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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 577
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  漁港の肉子ちゃん 《ネタバレ》 
さんまさんがプロデュースって、どこまで制作に携わってるかわかりませんけど、映画の内容だけで評価するなら、私はよかったと思いますよ。 肉子ちゃんのビジュアルと関西弁はアニメ映えするし、STUDIO 4℃による北陸の港町のキレイな風景に、美味しそうなご飯の数々も素晴らしい。 そして肉子ちゃんのキャラによるものだろう、親子ものの切ない話でありながら、ウェットなシーンでもなぜか賑やかで温かくて。でも、キクコちゃんが (肉子ちゃんの) 実の子ではない、というのは、誰がどこから見てもわかるので (笑) 、驚いた人いるのかなあ。 あと個人的には、最後に逃げられた (読書家の) だんなさん、どこかで再登場したら面白かったと思うけど。 トトロのオマージュは遊び心があって良し。しかし言っちゃあなんだが、肉子ちゃんのビジュアルとシルエットなら、トトロってよりはむしろ 魔人ブウ だよね (`O´)
[インターネット(邦画)] 7点(2023-02-02 23:04:46)
22.  前科者 《ネタバレ》 
※ネタバレございます※ まず映画が始まると、登場人物たちの名前や職業がいちいち字幕入りで紹介されることに戸惑います。(親切だけど、ちょっとわずらわしい) 続いて、登場人物たちを説明するための回想シーンが頻繁に登場し、早々に嫌気がさす。(できるだけ時系列で語るのが映画やろ) しかし、この親切丁寧な作りって、誰が観てもわかりやすく、例えば、受刑者の更生を目的として刑務所で上映することも想定しているかも、、そう考えることにして、自分を納得させることにしました。 ちなみに私ですが、保護観察官の存在は知っていました。しかし恥ずかしながら、「保護司」という職業を本作で初めて知りました。無報酬 (!) なので、職業という言い方は相応しくないかもしれないけど、本作を観たかぎりでは、その苦労や献身には本当に頭が下がる思いです。 映画としては、保護観察官との違い、保護司という民間ボランティアが抱えている問題、、そのあたりにはあまり触れることなく、犯罪関係者たちが織りなす (ありがちな) 感動系ドラマに終始してしまった気がします。まあ、そもそも題名が前科者、ですからね、、私が保護司 (というテーマ) にこだわり過ぎたのかもしれません。 あと、保護司 (阿川佳代) が任務中に元殺人犯 (工藤誠) と一つ屋根の下で牛丼食べたりする場面があったけど、ここはかなりハラハラして見てました。実際にここまでするものでしょうか。かりにも相手は人殺したことのある人だし、もし相手が元性犯罪者のケースなら、これはかなり危険なシチュエーションですよね・・。相手の信頼を得るためとは言え、自分の身を守るためにある程度の距離感は必要だろうな、と、個人的には感じた次第です。 出演者については、有村架純が見事な新境地で魅せたし、石橋静河の役も面白い。(最後まで誰かわからんかった笑) そして、、特筆すべきは、森田剛のキャスティングだろう。吉田恵輔監督の「ヒメアノ~ル」をまだ未見の方は、必ず先にそちらを観ることを強くオススメいたします。なぜなら、全く関連性のない2作ですが、(ヒメアノ~ルの) 彼には本作のように正しい人生をやり直して欲しかった、、と強く思えるような設定になっているからです。 「八日目の蝉」から「朝が来る」の永作博美さんも然り。 時に映画は、他作で罪を犯した "前科者" に対して、その報われなかった魂を救済することもあって、少しだけ幸せな気分にさせてくれます。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-01-30 10:47:52)
23.  1秒先の彼女 《ネタバレ》 
