481. レイジング・ブル
スポーツ選手は概ね20代後半でピークを迎えて30代で引退する。その後は指導者になるか、タレントになるか、水商売やるか。普通の選手だったら会社員もあるだろうが、TOPを極めると普通の会社員はやり難いだろう。それを「転落」と呼ぶのかどうかは議論があるだろうがTOP選手の宿命ではある。よって、本作はそういうありがちな話を映画化しただけで、有名な選手ではあったようだしDV癖があったという事に特徴はあるものの、コレといったドラマもなく全体的には退屈ではある。デニーロが太って役作りした事はそれなりに評価はするが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-10-03 17:38:34) |
482. ライフ(2017)
登場人物の描き方が少々浅いような気もするが、密室パニックとしては中々面白いとは思う。ただし、乗組員が皆善人過ぎるのでもうちょっとクセがあったり内部でのイザコザがあってもよかったように思う。また、相対的にみれば単純に「カルビン」が悪であり、人間が善であるという事ではない点にも留意が必要である。科学者のチャレンジ精神は往々にしてリスクテイクとなる。元はと言えば、生物学者が相手を「刺激」した事が発端であり、さらに遡れば、「採取」という名の「収奪」が原因である。逆に考えれば、宇宙人生物学者が人間を採取して電気ショックを与えるのと同じである。このような科学(者)の暴走がどういう結果を招くのかは311で明らかとなっているし、科学による環境破壊によって早くて100年後には人類が地球には住めなくなるという危機も迫っている。よって、科学の活用の是非については全世界的な議論が必要である。宇宙開発は人間が地球上で生きられなくなった場合に備えて行っているらしい。その前に地球上で生きられるようにするためにはどうすればよいのかと考えるべきだと思う。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-09-30 13:34:44) |
483. ユニバーサル・ソルジャー
プロットはターミネーターに似ているが、こっちは基本的には人間。せっかく人間ならではの兵士の悲哀とか記憶とか自由意志といった面白そうなテーマがあるんだから、これらをもっと生かせばターミネーターより面白い作品になりえたと思う。一応シリーズ化はされたようなのでそれなりの人気はあったのだろう。ただし、ターミネーター程メジャーではないのはなぜなのか。世間が求めるものはもっと単純であり、中途半端な「人間」よりも不死身のサイボーグという事なのだろうか。 [地上波(吹替)] 6点(2020-09-29 16:17:08) |
484. ニューヨーク東8番街の奇跡
「奇跡は目的や理由を求めると消えてなくなる」という台詞からは物事の偶然性や因果律の認識について考えさせられる。やはり奇跡というのは認識の問題であるのかもしれない。また作品上は「宇宙人」という事にはなっているが、「電気で動く機械式の物体」という描写からはロボットや今風に言えばAIとも解釈可能であり、そもそも生命体とは何か?とか、後半以降の描写からはAIに家族形成や仲間との連帯は可能なのか?といった疑問も沸いてくる。30年以上前の作品ではあるが、現代的テーマとして色々と問いかけをしてくる作品である。 [地上波(字幕)] 7点(2020-09-29 13:52:21) |
485. ANNIE/アニー(2014)
オリジナルはよく知らないのだが、良くも悪くもアニーが世間ズレしていて物怖じしないので富豪と「対等化」しているように思えた。そこが、皆さんのおっしゃるアニーに魅力を感じないという要因ではないだろうか。経済的な格差拡大はあっても自由主義と(人権的な)平等主義が台頭した現代社会を投影しているのかと。その結果として、配役の人種的なバランスにも配慮しているんだろうし。 [地上波(吹替)] 5点(2020-09-29 01:20:41) |
486. エスケープ・フロム・L.A.
