1. 曽根崎心中(1978)
《ネタバレ》 江戸時代。 お侍は男の意地で腹を切る、そんな時代。 忠臣蔵の元になった、赤穂藩の事件があったのもこの頃。 そんな中、女は、女の意地で恋のために心中して、何が悪い・・ そんなお初の心の叫びは、 今、徳兵衛とお初は時代を超えて結ばれた。 どうか、あの世で幸せになってほしい・・ [インターネット(邦画)] 7点(2024-05-08 01:18:37) |
2. ソルジャー・ブルー
《ネタバレ》 こういう時代に、この映画を観る。 ソルジャーブルーと言えば、竹宮恵子の漫画「地球へ」を思い出す。 が、本作は甘くない。 が、だからアメリカ人は、と言ってしまうのも危険である。 本作の位置づけは、ニューシネマである。 ベトナム反戦の意識が高まり、起きたアメリカ映画の傾向のことである。 本作もベトナム戦争後期に創られた映画である。 直接言うのはお上の怒りに触れるので、ベトナム人をインディアンに置き換えて、映画のラストが描かれる。 江戸の戯作家が、お上に観られると怖いので、当時の政治を批判するのに、平家物語など軍記ものを書くように、 作家の反骨精神の手法として、昔からある。 冒頭、この映画は残酷だと言っておきながら、映画の最初から4分の3は、男と女の逃避行である。 ラブシーンまである。 一転、ラストはサンドクリークでのシャイアン族の大虐殺を描く。 どの国民が、というより、戦争は狂気の沙汰なのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2023-08-12 00:17:22) |
3. その手に触れるまで
《ネタバレ》 ダルデンヌ兄弟のヒューマンドラマ。 あまり馴染みがない宗教の話だが、本質はそこじゃない。 異教徒の恋人ができた恩師の女性への憎しみに、ちょうどこの宗教がはまったのである。 基本は、同じ地球人。 だが、この主人公の青年、異教徒の女性とキスした経験がなければ、どうなっていたか? 最後の最後まで、恩師に危害を加えようとするが、それも失敗。2階から落ちて、地上に叩きつけられる。 そして、恩師との対面。そこで青年は泣いて謝るのであるが、 その理由は、この邦題にある、という話。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-24 01:53:13) |
4. 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
《ネタバレ》 先に韓国映画の「グッドバッドウィアード」を観て、面白いと思ったら、 ここのレビューで本作が原案であることを知って鑑賞。 やっぱり元祖は違うね。面白い! セルジオレオーネ、いいですね~ 「ウエスタン」「夕陽のガンマン」も感心したけど、 本作も唸りました。 これだけ面白い筋なんだから、 日本の時代劇にも取り入れられてないのかな? 興味ある問題意識が出来た。 ちなみにルパンの次元は、イーストウッドだったっていうのは、気づきだった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2023-04-07 11:12:17) |
5. 空に住む
《ネタバレ》 よく話がまとまってて、面白かった。 完全役者のこの男は、ホンモノか、ニセモノか・・ それを確かめるべく、多部ちゃんがインタビューに挑む! 最後の質問、あなたの夢は? 「地に足をつけること・・」 それを聞いて、多部ちゃん自らKISS💛 い~ですねぇ。 「僕は君にどうも甘い・・」の編集長も素敵です。 [DVD(邦画)] 7点(2021-11-21 22:25:24) |
6. 象は静かに座っている
《ネタバレ》 閉塞した中国のある町。 そこで3人の男女が町で窮屈な思いをする。 さて、それぞれがそこで別の町の動物園に象を見に行こうという話である。 やがて、ここに一人の不良が焦点に上がる。 町の不良の頭で、いじめをする実業家の息子の兄だ。 この兄が実によく描けてる。 不良だからと言って、すぐに暴行を加えるタイプではない。 実に魅力のある不良だ。 弟を殺され、実業家の親が、殺した学生を探し回っているときに、 その不良の兄は、弟は嫌いだったと、その学生を逃がそうとする。 ここで大きな見せ場がある。 その携帯を盗んだ友だちが、銃を持って、その不良を撃つのだ。 この学生、不良、女子高生を中心に描かれているが、ここに老人が加わる。 こうしてラスト、町に窮屈な思いをした3人が、バスに乗って、町を出る。 そこで最後、象の鳴き声が聞こえて終わる。 さて、この監督は自死してしまった。 これほどの作品をつくる才能が何故? 彼も、どこに逃げ場のないこの世界から逃げ出したかったのかもしれない。 合掌。 [DVD(字幕)] 8点(2021-05-24 13:16:12) |
