181. キャスト・アウェイ
《ネタバレ》 ああ、すごいいい映画でした。あれ、まだこんなに残り時間があるのに生還しちゃったとか思っちゃいましたけど、命懸けで還りついてからのその後がすごくいい。何を見ているのか分からない、それでいて潤んでいるようにも見える瞳。生きて帰ってきたけど、どこにも辿り着いていないようなチャック。何かもう心許ないラストシーン。ガチな墜落シーンやゴムボートのシーンも迫力ある。ケリーとの別れのシーンも相当いいぞ。真面目な映画だ。オラは好きだな。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-11-14 20:44:12) |
182. アオラレ
《ネタバレ》 物語全体として、あおり運転どころではない状態になってますが、邦題はコレでいいんだと思います。日常の中で起こりうる恐怖の延長として消化した方が良さそうな映画なので。主人公であり被害者のレイチェルが、高速の路肩走行したり、スマホ運転したり、実生活で目にしたら、「コイツは!」と思うような運転をする人物造形なところがうまいと思います。だから、ラストはもう少し違うものでもよかったかと思います。懲りないレイチェル、運転しながらタバコに火をつけようとして、重篤な事故とか。 非道い?非道いか。 [DVD(字幕)] 7点(2021-11-01 20:18:59)(良:1票) |
183. 判決、ふたつの希望
《ネタバレ》 ふたりの男の些細な口論が国を揺るがす騒動に発展していく法廷ドラマ、という紹介文は読んでからの視聴でした。そのあらすじの不可解さとも相まって、トニーが物語初めからけんか腰なのが理解できなくて、中東の政治とか宗教の色彩の強い、そういうものの知識がないと理解しがたい映画化と思いましたが、違いました。洋の東西を問わず、ほとんどの人間同士の諍いは、こんなもんじゃないでしょうか?つまり、被害者対被害者。国をまたいだ争いも、起点になるのは、いくつもの些細なやりとり。ケンカ両成敗にしなかった判決もいいです。いろいろ事情はあったけど、そうなるよねってもんでしたし。 [DVD(字幕)] 8点(2021-11-01 20:16:52) |
184. ミナリ
当たり前の毎日のありがたさなんて、もうあらためて言うべきことではないのでしょうが、とにかくもう、いたいけで観ていると息苦しくなる日々。何も起きないでと祈るような気持ち。韓国出身のアメリカ移民の1980年代の物語という文化もバックグランドも大分違うフレームなんだけど、日本の地方にすむワタシたち家族と何も変わらないです。最後に重篤とも言えるような事件が起こりましたが(ああ、起きちゃった)、それもまたなんでもないことなんですよ。いろんなことがあるけれど、一つづつ踏みしめて、前に進むだけ。ワタシたちは皆そうして生きています。いい映画だよ。 [DVD(字幕)] 9点(2021-10-29 20:53:57) |
185. ベイビー・ドライバー
《ネタバレ》 音楽を聴くことで、事故の後遺症の耳鳴りが消え、才能が覚醒する天才ドライバー、逃がし屋ベイビー。しかも、銀行強盗の物語なんていえば、まるで伊坂幸太郎の小説の主人公であり、設定なワケです。だからまあ、そこそこおもしろいのですが。伊坂の小説の特徴である、ある種残酷さや、それでいて軽妙さなどについて、それ(小説)には及ばないといった感想です。みんなでベイビーを救う最後のくだりなんて、ヤボの骨頂じゃないですか。そこまで説明してくれるなよ。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-10-13 19:18:18) |
186. わらの犬(1971)
《ネタバレ》 ああ。オラは弱虫だから、こんな暴力映画好きじゃないなあ。同様に弱虫の主人公が暴力のことあまり知らないから、キレるともう手加減を知らないから、あんな自宅での攻防なんて、ああ。見せ場だったのかも知れないが、ラストシーンのとおり、なにも解決していない。むしろ、手のつけられない修羅場の始まりだったかのようだ。イヤだ。だいたい、何か意味ありげなタイトルの「わらの犬」。Wikipediaによれば、「天地にとって万物は芻狗(祭儀に用いるわらの犬)のようなものでしかない」という意味の老子の言葉からきたものとのこと。はぁ?そりゃ、天から見れば、人間のやってることなんて、無力で取るに足らないことですよ。そんなこというんであれば、どんな映画(万物)もそうじゃないですか。であるならば、「わらの犬~ターミネーター編」、「わらの犬~天空の城ラピュタ編」になるんじゃないですか、どうですか。…ウソです。そんなことは、全然思っていません。あんまりイヤなので、ケチつけたくて言ってみました。 [DVD(字幕)] 4点(2021-09-28 20:50:23) |