序盤、シャオチー (リー・ペイユー) とイケメン詐欺師のロマンスに心がときめき、彼にもらった弁当に涙ぐむ彼女の姿に、まんまともらい泣きしてしてしまった私はよいお客なんだろう (笑) この映画はざっくりと、前半のシャオチー編、後半のグアタイ編、とも言える二部構成となってます。前半は、二人の被写体 (シャオチーと詐欺師) がとにかくよく動く。シャオチーのせっかちで1秒早いフライング体質という設定、映画の撮り方もそこに同調していると思えます。(カット割りも多い) 後半は一転する。今度は1秒トロいグアタイのストーリーになると、カメラワークは落ち着きを取り戻し、ゆっくりな展開どころか、とうとう、時間まで止まる。 撮り方にこういう工夫がある上、おまけに映像美も素晴らしい。特にグアタイ編の、夕暮れの中、四方を海で囲まれた狭い道をバスが走っていく光景は実に幻想的。 二人の1日について、シャオチーが失った「1日」(24時間) は1秒生き急いできたこと、グアタイがもらった「1日」(24時間) は1秒遅れるように生きてきたこと、その帳尻合せと思っていますが、どうやら彼が長年彼女に認め続けた「手紙」や私書箱も要因の気がしてます。このあたり、まだモヤッとしてますが、ファンタジーだし感動に身を任せてそれでいいじゃん、、という良い意味での「ちから」(説得力) がこの映画にはありました。もちろん、何度か観て理解を深めたいとは思います。 主演のリー・ペイユーさんは、超美人ではなかったですが、恋することで段々と美しく輝きを増してゆきました。対するリウ・グァンティンさんは、その雰囲気から誠実さがにじみ出るよいキャスティングであったと思えます。 人よし、脚本よし、映像よし、そして「台湾」という国がよし。このオリジナリティーあふれる素晴らしい脚本は、お近くのパクリ主義の大国には決して真似できまい。 負けるな台湾、今のままでいつまでもいい映画をたくさん作ってほしいです。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-01-04 23:34:45)(良:1票)
24.  河童の女
冒頭、個性派脇役の近藤芳正さん演ずる民宿のオヤジさん (と女中のやり取り) がかなりオモロい。しかし、駆け落ちにて早々と本編からご退出。残念。 主演二人について。 男優さんはメガネが特徴的で、民宿よりはIT系企業の社員、といった印象。女優さんはヘアスタイルが特徴的で、河童の女、というよりは、おかっぱ頭の女、といったところか。 この映画は、民宿近隣の山あいの風景が美しい。しかし、いかんせん映像がテレビドラマの域を出ないし、画作りもこれと言って個性を感じるものはなかった。あと、せっかく民宿が舞台なんだし、配膳されたご飯、お風呂、、そういった部分をもっと大事に撮ってもよかったと思うし、またそれに付随する民宿ならではの "お仕事" をフォーカスするべきだったと思えます。(ドラマと脚本が命綱、そこは理解するけど、、) 「ユーチューバー」を登場させた意図としては、映画の "タイムスタンプ" 扱いですね。ブームが去れば消えていく方たちなので、何年後かに本作を観た方でも、ああ、2020年頃の時代設定ね、ってわかるでしょ。 本作は辻野正樹氏 (51歳) という、遅咲き監督のデビュー作ということでした、次作に期待したいです。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-12-26 22:34:15)
25.  オールド 《ネタバレ》 
幼いお姉ちゃんがあっという間にナイスバディになっちゃって、気づいたら私も鼻血ブーでした。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-06-27 22:13:29)(笑:2票)
26.  明け方の若者たち 《ネタバレ》 
