2001. ミッション・トゥ・マーズ
宇宙への無限性という、宇宙哲学を語る上では王道的な主題をクオリティの高い映像と共に見せつけてくる秀作であった。宇宙空間の虚無とか未知を精神世界のそれとリンクさせる展開は非常に興味深く、一生命体としての感慨深さを感じた。ティム・ロビンスが早々に消えてしまうのには残念だったが、極めて完成度の高い映画だったと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2003-12-12 01:19:22)(良:1票) |
2002. PARTY7
「鮫肌男と桃尻女」の影響で相当に期待したんだけど、豪華でユニークなキャスト陣と特異な環境設定を生かし切れずに終始してしまっている。あの奇妙な空間とキャラクターをもっと生かした絶妙な脚本を用意してほしかったと思う。 4点(2003-12-10 17:51:05) |
2003. バトル・ロワイアル
公開前に話題になったほどの問題性は感じなかったが、バイオレンス映画とすれば斬新な緊迫感と暴力性に溢れていたと思う。安藤政信、ビートたけしをはじめとする脇役たちの演技はそれぞれインパクトがあり良かったが、主役を張った藤原竜也の不出来な演技がひとり浮いていたように思う。中盤の展開的には非常に良かったのだけれど、主演の二人が街中に消えていく安易なラストシーンで一気に白けてしまった。ラストさえあれでなければ、結構好きな映画になっていたかも知れないが…。 4点(2003-12-10 17:45:46) |
2004. パリの確率
この邦題に相当な興味深さを感じ観に行ったが、内容はそれほどでもなかった。砂に埋もれた未来のパリのビジュアルは印象的だったが、繰り広げられるストーリー展開が陳腐すぎた。フランス映画にありがちな娯楽性の完成度の低さが目立つ結果となった。 [映画館(字幕)] 3点(2003-12-10 17:36:31) |
2005. 式日 SHIKI-JITSU
観る時に集中力が無いと一気にダレる映画だろうけど、集中力さえ続けばけっこう感慨深い作品に仕上がっていると思う。岩井俊二主演というのはどうかと思ったが、役柄のせいか意外に違和感はなかった。重苦しい映画だけにラストの明るさには救いがあった。エンディングテーマがCOCCOの「Raining」だったのが嬉しかった。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-10 17:30:47) |
2006. バーティカル・リミット
予告編で期待したとおり映像的には迫力があったが、あまりに希薄で酷いストーリーにマイった。映像的な印象で映画を選ぶことはよくあるが、こういう映画を観ると、やはり映画で一番大切なのはストーリーだということを逆に認識させられる。酷すぎるストーリーに不快感と嫌悪感満載だった。 1点(2003-12-10 17:25:28) |
2007. 戦場のメリークリスマス
若年層の間では、大島渚というとどうしてもタレント監督という印象を強く持ちがちだが、今作などを観ると彼が物凄い映画監督だということを認識させられる。鮮烈で美しい調にのって織り成される人間の悲哀は、痛いほどに深くその本質をえぐり出している。ビートたけしの怪演も手伝って紛れもない傑作だ。 8点(2003-12-10 17:20:33) |
2008. スペース・カウボーイ
今作の場合、じいさんたちが老体に鞭打って地球を救うために立ち上がるという設定だけでユニークなエンターテイメント性に溢れている。そのご老体軍団を演じるのが熟年豪華スター揃いなのだからビジュアル的にも完璧である。映画自体も非常に楽しめたが、クライマックスがいささか盛り上がりに欠けた感が残った。 [映画館(邦画)] 7点(2003-12-10 17:09:38) |
2009. 人間の証明
ラストがあまりに安易で一気に盛り下がる。グローバルなサスペンス展開は濃厚でキャスト陣の熱っぽい演技もそれに伴うものだっただけに、ラストの顛末には不快感が残った。混色の青年を演じたジョー山中が悲しげで良かった。 [ビデオ(邦画)] 4点(2003-12-10 17:00:02) |
2010. 弾丸ランナー
タイトル通り、「走りっぱなし」のこの映画は徹底的なまでのエネルギーにあふれている。ストーリーやキャラクターの破錠ぶりもすべてそのエネルギーに包み込み痛快なエンターテイメント性に昇華している。常に日本映画に対する「衝撃性」を追い求めるSABU監督にふさわしいデビュー作品だったと思う。 7点(2003-12-10 16:53:46) |
2011. 上海グランド
何と言っても、レスリー・チャン&アンディ・ラウの男の艶やかさに引き込まれる。彼らの画面に映えるその目つきだったり、話し方というものはやはり魅力的だと感じた。ストーリー的には裏社会における男の友情とその破錠を描いたもので目新しさはないけど、演じる俳優に華があるので観ていて飽きることがなかった。最初のアンディ・ラウのキャラクターに疑問は残るが、この手の映画としてはなかなか秀逸な仕上がりだったと思う。レスリー・チャンの映画を多く観てきたわけではないが、惜しい俳優を亡くしたものだと思う。 7点(2003-12-08 17:06:19)(良:1票) |