187. 永遠に美しく・・・
《ネタバレ》 大した覚悟もないまま、悪趣味なモノを見てしまったという感想です。前半は妙齢な女性の陰湿なやりとりがドーカと思いましたし、後半は人体を粗雑に扱うことをドーカと思いました。生きたまま(いや、死んでるんですけど)、あらぬ方向を向いた美女設定の女性って、普通のゾンビを見るより相当イヤだ。ただそれも、あくまでも覚悟がないまま見たからで。邦題が「永遠に美しく…」。原題の「Death becomes her」は、和訳すると「死こそ彼女にふさわしい」となるとのこと。確かにそれじゃ、よくわからないとも思いますが、「永遠に美しく…」にするよりは、いっそ「デス・ビカムズ・ハー」ってしてくれた方が、後半の不愉快はなかったような気がします。死を想定しますので。だいたいタイトルに「…」がついた映画に、当たりはないんじゃないでしょうか?言い切る覚悟がないというかさあ。知らんけど。 [インターネット(吹替)] 2点(2021-09-17 19:31:44) |
188. サボテン・ブラザース
《ネタバレ》 「ギャラクシー・クエスト」を経由して、たどりつきました。誤解からはじまった助太刀だったが、いろいろあってウマくいくという、ある意味シンプルな話なのですが、ワタシは終始翻弄されていたという感想。例えば、①衣装を盗みに入るシーンのふざけ、②初めての野宿のシーンの書割りっぽさ、③世界観を壊しかねない歌う木と透明な剣士(何かの比喩かと思ったら。しかもあれっきり出てこない)、④敵役主観の、拳銃を空に撃ち駆け回るシーンもそうだな。なんかとてつもなく無駄な味付けがしてあって、それが妙に好きという困った映画。⑤跳び箱を飛び損ねるみたいに馬に乗るシーンとかも好きだなあ。映画のヒーローをそのまま本気にするという設定も、本当はそんなに真面目に考えてないんじゃないか。ヘンテコすぎるだろ。でも、好きだ。なんでだろう。【追記】ああ、この変な感じは、誰も共感してくれないと思いながら、「森田芳光作品」に似ているような気がする。 [DVD(字幕)] 9点(2021-09-16 21:53:36)(良:2票) |
189. 新・刑事コロンボ/殺意のナイトクラブ<TVM>
《ネタバレ》 うーん、そうかあ。最後には、こういうふうになっちゃうんですね。最終話になることを意識してないようにも見えますね。ワタシは最後まで一辺倒、最初から最後までコロンボはコロンボのままだったのが失敗なんじゃないかと思います。年寄りのコロンボだってみたいと思いますよ。耳が遠いふりして、本当は聞こえているのに聞き返してイライラさせるコロンボとか。もう亡き奥さんのところに行くばっかりだといって、周囲を微妙な感じにするコロンボとか。そうでなくとも、ちゃんと管理職をやっているコロンボとかね。加齢とともに、年相応のコロンボを見せてくれればよかったのに、と初老のワタシは思います。それはさておき、本作について。犯人が愚かすぎて魅力のないエピソードはダメですね。旧シリーズでもそうでしたけど。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2021-09-05 16:28:00) |
190. 騙し絵の牙
今、銀幕のスタアと呼ばれるような人がいるとすれば、大泉洋さんじゃないでしょうか。彼が演じる速水が、次にどんな手を打つのか待ち望む観客(ワタシのことですけど)がいましたし、他の演者も安心してる雰囲気があるんですよね。結果、ほとんどストレスなく視聴できて、ただ、ああ面白かったという感想ですよ。すごくないですか。渥美潔と並ぶ人だと、ワタシはそう思っています。 [DVD(邦画)] 8点(2021-09-04 18:48:38)(良:1票) |
191. パンケーキを毒見する
