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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
白黒による撮影がクライマックスのパートカラーを際立たせる傑作。  「気をつけー!」の掛け声とともに軍艦マーチと共に日章旗を掲げた行進、そして「鬼子来了(鬼が来た)」の題名!この軍艦マーチは幾度も劇中で繰り返される。  一体どんなクソ反日映画がはじまるのか、どうボロクソに言ってやろうかと最低な好奇心で胸を躍らせたが(スイマセン私はそういうクソ野郎なのです)、その期待を見事に裏切ってくれた。   長い坂道を下っていく日本軍、その様子を見に子供たちが集まる。子供たちと交流する軍人。彼らは毎朝のように来るらしい。  闇夜、密室、蠢く脚と喘ぎ声が情事を物語る。急な来客に妻を隠す。日本軍に怯える恐怖を表す。 戸を開けた途端に眉間に拳銃を突きつけられ、ある“依頼”と共にズタ袋を置いていかれる。障子を突き破る日本刀の切っ先で念を押して。  集まって相談する村人たち。ズタ袋から出てきた男の口から出る驚愕の一言、布で遮られる表情、罵詈雑言をわめき死を望む者、違う訳を言って生を望む者の対比。違う訳を教えるやり取りが笑える。同じ日本語でも嘘をいいまくるwww 村の住人役の監督(チアン・ウェン)もそれをニヤニヤしながら見つめる。  前半はコメディ映画のような微笑ましい雰囲気が、やがて地獄のような凍りつくやり取りに変わる。ドアの開け閉めだけでもドキドキする。このドアにおける緊張は幾度も挿入される。 他人の叫びを拒むような演奏、暴れるので拘束されて介抱される、雪が降り始める外、防寒着でぐるぐる巻きに。怖がりながらもちゃんと世話をしてくれる優しさに男は打ちのめされていく。 死を覚悟した男に生きる勇気はなかったのだ。 武装して現地住民に襲われる幻。悪夢ではなく願望として。  兵士二人の鶏肉をめぐる会話、黒い影、銃剣で地面にサークルを描き動かないように言う。日本兵がいる事を気づかれないように振る舞うスリル、鶏の首にかけられたもの、子供も油断できない。   サーチライトが照らす中を進む緊張、ズタ袋に拘束されながら穴を開け、細い筒で水を飲ませる。 しかしよく泣く男だ。死にたがりは時間の経過とともに思考も変わっていく。彼らの反応が訳は嘘じゃないという事を物語る。  本部でのやり取りもピリピリとした緊張が。うだるような暑さでも規律によって己を戒める軍隊、存在そのものが中国に凸な隊長、そしてロバあああああああ貴様ああああああっ!  メンツ、プライド、面目、話をまともに聞く気もない上層部、“契約”電話。 この隊長が本当に策士と言いますか、確かに約束は守るクソ上司です。「どうせ○○○んだし、殺るだけ殺っとくか」というキレ者。日本刀の柄を首筋にあててのしごきも凄い迫力。「生きて帰ってきてんじゃねえよボケナスッ!」という感じでボッボコにしてます。怖ー。 ニコニコ顔で毎朝巡回してた軍楽隊も豹変するんだから怖い怖い。みんなクソ上司に「殺されたくない」という恐怖で動かされるのである。  賑やかな歓迎パーティー、穏やかな交流、どんちゃん騒ぎがある一言で凍りつく。村人の態度に苦悶の表情、徐々に不穏な空気へと変わり、壮絶な血祭と化してしまう。淡々と演奏を続ける楽隊が怖い。  駆け抜ける火、火、火、戦いの終わりを告げる遅すぎた放送・・・復讐、土砂降りの雨、痘痕だらけの面、最後の一撃とともに色づくフィルム・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 15:47:06)(良:1票)
2.  女狙撃兵マリュートカ 《ネタバレ》 
チュフライの傑作の一つ。 「誓いの休暇」も冒頭から“狙撃”でキッカケを掴む映画だったが、本作は狙撃に始まり狙撃に終わる。 波がうねる海原、海から砂漠に場面は移る。まるで猛吹雪の雪山のように白い砂漠を歩き続ける。砂の斜面、敵影を見つけてを迎撃態勢、走り去ろうとする敵兵を次々と狙撃していく。 兵士としての厳しい表情、彼女の呼びかけとともに指揮官が起き上がり、寝ていたい兵士たちが駆けだす!神に祈りを捧げ、遠くを進む黒い影を追跡する。指揮官はモーゼル拳銃をサーベルのように振り回して部隊を引っ張る。 駱駝は移動手段であり盾となる、長距離での撃ち合い、銃は降伏の旗や墓標・助けを呼ぶための合図。戦利品となる駱駝や情報。  たき火、夢の中に見る故郷の思い出、仲間の死、指揮官の思いやり、捕虜を連れながらの厳しい行軍、熱風が吹きすさぶ中で倒れていく兵士たち、銃を打ち捨て嘆く者も出てくる。 そんな彼らを祝福するように拡がる海原!兵士たちの表情に安堵が。 「アラビアのロレンス」が砂の海原を突き進んだ末に本物の海に辿り着いたように(映画としてはコチラが先か)。 砂漠の民に出迎えられての宴会。