501. 未知への飛行
《ネタバレ》 「ちょっと眠たいけど、見ちゃおう」と鑑賞し始め、最初のうちはうとうとしてたんですが、そのうち目がパッチリ! そんなに興味なさそうだった妻が「特撮もなくて安上がりな作り方してるのに、凄い緊張感ね!」と興奮し始め、夫婦でごろりと横になって観ていたのが、中盤からは二人とも起き上がって鑑賞。途中でまた妻が「白黒なのを全然感じさせないわ!」と感心。下手な最近の映画より、インパクト強かったです。ウォルター・マッソーをモノクロ映画で見るのは初めてだったけど、「サブウェイ・パニック」よりコメディ離れした固い演技で、しかもおいしい役でした。どでかいパネルに戦況が図で表示されるのにハラハラした最初の映画は10代後半に観た「ウォー・ゲーム」だったけど、そのずっと前、自分が生まれた年に既にこういう映画があったのかと感動しました。核が落とされる恐怖を基本リアルに扱った映画は「ザ・デイ・アフター」他いくつか観てきたけれど、が~~~~んとショックを受けてベソかきそうになったのは、この映画が初めてです。あの電話のシーン、原爆そのものの映像を出さずに、こんな安上がりでこんな緊張を作り出すアイディアって、ホント凄いなと脱帽です!! 久々の大当たりで、見終わった後しばらく放心状態でした。 【2016/2/14 追記】戦争を扱う話には史実を扱う物と架空の話があります。それで、最近思うことなのですが、史実を扱った作品て要注意だなーと。その時その場のリアルを生きてこなかった人間にとって、史実を扱った物語は、無思考に「これは実際にあった出来事」と信じてしまいがちで、そこにもし現実にはなかった尾ヒレが描かれていたり、どちらかに偏ったプロパガンダや捏造が含まれていた場合にも、それ込みで『事実の重み』を感じてしまう危険があると思うのです。そういうマインド・コントロールを受けてしまうと、何を言ったところで「でも、こういう歴史的事実があるのだから」で思考停止してしまう人間もたくさんいるわけで、その逆に「あれは実は捏造でした」なんてことが明らかになった時の真実に対する混乱も。そういう害を思うと、本作のように架空の物語として現実の問題提起をする作品というのは、純粋に一思考一意見としてフラットに接することができるので、その意味でも価値が高いと思います。 [DVD(吹替)] 10点(2010-10-23 07:18:30)(良:2票) |
502. 月に囚われた男
《ネタバレ》 船内造形や、その中での憂鬱というか寂しさというか、漂ってるムードが、タルコフスキーの「惑星ソラリス」や、キューブリックの「2001年宇宙の旅」とか、スコットの「エイリアン」とかイヤでも思い出しちゃう感じでした。とくに、なんか人格が違うもう一人の主人公が出てきてからは「惑星ソラリス」の不気味なムードそのもの。パンチングボールをビシバシ叩く第二の主人公は本当に人格の違いを感じるとともにヤバそうなイメージで、役者さんの一人二役が上手に思えました。が、心理的に揺さぶる感じのストーリーではなかったです。ラストには、ちょっとジワーンと感じるものがありました。どうも、帰ったところで人々にもみくちゃにされて幸せになれそうにないムードなんだけど、それでも念願の地に帰還するということの喜びは消せないよねって感じで、「いろんなヤツがいて、いろいろあるだろうけど、生きるってそういうことだよね」って語られた感じがして、自分一人(二人?)だけの世界から人波へ向かう図は、けっこう良い余韻だったと思います。 [DVD(吹替)] 6点(2010-10-23 06:38:35) |
503. 未知との遭遇
