401. ヘルプ 心がつなぐストーリー
アメリカ映画の大きな1つのテーマである南部の地の、特に60年代の人間模様を描いたドラマ。このテーマに取り組んだアメリカ映画は少なくないですが、その中で本作は秀作の1つとして数えられていくでしょう。 どうしても作品全体が重たくなるテーマであり、しかも本作はそれに真っ向から取り組んでいながらも重さを感じさせず、ユーモアの精神も素晴らしい作品です。 白人側には嫌な人物も会話も登場しながらも作品全体には明るさを保ち続ける。多分日本で僕が思う以上に今でもアメリカでは難しいテーマなんだと思いますが、この匙加減も見事です。 1冊の本の出版以外は大げさなエピソードや大事件の挿入は控えながら、日常の1コマを大切に積み重ねていく。ニッコリさせられる部分も挿入しながら最後には感動があり、実話モノを見ているような気にすらさせられました。 多くの黒人と白人女性たちが登場しましたが、様々な人間というものを見せてくれた女優陣の素晴らしい演技に拍手を贈りたいと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2012-09-22 20:58:11)(良:2票) |
402. 最強のふたり
重度の障害を抱えた大富豪の初老の白人の男フィリップと、彼の介護職員として採用された、家族に複雑な事情を抱えたスラム出身の貧しい黒人の青年ドリスの友情のドラマ。 こうした対照的な2人の友情物語は目新しいものではないし、フィリップは別に余命あと○ヶ月という訳でなく、金にも不自由している訳でもない。ドリスも全く暗さが無い。底抜けに明るい。悲壮感が無い、この明るさが本作のいい所なんでしょうね。 ドリスの行動は時にデリカシーに欠けていたりもするが、この底抜けに明るいあっけらかんとした男が嫌われるはずがない。フィリップの「ドリスは私に同情したりしないんだよ」という台詞がドリスという男を見事に言い表しているし、彼の明るさがそのまま作品の魅力になっています。 予想以上に笑わせてもらった。上映中は頻繁に館内に笑い声が起こっていましたよ。考えてみればこの映画、大したことは起こらないし、フィリップとドリス、それぞれの家族との関係の描き方も中途半端に終わっていたりもする。(一応ドリスがフィリップの元を去る理由にはなっていますが・・・)でも、陽気なドリスと、彼につられて子どものように無邪気な笑顔を見せるフィリップ。この笑顔、2人の姿を見ているだけで十分な気がした。 大いに笑わせてもらって、鑑賞後は何かほっこりしたようなイイ気分にさせてもらえた。ラストも「こうなればいいのにな・・・」と思っていたら本当にその通りのひねりの無い終わり方でした。でも、それが本当にいい映画でした。 [映画館(字幕)] 8点(2012-09-14 20:48:10)(良:1票) |
403. 127時間
《ネタバレ》 序盤のマウンテンバイクで渓谷を駆け抜ける疾走感、渓谷の秘密の池に飛び込む解放感。そしてそこに挿入されるアップテンポの音楽には若さと躍動感が満ち溢れています。 しかし一転して主人公の男が腕を岩にはさまれ身動きが取れなくなって以降は当然ながら作品も身動きがとれなくなってしまう。そこで挿入されるのが回想や空想ですが、ちょっとこれが多すぎたでしょうか。 実話モノなので彼が恐らく127時間後に脱出するであろうことは分かるのですが、それでも少しずつ、しかし確実に減り続けていく水筒の水の残量、カメラのバッテリーの残量は、そのまま彼が命を維持するのに残された時間の目盛りであるかのような緊迫感がありました。 [DVD(字幕)] 6点(2012-09-02 13:48:29) |
404. おとなのけんか