7. その日のまえに
《ネタバレ》 大林さんらしい、ファンタジックな映像世界。 死と乙女は、大林さんの世界では、よく扱われるテーマ。 大林演出がスピード感を増して、伸びやかになってくる頃である。 続く「戦争3部作」への予感が十分に感じられる。 乙女のようなお母さん、永作博美。 子どものような青年のお父さん、ナンちゃん。 初恋のまま、夫婦になったような二人である。 そこに宮沢賢治の世界が被さる。 最後は、汽車が空を飛ぶかなぁと思いましたが・・(笑) [DVD(邦画)] 7点(2021-02-08 00:46:38) |
8. 存在のない子供たち
《ネタバレ》 面会に来た母親の口から、一人死んだが、新しく子どもが生まれると聞かされる。 そこでブチぎれたゼノン。 テレビ局に電話して、両親を訴えるという。 面倒見切れぬくらいなら、子どもを産むな。 僕を生んだ罪で両親を訴えるのだ。 しかし、今度生まれてくる子供は、もうすぐこの世に出てくるのだ。 その子も生活に困窮した日々を送るのだろうと、ゼノンは呆然とする。 ここでポイントは、両親が、一人死んでも、また産めばいいという考えをもっているのだ。 たとえ、愛をいっぱい与えなくとも・・ これは、実はこの両親も、同じような境遇で育っているため、さほど 罪悪感をいだけないのだ。 負の連鎖である。 闇の業者が出てくるが、これは臓器売買だったかもしれない。 そこまでは映画では描かない。 「火垂るの墓」「誰も知らない」などを思い出す。 世界は豊かになっているという。 でも、まだこのような事実があるのも確かなのだ。 傑作! [DVD(字幕)] 8点(2020-11-22 00:01:05) |
9. 早春(1956)
《ネタバレ》 東京物語の後に創られた名場面が多い本編。 甘えた声の金魚が岸恵子だというのに驚き。 不倫をテーマにさらりと描いてみせる小津監督。 コメディ風ホームドラマを撮るイメージがあるが、 結構、当時の社会問題にきりこんでいくんだね。 でも小津監督だから、ドロドロしない。 [ビデオ(邦画)] 7点(2020-04-06 09:50:47) |
10. 続・忍びの者
《ネタバレ》 光秀の信長への謀反は、信長が憎い伊賀の忍者が 後ろで画策していた、という流れは面白い。 ゴエモンとマキのラブストーリーが縦軸で、歴史の大事件が横軸な形であるが、 雑賀衆が石田三成に敗れて、マキが死んでから後は、ドラマとしては落ち着かない。 がしかし、非常に歴史好きにはてんこ盛りの内容のようで、雑賀衆の鉄砲隊など勉強になる。 家康側についた忍者、霧隠才蔵が要所要所で顔を出し、 もう既にシリーズ化への準備が始まっている。 さぁ、ゴエモンの釜茹でに向かう場面で終わるのだが、これからどう 第3作へと続くのか、興味深い。 [ビデオ(邦画)] 7点(2020-03-29 20:32:11) |
11. 続・座頭市物語
《ネタバレ》 第1作があまりにも良かったので、期待が大きかったからか、ちょっと残念。 エピソードが散漫すぎて、ラストへの収束感が足りない。 なので、ドラマチックではない。 が、第1作への愛が強い人なら、平手造酒への市の思いや、 飯岡の相変わらずのワルぶりにキュンと来ると思います。 今回の決闘の相手は、実の兄貴。 こんな中途半端なストーリーでこんな逸材を使ってしまうのは 惜しいなと思いました。 [ビデオ(邦画)] 6点(2019-12-06 00:22:16) |
12. 続・丹下左膳
《ネタバレ》 文句なく面白い! いや、映画ファンなら、この映画の脚本の伊藤大輔作品は 観ておかないと何も言えないくらい勉強になります! 前回で活躍した面々がこの続編でも動く、動く。 なんと、丹下左膳の主君は彼を捨ててしまい、しかも妖刀奪取のため、 剣客をよこすのである。 一方、捨てられた丹下は、妖刀の呪いに負けまいと懸命に自分と戦う。 そして、片割れの剣をもった若きイケメン剣士が今度は、妖刀の呪いのため、 辻斬りを、しかも丹下の刺客を斬っていくという、もう前代未聞の展開。 そして最後はシェイクスピアを観ているかのような、ラストを迎える。 黒澤明は確かに凄い! しかし、それだけでは日本映画を語れぬくらい、芳醇な作品がまだまだ 埋もれていることを知るべきである。 [ビデオ(邦画)] 10点(2019-08-23 01:05:03) |
13. 空飛ぶタイヤ