《ネタバレ》 それまで宇宙人が地球にやってくる映画といったら「侵略」ものだったわけですが、友好的な宇宙人の来訪を描いてヒットした当時としては珍しいタイプの作品だったと思います。グレイが友好的存在であることを地球人に教育する目的で作られたなんて話まで聞いたことあります。巨大シャンデリアみたいな宇宙船が話題にされる映画ですが、あのシーンは僕はわりと冷めてました。デビルスタワーが切り抜きの影絵みたいで光の反映がウソッパチ過ぎて、巨大には見えず模型の合成としか見れなかった。けれど、それでもこの映画を気に入れたのは、服着たままシャワーに打たれ閉じこもる主人公の苦悩と孤独を描いていたから。僕はあのシーンが一番印象に残っているんです。中3で初めて観た当時そのわけは分からなかったけど、お気楽破天荒なSFの世界で、まじめに人が苦悩する姿を見せるとは思わなかったのもあるんだと思います。今考えてみれば、主人公は「何か素晴らしいもの」のぼんやりとしたヒント(イメージ)を持っていて、その答えにたどり着きたくて執着してるんだけど、誰も理解してくれない。これって、発明家や芸術家が何か偉大なものを作り上げるときにも、よくあるようなシチュエーションだなーと思います。他にも、正しいと信じることのために自分の信念を曲げずに、周囲の圧力にも屈せず世の中を改善する人とか・・・。そういう人の孤独の部分をしっかり見せられた気分だったのだと思います。「あともう少し何かが足りない・・・なんだろう???」と周囲も見えなくなるほど探し続け、あるとき自分の居場所との折り合いも考えて「さがすのをやめたとーき~ みつかることもよくあるはなしで」な展開。付け足すのではなく、ごっそり削り取ることで見つかる答え。そういう描き方が好きでした。この映画のUFOをUFOとしてではなく「周囲が不理解だけど自分が信じて追い求めている何か(夢)」として見れば、そういう体験を持っている人には印象的な作品になるのではないかなと思います。夢追い人の話でも「幸せは自分の足元にあった」と家族を取り戻す人物と、家族を置いて夢にましいぐらな主人公と、探し物も人それぞれで、そういう意味ではよく作られた話かも。ロイ・ニアリーさん、あのマザーシップが『コクーン』と同じメタファーでないことを祈ります(さぁ、光の方へ・・・) [DVD(吹替)] 6点(2010-09-23 16:01:39) |
504. エイリアン2/完全版
《ネタバレ》 公開時に劇場で観た時はまだ特撮技術にCGはなかった。そんななか見せられたあの貨物運搬ロボに「おお、ここまで表現できればガンダム実写版も近いか?」と感動。実はあのロボ、ウェイトリフティングの選手がロボット着ぐるみしてリプリーを抱えながら動いてるのだとか。大群で押し寄せるエイリアンも実は7体くらいしか制作されてないらしいのに、作品を見るとすごい数いるように感じられる。いろいろ巧いなと思います。止められない爆発までの間に逃げ切らなきゃいけないという設定も、そこから無事脱出したあとにもう一山待機しているのも、1作目の焼き直しなのに、つまらなく感じさせないのも凄いと思います。一作目は自分の命だけ考えればいいクライマックスだったけど、本作では生き残りの背景に「家族」の絆がかかっている。しかも、それぞれにエイリアンによって1度は家族との絆を断ち切られ孤独になったもの同士。その辺りの感情的背景がプラスされて、確執のあるアンドロイド(全く別体ではあるけど)との仲直りも加わったことで、あんなに頑に拒んだエイリアン退治のナビゲーション役を受けたことの価値もしっかり回収。めでたしめでたし! ニュートの叫び方が、ひどくざーとらしいので1点減点。 [DVD(吹替)] 8点(2010-09-23 15:39:23)(良:1票) |
505. シャーロック・ホームズ(2009)
