1. 変態ピエロ
結局何がどうなったのか全く分からない映画。主人公の死によって物語が何度もリセットされたり、俳優がカメラの方を向いて監督に話しかけたりと、なかなか悪意に満ちた作りではあるのだけど、特に目新しさは感じられなかった。やりたい放題やっていて、最後まで飽きずに観ることができたのでそれなりに満足。 [映画館(字幕)] 6点(2009-01-24 01:39:57) |
2. 男の顔は履歴書
《ネタバレ》 とにかく泥臭い。けれども、主人公の弟と在日の少女が撃たれるシーンは素晴らしかった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-01-22 21:53:08) |
3. 傷だらけの挽歌
なんとアルドリッチが悲劇を描いているではないか。それだけでも観る価値はあったと思う。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-01-22 21:33:33) |
4. 狼の時刻
ベルイマンの作品では、俳優の演技はもちろん、彼らを取り巻く物も重要な要素として扱われていると思う。強すぎる風や壁の染みが不穏な空気を醸成していて、何かとんでもないことが起ころうとしているのではないかと思えてくる。アバンギャルドというか、かなり抽象的な内容なのだけど、しっかりと恐怖を演出できているところはやっぱりすごい。デヴィッド・リンチが本作を賞賛するのも分かる気がする。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-22 21:22:47) |
5. 狩人の夜
《ネタバレ》 子どもの時にこの映画を観ていたら、間違いなく重度の人間不信に陥っていただろう。白馬に乗ってトコトコ移動する牧師の恐ろしさと言ったら。それに対し、牧師から逃れるべく必死で舟を漕ぐ少年の姿が勇ましい。一見少年が平穏な生活を取り戻したかに見えるラストも、単純なハッピーエンドというわけではなさそうだ。大した理由はないのだが、どうも腑に落ちないのだ。それは、婦人へのプレゼントにするために、少年がテーブルに積まれたリンゴを布で包むのだが、牧師に促されて地下室に降りていくシーンでも、同じように積まれたリンゴがあったからかもしれない。一筋縄ではいかない映画だ。 [ビデオ(字幕)] 9点(2009-01-06 18:48:34) |
6. どこまでもいこう
子どもたちが駆けていくシーンがとても印象に残った。子どもたちの自然な演技に加え、樹木が風に吹かれてざわめき立つシーンや、画面の外を意識させるような演出が、少し技巧的な感じはするものの、映画を魅力的なものにしているのだろうと思う。 [DVD(邦画)] 8点(2009-01-06 18:27:16) |
7. どついたるねん
赤井英和の荒削りな演技がそのまま映画の力強さとなって、最初から最後まで飽きずに観ることができた。冒頭から大笑いしてしまうくらいギャグが多いのも個人的には嬉しかった。そして、あの唐突なラストには思いがけず目頭が熱くなった。 [DVD(邦画)] 9点(2009-01-03 19:53:30) |
8. フローズン・タイム
アート系映画みたいに宣伝されていたような気がするけど、実際は単なるB級映画という感じだった。『人間人形 デッドドヲル』と同じ次元だと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2009-01-03 19:42:00) |
9. 庭から昇ったロケット雲
《ネタバレ》 農夫が自力で宇宙に飛び立つという、夢いっぱいの物語ではあるのだけど、上映時間の大半は、主人公が当然予想されるであろう現実的な問題を処理していくのに割かれている。夢を追っていく上で、政府とか家族との衝突を乗り越えていくというのは、この手の映画では定石となっていることなのだろう。けれども、それで映画にリアリティが与えられているかといえば、決してそんなことはない。一観客としては、リアリティなどなくても、自作ロケットの素朴さとか、宇宙服と農場のミスマッチな感じが楽しめれば、それで満足だったんだけどなあ。それだとただのファンタジーになってしまうのか。 [映画館(字幕)] 6点(2008-08-28 23:07:12) |
10. ロンゲスト・ヤード(1974)
《ネタバレ》 スポ根を装ったバイオレンス映画。序盤から平然と激しいカーチェイスを繰り広げてしまうのだからすごい。アメフトの試合が始まってからもやってることは乱闘と同じだし。看守たちを痛めつけるときに囚人たちが見せた楽しそうな表情が忘れられない。それでも、当の本人たちは最後に解り合えたようなので、きっとこれでいいのだろう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-28 22:38:28) |
11. ボブ・クレイン 快楽を知ったTVスター
