21. 死刑執行人もまた死す
本来込み入った内容のはずですが、くどくならないギリギリの分り易さをもって監督が観客に伝えてくれたおかげで、実に良質な緊迫感を楽しむことに集中できました。演出・構成上のこのバランス感覚はとても素晴らしいと思います。すんごく良作。 8点(2003-07-23 12:32:07) |
22. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
僕ごときの拙い感想文でこの作品にケチがつくのが怖いので、ちょっとだけ。なぜか、どんな一意の解釈で求めた答えを組み合わせても頑なに拒否されてるような印象を受けます。ですが一方で、作品を観た上でのどのような考え方でも見境無く受け入れてもくれる、そんな不思議な懐の深さを、この作品は持ってるように思えます。それぞれがすでに完成されているそれまでのシーンから、いろいろな要素の細い糸が自ら這い進むように寄り集まって現れた最後の数十分間は、陳腐な表現ですが僕にとってはまるで奇跡のようでした。様々な感情やいきさつなどを、数少ない言葉と表情のみで仄めかしきったデ・ニーロさんとウッドさんは、その体現者として役目以上の事をしたと思います。一生お付き合いできそう。 10点(2003-07-23 12:28:13) |
23. 屋根の上のバイオリン弾き
いろいろと感じたり考えたりしたとこはあるけど、ものすごい勢いで長くなりそうなので、一つだけ。もの悲しくも、とても前向きに開き直れる作品でした。いつの日か本場の舞台も観たいなぁ。 8点(2003-07-08 19:48:41) |
24. ヒート
僕とマイケル=マン監督の作品は、もうどうしようもないほど相性が悪いということを証明してくれた作品。まるでカッコ良いマネキン達に囲まれて工場の跡地に放置されてるような違和感。同監督の他の作品が駄目だとしても、好きな俳優さんテンコ盛りのこれならば大丈夫! と思ってはみたんですが見事撃沈。この監督さんのカラーが前面に押し出された時に見え隠れする人間観や社会・家族観に、少なからず抵抗を感じる。しかし、役者の皆さんへの演出なんかはわりと良く、個別にみればそれぞれにおいしく場面を作っているところをみると、本当に優れた監督さんなのだと思います。実際に出演者それぞれのファンの方に、カッコ良い役柄がある作品は? と聞いたときに本作を挙げる人はわりと多いと思う(僕自身もそうです。デ・ニーロさんやサイズモアの兄ジャなど、けっこーイイ感じ)。本作に限って言えば、個々は良くてもカラミが駄目すぎだという印象(特にコンフリクトの解決及びその周辺のところ)。 4点(2003-07-08 19:37:40)(良:1票) |
25. ヴィドック
ドパルデューさんの鯨殺法に萌えました。いや、けっこー頑張ってたと思います、本気で。プロレスっぽい動きがいくつか見受けられましたが、どうせやるならウィスパーオブザウィンドやラストライド、F-5あたりを炸裂させて欲しかった(ムチャ)。CGで酔っちゃったのと、スジやオチが予想以上に平凡なのは珠にキズ。でも映像そのものとしては(たとえオジさん達のアップが濃いかろーが)不思議と奇麗だと思いました。 5点(2003-07-08 19:23:37) |
26. さびしんぼう
ちょっとウレシハズカシなオーラ漂う前半と、すべてが収束していく後半では、全く違う作品のような印象を受けました。人が人を好きになるときには、誰のたもとらにもさびしんぼうがいるんですねぇ。ロマンティックに美化されているとはいえ、そんなことをふとほんとの事のように錯覚しそうになるほどムードがイイと思います。本作の富田靖子さんの透明感は秀逸。 8点(2003-07-08 19:17:01) |
27. じゃりン子チエ
実家にいたころテレビで繰り返し再放送されていて、この前ふとレンタル屋で見かけたので、懐かしくなり借りてしまいました。小さなエピソードがイヤミなく積み重ねられて、いつも観ているうちに自然とノスタルジックな気分に浸れます。そしてそれがまた心地よい。本作をはじめ、クレヨンしんちゃんのいくつかやオネアミスの翼、風が吹くときなど、秀作アニメには心に残るものが多いです。まぁ、本作は一個の作品というよりは原作コミックの前半部総集編に近い形なのですが。久しぶりに古本で集めた原作を無性に読みたくなりました。 8点(2003-07-08 19:14:53) |