《ネタバレ》 中距離程度のドライブになるが、県境は越えないし見に行ってみようと劇場に足を運びました。しばらくぶりに行った国道沿いの町では、いつか入ってみようと思ってた飲食店が閉店していたり、ああここは元コンビニだったんだろうなというような、中古車店、雑品屋、ケータイショップ、コインランドリーが増えていました。遅めの昼飯を食べようと入った定食屋のテレビで、「菅総理総裁選不出馬」の報道。ガビーン、今見た映画の中心人物、完全に逃げモードじゃん。それはさておき、本作について。ここ1~2年の日本の病状を、菅義偉氏を中心に丁寧に紹介してくれていると思う。ただ、内容よりも、手際よくまとめて、就任中に世に出したのがすばらしいと思う。後出しじゃんけんをしなかったのが偉いよなあ。総理は辞める意向ですが、何も終わってないと思う。またもいいタイミングで、こんなのをパシッと打ちこんで欲しい。【以下蛇足】作中、石破茂氏に小泉純一郎氏が話したことに同意(ここには書きませんが)。私も、この有様は選挙制度のシステムエラーの積み重ねだと思っています。小選挙区制って、非自民の連立政権が成立させたことを考えると意識が遠くなります。 [映画館(邦画)] 8点(2021-09-03 16:39:03)(良:1票) |
192. ギャラクシー・クエスト
《ネタバレ》 「ダイハード」のハンスが、ナカトミビルでマクラーレン刑事にやられる前に、トカゲヘッドの博士役で特撮俳優やっていたなんてビックリです。しぶといラスボスをしとめる重要シーンが、ファン大会のキャラクター紹介のアッサリした演出みたいになっているのが好き。一皮むけて帰ってきた彼らに、なぜだか胸が熱くなる。これはいい。 [DVD(字幕)] 9点(2021-08-30 05:13:46)(良:1票) |
193. 私は貝になりたい(1959)
《ネタバレ》 怖いのは、矢野中将が個人的には全くの誠実な人であること。清水豊松という「トカゲのしっぽ」を切ったのは、上司による保身のためなどではなく、軍や裁判という仕組みのシステムエラー。こういうのは、時代によるものなのだと以前は思っていましたが、今開催されているTOKYO2020オリパラの組織委員会。大会終了後に事後総括が行われた際には、どんな理不尽に責任取らされる担当者が出てくるかと思うと、悲しいです。印象的だったのは、同房の大西が名前を呼ばれた後、聖書を机に置くまでの間に覚悟を決めるところ。だから、囚人たちが大西を見送るために賛美歌を歌うというありえないシーンがとてもいい。夢のようなシーンだ。これは、10点。所ジョージ版があるのですね。それも見たい。 [DVD(邦画)] 10点(2021-08-28 20:57:41) |
194. 我が家の楽園
《ネタバレ》 うーん。理解し難いものを見たという印象。冒頭でカービー氏のことを、銀行家であることはともかく、軍需産業の元締めみたいな紹介をしているので、彼の評価は上げようがないのですが、しかし。かといってお話では、バンダーホフの方が独善的で、娘の嫁ぎ先になるかもしれないカービー夫妻への敬意がないように思われました。オラは、バンダーホフ家の皆さんとは、親戚になりたくはないなあ。傲慢な金持ちは嫌いだけど、傲慢な貧乏人のこともオラは嫌いだぞ。原題の「You can’t Take It wIth You」は「あの世には何も持っていけない」という意味の英語表現とのこと。金はもちろんだけど、あらゆるものをあの世には持っていけないよ。作中、バンダーホフの印象的な言葉「最近は皆 主義を持っとる 苦しくなると何かの主義に逃げ込もうとする」。諸行無常。もしや本作は、第二次世界大戦直前のアメリカの寄る方なさが作ったものではないでしょうか? …嘘です。そんなこと思っていません。最後に、好きなシーン。裁判官がチャーミングなところ。「スミス都にいく」の議長さんみたい。ところどころ、好きなところはあるんだけどなあ。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-08-25 22:08:53) |
195. 口裂け女2
《ネタバレ》 なるほど。気持ちのある人が作った作品であることは伝わってきます。重篤な事件に、間の悪い偶然やしょうもない悪意が積み重なって、とんでもないことになっていくという鈍い物語は魅力がありました。最後の、とうとう口裂け女が生まれるシーンは、ハッとして何度か繰り返して見ました。でも、やっぱりタイトルがどうか。タイトルでネタバレって、ねえ。口裂け女の物語であることは、最後に明かされた方が、観客の高揚感は高かったのではないでしょうか。安いけれど目に止まらせやすいタイトルにしちゃったのは、制作陣が本作のクオリティを信じられなかったからのような気がして、少し残念です。 [DVD(邦画)] 6点(2021-08-23 13:43:34) |
196. バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら
