241. 追われる男
主人公役がジェームズ・キャグニーで、対する悪党の役はと言うと、こちらもキャグニー? では無くって、よく見るとボーグナインなのでした。そっくりさんとまでは言わないけど、タイプ的には同路線の顔立ち。ワルそうだけと愛嬌があります。 それにしても、これまた面白い西部劇。ストーリーは結構、適当というか、行き当たりばったりというか、白々しくも強引に進んでいくのがまず楽しい。そもそも冒頭、列車強盗に間違えられるくだりなど、ほとんどコメディかと思ってしまうのですが、その後、自警団に襲撃され、主人公と一緒に居た青年は銃撃で生死を彷徨った挙句、重い障がいを負ってしまう、という、笑うに笑えぬ深刻な展開。この振れ幅の大きさが、物語を推し進め、一方ではちゃんと、主人公と青年の関係をここに織り込んでいたり、無法者の跋扈する西部の町、横行するリンチ、などといった物語の軸を織り込んでいたり。 だから、物語は変化に富んでいて、やや暴走気味ではあるけれど、散漫な印象はなく、納得感があります。B級納得感とでも言いましょうか。 何がどう「追われる男」なのかはよくわからん邦題ですが。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-02-12 08:56:28) |
242. パリは燃えているか
乱暴な感想ですが、こういう映画、やっぱりこの「約3時間」という長さが、いいなあ、と思っちゃいます。描いても描いても描き切れない、という、この長さ。 で、また、この「市街戦」というやつに、惹かれてしまう。日常であるはずの街の風景が、戦場と化す。大規模な破壊シーンなどは出てきませんけど、パリでのロケ撮影をこれだけやったのだから、やっぱり大したもの。かつて戦場となったこの街、あわや灰燼となり果てかねなかったこの街で、その戦いを描いて見せる。街の歴史、歴史を抱えた街。その歴史があってこそ、今の街がある。 不足を言えばキリがないだろうけれど、充分に堪能させられる、約3時間でした。 とは言えやっぱり、セリフは各国語でやって欲しかったなあ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-01-29 20:40:04) |
243. オクラホマ・キッド
映画の見どころの一つが、例の土地獲得大レース。『遥かなる大地へ』とかに出てくるアレですね。このシーンがなかなかの迫力。1939年の作品、と言うと、同年に『駅馬車』がありますが、あのド迫力の襲撃シーンなんかにも引けを取りません。 主役のオクラホマ・キッドを演じるのがジェームズ・キャグニー。ワルそう、というか、やんちゃそうな顔が、役に似合ってます。そういう鼻つまみ者のキッドに対し、さらに極悪な連中が登場、そのリーダー格が、ルー大柴。に似てますが勿論そうではなくって、ハンフリー・ボガートです。アクの強さで、いい勝負。 開拓により町ができると、そこには法や秩序が必要、だけど無法は常にその先回りをする。開拓民たちはこんなオソロシイところで日々を送り、その先に今のアメリカがあるのだとすると、やっぱりこの国はちょっと別世界、なのかも。 それはさておき、避けられないのは二人の対決。終盤に繰り広げられる格闘シーンは、短いカットをこれでもかと畳みかけて、これも見どころ。 もう少し主人公の人間像に魅力があれば、という気がしなくもないけれど、割と楽しめたかな、と。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-01-29 12:23:39)(良:1票) |
244. ルパン三世 THE FIRST
『カリオストロの城』で、ルパンが鯉の滝登りみたいに流水の中を逆行して泳ぐ、世にもアホらしく世にも素晴らしい、お馴染みのシーンがありますけれども、そのくらいのこと、フルCGのルパンにできぬワケがない、とばかりに、ここでも空中を泳いでみせる。これを見てニヤリとするには、いささか露骨過ぎた演出だったかもしれませんが、ここは皆さん、ニヤリとしておこうではありませんか。 CGだからいくらでも自由に体を動かせそうなもんですが、ルパンがあまり首を動かさず、窮屈そうにノッソリとした所作を見せる場面があり、こういうのもアニメのルパンのイメージから来てるのかなあ、とか。 とりあえず、楽しく見させていただきました。けど、フルCGの威力というものを感じられたかと言うと、どうですかねえ。たまにはこういうのもいいかな、くらいで。 [地上波(邦画)] 6点(2023-01-28 19:27:46) |
245. ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
昨今、日本では、マスコミならぬ「マスゴミ」なんて言われたりして、ジャーナリズムというものに対してどこか軽く見る風潮があるけれど(単に興味が無いだけかもしれない。興味が無いものを軽んずる悪いクセが出ているだけかもしれない)、ジャーナリズムとマスコミとは、いったん分けて考えた方がいいんでしょうなあ。 この作品見てると、アメリカではまだ、マスコミというものに信頼、期待が持たれているんでしょうか。そしてそういう信頼、期待にちゃんと応えているんでしょうか。羨ましい気もするし、少し面倒臭い気もしてしまう。いかん、めっきりスポイルされてしまっているらしい。 いわば、マスコミと国との対決が描かれていて、正直、たいして大きな事件は起きません。いや、たぶん大事件なんですけど、危機一髪みたいな展開はありません。スピルバーグがなぜ殊更にこの題材を選んだのか? 反・トランプ大統領がキッカケであるように言われているし、実際そうなのかもしれない。しかし、かつて「マスコミ」は国家権力を相対化させてきたとは言え、今やソーシャルメディアの普及により、「マスコミ」自身が相対化されてしまった訳で。権力自身も(そしてその対抗勢力も)ソーシャルメディアを活用し、それはトランプ氏の専売特許でも何でもなく、いまや怪しい情報が錯綜しまくって。今のウクライナ情勢などに至っては、もはや何を信じてよいのかわからない・・・。 この映画の物語は、今となっては一種のお伽噺なのかもしれないけれど、それでも歴史の1ページ。スピルバーグ版の『大統領の陰謀』。派手に煽ることなく、物語は着々と進められていく。そういう作品の中で、メリル・ストリープの派手な演技、ってのは、ちょっと際どいものもあります。際どいんですが、何とか踏みとどまったかな、と。映画は彼女色に染まることなく、我々に歴史を突きつけます。 でもあのラスト近くの、新聞社のシーン。いかにも、「我々はこの印刷機で、戦ってます」といった感じの、秘密基地のような描写。やっぱり何か、ロマンを感じている、いや、感じたい、んでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-01-28 18:51:28) |
246. 大いなる旅路
《ネタバレ》 三國連太郎演じる鉄道員の半生記。喜びも悲しみも何とやら、といった感じの作品です。息子役に若き日の高倉健が出てます。要するに「ぽっぽや」の父さんも「ぽっぽや」だった、ということですね。親子役をやるほど歳は離れてないと思うんですけど。でも違和感ないです。 機関車、そして駅が、映画に何度も登場します。この二つが出てくる映画は、まずハズレが無い。とまで言うと、言い過ぎですが、機関車も、駅も、映画では魅力的なアイテム。そして蒸気機関車には雪がよく似合う。 しかもなんとこの作品、機関車の脱線・横転シーンまである。気合い入ってます。この事故で、主人公は九死に一生を得るけれど、先輩は命を失ってしまう。この事故の前は機関車のカマ焚きしかやらせてもらえず腐り気味だった主人公、事故の後のシーンでは、これから心を入れ替えて一生懸命やるぞ、と笑いながら宣言する。先輩が死んでしまったのに、こんな笑ってていいのか?と、気になってしまうシーンですが、その引っかかりがあるからこそ、印象的なシーンにもなってます。現実生活であれば、落ち込む場面かもしれない。映画だからこそ、彼の笑顔が、彼の転機を如実に物語ります。 中盤、主人公は鉄道員というより、単なる頑固オヤジになってしまいますが、ホームドラマでもあるのだから、仕方がない。鉄道以外に印象に残るのが、主人公の家。時の流れとともに世の中は移り変わるけれど、自分の家はいつでも自分の家。 そういや、映画は戦前から始まり、やがて戦時中となって世の中殺伐としてくる。戦後、平和になるのかと思いきや、やっぱりゼネストだとか言って行進してたりして、世の中移り変わると言っても、結局、同じようなことやってるんだなあ、とも思ったり。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2023-01-28 17:47:30) |