捕虜も一緒に宴会を楽しみ、束縛の縄を見て「ああそうだったね」という顔をするのが面白い。戦争の厳しさを忘れられる安らぎ。  会話を重ねる内に捕虜と良い雰囲気になっていく彼女、手紙、裁縫。手紙を高らかに読んでその声で目が覚めそうになる仲間、それをみて声を小さくするやり取りが微笑ましい。  浜辺で見つける船、嵐、砂漠にはなかった雨風の嵐の恐怖、無人島に二人っきりで泣き叫び弱音を見せる彼女、無人の小屋、一枚一枚服を恥ずかしそうに脱ぐ様子。味方ならともかく、相手は敵だ。 女の表情、濡れてとかれた髪、彼女の背中と投げ出された脚がエロい。荒々しくうねる海原、看病を通してどんどんデレていくマリュートカが可愛い。 彼女たちが世話になった集落にも拡がる戦火、炎のゆらめきが海の煌めきに、男の語りを彼女は黙って聞き入る。浜辺でキャッキャッウフフ。  そして訪れる最後の“狙撃”。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 15:44:39)
3.  王立宇宙軍 オネアミスの翼 《ネタバレ》 
この映画は庵野の作品で最も退屈であり、最もワクワク興奮する最高のアニメの一つだ。 自暴自棄になり女の子を襲いそうになる主人公、だが女はそんな男を許し、新しい道を示してしまう。  主人公は宇宙に自分の道を見つける。あのロケットを空にぶち上げる瞬間を待ちわびる時の興奮!淡々とした言葉と空気が緊張を盛り上げ、凄まじい噴射煙がもうもうと画面を包み込み、ロケットが天高く空に上がっていく瞬間!!製作サイドと劇中ストーリーのシンクロが、そのまま作品の凄味になっているんだ。 森本レオも声を演じるという意味では“素人”同然。ナレーションに反して、シロツグの口調は不安が混じったような声だった。 その瞬間までをメチャクチャ盛り上げる坂本龍一の音楽よ!  この作品を見た後に、庵野の大阪芸術大学時代の創作の数々も見て欲しい。アマチュアとは一体・・・あんたすげえよ庵野。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-26 22:14:23)
4.  親子ねずみの不思議な旅 《ネタバレ》 
フレッド・ウォルフ監督、歌詞に大林宣彦が関わっている作品。  ぜんまいを巻かないと動けないネズミのおもちゃの親子が、ある日トラブルでおもちゃ屋の外に出されて騒動に巻き込まれる話。  森でどぶねずみの帝国に遭遇したり、動物の兵隊が歌いながら行進してくるシーンが妙に焼きついている。  親子が(色んな意味で)バラバラにされちゃうんだけど、おもちゃだから治す人がいれば治る。  でも他の動物は生物だから一度死ねば生き返らない。  その辺が妙に記憶に残っていた。  結構楽しい映画だった。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2014-12-21 21:46:21)
5.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
SFアクション好きはとにかく見ろ! そんでもってトム・クルーズ好きは見たほうが良い。 ダグ・リーマンは「ボーン・アイデンティティー」で好きな監督だけど、今回も面白かった。 日本の原作がハリウッドで映画化と聞いて「ま た ハ リ ウ ッ ド か」とネタ半分に見ようと思った一ヶ月くらい前。(小畑健の漫画で桜坂洋&安倍吉俊の「All You Need Is Kill」知りました) ・・・そう思っていたら何と「ボーン・アイデンティティー」のリーマン監督じゃありませんか! そしてトム・クルーズ。こりゃあ見るしかないじゃない!向こうで“ケイジ”だとニコラス・ケイジくらいか?  この人本当に50のオッサン?アクション凄すぎバロス。この人の存在自体が一種のギャグ。 いや、キャスティングは良いと思うぜ。というより、髪型が良い! ヒロインも髪結んでて、激しい戦闘で「バサアッ」て感じだろ? very good. 俺は原作の「軍人のクセに髪多いんだよ 前髪邪魔だろうが」って部分だけ気に入らなかったから。(スイマセンね根性捻じ曲がってて)  タイムリープものは小説だと「愚者の渡しの防御」とか「時をかける少女」、 映画だと「素晴らしき哉、人生!(リプレイ)」とか「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」「恋はデジャ・ブ」と色々あったね。  「清水港代参夢道中(續清水港)」とか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はタイムスリップで少し違うかな。   それと原題「Edge of Tomorrow」なのね。   ま ぎ ら わ し い 。   ストーリーはオリジナルの部分も多いけど、わりかし原作に沿ってる。 その分原作を読んだ人はサクサク楽しめるし、未読でも原作を読みたくなるくらい面白かった。 つうかヒロイン殺りすぎ(色んな意味で)。  シリアスとギャグのバランスも良い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:36:16)
