21. グリーン・ランタン
《ネタバレ》 宇宙警察機構<グリーンランタン>。無敵の指輪と充電器。主人公ハル・ジョーダンは、お調子者だが腕は確かなテストパイロット。そんな彼が、何者かの導きにより不時着した宇宙船を発見したことから、物語が動き始める。宇宙船に搭乗していた異星人は瀕死の重傷を負っており、ハルに勇者の証たる「パワーリング」を託し息を引き取る。「栄誉と責任ある役目」を引き継ぎ、無敵の能力も手に入れてしまったハルは、宇宙警察機構<グリーンランタン>の一員として活躍することとなる。最大の見どころはブレイク・ライブリーの美しさだったりする。ドラマ、アクション、CGともまあまあ及第点のレベルであるとは思う。でも全身真緑ベタのコスチュームはどうにかならなかったのか?ヒロイン、キャロルのもとへ緑一色になったハルが初めて訪れた際のやり取りは笑った。アイマスク程度の変装しかしていない元カレを、たったの10秒で見破るのは当たり前だと納得。酷評されていた本作だが、それほど幻滅することなく最後まで観れた。...のだが、もう一歩踏み込みが足りないか...。映像面では、<グリーンランタン>の基本装備である「パワーリング」は、装着者に意志の力を具現化する能力を与えるのだが、単純な武器や壁を作り出すだけで勿体ない。もっと天変地異を起こすとかダイナミックな映像を見たかった。物語面でも、幼馴染同士が敵味方に分かれて戦うシチュエーションを用意したのに尻すぼみ感全開。ラスボスも、実は不死身の一族のうちの一人のなれの果て、の割には呆気ない最後。惜しい! [DVD(吹替)] 5点(2016-12-22 12:22:35)(良:1票) |
22. 世界にひとつのプレイブック
再起に向けての指南書。過去の傷、現在の人間関係、希望ある未来。妻の浮気現場を目撃し、浮気相手に暴力を振るって精神病院に収監されていた元教師パット。夫を事故で失ったショックから職場の全員(男女問わず)と寝てしまい、解雇されたティファニー。そんな二人が友人との食事会で出会うことになる。暴力沙汰で妻への接近禁止命令まで出されてはいるが復縁したいと願うパットは、妻と交流のあるティファニーに復縁を取り持ってもらおうとする。だが、交換条件で一緒にダンス大会へ出場しようと要望され、振り回されることに...。イカれた男女の恋模様は、笑えて泣けて切なく、最後まで素敵な物語だった。ティファニーが以前のようにパットを誘った際、妻しか見えない彼は誘いを断る。彼女は、彼女の弱みに漬け込まないパットだからこそ、徐々に惹かれて行ったのだろう。ラスト間際、パットとティファニーが出場するダンス大会のシーンは印象的。練習もろくに出来なかった二人の対戦相手は強豪ばかり。そんな状況でも晴れやかに誇らしげに踊る二人の姿は、輝くばかりに感動的だ。そしてあの点数で皆が大喜びすることになるのは...見てのお楽しみ。また、二人の周囲の人たちもイカれた人間だらけだ。賭け事に熱中しジンクスを重んじるパットの父。家族を愛しているが何も言えないパットの母。結婚の理想と現実のギャップに苦しむ友人(ティファニーの義兄)。精神病院から何度も脱走する患者。しかし、彼らのキャラクターはリアルで、どこか愛しく、誰一人悪人が居ない。観客も最初は彼らを傍観するだけだが、彼らの荒っぽくもコミカルな掛け合いを観ているうち、いつしか応援し、物語にどっぷり浸ることになる。最後まで彼らはイカれたままだが、希望あるラストが描かれる。素敵な物語だと思う。ハナマル! [DVD(吹替)] 8点(2016-12-03 22:46:37) |
23. トランセンデンス(2014)
