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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 823
性別 男性

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1.  ラブリーボーン 《ネタバレ》 
素晴らしい作品だと思うが、同時につまらない作品でもある。ジャッジするのはかなりやっかいな作品だ。ただ、ピーター以外には作れないような作品に仕上がっており、独創性は評価したいところ。初見では上手く感じ取れなかったが、何回か見ることがあれば、評価は変わると思われる。 「事件の真相」「殺された少女が幽霊になり、家族にメッセージを送って犯人を暴く」「残された家族が犯人に復讐をする」といった視点からみてしまうと、はっきり言ってつまらない作品としか思えないだろう。本作はそういった視点をメインには描こうとしていない。大人の事情からかサスペンスタッチが前面に出ているテイストとなっているが、ピーターはそういった面はもっとカットしたかったのではないかと思えるほどだ。スタンリー・トゥッチが必要以上に頑張り過ぎてしまったのも誤算だったか。おかげでバランス感が悪くなった点は否定しがたい。 本作は「殺された少女が天国に行くまでの過程」及び「残された家族・関係者が再生していく姿」を描いた作品であると思われる。そういった視点から見てみると、本作の評価はがらりと変わると思う。ピーターにとっては、犯人の存在なんて本当はどうでもよかったのではないかと思われる仕上りだ。 殺された少女の少女らしい想いや、家族の苦しみや悲しみが、ストレートではないものの、時間を掛けてゆっくりと丁寧に描かれている。しかし、本来描きたい部分を何故か真正面から十分なヒカリを当てずに描こうとしており、豪華な俳優を起用しているのも逆に計算外だったか。各キャラクターを活かしきれていないと感じてしまうのは仕方がない。 面白いと感じられる点は、関係者それぞれが“愛”を見出して、スージーの死を受け入れていくところだ。スージーのボーイフレンドや妹は新たなパートナーを見つけて愛を感じたことで、スージーの死を受け入れることができたのではないか。また、娘の死という事態に上手く向き合っていくことができなかった父母も時間の経過とともに悲しみを癒して、それぞれの壊れかけた“愛”を再認識することで娘の死と向き合うことができるというまとめ方はなかなか感動的なところだ。喪失感・無力感から救われていく“希望”のような光が見えたような感じがした。しかし、つまらなさを否定しにくく、アプローチが監督の思惑とはズレていったようなところがあるので、賞賛しにくい映画ではある。
[映画館(字幕)] 6点(2010-02-09 23:03:10)(良:1票)
2.  ラッシュライフ
原作は未読。伊坂作品のいかなる作品の1ページも読んだことはない。 原作未読のためか、終始疎外感を覚えてしまった。 学生が製作に関わっているようであり、自分の世界を構築することにこだわりすぎて、観客の目を意識するまでには至らなかったようだ。 しかし、それほど嫌いではないテイストにはなっている。 原作を読んでいないので何ともいえないが、調理するのは難しい題材だったのだろうか。 もう少し練り込めばもうちょっと良い作品に仕上がった気がする。 また、個別エピソード自体理解できないものがないが、あまりにも漠然かつふんわりとしすぎてしまったか。 全体を通して、何を伝えたいのか完全にボヤけてしまった。 4人の監督がそれぞれを受け持っているようなので、バランスも少々悪くなっている。 黒澤編のような分かりやすい作品にするのも何か違和感を覚えてしまう。 そのアンバランスさが本作の“味”のようなものにもなっているが、一般受けするのは難しいだろう。
[DVD(邦画)] 4点(2010-02-06 23:20:33)
3.  ラスベガスをぶっつぶせ 《ネタバレ》 