《ネタバレ》 これはお見事!作品はアパートの一室からほとんど一歩も出ない。2組の夫婦が、それぞれの子ども同士がけんかで怪我をした解決方法を話し合っている内に今度は大人達が・・・というお話。 アパートの一室から殆ど出ない設定の中、ポランスキーの演出、脚本、4人の演技が三位一体となって実に面白い空気を創り上げています。ポランスキー自身、俳優としてジュゼッペ・トルナトーレ監督作「記憶の扉」(94)にて、ほとんど警察署の取調室から出ない設定の中Gドパルデューと俳優として共演し、ほとんど2人っきりで見事な演技合戦を繰り広げましたが、本作の4人もお見事。 ハムスター、ゲロ、クライアントや母さんからの電話、ウイスキーといった次なるバトルの発端となるきっかけの出し方、そのタイミングも実に自然。 最初は和やかに解決方法を話し合っていた2組の夫婦がこれらきっかけを元に夫婦vs夫婦、夫vs妻、妻vs夫、夫vs夫、妻vs妻、かと思えば夫同士、妻同士が共闘したりと1つの些細なきっかけを発端に自然に対立の構図を変えていく流れも素晴らしい。 気がつけば子どもたちは仲直り、ハムスターも公園で元気。色んな大人の事情を挟みつつも大人気無いおとなのけんかにまんまと笑わされたポランスキーの人間観察コメディ。 原題の意味は分かりませんが、「おとなのけんか」以外のタイトルが考え付かない、この邦題もお見事です。 [DVD(字幕)] 9点(2012-08-18 17:10:59)(良:1票) |
405. バレンタインデー(2010)
ゲイリー・マーシャル監督のお好きなパターンなんですね。次回作が「ニューイーヤーズ・イブ」であり、どちらも特定の1日をめぐる、いくつものドラマが同時進行し交錯していく群像劇です。 ニューイヤーズ・イブでは色々な人間ドラマが交錯するのと比較すると、そのドラマがある程度男と女のロマンスの限定されてしまうバレンタインデーは作品全体の面白さという面では分が悪いですね。 それにしてもゲイリー・マーシャルさん、もう70代も後半なのに作品はお若い!次回作はどの日でいきましょう?“Thanksgiving”(感謝祭)あたりでいきましょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-11 13:27:45)(良:1票) |
406. きっと ここが帰る場所
《ネタバレ》 僕はショーン・ペンの新作を見るのが目的で劇場に足を運びましたが、でなければショーン・ペンとは気付かない厚化粧で強烈な風貌の、今はすっかり世捨て人のようになってしまっているかつてのロックスターが主人公。 きっとソレンティーノ監督、ヴェンダースの「パリ、テキサス」がお好きなんでしょう。本作の主人公もヴェンダース映画でよく見られる、社会に要領よく溶け込むことが出来ない男。さらに「パリ、テキサス」の主演ハリー・ディーン・スタントンを登場させる所にもそれを感じます。アメリカを舞台にしたロードムービーの風景も含め色んな意味で「パリ、テキサス」を感じる作品。 しかし本作はそれだけにとどまらない。話がアメリカに移ってからの、ナチスと生前の父との関係、ナチスの残党とその家族との不思議な触れ合い、脱力系の独特の笑いドコロ(結構笑わせてもらいましたよ)の挿入などなど。 重さのある要素や、ラストを含め唐突な話の展開もありますが、独特のユーモア、ユルさ、心地よさがある不思議な世界観を見事に作り上げています。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-23 20:02:36) |
407. 台北カフェ・ストーリー
グイ・ルンメイという僕のお気に入りの女優さんがいる。日本での知名度は今ひとつですが母国台湾では絶大な人気を誇る。そんな彼女の主演作。 日本で公開される作品が少ないのが残念ですが、彼女の過去の主演作「遠い道のり」「言えない秘密」「藍色夏恋」などでも感じることが出来る、彼女の様々な表情の素晴らしい演技を十分に見ることができる作品です。 そんなに喜怒哀楽を前面に出すわけじゃない。動より静のイメージの人ですが、そんな派手さの無い静の演技で自らの主演作では見事なまでに作品を自分の色に染めていく。本作は邦題の通り作品のほとんどの時間が小さなカフェの中で展開されていきますが、そこはまさにグイ・ルンメイのお店。 声高にメッセージを主張する映画では無く、雰囲気を楽しむ映画かもしれません。カフェに置かれた様々な雑貨が、カフェを訪れたお客さんが持ち込んだものと物々交換されていく。そこにお金は全く絡まない。「売ってくれ」という客に対しては頑としてお金では売らない。 人間にはお金より大切な何かがある。そんなことをやんわりと感じさせてくれる作品。それは、度々挿入される、「あなたにとって大切なものは何ですか?」という台北の街を行く老若男女、様々な人へのインタビューからも感じることが出来ます。 [映画館(字幕)] 6点(2012-07-21 20:22:22)(良:1票) |
