「人の命の重さ」を知っている。 二人の考え方はだいぶ違うと思ったが、やはり二人にはどことなく似ている部分を感じさせるし、人間的な根っこは同じような気がする。本作では師弟愛が感じられた。 しかしなあ、ネイサンはベイルートでは当然の策とはいえ、トムを待たずに、キプロス義勇軍を使ってしまったり、エリザベスをトムから引き離すために拉致って中国に引き渡したりしているわけでかなり実際はかなり非情なオトコなんだよな。 トムとエリザベスの二人の愛が本物だとは知らずに拉致ったりしているから今回のような事件が起きたわけで、28200ドルは自分のまいた種を刈り取ったようなものかもしれない。 エリザベスとトムの二人には、救出後2台の離れたヘリコプターで見つめ合う姿に愛を感じさせずにいられなかった。 ネイサンの奥さんネタも随所に登場させているから、ネイサンの奥さん、家族、愛についての考えも少しだけでも描いて欲しかった気がした。 奥さんネタはやや消化不良に終わっていると感じたな。 衛星写真のすり替えや「ディナー作戦決行」の周りの反応などニヤリと出来る場面も多く、「ディナー作戦」と聞いた時のトムの反応も特に良かった。
7点(2004-12-18 16:35:49)(良:2票)
16.  スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー 《ネタバレ》 
正直言って、自分は全くこの世界観に溶け込めずに、完全に置き去りにされてしまった感じがした。 前編を創りたいのは分かるけど、思わせぶりのセリフが多いのもやや気になる手法。 問題点としては、まずは薄っぺらい世界に合う薄っぺらい脚本。 ご都合主義満載のストーリーにはもはや突っ込む気にはなれず、これ以上あえて語るつもりはない。 宮崎映画というより、ラストあたりは自分はルパンのクローンのやつを思い出しましたよ。 そして、全く臨場感も疾走感も感じられない映像。 CG映画は好きな方であるし、CGによって映画は発展していると感じているが、この出来は、いかがなものだろうか。 特にグィネスが序盤ロボットに踏み潰されそうになっている場面は酷いとしか言いようがない。 あれでどうやって、ドキドキしろと言うだろうか。 真面目なヒーローモノと構えずに、完全にギャグ映画だと割り切れば楽しめる人は多いかもしれない。 事実、狙い通りレトロの世界に合う古典的なギャグで場内は結構笑いに溢れていた。 自分はグウィネスが好きなのでその点は充分楽しめたし。 衣装はステラマッカートニーが担当しているらしい。彼女はビートルズのポールの娘で、元クロエのデザイナー。 現在はグッチグループで自分の名前でデザインしている人気のデザイナーなので、ジュードとグィネスの衣装には注目して欲しい。 そして、かなり引っ張りに引っ張ったラストのオチ。あれには本当にマジ参った。あれで最低の映画だったのが救われた、完全にポイントアップした衝撃の驚きのラストは必見。
5点(2004-11-28 22:29:32)
17.  砂と霧の家 《ネタバレ》 
映画を見終った後の観客のそれぞれの足取りが重かったことがこの映画を言い表している。 映画を見た後なのに近くにいたカップルなんて一言もしゃべらずただだまって歩いていただけだし。 陳腐な言い方だが、後味のワルさと何とも言い切れない憂鬱感だけはアカデミー賞級の映画。 一体何を感じ取れば良いのかちょっと整理はつかないけど、骨太で重厚な創りと、俳優陣の演技、映像の綺麗さは誉めることができる。特にラヴシーンの綺麗さは良かった。 あんな警官とのラブシーンにあそこまで綺麗に取る必要があるかはよく分からないが。 個人的に思ったことであるが、ファーストカットとファイナルカットがかぶっている創りにする意味が良く分からん。 あんなファーストカットはほとんど意味がなく、むしろ撮るものは他にあったと思われる。 キングスレーとジェニファーの二人が取り戻したかったモノは何か? そう考えれば、キングスレーにとっては家族の幸せであり、父親としての威厳とプライドだろう。 一方、ジェニファーにとっては父と兄と暮らした幸せが詰まった想い出である。 その結果からすると、冒頭にはジェニファーの幼少期、父と遊ぶ、幸せな想い出を入れ、キングスレーには訳が分からん木を倒すシーンよりも、イラン時代の家族が幸せで自分の威厳があったシーンを入れるべきではないだろうか。その際はあの家と少し雰囲気が似ている家の必要はあるが。 その方が何故あの二人が必死になる必要があるのかがより明確になると思う。 家族への偽りの人生が招いた悲劇、その結果失ったものは、キングスレーと警官の二つの家族と一つの家…。 家族の幸せは、砂のようにもろく、霧のように掴みづらいものなんだろうか。
