21. サイコ(1960)
《ネタバレ》 サイコスリラーのエポックメイキング的な作品ということで評価が高くなるのは当然か。 大金を持ち逃げした女が、宿泊先のモーテルでサイコキラーの生贄になる。 持ち逃げ事件と殺人事件が絡まって、両事件に何か因縁があるのかと思えばそうではなく、ラストの衝撃的なネタばらしへとつながっていく。 当時としては斬新で驚きの展開と結末だったろう。 今見ても十分おもしろいが、二重人格や多重人格を用いた類似の作品がその後いくつも出ているのでインパクトは薄れている。 バスルームの有名な殺害シーンは、見えそうで見えない裸と排水口に吸い込まれていく湯に血が混じっていくのがやっぱり印象に残る。 [DVD(字幕)] 7点(2013-06-08 00:10:53) |
22. 椿三十郎(1962)
《ネタバレ》 椿三十郎のキャラがよく、かっこいい。 椿の合図で敵を騙すのもシャレている。 敵方の捕虜のとぼけた味は、コミカルで楽しい。 リアルタイムで観ていたら、もっと衝撃的だったかもしれない。 でも、今だと娯楽性のある映画は他にもいっぱいあるので、ありがたみは減っているか。 ラストは、西部劇の早撃ちガンマンの決闘のようでシビれる。 血の噴き出し方が変だったのは、ご愛嬌か。 誰でも楽しめる作品だと思うが、深みは感じなかった。 期待があまりにも大きすぎたようだ。 [DVD(邦画)] 7点(2012-12-25 00:15:43) |
23. 天国と地獄
まさに映画のお手本。 お手本を参考にして作られた映画やドラマがたくさんある。 そのせいで、かなり損をしているような…。 後発映画を観てから、オリジナルを観ることのほうが多いから。 [ビデオ(邦画)] 7点(2012-12-19 20:08:30) |
24. 片目のジャック
《ネタバレ》 マーロン・ブランドといえばゴッドファーザーのイメージしかなかったので、こんな若き日の姿が新鮮だった。 敵役がいかに憎たらしく嫌なヤツかでストレスのかかり方が変わってくる。ストレスがかかるほど、嫌なヤツをやっつけたときのカタルシスも大きくなる。そういう点では、この映画は主人公の周りのヒールっぷりが良かった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-11 22:37:26) |
25. 荒野の1ドル銀貨
《ネタバレ》 昔見たけれど、胸ポケットの1ドル銀貨のオチだけは覚えていたが他はきれいさっぱり忘れていた。 弟と知らずにやりあってしまう兄ゲイリー。雇い主のマッコーリーがとんだ悪党で自分が利用されただけだと悟った兄は、死んだ弟の復讐に。南軍の無法者を装って邪魔者を抹殺しようとする悪党に、敢然と立ち向かう主人公。 いかにも西部劇らしいシンプルな善と悪の対立構造。マッコーリーだけでなく保安官までがお尋ね者で、妻も巻き込まれて絶体絶命の危機。それを切り抜けるのは、マッコーリーと保安官を仲間割れさせる知恵と早撃ちの腕。ジュリアーノ・ジェンマのどストレートの主役っぷりがカッコいい。 良く言えば安心感のある、悪く言えばすべてパターン通りのマカロニウエスタン。冒頭の銃身を切られた当たらない拳銃が、ラストの対決に効いてくるのもオシャレ。ただ、ゲイリーを直接雇ったマッコーリーが、潜入したゲイリーの顔を見てもすぐに気が付かなかったのは不自然すぎる。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-30 23:50:16) |
26. 招かれざる客(1967)
《ネタバレ》 いきなり娘に結婚話を切り出されてすぐに認めてくれなんて相手が黒人でなくても出来そうにないんだが。 しかも出会って十日しか経っていないような恋で、おまけに旅立ちまで数時間の猶予しかないとなると、これで認めろというほうが無茶な話。 自分が親の立場なら相手が黒人じゃなくても冷静に考えてこんな無茶話は受け入れない。 反差別映画としてわかりやすく単純化しすぎた嫌いはあるが、王道のストーリーだし後味は悪くないので観て損はない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-28 20:18:52) |