247. 王立宇宙軍 オネアミスの翼
《ネタバレ》 ライトスタッフに不器用なロマンスを絡めたようなお話、地味と言えばこの上なく地味なんですが、えてしてそういう映画は映像がスゴかったりする訳で、アニメーションのこの見事さには驚き、呆れ、圧倒されます。 この、立体感。一部のシーンではCGを援用したらしきメカニックな動きも見られますが、手描きでこそ感じられる、立体感の危うさ、みたいなものも多分にあったりして。 緻密さと誇張との、せめぎ合い。 で、まあ、最後は宇宙に行って、人間なんてちっぽけだよねえ、と。 そうなんです。我々も日常生活にクサクサしたら、つい宇宙のことを考え、つくづく、自分たちがちっぽけな存在であることを意識するんです。 さらに、そんなこと考えても何の解決にもなってないことも意識するんだけど。。。 何にせよ、この作品も、ついに宇宙に到達して、達観したように幕を閉じる。なんとも感慨深いものが確かにあるんだけど、そりゃ、「宇宙」と言われりゃ自然に感慨深くなるもんであって、この感慨が、この作品の映像から来ているのかというと、よくわからない。打ち上げの素晴らしい映像、その後でそれを上回る「宇宙を感じさせる映像」を見せてくれたらもう納得せざるを得ないんだけど、正直、あれ、こんなもんか、と思っちゃいました。 とかいうのは、贅沢ですかねえ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2023-01-23 22:05:18)(良:1票) |
248. パージ:エクスペリメント
《ネタバレ》 どういう作品かよく知らずに見始めて、またこれまで同様にパージが描かれるシリーズの一本か、ぐらいに思ってたらそうではなくって、時代は遡ってパージ制度導入の頃が描かれてます。社会の分断が人々を自衛に走らせ、過度な自衛がまた社会を分断する、というこのシリーズ、未来のディストピアを描いたつもりが、予想以上に早く、現在の現実社会が映画に追いついてきてしまったので、映画の方から時間を巻き戻して現実社会への批判を正面衝突させよう、ってことなんでしょうか。 もはやパージでも何でもなく、ただの殺し合い。殺し合う人々と、それをモニタ越しに観察する人々との間の分断は、もはやひとつのシステムとなり、分断は結束に繋がることなく、新たな分断を呼び起こす。 しかしこの作品の前日譚たる設定、なんだか作品の枷となってしまってて、批判臭こそ漂えど、作品の限界を感じさせもします。いっそシリーズから独立した別作品にしちゃった方がよかったのでは。後のシリーズに繋がる内容、つまりパージ法がこの後導入されることは作品の縛りになってて、ラストでは絶対に「革命」なんか起きっこないことが、わかっちゃってるもんね。いや、実際にラストで「革命」が起きるかどうかではなく、起きるかも、と思わせるだけで充分。希望があればこそ絶望があり、絶望があるからこそ希望がある。 それはそれとして、無法状態の一夜、それがおしなべて暗い画面の中に、時に光を交えながら描かれます。雰囲気はいい、かもしれない。でも、この暗さの中で、アクションはいささかゴチャゴチャし過ぎ、ちと見にくい。終盤の階段での乱闘は、ちょっと良かったけど。 登場人物の配置なんかも魅力的な部分はあるのですが、やや消化不良かと。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-11-20 20:59:01) |
249. 地獄の警備員
まず何が良いと言って、タイトルが良いではありませんか。「悪魔の~」も悪くはないけれど、「地獄の~」の方がより汎用性が高く、その分、得体が知れない。そこが良い。ちなみのこのサイトでタイトル検索したら、本日段階で「悪魔の」が100件、「地獄の」が76件。意外に健闘してるのでは。で、しかもそれが「警備員」、ってんだから、訳がわからなくって、何だかワクワクします。 その地獄の警備員を演じるのが、いまや「孤独のグルメ」で押しも押されもせぬ国民的大スター(?)となった、松重豊さん。片や殺人、片や食事と、やってることは大きく違えど、観てるとどこか共通点を感じてしまうのは、一体何なんでしょうかね。 氏が演じる謎めいた警備員は、元力士、なんだそうで。