《ネタバレ》 人間は理解できないものを恐れる。最先端の人工知能の研究者であるウィルは、その技術を恐れる過激派テロリストの襲撃に合い、余命僅かの身となる。同じ研究者である妻エヴリンと親友マックスは、そんなウィルの死を否定し、意識を最先端のスーパーコンピューターに移植しようとする。何とか移植は成功し、ウィルの意識はコンピュータネットワーク世界で生き続けることとなる。やがて膨大なあらゆる知識を手に入れた彼は、驚異的な進化を遂げて行く...。人間にとって当然のごとく「善」として創造された人工知能が、自分の意思と高度な能力を持ち行動するようになると途端に「悪」となる。『ターミネーター』『マトリックス』などを彷彿とさせる王道プロット。実は善悪とは絶対的なものではなく、見る側によって異なる。人工知能側としては、自分の「善」を信じての行動なのだろう。本作は、最後の最後まで人間(更には地球)の味方であった人工知能を、危険と見做した人間による破壊行為にテーマが置かれているようだ。最先端技術の映像も地味ながら美麗で、ナノマシンの表現も未来を感じさせるものだ。でも、ウィルを愛し、彼を生き永らえさせることに心血を注いできたエヴリンですら、彼を最後まで信ずることが出来なかった。相手が未知のものであると感じた時点で、人間は恐怖を感じてしまうものなのか?こんな感じでコンセプトも映像表現も好きな部類のものなのだが...。ナノマシンの効力が人体だけでなく、機械にも及ぶ修復能力を持っており、資源が無くても構築できたり万能過ぎて説得力が無い。ラスト間際の襲撃シーンも、「ハイブリッド」VS人間の軍隊の馬鹿っぽい攻防戦に終始してしまい、B級感が漂う。また、前半で人類のためとして多くの殺人を犯したテロリスト集団が、罰せられないばかりか、後半はヒーロー的な扱いになってしったのには納得がいかない。「本当に恐ろしいのは人間だ」と言いたいのだろうが、実は彼らのお蔭で全世界が大停電による文明崩壊に至る訳で、更にどれだけの人間を殺したことだろうか。ドラマ構成がイマイチで残念。 [DVD(吹替)] 5点(2016-11-27 11:30:52) |
24. ステップフォード・ワイフ(2004)
妄想を実現することの恐ろしさ。TVプロデューサーとして活躍していたジョアンナ。だが、彼女が企画した番組のせいで事件が発生したことで、退職を勧告されてしまう。気落ちした妻をの身を案じ、夫のウォルターは妻とともに職を辞して郊外の高級住宅街へ移り住む。新天地ステップフォード。街並みは美しく整備され、住人たちも穏やかな善い人ばかり。だが何かがオカシイ。住人の妻たちが妙に(男にとって)理想的な女性たちなのだ。そして、徐々に街と住人たちの秘密が明らかになっていく...。社会的地位の高い職業に就いていた、優れた強い女性の夫たちのコンプレックスが物語の核となっている。結構序盤の方でネタバレするので、観客は秘密を知った上でコメディを楽しむことになる。理想の女性をモノにすることを妄想するのは罪ではない。妄想を実現する(理想を他人に強制する)ことが罪なのだろう。最後の最後にプチどんでん返しもありヤラレタ。でも、舞台が'60年代くらいの過去なのか近未来なのか判然とせず、レトロフューチャー的な世界観を狙ったんだろうけど、中途半端だった点が残念。あと一歩。惜しい。 [DVD(吹替)] 5点(2016-11-22 00:42:36) |
25. グラン・トリノ
自分が犯した過ちへの、正しいケリのつけ方。感動以上の感情は、一人で噛みしめるものらしい。妻に先立たれ、自分も余命僅かだろうことを自覚した男ウォルト。彼の自宅の隣に、異文化を体現したような東洋人が越してきたことで物語は動き始める。毛嫌いしていた隣人たちとの交流により、彼は新しい価値観を見出す。人生最後にできた若い友人。ウォルトは自動車工場に長年勤め、戦争で敵兵を殺したことも公言する。裕福でも、高学歴でも、由緒正しき家柄の出でもない。だが、彼は常に自分のことは自分で決め、一握りの財産を大切にし、そして責任を全うしようとしている。題名となっている『グラン・トリノ』という車も、その僅かな誇らしい財産のうちのひとつだ。若いタオに親切にすることも、彼には一人の友人として当たり前のことなのだろう。