まさに起承転結通りの教科書映画であり、予想外には楽しめないが、予想通りに楽しめる。 友情あり、恋愛あり、親子関係あり、嫉妬あり、挫折あり、復讐ありのフルコースが描かれており、バランスも悪くはない。 ただ、“友情”以外は、どれもこれもやや中途半端に終わっており、“傑作”と手放しで誉める映画には仕上がっていない。  特に、本作のキーでもある「教授と主人公の関係」が弱すぎる点はもうちょっと補強した方がいいのではないかと思われる。 本作の描き方では、学生を利用するだけの強欲で冷酷な金にガメツイ教授としか映らない。それでは単純すぎるので、好ましくない。 師弟関係は磐石ではないものの、師弟の絆が相当に良好であることを示すエピソードをトレーニング中にもっと描いた方が、ラストのオチを考えるとより効果的になる。 二人の関係は良好だったが、感情に走らずマシーンのようになることを望む教授と、マシーンではなく、感情に左右される単なる人間であった主人公とのズレが彼らの関係にヒビを入れるということを上手く描いて欲しかったところだ。 教授をハメる作戦についても、しょせん教授も人の子であり、彼もまたマシーンではなく、ただの人間だったというような趣旨も加えてもよかったのではないか。 いくら大金を儲けても、チョコレートやシャンパンを盗んでしまうように、人間の本質は変わらないということを描く必要もある。  また、ブラックジャックがテーマでもあるので、ブラックジャックの勝負をもっと上手く描くことはできなかったか。 どんどんとコインが増えていくだけの演出は、はっきり言って二流の演出としかいいようがない。 カードカウンティングのシステムはよく分からないが、勝負すべきところと勝負すべきではないところを上手く描いて、彼らの神業的な凄さをより分かりやすく演出すべきだ。 そもそも本作の導入部分である「3つの扉の後にある新車とヤギ」のネタがピンと来ない描かれ方をしているのがもったいない。 カードカウンティングの説明を映画の中で事細かく描くことはできないので、こういったネタを一つだけでもしっかりと押さえておけば、その後のストーリーはなんとかなるはずだった。
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-16 01:27:33)
4.  ランボー/最後の戦場 《ネタバレ》 
“戦う”ことの意義を問うた作品に仕上がった。“戦う”ことに対して悩み続け、そして逃げ続けても決して“答え”は出ない。“戦う”ことに真正面から向かい合ってこそ、何かしらの“答え”が出るのではないか。故郷の地に戻ることができたのも、彼なりの“答え”が出たことの証だろう。 武装船を燃やすことによって“戦い”から逃げたいというランボーの心境を表すとともに、過去のシリーズをフラッシュバックさせることでランボーの傷が癒えていない事をアピールしている。そして、最後まで戦い続けた結果、人々に笑顔が戻ったことで、ランボーなりの“答え”が出たことを観客に伝えている。何も考えていない銃乱射のグロアクション映画ではなく、押さえるべき点をきちんと押さえているので好感が持てる仕上がりとなっている。 「ロッキー」シリーズもそうだが、「ランボー」シリーズも等身大のスタローンが反映されている。“戦う”ことから逃げてきたランボーは、「ロッキー」や「ランボー」の栄光から逃げてきたスタローンに似ている。演技派と認めてもらおうとイメージをいくら変えようとしても、結局は自分を偽ることにしかならない。 徹底的にハードなアクションにこだわった理由としては、「自分にはこれしか出来ない」という潔さを感じ取って欲しかったからではないか。この映画からは、“偽り”は感じられなかった。 スタローンという役者は実は凄い役者ではないかと感じた。 スタローンは決してジョニー・デップやトム・クルーズのようにはなれない。 しかし、ジョニー・デップらの名優が伝えることができないことをスタローンは我々に伝えてくれるのではないか。不器用(本来は監督・脚本・演技ができるので不器用ということはないが)で、才能がなくても、自分が出来ることを愚直なほどに真っ直ぐに貫けば、きっといつか輝けることができるはずだと教えてくれている気がする。誰かの真似をする必要もなく、自分自身を偽って背伸びをする必要はない。たとえ、誰もが認めてくれなくても、自分自身が最後には納得できるはずだと教えてくれている。これらのことが「ムダに死ぬか、何かのために生きるか」というセリフに凝縮されている。 スタローンの生き様には一目置きたい。本作はただのハードでグロいアクションばかりではなく、生き様、哲学、人生を語っている作品でもある。