しかし、上背は確かにあるものの、ヒョロッとした体形で、いくら廃業したとは言えここまで痩せるもんだか。これがすでに、不条理世界への入り口。 筒井康隆氏の短編でも力士(現役)が襲ってくる「走る取的」というのがありましたが、やはり日本人は、力士という人たちに何らかの神秘性みたいなものを感じているんでしょうかね。その頂点に君臨するのが、デーモン小暮閣下、ということで(・・・悪魔か)。 で、この元力士の警備員が、理由もなく殺戮を繰り返す。警備員だから、制服を着ている訳で、この制服姿での殺人というのが、また不気味。この辺りは『マニアック・コップ』からの影響もありそうな。ちなみに日曜洋画劇場での放送時のタイトルはもちろん、『地獄のマッドコップ』! しかし松重警備員の殺人には、マニアック・コップよりもさらに動機が無く、それ故さらに純化され、さらに不条理に徹しています。ホラー映画には「恐怖」があればよいのであって、それをわざわざ中和するような「真相」なんて、要らないでしょ、と。 終盤、主人公たちが閉鎖空間に閉じ込められるのも、いや、いくら何でもどっかに逃げ道が無いわけないやんか、という場面ではあるのですが、そういうのを理屈で補おうとすればするほど、大抵ボロが出る。ので、ここでは細かい理屈は無視して、シチュエーションだけを映画にぶつけてくる。バカバカしさと紙一重の、恐怖。 ホラー映画では常套手段として、前触れなく突然襲われるような(実際は何でもなかったというカマシを含めて)我々をビックリさせるシーンがしばしば登場しますが、この作品では「驚きと恐怖とは別物でしょ」と言わんばかりに、あくまでジワジワ系の恐怖で勝負。 で結局、この作品が途轍もなく怖い作品に仕上がっているかというと、さすがにそこまででは無いですが、シンプルさの周囲をとりまく不条理、不条理ゆえのユーモア、ユーモアゆえの不気味さ、要は、わけのわからなさ。そういった魅力ですね。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-11-20 08:58:47)(良:1票) |
250. 存在のない子供たち
なんか、めちゃくちゃ言いにくい邦題なんですけど、何とかならなかったんでしょうか。 でも内容は、素晴らしいです。 基本的には、貧しさ、過酷さ、悲惨さ、というものに裏打ちされた物語、とは言え暗さ一辺倒にはならず、それどころか、そこにはしばしば、美しさと呼べるものもあって。 主人公の少年の表情、それは時に虚ろなものに見えるけれど、その微妙な陰影を映画はしっかりと捉えています。それ以上に、あの赤ん坊の何とも言えぬ表情と仕草。どう演出すれば、こんな「演技?」がカメラに収められるのか。 この映画の主張するところには賛否もあるかもしれないけれど、映画が映画として心打つものであれば、充分ではないか。という気持ちにさせられます。 [地上波(字幕)] 9点(2022-10-31 21:46:55) |
251. Fukushima 50
原作は門田隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』。当時の経緯を詳しく知りたいのであれば原作を読んだ方がいいだろうし(読みやすく書かれてるしね)、より冷静かつ俯瞰的に知りたければ、船橋洋一の『カウントダウン・メルトダウン』を読むのもよいでしょうし、NHKスペシャル『メルトダウン』取材班の『福島第一原発1号機冷却「失敗の本質」』などは、誰が良いの悪いのというのとは別として、事故の経緯に対する印象を一変させるかもしれません。あるいは別角度の視点として、高嶋哲夫の『福島第二原発の奇蹟』とか。 とは言っても、この『Fukushima 50』という映画は、原作本の内容をただ映像に置き換えて再現してみました、という訳ではなく、やはり、映画ならではの訴えるパワーをもった新たな作品として、しかしあくまで実話に沿ったノンフィクションとして、作られたものなんでしょう。 であれば、ウソを織り交ぜろとは言わないけれども、何かもう少し、「事実の再現」以外に、映画らしい演出があってもバチは当たらない気がするんですけどね。悲惨で絶望的な光景ばかりではなく、そういった光景に囲まれる中でふと目を上げれば、そこにはかつての美しい空があったり、自由に宙を舞う鳥がいたり。ってのはさすがにベタかもしれませんけれど、要は、対比、ですよね。 主人公の描き方も実にストレート。