6.   《ネタバレ》 
俺は「二十四の瞳」といった辛気臭い話よりも、「風前の灯」みたいなブラックコメディ、この作品みたいに初期の方が惹かれる。  ロードムービーのような流れで男女の恋愛と亀裂を描いていく映画。  登場人物はたった二人。  あてもなく流離う二人の間に生じる関係。  直接的な描写はせずに、女の表情と少し乱れた服だけで「情事」を感じさせるこの演出の見事さ。  たった1時間ちょっと、限られた登場人物でここまで戦後の洞察について話を膨らませられるとは・・・ラストの火事のシーンも凄い。  実験的な要素たっぷりの作品だった。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 18:35:15)
7.  OK牧場の決斗 《ネタバレ》 
スタージェスの西部劇は「日本人の勲章」がベストだが、この作品も俺にとっては充分傑作。  ジョン・フォードが「荒野の決闘」を産んで数十年。 ジョン・スタージェスは史実に基づいて「OK牧場の闘い」を描ききった。 フォードの「荒野の決闘」は人間ドラマが醍醐味であり、全体のテンポやガンファイトは今見るとそれほどピンと来るものではない。 何処までも「静」。 史実と大きく違う描写も多く、ドラマとして強調するための脚色が目立った(アープが髭でドクが髭無しってどういう事なの)。 途中「静」から「動」に移ろうとする場面もあったが、やはりフォードらしい西部開拓民への詩情を唄った物語を貫いた。  本作は「動」にこだわった粋な作りが魅力。 冒頭から「OK牧場の闘い」を唄ったネタバレすぎるリズミカルなオープニングが流れるが、ワイアット・アープを知っている者ならば既知の「常識」であり、ネタバレには成らないだろう(その人限定だけど)。 人間ドラマも途中から掘り下げが進み見応えがある(アープ兄弟の影の薄さは「荒野の決闘」の方がまだ掘り下げがあった)。 ワイアット・アープ演じるバート・ランカスターの職人気質、ドク・ホリデイ演じるカーク・ダグラスの男気がよく描かれており、二人の演技も素晴らしい。 恋人と静かに余生を過ごしたい・・・だが仲間や兄弟の危機を見捨てられない。 保安官としての義務、兄弟としての愛情・・・その葛藤。 ドクも酒に酔っても心までは酔わない。世話になった男の為なら命も賭けられる。  そして何といってもガンファイト。 ジョン・スタージェスは人間ドラマで盛り上げガンファイトで爆発させるのが巧い。 「荒野の七人」「墓石と決闘」「大脱走」は言うまでも無い。 ナイフ、銃撃、決闘! 動いて動きまくる撃ち合い! 全てが終わり、静かに別れを交わす二人の姿が印象的。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 19:04:35)
8.  黄金(1948) 《ネタバレ》 
「グリード」を彷彿とさせるジョン・ヒューストンの初期&総合的な最高傑作の一つ。  序盤20分間の「下地」を終えてからの盛り上がりよう、ストーリーの巧さは惹き込まれる。 列車からの銃撃戦、山賊との攻防、味方同士で殺し合う人間不信と疑心暗鬼にかられる人間模様。  ハンフリー・ボガートが欲望に囚われていく男を演じた点が面白い。「カサブランカ」なんてキザッたらしく臭いメロドラマよりも遥かに惹かれる。 ボガートはワイルドな方がカッコイイし余計に魅力的だ。  ジョン・ヒューストンの実父でもある名優ウォルター・ヒューストンの演技も見所。裏主人公とも言える爺さんだ。   物語はメキシコ革命直後のメキシコ。 地方では山賊がはびこり、その山賊を一掃しようと武装した連邦警察が日夜活動していた。 そんな中で「山師」を生業とする主人公3人。 貧乏続きで金を恵んでもらって日々を暮らしいたダブズ、ダブズの貧乏仲間のカーティン、喰えない爺さんハワードは山奥に眠る「黄金」を求めて旅に出る。 一攫千金で楽をしたい願い、欲望が男たちの心を壊していく。 泥にまみれ、飯をくらい、邪に土を掘り続ける男たちの力強さ。 その落盤が崩れる瞬間、それが彼らの別れ道となる。 そのシーンでかかる「あざとい」BGMが、より一層彼らの行く末を皮肉っているのだ。 山賊に追われ明日も知れぬ身で、金を全て横取りしようと企む男、 純粋に仲間のために「黄金」を求め、裏切られながらも金よりも大切な事に気づく男、 金よりも大切な「絆」を手に入れた男、それぞれの顛末の凄まじさ。 そして風と共に消えていく野望の夢の跡・・・人間の心に迫った冒険西部劇。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 18:53:13)
