441. トーマス・クラウン・アフェアー
マックイーンにも、フェイ・ダナウェイと一緒に出演してほしかった。役は保険会社のボス。「犯人は金持ちで、クールな奴さ。昔の俺みたいな。」なんて言って。かなり粋な作品になったろうな。 6点(2004-04-05 00:12:38) |
442. 砲艦サンパブロ
ロバート・ワイズが、時代の流れに対応して揺れ動く国家の意思と、それに巻き込まれ苦悩する個人の感情や行動を通して、戦争の空しさを描いています。激動の時代の中国に大国の利権を確保するため派遣されている砲艦。しかし、実態は戦闘もなく中国人を雇い無意味に日々を過ごしているだけ。こうした中、国家の思惑とは関係なく、兵士達は人間として価値を見出し、愛する人をみつけ、日々を生活していきます。やがて、時代は動きだし、個人の感情、愛、思いは全て無視されるように流されていきます。スティーブ・マックイーンの唯一オスカーにノミネートされた名演が光る大作です。かなり重い、ずしりと胸に響く、名作です。 8点(2004-04-04 17:20:23)(良:1票) |
443. 椿姫(1937)
愛する人の父親から身を引いてくれと嘆願され、彼のためと自分に言い聞かせ嘘をつき離れようとしますが、心の中は、切ないほど愛する人を求めている椿姫マルグリット。この、病弱で男を頼りに生きていかなければならない悲劇のヒロインをグレタ・ガルボが見事に演じきっています。悲劇が愛を美しくし、二人の一途さが観る者の心を揺さぶります。この恋多きパリ社交界の花も、真に愛する人とめぐり逢いますが、幸福に縁がないまま、最後は、彼の腕のなかで息を引き取ります。引退後、公の場から姿を消して、映画で創り出したヒロイン像を守り通した伝説の名女優に愛をこめて乾杯! 9点(2004-04-02 00:49:57) |
444. わが谷は緑なりき
名作に出会うとその監督のイメージが作られます。感動が大きければ大きいほど、確固たる作風が固定されてしまいます。したがって、その思い込みが裏切られたときは失望もかなり大きくなります。しかし、期待を裏切る作品が、とんでもない名作であれば、逆にその監督の評価は何倍にも跳ね上がります。ウェールズの炭鉱で生活する一家の色々な出来事が描かれていきますが、失業、事故、離婚にいじめと、違う時代の違う国の我々にとって、それらは不幸そのものであっても、何と彼らは生き生きと生活していることか。自分の置かれた立場をわきまえ、誰を恨むことなく、できることを一生懸命やろうとする姿勢に、すがすがしさを感じ、感動しました。私のジョン・フォードのイメージを塗り替えた黒猫さん、ありがとうございました。 8点(2004-04-01 02:11:21) |
445. ミスタア・ロバーツ
組織の中で働く者にとって、仕事の内容にも増して、人間関係が重要です。ましてや、四六時中顔をつき合わせて共同生活を送る船乗りにとってはそれが全てとも思われます。自分の出世しか頭にないトップと、この人ならと思える直属の上司。みえみえの設定でも、思いっきり笑えて、さわやかな涙をながせます。こういう人に巡り会いたいと思う以上に自分がこうなりたいと思うはず。三波さんありがとうございました。PS:映画から25年後、ある受賞セレモニーの際、海軍のコーラスに聴き入っていたヘンリー・フォンダに対して、歌い終えたメンバーの代表が敬礼し、「Thank You Mr.Roberts」と感謝の意を表すると、フォンダが感極まってか涙を流したとの事。映画の場面と重なり、熱いのもがこみ上げました。 9点(2004-03-31 00:15:02)(良:1票) |
446. ブラス!