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-03 23:44:55)(良:3票)
5.  ランボー3/怒りのアフガン 《ネタバレ》 
「Ⅰ」の良さはほぼ皆無となったシリーズ。 ただ、ソ連によるアフガン侵攻に対して、「大国であっても武力で小国を制覇できない。アメリカもベトナムで経験したことだ」といった趣旨のセリフがなかなかよい。 ソ連のアフガン侵攻をベトナム戦争になぞらえている点や、少年兵の扱いなど、意外と悪くないところも突いており、反戦の気持ちはゼロではない。 深みは全くないが、アクション映画としてはそれほど悪くはなく、バカバカしいと罵るほど酷い仕上がりの作品ではない。 医術の心得があるランボーが腹の傷を治すシーンや、ラストのヘリコプターVS戦車の一騎打ちなども見応えは十分ある。
[DVD(字幕)] 5点(2008-06-03 23:38:21)
6.  ランボー/怒りの脱出 《ネタバレ》 
007シリーズかと思うような作風となっており、Ⅰ~Ⅲの中では一番の駄作。 突然の蛇の登場、スカイダイビングの失敗など、どうでもいいアクシデント満載にうんざりとする。 作戦の指示に一切従わずに暴走するランボーのメチャクチャぶりやラブストーリーによって、共感を得ることを随分妨げているような気がする。 肝心のベトナム帰還兵の悲哀という要素もそれほど強く感じられなくなっている。 
[DVD(字幕)] 4点(2008-06-03 23:37:31)
7.  ランボー 《ネタバレ》 
ⅠからⅢをみると、Ⅰの良さは際立っている。 アクション映画としても楽しめるが、ベトナム帰還兵の悲哀も強く感じられる点が評価できるポイントだ。 戦場に駆り出された戦士にとっては、戦争の悪夢は消えることはない。 戦争自体は終わっているはずだが、戦士にとっての戦争はいつまでも終わることはないと感じさせる。 国家のために戦ったのに、国家から爪弾きにされるという矛盾・自分の国なのに居場所がない孤独が訴えられている。
[DVD(字幕)] 7点(2008-06-03 23:36:51)
8.  ライラの冒険/黄金の羅針盤 《ネタバレ》 
原作未読、前知識は「ダイモン」だけという状態で鑑賞したが、だいたいのストーリーは理解できるようにはなっている。 しかし、三部作の第一作ということもあり、謎だらけで終わっている。 「ダスト」を含めてストーリーは謎だらけだが、面白みはまったくなく、「この続きを早く観たい」という内容にはなっていない。 単にストーリーを流すことだけにチカラを入れており、ドラマや盛り上がりに欠ける内容となっている。この監督(脚本も兼)には、ファンタジーを撮る才能はあまりなかったのではないか。 ロールプレイングゲームや「七人の侍」で面白いのは、仲間がパーティーにどんどん加わるところだ。本作も「気球使い」「よろいグマ」などが加わるが、そのリクルートにまったく面白みがない。 「魔女」が仲間になるのは恐らく今後明かされると思うが、「気球使い」を仲間にするためのエピソードがないと「なんでこの人たち一緒に必死で戦っているの?」と思ってしまうだろう。 「よろいグマ」エピソードもかなり馬鹿馬鹿しいものとなっており、彼らの絆の深さを感じるものにはなっていないのは致命的だ。 ライラとよろいグマの絆は本作のかなり重要なものとなるはずなのに、浅く終わっているのが本作の大きな問題だ。「よろいグマの王様」エピソード以外には、ライラの勇敢さ、強さ、弱さといった魅力を感じられない。 また、ファンタジー作品で重要なのは、敵がいかに強いかという点にある。 ラスボスが強ければ強いほど盛り上がるものだ。ラストの合戦を見て、興奮したという人はあまりいないのではないか。その理由は、敵が大したことないからだ。 クマが暴れ、魔女が弓矢を放ち、気球から銃を乱射する、そんな一方的なバトルを見ていてもまるで意味はない。 肝心なのはいかに不利な状況から逆転するかという点である。味方が追い詰められれば、それだけ面白みが高まる。 「よろい熊」の不利な状況もあまり大きな不利にはなっておらず地味すぎる。 本作の盛り上がりどころというのは、最後の合戦ではなく、よろいグマ同士のバトルと考えることも出来るが、あのバトルもクマ同士が殴り合っているだけで面白くはないだろう。 大金が投じられているため、リスクを犯さず、冒険していない映画となっている。 本作を見ても、ドキドキしたり、興奮したりはできないだろう。