9.  おくりびと 《ネタバレ》 
死者を送りだす「生きる」人々 緩やかな、何処までも緩やかな映画。 にも関わらず、これほど人の神経を逆なで、魂を揺さぶる“あぶない”映画もないだろう。私はそういうあえて危険な道を行くこういう映画が大好きなのです。  霧、道を走ってくる車、喪服を着た男のセリフ、雪原。 葬式、仏の顔を覆う布をとり、手を合わせ、顔をなでて表情を整え、固く結ばれた両手を指の一本一本ほぐし、再び布団をかぶせ、衣服を下から抜き去り仏に被せる。  漆黒の喪服ですら、死者を優しく送るように何処か明るみを帯びている。撮影は「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」や「女優霊」でも知られる浜田毅。 滝田洋二とは「病院へ行こう」や「壬生義士伝」でも組んだコンビだ。  布の下に手をやり、体を清める。そして雰囲気をブチこわす本木の一言の破壊力。 師匠も“勲章”を確認。  音楽で食っていた男が、死者のためにレクイエムを奏でる存在になる。妻のために嫌々やっていた“作業”が、誇れる“仕事”になる瞬間。  葬式のPVで死んだフリ入門。  死への接近、冷え切った肉体への接触、対面した人間にしか解らない匂い、それを周りの人間の噂話で理解し、銭湯で生きている実感を、嫁に抱き着き服をまさぐる事で生きる喜びを味わう。温もりと呼吸。死んだら嘔吐も抱き合う事もできない。 社長もまた派手な咀嚼音で生きる瞬間を噛み締めている(と思いたい。つうかちょっとは自重しろよ社長)。  父を恨んでさえいた男が、同業者の“無自覚さ”によって怒る。いなくなって初めて解る存在の大きさ、拳に握られていた物の大きさ、流れる涙。 妻もまた、最後まで「生きた人間」として死者を送り続ける夫の仕事を見届ける。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-15 23:19:56)
10.  男はつらいよ 《ネタバレ》 
俺は「馬鹿まるだし」や「「馬鹿が戦車(タンク)でやって来る」」といった初期の山田洋次の方が好きだが、やっぱ「男はつらいよ」は外せないね。  一人気ままにテキ屋商売で旅を続けるこの男。祭りに飛び込むわ電車に飛び乗るわ船上で張り合うわ何かあるとすぐとっ掴み合いの喧嘩になるわ破天荒で傍若無人、そんな男が「続・男はつらいよ」以降どんどんまるくなっていく。 でも、その自分を偽らない正直さ。それは妹さくらを、家族を思うが故の暴走。もう恥ずかしくなるくらい。だがそれがいい。 それをなだめるかのような存在である志村喬の演技も良い。  「無法松の一生」の「松五郎(阪東妻三郎と三船敏郎)」と「男はつらいよ」の「寅さん(渥美清)」。 これほどまでに日本男児の血を騒がした江戸っ子はいない。 前者は戦前と戦後の日本映画黄金期、後者は日本映画の低迷のはじまりから斜陽の時代も支えた偉大なる江戸っ子。 戦前の小津安二郎の江戸っ子気質を、山田洋次がコメディのジャンルで受け継いでくれた。  勝新太郎の「座頭市」がドラマから始まったように、この「寅さん」もドラマの延長として始まった。 この映画はまさに「映画館で楽しむドラマ」。 ドラマの結末に視聴者からブーイング。 あまりの抗議にキレた山田洋次が「だったら蘇らせて映画で仕切り直したるわ!」とそれが気が付けば全48作品のロングラン作品に。 視聴者の願掛けで蘇ったキャラの元祖の一つである寅さん。 それだけ寅さんの下町人情が愛されていたという事でもあるのだろう。  行く先々で問題を起こしては美人に一目惚れでてんやわんや、結局結ばれずに旅の続きにすたこらさっさ。人々の心は掴んでも恋はいつでも破れて去っていく。この切なさ。  そんな馬鹿野郎な兄貴を親身になって叱ったり励ましたりと寅次郎を見守る真のマドンナ・さくら。 ドラマでは長山藍子、 映画は倍賞千恵子が渥美清と仲良く喧嘩。 脇を堅めるレギュラーやゲスト俳優も良い味を出す。  松竹映画特有のうっとおしいくらいにキッチリとした日本、その中で馬鹿馬鹿しくも儚い日本人の情緒を描いた映画の一つ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-15 21:44:31)
11.  踊る大捜査線 THE MOVIE 《ネタバレ》 