《ネタバレ》 TVドラマはシーズン1のみ視聴済み。■TVドラマの映画化は、劇場で視聴されることよりも、ドラマのファンがレンタルして、あるいはサブスクで家庭内視聴することを念頭に置いたものなので、2時間ドラマ仕様で十分というのが持論だったのですが、本作は違いました。■TVドラマでは、「脇役(バイプレーヤー)」であることの誇りというか、いぶし銀のきらめきというか、そういうのが要素としてあったと思いますが、本作ではまるでない。■じゃあこれはなにを狙っているんだろうと考えたところ。昭和の元日には、新春スター隠し芸大会というのがありましたよね。そこには、決まってショートドラマがあったと思うのですが(あれ、ワタシ、大好きでした)。本作は、あれの令和デラックス版であると解釈し直し、仕切り直して視聴しました。■結果。ああ、そういえば隠し芸大会のドラマも、なんか白々しかったよね、というところに思いが至りました。■役所広司はやっぱりすごい。主役級の役者の役というドラマの文脈からはアウェイなところをきれいにやりこなしてました。■これだけ一線の名脇役がいるなかで、むしろ出なかった人が気になります。オファーがあって出なかったのか、バイプレーヤー枠じゃないからよばれなかったのか。単に呼ばれなかったのか?■佐藤二朗、香川照之、オダギリジョー、大泉洋あたりが気になるなあ。脇に回ったときには主役を喰いにいくタイプのバイプレイヤー。罪作りな作品だと思う。 [DVD(邦画)] 3点(2021-08-21 13:51:00) |
197. オー!
ジャン=ポール・ベルモンドを見てみようと思い立っての鑑賞。再評価されているみたいですし。確かに、色気のある俳優だとは思います。でも。この作品は、彼がどんなにかっこつけても、世の中がそれを受け入れていた頃のものではないでしょうか。例えば、「太陽を盗んだ男」のころの沢田研二というか、「傷だらけの天使(テレビドラマだけど)」のころの萩原健一というか。だから、そういった気持ちの共有のない、21世紀の日本の初老のワタシにとっては、おもしろくはなかったかなあ。何見たらいいんだろうなあ、ジャン=ポール・ベルモンド。 [DVD(字幕)] 3点(2021-08-17 19:30:26) |
198. THE GUILTY ギルティ(2018)
《ネタバレ》 うわー、これは相当いい。10点じゃないのは、いくら乱暴な警官の設定でも、①誘拐の被害者と思われる人物と一緒にいる、容疑者と思われる人物に、直接電話して刑務所行きを通告する、②被害者と思われる人物に、容疑者と思われる人物に反撃を促す、のは無理筋だろうと思うから。しかし。主人公が重大な事実を電話で耳にして、ボーゼンとするシーンが3回ほどあったと思いますが、短い作品でこんなにボーゼンに尺を取るのかと、シビれました。乱暴で有能、でも強くないという主人公の造形。明日ある裁判も、大体どんなものか想像はつくわけで。その辺のネタバラシもちょうど良かったと思います。ラストシーンは、出て行った奥さんに電話してたんだと思っています。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-08-14 21:06:12) |
199. タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら
《ネタバレ》 なるほど。殺人鬼のいない大量殺人。お互いを恐れ、コミュニケーション不全に陥り、どんどん事態が悪化していく。本作はコメディ的な演出が施されていましたが、シリアス演出でもとても居心地の悪いエンターテイメントになり得たんじゃないでしょうか。コーエン兄弟あたりに監督をやってもらったりして。あいや、この手のコメディなら邦画の方がいいような気がするんだ。お互いのやり取りのすれ違いが、翻訳だとうまく伝わってきてないような気がするんですよね。アンジャッシュのコントを知っている我々でもありますし。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-08-10 20:47:47)(良:1票) |
200. 魚が出てきた日
《ネタバレ》 うーん、面白くない。パロマレス米軍機墜落事故を元に作られたスラップスティック・コメディだと思うのだが、コメディであったのだろうかと確信が持てない。半裸の男(パイロットたちや軍人たち)をたくさん見たと思うのだが、なぜそれを見せられていたのか分からない。放射能とか、核とかの環境に対する影響が、いろいろと一筋縄ではないことが明らかになった現在としては、もうあまり価値のある映画ではないのでは。我々は、もう少し屈託のある世の中を今、生きていますよね。 [DVD(字幕)] 2点(2021-08-08 21:10:45) |