27. 赤ひげ
すっかり赤ひげに感化される主人公。 人の命を扱う医者はこうあるべき。 [DVD(邦画)] 6点(2017-08-27 23:09:34) |
28. 怒りの荒野
《ネタバレ》 力を持つと人は変わる。 蔑まされてきた掃除夫が銃を手にしてから、力関係と人間関係が一変する。 思い上がりの見えるスコットに忠告するのは、早撃ちを教えた元保安官。 その元保安官とタルビーの狭間で、どちらにも恩のあるスコットは身動きがとれない。 スコットと元保安官のつながりを序盤でしっかり描いていれば、この葛藤がもっと胸に迫ったはずなのに。 それ以外にも、ところどころに中途半端な印象を受ける。 恋愛が絡むのかと思えば相手は性悪女で発展せず、蔑んだ人たちへの復讐かと思えばそういうわけでもなく。 それでもラストのジュリアーノ・ジェンマとリー・ヴァン・クリーフの二枚看板の一騎打ちは、西部劇の醍醐味だ。 結構おもしろかったけれど、いろんな要素がまとまりきれずに盛り上がり切れなかったのが残念。 [DVD(吹替)] 6点(2015-01-04 00:24:52)(良:1票) |
29. 草原の輝き(1961)
《ネタバレ》 時代を感じてしまう青春映画。 現代の性に奔放なアメリカからすると、今や化石になった感さえある貞操観念。 親は良かれと思って我が子のために余計なことをしてくれる。 子供を自分の思い描くレールに乗せようとして、子供の気持ちを見失ってしまう。 その中でもがき傷ついていく若い二人の姿が痛ましい。 ワーズワースの詩がとても印象的でラストを締めるのにふさわしく、主人公を後押しする力を与えてくれるようだ。 [DVD(字幕)] 6点(2014-09-20 21:46:36)(良:1票) |
30. さらば友よ
《ネタバレ》 昔、テレビで観たことがあるが、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンが金庫破りに入って閉じ込められるくらいしか覚えてなかった。 さて、その後どうなったかなと久々に見直してみる。 ドミニクはイザベルと同性愛の関係なのに、あっさりバランに惚れるのか? まあ相手がアラン・ドロンだからありえなくはないけれど、都合よく協力しすぎの感はある。 バランとプロンプの子供じみたいがみ合いから、約束を守りぬく男気に至るまでどんどん引き込まれていく。 [DVD(吹替)] 6点(2014-05-11 08:22:23) |
31. 用心棒
黒澤作品としては「七人の侍」には遠く及ばず、娯楽作としても「椿三十郎」のほうが好き。 レオーネの「荒野の用心棒」をオリジナルより先に観てしまったからだろうか。 スケール感が不足してみえたが、それは狭い日本ということで仕方ないのかも。 [DVD(邦画)] 6点(2014-04-16 00:21:24) |
32. 荒野の用心棒
《ネタバレ》 黒澤監督の「用心棒」より先に観た。 セルジオ・レオーネとイーストウッドでのリメイクとのことだが、筋は似ているものの雰囲気はかなり違う。 主人公のイーストウッドはあくまでクールでニヒルなイメージ。 三船敏郎の人を喰ったような飄々とした味はない。 ラモンのキャラはオリジナルより存在感があってよかった。 ラスト、ラモンが心臓ばかり狙わないで頭に変えればいいのにバカだなと思ったが、頭のキレる設定だったので少し違和感。 それでも西部劇にそこまでリアリティは求めないので、これはこれで盛り上がりもあって楽しめた。 [DVD(字幕)] 6点(2014-04-13 10:11:30) |
33. コレクター(1965)