小説を読んだわけではないが、シャーロック・ホームズというのは武術の達人でもあり、また麻薬中毒でワトソンがやめさせたともいう。独特のハットを冠った日本でなじみ深いホームズ像は挿絵画家が作り出したもの。おそらくホームズというのはおとなしく礼儀正しいイギリス紳士というイメージではないはず。小説は一つも読んだことないが、何かのきっかけでそういうことを知り「頭はキレがよくて、そのうえいざとなれば喧嘩も強くて、そんなの憧れるじゃん」と思ったことがある。しかもヤク中気味となれば品行方正で隙のない紳士というわけでもなく、そのだらしなさも好感を持った。そういうキャラとして描かれたホームズを観てみたいと思っていたから、この作品はそこが嬉しかったです。ワトソンはもっと、もっさりイケてないイメージをもっていたので、この作品で全くイメージが変わった。推理ものとしてはハナから期待していなかったので、若い頃に自分の理想と憧れたホームズ像が観れたことで満足。それにしても、いくら婚約者を引っ張りだしてきてみせても、この映画でのホームズとワトソンはゲイ関係のように見えてしまう。そんな想像を楽しむ女性ファンもいそうだなー。 [DVD(吹替)] 6点(2010-09-23 15:00:39) |
506. 大いなる陰謀
原題にはひねりや皮肉が利いているのに、この邦題は何ですか?! タイトル一つで、観る時の構え方とか、観たあとの感じ方とか、絶対に違うよねってことを、この作品で初めて思いました。こんな邦題つけたやつはクビ!!! 全てを台無しにしてるよ! [DVD(吹替)] 1点(2010-09-23 14:01:06) |
507. ミザリー
ジェームズ・カーンが出てる映画をほとんど観たことがなく、ただ若い頃はアクション系で有名だったイメージを持ってます。たしか『ロッキー』の主役候補でもあったはず(彼主演のロッキーが観たかった)。というわけで、彼に対しては、ちょっと軽い、人間味のある演技とか期待できないアクション俳優という偏見があったし、公開当時でさえ自分の中では「もう忘れられた過去の人」みたいな気持ちがありました。そんな彼を主人公にしているので、なんだか「がんばれ~!」という気持ちで応援。しかも設定が小説家。演技に観るところのない昔のアクション俳優という構えがあったためか、ほとんどベッドの中で動けず表情の演技で勝負する彼を観て、なんだかすごくこの俳優さんの印象が変わりました。もちろん、この作品で当たり役となり一気に名があがったキャシー・ベイツの演技も見事です。彼女の演技がすごいので、ジェームズ・カーンのがんばりが翳んでしまうのが、ちょっとかわいそう。けれど、ジェーム・カーンを知る人は「ゴッドファーザー」とか「ローラーボール」などのイメージは強いはずで、そんな彼がサイコな女一人にうろたえるストーリーが、ちゃんと緊迫感持って観れるものになってるってのが、自分としては唸っちゃうのです。バリバリにタフガイやってきた男優の、脂汗で脱出を試みる演技にも今一度注目してほしい作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2010-09-23 13:17:42)(良:1票) |
508. 鳥(1963)
《ネタバレ》 今観ると、怖くもなく、ゆるーい感じですが、1963年というアナログ時代のまっただ中に、あれだけの数の鳥たちを意図通りに映像に仕上げた技術や知恵がすごいなと思いました。この作品に限らないことですが、CGなんて技術が映像制作に取り入れられるようになる何十年も前には、ガラスに描いた背景を実際のロケーションと重ねて撮影したそうで、その手描きの絵が全くそれと分からず本物の景色と馴染んでいることに驚きます。火事になった港町を上空から見下ろすショットなんて、画面のほとんどが絵で占められているカラクリを知って感動しちゃいました。ラストシーンの鳥の数も、当時の特撮技術でよくやりました! シナリオの段階では、あのラストシーンからあとに世界の惨状を見渡せるシークェンスがあったそうで、それを知ったら知ったで映像として見てみたくもなりますが、そこを見せずに終わりとしたこの作品のラストのムードって、よくよく考えたら「ゾンビ」のラストに受け継がれたんだなーと意外なことに気づきました。 男性の母親はなんだかすごく見覚えのある顔で、誰か気になり続けていたら「コクーン」や「ドライビング・ミス・デイジー」のオスカー女優ではないですか! それに「エイリアン」で死んじゃう方の女性も子役で出てる! とか、そんなところで楽しんじゃいました。 [DVD(字幕)] 6点(2010-09-23 11:05:59)(良:1票) |