28. ミッション
言葉を意図的に少なくした(と思う)静かな画造りが、背景の深い緑とあいまって、とても美しく印象的でした。主役お二人の最後の沈黙と眼差しは、どんなに言葉をつくした叫びよりも雄弁だったように思います。いや、ほんと素晴らしい。かなり作品に入り込んでしまって、見終わった後で泣いてたのに気づきました。初めての経験にビックリ。 9点(2003-06-03 15:49:52) |
29. アナライズ・ミー
こういうゆるい作品って、個人的にはとても好きな部類です。デ・ニーロさんとクリスタルさんの掛け合いもテンポ良く、息が合ってると思いました。デ・ニーロさんの情けなさ炸裂する豪快な泣きっぷりは、彼のファンなら一見の価値はあるかもです。こんなデ・ニーロさんを見られただけで、僕は幸せ。逆に、出演者や製作サイドのファンなど良い方向の思い入れが無いか、マフィアもののパロディが解りづらいという方は、ひょっとしたら評価が一気に下がるかも、とは感じました。いろんな意味でキャラ優先が目立つ作りだとは思います。にしても、リサ・クドロゥさんをもっと観たいと思ったのは、僕だけではないはず。 7点(2003-06-03 15:46:08) |
30. ズーランダー
良い意味で、とても豪華なコントを観ているような作品だと思いました。出演者の皆さん一人一人のノリにとても勢いがあって、最後まで笑いっぱなし。カメオ出演メンバーの豪華さもご立派です。それにしてもベン・スティラーさんとオーウェン・ウィルソンさんのコンビはほんと息が合っていて、観ていて安心っていつも思います。人類はマッキントッシュにさえモノリスの神秘を感じ取れるということを示唆する、実はとても意義深い作品(ウソ) 7点(2003-06-03 15:42:15)(笑:1票) |
31. フィッシャー・キング
現代を舞台にした、とても質の高いおとぎ話だと思いました。印象的で奇麗な場面がいくつもありましたが、特に駅での舞踏会と病院でのリディアとパリーの再会は、個人的にとても素晴らしいと思います。駅でのシーンの、魔法が解けたかのように一瞬で元の風景へと変わっていく場面の移りかたには、夢のはかなさが実に効果的に表現されてると感じました。ジャックが一生懸命理由を探して、やっと友人を助けたいと思ってる自分に気づき、そこにありふれた自分自身の安息を見付けたときに、劇中のフィッシャーキングのお話の本当の意味に少し近づけたように思えて、ほっとしたような気分になったのが不思議といえば不思議です。ギリアム監督っぽくないといえばそんな気もしますが、この方の人に対しての視線は、冷めててそのうえ毒に満ちてるようでいて、実際の所は意外なほど優しいような気が(個人的には)してるので、僕的にはOKです。すごく良作。 9点(2003-06-03 15:39:42) |
32. ブギーナイツ
設定が設定だけにちょっと引きそうになりましたが、その実、予想外に上質な群像劇だったのは嬉しい誤算。状況次第でどうとでも染まっていく人の心が、素直に画面から伝わってきたように思います。ディグラーさんの落ち目っぷりとその後の再出発は良い意味で単純。生きていく上での浮き沈みなんて、案外シンプルだったりする所もあるのでしょうし、くどすぎないのは好感持てます。傷もちながら肩寄せ合っている者同士の、端から見れば家族ゴッコのようなものでさえ、当人たちにとっては居心地の良い古巣なのでしょう、たぶん。どうでもいいことですが、良識人ぷり全開のあの人が、店で死体からお金を掠め取っていく様を見て、そうだよねぇ、などと何となく納得した僕はきっと駄目人間。 8点(2003-06-03 15:34:51) |
33. フル・モンティ
話のテンポがなぜかとても冗長に感じてしまいました。展開として同じようなやりとりが何度も繰り返されていたように思いましたが、それがどうも効果的に働いてたように思えませんでした。それでも、みなさんがだんだんとダンス(というかストリップ)にのめりこんでいく様子はとても愉快で、丁寧な作りだと思いました。最後のスポポンぶり(ほんとにラストカットだけど)はなんとなく爽快。一見の価値有りかも。 5点(2003-06-03 15:30:47) |