エネルギーの主流が石油に代わり、非効率な石炭は姿を消していきます。利益を追求する資本主義の世の中では当然のことですが、そこで生活してきた人たちにとっては、受け入れ難い現実でもあります。こうした時代の波に流される炭鉱の町を通して、経済的に豊かなことが幸せであると思われがちな中、人生には、それ以上に重要なことがあることをこの作品は示しています。誰にでも、金で買えない、妥協できない、大切なものがあるはずです。彼らにとって、それはまさに、ブラスバンドの演奏でした。悲しく厳しい現実の中、悩み苦しみながらも、最後は、見事な心意気を見せてくれます。家具がなくとも、アルバートホールでの優勝のほうがはるかに誇りになることか。貧乏でも威風堂々の人生を歩むべきなのかもしれません。 8点(2004-03-30 00:54:23)(良:2票) |
447. フィールド・オブ・ドリームス
ベース・ボール、アメリカ、父の夢。決して野球ファンのための作品ではありませんが、父親とうまくいかなかった人、特に、40歳以上の男性野球ファンにはたまらない作品でしょう。不思議な出来事と、夢を叶えることなく挫折した実在の名プレーヤー達の思いを通して、人の心の奥にあり、普段は気づかない感情やこだわりと、父親と息子の関係を感動的に描いています。ひとに歴史ありで、どんな人でも、色々な思い、悩み、夢、喜び、愛、挫折、後悔などがあったはずです。父はどうだったのだろうか。普段、父親としてしか見ていないけれども、若い頃は、何に熱中したのか、何が夢だったのか。元気なうちに、そうしたことをお酒でも飲みながらゆっくり、話したくなります。私の父はすぐ酔っ払いそうですが。 9点(2004-03-28 23:28:33)(良:1票) |
448. 男はつらいよ 寅次郎紅の花
最後の寅さんと思って観てしまうから、なかなか感慨深いものがあります。このシリーズは、日本映画にとって大きな財産だと思います。浅丘ルリ子はマドンナとして最高ですね。満男と泉ちゃんも、ハッピーエンド気味で後味もなかなかでした。 7点(2004-03-28 00:34:48) |
449. 刑事コロンボ/黄金のバックル<TVM>
《ネタバレ》 花粉症のコロンボ。美容院で散髪するコロンボ。あまりしつこくないコロンボ。しみじみとした雰囲気で余韻を残すラスト。名家の私財の美術館を舞台にし、また、過去の姉妹間の確執といった話も挿入されて、人間ドラマとしても楽しめました。決め手はさすがです。すぐ気絶する姉や忠実なミラー刑事など笑いのつぼももちろん健在。最後の犯人との駆け引きは、あとで知りましたが、観ただけではわからないでしょう。でも、今のところ、NO1です。 9点(2004-03-24 23:57:01) |
450. マジェスティック(2001)
戦争で戦った若者達が命を懸けて守ろうとした国家が、いつのまにか理想からかけ離れていく事に対する憤りを感動的に描いています。自由と民主主義を守るために、アメリカは第二次世界大戦に参戦しました。しかし、多くの若者の犠牲により勝利した「自由の国」が、その後、共産主義から国を守るという名目のもとに「赤狩り」により言論や集会の自由を奪う行為を行います。自由を守るために戦えと言っていた国家が、新たな敵と戦うため国民の自由を弾圧したのです。国家や国民のためと信じて命を懸けた人たちの行為を、国家自体が裏切ることは、現在でも、またどの国でも起こり得ることかもしれません。犠牲になった若者達の声を代弁する議会での演説が胸を打ちます。「命を懸けて守ろうとしたのはこんな国ではない。」ダラボン監督会心の作品です。 9点(2004-03-21 23:46:50)(良:1票) |
451. 刑事コロンボ/殺しの序曲<TVM>
私もコロンボクラブの仲間に入れて下さい。最後の犯人との1対1の謎解きと会話が、じっくりと時間をかけており、しかも二人の人生観にも及んで、見ごたえがありました。天才と自負する犯人の同じ天才仲間への対抗心が、人間らしさを感じました。世の中には、頭のいい人がいるんですね。 8点(2004-03-21 21:45:16)(良:1票) |
452. グリーンマイル
原作は未読です。エピソードを盛り込みすぎている感じがして、まとまりに欠ける印象です。とは言え、わかりやすい丁寧な表現でキングの世界は十分堪能できました。不思議な力を絡ませて描く悲劇と救いの話と、複雑な余韻を残す最後のオチは見事です。有り得ない世界を、もしかしたらと思わせるところが魅力になっています。 7点(2004-03-16 23:38:36) |