[映画館(字幕)] 4点(2008-02-24 01:49:57)(良:1票)
9.  ラスト、コーション 《ネタバレ》 
「ブロークバック」と骨格は似ているのかもしれない。「禁断の愛」「許されざる愛」「叶わぬ愛」を今回も描いている。日本人にとってはゲイの二人より、女スパイと狙われる男のシチュエーションの方がより共感できるような気がする。 男(イー)と女(ワン)の見事な「愛・欲情」が描かれている。二人が「欲情」に嵌まり込んで、溺れていく様が実に見事である。 男の視線から語らせてもらうが、ラストでは、イーの「純粋な愛」にワンが屈服してしまったのではないかと思う。宝石は、肉体的な愛ではない「純粋な愛」の象徴だろう。 何もかも信じられないと呟いたイーが、唯一信じることができた女性へ贈った「愛の象徴」に、ワンが最後に負けてしまったのではないか。 唯一信じることができた女が、スパイだったというのは皮肉的であり、悲劇だ。 ワンがイーの「純粋な愛」の魅力に徐々に惹かれていく様も上手く描かれている。「純粋な愛」の象徴である宝石を目にしたときに、「スパイ」としての自分よりも、「女」としての自分でいたかったのかもしれない。好きだったスパイ仲間の男性にキスをされた後に「もう遅い・・・」と呟くワンの姿が印象的だ。 自分自身すでにイーの愛情・欲情に溺れていることを自覚していることがよく分かるシーンだ。スパイの仲間の男が、もしワンに「愛」を与えていれば、間違いなく滞りなく任務を遂行しただろう。仲間を失い、自分自身が死ぬとしても、「純粋な愛」を優先させた女の生き様が見事だ。彼女は愛に生き、愛に死んだのかもしれない。 ワンが自殺をためらった理由としては、イーにけじめをつけさせるためだったのかもしれない。ワンは最後の最後の瞬間までスパイとして活動していた。やはり、イーを裏切っていたことには変わりはない。ワンが自分の信念に従って、仕事をしていたのだから、イーにも自分の信念に従い、自分の仕事を全うさせようとしたのではないか。「裏切り」に対する代償をワンの手によって、払わせたかったのかもしれない。他のスパイとは異なり、拷問をせず、綺麗な形で終わらせたのが、ワンなりの「愛」の証だったようだ。 アン・リー監督はさすがに凄いと感じさせた。この微妙な空気感を演出することができる監督はなかなかいない。激しいベッドシーンも見事である。上手く表現はできないが、男と女の聞こえない会話が聞こえてくるようだ。二人の感情がぶつかり合っている。
[映画館(字幕)] 8点(2008-02-11 01:53:08)
10.   《ネタバレ》 
鬼も逃げ出すという「羅生門」で“人間の愚かさ”を描いたように、本作もシェイクスピアの悲劇「リア王」をベースに神や仏も泣き出すという“人間の愚かさ”を描き切っている。 しかし、ここには「羅生門」のような“希望”はない。あるのは残酷なまでの“醜さ”だけだ。 舞台は架空の戦国時代であるが、現代にも通じる“乱”れた世界に対する“嘆き”が込められた作品であり、製作者の黒澤のメッセージや深い想いが感じられる作品だ。 また、「影武者」でも描かれていたが“破滅”に対する美意識も高い。 長く暗く陰惨な映画ゆえに一般的に好まれない映画ではあるが、個人的には、評価の高い「羅生門」よりも、評価がそれほど芳しくない本作の方を好む。 仏の絵が地面に置き去りにされて、悲しげにこちらを見つめており、盲目の青年が崖の上に取り残されているというラストのカットも秀逸だ。 ここで終われば完璧だと思った瞬間に、きちんと幕を閉じたのはさすがだ。 「果たして仏は我々を見守っているのだろうか」「この“乱”れた世で生きるということは、盲目状態で崖の上を歩くようなものなのではないか」と黒澤は言いたかったのかもしれない。  素晴らしい作品であると感じるが、何点かは不満な点もある。 ①「三の城襲撃について」 襲撃に至るまでの展開がやや早すぎるように思われる。 次郎が秀虎を体よく追い返すまでは理解できたが、肝心の襲撃に至るまでをもう少し分かりやすく構築した方がよかった気がする。 あれでは、単なる「謀反」のようにしか感じられなかった。 ただ、演出は素晴らしい。 呆然とする秀虎の背後をびゅんびゅんと火矢が飛び交うような現実離れしたリアリティのない演出ではあるが、あそこまで思い切った演出をするのは難しいものだ。  ②「ピーター演じる狂阿彌について」 彼なりに健闘していたように思えるが、本作の裏の主役でもある大切な存在こそが「狂阿彌」である。本作の成否が彼に掛かっているといっても過言ではない。 この世の“表裏”を見聞した彼の言動こそが、本作のキーとなるはずだ。 道化である彼が一見狂っているようにみえるが、“乱”れた世で一番まともだったのが、彼だったというオチに持っていきたかったところだ。 少々感情を表に出しすぎているところがある。ストレートではない悲哀を感じさせるキャラクターに仕上げることができれば、より傑作に近づいた気がする。