タオが同族の不良どもに付きまとわれて困っているとき、良かれと思って行なったことで、事件が起きる。逸るタオに彼は言う。「冷静になれ。考えろ。作戦をよく練るんだ。」隣人への償いのために、過ちを犯した自分へのケリを付けるために、彼は一人命を掛けて行動に出る。彼の静かな戦いは、まさに「本当に格好いいとはこういうことさ」ということそのものだ。そんな彼は「旧き良きアメリカ人」(またはアメリカそのもの)の具現者だった。ハナマル。 [DVD(吹替)] 8点(2016-11-20 13:36:01) |
26. テルマ&ルイーズ
《ネタバレ》 メキシコへの道のりは遠く、行きつく先は断崖絶壁。不条理な現実。不運の積み重ねで運命が一変してしまうことは、誰にでも起こりうる。冒頭の会話シーンだけで彼女たちの性格や親密さ、置かれた状況が自然に理解でき、これからの展開を期待させる導入部は見事。思わぬ殺人から逃亡劇は始まり、だんだんと引き返せなくなっていく展開も、人物描写が深く掘り下げてあるお蔭で、なぜ2人が犯罪を犯すことになったのか、なぜお互いがお互いに付き合うのか理解できる。当時の女性の立場や差別を適度に盛り込み、追われる身となって初めてテルマの心が解放されていく様子や、そんな彼女を手放しで喜ぶルイーズの優しさには感銘させられる。観客もこの時点は、2人の逃亡劇にすっかり魅了されているのだ。2人を追うこととなるハル警部は、最後まで本気で2人を救いたいと願い続けていた。彼女たちは本来は普通の女性だと彼には分かっていたのだろう。彼は観客の代表であるかのようだ。ラスト間際、2人の車を追いかける彼の後ろ姿は痛々しい。結末は衝撃的であるが、同時に心地よい開放感も感じさせるものであった。ハナマル! [DVD(吹替)] 7点(2016-11-15 22:01:35) |
27. レヴェナント 蘇えりし者
《ネタバレ》 「おれはもう死を恐れない。一度死んでいるからだ。」事実に基づく物語とのこと。舞台は開拓時代のアメリカ。罠猟師グラスは、息子を連れ、毛皮を求める仲間らとともに長期の狩猟に出る。先住民の襲撃を何とかやり過ごした彼らだが、グラスは森の中で母親熊に襲われ瀕死の重傷を負う。仲間とのちょっとした不和から置き去りにされ、その際、息子も殺されてしまう。何とか息を吹き返したグラスは、息子を殺したフィッツジェラルドに復讐するため、極寒の山中を這いつくばりながらも追跡し始める...。冒頭の襲撃シーンを始め、臨場感が物凄い。未開の地を舞台としたサバイバルは、熾烈を極める。立ち上がることすらままならない傷を負いながらも、口に入れられるものなら何でも食べ、彼はフィッツジェラルドを追い続ける。腐っていく身体と極寒の地。苛烈さを極める状況に陥りながらも彼は追い続ける。描写は痛いの一言。切り傷、打撲、擦過、凍傷、ありとあらゆる痛みが観客を襲う。どちらかというと、復讐劇より、サバイバルが主体な感じ。そして宿敵との対峙。まさに死力を尽くした戦いを繰り広げ...。また痛い。ラストは観客をまっすぐ見据えたグラスのアップで終わり。本作では、ディカプリオはまさにグラスそのものだった。寒さを凌ぐため潜り込んだ死んだ馬の体から這い出し、空を見上げるシーンは、この世に生れ落ちたかのよう。鑑賞後の気分があまり良くはないので、万人におススメできないが、一見の価値はある内容だと思う。 [DVD(吹替)] 7点(2016-11-08 22:57:36) |
28. マイ・インターン