509. サイコ(1960)
《ネタバレ》 予備知識なしで観るにしても、有名なシャワーシーンだけはとっくに知っており、だから彼女がシャワーを浴びながらどうなるかは分かっていたのに・・・。分かっていたはずなのに、初めて見た時はガーンと頭が真っ白に。お金を盗って逃げた彼女の運命やいかに、というスリルにまんまと引き込まれていたのに、「えっ! え~~~~っ!???」と、彼女の運命など心配する必要のない事態へシャキーンと唐突に断ち切られる。じゃあ、そこから先に何を見続ければ良いのかってところが、彼女に突然降り掛かる予想外の運命を起因にスタート。この作品に関してはヒッチコックへの評価より、この斬新な展開を考えだしたシナリオライターに高い敬意を持ちます。初めて観たときは全くの作り話だと思っていましたが、現実にあった犯罪をもとにした原作本があったんですね! そこから大胆に観客を欺く導入を付け足した脚本家のアイデアがすごいなと思いました。で、もちろんそれをしっかりセンスある映像に仕上げたヒッチコックも素晴らしい。この作品は、怖い怖くないのレベルで観るよりは、美術館のモノクロ写真展を観るような気持ちで接した方が、得るものがあるような気がします。シャワーシーンを筆頭に、この映画の映像は『アート』だなと感じます。そして、全く動かないジャネット・リーの瞳はそれこそ静止したフォトをカメラでなめているのかと思いきや、そこから雫が滴って動いた時には驚きと感心のため息が漏れました。 [ビデオ(字幕)] 9点(2010-09-23 10:22:07)(良:1票) |
510. バンテージ・ポイント
この作品のレンタルが始まった頃、ズラリと棚に並んで、そのほとんどが貸し出し中で「かなり人気だなー」と思っていました。シガニー・ウィーバーとデニス・クエイドが出てるし、『LOST』で顔を覚えたマシュー・フォックスが映画作品でどんな存在感を見せるのか気にもなったし、一つの出来事を多角的に捉えることで何が浮き彫りになるのか興味もあったし、在庫がある状況になるまで結構待ってレンタル。で、見終わった感想は「騙された」「こんなつまらんものを、よく公開できたものだ」でした。同じことを何回も巻き戻して見せる価値がどこにあるのかさっぱり意味不明。結局の所もっと短い時間で見せられる話だし、もっと緊迫感ある面白い話の組み立て方ができるはずなんだけど。エンドロールを眺めながら「時間返せよ・・・」とつぶやきました。詐欺だ。時間泥棒! [DVD(吹替)] 1点(2010-09-11 02:57:20) |
511. 路上のソリスト
《ネタバレ》 期待していたので、鑑賞してみてガックリでした。記憶に残らない作品で、さっぱり忘れ去ってしまいそうです。・・・が、それでも「あなたの友人になれて光栄です」とか言うラストだけは、きっと忘れないと思います。ハンディキャップを持って路上生活している人間に、なみなみならぬ才能があると気づいたとき、なんとか「力になりたい→助けてあげたい」的な感情が働くのは人間として健全な心のあり方だと僕自身は思うのですが、でもそういう感じを「上から目線」なんて言われれば、それはそれで否定しきれないものはあるし、「じゃぁ、どうすりゃいいのさ!」って思うところを、ズバリ最後の台詞が答えを示してくれたって感じでした。ハンデも路上生活も、本気の本気で健常者との格差を意識せずに「個性」と捉え、対等な人間なのだと確信するなら、残るのは純粋に音楽の才能への敬意となるわけで、そこを伝える言葉がラストのセリフなんだなと感じました。 [DVD(吹替)] 4点(2010-09-11 02:23:21) |
512. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 rhforeverさんと、かずいちさんの意見に賛成! 公開時、なんか評判よかったのでレンタル出てから観てみたら、つまらないし陰気すぎだし、TVドラマのイメージなんてすぐに消えてしまいました。それに、堤真一の演技がどうにも生理的に受け付けなかったです。最後の泣き崩れ方とか、もうホームレス殺害のこととか関係なくイラッとしてしまいました。全く同情できないし、あの泣き崩れた姿を思い出すと、蹴飛ばしたくなるんです。たかが映画の登場人物に、蹴飛ばしたくなるほど嫌悪を感じるなんて多分初めてです。あの演技はホント生理的に無理!! 【2014/7/29追記】僕も人生に絶望気味になった時、ある女性の笑顔に救われたことあります。なので堤真一演じた役の心境はわからなくはないですが、あれハッキリ言ってストーカー的に気持ち悪くないですかね? 「隣に越して来た女性が綺麗じゃなかったら…」って話しが上がってますが、この物語のネクラなストーカーも堤じゃなければ、どうなのよ? 一方的で勝手にことを進めて、相手の気持ちとか無視してるのと同じ。見栄えのさえないキモオタが一方的に女を好いて勝手に関係ない人殺してごちゃ混ぜたら、どんな気分なんですかね? [DVD(邦画)] 1点(2010-08-30 21:29:44)(良:2票) |
513. インデペンデンス・デイ
《ネタバレ》 エリア51とかリアルの宇宙人ネタ出してくるなら、エイリアンはあれこれオリジナルデザインに凝らずに、地味にグレイとか出して、巨大円盤以外に瞬間移動する地味デザインのUFOも見せてくれたら、僕はきっと喜んだでしょう。ラストのUFO爆発は、すごく模型っぽくて、なんだかパンケーキが破裂したのを観るようで興ざめした。それからウィル・スミス、異星人を素手で殴ったら、どんな菌に感染するか分からないよぉ。 [映画館(字幕)] 5点(2010-08-30 05:52:20) |
514. ドーン・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 ロメロのオリジナルがなくて、仕方なくこちらをレンタル。オリジナルは公開当時に映画館で観ている。オリジナルでは宇宙からの怪電波で死者が蘇っているという状況をテレビで説明している冒頭だったと思うが、こちらのリメイクは主人公が報道をことごとく聞き逃すという設定。でもその演出が全然盛り上がらない。少しずつ登場人物が増えていくが、「オリジナルの方がキャラが立ってたな」と感じながら見続ける。が、だんだんリメイクの方が人間の描写が良い感じに思えてきた。「ああ、今回の困ったチャンはこいつか」と思っていたデパートの守衛が、あまりにもお決まりなパターンに収まらなかったのも好印象だった。オリジナルの暴走族侵入がなくなったのも個人的には良かったと思う。映画が終わる頃には「なかなかのリメイクじゃないか」と満足。けれど、ラストの印象はやっぱり断然オリジナルが良いと思う。オリジナルの「そしてどうなるのさ・・・・」という心細さ儚さが、凄く良かったのだが、こちらのリメイクは行く先が決まっており、それに対して「もし○○だったら、どうするのさ?」という普通誰もが思う心配を、あっさりその通りやってくれて、「ほらね」ってだけの台無しなエンディングにしてくれました。島に着くまでをご丁寧に写し出すなら、せめて『キャリー』とか『エイリアン』みたいに一度ホッと解放させといてからビックリさせな。 [DVD(吹替)] 6点(2010-08-30 05:28:46) |
515. 蝶の舌