[DVD(字幕)] 7点(2008-01-05 17:15:21)(良:2票)
11.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 
88分という短い時間に、見事に“人間”が描き込まれている。 本作の事件の顛末の“真実”自体には驚くべきものはないのかもしれない。 描きたいテーマは、人間はある“真実”を歪曲し、都合のいい解釈を行い、自己を美化し正当化し、または自分に言い訳をするものだということだ。 “真実”はたった一つしかないのかもしれないが、関わった人間の数だけその“真実”というものは存在するのかもしれない。 この現象こそ、古今東西を問わないひとつの“真実”だ。 我々が知る歴史や事件というものも、恐らく一方向から見た歪曲化された“真実”も含まれているのかもしれないと感じさせる映画だ。  また、鬼でさえも逃げ出す人間の恐ろしさ、自分を守ることしかできない人間の愚かさ・弱さを描き切っているが、そんな汚れた弱い人間に対して、ひとつの“希望”をラストの赤ん坊に託したのだろう。 自分だけを守る弱さだけではなく、他人をも守る強さをも人間は抱えているということを黒澤はメッセージとして残したかったのではないか。  ストーリーや哲学性だけではなく、森林での撮影技術が素晴らしすぎる作品でもある。 この点に対しても注目してもらいたい。  ひとつ残念なことは、本作には字幕機能が付いていなかったことだ。 テーマは劣化することはないが、音質の劣化だけは防ぐことができない。
[DVD(邦画)] 7点(2008-01-05 16:57:47)
12.  ラジオ・デイズ 《ネタバレ》 
古きよき時代の古きよき思い出が、「ラジオ」にまつわるエピソードと「美しい音楽」を通して語られていく。 時代とともに忘れ去れてしまう過ぎ去りし日の美しい思い出というのは、「具体的」でありながらも、意外とぼんやりとした「抽象的」な要素も含まれていると思う。このような形があるようで、ないような難しいテーマを「映像化」するということはなかなか難しいと思うが、ウディアレンは核となるストーリーを置かずに、「家族の愛」を中心にエピソードを積み重ねることで描いた。 このたわいもないエピソードかもしれないが、誰しも必ず一つ二つ思い当たるフシがあるのではないか。「俺にもそんなことをしたり、そんなことを考えたことがあったなあ」と観客に感じさせることにより、観た人により共感しやすくさせることを狙ったのかと思われる。 さらに、アレン監督の繊細さが、よりノスタルジックに、より感傷的にさせている。まさにウディアレンだからこそ創り上げることができた良作と思う(フェリーニ監督作品は未見)。 そして、ラストもかなり良い。「年が明ける」ことを描くことにより、「古きよき時代」も過ぎ去ったように感じさせている。「古きよき時代」が過ぎ去った「もの悲しさ」を描くとともに、「新しい時代」の幕開けを祝う陽気さも同時に描いている。確かに「古きよき時代」は去っていったのかもしれないが、これからの「新しい時代」も「古きよき時代」と同じように、よい時代にしていこうという希望的な明るさも感じさせているような気がした。
[DVD(字幕)] 7点(2006-08-05 00:16:14)
13.  ランド・オブ・ザ・デッド
ゾンビ映画には深い思い入れはなく、この監督さんのオリジナルも観ていないけど、それでも本家はその辺の類似品とはレベルが全然違うなと感じられた。 映像からゾンビに対する深い思いと愛情が伝わる良作。
[DVD(字幕)] 7点(2006-06-14 00:54:03)
14.  ライフ・アクアティック 《ネタバレ》 