人生のサプリメント。ファッションサイトを経営する会社のCEO、ジュールズ。その会社にシニアインターンとして、70歳のベンが入社することになり...。「歳下の上司」と「歳上の部下」の友情が様々な問題点を好転させていく物語。起こっている問題は、身近にいる者たちの身近で深刻な問題だ。恋人のこと、夫婦のこと、子供のこと、将来のこと、そしてジュールズにとっては経営のことも。観客にとっても身近な悩みが描かれてゆく。これらの諸問題を解決してゆくキーマンは、もちろん70歳のインターン、ベン。頭が良く、嫌みが無く、非常にチャーミングだ。ベンは短い言葉で的確に助言を行ない、その言葉には説得力がある。しかも説教臭くない。会社の経営で忙しく家族を大事に出来ないジュールズは、ベンによって変わって行く。夫婦や家族にとっての大きな困難も起きるが、最後はハッピーエンドに。ジュールズが苦難を乗り越えて行くとともに、観客自身へも人生に役立つ何らかのヒントをくれる。何も考えなければ、そんな優良な映画なのだが...。不満点も結構あったりして。ネット業界のような最先端で活躍しているような企業が、なぜ雇用後の職種も未定の者を雇うのかが不明。ネットの専門分野で活躍していたベテランを雇うなら分かるが、初歩的な技能も持たない社員を中途採用するなんて、まかり間違えばお荷物社員の誕生だ。ぼーっとしてるだけで良い社員を雇うほど余裕がある会社ならジュールズが経営で悩む必要もないよなぁ...。サラリーマンやってる身としては甚だ疑問だ。また、親しくなり始めたジュールズとベンの関係性も無理がある。まさに公私混同で、お互いの家に招かれたにしても不用意に出入りする。アメリカ企業の実情を知らないのだが、こんな感じの上下関係の会社が多いのかなぁ...。あと、自分で会社を立ち上げて成功させてきた強いアメリカ人の女性なら、旦那と不和になったら裁判・離婚だろうに。最近はそんな感じなのか?まあでも、最後は観客も含めみんな幸せになれる物語は好き。何も考えずに観るが吉の映画ってことで。 [DVD(吹替)] 6点(2016-11-06 17:07:14)(良:1票) |
29. 10 クローバーフィールド・レーン
共通点は「巨大な何かに夜襲われる」。恋人とケンカ別れし夜道に車を走らせるミシェルは、何かにぶつかりクラッシュする。ミシェルが目覚めると、適切な治療をされ見知らぬ部屋に手錠でつながれていることに気付く。彼女を助けたと言う男ハワードが現れ、ここがシェルターであり、何かの攻撃を受け世界が破滅したことを知らされる。外は危険だからと外出を禁じるハワード。そしてもう一人の同居人エメット。ミシェルは、彼らの言葉を信じるべきかどうか悩む。そんな3人の奇妙な共同生活が始まるのだった...。ほぼ3人で展開する物語は、密室劇だ。善意で助けられたのか、悪意で閉じ込められたのかも判然としない。外では何かが起きているとしか情報が無い。こういった状況での共同生活は疑心暗鬼を生む。『ミスト』『SAW』『CUBE』などを想起させ好み。脱出劇、サスペンス的な流れまでは良かったのだが、やっと...。????。何だろうか、この「やっちゃった感」。メイン3人の俳優の演技が良かっただけに、残念感も一入。イマイチ! [DVD(吹替)] 6点(2016-11-03 21:17:39) |
30. IAM A HERO アイアムアヒーロー
《ネタバレ》 「映画秘宝」の記事で注目。久し振りの邦画だが、非常に楽しめた。有名コミックの実写化なので不安な予感もしたが、全く問題なし。原作は未読。主人公・鈴木英雄は、30過ぎても芽が出ない売れない漫画家。今はアシスタント生活を送っており、新作の持ち込みも上手くいかない。同棲する彼女にも愛想を尽かされ仲は最悪。ついに彼女から部屋を追い出されてしまう。そんな冴えない日常を送るサエナイ男を待ち受ける運命は、想像だに出来ないものだった...。海外の複数の映画祭で観客賞などを取っているようだが頷ける内容。まず、主演・大泉洋の演技が素晴らしい。主人公のキャラクター、その時々の心情などを見事に演じている。今を時めく、長澤まさみ、有村架純のダブルヒロインを相手に一歩も引けを取らない。もちろん、女優陣も魅力的だったけどね。次にアクション。グロいシーンの連続ではあるが、アリエナイ動きのZQNたちを相手に展開される肉弾戦は見ものだ。