こういうバカ映画は楽しくて好き。しかも、大地震だの津波だのエネルギー無化だの壁を作っちゃう独裁的大統領だの、その後を予見する作品でもあり、今見ると社会風刺も効いていて、まんざらバカにもできない。こういう作品にある種のリアリティーを感じてしまうというのは世界が荒廃している証左なのかもしれない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-28 17:28:02) |
487. シャドー・チェイサー
まだまだ世界中に異母兄弟がいる予感。マドリード舞台のアクション映画というのも珍しい。 [地上波(吹替)] 5点(2020-09-28 17:15:38) |
488. 帰郷(2019)
《ネタバレ》 映像はキレイ。役者も熱演している。ただし、全体的に物語上の年齢と役者の実年齢がふたまわりぐらい違うので終始違和感がある。音楽が仰々しく、ストーリーもイマイチ。そもそも最後の最後まで九蔵が宇之吉に気がつかないってのはかなり無理があるんじゃないのかと。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2020-09-28 11:30:25) |
489. マダム・フローレンス! 夢見るふたり
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490. DESTINY 鎌倉ものがたり
《ネタバレ》 まず本題に入るまでが長い。だから全体的なストーリーに無駄が多い。そして、死者の無念や遺族の喪失感といった感情部分の描き方も弱い。そもそも映像の力で押し切る作品であって、ストーリーや感情面に期待する作品ではないのかもしれないが。ただし妖怪?も不必要に多すぎるような気がして映像的にも子供っぽさも感じるし、可愛らしさもないので見ていて多少不快になる部分もある。 テーマや設定そのものは悪くはないし、ラストの「想像の力」で乗り切るところは結構哲学的でもあり、観念の映像化としてもっと面白く料理できたのではないか。物語的にも映像的にも大人向けに工夫すればよかったのにと思うが、マンガ原作を映像化するとこうなるのは仕方ないのかもしれない。 [地上波(邦画)] 5点(2020-09-26 18:36:55) |
491. 闇の歯車
サスペンス的要素の中に人生というか男女の機微みたいなものが描かれており全体的にはキレイにまとまってはいる。俗な言い方をすれば、カネと女に振り回されているだけなんだが、所詮男の人生なんてそういう「歯車」のようなものなのかもしれない。他方、女性陣の方は妄想的というか各々ベタに描かれていたような気がしないでもない(強盗先に元カノが居たというのもご都合主義というか)。 難点はもう少し時間をかけて主役以外の仲間の素性についての描き方を丁寧にすればよかったのではないかという事と、役を作りすぎてしまったのか、瑛太の演技が硬くて暗くて陰気であり、粋ではないという事。もうちょっと軽めで明るくしなやかにするべきだったのではないかと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-09-26 18:07:46) |
492. パニッシャー(2004)
シリアスなのかコメディなのか、バイオレンスなのか知能犯なのか。なんだかよくわからない中途半端な作品ではあるが、好意的に見れば幕の内弁当的な何でもアリアリの作品でもあり満足する人もいるだろう。悪役のジョン・トラボルタもヘナチョコでパンチ不足。アパート住民は皆個性的でよかったので、この拠点をベースとした表と裏の顔みたいにすればメイハリがついて面白くなったと思うが。 [地上波(吹替)] 4点(2020-09-25 23:54:52) |
493. ファイナル・スコア
『ダイ・ハード』系だがブルース・ウィルスに比べると、確かに主人公には華がなく面白みもなし、ジョークっぽい台詞もスベってるというか似合ってない印象。が、生真面目で無骨な感じは悪くはない。他方、案内係のファイザルがコミカルでいい味出していた(「テロリストジョーク」は皮肉が効いていてよかった)ので、配役のバランスは取れている。娘がもうちょっとバカで緊張感をさらに煽るとよかったかも。尚、ピアース・ブロスナンが出ていた事には気がつかず。007しか知らないし、老け過ぎててこれじゃあわからないよ~ [地上波(吹替)] 6点(2020-09-24 17:31:06) |
494. 沈黙 ーサイレンスー(2016)
《ネタバレ》 原作は中学時代に読んで、まったく理解できず挫折。で、映画でリベンジ。尚、近年の教科書では「踏み絵」(板)と「絵踏み」(行為)は用語として使い分けられている事に留意する必要がある(原作は仕方ないが、台詞や字幕は工夫できたのではないか)。 序盤で日本人が「モノ」を求める事を神父が懸念する場面がある。これは偶像崇拝につながるからだろう。であるならば、「踏み絵」も単なる偶像崇拝に過ぎないと考えれば、絵踏みをする事にはそんなに躊躇はないはずである、という話は時々耳にする(カトリックとプロテスタントの違いはあるだろうが)。逆に日本人はモノに神が宿ると考えるので絵踏みには躊躇があるだろう。が、そもそも絵踏みをしたところで棄教したとは言えないし、こんなのは「形式的」な儀式に過ぎない。また「信仰を捨てた」と白状したとしても、本当に棄教したかどうかはわからない。なぜなら「内面の自由」は誰にも侵すことはできないし、他人の心の内などそもそも誰にもわからないからである。終盤までそういった事はうまい具合に映像表現されていたように思うが、その分ラストの「手の内」の映像は余計だった。「心の内」では心許無いので最後の最後で映像による「偶像崇拝」の誘惑に負けてしまったようにも思える(これが映画の限界なのかもしれないが)。あとは皆さん仰るように英語を流暢に話す江戸時代の日本人と「神の声」も難点ではあるが、概ね違和感なく見る事はできた。 遠藤は日本にキリスト教が「根付かない」理由としてローカライズ(日本化)に失敗したからだと述べていたと記憶している(デウスを大日如来とするのはどうかと思うが、こういう「勘違い」で広まった側面はあるだろう)。