最初で最後の「青島殺し」。 ドラマの劇場版なんて所詮ドラマの延長・・・だが本作は少し違う。 何故なら本気で「青島殺ろうぜ」という気概に溢れていたからだ。 「太陽に吠えろ」のジーパン殺し並みの勢いで。  ドラマは織田裕二と柳葉敏郎のピリピリした空気が魅力だった。 そこに警察の鬱憤やら汚職やら何やらをユーモアたっぷりに添える。 「逮捕しちゃうぞ」や「パトレイバー」のゆるい空気とシリアスな空気の両立。  ストーリーはいつも通り、 湾岸署に本部ー、 所轄はダメー、 青島どこ行くのー、 キャー窃盗ー! 一見すれば予定調和・・・だが、本作はそれほど生易しいものではない。  自分の死の運命が迫る青島。 犯人を見つけ、深手を負いながらもホシを逮捕する青島。  青島は、逝った。 この期を逃したらもう二度と殉職は出来なかっただろう。 いやあの瞬間だけでも逝っとけ。 だってあの血の量だぜ? 横でグーグーじゃねえよ馬鹿野郎・・・よくぞ生き残った青島。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-11 08:36:25)
12.  折鶴お千 《ネタバレ》 
溝口健二はこの作品の前に「瀧の白糸」という傑作を既に完成させていたが、本作はそれの焼き直し。 ただこれほど「死んだほうがマシじゃないか」と思えるラストはなかった。生き地獄とも言える。 まずファースト・シーン。 機関車がトラブルを起こして駅に立ち往生。 その駅から神社を見つめる一人の男。 一方カメラは横にスライドし、もう一人女性を映す。 その女性もじーっと同じ神社を眺めている。 実はこの二人は昔あの神社で出会った腐れ縁だった。 そこから主人公の目を通して過去が語られていく。 山田五十鈴が凄い若いし綺麗だ。 男は田舎から出て偉くなろうと頑張るが中々芽が出ず落ち込んでいた。 そこに走り込んできた一人の女。 これがこの二人の出会いだ。 女に拾われた男だが、そこの雇い主にこっぴどい扱いを受ける。 男は黙って耐え凌ぐが、やはり飢えには勝てない。 エスカレートする嫌がらせ、それを見て女は我慢に限界が来て雇い主にけしかける。 その時の山田五十鈴のカッコ良さと色っぽさ。 口に刃物を添えるところは色っぽいね。 まるで勧善懲悪ものの一場面を見るかのような胸のすくシーンだった。 ただそこは溝口。 簡単に女を幸せにする気はサラサラない、ある種性根が腐ってんじゃないかという展開にかならずする男だ。 いや、真面目だからこそあえて女性を与えるのが溝口。 小津とは違うパターンの天才。 女性を徹底的に描こうとする男の厳しさがそこにある。 ヒロインを追い詰める男どもは、ある意味溝口の分身なのかもな。 その山田五十鈴が良いねえ。 折り鶴を折って「いつか自分も自由に羽ばたきたい」と思いを込める。 ただ運命は彼女を追い詰める。 そんな時に愛した男に向って「魂をあげます」とその折り鶴をひと吹きやって思いを届けようとする儚さ。 いい女だなぁ・・・。 それがあんな事になるなんて・・・ひどい運命もあったもんじゃない。 我を失うほど狂い、幻を切り刻むお千。 まるで亡霊に刃を向け空を斬る様子は、伝説と化した傑作「狂恋の女師匠」や後の「雨月物語」に通じるものがある。 まあ、こういう幽霊描写よりも女の情念の方が遥かに怖いけどな。 そう正に「雨月」の京マチ子(亡霊な上に執念深いとか勘弁)! 溝口は本当に女に厳しい。男もほったらかしである意味一番厳しいかも。 溝口あんさんは鬼や(そんな事は原作者に言え)。 泉鏡花あああっ
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 05:48:18)
13.  おおかみこどもの雨と雪 《ネタバレ》 
未熟な母親の成長と挫折。 冒頭から「美女と野獣」が一線を超えたようなストーリー展開。  セリフを省いて絵だけで物事を語る演出は素晴らしかった。  愛した者と死に別れ、女で一人で二人の子を育てる彼女の力強さ。 田舎の屋敷を一人でキレイにしてしまうなど、全国の主婦は見習いたい体力だ。 母親の無欲なひたむきさは村の人々も突き動かす。 文太のオジキ!ついて行きます!  ただ、脚本家の強引なフルスイングで引っ張るような内容である。 若さに溢れる「花」と「おおかみおとこ」の恋愛は、その後に待ち受ける苦労の道を考えない軽薄さで溢れていた。 「おとぎ話」でリアルな子育てをするという無茶振り、子育てにしても多少描写不足で危うい。 「聖母マリア」のような言葉で片そうとする母親像は危険でもある。 最愛の夫の突然の死が、彼女に早急な覚悟を決断させたのかも知れない。 そんな未熟さが、「雨」に父の跡を追わせてしまった。 むしろ「雨」のような野生の世界でしか生きられない者はそれで良かったのかもしれない。 ただ「雪」は人間として生きていく覚悟を決めた。 「雨」が「おおかみおとこ」と同じ道を辿るのかは解らない。 けれども、そこには「花」から貰うことが出来た愛情が宿っていると信じて。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-09 21:55:59)
14.  オーソン・ウェルズのフェイク 《ネタバレ》 