《ネタバレ》 まさか、あそこまでの性描写があるとは思いもせず、10歳の我が子も共に観たのでした~! 慌てて気まずいムードを醸すのもどうかと、夫婦ともに笑って済ませましたが、あのシーンがどこまで進むのかヒヤヒヤでした。結局映画が終わってみて、あんなシーンを、あそこまで突っ込んで映す必要があったのか、夫婦共々疑問に感じたのでした。そして、何よりもスペインの当時の事情がよく伝わらない。突然に暗転していく先生の周辺事情が、10歳の子にはさっぱりワケ分からない作りになっていて、「なんで?」「なんで?」とまくしたてる我が子に戦争とか宗教とか思想信条の問題についてとか、説明しなければならなかった。大人が観ても、状況が伝わりやすいものにはなっていないと思う。少年の母親は心が醜くすぎる。先生の服を無償で仕立てたという状況があるにしても、あそこまで積極的な嫌悪を示し、子供にまでけしかける必要があるのか? 唐突な暗転エンディングに対して「なんで?」の渦に飲み込まれた我が子に、「あの人たちと仲が良かったと思われると、命にも関わるからだよ」と説明したところ、我が子は「そうだとしても、べつにあんなことしなくたって、ただ知らんふりしてれいればいいのに!」と返した。我が子からそういう強い言葉が聞けたことが、何より嬉しかった。狂気や恐怖の中にある大人の事情が主人公の少年に理解できているなら別だが、よくわけもわからぬまま母親の言いつけ通りに恩師を罵倒できてしまうというのは、結局のところ、それまでの間に道徳的教育がいい加減だったと思えてならない。まぁ、あんな母親だからね。自分のことしか考えないような人たちが戦争を作り出してるんじゃないだろうか? [DVD(吹替)] 4点(2010-08-30 04:34:40)(良:2票) |
516. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 これを観るずっと以前に、主人公二人が大金を手にしてドロンするというオチが凄く爽快な映画『F/X 引き裂かれたトリック』というのを観ていたので、ラストにそれほど新鮮みは感じませんでした。「よかったねー!」とは思いましたが。そんなに支持される作品なのかなー?って思います。ポスターの裏側に抜け穴って・・・しかもあんな小さな道具でチマチマと? その長い年月に部屋の移動もなければ、バレることもなかったって、ラッキーですね。いいんじゃないですか、それで多くの人が感動できるなら。僕はまた観ようとは思わないけど。 [DVD(吹替)] 6点(2010-08-22 15:42:08) |
517. ライフ・イズ・ビューティフル
コメディアンは自分のリアルな日常で悲しいことや辛いことがあっても、舞台に出たら笑いを取らなくちゃいけない仕事。そういう自分の立場から思いついた企画かもしれないけど・・・・・どんなときも笑ってなきゃいけないコメディ・ロボットの悲哀と、それによって人生の辛いことから目を逸らしていられる愚民を親子に仕立てた話という感じがしました(なるほど次はピノキオですか・・・)。出だしのイタリアの陽気な村の雰囲気は好きでしたが、本題に入ってからの、あまりのわざとらしさにドッチラケ。あんなバカな子供いるんでしょうか? 自分の子供はあんなバカであってほしくないです。生きる能力の高い子どもなら、絶対に不穏で危険な空気を察知できる。というか子供の方がそういう能力は高いはず。子供って勘が鋭いもんでしょう。それに自分が収容所にいたら、あんな親子がいたらイライラしてキレそうな気がする。父親が姿を消して銃声がしたことの意味が分からない子供。そして目の前に現れた戦車に喜ぶ。本当に子供をバカにしてます。 「日本のメディアは本当のことを伝えない」と言われてかなりの歳月だが、この状況は他の国では嘲笑的に報道されてもいる。テレビが伝える嘘や真実隠しや芸人のお笑い番組で、日本の危うい現実を分からない平和ボケ国民と、この映画のバカ息子は同類だと思う。 大嫌いな映画ですが、のどかで平和な前半の自転車シーンだけ点数を付けさせていただきます。 [映画館(字幕)] 1点(2010-08-22 13:58:44) |