明け方の若者たち。 一晩中遊び歩けるほど持て余す若さ、そして夜が明けてしまうことの名残惜しさ、まだ離れたくない~早く去かなくちゃ~~、(サザンのあれです) そういう心情を、うまく包括した題名のように思えます。 本作は僕 (北村匠海) 目線の物語でありながら、リードするは年上でかつ既婚者の彼女 (黒島結菜) であり、ついでに監督さんも女性であり、不倫における女性の責任、そこを重んじた物語であると思えます。しかしながら、「不倫」がテーマになるとあまり肯定的なコメントはできないし、体験談として赤裸々に語るわけにもいかんし、毎回困ったものです、不倫の映画はレビュアー泣かせ。 個人的な意見になりますが、就職や仕事が単なるエピソードではなくて、大きなテーマとして映画に存在しているので、それならば「総務」という職務をもっと掘り下げてもよかった気はします。毎年、あなたのお家に社長名義で届く年賀状、それ全て総務部がまとめて刷って投函するだけ、そういうところ、もっと掘り下げてもよかった気はします。(禁句だ)
[インターネット(邦画)] 5点(2022-05-06 23:26:52)(良:1票)
27.  星屑の町 《ネタバレ》 
山田修とハローナイツの面々、、その中でも特に、でんでんと渡辺哲による「冷たい熱帯魚」の最凶極悪コンビに、いつもすぐに殺られるチョイ役俳優の有薗芳記という、このキャスティングに笑えてくる。歯を抜こうとするくだり、彼が二人に殺られるんじゃないかと (笑) 映画の作りとしては、低予算でかつ、「ムード歌謡コーラス」を題材にしたコメディタッチ、しかしながら、とても真面目に作られた映画であったと思えます。こういうオッサンたちが、例え場末であろうが、「これしかないから」と歌うことにしがみついて、生き残りに悪あがきするその姿に感動します。この仕事しかない、もうそれで生きていくしかない、、それは私ら中年サラリーマンとて同様。その業界を置き換えても、そこだけは共感できるから、すんなりと感情移入できたのかもしれません。 のんさんは歌が抜群にうまいとは言えない。(ゴメンね) だがしかし、それを補って余りある「声」そのものの良さがある。そして、歌ってる姿が「絵」になる、様になる。とても不思議ですねぇ、、平成世代の彼女の歌声から、ハローナイツのコーラスをバックに歌うお姿から、昔テレビで見ていた昭和 (歌謡界) の光景が懐かしく浮かんできました。 本作は歌 (選曲) もよかったけど、昭和歌謡界と「ムード歌謡コーラス」という文化に、嘘偽りなく深い愛情がございました。そこが何よりよかったと思えます。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-04-11 22:57:59)
28.  やがて海へと届く 《ネタバレ》 
※ネタバレございます※ 予告編のなんたるミスリード。 青春風味のミステリー映画と思いきや、後半あたりから「3.11東日本大震災」のドキュメンタリータッチに様変わりするという、予想外の展開でした。 この展開を額面通りに受け取るなら、すみれ (浜辺美波) は自発的に失踪したのではなく、一人旅の途中で津波にのまれた、ということになります。 それなのに、この映画には、死んだはずのすみれがすぐそこにいるような、不思議な感覚が終始つきまといます。真奈 (岸井ゆきの) とすみれの出会い、入学から飲み会、そして引越しまで、同じ場面の "回想" が別の視点で二回繰り返されました。一回目は、真奈による回想です。ならば二回目は、すみれによる回想になります。時系列的にヘンですよね。もう彼女はこの世にいないのに。最後の方で、二人が口づけしなかったのはなぜでしょう? 生と死の世界の住人同士は触れ合うことができないからです。(「ゴースト/ニューヨークの幻」と同じです) 「私たちには世界の片面しか見えてないと思うんだよね」 この言葉の意味はもうお分かりでしょう。 "世界の片面" とは、生きている者 (側) の世界のこと。つまり本作は、死後の世界 (の存在) を肯定した、極めてスピリチュアルな映画ということです。しかし、この映画には我々を怖がらせよう、という意図はなさそうです。大切な人を失って悲しみに暮れる人たちに、「体はなくなったけど、まだそこにいるよ」と優しく伝えようとする映画だと思えます。 この題材にして、少女二人の友情とも恋心とも受け取れるような、リリカルなタッチで描いたこと、アニメーションの挿入や音楽のセンスなど、この監督の感性は好きでした。 最後に余談ですが、浜辺美波と書いて、浜辺の美しい波、、とても本作のストーリーに共鳴しているような気がしますが、これは偶然のキャスティングでしょうか?