34. 真夜中のカーボーイ
とてもアメリカンニューシネマらしい作品だと思いました。寒さと陰鬱さを表わす冬の都会と、ラッツォが想像してる望み通りの暖かい楽園のフロリダ。この対比で二人の中にある挫折や孤独、ごまかしや逃避がいっそう鮮やかに伝わってきたように感じました。想像の中のフロリダで、いつも一人で楽しんでたラッツォが、いつしか二人で楽しそうにはしゃぐようになっていく。暖かなフロリダは、本当はすぐ近くにあったのかもしれないと思えてなりません。皮肉っぽいほど淡々とした曲調のテーマがいつまでも耳について離れません。どうしよう。 9点(2003-06-03 15:25:55) |
35. グッドフェローズ
長さを完全に意識させないテンポの良さとそれを加速する音楽の使い方、そして残酷さを軽めの見せ方でさりげなく纏め上げるスコセッシ監督の演出がとても素晴らしいと感じました。カジノの感想にも書きましたが、作品としてのまとまりや勢いなどは、こちらの方が明らかにできが良いと思います。リオッタさんは野心の強い小悪党ぶりを遺憾なく見せつけ、ペシーさんはまるで躁鬱かのような二面ぶりを発揮しキレまくり、デ・ニーロさんの内側をちらつかせるだけの腹芸は彼の信者である僕としては万歳三唱ものです。とても力のある作品だと思います。どうでもいいことですが、片面2層のDVDを早く発売してほしいものです。 9点(2003-01-05 14:30:28) |
36. 容疑者(2002)
要点を絞りたいのかそうでないのか、ちょっと演出の意図が掴みにくかったです。要点が絞りきれなかったがために、余計に作品に潜在するアラを目立たしてしまった感じに思えました。ですが、デ・ニーロさんとジェームズ・フランコさんは、僕にはとても良い仕事をしてるように思えました。マクドーマンドさんは勿体なさすぎ。親子ものには弱いので、おまけしてこんだけ。どうでもいいですが、今年公開の作品の中では、ほぼワーストの邦題だと思います。 6点(2003-01-05 13:59:10) |
37. 暗い日曜日
もの悲しいお話です。恥ずかしながらヨーロッパ映画界についてはからきし疎い僕ですが、この作品のイロナ役とラズロ役の方はとても印象的で、お二方の演技に引き込まれました。また、観客を決してバカにしてるのではない分り易さで作品を伝えてくれようとする監督の演出には、とても好感が持てました。作中で暗い日曜日という曲のメッセージについて言及がありましたが、僕には考えられる限りもっとも間の悪い時に訪れる慰めのように思えてなりません。印象深い、とても良質な作品だと思います。 8点(2003-01-05 13:26:06) |
38. いとこのビニー
マリサ・トメイさんがとにかくカワイイ。これだけで3点献上。法廷での逆転劇は、最後の車の所以外は、正直なところ崩し方が読めてしまうのですが、ジョー・ペシーさんのあの独特な口調でまくし立てるのを存分に堪能できるので万事OK。ペシーさんラブでさらに3点献上。コメディとしても安心して楽しめたので1点。合計こんだけ。 7点(2003-01-05 12:50:20) |
39. オーロラの彼方へ
序盤の調子からただのノスタルジックな作品かと思いきや、その実、意外と良質のサスペンスな展開は良い意味でだまされた気分でした。この作品の設定は、細かいところに目をつむればとてもナイスな発想だと思います。力業なアイディアに感服しました。ケッコー良作。 7点(2003-01-05 12:37:01) |
40. 鬼が来た!
村人や軍関係者達の間に少しずつ積み重なってきた綻びのような破綻が、様々な要因で急転直下の収束を迎え狂気の沙汰演じるまでの流れは見事でした。そしてマーさんがもっとも嫌い泣き叫んでまで拒否したことを彼自身が行ってしまう。魔がさすとは言い得て妙で、鬼は形を持ったものではなく、いつの間にか人の心にすり寄っているものなのかもしれません。ゴロンゴロンした後、マーさんは全てを昇華できたのでしょうか? 首筋に這っていた蟻はそれを拒否してたのだと思う。なぜか地下水道を観た後と同じ感情を持ってしまった。目指したものは違うはずなのに。 9点(2003-01-05 12:25:01) |