321. ピロスマニ
ピロスマニは実在した画家だったんですねぇ。 巧い画ではないのかもしれないが、グルジアの人々の生活が生々しく伝わってくる生きた画であった。 映画そのものについて言えば、ピロスマニという画家についてあらかじめ知っていた方が断然楽しめるかと思う。 やや暗めの映像がかもし出す雰囲気は、まさに絵画的で、寒々しいグルジアの風景と相まって、異国情緒をたっぷり堪能できる作品である。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-28 16:51:25) |
322. パサジェルカ
アンジェイ・ムンク監督の未完の遺作。 アウシュビッツ収容所における、女性看守と女性囚人との個人的関係を深く丁寧に描いている。 女性看守は、女性囚人に対して、基本的には同情の念を持っているが、それをすんなり受け入れない女性囚人に対して、時に辛く当たったりする。 まるで片想いの異性に対する接し方の様だ。 一方的な他人に対する関心は、恋愛感情に限らず、得てしてこうなりがちで、そういった人間関係の機微を感じ取ることができた。 そういう意味で、アンジェイ・ムンクの魂が込められた作品に仕上がっている。 それだけに未完で中途半端な出来具合というのが残念でならない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-01 18:37:14) |
323. 長靴をはいた猫(1969)
時代は感じさせるし、オチは読めるが、それでも独創性は感じられる。 ラピュタにも通ずる、ワクワクするような飛翔感。 そびえ立つお城を縦横無尽に飛んで跳ねる。 物語のリアリティとか、子供の教育に悪そうだなぁとか、そんな“大人な”大人気ない見方は、本作を観るにあたっては好ましくない。 そんなんあり得りえねょー!と思いながらも、心地良くなっていく自分がそこに居た。 それにしても、極小のキャラの使い方が巧い。 実に創作性に充ちた疾走感のある使い方。 これは地味に素晴らしい。 [DVD(邦画)] 5点(2009-10-14 00:43:29) |
324. 徳川いれずみ師 責め地獄
《ネタバレ》 これって、徳川モノ(江戸時代モノ)の異常性愛シリーズの中じゃ、いまいちでしょう。 “いれずみ”という題材だけで一本撮るのは、ネタ的に厳しいんじゃなかろうか。 『徳川女系図』『徳川女刑罰史』『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』と、この頃は石井輝男監督も立て続けに同系統の作品を撮るが、この作品で江戸時代異常性愛絵巻はネタ切れとなってしまった。 本作よりも、上述の三作品の方が、扱っているネタもバラエティ色豊かだった。 だが本作は、“いれずみ”ネタが最初から最後までひっぱられ、異常というより、単にいれずみ映画(?)になってしまっているのだ。 正直後半は、飽き飽きして長く感じてしまった。 それにしても、橘ますみは本作でも魅力タップリであった! 橘ますみほどエロかわいい女優さんは、他にはいない。 現代においても、もちろんいない。 橘ますみという可憐な女優さんを観るためだけに本作を鑑賞したとしても、それはそれでアリだろう。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-10-11 01:04:20) |
325. 略称・連続射殺魔
《ネタバレ》 これほど内容の薄い90分映画を観たのは久しぶりな気がする。 それだけ内容がない。 犯人の足跡をただ辿っただけの映像に、時折、思い出した様に入ってくるナレーション。 この組み合わせで90分をやってのける。 こんなのやってのけられたら、観ているこちらはたまったもんじゃない。 だがしかーし、退屈な内容とは裏腹に、1960年代後半の街風景をも映し出した本作は、これ以上なく私を刺激した。 戦後間もない雰囲気とも異なり、又、1970年代以降の高度成長しきった雰囲気とも異なる、私が観たことのない東京の街風景がそこにあった。 内容は全くもってボツだが、常に変化する東京という街の、瞬間的な街風景を世に残したという観点において、非常に価値のある1本であろう。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-06-11 22:12:54) |