453. 刑事コロンボ/闘牛士の栄光<TVM>
闘牛士である犯人のプライドが、無礼でしつこいコロンボへの非難に結びつき、かなりきつい言い方をしていました。外国人で、直接の捜査権限がないので、引き下がるようなそぶりを見せながら、そこは、コロンボ、離れません。殺人の動機が何かが見所。相変わらず仕掛けは抜群です。 7点(2004-03-16 23:13:30) |
454. トータル・フィアーズ
核兵器は、使われてはいけないが、使われるかもしれないところで、緊張感が最高潮になるのだが、あっさり使われてしまっては、肩透かしで興ざめに。あ、そうか。これは、ターミネーター・シリーズのプロローグか。こうして核戦争が起こったんだ。(違う!) 6点(2004-03-15 19:35:06) |
455. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 主人公が刑務所の中でしだいに自分の立場を築いていく展開は、原作どおりですが、よけいなエピソードを加えすぎた感じもします。基本テーマも、原作で感じたのは鮮やかで衝撃的な脱獄ですが、映画は自由と生きることへの賛歌になっており、別物として観ればなかなかの作品になるかもしれません。特に、仮出所しても自分の居場所を見つけられず自殺する受刑者のシーンは、さりげなく描きながらも、人間はいかに環境と習慣に束縛されて生きているかを物語り、心に重く響いてきます。 7点(2004-03-15 19:21:22) |
456. 刑事コロンボ/魔術師の幻想<TVM>
ラストは鮮やかです。魔術師に対しての周到な用意が決まります。色々な手品のトリックも楽しめる作品。ジャック・キャシディは、悪役としては最高の役者さんです。目つきや、身のこなしは、まさにコロンボの相手にうってつけ。これだけ迫力があれば、捕らえがいもあります。 8点(2004-03-14 21:02:54)(良:1票) |
457. ブリジット・ジョーンズの日記
必死さと、あきらめと、期待感。なんとなくわかる気がします。随所にユーモアも感じられ、けっこう楽しめました。どういう人生を歩もうとも、運命を受け入れ、自分の気持ちに正直に、そしてトラブルが起こっても、むしろ、それを楽しむ気持ちの余裕がほしいです。まあ、私の場合、ああいう女性とは友達がいいとこですが。 8点(2004-03-14 16:16:15) |
458. 刑事コロンボ/死の方程式<TVM>
《ネタバレ》 最後は、ガツンではなく、じわじわと時間をかけての決め手もいいですね。ロープウェイの中というのも、閉所を利用しての犯人をいたぶるコロンボの遊び心が感じられて良かったです。犯人も自分の能力を過信している様子をうまく演じていました。最後、葉巻をポケットに入れようとするコロンボには、まいった。 7点(2004-03-14 09:44:51) |
459. 刑事コロンボ/もう一つの鍵<TVM>
《ネタバレ》 たしかに、この犯人には、同情すべき点がほとんどないです。途中から、コロンボ、早くガツンと一発やってくれと思ってました。最後は、引き金を引き、弾が抜かれてて、ワメキ散らして、と期待しましたが、さすがに観念しましたね。反対に、婚約者は、財産目当てではなく、意外にいい人でした。女を見る目はなかったが。 7点(2004-03-13 20:20:05) |
460. たそがれ清兵衛
藤沢周平の世界がよく描かれています。江戸時代の江戸や京と違う東北の雰囲気も感じられる名作です。庶民の、とはいえ武士の中でも小役人の生活が、藤沢文学の基本的なテーマでもあるので、この雰囲気やストーリー展開は予想通りです。山田洋次監督もかなり自分の世界を押さえているのではと感じました。剣の使い手でも世渡りの下手な主人公と、不運な幼なじみの恋に、藩の騒動を絡ませて、人の幸せとは何かを問いかけます。自分が幸せか否かは本人が決めることであり、他人が決めるものではありません。人がどう思おうと自分の価値の基準で生きていくべきなのでしょう。自己主張の強い主人公の劇的な展開の映画だけが名作ではないと感じました。 9点(2004-03-13 16:04:57)(良:2票) |