ボブ・クレインが実在の人物であることを知らずに鑑賞。ビデオが一般に認知されていない時代にAVを自主制作した男の物語というふうに受け止めながら観ていたが、やはりそうではないことをラストで知らされる。冗談抜きに、クローネンバーグの『ビデオドローム』みたいなことをやろうとしていたのかな、などと思っていたので。 [DVD(字幕)] 7点(2008-08-25 21:12:16) |
12. 歩いても 歩いても
それぞれの登場人物の描写が丁寧で、最初から混乱することなく人間関係を把握できるところがすごい。直接画面に映ることのない長男にすら存在感が与えられているし。何気ない会話でつながれていく画面の間にも小さな綻びが見え隠れし、やがてはそれが決定的なものとなっていく。各人が違う事情を抱えていて当たり前なのに、どうしてこういう場では「普通」であることを演じてしまうのだろう。そんなことを考えさせられた。 [映画館(邦画)] 9点(2008-08-25 20:51:48) |
13. KOROSHI 殺し
フィルム・ノワールを期待していたものだから、ちょっと肩透かしを食らった気になってしまう。殺しのシーンはスマートではあるけど、特に凝った演出がなされているというわけではないし、監督の関心はあくまでも中年男の哀愁にあるように思えた。展開が簡単に読めてしまうのはいいとしても、全体的に弛緩した印象を受けた。 [DVD(邦画)] 6点(2008-08-25 20:30:10) |
14. マザー、サン
あまりにもゆったりとしたテンポの作品だったため、DVDを再生してから10分くらいのところで挫折、仮眠をとってから再挑戦。病床に伏した母を抱えながら、息子が外を歩くというだけで、特に劇的な展開はない。けれども、曲がりくねった道、山の稜線、森に生えた樹木や、本来は直線で構成されているはずなのにカメラのレンズによってねじ曲げられた建造物が、死に瀕した母のイメージと重なり、強烈なインパクトを作品全体に与えている。ひたすらに美しい映画。 [DVD(字幕)] 9点(2008-08-24 16:33:52) |
15. フリック
《ネタバレ》 小林政広の監督作品は他にもいくつか観ているが、本作には監督のそれまでのフィルモグラフィの総決算という意味が込められているように感じた。独特の人物描写を保ちつつノワール的な世界観を構築するかと思ったら、後半でメタレベルの視点が導入されたりと、なんだか監督の頭の中を覗き込んでいるような感覚。それでもある種の押し付けがましさを感じないのは、監督が適度に自己抑制しながら映画を作れているからだと思う。何度も繰りかえされるパンニングが浮遊感を醸し出す映像も良かった。 [DVD(邦画)] 8点(2008-08-03 12:10:05) |
16. 夜ごとの美女
《ネタバレ》 現実と空想の世界を行ったり来たりするので、ぼんやり観ているとついていけなくなってしまう。ひらひらと飛ぶ蝶のショットを介して別の空間に瞬時に移動するという風に、二つの世界の切り替えがスムーズなのでなおさら。映画の中で登場する数々の音が終盤で一つの音楽を奏でるというのが面白い。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-08-03 11:30:33) |
17. サリヴァンの旅
映画のテンションの上がり下がりの激しさにびっくり。これはかなり冒険してると思う。映画に必要なのは芸術性か娯楽性かという二分論をあざ笑うかのような作風が小気味いい。 [DVD(字幕)] 7点(2008-08-03 11:14:54) |
18. この窓は君のもの
《ネタバレ》 唐突に始まり、唐突に終わる。少年少女が追いかけたり追いかけられたりというのが延々と続く。でも、時間が来たらあっさりと別れを告げる。これも青春の真実なのかもしれないが、個人的にはちょっともの足りなかった。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-08-03 11:01:48) |
19. 二十才の微熱
いつも他人と距離をとりながら生きてるけど、思わず救いの手を差し伸べようとしたら、相手にそれを拒まれ自分が傷つくことになる。それでも他人と関わりながら生きていかなければならない人間の切なさがひしひしと伝わってくる。繊細だけど力強い映画だった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-03 10:53:58) |
20. 人のセックスを笑うな
ストーリーはあってないようなものだったけど、美しい映像を堪能できてよかった。フレーミングや原色の使い方がうまいと感じた。俳優の演技と有機的に結びついた長廻しもすばらしい。何よりも驚いたのが、こういった手法を用いていながら、殺伐とした印象を与えることなく、かわいい感じの映画に仕上げていることだ。北野武や黒沢清にはちょっとできない芸当なんじゃないだろうか。井口監督はしっかりと自分のカラーを打ち出せていると思う。 [DVD(邦画)] 9点(2008-07-31 21:56:26) |