326. ウイークエンド(1967)
自身のゴダール作品鑑賞数も本作で30本を数え、ついにゴダール30本を達成することができた。 その記念すべきゴダール30本目は、やっと観れましたの『ウイークエンド』だ。 60年代ゴダール作品としては、唯一未見として残っていたのが、大物の本作。 まあ、観られただけでも嬉しいかな。 ストーリーは当たり前の様に無視ということで。 印象的なシーンは、やはり中盤の長回しによる渋滞シーン。 耳をつんざく様なクラクションの雨あられ。 その渋滞の先にあったものは・・・ 何となくサスペンスな雰囲気に満ち溢れ、退屈なのに何故か目を離せない魅力に満ちている。 だけど、どこか退屈。 だけど刺激的でもある。 そんな不思議な魅力を持った作品だ。 しかしフランス映画は、やっぱり体を張った危険なシーンが無意味に出てくるなぁ。 本作でもその特徴は散見された。 一歩間違えたら撮影中に事故が起りそうなシーンの数々は、フランス映画のスパイスとしてどれだけの役割を果たしているのだろうか。 これだけのフランス映画、ゴダール映画を観てきた現在においても、それは判然としないのである。 さて、ゴダール30本達成に安堵の想いをはべらせつつ、本作のレビューを閉じたいと思う。 [映画館(字幕)] 5点(2009-04-04 20:54:20) |
327. 青春残酷物語
《ネタバレ》 そこそこ楽しめるんだけど、終わらせ方があまりにお粗末。 同時に男女が死ぬなんてこと有り得ない。 リアリティを欠く、都合が良いだけのエンディング。 それに、青春時代の持つ負のエネルギー感が、いまいち不足しているように感じた。 本当に残酷なら、川津祐介がもっと悪に徹してほしかった。 若いからこその、恐れを知らない残酷ぶりを発揮してほしかった。 [DVD(邦画)] 5点(2009-01-11 00:22:04) |
328. 恥
映像だけはとにかく美しいが、それだけ。 なんか、夫婦劇の様な戦争モノの様な、良くわかんない内容。 マックス・フォン・シドーは、あれだけのタッパとガタイで、あの弱いキャラは不自然すぎる。 あの太い声で泣き言いわれてもなぁ・・・ [DVD(字幕)] 5点(2009-01-10 21:28:08) |
329. 鉄砲伝来記
何だか全体的にはチンケなお話。 だけど、若尾文子とポルトガル人とのロマンスはなかなか良い。 自分がタイ・バンコクを旅行した際に実体験した、異国の異性とのロマンスを想いだしてしまった。 「若い男女には言葉の壁など存在しない。」 このセリフは、とても的を射ている。 やはり映画というものは、観る者の実体験とオーバラップした時、感動が呼び起こされ、又、それが男女間の話となると、切なくも甘い記憶がよみがえる。 そういう意味では、個人的に楽しめたが、いかんせん話がチンケすぎる。 特に東野英治郎の鉄砲うんぬんのくだりはどうでも良い。 まあ、題名が「鉄砲伝来記」だから仕方ないが。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-07-19 01:44:33) |
330. 新宿泥棒日記
《ネタバレ》 やっと観ることができた。 でも面白くはなかった。 良くもなかった。 当時の新宿をもっとリアルに細かく描写しているのでは?と勝手に期待していたが、期待はずれ。 新宿の野外シーンがもっと出てくるのでは?と勝手に期待していたが、これも期待はずれ。 紀伊国屋のシーンが多すぎて、当時の新宿の雰囲気とか喧騒とかが伝わってこない。 ところで、1970年前後の新宿、つまりは、野坂昭如辺りがたむろっていた頃の新宿を、ドキュメンタリーに映し出した作品ってないんだろうか? もしそんな映画が存在するのなら、是非観てみたい。 とにかく期待が大きかっただけに、かなり残念だった。 ATGなのだから、考えてみれば予想がついたことだが、前衛的な作風でなく、新宿で当時を起っていた様々な事象を、もっと客観的に描いてほしかったのだ。 唐十郎や麿赤児、そして横尾忠則など個性的な出演陣が出演している。 個人的には、どれも生理的に受け付けなかった。 その辺も居心地の悪さとして、観た後にもマイナスのイメージを遺してしまったようだ。 [ビデオ(邦画)] 5点(2008-05-25 23:35:27) |