408. ソウル・サーファー
プロサーファーを目指す、片腕を失った女の子べサニーの感動の実話。 しかし彼女の強さ、彼女を支える親友や家族や周りの大人達の描き方など、感動をあおる味付けは控え目にされており、音楽も大袈裟で感動的なスコアではなく、海やサーフィンのシーンに似合う爽やかな挿入曲が多用されています。それでいていくつものべサニーと彼女の傍にいる人達の感動的な姿があります。嫌に感じる部分と言えば度々登場する、いかにもという彼女に群がるマスコミの姿くらいでしょうか。 長くなりすぎず、まだ津波の傷痕が残るプーケットのエピソードの挿入も良かったです。彼女の笑顔に導かれるように人々が海へ歩を進める様が感動的でした。 エンドロールで挿入される今のべサニーと家族のドキュメンタリーもまた感動的かつ効果的でした。作品に描かれている通りのべサニーの強さや家族の絆の深さが伝わってきました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-07-04 22:47:55)(良:1票) |
409. 劇場版TRICK トリック 霊能力者バトルロイヤル
このシリーズが好きな僕にとってはいつも通りに、それなりに楽しめる作品です。冷めてしまったぬる~いお茶のような、作品に漂う微妙な空気も細かい微妙な小ネタもいつも通り、それなりに楽しい。(上田の著書「IQ200」とか、仲間さんのチキンラーメンとか・・・) 山田と上田の小ネタを交えた掛け合いもいつも通りちょっとだけ笑わせてくれる独特の楽しさも健在。もう1人、矢部のキャラも好きなのですが、今回は矢部の使い方が雑というか、レギュラーなので取り合えず登場させた程度にしか感じられないのが残念でした。 こんないつも通りの変わらぬ作品の空気は好きですが、劇場版3作目、本作の舞台である「マンネリ村」という村の名前からして自虐ネタのような気が・・・。 そして次に含みを持たせるようなラスト。次回作、遂に2人が幸せになったりするのでしょうか・・・? [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-06-30 17:36:21) |
410. 幸せへのキセキ
《ネタバレ》 今年の上半期、楽しみにしていた映画のひとつ。期待通りのいい映画でした。 冒頭からごく短時間でマット・デイモン演じる主人公の男と家族の抱えている問題を簡潔に見せ、すぐに家族は動物園にやってくる。主人公の男が動物園の愛すべき仲間達と共に、動物園を再生していく過程と同時に、彼の人生と家族の再生をひねることなく実に分かりやすく見せてくれる作品です。クスッと笑わせてくれる、控え目な笑いドコロの挿入も良かったです。 やまない雨は無いという。動物園開園前夜まで降り続いていた雨も開園当日にはカラッと晴れ上がった。それは天気だけでなくこの家族と仲間達の人生の好転を予感させてくれます。そして開園以降ラストまで、実に気持ちよく生きることの素晴らしさを感じさせてくれました。 息子と娘をはじめ、子役が本当に素晴らしい作品でした。もう1人、そろそろ子役とは呼べなくなってきましたね。エル・ファニングは去年見た「SOMEWHERE」と比較すると驚くほど大人っぽくなって、とてもいい演技を見せてくれました。 ”20秒の勇気”が良かったなあ・・・。 [映画館(字幕)] 9点(2012-06-18 22:32:03)(良:2票) |
411. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 前作「人生万歳!」に続き、70代も後半に突入したアレンがまたしてもこんなに上質で楽しい映画を撮ってくれました! 1920年代のパリを黄金期(ゴールデンエイジ)と考える現代の男、タイムスリップした1920年代のパリで出会った19世紀後半のベルエポックのパリを黄金期と考える女、そしてまたまたタイムスリップしたベルエポックのパリで出会った芸術家達はルネサンス期こそ黄金期と語る。そんな後ろ向き思考の人間模様を通して描くアレン流前向きメッセージ。 このところヨーロッパを舞台に映画を撮ることが多くなったアレンですが、アレンらしいインテリ登場人物、彼らが繰り広げるこれまたアレンらしい楽しく理屈っぽい会話を挟みつつニューヨークからパリに舞台を移し、ついにヨーロッパで楽しくて小粋でファンタスティックでロマンティックなアレンワールドを見せてくれました。 そこに次々登場する各時代を代表する作家、画家、映画監督などなど実在する登場人物をコミカルに描くアレンの語り口も冴え渡るファンタジー・ロマンティックコメディです。 [映画館(字幕)] 8点(2012-05-31 22:41:43)(良:2票) |
412. マイネーム・イズ・ハーン
9.11とアメリカを描いた作品。アメリカ社会や市民生活に及んだ様々な影響なども描かれますが、最後の方の台詞にもある、憎しみや怒りでは何も解決しない・・・。この心境に達するのは非常に困難な事だと思いますが、人種や信仰は違えど人の心の中にある善良さを描くことでこのことを伝えようとしたのでしょう。ジョージア州を襲ったハリケーン被災地に広がった助け合いの輪の挿入も良かったと思います。非常に上映時間の長い作品ですが、シリアスさと、ちょっとしたユーモアや温かみのバランスも素晴らしく、序盤から中盤の登場人物も上手く後半から終盤につなげており、人の輪を感じさせてくれるいい映画でした。アメリカに暮らすインド人の目を通してはいますが、描かれるのはアメリカ社会であり、特にラストのオバマ大統領の登場シーンなど、これがインド映画であるのが少し意外に感じられました。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-21 19:41:31) |
413. マリリン 7日間の恋
関係者が書いた書物などで知る限りですが、「王子と踊子」の頃からのマリリンを思うと、彼女が安らぎのひと時も味わいますが、予期していた通り彼女の姿が辛い映画でした。 マリリンが抱える不幸な少女時代の記憶や、結果的には数年後に離婚することになるアーサー・ミラーとの彼女にとっての3度目の結婚生活、演技に関する不安など女優マリリンとしても、一人の女性ノーマ・ジーンとしても、ミシェル・ウィリアムズは容姿もさることながら、彼女の内面も好演していたと思います。 特にケネス・ブラナー演じるオリヴィエ卿(さすがにいい味わいのある演技でしたねえ)の「君はセクシーでいてくれればいい」に取り乱すマリリンの姿は、彼女がNYに渡り、本作にもリー・ストラスバーグの妻ポーラが登場しますが、アクターズスタジオで演技指導を受けるに至る彼女の思いが端的に表れていたと思います。 「王子と踊子」以降もいい映画がありますが、本作にも描かれている通りマリリンは不安定な状態で、いずれも撮影が遅れ製作費もかさんでいったという。彼女の周りには本作にも登場する人、しない人、様々な人々がいましたが、彼女にとっての本当の心の支えは何であり誰だったのでしょうか・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2012-04-11 17:55:36)(良:2票) |
414. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