騙す事の楽しさ、騙される事の楽しさ。それが詰まった「フェイク(贋作)」。  細野不二彦の作品で「ギャラリーフェイク」という漫画があるが、90年代に描かれた漫画に先駆けて70年代にウェルズは「贋作」の醍醐味を映画で語っていたのだ。  ファーストシーンで手品を披露するウェルズ。この場面こそこの映画の全て。自ら「ペテン師」と称し、「嘘」を映像の中で「本物」にしていく作家としての、舞台俳優としての演目。  ファーストシーンが終わって1時間は、稀代の贋作家と稀代の偽作家のエピソードをインタビュー形式で淡々と語る。 やや退屈な1時間だが、ラジオ時代の「宇宙戦争」に関する面白いエピソードやピカソの情事は興味深い。 その後に訪れる17分間の「オヤ」のエピソード。今までの退屈さをなかった事にしてもいいくらい画面に吸い込まれる。どこまでが嘘でどこまでが真実か。 最後まで見ないと絶対に損をする映画です。  この映画のトリックはオープニングから既に始まっていた。 実在の美人モデル、贋作家、偽作家など様々な「フェイク」がインタビュー形式で出てくる。 そこから既に「騙し」が始まっていた。  歳を取っても若い頃の情熱は失わない。 最後まで少年の遊び心で映画を作り続けたウェルズのこだわりが感じられる。  それはラジオ時代の「宇宙戦争」の頃から変わっちゃいない。 白熱した実況で視聴者に「本当に宇宙人が攻めて来たのか!?」と騙くらかしたエピソード。後の猛抗議も、ウェルズにとっては「してやったり」。  映画デビュー作「市民ケーン」もそう。 実在の新聞王ウィリアム・ハーストの「偽物」チャールズ・フォーガスタ・ケーンを産みだした。 その偽物の新聞王を映画の中で「本物」にしていく面白さ。ケーンの壮絶な生き様が「本物」にした。確かに映画の中に生きていたのだから。  「黒い罠」はタイトル通り、観客を騙す「罠」。これも最後まで見ろないとアカン映画だね。  「オセロ」や「マクベス」は心理描写の騙し合い。自分自身すら「騙して」追い込んでいく人間の限界を魅せつける。  ともかく、この作品はウェルズのお遊び精神の結晶の一つ。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-07 20:25:05)(良:1票)
15.  黄金時代 《ネタバレ》 
「アンダルシアの犬」に続く前衛映画。 後のメキシコ時代におけるブニュエルは本当に凄いと思うが、やはり初期のシュルレアリスムを素直に賞賛する気になれない。相変わらずブニュエルの意味不明ぶりは凄まじい。 ダリですら最初だけ関わって逃げ出したほどだ。 ストーリーは一応メッセージがあるようだが、やはりメチャクチャである。 ネズミとサソリの戦いは何を物語るのか。 サソリの勇猛さか、飲み込まれる無謀さか。 骸と化した宗教は何を問いかけるのか。 現代宗教の空洞化?宗教に中身なんか無いって? 疲れ果てた兵士やならず者たちに宗教は関係なかっただろう。 骸と化した宗教に祈りを捧げる人間。 その横でS●Xをしようとする男女。 宗教ナメ腐ってますよ。そりゃこれだけバカ右翼にケンカ売ったら爆弾投げられますよ。 ブニュエルのその勇気に100点。 セクロスを邪魔されて怒る男。 「宗教なんてどうでもええんじゃバーカ」 いや場所は選べよクソ野郎。 犬は蹴るわ、虫は踏み潰すは、盲目の男は蹴るは、婦人を平手打ちにするわ、情事を邪魔する男を射殺するわ・・・ブニュエルの社会批判はご立派。 ただ劇中のこのDQN野郎だけはブチ殺してえ。 メイドが火に包まれても意に返さない上流社会、人間の薄情さ。 さっきまで子供と戯れていた男が自分の大事な物を壊されて豹変、発砲。 人間の内に潜む凶暴さを描くブニュエル。 家を爆破していく様子も人間の破壊に対する欲求を表すのだろうか。 女との情事に吐血するほどの喜びを表すDQN。 ただ女が求めていたのは男の愛では無かった。 マグマのように強すぎる性への執着は糞尿のように汚い。 男はそんな女に失望し、当り散らす。 いや女に当たれよ馬鹿なのかおまえは・・・でもフラれてざまあ。死ぬより辛い仕打ちだろうよ、死ぬほど愛した女に裏切られる気分は。 他者に対する思いやりが無い男が本物の愛を勝ち得る訳が無い。そこがこの映画の言いたいことでもあると俺は思う。 キリストだって女を手にかけちゃうし。 ヒトラーをDISったチャップリンに並ぶ男よ(難解すぎて伝わる人が少ないけど) この映画の「黄金時代」とは歴史の上での定義では無いだろう。 人間それぞれに訪れる絶頂の日々。この男にとっての「黄金時代」は女との愛を信じていた瞬間だ。それが無いと解った時、彼の「黄金時代」は終わりを迎えた・・・てな感じの映画だと俺は思う事にする。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-01 20:30:54)
16.  オーソン・ウェルズのフォルスタッフ 《ネタバレ》 