331. 鏡の中にある如く
《ネタバレ》 精神病が不治の病という設定になっているので、現代の感覚からするとどうも入り込みにくいですね。 精神病患者の身の回りに起る出来事や心理的葛藤を解りやすく描いていますが、それでも解りにくいのです。 最後は神という言葉が連発し、観ているこちらは段々と頭が混乱してきます。 まるで、自分も精神病患者になったかの様に・・・ ベルイマン作品としては、特別映像が綺麗な方ではなかったのが残念です。 [ビデオ(字幕)] 5点(2008-04-11 10:38:06) |
332. 弥太郎笠(1960)
どうもマキノ監督の時代劇は肌に合わないようです。 しかしながら、丘さとみの可憐さ、躍動感溢れるチャンバラには目を見張るものがありました。 [ビデオ(邦画)] 5点(2008-03-23 15:04:44) |
333. 眠狂四郎無頼控 魔性の肌
成田三樹夫を目当てで鑑賞。 しかも私の好きな市川雷蔵が出ているとくれば、それだけで満足・・・のはずが、どうもなぁ・・・ まるで西部劇の主人公の様な眠狂四郎の強さ。 あまりに強すぎてつまらない。 しかし、娯楽作品として素直に観られれば満足できるはず。 それにしても、成田三樹夫の出番が少なすぎ! それが私にとっては一番痛かった。 やっぱり成田三樹夫はヤクザ役が一番だなぁ~。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-03-23 00:48:53) |
334. 徳川女系図
石井輝男監督の、一連の“徳川モノ”は、どうも面白さが理解できない。 そして、むやみに疲労感も残る。 本作では、橘ますみが出ていない分、見所もなく・・・ [映画館(邦画)] 5点(2007-11-30 10:00:47) |
335. アンナ・マグダレーナ・バッハの日記
ただひたすらクラシック音楽の演奏映像が垂れ流されるだけの作品。 クラシック音楽が好きかどうかで、点数が0点から10点まで割れるかもしれない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2007-11-15 13:06:32) |
336. 雪之丞変化(1963)
1935年の衣笠貞之助監督の方も観ましたが、こちらの方が分かりやすいですし、楽しめます。 長谷川一夫を元々好きではないので、1935年版と本作のいずれにおいても魅力は感じませんでしたが、55歳という年齢の割には衰えてなかったと思いますね。 それにしても、本作の若尾文子の綺麗なこと! [DVD(邦画)] 5点(2007-11-05 23:14:41) |
337. ギャング(1966)
ジョゼ・ジョヴァンニ原作でジャン=ピエール・メルヴィル監督という黄金コンビで撮られたフランス・フィルムノワール。 メルヴィル作品は雰囲気は最高なのだが、最後まで観てみると消化不良・・・みたいな作品が多いが、本作もその例外とはならなかった。 雰囲気の良さに免じて5点を献上したい。 [ビデオ(字幕)] 5点(2007-11-01 20:37:55) |
338. 怪談(1964)
第一話が一番良かった。 後は全体的に冗長気味。 特に『耳無し芳一』は退屈であった。 しかしながら色彩美と空前のスケールで造られたセットは見事だった。 [DVD(邦画)] 5点(2007-10-26 00:05:15) |
339. 世界残酷物語
期待していた程ではなかったですね。 テーマ曲もそれほど良いとは思えなかったですし。 [ビデオ(字幕)] 5点(2007-10-15 19:53:08) |
340. 熊座の淡き星影
本作でヴィスコンティの長編作品は『異邦人』を除き、全て鑑賞した! それが、ただただ嬉しい。 さらば、ヴィスコンティ! もうこりごりだ。 もう観ないぞ! [映画館(字幕)] 5点(2007-10-15 19:43:42) |