《ネタバレ》 日本にも似たような監禁事件を元にした濡れ場やヌードを売りにした映画が出ているが、こちらは名匠ウィリアム・ワイラーのサイコサスペンス。 一方的に愛を強制する犯人と何とかして脱出しようとする被害者の心理戦に焦点を当てている。 犯人は愛する女性に執着するストーカーのようなものかと思えばそうではない。 ラストを見ればその女性でなくてもよかったということで、まさにコレクター。 これでは被害者女性がとことん救われず、犯人の罪の深さが際立つ。 でも、こういう奴って罪の意識はまったくないからタチが悪いし気持ち悪い。 ヒロインがそれほど魅力的じゃなかったのは残念。 [DVD(字幕)] 6点(2014-02-15 11:58:05)(良:2票) |
34. 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
《ネタバレ》 続とあったのでてっきり続編かと思っていたら、リー・ヴァン・クリーフが悪玉で前作とはまったく別のお話に。 夕陽も関係なかったし、この邦題は疑問。 善玉イーストウッドと卑劣漢ウォラックの丁々発止も楽しく、三者のキャラが互いに引き立てている。 南北戦争が舞台だが、前作のように純粋に荒野のガンマン対決のほうが西部劇らしい劇画的な高揚感があった。 戦争ものになると集団性を帯びてそれが薄れてしまうので、南北戦争はストーリーに入れないほうが良かった。 入れてしまったために違和感が生じたし、2時間40分の長尺になって少し中弛みができてしまった。 それでもラストの三つ巴対決は緊張感がある。 その前に、墓場で20万ドルを探すウォラックのオカマ走りには笑ってしまったけど。 [DVD(字幕)] 6点(2013-11-28 20:59:27) |
35. おしゃれ泥棒
《ネタバレ》 監督がウイリアム・ワイラー、主演にオードリーという『ローマの休日』コンビとくれば期待は膨らむ。 ハードルが上がりすぎたせいか期待ほどではなかったけど、よくできたラブコメ。 贋作者の娘と贋作の摘発人という設定がユニーク。 ラブコメによくあるご都合主義は見られるものの、贋作がバレないように盗みに入る展開が楽しい。 警報器の誤作動は十分ありえることだけにそれを利用したアイデアは説得力があった。 [地上波(字幕)] 6点(2013-09-03 21:23:13) |
36. 乱れる
《ネタバレ》 長男が戦争から帰らず、長男に嫁いだ妻がそのまま家に尽くす。 高峰秀子演じるこの未亡人は、次男がひたむきな愛を抱くのもよくわかるほどできた女性。 古き良き日本人女性の理想像といった感じで、今の時代では想像できない。 酒屋を切り盛りしてきた義姉なのに、店をスーパーにするのに邪魔者扱いする家族に抵抗する次男。 このあたり、母や長女らのいやらしさが実に巧みに表現されていた。 日本人の情緒にぴったり合うような成瀬監督の描写が目を引く。 ただ、設定やキャラも含めてちょっと古い感じがして、どっぷり感情移入するまでには至らず。 乱れる女心ということだろうけど、あれでは次男が生殺しのようで気の毒。 加山雄三は中年以降の歌っている若大将のイメージしかなかったけど、ずいぶん印象が違って最初はわからなかった。 [DVD(邦画)] 6点(2013-07-31 00:12:52) |
37. 俺たちに明日はない
《ネタバレ》 アメリカンニューシネマを代表する『明日に向かって撃て』と共通点がいくつか。 ただ、切り口がまったく違うので好き嫌いが分かれるだろうけど、あちらのほうがずっと好みに合う。 それはキャラの違いが大きいのかも。 もともとはコンビニ強盗のせこい小悪党なので、大物感がない。 マフィアでもなく、銃のスペシャリストとか才能に秀でたわけでもない。 その分リアルではあるけれど、カッコいいとは思えない。 クライドが廃業になった銀行に押し入り、そこにいた行員をわざわざ連れ出しボニーに説明させるくだりは笑える。 そういうところは憎めないけど、写真のポーズからも感じる英雄にでもなったような自己陶酔がカンに障る。 暴走族や不良にあこがれる頭の悪い中高生みたい。 無軌道で稚拙だから、強盗の成り行きで人も殺してしまう。 そういう犯罪は今の日本でもニュースでときどき報じられるので、現実の嫌な気分を思い出させる。 