[映画館(邦画)] 7点(2022-04-10 16:43:51)
29.  かそけきサンカヨウ
かそけき、とは古語の "幽けし" のことで、淡い、薄いといった意味なそう。サンカヨウは、白くて水に触れると花びらが透明になるという、珍しい植物。目立たないけど個性的、とか、静かなる自己主張、そういう隠喩として、また家族における「陽」の存在の例えとしても、うまい題名と思えます。また、志田彩良さんの透明感ある雰囲気と、淡くて薄い映像美の在り方も、本作のテーマをよく支えているように感じました。 ストーリーとしては、どこかで観たような家族のお話でしたが、終始居心地よく、観た後は優しい気持ちになれる、、それだけでよかった気がします。「お母さん、て呼んでもいい?」には、涙涙・・。 私にとって、かつての今泉監督と言えば (笑える) 恋愛映画の職人でありましたが、近年は家族ドラマを撮ることが多くなりました。しかし、本作の陽と陸くんの恋模様からして、「愛がなんだ」の今泉監督が時折顔を出すあたりは、まるでサンカヨウのごとく自己主張とお見受けいたします。これからも、監督を支持し、新作を心待ちにしています。 そうそう、自分史上一番古い記憶、これは書かねばなりません。時は1976年頃、当時住んでいた家の前の道路で (袋小路なので車は通らない) 、幼い私と遊んでくれた近所のおばちゃんたちの姿ばかりがボンヤリと浮かんできます。なぜか、母の記憶があまりなくて (笑) ではでは、これからレビューを書かれるみなさまの、自分史上一番古い記憶、楽しみにお待ちしております。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-04-03 12:24:40)(良:1票)
30.  ドライブ・マイ・カー 《ネタバレ》 
村上春樹氏の原作は読んでおりませんが、本作が各国の賞レースを賑わせているのは、まずは (日本人として) 喜ばしいこと。しかし、それはさておいても、率直に言って好きな映画でした。 ウィスキーとタバコの煙と、赤い車から漂うレトロ感。この映画のさりげなく懐古趣味なところ、良かったと思う。 ストーリーとしては、現実と妄想の狭間を漂う家福 (西島秀俊) が中心である前半はやや退屈ですが、存在感ある渡利みさき (三浦透子) の登場によって、ドラマが大きく動き出す。 家福とみさき、それぞれ苦しさや喪失感を抱えて、その重さを抱えきれずにそれでも生きていて。そんな二人による、人生のつかの間の「並走」。最後の二人の抱擁は、友情とも愛情とも違う、と思う。一人の人と人として、お互いに今まで本当にお疲れ様、、そしてこれからの人生の健闘を祈る、、。そういう含みのある、ひとまず人生の「ノーサイド」であり、ここが二人の長い旅路の分岐点 (別れ) に見えました。 思えば、映画全体に漂う「死」の重くるしさを緩和するように、海岸線沿いを走る赤い車のフォトジェニックな存在感がありました。その姿はいつでも軽快で、そして洒脱だった。 題名からして人生を車やドライブに例える含みはあると思うけど、私はただ映画の広告塔やイメージとして、この赤い車は大正解だったな、と。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-03-27 20:24:05)
31.  弥生、三月 君を愛した30年 《ネタバレ》 
始まってすぐ、黒板に病気を落書きされたサクラ (杉咲花) を、「これ書いたの、誰よ!!」と弥生 (波瑠) がただ一人でかばいます。こんな感じで冒頭から激しくドラマが動きますが、全く感動できません。なぜなら、二人の絆や親友としての歴史を、この映画が描いていないからです。 結局は、そこが最後まで尾を引いたままで、あまり (映画に) 入っていけなかった、というのが正直な感想。 また個人的に、弥生と山田くんが浮気した件、あれがどうしても軽率な過ちとして受け止められない。誠実な歯科医の夫を裏切って、彼は無念のまま大震災でお亡くなりになりましたから。しかし、ラストを見る限りでは、弥生は既に彼のことなど忘れてしまって、すっかり幸せそうだ。 弥生の3月、サクラは満開、そして頭はお花畑、、ってところか。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-03-15 22:00:23)
32.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