518. スタンド・バイ・ミー
いい作品の部類だとは思うけれど、とくに名作とも思えないし、何度も観たくはならない。それと、初めて観た時から、どうしてもしっくりこなくて違和感が拭えないのが、主人公の大人になった姿をリチャード・ドレイファスがやってること。あの少年がリチャードの見栄えにはならないと思って仕方ないのです。違いすぎる。その無理さ加減が、それまでの少年時代のエピーソード全てを台無しにするラストになってる気がしてならない。う~んリチャード・ドレイファスって人が、そもそも小説家で生計立ててる人のイメージとして見にくい。演劇とか音楽とかを一生懸命な人ってイメージは持てるけど、物語を作って書く人には思えない。文章表現に秀でた人物らしく見えない。自分の勝手なイメージだけど、どうしても無理。ホントこんなことで冷めてしまうのもなんですが、自分としては、そういうことです。 [DVD(吹替)] 6点(2010-08-22 13:06:24) |
519. 奇跡の人(1962)
《ネタバレ》 いつか自分の子供に見せたいと思いながらも吹き替えものが見当たらず「まだ字幕は辛いだろうな」と時期を待ち続けていました。学校で何か学んだのか、子供の方からヘレン・ケラーのことをいろいろ聞いてきたもので「これは時なのかも?」と10歳の子供に字幕で白黒の映画を恐る恐る鑑賞させてみました。こちらの不安などものともせず、いささか大げさなオープニングが功をなして引き込まれる引き込まれる。やって来たサリバン先生を部屋に閉じ込める悪ガキっぷりに、先の展開が楽しみになったようで、成り行きを見守りながら茶化すお兄さんのジョークも手伝って、ハマったようでした。食事の躾のシーンは、もちろんもう目が釘付け状態で、二人きりの言葉のない攻防だから字幕に煩うこともないし、ドリフのドタバタを観るようにギャハギャハ笑いながらも、実在したヘレン・ケラーという人物の持った障害(+親の哀れみ)がどれほど人間としての質を蝕むものかを感じ取っていたようです。凄まじいタイマン勝負のあとも、わが子の集中力は持続し続け、世の中のもの一つ一つに名前があることにヘレンが気づくラストまでじっと見入っていました。今どきの10歳を最後までつなぎとめられる白黒の字幕映画って、そうないと思いますし、大人の自分は何度鑑賞しても笑って泣いちゃう感動作です。力強い作品! [DVD(字幕)] 10点(2010-08-22 12:13:30)(良:1票) |
520. オール・アバウト・マイ・マザー
《ネタバレ》 予備知識ナシで観たのですが、期待していたものとは全然違ってガックリでした。締めくくり方は「女性讃歌」を主張してそうですが、自分にはどうしても「オカマ讃歌」にしか感じられませんでしたし、そのオカマ讃歌に共感も感動も起きませんでした。絶対に映画のタイトルがいけないと思う。「これはゲイの話です」と分かるタイトルにしてくれればいいのに、「母親の全てについての物語です」みたいな面構えは、詐欺にしか思えない。男性と女性がいて、どちらもそれぞれの性差の中で良い所も悪い所もあって、そんななかで「女性はこういうものよね」「女に生まれて良かった!」などを主張していくなら分かるけど、男であることをやめて女で生きたい人間と、それに関わる女と・・・そういう世界観だけで「母親」なんて言葉を持ってこられても、自分としてはひたすら「???」でした。こういう世界観をルーツとする息子に、どういう男性観と女性観が培われるのか、それも気になりましたが、死んだのだから、ま、どうでもいいか・・・みたいな気持ちです。バカバカしい100分でした。 [DVD(字幕)] 2点(2010-08-22 09:56:23) |