物語の中だけで楽しむには、犯罪者という人物像の輪郭がはっきりしすぎているのだ。 それはマイナスだけでなくプラス面もあって、蜂の巣にされるラストシーンが生々しく活きてくるし、二人の最後にふさわしい名場面となった。 もしブッチとサンダンスのように銃撃前で終わっていたら、フラストレーションが溜まっていたところだ。 二人に好感を持つかどうかでラストの受け止め方が全然変わってくるだろう。 まったく共感を覚えなかったので、喪失感よりもスッキリしたというカタルシスのほうが大きかった。 警官サイドも人数をかけて何度も捕まえそうになりながら、素人のような寄せ集めグループに手こずりすぎ。 ボニーは母に会いたいと抜けたがるし、クライドの兄嫁とはよくある小姑のような仲違い。 犯罪組織の内部抗争というより、二世帯同居のトラブルでしかない。 実話ではもう少しプロらしい犯罪グループだったのだろうか。 [DVD(字幕)] 6点(2013-07-05 23:35:35) |
38. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 リプリーとフィリップの間には貧富の差が大きな隔たりとしてあり、友情と呼べるものはない。 フィリップは傲慢な金持ち、リプリーは金目当ての貧乏人で、どちらにも好感が持てない。 ヨットでリプリーが本人を前に殺害計画を平然と話しているのが大胆で、嵐の前の静けさのよう。 フィリップもだんだん「こいつマジなんじゃ?」と危険を感じ始める様子がリアルで見応えがあった。 犯行は杜撰で、パスポートを偽造して声とサインを真似ただけで本人になりすます。 案の定、知り合いに出会ってバレた挙句に殺して行き当たりバッタリ状態。 指紋にも気を遣っておらず、これではあまり頭がいいようには見えない。 ところが、警察の捜査がお粗末で、指紋の鑑定がいい加減だから犯人を勘違いしてしまう。 時代が時代とはいえ攻防のレベルが低いので、犯罪ものとしては少し物足りない。 大金に婚約者とすべて手に入れて二人殺した罪悪感の欠片もなく幸福感で満ち足りている姿がふてぶてしく映る。 そんなリプリーに天誅が下るラストにはカタルシスがある。 ただ、主人公に肩入れできないとどうしてもインパクトが薄くなる。 アラン・ドロンの出世作だが、一時代を築いた正統派二枚目ぶりを発揮。 風情のある映像美とせつなく美しい音楽も堪能できるが、ストーリー自体は名作と呼ばれるに値するほどのものとは思えない。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-24 21:42:10) |
39. あなただけ今晩は
名作「アパートの鍵貸します」と同じビリー・ワイルダー監督にジャック・レモンとシャーリー・マクレーンの共演ということで期待。 コメディというにはリアリティがなさすぎてコントチック。 決して悪くはなかったものの、ハードルが上がりすぎたせいかそこまでのインパクトはなかった。 それでも、男のやせ我慢と誠意が醸し出すペーソスがあり、上質のテイストは感じられる。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-20 18:53:25) |
40. シェルブールの雨傘
《ネタバレ》 セリフがすべて歌になっているのが新鮮だった。 通常の演技からいきなり歌いだすミュージカルより、全部歌になっているほうがかえって違和感がない。 ただ、やっぱり単調になってしまう嫌いはある。 ジュヌヴィエーヴが子供を宿したにも関わらず他の男と結婚する説得力にも欠ける。 ミシェル・ルグランのテーマ曲は、別れのシーンにふさわしく切なくて美しい。 ラストの雪の中での再会と別れは、人生のすれ違いを実感させて余韻が残る。 風景、色彩などを含め、フランスらしいオシャレな感性が全編に流れている映画。 カトリーヌ・ドヌーブはてっきり本人の歌声だと思って聴いていたが、吹替えだったとは… [DVD(字幕)] 6点(2013-05-19 01:47:57) |