素晴らしい描写力と間の取り方で観客を飽きさせない。特にラスト間近、決意した英雄が繰り広げる地下通路のアクションは興奮必至。でも、タクシーのクラッシュシーンは大袈裟すぎかな。乗客は絶対助からないと思う。演出(編集)も良い。TVから流れるニュース番組を使った状況説明や、主人公が日本で銃を持っている理由などが丁寧に描かれており、違和感なく物語に没入できる。このように絶賛に近いが、それでも腑に落ちない部分もある。ZQNたちの身体能力の増強に説明が全くなく説得力が無い点。特に「高跳び」は、やり過ぎかな。そして、主人公たちが体力有り過ぎな点。英雄なんかしがないアシ生活で運動不足だと思うのだが、女子高生をおぶって行軍できるしね。この手の物語は、非日常的な事象をいかに観客に納得させるかがミソだと思うのだが。それでも、見どころ満載で絶対見て損はしない。ハナマル! [DVD(邦画)] 8点(2016-11-03 18:19:25) |
31. デッドプール
面白かった。何も考えずに気軽に観れるヒーローものが少なくなってきたからね。物語の構成も観客を飽きさせないものになっている。主人公ウェイド・ウィルソンが能力を手に入れるまでの経緯を、だらだら時系列に沿って見せることはせず、最初からバリバリとアクションで魅せてくれる。そして観客の気持ちが温まったところで、彼がいかにして不死身となり、あの赤いコスチュームに身を包むことになるか、が丁寧に描写されるのだ。映画ファン、コミックファンへのサービスも満載。主役のライアン・レイノルズが出演した『ウルヴァリン X-MEN:ZERO』『グリーンランタン』絡みのギャグを始め、ファンが楽しめる小ネタが、嫌みにならない程度に随所に散りばめられている。あと、ヒロイン、ヴァネッサとの「純愛」も、物語にいい感じのエッセンスを与えている。おススメの一本。 [DVD(吹替)] 8点(2016-10-10 13:58:53) |
32. ヒックとドラゴン2
珠玉の一本とした前作に劣らず、本作も間違いなく素晴らしい内容ではあるのだが、物足りなさを感じた。本作では少年と大人の中間にいるヒックの心情がメインに描かれており、前作で印象的だったドラゴンの飛翔シーンや、個性的な仲間たちとの関わりが控えめになっているのが原因かな。本作のテーマは「大人になるということ」だろう。父親から次期族長としての将来を期待されながらも、ヒックは自分自身にも、進むべき道にもまだ納得できない。本作は、ヒックが大人になるために用意された物語だと考えると、やはりあの「開放感」が控えめになるのは仕方ないのだろう。ネタバレになるので抽象的な言い方になるが、「大人になるということ」は、大切なものを失うことで生まれた責任を果たすために、別の大切な何かを捨てなければならない、ということだ。もう無邪気な子供ではないのだ。そしてトゥースにもまたヒック同様、試練が訪れる。この大きな試練を2人が乗り越えることで、ヒックとトゥースの間に真の絆が生まれることになる。まあ、何だかんだ言っても見て損は無い映画ではあるので。 [DVD(吹替)] 6点(2016-09-21 23:52:57)(良:1票) |
33. X-MEN:アポカリプス
《ネタバレ》 悪評も聞こえるが、丁寧な作りで非常に面白かった。ちょっと冗長で間延びした部分はあるが、全体を通してワクワク感があり、最後まで飽きずに楽しめた。ただ、シリーズを通して観ているファンでないと物語を追うのがキツイかな。ミュータントのキャラ多すぎで区別が付かない。絶対。あと、序盤の古代エジプトの件と、ラスト間際の世界崩壊の件は、なんだか観たことありな映像表現で残念。もっと大スペクタクルな演出も出来たと思うのだがね。これがシンガー節か。心に残ったキャラについて。チャールズ「プロフェッサーX」は、今回はちょっと災難続き。意識を乗っ取られたり、簡単に誘拐されたり、仲間に迷惑かけまくり。