7点(2004-11-14 22:23:31)(良:1票)
18.  スパイダーマン2
まずオープニングクレジット出来が素晴らしい。 前作の復習が出来るだけでなく劇画風デザインのセンスの良さが光る。 前作での「ヒーローとして生きる決意」を引き継いで、本作では「ヒーローとしての責任の重さ」、「その重さと一人の若者としての葛藤」、「ヒーローの孤独感」の三点が上手く描けていたと感じた。 ヒーローではない時の一人の若者としてのピーターパーカーに対してスポットを当てることにより、家賃を稼ぐために働かなくてはならない等の日々の営みがある「一人の人間」であることを改めて強調している。 普通の人間であることを強調することにより、ヒーローの困難さとその重みがますます感じられ、またヒーローとして生きるためには何かを犠牲にしなくてはならないことに説得感が増す。 しかし、たとえヒーローであっても、人を愛することまでも犠牲にしなくてはならないのかという問いに対しては、苦悩する一人の若者ということを強調することにより、ヒーローでも人を愛してもいいんではないかという答えを出したと思う。 今回、顔を晒しまくったのは、ヒーローの重みは一人で背負えるものではない、周囲の人の支えや愛する人が見守ってくれるから、ヒーローとして頑張れるということを言いたかったのではないだろうか。 それを描いたのが、電車のシーンだろう。ヒーローモノとしては最高のシーンだと思う。 ピーターの表情も良かったが、ぶっ倒れそうなピーターを皆で支えるシーンは、ヒーローはたとえ一人で戦うとしても、一人だけでは出来ない、周囲の人によって支えられるから成り立つことを表しているように感じとれた。確か前作でも橋のシーンで周囲の人に助けてもらっていたはずだ。 他にもピーターには支えてくれる叔母さんがいる。 一度は捨てたはずのヒーローの道を取り戻すきっかけになる叔母さんのセリフは本作のテーマ。あの叔父さんと叔母さん夫婦は本当にピーターにいい影響を与えてくれる。 期待していたんだが「1」に続いて地味なままで終わったハリーは次回では出番がありそうで楽しみ。 エレベーターや腰痛ネタもあり、笑えるシーンや泣けるシーン、爽快なシーン、苦悩するシーンなど様々な感情を味わえる本当に良い作品に仕上がっていると感じた。
9点(2004-07-04 02:38:06)
19.  スパイダーマン(2002)
本作のテーマは「ヒーローの宿命」ということでしょうか。 ヒーローとして生きるということは、たとえ好きな人を愛したとしても、それは結局、彼女を傷つけることにしかならないというヒーローの宿命を描きたかったのではないか。 しかし、一緒には居られないが、いつまでも好きな人を見守り続ける覚悟を決めたのが、ラストの墓の告白シーンで感じられた。 そして、何度も繰り返し語られた「大いなる力には大いなる責任が伴う。」ということを、全般を通してかなりねちっこく描いていると感じた。 自分に関係ないと思っていた犯罪者が、ひいては自分の愛する家族を傷つけることになるという一連の正義への目覚めへの流れはよく出来ている。 自分の信じる正義の道がマスコミやゴブリンによって揺さぶりを掛けられ続けるというのも悪くない流れだ。 映像の出来に関して言えば、あの浮遊感を表現できたのはモノ凄いと感じた。 小ネタだが、スパイダーマンと名づけたのがプロレスのリングアナというのはちょっと驚いた。 デフォーの二面性を描いた一種のゴラム化は見応えがあった。
8点(2004-06-30 00:32:43)
20.  スイミング・プール 《ネタバレ》 
この映画は、全てランプリングの頭の中のネタであり実際の娘は最後に出てきた歯の矯正をしたブサイクな女の子というオチなんだが、ちょっとこのオチはさすがにない方がいいと思う。 「マルホランドドライブ」なんかは妄想である必要があったんだが、どうも本作には妄想という必要がないと思われる。 ランプリングのサニエを見つめる複雑な感情が入り混じったなんともいえない視線や、「何も行動できないイギリスのおばさん」と言われたランプリングがジジイに執ったあの大胆な行動、社長とのやり取り、幻の作品等、全てが妄想と知ったら残念な気がします。 自分の中では、ラストを頭から消去して全て現実にあった物語とすることに決めました。
5点(2004-06-25 15:18:16)(良:1票)
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