舞台は1920年代のアメリカ・モンタナ州。 大牧場で家族を形成するのは、名うてのカウボーイであり同性愛者でもある荒くれ者と、マザコンのサイコパスと、人格者の金持ちに誰もが羨む美人という理想的な夫婦、、って、それは家庭円満になるはずがありません (笑) だから、何かしら悲劇を伴う結末なのは想定していたけど、それにしても表現力の高い演技者たちによる、重厚で観応えのあるサスペンスドラマではありました。個人的に、こういう奥行きが深い役をベネディクト・カンバーバッチがやれば、もう当然のように映画のクオリティが上がっていく、それはわかっていた。だから、本作をがぜん面白くしていたのは、コディ・スミット=マクフィーの存在ではないだろうか。彼がスクリーンに登場するだけで、私は不安になり、妙な胸騒ぎがして仕方がなかった。なぜなら、まるで現代社会の若者が荒々しい「西部劇」の時代に迷い込んだようで、彼一人だけが「異質」であり、この映画の世界観にそぐわないから。 それぞれの思惑が交錯する展開の中で、家族が州知事を招いた「ピアノ」のエピソードが特に印象に残ってる。ローズがピアノを拒絶したことにより、場がしらけて空気が悪くなるなかで、フィルが現れたことにより空気が一変した。私は、彼が追い討ちにきたのではなく、むしろローズを助けに来たように見えました。観終えてみれば、フィルは横暴ではあるけど、それは人に不器用な裏返しでもあり、実は我々が思うほど悪意に満ちた男ではなかった、と思えてきます。しかし、その心のうちはとうとう最後までわからない・・。 ・・そもそもですが、この映画は主人公であるフィルの「感情」を描かない、という実験的な手法を取ってます。この荒々しい時代に、彼は何を思って生きていたのか、彼は本当に殺されたのか、、全ては謎のままであり、むしろ彼以外の人間たちの異常性・残酷さが尾を引くように際立つばかりだ。 以下、個人的な宿題としての備忘録。 アメリカの西部劇に、英国人であるベネディクト・カンバーバッチ。なぜか。 夫婦役は、実生活でも夫婦であるお二人。しかし、本当にそれだけの理由によるキャスティングだろうか? そして、「ピアノ・レッスン」の巨匠は、なぜピアノを弾くことを拒んだのか? 映画に見え隠れする、監督の "隠しメッセージ" について、探究してみたいと思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-03-13 17:23:06)(良:1票)
33.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 
冒頭、採れたての魚を売るために、漁港で父と兄に代わって交渉するルビー (エミリア・ジョーンズ) の姿。そして、汗も流せず、キレイな洋服に着替える間もなく、魚臭いまま学校へと向かう・・。彼女は優しいから顔や態度には一つも出さないけど、家族の「通訳」として多くを犠牲にしてきたであろう、若い彼女の半生を想像するだけでちょっと泣けてくる。 この映画の面白いのは、音楽の使い方。まず、学校 (合唱部) と家 (家族) を二つの音楽のスタイルに例えて、対比的に描いてる。学校がバークリー音楽大学を目指すほど芸術志向の音楽なら、彼女の家族たちは生き方そのものに「ロック」を感じさせる。 なぜって? 手話で風を切って下ネタを連発する彼らの姿、、これは少なくともオペラやクラシックじゃない (笑) この映画は「手話」を音楽に例えて、表現の一つのスタイルである、と言っているんじゃないかな。大切なのは、日本語、英語、、そして「手話」も同じで、それは "話し方" という表現であり個性だし、その人の心や本質はそれによって変わるものではない、ということ。もちろん、どういう人生を選んで、どういう歌を歌っても、ルビーはルビー、彼女が彼女であることにも変わりはない。 個性豊かな登場人物たちと多くの歌と音楽による、生き方と表現による人生のハーモニー、とも言うべき映画でしたが、むしろ見た目からは伝わらない「内面」にある本質、耳には聴こえてこない心の「声」、、そこを描いているところが素晴らしいと思えます。
[映画館(字幕)] 8点(2022-03-02 23:19:30)(良:1票)
34.  騙し絵の牙 《ネタバレ》 
※ネタバレございます※ レンタル中、二日連続で観ました。いやあ これは面白い。 原作含めて、大泉洋へのあて書き、というPRの時点からミスリードは始まっています。いかにも策士たる彼が主演ということ、表題も全部ひっくるめて「騙し」を匂わせて、でも実はテーマは騙しではない、という「騙し」の映画ですよね。 とある大手出版社の覇権争いの果てに、まさかの平社員? よもやの高野恵 (松岡茉優) が、全ての曲者たちを出し抜いちゃった、という爽快な結末。彼女には、彼らのような権力もなく、おそらく派閥に関心もなく、そして出世に対する策や野心もなかった。(と、思ってる) その代わり彼女には、誰にも負けない「本」に対する愛情と、出版という仕事に対する情熱があった。結局は、あるべき正しい「心」に勝利の女神が微笑んだ、という、根っこはシンプルな「サクセスストーリー」ということです。 脚本は完璧に近いが、、一つだけ。伊庭惟高 (中村倫也) は、アメリカで大きな仕事をしてきたわけじゃないですか? であれば、帰還した彼が東松 (佐藤浩市) に言い放った台詞は、「英語」にしたらなお面白かった気がします。一瞬、キョトンとする東松に向けて、もう一度日本語で言い直す、、この方がより刺激的だったと思う。もし、この脚本に「エンピツを入れる」ことができたなら、私がお願いしたいのはここだけかな (笑)