原作通りっちゃあ、原作通り。確かに、本店なり首相なりの(やや誇張された)愚かしい姿との対比はあるかもしれないけれど、ここには想定内の、我々の期待に完全に応えてくれるヒーローらしいヒーロー像しかない。同じ渡辺謙がかつて『硫黄島からの手紙』で演じた栗林中将が、我々の期待をはぐらかすようにいまいちヒーローらしからぬ人物、しかし(あるいは、だからこそ)印象的な人物として描かれていたことを、ふと思い出します。 この題材を、このタイミングで映画化して、それだけでも何かと難しい面が多々あるだろうけれど、その結果、こういう作品として仕上がって、ご苦労様なのですが、つい、「無難な冒険」、と呼びたくなってしまうのです。 [地上波(邦画)] 4点(2022-10-23 18:08:29)(良:2票) |
252. 砂漠の鬼将軍
そうか、デスラー総統の元ネタがヒトラーで、ドメル将軍の元ネタがロンメルなんだな。 と言う訳で、捕虜となったアメリカ軍人の語りによって、ドイツ軍のロンメル将軍の姿が描かれます。と言っても劇中において二人の間にほとんど接点が無いので、構成として効果をあげていると言えるかは、やや疑問。語り手の軍人が本人役で出演してる、ってのがミソで、あえてこの構成をとっているのも、「事実の重み」ってヤツなんでしょうかね。ただしナレーションをやってるのはご本人ではなく、プロの役者さんのようです。 映画の主人公が軍のお偉いさんが、となると、難しい顔をした軍幹部がテーブルに大勢並んで会議をやってる光景を想像してしまうのですが、そういう場面はあまり出てきません。そういうのを思い浮かべてしまうのは、日本映画からの連想なんですかね。 特にこの作品の場合は、ロンメル将軍を彼個人の姿として描く意図があるようで、だから、大勢が出席する形式的な会議よりも、ごく少数、場合によっては1対1の会話がしばしば登場します。さらには彼の、家庭人としての姿も。 あまりそういう場面ばかりだと、なんかちょっと、違和感を感じちゃうんですけどね。物事、こんな少人数で話し合って決めていっちゃって、いいもんなんだろうか。まあ、その辺は当然、映画としての演出の部分も多々あるのでしょうが、なんかイマイチ、将軍としての迫力が足りない気がして。 戦闘シーンは実際の記録フィルムが多用されていて、臨場感はありますが、ツギハギ感も否めません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-10-23 17:11:19) |
253. 風来坊探偵 赤い谷の惨劇
冒頭にニュー東映のマーク。ギザ付き10円玉を見つけた時のような微妙な嬉しさがありますね。 深作欣二の初監督作品、ということですが、後の実録路線などで見られるような手持ちカメラによる暴力描写はまだ見られません。まあ、サブタイトルが多少おどろおどろしいとは言え、基本はコミカル路線の作品ですしね。その代わり、俳優の細かい所作でもって、カットをどう繋ぐか、あれこれと工夫を凝らしたりして、才気はしっかり感じさせます。実際に雪山でロケしてるのも作品の雰囲気をしっかり出してるし、墜落したセスナ機を実物大で山の斜面に再現しているのには、ちょっと驚かされます。本物らしきセスナ機が登場するシーンもありますが、まさかこんな場所に着陸させて撮影したの?と、これもビックリ。 主演は千葉真一、こちらも初主演ですが、いやはや若い。もともと声にはそんなに貫録が無い人ではありますが、この頃はさらに甲高くて頼りないですね。しかし動きはさすがに機敏、殴り合いのアクションをキビキビと展開します。 一見風来坊の彼の正体は、セスナ機墜落事故の真相を追う私立探偵、だそうですが、そんな簡単に自分が探偵だと身分を明かしたり、依頼主についてしゃべっちゃったりして、よかったんでしょうか。よくは無いでしょうが、要はそういう、軽いノリ。ライバルとのやり取りのセリフも実にクサくって、まさにこれぞ、千葉真一。 これでもかと展開される銃撃戦、さらにはダイナマイトまで使用して、ド派手にブチかましてくれます。1時間ほどのいわゆる「B級」な映画ならではの、痛快かつデタラメな作品に仕上がってます。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-10-23 12:28:47)(良:1票) |
254. 記憶にございません!