それでも泰然と出来るのが「プロフェッサーX」なんだけど。モイラとは、今後いい感じになっていきそうだね。エリック「マグニートー」は、やっぱりフラフラ。善玉、悪玉を行ったり来たりでいつも通りな感じ。彼は新旧シリーズ通して毎回同情する状況に襲われ、気の毒。でも、子供はほかにもいるみたいだよ。レイブン「ミスティーク」は、深く描かれていて大満足。指揮官としての才能も発揮しつつあり、いかにもメインキャラって感じだが、後の作品ではマグニートー一派「ブラザーフッド」に合流し、悪玉になってしまうんだよな。本作踏まえて過去作観ると違った観方が出来ると思う。エン・サバー・ヌール「アポカリプス」は、世界を裏から操った方が良い。確かに、転生・拡張・再生・転移・読心といった能力は強力だが、最後には倒されてしまったように、各能力単体での総合力は大味。『ファーストジェネレーション』のセハスチャン・ショウの方が偉大に感じるので、もうすこしラスボス感が欲しかったな。カート「ナイトクローラー」は、大活躍。登場してからラストまでテレポートしまくりで完全なキーマン。相手の攻撃を躱し、移動不可能な場所に移動し、仲間を救出し。本作では最強な能力なのだが、肝心なシーンでは気絶するか、まったく。ピエトロ「クイックシルバー」は、本作唯一の面白キャラ。学園の爆発時に皆を助ける高速移動シーンが大好きだが、ちょっと長すぎ。双子のお姉ちゃんは今後も出演ないのかな。ジーン「フェニックス」は、まさに最終兵器。最後までその能力の制御が難しいが、本当の意味でのリーサルウェポンとして覚醒する能力を垣間見る。そして『ファイナル・ディシジョン』へ。スコット「サイクロップス」は、やっと脱ヘタレ。以降のX-MENのリーダー的存在となる片鱗も見せ、やっと存在感が出てきた。今後に期待できるかな。「エンジェル」「ハボック」は、扱いが雑でちょっと不満。あと、ラストで出てきたロボットはセンチネルの試作機なのか?十分楽しめる内容なので、映画館で観ても損なし。 [映画館(字幕)] 7点(2016-08-11 23:26:04) |
34. LUCY ルーシー
《ネタバレ》 「スカーレット・ヨハンソンで斬新なSFアクションを撮ってみました」的な。ん~、一言でいうなら「説得力皆無」。脳の覚醒率20%時点の「外国語をすぐにマスターできる」くらいまでは納得できるのだが、覚醒率30%くらから「何じゃそら!!!」的な事象ばかり。この手の物語は、観客をいかに納得させるかがミソなのになぁ。監督のオタク気質が悪い方向に出ちゃった感じ。観客は置いてけ堀になること必至。リュックベッソン監督の映画は映像表現やアクションは好みなのだが、「根幹の理論」をもう少し何とかして欲しいところ。残念。 [DVD(吹替)] 4点(2016-06-06 22:08:33) |
35. インターステラー
《ネタバレ》 時間の相対性と重要性を真正面から描いた映画って今まで無かったように思う。ブラックホールの重力による影響で1時間で地球の7年分が経過する水の惑星のエピソードなどの描写が光る。まさに「時は金なり」。静かな荒廃による滅亡を、ただ待つばかりとなった地球を救うために旅立つ者たちの英雄譚ではあるが、その献身的な英雄ですら耐えられず精神を蝕む「孤独」の厳しさ。この映画は「孤独」を包み込む人間だけが持つ「愛」の力強さを語っているのだと思う。あと、ロボットたちの異常なまでの斬新なデザインとその存在感に驚嘆すること間違いなし。複数の金属の直方体を、横並びに重ね合わせたような見た目のロボットの存在感は「凄い」の一言に尽きる。意外と動きが速いし、最後には情緒すら醸し出しているしね。ん~、尺が長い割には事象の説明が少なすぎ、イマイチ分かりにくい物語になっているが、観客を飽きさせずラストまで強引に引っ張っていける演出は流石のクリストファーノーラン節。十分及第点ってことで。 [DVD(吹替)] 7点(2015-05-26 23:26:44)(良:2票) |