[インターネット(邦画)] 8点(2022-02-02 21:53:59)(良:2票)
35.  犬部! 《ネタバレ》 
ペットとしての犬や猫の映画だし、きっと小さいお子さんたちが鑑賞されると思います。だから、全体的に明るい色合いだし、動物の殺処分などの凄惨な部分については、生々しく見せることなく、視聴者の客層を理解した優しい画作りはよかったと思えます。 そして本作が描いたのは、決してヒーリングとしての役割だけではない「犬」たちの姿。犬たちを通して、あら不思議、、いつの間にか人間同士の輪が広がってゆきます。もちろん、老犬「ロクロー」の存在によって、学校に友達ができたという登校拒否の彼女も然り、ですね。 本作で特に興味深いのは、犬部の花井くんの英雄的な行為が全て正しいわけではない、というところ。彼ったら、「殺処分ゼロ」という「答え」を急ぎすぎるあまり、テストの問題をよく読まない (理解しようとしない) 生徒のような感じ。むしろ、他の登場人物たちの方がよほど思慮深いことを言われていて、個人的には二つ、強く心に残る言葉がありました。一つは、安室氏 (岩松さん) が言われた「一殺多生」という言葉。そしてもう一つ、秋田くんの父さんによる、動物病院は動物保護をするところではない、といった趣旨の言葉。彼らも、理想は「殺処分ゼロ」なんです。しかし、経験上それは実現が難しいことを重々承知しているから、涙を吞んで、救える命と救えない命に分別をつけてる。花井くんと違う道を選択した柴崎くんの決意は、この二人の考え方により近いでしょう。いずれにせよ、動物に関わる様々な職業 (分野) の人たちが力を合わせて、少しずつ実現に近づくことを願わずにはいられない映画ではありました。 映画の構成としては、突然過去になったり、ちょっと時系列がわかり辛いのが難点。また、保健所から犬を払い下げる行為は2005年度より禁止された、生体を使った「外科実習」はモデルとなった大学では2018年に廃止された、と説明書きが最後にありましたが、それらは「犬部」の功績によるものなのか、そこがハッキリと伝わってこなくてスッキリしません。そもそも、この映画の時代設定っていつなの? って、私が観逃していたらゴメンなさい、ですが。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-11-21 10:45:14)
36.  私をくいとめて 《ネタバレ》 
「勝手にふるえてろ」の姉妹編と言えそうな内容でしたが、、笑いが少なくなった分、やや物足りなさを感じたのでした。思った以上に、渡辺大知の存在は大きかった (笑) ネタバレになるのであまり書けないけど、このシリーズはラストシーンが「はっぴいえんど」にも見えるし、「おひとり様」にサヨウナラする「バッドエンド」にも見えてしまって。本作は特に、多田くんという存在が大きくなるにつれて、「A」の存在が次第に消えゆくけど、それは恋人を得た幸せと引き換えに、全く違うもう一人の自分とサヨウナラするという、ある種の切なさを感じてしまったのでした。例えるなら、黒田みつ子と「A」の関係に、大林監督「転校生」の "わたし" と "あなた" に近いものを見た気がします。 話変わって、とても勇気あるキャスティングではないでしょうか、のんと橋本愛。「あまちゃん」の二人をあえて共演させることで、そのイメージからの脱却を図った (手伝った) ように思えます。言わば、心優しい「荒療治」ですかね。そして、キャリアウーマンの片桐はいりさん。今までありそうでなかったけど、実際にはかなりハマり役でした。林遣都くんと前野朋哉くんの役どころも良いし、キャスティングに関しては、大九明子監督は目の付け所が鋭いですよね。 と、あれこれ書きましたが、監督はこのスタイル (路線) のまま、突っ走ってほしいです、はい。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-10-19 21:13:20)(良:1票)
37.  犬鳴村