近年のメリルを見ていると、「ジュリー&ジュリア」「恋するベーカリー」、そして本作の監督の作品でもある「マンマ・ミーア」など、コメディを中心に自身とほぼ同世代の女性を実に楽しげに演じている姿が印象に残ります。 そして本作、久々にメリルの目ヂカラの強さを見たというか、魂のこもった圧巻の演技を堪能させていただきました。もはや恒例となった感があるメリルのアカデミー賞ノミネート。本作で取れなければどうする!?という凄い存在感でした。それだけでも本当に見て良かったと思える作品でした。 一人の庶民の女の子が政治の世界を志す。そこでぶつかる家柄の壁。まだまだ男の世界である政治の世界。側近の男たちが指示を仰ぐべく彼女の顔を覗き込む。その複数の男たちの顔のアップ。弱々しくも変な圧迫感。対する彼女はいつも一人だったのが印象に残ります。 また、イギリス映画でよく取り上げられる炭鉱や工場の閉鎖や組合のストライキ。その際、時にサッチャーに対する皮肉めいた、あるいは辛辣な台詞が挿入される事も少なくありません。本作でもその対立関係が取り上げられています。国内社会や国際社会、あるいは家族との関係を、浅く広く的になっている感はありますが当時の映像も交え彼女のたたかいの軌跡をたどっていく。 そんな彼女の軌跡と平行して見せる、今のサッチャーの姿。認知症を患う彼女の前に頻繁に登場する今は亡き夫の姿からは、彼女の中での夫デニスの存在の大きさを感じました。 最後になりましたが本作のメリル・ストリープに最大限の賛辞を送りたいと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2012-03-20 00:13:15)(良:1票) |
415. J・エドガー
《ネタバレ》 FBIを作り上げ、画期的な科学捜査を導入し、今日のような強大な組織にしていく、とフーバーの年表をたどるだけの映画をイーストウッドが撮る訳が無いとも思っていましたが、いやいや、見応えのあるフーバーという一人の人間のドラマでした。 晩年の彼が自伝の口述をする。その度に作品は若かりし頃の彼へと移動していく。その度に彼の口からはFBIを創り上げていった自身の活躍が語られていくのですが、最後の最後で実はそれは違う・・・。という事実が生涯を共にした男の口から語られる。 同性愛者であることを匂わせマザコンであるとも言えるでしょうか。違法すれすれの情報収集やフーバーのファイル、キング牧師への脅迫の手紙など、表の姿と一般国民には見えることの無いウラの姿が、FBIを創り上げ50年近くもそのトップの座に君臨した強さと共に弱さが描かれる。 一人の男の伝記ものでもあり、フーバーを通して見せる人間が併せ持つ表の顔ともう一つの顔。(こちらが実像か・・・)そんな複雑な男を演じる主演ディカプリオの熱演も見応えがありました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-02-06 17:53:52) |
416. ニューイヤーズ・イブ
去年暮れから何度か本作の予告編を見ていました。かなり軽いタッチのラブコメ群像劇かな?という感じでそれ程期待していた訳ではなかったですが、いい映画でした。 ちょっとイイ話にバカ話にゲイリー・マーシャルの十八番、ロマンティックコメディにちょっと悲しい話も・・・。中盤まではそれぞれが順序良く登場し素晴らしいテンポで展開していく。そして終盤に少しずつそれぞれのストーリーが重なり合う。それにしても豪華なキャストですが、やはりミシェル・ファイファーが一番印象に残りました。終盤にはちょっと扱いが軽くなってしまう話もありますが、それはこのジャンルでは仕方が無いところかもしれません。 1年の終わりに見ても、また新たな1年の始まりに見ても、実に気持ちのいい映画です。(でも、やっぱり”ニューイヤーズ・イブ”に見たかったな・・・)最後に「バレンタインデー」のDVDパッケージがチラッと登場しましたが、ゲイリー・マーシャルの茶目っ気でしょうか。また、一番最後の日本に向けたメッセージをとても嬉しく思いました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-01-27 20:07:24)(良:1票) |
417. クリスマスのその夜に