2012. 6IXTYNIN9 シックスティナイン
タランティーノ、もしくは日本のSABU監督作品を思い起こすような、日常の破錠によるバイオレンスな展開がシニカルなユーモアと衝撃に溢れタイのこの新鋭監督に力量を感じた。汗が染み出るようなじっとりとしたタイの空気感が異様な緊張感に拍車をかける。なかなか魅せるタイ映画だった。 7点(2003-12-08 16:58:41) |
2013. DOG-FOOD
尺的にも小ぶりで、田辺誠一の実験映画という感じも拭えなくはないが、個性的なキャラクターと何ともいえない主人公の心情はどこか共感が持てる。主人公のまわりの変わった住人たちが可笑しい。 [ビデオ(邦画)] 4点(2003-12-08 16:53:19) |
2014. GHOST SOUP
一風変わった天使(?)に扮した鈴木蘭々とデーブ・スペクターのコンビが可笑しい。テレビ作品なので、フィルム作品における岩井俊二の映像美はないが、彼らしいと言えるファンタジーに溢れている。ユニークで温かい年の瀬にふさわしい作品。 6点(2003-12-08 16:47:32) |
2015. ハルク
アメコミのヒーローものを映画化した作品は数多いが、この「ハルク」ほど実写で撮る、生身の人間で描くという行為にふさわしいキャラクターは他にないと思う。それはやはり、このキャラクターの深く斬新な人間としての葛藤に他ならない。己の中での多大な苦悩と怒りと共に文字通り体を爆発させるその様は、映像化にふさわしいインパクトとドラマ性に溢れている。哀しいまでに膨れ上がり、超越した緑色の体が大地を疾走する姿は、衝撃という娯楽性をも超越し感動的ですらある。 [DVD(字幕)] 8点(2003-12-08 16:42:34) |
2016. あずみ
原作の設定と流れをただなぞっただけの映画作りに落胆したというのが正直な印象だ。個人的には原作自体あまり好きではないのだけれど、それでも原作の持つパワーと真意をまったく反映できていないように感じたことは否めない。せめてこの監督得意とするアクション描写だけは評判通りのインパクトを与えてくれるかと思ったが、それさえも下手なワイヤーアクションやスローモーションを多用しただけに過ぎない陳腐なものだった。カメラワークもただ右往左往するだけで観客を引き込むだけの斬新さはまったく無かったと言える。おそらくろくな演出もなかったらしく、俳優陣の演技もことごとく軽薄である。主演の上戸彩はあずみのキャラクターにはハマっていて、アイドルという肩書きを感じさせない眼光を見せていたが、映画の中でのキャラクター自体が薄かったためもうひとつ目立たない。唯一の救いは「あ、やられちゃったよ」と死んでいく遠藤憲一か…。とにかく、海外からの評価も高い北村龍平であるが、その映画監督としての資質には疑問が残る。 3点(2003-12-08 16:27:35) |
2017. ファインディング・ニモ
もはや洗練しつくされた感さえあるCGアニメーションによる映像美には感嘆した。瑞々しくなめらかなキャラクターたちの動きと海中世界は、まさに小さい頃から想像したビジュアルそのもので素晴らしかったと思う。まさしくアニメでしか描くことはできない魚たちの冒険、親子の愛、成長の姿は人間のそれとまったく同じで感動的であった。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-08 16:10:06) |
2018. マルコヴィッチの穴
とにかく徹底的なまでに破綻した世界観に圧倒される。1/2階、ハリウッドスターマルコヴィッチの脳への侵入と怖ろしいまでに奇抜なコメディでありながら、核となるテーマは非常に濃密な哲学性である。映画を観ていて今作ほど脚本に驚愕した覚えはない。笑い、衝撃を通りこしてまさに「圧巻」の一言だ。 [DVD(字幕)] 9点(2003-12-05 23:23:43) |
2019. アンラッキー・モンキー
相変わらずと言っていい主人公の疾走と共に破錠していく展開は興味深いが、例えば「ポストマン・ブルース」ほどのストーリー的な完成度の高さは無かった。主人公の幻想のまま物語自体もぼやけて終わってしまった感が拭えない。 5点(2003-12-05 23:17:20) |
2020. ポストマン・ブルース
面白い映画がないからと言って俳優から監督に転向しただけあって、SABU監督によるこの映画はただならぬ面白さに溢れている。ヤクザを巻き込み、警察を巻き込み、殺し屋を巻き込む郵便配達員の暴力的なまでの疾走は、そのままこの映画自体のエネルギーへと直結する。圧倒的なまでのストーリー展開にもはや言葉はいらない。 [ビデオ(邦画)] 8点(2003-12-05 23:13:34) |