36. モンスターズ・ユニバーシティ
《ネタバレ》 前作『モンスターズ・インク』の主人公コンビ、マイクとサリーの大学生活を面白おかしく描く内容かと思いきや、予想外な展開を見せてくれた。どきどきアクションは軽めだが、キャラクターの深みを感じさせる内容になっている。何をしても怖くない(=才能が全くない)が「怖がらせ屋になる」という夢に向け、努力と情熱を傾けるマイク、怖がらせ屋として一流の家柄の出身で才能に恵まれているが、努力と情熱が感じられないサリー、という前作とは二人の雰囲気が逆転して登場する。順風満帆で一流の「怖がらせ屋」になったかと思われた二人だが、紆余曲折の末、並々ならぬ努力を経てあの地位を確立していたのかと思うと深い。本作の前半では、アメリカの大学の学生クラブ(サークルとか学生寮)の生活も描かれる。そこでも家柄と才能によるヒエラルキーが描かれており、底辺の者たちは努力と情熱に見合った結果が得られない。後半はマイクとサリーが所属する落ちこぼれチームが、怖がらせ大会での優勝を目指して奮闘する内容となっている。最後は落ちこぼれたちが逆転優勝するのがお約束だが、ハッピーエンドでは終わらない。仲間を信じられなかったサリーの不正が判明し、すべての栄誉を失うのだ。自暴自棄となり「人間界へのドア」を抜けたマイクと、彼を救おうと追いかけたサリーの二人が、自分たちの世界へ戻ろうと奮闘する件が非常に感動的。互いの得手不得手を補い合い、本当の意味でのコンビとなってゆくであろう片鱗を見せるのだ。最終的に二人は大学中退となるが、ポジティブで前向きなマイクは諦めない。そしてエンディングでは単なるメール係として「モンスターズ・インク」に就職した二人が「怖がらせ屋」への階段を上ってゆく過程が描かれる。憧れの会社に就職できたのだからと、悲観せず努力と情熱を傾ける彼らの姿には非常に暖かい気分にさせられる。本作を観てから前作『モンスターズ・インク』を見直すと、さらに灌漑深いだろう。十分、良作ってことで。 [DVD(吹替)] 7点(2015-01-25 16:04:34)(良:2票) |
37. ロボコップ(2014)
《ネタバレ》 ロボコップのデザインは現代風にアレンジされ、シャープでスタイリッシュ。パワーアップ的な演出も加味され、カラーリングも最初は銀で登場し、途中で黒基調にチェンジ。普段は素顔でアクション時にカシャっとバトルモードへチェンジ。ガンアクションだけでなく、体術も軽快にバリバリこなし、バイクでの激走シーンは最高に格好いい...のだが、全体的にモッサリしている上に何かが足りない。まず、一本筋の通った強烈な悪役がいないのだ。悪役の強大な力でねじ伏せられた主人公が、最後には悪を打ち負かすことで大きなカタルシスを得られるのに、それが無い。また、ロボコップ本体の肉体欠損の度合いが酷すぎる(頭部、肺、右手首のみ)ため、普通は良い味付けになる「家族との絆」が、強すぎる悲哀感を醸し出し逆効果になっている。あと、(ブラック)ユーモアの欠片もなく、物語が重すぎるのもモッサリ感の原因なのではないか?やっぱりアクションは爽快感を求めて観る人が多いと思うので、イマイチな感じってことで。 [DVD(吹替)] 5点(2015-01-06 23:40:15) |
38. ホビット/決戦のゆくえ
《ネタバレ》 面白かった...のだが、物語冒頭にクライマックス的な暴龍スマウグとの決戦を持ってきたせいか、物語が進むにつれて尻すぼみ感が出て来る。この件は第二部で終わらせてたら良かったのになぁ。また、ビルボとトーリンの友情は結構掘り下げて語られていたのだが、その他の物語が放りっぱなしな点は不満。結局最後までドワーフたちの見分けが付かなかった。全体的に薄味な感じ。ダイジェスト感が大きいのだ。アーケンストーンはどうなったか、王国の後継者は誰か、莫大な財宝の分配は?とか、エピローグ(エンドロールでもよし)でもっと語って欲しかった。