総理大臣が「サラメシ」で、官房長官が「美の壺」ですか。これぞ、NHK党ならぬ、NHK内閣ですな。 ロッキード事件以来、お馴染みのこの「記憶にございません」というフレーズ。何が記憶に無い、だよ、記憶喪失じゃあるまいし、というツッコミもこれまで陰に陽に、何度も繰り返されてきただろうけれど、それをそのまんま物語の軸としてコメディにしちゃう、というのが、意外な盲点でした。なるほど、その手があったか。 総理が演説中に狙われる、という設定が、今となっては単純に笑い飛ばしづらい微妙なものがあるのですが、基本的には、政治家がこうやって茶化され、それが笑いになっているうちが健全なのかな、という気もいたします。おエラい政治家の方々が庶民とはかけ離れたムズカシイ話をしているからこそ、パロディも成立するのであって、国政がこの映画で描かれてるレベルだと本気で受け取る人ばかりになってしまっては、本来の可笑しさは伝わらない訳で。残念ながら世の中、その「伝わらない」方向にどんどん向かってしまっている気がするのですが・・・。 三谷幸喜はやっぱり舞台のヒト、ということなんでしょうか、脚本に色々と仕掛けを仕込んでおいて、あとは芸達者な役者さんたちが悪乗り気味に演技を繰り広げて笑いをとる。中盤に何度か長回しのシーンがあって、一種のコント仕立てのようになってるのもそういう表れ、なんでしょうけれど、やるならやるで、もっと徹底して長回しをキメて欲しかったかな、とも。多少なりともカメラがギクシャクしてしまうと、それだけでそのシーンが変に狭苦しく感じてしまう。 小ネタを入れて膨らませるのも、やや過剰なセリフを入れるのも、サービス精神の表れではあるでしょうが、やり過ぎるのも考えもの。単純にサービス精神なのか、それともスキ間があると不安になってネタで埋めてしまいたくなる性分なんですかね。場合によっては、ツラいけど削ぎ落すことも必要。全体的に、作品が間延びしてしまった印象も。 ま、でも、やっぱり、、、憎めないねえ。 テレビ越しの斉藤由貴のツッコミは、ナイスでした。 [地上波(邦画)] 6点(2022-10-10 11:29:13) |
255. 必殺4 恨みはらします
時代劇、ですけれども、「必殺」、ですから、例えば時代考証がどうのこうのなどと言い出す人はまさか、いないですよね。 と言う訳で、何でもアリなんだろうから、いっそ『魔界転生』みたいにブッ跳んだ時代劇を好き勝手に作ってしまおう、ということなのかもしれませんが、いや、それ、松竹じゃ無理でしょ。というのは偏見でしょうか。 いかにも魔界転生チックな分、ハードルも上がってしまい、ちと物足りない。でも歓迎します。でもでも、歓迎はするけれど、だからと言って楽しめるわけじゃない。やっぱり企画的に、必殺とは相性悪かったんでしょうか。 千葉真一が住んでる川のほとりの庵。これ、どこでロケしたんですかね? とかいうコトだけ、妙に気になる。小川が直接、海に流れ込んでるの? [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-10-09 10:32:54) |
256. 追跡(1947)
あくまで西部劇なのであって。全然ホラー映画でも何でもないんですが、映像が妙にコワい。雰囲気が暗い。冒頭からいきなり「追跡」されているらしい主人公、そこに至るまでの経緯が彼の少年時代から描かれていきます。何から何までが救いのない絶望の人生、と言う訳ではないけれど、人に憎まれるため、命を狙われためだけに生まれてきたような、暗い運命を背負った主人公。ロバート・ミッチャムの飄々としたイメージが、ここでは虚無的な表情へと繋がります。 ストーリーだけ見れば、いくら何でもそこまで彼が追い詰められる必然性は無いんじゃないか、ということになるのでしょうが、映像の力がそんな疑念を跳ね飛ばしてしまい、我々をこの悲劇の世界へと引きこんでいきます。 終盤の追跡劇が繰り広げられる荒野の光景も、凄いですね。 原題は「Pursued」。これは、追跡される主人公自身を表しているのか、それとも彼が追い求める「過去」を表しているのか。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2022-10-09 09:55:21) |
257. ピエロがお前を嘲笑う
《ネタバレ》 ネット犯罪の可視化、ってヤツでしょうか。あまりうまく映像化できているような気はしませんが。 とりあえず色々撮ってきて、編集でソレっぽくつなぎ合わせてみました、ということなのかどうかは知らんけど、チャカチャカした印象に残らない映像の数々。 ストーリーの方も、どうなんでしょうか。途中、部屋の壁に某映画のポスターが貼ってあって、これが伏線、というよりは、一種の言い訳になっている、という仕掛け。他にも伏線らしきものはいくつか。 と思ったら、まださらに続きがあって。もはや「どちらが真相」なんだか。清涼院流水の某小説じゃないけれど、もうどっちでもいいよ、という気になってくる。 そういうメタ性に対して、自覚があるのならいいんだけど、この映画からはそれも感じられず、いささか無邪気に過ぎるのでは。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-10-02 20:29:44) |