《ネタバレ》 何年か前のテレビ版でも、かなり泣いたなぁ。 DVDまで買っちゃったもんね。 でも買ってから、一度も観てないなぁ・・ 今作は、コンパクトにまとまってて、組織劇に焦点置いてるね。 だから女性はほとんど出てこない。 だから最後のサザンの「戦う者たちへ愛をこめて」が効いてくる。 それでも、やはりラストの方ではウルッときた。 う~ん、もう一度、テレビ版観てみようかなって気になった。 [DVD(邦画)] 7点(2019-04-14 00:04:44) |
14. 早春(1970)
《ネタバレ》 好きだなぁ。こういう少年の悶々とした、自分でも抑えられない様を描いた映画は・・・ 「アンナと過ごした~」も遠くから女性を眺めていたのが抑えられず・・だったもんね。 この少年、ちゃんと彼女がいたのに、年上の女性にいれあげてしまう。 自分を持ってるセクシーな女性に、魅力を感じちゃうんだね。 印象的なのは、女性の看板と裸で浴槽につかるシーンが、ラストのシーンと重なる。 でもその水中での裸の絡み合いは、美しいが、悲劇で終わっちゃう。 「青い体験」のように俗っぽく無くて、女優も美しいから、いっそう性春(青春?)のはかなさが引き立つ。 スコリモフスキの正直な作風が好きだ。 なんで「イレブンミニッツ」みたいな演出をするようになったんだろ? [DVD(字幕)] 7点(2018-10-06 15:56:58) |
15. ソナチネ(1993)
《ネタバレ》 なんとも不思議な映画。 ストーリーもあるようでないようで、でも面白い。 間にきれいな景色のCMがある、たけし軍団の悪ふざけをテレビで見たような そんな感じ。 印象に残ったのは、機関銃乱射シーンのホテルの外からの構図。 沖縄で抗争があるとして、この映画のイメージも壊さない、 実に見事なカットだと思う。 淡々とした音楽もいい。 ホント、不思議な映画。 [DVD(邦画)] 7点(2018-08-19 16:43:36) |
16. ソロモンの偽証 後篇・裁判
《ネタバレ》 見応えあった!小中の頃のひっかかりを知らぬ顔をしていては、確かに人生を前に歩いていく力が出てこない。主人公の女の子たちは目を背けずにこの「事件」に挑んで、最後にかけがえのない友情を得た。そして人生が開けた。つまり普通の人になった。この真実を宮部みゆきは見事にエンターティメントとしてドラマという形にした。観ている最中、自分の小中時代を思い返していた。観終わったとき、自分も洗い流されたかのような感じがした。実に見応えのある作品だった。それにしても今、この時期に作られた意図は、法律の大本である憲法をないがしろにする昨今の状況に、言葉を取り戻した裁判を具体的に描きたかったのかな?と感じた。大人になり本当の言葉を失う前の、子どもたちに裁判をやらせることで、本当の社会のあり方とは?というのを浮き彫りにした骨太の作品のように感じられたのだ。 [DVD(邦画)] 8点(2016-04-30 22:35:22) |
17. ソロモンの偽証 前篇・事件
《ネタバレ》 面白い!急いで後編へ!!! [DVD(邦画)] 7点(2016-04-30 22:22:30) |
18. そこのみにて光輝く
《ネタバレ》 まるで韓国映画のような世界観。繊細な日本人にこんな現実はあるのだろうか?千夏が発狂しないのが不思議だ。自分がボロボロになっても、自分の身内を慰めようとする千夏はまるでマグダラのマリアのよう。最後の朝日が、まるで宗教画のように綺麗だ。 [DVD(邦画)] 7点(2015-02-26 06:58:27) |
19. それでも夜は明ける
《ネタバレ》 う~ん、アカデミー賞ということで期待して観たが・・。自由黒人以外の黒人は救いがない。ついこの前まで、これが現実だったんだよね。この白人の主人たちがどのような死に方をしたのかが、興味あるところ。それにしても、思うのだが、アメリカという国、戦争した後は、文化面に自己否定が混じった作品が評価される傾向があるみたいだね?ベトナムの後のニューシネマしかり、今回の3・11後の戦争の後のこのようなアメリカの自分否定の映画のアカデミー賞受賞、本当にこれもそう。 [DVD(字幕)] 6点(2015-01-18 12:03:18) |
20. そして父になる
《ネタバレ》 確かに映画は進化してる。役者の演技らしからぬ演技を引き出す是枝さんの演出。内容もとてもいい。最後までどうなるか、分からないストーリー。仮に子どもの交換だって、今の時代、なんか平気でやりそうな大人ばかりだ。だから、どんな最後でも、あ~そんなもんか、そんなもんだよね、って言ってしまいそうになる。映画が生まれてから、創られた映画の中で一生懸命、人間ってそうじゃないよね、って映画人がずっと叫んできたのに、時代はますます非人間的になってきてる。それでも言い続ける映画が、映画人が僕は好きだなぁ。 [DVD(邦画)] 8点(2014-04-26 09:56:29)(良:1票) |