なら、沼に生える「麦」を蒔けばよいわけだが、禁教であった近世日本においても数百年間隠れキリシタンとして信仰を守ってきた事実をどう考えるべきか。16~17世紀に渡ってきて殉教した宣教師達はある種の「一粒の麦」になりえたと言えるのではないか。他方、当初は「普遍」や「真理」にこだわっていた宣教師達が「転んだ」後はある意味日本流に信仰を守り抜いたという点ではローカライズを体現したと言えるのではないか。遠藤の本作に込めた真意はわからないがそんな印象を持った。ただし、ローカライズというのも信仰スタイルの問題ではなく「原始仏教→大乗仏教」のような教義的な事が言いたかったのかもしれないし、遠藤としては人口の1%に留まっている日本の信者数への不満はあるのだろう。その起源や原因をどこに求めるのかは人それぞれではあるが、本作で描かれたような歴史を認識しておく必要はあるだろう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-24 14:55:38)(良:1票) |
495. グラスハウス
《ネタバレ》 やけに裕福そうな養父母が妙に怪しく気味悪く、原因は何なんだろう?と気になりつつ興味をもって見ていたら、まさかの100万ドル程度の借金返済のカネ目当てというしょうもない動機で、なら家売ってやり直せよ!とツッコミたくなった。姉弟の幼く拙い抵抗は、それはそれで危うさがあり、それなりの緊張感はあったが。それにしてもダイアン・レインがなんでこんなヘンテコな役を引き受けたのか不可解で仕方ない。 [地上波(吹替)] 4点(2020-09-23 16:32:08) |
496. さすらいのカウボーイ
《ネタバレ》 自由を求めて妻子を7年ホッタラカシたかと思えば、放浪生活が空しくなり平穏な家庭を求めて帰ってきて地道な暮らしをしてマジメに働くのかと思えば、男の友情のために決闘しに行って死んでしまうという、寅さんの劣化版みたいな芯のないフラフラした男と、トコトン現実主義な女という、まあ極度にステレオタイプ化された男女の価値観の違いを表現。夫の不在中、大人しく待ってるわけでもなく使用人とは次々とデキちゃうし、夫が出て行くときも黙って見送るのではなく毒舌吐くのがアメリカらしいというか、日本映画ではありえない妻像というか。娘はカワイイんだけど妻が不細工なのが難点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-09-23 12:39:33) |
497. 拳銃王
年取って落ち着いて暮らしたくなったお尋ね者の主人公だが、そんなの虫がよすぎるし無理に決まっている。若い頃の人生の決断と行為が後々まで影響するという因果応報的な展開はよいのだが、やや盛り上がりに欠けるし、Gペック主演の映画にしては救いがない。もうちょっと本人の苦悩や後悔と出す共に、息子に反面教師的な教訓を与えてもよかったようにも思うが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-09-22 13:07:18) |
498. 映画 「咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A」
マージャンは若いころによくやっていたが、原作もTVも前作も知らない状態で鑑賞。見所はクールな浜辺美波ぐらいかな。スピンオフなので浜辺美波を差し置いて桜田ひよりが主役になっている格好だが、もうちょっとキャスティングを工夫すればよかったのに。女子学生大会なせいか点棒のやりとりが礼儀正しく丁寧なのが新鮮。 [地上波(邦画)] 4点(2020-09-22 11:28:45) |
499. 日日是好日
就職難や男の裏切りや親の死といった、傍から見ればありきたりではあるが当人にとっては重大な「苦難」を、茶道を極めていく事で乗り越えて成長していくというロスジェネ世代の女性の物語なんだが、基本的には映像・音声中心の「頭で考えてはいけない」感じる作品になっているので、こうやって「どういう意味があるのか」を解釈して文章化する事を拒否する作品なのかもしれない。ただし、心情表現は独白形式になっているので、逆に説明臭いというアンバランスを感じるのだが、この辺は脚本化に失敗したのだろうか。 ちなみに原作はかなり有名なようであるが恥ずかしながら未読なので、映画の『道』は茶「道」にかけているのかどうかはわからないのだが、茶「道」の方は「伝統」を表すので「意味」は全く異なる。女の生きる<道>とでも考えれば両者を媒介可能なのかもしれないが、それにしてもここまで男不在な作品というのも違和感がある。 尚、調べてみると原作者は1956年生まれのようで映画の設定よりも15年程度上であり、これを映画化するに伴いロスジェネ世代に置き換えた事によるズレが色々と生じているように思える。従兄弟の商社就職も実際には雇用機会均等法前の話だろうし、地元に帰って医者と見合い結婚して寿退社というというのもいつの時代の話だよとツッコミたくなる。そもそも少女時代に映画の『道』を劇場鑑賞したという設定に違和感があるのだが、家族で名画座に行ったという事なんだろうか。ロスジェネ世代ではありえない設定ではあるが。 [地上波(邦画)] 4点(2020-09-21 17:24:47)(良:1票) |
500. 花よりもなほ
911にヒントを得たらしく「復讐」のバカバカしさ・愚かさをコメディタッチで描く庶民賛歌(サムライ批判)の作品で、中々よくできた脚本だと思う。確かに弱者目線に立てば庶民は日々の生活に精一杯で、貧しいながらもささやかな幸福と平和を望んで暮らしているのかもしれない。しかしながら、「義や誇り」を蔑ろにする事は節操のないカネ儲けに走る側面があるのも確かである。それを逞しく生きる庶民と解釈する事は可能ではあるが。とはいえ、現代庶民は現実的には「復讐」が出来ない事の憂さ晴らしを「倍返し」に求めているわけで、こういうお上品というか政治的メッセージ性を含んだ「高尚」な作品は大衆ウケが悪いかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-09-21 13:07:01) |