258. あなたへ
《ネタバレ》 一部のシーンでカメラがテレビドラマみたいに安っぽく見えてしまい違和感があったのと、ラストの「余計なオチ」に向かってセリフが増えて行ってしまい野暮ったくなったのとが、残念でした。あと、回想シーンが多すぎるかな、とも。物語の流れが滞る印象。 とは言え、もちろん誰もこれが健さんの最後の作品になるとは思っていないでしょうけれども、まるで別れを惜しむかのようにみんなが集まって、健さんを中心としたロードムービーが展開されるのが、味わい深い。 富山から長崎への旅。当然、日本海側を攻めていくんだろうなあ、と思ってたら、まるで違う予想外のコース。いや、大阪まで寄ってくれるのは結構ですが、大阪と言えばどうしても、グリコの看板出さなあきませんか。さすがに寄り道し過ぎ、どう考えても草ナギが悪い。 関門付近の風景はやっぱりいいですねえ。狭い海峡をひっきりなしに船が行き交いして、見てて飽きない。唐戸市場に行けば食い物は美味いし安いし。こんな場所で北海道物産展やって、大丈夫なのか? ついでに因縁の巌流島にでも寄って行きますかね? 佐藤浩市が最初から挙動不審のところがあって、これがラストの「オチ」に向けた伏線であったことに最後に気づく訳ですが、最初はそんな事とは思わないし、健さんの役が刑務所勤めなもんだから(この言い方は語弊がありますね。「おつとめ」ではなく、ホントの職業)、てっきり佐藤浩市はかつて富山刑務所で健さんにお世話になった一人だったんじゃないか、などと思ってしまったのですが。これって一種のミスディレクションだったんですかねえ。 余貴美子に託された写真が、どのように海に沈んでいくのか、というのを期待した私としては少し肩透かしで、「余計なオチ」と言いたくもなるのですが、ここは骨がキラめきながら沈んでいくシーンで充分、ということでしょうか。 田中裕子が、イイですねえ。でも出過ぎ。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-10-02 05:42:09) |
259. 戦後最大の賭場
《ネタバレ》 関西が舞台ということで、鶴田浩二と高倉健が関西弁で軽口をたたき合う場念があって、これが正直、少々違和感があるというか、この二人には似合わないような気がしてしまって、もう少し若い世代に主演をやらせてもよかったかな、と思わないでもないのですが。ま、でもこの二人の共演、ありがたく拝見させていただきます。 要は、昔気質で友情と信頼に結び付けられたこの二人と、巨大利権を背景にした経済ヤクザの台頭との対比、ってな感じですかね。盃をもらうだの返すだの、いくら言ったところで、時代の流れは止められない。経済、さらには政治へ。はい、そのテの役は、金子信雄の出番ですね。 クライマックスは任侠映画らしく殴り込みの場面、にはなるのですが、その後のラストシーンはちょっとホラー。主人公が歪んだ血濡れの鏡の向こうに自分の姿を目撃したとき、何を思ったか。結局は、自分達の古い「仁義」が、この事態を招いたのではなかったか。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-09-25 17:47:28) |
260. ポリスアカデミー
かつてTBS系列で放送されていた月曜ロードショー、曜日が移動して20~22時という気色の悪い時間帯になった途端、このポリスアカデミーシリーズばかりを狂ったように放送していた、という印象があって。実際には他の映画もたくさん放送していた(だから多分、金曜ロードSHOWにおけるジブリ作品ほどではなかったと思う)のですが。ほぼ惰性で放送されてるような状態で、我々にも「見ない」という選択肢はあったはず、にも関わらず惰性で見続けて、正直、どれが何作目か、よくわからん。でもシャロン・ストーンが4作目というのは何故か覚えてる。 そのシリーズの記念すべきか記念せざるべきか、とにかくその第1作。いくら作品ごとの区別がつかないと言っても、さすがに1作目は、随分久しぶりに見たけど、そうそう、これだよね、と。しかも残念ながら、意外にオモシロい(笑)。 まあ、ショートギャグ集みたいな作品ですからね。それなりに楽しめちゃいます。 80年代らしい、と言えばこのシリーズほど80年代らしい作品も無いのでは。というのが、当時10代だった私の印象。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-09-25 17:16:59) |