ベント・ハーメル監督らしい極寒の北欧の冬が舞台。聖なる夜の様々な事情を抱えた人間模様を描いた群像劇。 ある者は故郷へ向い、ある者は故郷を追われる道中。国籍も信仰も様々な人間模様。それぞれが抱える事情の中に、民族と紛争・宗教・貧困・老い・家庭崩壊など、現代社会の様々な問題を重くなりすぎることなく無理なく挿入していく。 イブの夜に誕生した新たな命、その一方で・・・。登場する全ての人にクリスマスの奇跡が訪れる訳では無いですが、ラストのオーロラは、それを見つめる2人にとっては新たな人生の希望の光のようです。冒頭ではあまりよく分からないそれぞれのドラマが語られるにつれじんわりと心が温まる。 90分にも満たない小品。そこにこれだけのドラマを挿入しながら急ぎ足になることなく、ゆったりとした味わいがあるクリスマス映画です。 [映画館(字幕)] 7点(2011-12-30 23:15:11)(良:1票) |
418. マネーボール
昔からMLBが大好きな僕には実に嬉しい映画でした。本作の舞台は約10年前のMLB。登場するオークランド、試合相手チームの様々な選手。今は既に引退した選手、往年の力は無いが今もMLBに必死でしがみついている選手、その頃頭角を現し始めた選手・・・。今も現役の選手もほとんどみんな所属チームが変わっている。とても懐かしい思いで見させてもらいました。 冒頭のヤンキースとの試合の中で年俸総額の対比が出てきますが、これがどうしようもないMLBの現実。しかし、ここに今のMLBの楽しさがある。金の無いスモールマーケットのチームにも色々ある。万年弱小のままのチームもあれば、限られた予算の中、創意工夫でしたたかに金満チームと互角に渡り合うチームもある。本作の主人公ビリー・ビーンはその象徴のような人間です。 本作はビリー・ビーンのマネーボールがどうだとか、弱小チームがどうだとか、金満チームがどうだとか、そこには意外なほど触れてなかったように思います。ただ、弱者が強者に対し如何に挑むのかがビリー・ビーンを通して描かれていますが、それが良かったと思います。 僕は正直ヤンキースやレッドソックスには興味が無い。オークランドをはじめ幾つか存在する、チームの創意工夫、独自路線で金満チームに挑み続けるチームを応援しています。それが僕のMLBを見る楽しみの一つであり、その舞台裏を見せてくれたこの映画は僕にとってたまらなく楽しい映画でした。7月31日の各チームのGMとの駆け引きなどもとても面白かったです。 何か大好きなMLBを語っただけになってしまいましたが、最後に一言、ブラピ、良かったぞ! [映画館(字幕)] 8点(2011-11-17 00:17:00)(良:1票) |
419. ナイト&デイ
ラストは絶対ハッピーエンドなんだし、どんなヤバイ状況だって安心して楽しんでいればいい。爽やか笑顔、どんな状況でも余裕しゃくしゃくで無敵のカッコいいトム・クルーズと、そんなトムとは対照的にコミカルにパニクりまくる、いくつになってもキュートなキャメロン、2大スターの競演がとっても楽しい、細かいコト言いっこなしのアクション・エンターテイメント! [DVD(吹替)] 7点(2011-11-06 00:23:02)(良:1票) |
420. カウボーイ&エイリアン
《ネタバレ》 楽しかったんですが、考えてみればアホな設定の映画です。エイリアンが地球にやって来た目的が地球の征服とかじゃなく、金を採掘(西部劇らしいんですけど)に来たという微妙なセコさ、人間を一杯捕獲しても、そのまま放置してるだけで見張りも無く簡単に救出成功!最後の見せ場である人間対エイリアンの大決闘もなかなか笑えます。空から攻撃すれば何の問題も無いものを、取り合えず人間に向って無防備に突撃しては山賊のピストルと、インディアンの弓矢の餌食となる。これら数々のツッコミ所はあるんですが、面白かったので良しとしましょう。主演ダニエル・クレイグがカッコいい。面構えもいい。戦いが終わり、ヒーローは平和が戻った村を見届け、馬にまたがり静かに旅立っていく。お約束なんですが、やはりこうじゃなきゃいけませんね。 [映画館(字幕)] 5点(2011-10-30 15:19:35) |