オーソン・ウェルズは傑作が多いが、俺の一番好きな作品はコレだ。 大酒飲みでほら吹きな巨漢の男フォルスタッフ。大嘘つきで狡賢い存在なのだが、何処か憎めないというか、愛嬌たっぷりで可愛気さえ感じるくらい。 冬の森から小屋へと入っていく中年の男と、ずんぐりむっくりな巨漢の老人。二人が何やら怪しい算段をたてている場面から物語は始まる。 愉快な会話のやり取りの多さ、物語がサクサク進む小気味良さ。舞台劇をそのまま映画のスケールでダイナミックに演じてしまう面白さ!いや、フォルスタッフにとって人生そのものが一世一代の舞台なのだろう。 特に宿における膨大なセリフのやり取りは面白すぎる。酒蔵でのやり取りも、ウェルズに絡んでくる若い二人の男とのやり取りも、珍妙な面接風景も、ウェルズの詭弁で何処に行ってもお祭り騒ぎ。フォルスタッフに絡むジャンヌ・モローも色気ムンムンです。 秋の林の中で馬を“手に入れる”シーンのやり取りもイチイチ面白い。あれだけ大口を叩いていた男が、その巨躯を必死に動かして逃げ惑うのである。 「マクベス」で引き締まった肉体と共に勇ましく戦っていたウェルズとは大違いだ。 それは戦場に勇みよく出陣した場面でも同様だ。中盤のおよそ10分に渡る騎馬同士の壮絶なぶつかり合い!泥に、血にまみれる戦場。 それを高みの見物、漁夫の利をあげようと茂みに潜む姑息というべきか、狡猾というべき姿。 彼について行く子供の従者すら騙して。 そんな男の人生も、もう一人の主人公というべき後のヘンリー5世となる皇太子・ハルが終止符を打つ。 最初はフォルスタッフと共に放蕩生活を送っていたハルだが、戦場での戦いが彼を誇り高い戦士に、王として身も心を変えていく。 戦いの後はまだ固い絆があって別れを惜しんだ二人だが、いざ王が死に次の王になるともう“嘘つき”と友情を結ぶワケにはいかなくなったのかも知れない。 ハルは、国の、それを支える人々のためにあえて友情を捨てる事を選んだのだろう。それはフォルスタッフのためでもあったのだろうが。 だがフォルスタッフにとってこの事ほどショックを受ける事は無かった。 底抜けに明るく始まった物語は、少し寂しい締めくくりを迎えてしまう。それでも、あのあっけないくらいの最期が逆にじんわりと心に染み込む傑作。
[DVD(字幕)] 10点(2014-11-30 08:45:15)(良:1票)
17.  俺たちに明日はない 《ネタバレ》 
ボニー&クライド物はフリッツ・ラングの「暗黒街の弾痕」の方が粋で好きなのだが、アーサー・ペンのこの作品も大好きだ。 街でバッタリ会ったボニーとクライドが次から次へと銀行を襲っては逃げ、そして滅んでいく様を描く。 実際に起きた連続強盗事件を元に描くが、前科のあるクライドはカタギでやっていくには辛い身の上であり、何よりも銃を片手に強盗に興じる日々に充実感を得ていた。 そんな時に出会ったボニー。 彼女は退屈な毎日から抜けるため、クライドの危険な日々に惹かれてしまう。 ボニーはホームシックになりながらもクライドを愛し、クライドもそんなボニーを元気づけながら硬い絆を結んでいく。 後半から登場する運転手のC・W・モス、クラウドの兄貴バック、兄貴のヒステリーな妻ブランチ。デコボコな3人が加わり益々騒がしくなる面々。 同時に滅びの足音も静かに聞こえて来る。 直接的な性描写をせずに、キスと事後の所作だけを描いた点が良い。 匂わせるだけで二人が互いを受け入れた事がよく解るのが凄い。 ボニー&クライド一味はワイルドバンチ強盗団の如き八面六臂の大暴れ。 何処に行ってもトラブル続きの毎日。 死を覚悟するような日も稀になってくる。 俺たちは何処で何を間違えたのか。 俺たちに明日はあるのか、ないのか。 ボニーの母親たちとの別れ。もう二度と会えないとも知らずに・・・。 ラストは強烈な光景だが、妙な静けさが画面を包んでいく。 因果応報な幕引きではあるが、世の中に縛られずに好き勝手に生き、好き勝手に死んでいった者たちの無言の哀しさが伝わって来る。 罪を犯してきた二人は、真っ赤なリンゴに祈りをささげる。 一つのリンゴを互いにかじり「あの世に行っても結ばれような」という願掛けか。 車に残ったボニー、外に降りてしまったクライド。 史実では二人っきりで車ごと、映画で離れた瞬間に二人の運命は決してしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-27 21:33:20)(良:2票)
18.  思ひ出 《ネタバレ》 