犬とか、幽霊とか、トンネルとか、廃村とか、石橋蓮司さんの顔とか、私が怖いのはそこじゃなく。 自分、登山をする者なので、ああいう軽装備で山ん中をウロウロされるだけで、妙に不安と言うか、危なっかしくて怖くて見ていられなかった。せめてローカットの登山靴でいいから履いてくれ~~、ってずっと思ってた。足痛めるし、山をなめちゃいかん。 心霊スポットもいいけど、まずは装備から、そこ基本、そこ重要。
[インターネット(邦画)] 3点(2021-09-21 11:24:47)(良:1票)
38.  すばらしき世界 《ネタバレ》 
三上という男は、たとえ人前だろうが、怒り、泣き、そしてよく笑う。自らの感情に素直で真っすぐなところ、とても人間味があって好きだった。過去がどうであろうと、その生き方はまさに、「退かぬ、媚びぬ、省みぬ」(笑) だよね。彼のように堂々と生きたいもんだ。 その三上を演じた役所さんからすれば、うなぎ、三度目の殺人に続く、"受刑者三部作" の最終章だけど、前二作とは全く別の人間を魂を込めて演じていたと思う。 映画的な表現として面白かったのは、スカイツリーと東京タワーの使い方。前者が未来 (前進) の象徴であったのに対して、後者は九州ヤクザ編の導入部に空撮されたように、過去 (後退) の象徴。しかし、僕としては、東京タワーの方が好きなんだ、、そこがなんとも。 →2021/9/16追記。 これは、まるで "横道世之介" を観た時のように、観てからしばらく経つと、後からじわじわときます。この世界が彼を失ったという喪失感を今さらながら感じてきます。自分がいつ死ぬかなんてわからないし、大切な人がいつ死ぬかだってわからない。だから今を大切に生きよう、、そう思わせてくれる映画だ。 こんな時代だから、なおさらかもしれない。
[映画館(邦画)] 7点(2021-09-16 21:37:14)
39.  461個のおべんとう 《ネタバレ》 
あのう、、ここは井ノ原さんの (隠れ) ファンサイトでしょうか?(笑) 確かに、これは完全に「井ノ原さん」の映画ですねぇ。イケメンで、歌えて、料理ができる。そして、頑張りすぎず、(ってがんばってるけど) あくまで自然体でちょっとユルい感じがまたいいんだ、これが。 しかし、時代も変わったな、という感想を持ったのも事実で。うちの父さんたら、怒ったらすぐに「ちゃぶ台」ひっくり返すような、そんな「昭和」の親父だったから、働きながら僕のために高校3年間461個のおべんとうを作る、なんてとても想像できません。おまけに、石原裕次郎さんみたいな服装してたし。(それは関係ない) とにかく、昔の邦画では絶対ありえないストーリーだし、理想の父親像の変化、を改めて感じた映画でございました。 ・・って、私自身が父親になったことがないので、いい歳して息子目線のコメントになってもうた・・(泣) もちろん、色とりどりの「お弁当」を眺めるだけでも楽しくて、とてもよい映画であったと思いますが、エンディングの親子そろったハーモニーは苦手でした。だって、あれのせいで本当にファン向けのプロモーションビデオのようになってしまいましたから。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-08-30 21:05:52)
40.  あの頃。 《ネタバレ》 
アイドルオタクの人生とは無縁であり、もちろん、今も昔もあの頃も、ハロプロとか、あややとか、全く興味なし。そんな私が一番投稿とは恐縮です。 今泉監督の新作映画、ただそこに惹かれての鑑賞。さすがだな、、恋愛研究会のメンバーの出で立ち (笑) とおりなす会話の可笑しさ、その絶妙な「間」も好きだし、何より恋や人生に不器用なこの連中が、まるで人生の勝ち組のようにキラキラと輝いてみえた。 ただ、前半のたたみかけるような笑いと熱気に比べて、後半はハロプロの露出度も激減していって、トーンダウンした感じ。言っちゃあなんだが、私は今泉さんのファンだからよかったが、この内容だとハロプロ目当てで映画館に足を運んだファンはガッカリだろうなぁ・・。もう一つ、コズミンの「死」の描写が軽すぎるというか、、このエピソード自体が取って付けたような印象だった。 それでも、私としては "アイドルヲタ" の世界は驚きの連続で楽しめたし、「あの頃、ほんとおれたちってバカだったよなぁ」 こういう気持ちは共感できる。そして、浮かれたお祭り騒ぎの後に、「シチュー」と卒業ライブの一期一会(西田さん)、このエピソードがひっそりと心に残ってる。 それでは、、やはり今泉監督はオリジナル脚本の恋愛群像劇にこそ真価が発揮されると思っている。そこに期待して、次作を心待ちにしたい。
[映画館(邦画)] 6点(2021-02-26 12:29:57)
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