天才マックスの時からこの監督の好きな人だけには薦められる作品で、はっきり言って一般受けはしないだろうと思われる。 何の面白くもない冒険ゴッコが繰り広げられるだけで、ズィスーの映画造りも上手くストーリーに活かされていない。 とにかく何もかも中途半端で何がしたいのか全く分からない。 海賊との戦いはバカ系なんだが、それで終始攻めるつもりでもなければ、また脱力系で攻めているわけでもない。 息子ネッドやジャグワーシャークの関係で感動させようとしているのかもしれないけど、これらではこれっぽっちも感動しない。 逆に観ている者にとっては「なんでそんなことするかなあ」と対応が困ってしまう。 思いきって、何もかもバカ系で攻めれば、結構面白くもなったんじゃないか。劇場ではかすかに笑い声がもれていたので勿体無い。自分も学生に単位を渡さないところで学生の反応には笑ったから。 この監督にとっては、ストーリーはあってないようなものが常だから、いまさら文句をつけるわけではないが、相変わらずどうでもいいダラダラとしたようなストーリーだ。 ストーリーで勝負しないのは分かっているので、この監督が勝負しなければならないのはキャラクターだ。 しかし肝心のキャラクター設定はイマイチだ。 どのキャラクターも「自分」というものを掴めずに演じているような気がする。どのキャラクターもしっかりとした「顔」が見えてこない。 顔や心が見えるのはネッドくらいではないだろうか。 また、海賊との戦いやイヌの扱いなどは、かなり度を越していると思われる。 船を半分に切ったようなセットは絶妙なのに、そのセットも上手く活かされていないのも残念だ。
[映画館(字幕)] 3点(2005-05-08 22:40:10)
15.  ラスト・オブ・モヒカン
かなり説明不足というか不必要なセリフを拝した映画に仕上がっているという印象。 だから一度見ただけではちょっとピンとは来なかったが、二度見ると監督のこだわりや良さや、やはり熱い映画だなと感じる。 言葉やセリフはなくてもあの三人組の個性は感じられるし、視線だけで何を考え、何を感じているのかが理解できる。 オヤジは渋すぎてカッコイイし、ウンカスは優しさに溢れていた。 ルイスは他者のことを一番に考える正に男の中の男という感じ、最後の見所も補助に徹し、オヤジにいい所を持っていかれて、自分がいるにも関わらずオヤジがラストオブモヒカンになってしまったと嘆いたのはちょっと辛いけど。 初見のときはなんでこうもラヴストーリーを前面に押し出しちゃったんだろうと感じていたが、ラヴストーリーを押し出すことで「ブレイヴハート」や「グラディエーター」のような映画とは違うこの映画の良さみたいなものがある。 寸前の所でコーラを助けるルイスには熱い気持ちになるし、素直にカッコイイと感じられた。 ただやはりインディアンの悲哀や開拓の虚しさみたいなものが感じ取りたかった。 確かにマグワは欲に駆られて白人の真似をしていき、徐々に白人の文明に毒されていく姿を見ると、インディアンの未来に暗い影が覆い、進むべき道を誤るという族長の話は分かるけど、ちょっとラストのオヤジのセリフには唐突なモノは感じる。 「インディアンは滅びるだろうが、彼ら白人も我々と同じ消え去る運命を辿るだろう。でも我々は確かに存在した」と言われても、ちょっとなあという感じはする。 ダンカンも最後男を見せてこれは良かったが、アリス・ウンカスに滝のシーン以外に1エピソードがあれば嬉しい。 音楽は映画のシーンへの相乗的な効果があり、間違いなく良かった。
8点(2004-10-02 18:27:55)(良:1票)
16.  LOVERS 《ネタバレ》 
「hero」好きだから結構期待してたけど、多少だが期待ハズレだった気もする。 恋愛をテーマにしているから「hero」ほどの衝撃やスケールの大きさはやはり無理かもしれない、恋愛モノでしかも一人の女性に対して二人の男が争うという展開から、この映画は男性よりも女性受けする映画かもしれない。 恋愛モノは別に嫌いではないけど、イーモウの描くラブストーリーはかなり青臭くて、しかも気持ちの悪くなるラブシーンには抵抗がある。  はっきり言って、オープニングの「踊り」のシーンとラストの決闘シーン以外に気に入ったシーンはなかったけど、ラストシーンには男の情念が溢れていた。 好きな人の気持ちを奪われた男と好きな人の命を奪われそうになった男のまさに死闘と言っても過言ではない戦いに二人の小妹に対するそれぞれの想いが伝わるし、何よりもボロボロになった刀と肉体が物語っていた。 