サイレント時代のエルンスト・ルビッチ最高傑作を1つ選ぶとするなら、俺はこの作品を選ぶだろう。 ドイツ時代に磨かれたエレガンスな雰囲気とエロティックなやり取り、そしてメロドラマの切なさ・・・。 この映画はルビッチらしい洗練された美しさを味わえる作品の一つだ。  主人公のハインリッヒ王子の成長を美しい“想い出”と共に語る悲しき恋の物語。 乳母に育てられた王子。 彼の理解者であるユットナーは、幼い王子の遊び相手でもあった。  成長した王子は同級生、そして想いを寄せる女性たちに出会う。 そのシーンが本当に素晴らしい場面ばかりでさあ。 例えば、握手を求められるシーンでどんどん弾き出されるユットナーの様子がコミカルに描かれるし、  女性が一生懸命話しているのにソッポを向く王子のやり取りも面白い。 「あたしの膝の上に乗って」とばかりにベッドに誘ったりする彼女の姿をシカトするシーンに笑う。 そこに睨みを利かす守衛とか色んな人間が絡んだりしてさ。 ドアを開けたらその守衛みたいなオッサンが居たりして思わずクスとなってしまった。  王子がパーティーに参加する場面でも、彼女が一気飲みするならこっちもイッキに・・・に飲めないのでチビリチビリと飲んでいく。   王子の幼少時代の場面も良いんですよ。 将軍に向って一斉に「乾杯!」するシーン、一斉に帽子を脱ぐシーン。 ドラムロールと人の脚が重なる演出、幼いハインリッヒ王子が大砲の音にビックリして電車の中に戻るシーンがカワイイ。 ユットナーと結ぶ絆も深い。  青春時代のコメディタッチが、その後に待ち受ける王子の運命、それに向き合う悲しき王子の姿をより際立たせる。 掛け替えの無い友人たちよりも、一国の王の跡取りとして友人たちへの想いを断ち切らねばならない哀しみ。  だが、王としての孤独を癒すのは、一瞬でも彼の心を満たしてくれた想い出なのです。 皆さんも若いうちに良い友達に会える事を祈ります。友人て良いもんですよ、本当。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:49:12)
19.  男の顔は履歴書 《ネタバレ》 
これぞ、役者がそこにいるだけで絵になる魂が躍るような映画だ。  加藤泰の、そして俳優としての伊丹十三の「偽大学生」「家族ゲーム」「草迷宮」に並ぶ最高傑作。  戦後の闇市における日本人と朝鮮人の対立を正面から描いた極太の作品。  左頬に刻まれた疵。安藤昇の存在感は黙っていても映える。 一方の伊丹も言葉という極太の“刃”を持って社会に切り込もうとしている。  静と動の鮮やかな対比、そして「何故みんなは黙っていられるだ。誰も動かんなら、俺がやってやらあっ」とタブーにズカズカ踏み込む勇気と危うさ。  それは映画を愛するが故に「誰も撮らんなら、俺が撮ってやらあ」と数々の傑作や問題作を残して謎の死を遂げた十三の未来を暗示するようでゾッとしてしまう。  劇中では戦場の辛い記憶や戦後の混乱、愛する女のための行動などが彼を死に急がせる。 クライマックスにおける怒涛の展開も彼の生き様を物語るようだ。  父親の伊丹万作も、その友人の山中貞雄も志半ばで早逝してしまった。 天は何故素晴らしい人間から命を奪っていくのだろう。 これが神の仕業とでもいうなら、神なんてクソ喰らえだ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-10-23 18:09:34)
20.  ALWAYS 三丁目の夕日 《ネタバレ》 
古沢良太の佐藤祐市と組んだ「キサラギ」は両手で中指凸立てるほどうんざりするような映画だったが、山崎貴と組んだこの映画は凄く良い映画だと思う。  古沢良太、俺が悪かった。「キサラギ」散々disってゴメンよ。   この映画は西岸良平の「三丁目の夕日」を原作とするとてもノスタルジックな作品だ。本当に映画を見たなあって気分になったよ。  CGで再現されたとは思えない、実写のような雰囲気を持った下町(続編でゴジラが出た時は「この監督は馬鹿なのか」と良い意味で思ったけど) それもその筈、三丁目の住宅はセットで、各地から「当時の匂いを残す」物が掻き集められた家だ。  子供の頃から「こち亀」とか「オトナ帝国の逆襲」といったいわゆる“古き良き”と色褪せない懐かしさの共存したような作品を見てから自分には、物珍しさをそう感じなかった。 でも、茶川と淳之介が時間をかけて家族の絆を深めていくシーンはベタだけど良いなと思った。  高度経済成長といっても人々はまだ戦争の傷をかかえて生きているし、その悲劇を繰り返さないために平和な時代を一生懸命に生きていた。  金は無くても、心は豊か。 確かに過去を美化しすぎているのかも知れないけど、この映画がCGという“幻想”を使うように、今を生きる人間が過去への“憧れ”をこの映画に投影しているのでは無いだろうか。  光ばかりで闇の部分は少ない。 だが、現に「戦争なんか二度とゴメンだ」というメッセージだけは本当だと思う。闇を語るのはそれだけでいい、もううんざりだ・・・そういう映画が一つくらいあっても良いんじゃないかな。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-07 21:35:22)(良:1票)
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