ただ、5軍(ドワーフ、エルフ、人間、オーク二軍?)の乱戦の魅せ方が非常に燃えるし、サウロン、ナズグルとの対決シーンは興奮必至。奥方様強すぎ。ラストは『LOTR』へ繋がるエピソードが描かれエンド。そして『ホビット』シリーズのラストを飾る“The Last Goodbye”。暖かな日差しの中でホンワカしている気分にさせるこの歌は、ピピンが歌っているとのこと。シリーズ通してエンドロールの歌が心に残る。何だかんだ言っても、やはり良作三部作には違いなかった。 [映画館(字幕)] 7点(2014-12-30 17:56:43)(良:1票) |
39. モンスターズ・インク
《ネタバレ》 物語は分かり易い展開で、個性豊かなモンスターたちが暮らす世界は街並みの1つ1つが丁寧に作り込まれ、加えて彼らの動きのコミカルさ、なめらかさは感動せざるを得ない。彼らモンスターが勤める会社が「モンスターズインク」だ。人間界の子供たちを怖がらせ、叫び声のエネルギーを集めるのが仕事。子供たちの部屋に繋がる不思議な無数のドアを越え、今日も仕事に励むのだ。一つ目で緑のモンスターのマイクは、お調子者で自惚れ屋。大きく毛むくじゃらで見た目は怖い青いモンスターのサリーは、心優しく穏やか。マイクがマシンガントークで場を盛り上げ、サリーが優しくサポートする。主人公のサリーとマイクの掛け合いは見ていて楽しい。だが、「子どもが怖がるモンスター」たちは、実は子供に触われない。子どもたちには猛毒があると信じられているからだ。そんな二人の下に、ひょんなことからモンスターを怖がらない女の子が現れる。二人が、怖がりながらも「ブー」と名付けた女の子の世話をする様子は、非常に微笑ましい。三人の掛け合いがテンポよく、楽しさを醸し出している。アクションあり、サスペンスあり。怒涛の展開の後、二人とブーの別れが来る。小さな女の子を大きなモンスターが優しく抱きしめる。丁寧にキャラクター描写をしてきたことで、簡単に感情移入できるのだ。そして物語のラスト。二人が子供と触れ合えたことで、モンスター世界の「エネルギー革命」が起こる。二人の友情のおかげで最後のシーンが生まれる。あと、エンドロールもお見逃しなく。NGシーンが面白いので。非常に夢のある心暖まる映画である。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-11-02 12:11:10)(良:1票) |
40. 猿の惑星:新世紀(ライジング)
《ネタバレ》 非常に面白かった。前作『猿の惑星:創世記』は、人類並の知性を得た猿<シーザー>が、仲間とともに人類からの自立を目指し戦う物語だったが、本作『猿の惑星:新世紀』は、個としての自立から、集団(社会)として自立し成長した猿たちが、その過程で権力をめぐる暴走をしてしまう様を描き出している。物語は猿側の葛藤・闘争を主に描き、人類は猿たちの先駆的な社会存在として扱われているが、その猿の姿は人類の投影であることは言わずもがなであり、身につまされる思いがする。本作では人間と猿の対立構造は、単純な種族間の反感によるものではなく、個の思惟によって表されており、よりメッセージ性が強くなっている。また「電気」と「銃」が人類の象徴として描かれ、キーアイテムとして機能している。特に「銃」については、その麻薬的な威力に憑りつかれた猿たちの姿も描き、知性と高度な社会性を得た猿たちの行く末を暗示しているかのようだ。ただ、本作でもまだまだ人類の版図の方が猿の縄張りより圧倒的に大きく、その小規模な社会ですら満足に統率できない猿側の社会レベルでは、今後が思いやられるが。あと、映像的にもモーション・キャプチャによる猿たちの演技は驚くほどリアルで、喜怒哀楽や同情、憐憫などの細かな感情がしっかり表現されているのが素晴らしい。前作を凌駕するほどの内容ってことで。 [映画館(字幕)] 8点(2014-09-24 22:26:39) |