ラウの最期の賭けにも、あきらめきれない男の気持ちが良く伝わってくる。自分の命を賭けてもその男が本当に好きなのかどうかという無言の問いかけと小妹が出したその答え。 あの答えを出されてはもう何も争う理由なんてない。惨めで肉体的にも精神的にもずたぼろになって歩いていくラウの姿にはいい意味で男を感じる。  金城は違和感は感じたが、そこそこには頑張っていたとは思う。 冒頭のちょっと嫌みのある余裕のある男から、徐々に本気になっていく真剣な表情への変化、結婚とか言われた時の照れくさそうな表情や、小妹と交わした笑顔とかいい表情もあったけど出来れば別の役者が良かったかな。 アクションは「hero」にはその必要性や色々な想い、意味が隠れていたが、今回は逃げ回るだけのアクションなのでちょっと飽きる上にそれほど目を奪われるほどのものでもなかった。 ストーリーとしてもちょっと弱いとは思う。小妹が風のような自由できままな生き方に憧れるという流れならば自分らしく生きれない束縛された人生を金城に語って欲しかった。 お互いがお互いをかばい合い、惹かれていき、必要としていくことを描いていかなければ感情移入は出来にくい。
7点(2004-08-29 23:32:10)(良:2票)
17.  ラスト サムライ
勝元がなんのために戦い、なんのために死んだかを考えるとこの映画の良さが分かる気がします。 サムライの生き様とは全ては君主のために生き、君主のために死ぬ。それこそが名誉であり、戦場で死ぬことは誇りである。まさに勝元こそラストサムライだった。 サムライ的精神はパーフェクトに描かれてはいるけど、あまりに美しく描きすぎてて、死ぬことが誇りとはいえ、ラストあたりの悲壮感が全く感じられないのはどうなのかなあ。 美しく描くのなら、勝元の死に際に詩を完成させて欲しかった。 やや硬い話にいくつかの笑いを入れて中和させていたのも良かった気がする。タップするトムとスローで殺陣を再現させるトムには笑ったなあ。
8点(2004-06-25 22:31:54)
18.  ラブ・アクチュアリー
様々な「愛」が溢れた心温まる素晴らしい映画。普通の恋愛だけでなく、言語を越えた愛やあり得ないシチュエーションの愛、友情や、兄弟愛、親子愛など様々な形の愛が描かれているのが特筆すべき点だろう。 どの愛にも美しかったり、切なかったり、応援したくなるようなものがあったりと、この短時間でよくもここまで良い内容にまとめ上げたなという気がする。この映画のどれかに共感できない人はほとんどいないのではないか。 その中でも、個人的には少年の片思いのストーリーと親友の彼女を見守り続ける男のストーリーには泣けた。 好きな女の子のために必死になれる少年の姿には心打たれたし、それに報いてくれる少女の姿も良かった。 また、親友の彼女のエピソードでは、好きな女性だからこそ素っ気無い態度を取り続けて、それがばれた時にでも、どうすればよいのか分からずにとりあえずカッコつける態度がどの国でも同じなんだなと思う。あの「愛」の伝え方もクールだな。悩みに悩んで相手を困らせないように相手のことを一番に考えた方法だろう。「enough」という言葉に重みと後悔のない潔さを感じる。  本当は10点を付けようか悩んだけど自分の心のどこかでそれをストップさせた。なぜなのか考えてみると、この映画は「なぜ二人は恋に落ちたのか」「なぜ相手を好きになったのか」を描いていないからではないか。ほとんどのエピソードでは既に相手のことが好きであり、「どうやって愛を伝えたか」「どうやって恋(友情)を成就(確認)させたか」「いかにして愛を成就させなかったか」という恋の起承転結のうちの「結」に特化して描かれていた気がする。だからこそ、これほど多くのストーリーを詰めこむことができたのだが、それが小さなマイナス材料にもなっている気がする。特に、首相の恋には何らかの引きがねと障害が欲しかった気がする。ヒューグラントは面白い役柄を演じていたが、あの二人の恋には何も感じるものがなかったのが残念である。身分ゆえの障害、見た目ゆえの障害というのももっと押し出すべきではなかったか。 
[映画館(字幕)] 9点(2004-06-25 14:40:30)(良:2票)
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